第103回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
平成26年2月16日(日)に実施された第103回看護師国家試験について、「国民衛生の動向2023/2024」で内容を解説している問題、関連の強い問題をピックアップし、その正答と解説を示します。
また、合格のために最重要となる必修問題(午前・午後冒頭25問と想定)、より広範な知識量が必要となる一般問題、問題形式に慣れる必要がある状況設定問題についても、ポイントとともに網羅しています。
問題を解きながら不明な部分を本誌で確認し、学習効率の向上にご活用下さい。
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厚生の指標増刊
国民衛生の動向 2023/2024
発売日:2023.8.29
定価:2,970円(税込)
432頁・B5判
雑誌コード:03854-08
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▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向
「国民衛生の動向」対応問題
※参照章・ページ数は「国民衛生の動向2023/2024」
▶午前1改題
日本の令和3年(2021年)における出生数に最も近いのはどれか。
- 30万人
- 80万人
- 130万人
- 280万人
② 80万人
【▼ポイント】
令和3年(2021年)の出生数は81.2万人(過去最低)である。なお、死亡数は144.0万人で、その差である自然増減数はマイナス62.8万人となっている。
【▼参照】
第2編2章 2.出生 p49~53
▶午前2
平均寿命は[ ]歳の平均余命である。
[ ]に入るのはどれか。
- 0
- 5
- 10
- 20
① 0
【▼ポイント】
平均寿命とは0歳の平均余命をいい、令和2年(2020年)の第23回生命表では、男性が81.56年、女性が87.71年となっている。
【▼参照】
第2編3章 生命表 p71~74
▶午前3
労働基準法で原則として定められている休憩時間を除く1週間の労働時間はどれか。
- 30時間を超えない。
- 40時間を超えない。
- 50時間を超えない。
- 60時間を超えない。
② 40時間を超えない。
【▼ポイント】
労働基準法では、労働時間について、休憩時間を除き1日に8時間、1週間に40時間を超えないように定めている。
【▼参照】
第8編 9.その他の労働衛生対策等 p323~325
▶午前4
国民医療費に含まれる費用はどれか。
- 予防接種
- 正常な分娩
- 人間ドック
- 入院時の食事
④ 入院時の食事
【▼ポイント】
国民医療費は傷病の治療費に限られ、正常な妊娠や分娩などに要する費用(②)、健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種などに要する費用(①・③)、固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢などの費用は含まない。
【▼参照】
第4編2章 6.国民医療費 p227~230
▶午前5
全ての人が差別されることなく同じように生活できるという考え方を示しているのはどれか。
- ヘルスプロモーション
- ノーマライゼーション
- プライマリヘルスケア
- エンパワメント
② ノーマライゼーション
【▼ポイント】
ノーマライゼーションは、障害者等が障害を持たない者と同等に生活・活動する社会を目指す理念で、障害者基本法ではこの理念の下に公共的施設のバリアフリー化などを幅広く規定している。
【▼参照】
第5編2章 5.障害者福祉等 p250~252
▶午前8
市町村保健センターの業務はどれか。
- 廃棄物の処理
- 人口動態統計調査
- 看護師免許申請の受理
- 地域住民の健康づくり
④ 地域住民の健康づくり
【▼ポイント】
市町村保健センターは地域保健法に基づき、健康相談・保健指導・健康診査など地域保健に関し必要な事業を行うため、市町村が設置することができる。なお、①~③は地域保健法に基づき主に都道府県が設置する保健所の業務である。
【▼参照】
第1編2章 2.衛生行政の組織 p22~24
▶午前9
インシデントレポートの目的はどれか。
- 責任の追及
- 再発の防止
- 懲罰の決定
- 相手への謝罪
② 再発の防止
【▼ポイント】
インシデントレポートは、医療事故につながりかねないインシデント(ヒヤリ・ハット)が発生した場合、再発防止のために状況把握、要因分析、対策、情報共有を行うものである。
【▼参照】
第4編1章 3.各医療対策の動向 p174~193
▶午前18
感染性廃棄物の廃棄容器に表示するのはどれか。

①
【▼ポイント】
なお、性状に応じてマークの色を、液状又は泥状のもの(血液等)は赤色、固形状のもの(血液等が付着したガーゼ等)は橙色、鋭利なもの(注射針等)は黄色と分けることが望ましい。
【▼参照】
第9編4章 4.特別管理廃棄物 p356
▶午前35
介護保険の第1号被保険者について正しいのはどれか。
- 予防給付対象者は要介護1である。
- 保険料は所得段階別の定額である。
- 医療保険者が保険料を徴収する。
- 対象は60歳以上である。
② 保険料は所得段階別の定額である。
【▼ポイント】
×① 予防給付対象者は要介護1である。
要介護等の状態にあると判定された場合、要介護(1~5)の者には介護給付、要支援(1・2)の者には予防給付が支給される。
○② 保険料は所得段階別の定額である。
市町村ごとに介護サービス量や所得などに応じた定額保険料が設定される。
×③ 医療保険者が保険料を徴収する。
×④ 対象は60歳以上である。
介護保険の第1号被保険者は65歳以上の者であり、介護保険制度の保険者である市町村が保険料を徴収する。なお、第2号被保険者は40~64歳の医療保険加入者で、医療保険者が保険料を徴収する。
【▼参照】
第5編1章 2.介護保険制度の概要 p231~240
▶午前36改変
令和元年(2019年)健やか親子21(第2次)の中間評価において、改善したと評価されていないのはどれか。
- 妊産婦死亡率
- 十代の喫煙率
- 十代の自殺死亡率
- むし歯のない3歳児の割合
③ 十代の自殺死亡率
【▼ポイント】
健やか親子21(第2次)の中間評価では、直近値(平成29年)の十代の自殺死亡率がベースライン値(平成24年)に比較して、10~14歳は増加、15~19歳は減少し、「変わらない」と評価された。①、②、④は改善したと評価されている。
【▼参照】
第3編2章 1.母子保健 p96~105
▶午前37
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく入院形態でないのはどれか。
- 任意入院
- 応急入院
- 勧告入院
- 医療保護入院
③ 勧告入院
【▼ポイント】
精神保健福祉法に基づき、精神障害者自身の同意に基づく任意入院(①)、本人の同意が取れないが家族の同意がある場合の医療保護入院(④)、本人・家族の同意が取れないが急速を要する場合に72時間以内の応急入院(②)がある。なお、勧告入院(③)は感染症法に基づくもので、感染症患者に対する十分な説明と同意を踏まえた入院制度である。
【▼参照】
第3編2章 4.精神保健 p113~119
▶午前38
救急医療体制とその内容の組合せで正しいのはどれか。
- 初期救急医療体制――休日・夜間急患センター
- 第2次救急医療体制――高度の診療機能を持つ24時間救命救急センター
- 第3次救急医療体制――在宅当番医
- 広域救急患者搬送体制――へき地巡回診療車
① 初期救急医療体制――休日・夜間急患センター
【▼ポイント】
救急医療体制は、重症度・緊急度に応じて、初期、二次、三次といった階層状の構造となっている。
○① 初期救急医療体制――休日・夜間急患センター
初期救急医療機関は、外来診療によって比較的症状の軽い救急患者の対応を行うもので、在宅当番医制と休日夜間急患センターが対応する。
×② 第2次救急医療体制――高度の診療機能を持つ24時間救命救急センター
二次救急医療機関は、入院治療を必要とする重症の救急患者の医療を行うもので、病院群輪番制度が対応する。
×③ 第3次救急医療体制――在宅当番医
三次救急医療機関は、二次救急医療機関で対応できない重症および複数の診療科にわたるすべての重篤な救急患者を24時間体制で受け入れるもので、救命救急センターが対応する。
×④ 広域救急患者搬送体制――へき地巡回診療車
広域救急患者搬送体制としては、ドクターヘリの整備が進んでいる。
【▼参照】
第4編1章 3.各医療対策の動向 p174~193
▶午前41
無菌室で使用する物品とその滅菌方法の組合せで適切なのはどれか。
- ビニール袋に入った菓子――酸化エチレンガス滅菌
- ステンレス製のスプーン――高圧蒸気滅菌
- プラスチック製の箸――乾熱滅菌
- 紙製の絵本――低温プラズマ滅菌
② ステンレス製のスプーン――高圧蒸気滅菌
【▼ポイント】
オートクレーブを用いた滅菌を高圧蒸気滅菌といい、乾熱滅菌等に比べて低温・短時間での滅菌ができる。ただし、高温・高圧に耐えない器具(軟性内視鏡等)には用いない。
【▼参照】
第4編1章 3.各医療対策の動向 p174~193
▶午前55
高齢者のエイジズムについて正しいのはどれか。
- 高齢者の価値を認めるものである。
- 高齢者の権利を擁護するものである。
- 高齢者を生活環境の違いで区別するものである。
- 高齢者という理由で不当な扱いをするものである。
④ 高齢者という理由で不当な扱いをするものである。
【▼ポイント】
エイジズムとは年齢による偏見や差別をいい、特に高齢者に対する差別が問題となる。
【▼参照】
第5編2章 6.高齢者福祉等 p252~254
▶午前60改題
令和元年(2019年)国民生活基礎調査で、同居している主な介護者のストレスや悩みの原因で最も割合の高いのはどれか。
- 自分の仕事
- 家族の病気や介護
- 家族との人間関係
- 自由にできる時間がない
② 家族の病気や介護
【▼ポイント】
同居の主な介護者の悩みやストレスの原因をみると家族の病気や介護が最も多く、こうした介護者の負担軽減のため、訪問介護やデイサービス、ショートステイなどを利用したレスパイトケア(介護者の一時的な休息支援)の拡充が図られている。
【▼参照】
第5編1章 2.介護保険制度の概要 p231~240
▶午前62
小児の一次救命処置において推奨される胸骨圧迫の速さ(回数)はどれか。
- 少なくとも約 80回/分
- 少なくとも約100回/分
- 少なくとも約120回/分
- 少なくとも約140回/分
③ 少なくとも約100回/分
【▼ポイント】
一次救命処置(BLS)における心肺蘇生法では、胸骨中央下部への胸骨圧迫30回(約5cm沈み込む強さ、100~120回/分の速さ)と人工呼吸2回の組み合わせによる処置を行う。幼児や小児の場合も、圧迫箇所や回数、人工呼吸頻度は成人と同様である(ただし、強さは胸の厚みの3分の1が沈み込む深さ)。
【▼参照】
第4編1章 3.各医療対策の動向 p174~193
▶午前70
精神科デイケアの目的はどれか。
- 陽性症状を鎮静化する。
- 社会生活機能を回復する。
- 家族の疾病理解を深める。
- 単身で生活できるようにする。
② 社会生活機能を回復する。
【▼ポイント】
精神科デイケアは、精神障害のある者を対象に、社会参加や社会復帰(復職、就労、進学・復学等)を目的として、生活リズムの改善やコミュニケーション能力の向上、精神疾患の再発防止などを図る通所施設であり、医療保険の適用対象となっている。
【▼参照】
第3編2章 4.精神保健 p113~119
▶午前71
現在の日本の精神医療について正しいのはどれか。
- 精神及び行動の障害で入院した患者で最も多いのはうつ病である。
- 人口当たりの精神病床数はOECD加盟国の中では低い水準である。
- 各都道府県及び政令指定都市に精神保健福祉センターが設置されている。
- 精神障害者保健福祉手帳制度によって外来通院の医療費の給付が行われる。
③ 各都道府県及び政令指定都市に精神保健福祉センターが設置されている。
【▼ポイント】
×① 精神及び行動の障害で入院した患者で最も多いのはうつ病である。
精神病床に入院している患者では、「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」が最も多く、半分以上を占めている(令和2年)。
×② 人口当たりの精神病床数はOECD加盟国の中では低い水準である。
令和2年の精神病床数は32.5万床、精神病床の平均在院日数は277.0日で、以前と比べて減少・短縮しているものの、ともに国際的にみても非常に高い水準にある。
○③ 各都道府県及び政令指定都市に精神保健福祉センターが設置されている。
精神保健福祉センターは都道府県・指定都市に設置され、専門技術職員(精神保健福祉相談員含む)により保健所を中心とする地域精神保健業務を技術面から指導・援助する機関である。
×④ 精神障害者保健福祉手帳制度によって外来通院の医療費の給付が行われる。
精神障害者保健福祉手帳は、精神障害者が長期にわたり日常生活や社会生活に相当の制限を受けるなど、一定の精神障害の状態にあることを認定して交付されるもので、手帳の交付により、所得税・住民税の控除など各種税制の優遇措置や公共交通機関の運賃割引などが受けられる。なお、外来通院の医療費は、障害者総合支援法の自立支援医療(精神通院医療)として公費負担が行われている。
【▼参照】
第3編2章 4.精神保健 p113~119
▶午前73
訪問看護に関する制度について正しいのはどれか。
- 平成12年(2000年)に老人訪問看護制度が創設された。
- サービスを開始するときに書面による契約は不要である。
- 訪問看護ステーションの管理者は医師もしくは看護師と定められている。
- 介護保険法に基づく訪問看護ステーションの開設には都道府県の指定が必要である。
④ 介護保険法に基づく訪問看護ステーションの開設には都道府県の指定が必要である。
【▼ポイント】
×① 平成12年(2000年)に老人訪問看護制度が創設された。
老人訪問看護制度は、平成4年(1992年)に医療保険による訪問看護サービスとして創設された。平成12年(2000年)には、介護保険法の施行に伴い、介護保険制度の居宅サービスの一つとして訪問看護サービスが位置づけられた。
×② サービスを開始するときに書面による契約は不要である。
サービス契約の前に利用者に対して重要事項を説明し、同意を得た上で書面による契約を行い、サービスを開始する。
×③ 訪問看護ステーションの管理者は医師もしくは看護師と定められている。
訪問看護ステーションの管理者は専従かつ常勤の保健師または看護師であって、適切な指定訪問看護を行うために必要な知識・技能を有する者とされる。
○④ 介護保険法に基づく訪問看護ステーションの開設には都道府県の指定が必要である。
訪問看護ステーションは、都道府県知事から介護保険法に基づき事業者の指定を受け開設している。
【▼参照】
第4編1章 3.各医療対策の動向 p174~193
▶午前76
災害派遣医療チーム〈DMAT〉の活動で最も適切なのはどれか。
- 被災地域内での傷病者の搬送を行う。
- 外傷後ストレス障害〈PTSD〉に対応する。
- 長期の継続的な医療を行う。
- 被災地の復興を手助けする。
① 被災地域内での傷病者の搬送を行う。
【▼ポイント】
災害派遣医療チーム〈DMAT〉は急性期(おおむね48時間以内)から活動できる機動性を持つ専門的な医療チームである。長期にわたる活動(③)、復興期の活動(④)は想定されていない。また、発災後1か月以降に生じやすい外傷後ストレス障害〈PTSD〉(②)の対応時期とも重ならないとともに、外傷後ストレス障害などの精神医療等に専門的に当たるチームは、厳密には災害派遣精神医療チーム〈DPAT〉とされる。
【▼参照】
第4編1章 3.各医療対策の動向 p174~193
▶午前78
日本における政府開発援助〈ODA〉の実施機関として正しいのはどれか。
- 国際協力機構〈JICA〉
- 世界保健機関〈WHO〉
- 国連開発計画〈UNDP〉
- 赤十字国際委員会〈ICRC〉
① 国際協力機構〈JICA〉
【▼ポイント】
開発途上国等への2国間協力として、わが国は国際協力機構〈JICA〉を通じた政府開発援助〈ODA〉を実施している。
【▼参照】
第1編2章 11.国際協力 p33~34
▶午前84
日和見感染症の起炎菌はどれか。 2つ選べ。
- メチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉
- インフルエンザ菌
- A群溶連菌
- 髄膜炎菌
- 緑膿菌
① メチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉
⑤ 緑膿菌
【▼ポイント】
日和見感染症とは、正常な宿主に対しては病原性を発揮しない病原体が、抵抗力の弱まった宿主に対しては病原性を発揮して起こる感染症である。その主要な起炎菌として、多剤耐性緑膿菌〈MDRP〉やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉が挙げられ、特に院内感染対策としても重要な課題である。
【▼参照】
第4編1章 3.各医療対策の動向 p174~193
▶午前85改題
予防接種法において定期予防接種の対象となっていない疾患はどれか。
- 結核
- 水痘
- 風しん
- B型肝炎
- 流行性耳下腺炎
⑤ 流行性耳下腺炎
【▼ポイント】
定期予防接種対象(令和3年4月現在)
● 生ワクチン
BCG(結核ワクチン)、麻しん・風しん混合(MR)、麻しん(はしか)、風しん、水痘、ロタウイルス(1価、5価)
●不活化ワクチン・トキソイド
ポリオ(IPV)、ジフテリア・破傷風混合トキソイド(DT)、百日せき・ジフテリア・破傷風混合(DPT)、百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ混合(DPT‐IPV)、日本脳炎、インフルエンザ、B型肝炎、肺炎球菌(13価結合型)、肺炎球菌(23価莢膜ポリサッカライド)、インフルエンザ菌b型(Hib)、ヒトパピローマウイルス(HPV)(2価、4価)
【▼参照】
第3編3章 4.予防接種 p144~150
▶午前86
患者の権利について適切なのはどれか。2つ選べ。
- 患者は自分の医療情報を見ることができる。
- 患者は一度同意した治療方針を拒否できない。
- 患者はセカンドオピニオンを受けることができる。
- 患者が病室に不在の場合は検査の同意を家族から得る。
- 患者情報は患者と家族の同意なく保険会社に開示できる。
① 患者は自分の医療情報を見ることができる。
③ 患者はセカンドオピニオンを受けることができる。
【▼ポイント】
リスボン宣言(患者の権利宣言)では、主治医以外の医師による助言(セカンドオピニオン)を受けるなど選択の自由の権利や、医療上の記録に記載されている自己の情報を知るなど情報に対する権利の原則を規定している。
【▼参照】
第4編1章 1.医療法 p169~170
▶午後1改題
日本の令和3年(2021年)における主要死因別にみた死亡率が最も高いのはどれか。
- 肺炎
- 心疾患
- 悪性新生物〈腫瘍〉
- 脳血管疾患
③ 悪性新生物〈腫瘍〉
【▼ポイント】
令和3年(2021年)の死因順位は、1位が悪性新生物〈腫瘍〉、2位が心疾患、3位が老衰、4位が脳血管疾患、5位が肺炎となっている。悪性新生物〈腫瘍〉は昭和56年以降わが国の死亡の第一位であり、一貫して増加を続けている。
【▼参照】
第2編2章 3.死亡 p53~62
▶午後2
循環式浴槽の水質汚染によって発生するのはどれか。
- B型肝炎
- マラリア
- レジオネラ肺炎
- 後天性免疫不全症候群〈AIDS〉
③ レジオネラ肺炎
【▼ポイント】
×① B型肝炎
B型肝炎は母子感染(垂直感染)や性行為感染、また、医療現場での針刺し事故などでも感染する可能性がある。
×② マラリア
マラリアは熱帯・亜熱帯地域に広く分布する感染症で、マハダラカによって媒介される。
○③ レジオネラ肺炎
レジオネラ属菌は自然界(河川、湖水、温泉や土壌など)に生息している細菌で、レジオネラ肺炎を引き起こす。循環式浴槽は浴槽の湯を濾過器を通して循環させるもので、換水や消毒、清掃を怠ることでレジオネラ属菌が繁殖する危険性が高まる。
×④ 後天性免疫不全症候群〈AIDS〉
後天性免疫不全症候群〈AIDS〉は、性行為感染、血液または血液製剤の輸注による感染、母子感染(垂直感染)が主な感染経路で、とくに性行為感染が多くを占める。
【▼参照】
第3編3章 3.主な感染症等の動向と対策 p131~144
▶午後3
要介護認定の申請先はどれか。
- 都道府県
- 市町村
- 診療所
- 訪問看護ステーション
② 市町村
【▼ポイント】
市町村は被保険者からの申請を受けて調査を行い、市町村に設置された介護認定審査会が要介護状態の区分の審査・判定を行う。
【▼参照】
第5編1章 2.介護保険制度の概要 p231~240
▶午後4
医師の指示を受けて看護師が行うことのできる業務はどれか。
- 薬剤の処方
- 死亡の判定
- 静脈内注射
- 診断書の交付
③ 静脈内注射
【▼ポイント】
看護師は傷病者もしくは褥婦に対する療養上の世話または診療の補助を行うことを業とする(保健師助産師看護師法5条)。診療の補助の範囲は厚生労働省通知により解釈がなされ、静脈内注射は医師の指示の下に行うことができる。
【▼参照】
第4編1章 4.医療関係者 p193~209
▶午後6改題
令和元年(2019年)の国民生活基礎調査で、単独世帯の占める割合はどれか。
- 8.8%
- 28.8%
- 48.8%
- 68.8%
② 28.8%
【▼ポイント】
令和元年(2019年)では、単独世帯が28.8%、夫婦と未婚の子のみの世帯が28.4%、夫婦のみの世帯が24.4%、ひとり親と未婚の子のみの世帯が7.0%、三世代世帯が5.1%などとなっている。
【▼参照】
第2編1章 1.全国人口の動向 p40~45
▶午後7
地域包括支援センターを設置できるのはどれか。
- 国
- 都道府県
- 市町村
- 健康保険組合
③ 市町村
【▼ポイント】
介護保険法に定められる地域包括支援センターは、住民の健康の保持と生活の安定のために必要な援助を行うもので、市町村に設置される。
【▼参照】
第5編1章 2.介護保険制度の概要 p231~240
▶午後8
保健師助産師看護師法で規定されている看護師の義務はどれか。
- 看護研究
- 記録の保存
- 秘密の保持
- 関係機関との連携
③ 秘密の保持
【▼ポイント】
看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない(保健師助産師看護師法42条2項)。
【▼参照】
第4編1章 4.医療関係者 p193~209
▶午後10
死の三徴候に含まれるのはどれか。
- 呼名反応の消失
- 対光反射の消失
- 肛門緊張の消失
- 深部腱反射の消失
② 対光反射の消失
【▼ポイント】
死の三徴候は、「呼吸停止」「心拍停止」「瞳孔散大・対光反射消失」である。
【▼参照】
第3編4章 6.臓器移植・組織移植 p163~165
▶午後15
ウイルスが原因で発症するのはどれか。
- 血友病
- 鉄欠乏性貧血
- 再生不良性貧血
- 成人T細胞白血病〈ATL〉
④ 成人T細胞白血病〈ATL〉
【▼ポイント】
成人T細胞白血病〈ATL〉は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型〈HTLV-1〉の感染により発症する可能性があり、発症には主に母乳を介した母子感染が関与している。
【▼参照】
第3編3章 3.主な感染症等の動向と対策 p131~144
▶午後25改題
令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査において、運動習慣のある女性の割合が最も高いのはどれか。
- 30~39歳
- 40~49歳
- 50~59歳
- 60~69歳
- 70歳以上
⑤ 70歳以上
【▼ポイント】
令和元年(2019年)の運動習慣のある割合は男女ともに70歳以上が最も多い(男42.7%・女35.9%)。
【▼参照】
第3編1章 2.健康増進対策 p86~95
▶午後34
関節リウマチで起こる主な炎症はどれか。
- 滑膜炎
- 骨髄炎
- 骨軟骨炎
- 関節周囲炎
① 滑膜炎
【▼ポイント】
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。症状の悪化に伴い、日常生活動作〈ADL〉の障害や生活の質〈QOL〉の低下を引き起こす。
【▼参照】
第3編4章 4.リウマチ・アレルギー疾患対策 p161~162
▶午後36
障害者基本法で正しいのはどれか。
- 目的は障害者の保護である。
- 障害者の日が規定されている。
- 身体障害と知的障害の2つが対象である。
- 公共的施設のバリアフリー化の計画的推進を図ることとされている。
④ 公共的施設のバリアフリー化の計画的推進を図ることとされている。
【▼ポイント】
×① 目的は障害者の保護である。
障害者基本法は、障害者の自立や社会参加の支援のための施策を総合的・計画的に推進することを目的とする。
×② 障害者の日が規定されている。
障害者週間(12月3~9日)が設定されている。
×③ 身体障害と知的障害の2つが対象である。
身体障害、知的障害、精神障害(発達障害含む)その他の心身の機能の障害がある者を対象とする。
○④ 公共的施設のバリアフリー化の計画的推進を図ることとされている。
障害者基本法では、障害者等が障害を持たない者と同等に生活・活動する社会を目指すノーマライゼーションの理念の下に、公共的施設のバリアフリー化などを規定している。
【▼参照】
第5編2章 5.障害者福祉等 p250~252
▶午後37
外来で患者の血液が付着したガーゼを処理する取り扱いで正しいのはどれか。
- 産業廃棄物
- 一般廃棄物
- 感染性産業廃棄物
- 感染性一般廃棄物
④ 感染性一般廃棄物
【▼ポイント】
感染性廃棄物とは、医療機関等から生じる、人が感染し、もしくは感染するおそれのある病原体が含まれ、もしくは付着している廃棄物またはこれらのおそれのある廃棄物であり、廃棄物処理法施行令に定める感染性一般廃棄物(紙くず、包帯、脱脂綿等)と感染性産業廃棄物(血液、注射針、メス、レントゲン定着液等)を指す。
【▼参照】
第9編4章 4.特別管理廃棄物 p356
▶午後38
社会福祉に関係する職種とその業務についての組合せで正しいのはどれか。
- 精神保健福祉士――精神障害者保健福祉手帳の発行
- 介護支援専門員――居宅サービス計画の作成
- 介護福祉士――生活保護の認定
- 社会福祉士――要介護度の認定
② 介護支援専門員――居宅サービス計画の作成
【▼ポイント】
介護支援専門員は、要介護者等を支援する上で解決すべき課題を把握(アセスメント)し、課題を解決するための居宅・施設の介護サービス計画を作成する。なお、介護サービス計画は利用者自ら作成し、居宅サービスを受けることも可能である。
【▼参照】
第5編1章 2.介護保険制度の概要 p231~240
▶午後46
地域連携クリニカルパスについて正しいのはどれか。
- 診療報酬の評価の対象ではない。
- 市町村を単位とした連携である。
- 記載内容は医師の治療計画である。
- 医療機関から在宅まで継続した医療を提供する。
④ 医療機関から在宅まで継続した医療を提供する。
【▼ポイント】
地域連携クリニカルパスは、急性期病院から回復期病院を経て早期に自宅に帰れるような全体的な診療計画をいい、治療を受ける地域内の医療機関で共有して用いる。
【▼参照】
第4編1章 2.医療計画 p170~174
▶午後50
B型肝炎と比べたC型肝炎の特徴について正しいのはどれか。
- 劇症化しやすい。
- 性行為による感染が多い。
- 無症状のまま慢性化しやすい。
- ワクチン接種による感染予防対策がある。
③ 無症状のまま慢性化しやすい。
【▼ポイント】
×① 劇症化しやすい。
○③ 無症状のまま慢性化しやすい。
C型肝炎の多くは自覚症状が現れず慢性化し、肝硬変や肝がんに進行する場合がある。なお、劇症化する危険性があるものはA型肝炎である。
×② 性行為による感染が多い。
C型肝炎の主な感染経路は血液感染である。B型肝炎の感染経路の一つとして性行為感染がある。
×④ ワクチン接種による感染予防対策がある。
B型肝炎は定期予防接種の対象だが、C型肝炎は対象となっていない。
【▼参照】
第3編3章 3.主な感染症等の動向と対策 p131~144
▶午後58
小規模多機能型居宅介護で正しいのはどれか。
- 都道府県が事業者を指定する。
- 介護給付の施設サービスの1つである。
- 1日あたりの利用定員は19人以下である。
- 要介護者の状態に応じて短期間の宿泊が可能である。
④ 要介護者の状態に応じて短期間の宿泊が可能である。
【▼ポイント】
×① 都道府県が事業者を指定する。
×② 介護給付の施設サービスの1つである。
介護保険法のサービス類型のうち、居宅サービスと施設サービスは都道府県が、地域密着型サービスは市町村が指定・監督を行う。小規模多機能型居宅介護は地域密着型サービスであるため、市町村が指定・監督を行う。
×③ 1日あたりの利用定員は19人以下である。
小規模多機能型居宅介護では、通いの利用定員は18人、泊まりの利用定員は9人を最大とする。
○④ 要介護者の状態に応じて短期間の宿泊が可能である。
小規模多機能型居宅介護は、居宅または厚生労働省令で定めるサービスの拠点に通わせ、または短期間宿泊(ショートステイ)させ、当該拠点において受ける日常生活上の世話および機能訓練をいう。
【▼参照】
第5編1章 2.介護保険制度の概要 p231~240
▶午後72改題
健康保険法による訪問看護サービスで正しいのはどれか。
- サービス対象は65歳以上である。
- 介護支援専門員がケアプランを作成する。
- 末期の悪性腫瘍の療養者への訪問回数に制限はない。
- 特定医療費(指定難病)受給者証を持っている者は自己負担額1割である。
③ 末期の悪性腫瘍の療養者への訪問回数に制限はない。
【▼ポイント】
×① サービス対象は65歳以上である。
65歳以上の第1号被保険者で要介護等認定された者、40歳~64歳の第2号被保険者で脳血管疾患などの老化に起因する疾病(特定疾病)に罹患し、要介護等の認定をされた者には、介護保険による訪問看護の給付が行われ、それ以外の者には医療保険から給付が行われる。医療保険の給付に年齢の制限はない。
×② 介護支援専門員がケアプランを作成する。
介護支援専門員による介護サービス計画〈ケアプラン〉の作成を受けられるのは介護保険による給付である。
○③ 末期の悪性腫瘍の療養者への訪問回数に制限はない。
要介護者等であっても、末期の悪性腫瘍など厚生労働大臣が定める疾病等の利用者には医療保険から給付され、該当する者には原則週3日の訪問看護の提供を超えての利用が可能となっている。
×④ 特定医療費(指定難病)受給者証を持っている者は自己負担額1割である。
特定医療費(指定難病)受給者証は、指定難病の対象と認定された者に交付されるもので、自己負担割合は2割となり、所得や重症度に応じて月額限度額が設けられている。
【▼参照】
第4編1章 3.各医療対策の動向 p174~193
▶午後75
病院における医療安全管理体制で正しいのはどれか。
- 特定機能病院の医療安全管理者は兼任でよい。
- 医療安全管理のために必要な研修を3年に1度行う。
- 医療安全管理のための指針を整備しなければならない。
- 医薬品安全管理責任者の配置は義務づけられていない。
③ 医療安全管理のための指針を整備しなければならない。
【▼ポイント】
病院等の管理者は医療に係る安全管理のため、医療安全管理者や医療対話推進者を配置し、指針の整備、医療安全委員会の設置、職員研修(年2回程度)の実施などの体制を確保する。なお、高度医療等を提供する特定機能病院では医療安全管理者は専任であることが要件である。
【▼参照】
第4編1章 3.各医療対策の動向 p174~193
▶午後76
大規模災害時のトリアージで緊急度が最も高いと判断されるのはどれか。
- 下腿に創傷があるが補助があれば歩行できる。
- 自発呼吸はあるが橈骨動脈は触知できない。
- 気道確保しても自発呼吸がない。
- 開眼・閉眼の指示に応じる。
② 自発呼吸はあるが橈骨動脈は触知できない。
【▼ポイント】
トリアージ(災害時等の治療優先度の決定)の際にはトリアージタグ(識別票)を利用し、傷病者の緊急度に応じて、優先順に赤(Ⅰ:最優先治療群・重症群)、黄(Ⅱ:非緊急治療群・中等症群)、緑(Ⅲ:軽処置群・軽症群)、黒(0:不処置群・死亡群)と分類する。その判定にはSTART法が用いられ、歩行、呼吸、循環、意識の順番に確認を行い、歩行が出来ず、自発呼吸はあるが、呼吸数異常、脈拍異常、簡単な指示にも従えない意識レベルなどの場合は緊急度の高い赤に分類される。①は緑、③は黒、④は黄に該当する。
【▼参照】
第4編1章 3.各医療対策の動向 p174~193
▶午後81
市町村の業務でないのはどれか。
- 妊娠届の受理
- 母子健康手帳の交付
- 乳児家庭全戸訪問事業
- 3歳児健康診査
- 小児慢性特定疾患公費負担医療給付
⑤ 小児慢性特定疾患公費負担医療給付
【▼ポイント】
児童福祉法の規定により、小児慢性特定疾病(令和3年11月1日現在、16疾患群788疾病)にかかっている18歳未満の児童等を対象に、都道府県、指定都市、中核市が実施主体となって医療費の自己負担分の一部を助成している。①、②、④は母子保健法に基づき、③は児童福祉法に基づき、住民により身近な市町村が母子保健福祉サービスを提供している。
【▼参照】
第3編2章 1.母子保健 p96~105
▶午後83
Ⅳ型(遅延型)アレルギー反応について正しいのはどれか。2つ選べ。
- IgE抗体が関与する。
- 肥満細胞が関与する。
- Tリンパ球が関与する。
- ヒスタミンが放出される。
- ツベルクリン反応でみられる。
③ Tリンパ球が関与する。
⑤ ツベルクリン反応でみられる。
【▼ポイント】
アレルギー反応はⅠ型からⅣ型に分類される。国民に身近なⅠ型アレルギー(即時型アレルギー)は、体内に入った原因物質(抗原)に対して、アレルギー素因を持つ人間がIgE抗体を作り出し、抗体量が十分になると、食物アレルギーや花粉症、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、アレルギー性結膜炎、アナフィラキシーショックなどの症状として表れる。一方、Ⅳ型アレルギー(遅延型アレルギー)はIgE抗体ではなく感作リンパ球が関与するもので、金属アレルギーや接触皮膚炎、ツベルクリン反応などが挙げられる。
【▼参照】
第3編4章 4.リウマチ・アレルギー疾患対策 p161~162
▶午後89
精神保健及び精神障害者福祉に関する法律により、病院の管理者が精神科病院に入院中の者に対して制限できるのはどれか。2つ選べ。
- 手紙の発信
- 弁護士との面会
- 任意入院患者の開放処遇
- 信書の中の異物の受け渡し
- 人権擁護に関する行政機関の職員との電話
③ 任意入院患者の開放処遇
④ 信書の中の異物の受け渡し
【▼ポイント】
×① 手紙の発信
×② 弁護士との面会
×⑤ 人権擁護に関する行政機関の職員との電話
指定医の判断による隔離や身体的拘束などの行動制限がある場合でも、信書の発受や、行政機関の職員、代理人である弁護士との電話・面会については制限できない。
○③ 任意入院患者の開放処遇
任意入院者から退院の申出があった場合、病院の管理者は退院させなければならないが、指定医による診察の結果入院を継続する必要があると認めたときは72時間に限り退院を制限できる。
○④ 信書の中の異物の受け渡し
①のとおり、信書の発受は制限できないが、異物が入っていると疑われる場合は、病院職員立ち会いの下、本人が開封し、異物を取り除く等の処置を行うことができる。
【▼参照】
第3編2章 4.精神保健 p113~119
必修問題
▶午前6
出生時からみられ、生後3か月ころに消失する反射はどれか。
- 足踏み反射
- パラシュート反射
- Moro〈モロー〉反射
- Babinski〈バビンスキー〉反射
③ Moro〈モロー〉反射
【▼ポイント】
Moro〈モロー〉反射は新生児にみられる原始反射で、外部からの刺激に対して両手を広げて抱きつくような反射をいう。出生後すぐから反応が見られ、生後3~4か月ころには消失する。同様の原始反射として、手に刺激を与えた際に握ろうとする手掌把握反射がある。
▶午前7
閉経前と比べ閉経後に低下するホルモンはどれか。
- 卵胞ホルモン
- 黄体形成ホルモン〈LH〉
- 卵胞刺激ホルモン〈FSH〉
- 副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉
① 卵胞ホルモン
【▼ポイント】
閉経(約50歳)ころの女性は、卵巣機能の低下により卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減少する。一方で、性腺刺激ホルモンである卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)は分泌を増やすため、閉経前後の更年期にはホルモンや自律神経のバランスが乱れ、ほてりや発汗、抑うつなどがみられる。
▶午前10
成人の1日の平均尿量はどれか。
- 100mL以下
- 200mL~400mL
- 1,000mL~1,500mL
- 3,000mL以上
③ 1,000mL~1,500mL
【▼ポイント】
成人の1日平均尿量は1,000mL~1,500mLである。なお、①は無尿(100mL未満)、②は乏尿(400mL未満)とされる。
▶午前11
普通の呼びかけで容易に開眼する場合、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉による評価はどれか。
- Ⅰ-3
- Ⅱ-10
- Ⅱ-30
- Ⅲ-100
② Ⅱ-10
【▼ポイント】
意識レベルを評価するジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉では、覚醒の程度に応じて、意識清明の0、刺激しなくても覚醒している状態であるⅠ桁(1・2・3)、刺激すると覚醒する状態であるⅡ桁(10・20・30)、刺激しても覚醒しない状態であるⅢ桁(100・200・300)に分類している。Ⅱ-10は普通の呼びかけで容易に開眼する、Ⅱ-30は痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと、かろうじて開眼する。
▶午前12
黄疸で黄染を確認しやすい部位はどれか。
- 歯
- 毛髪
- 爪床
- 眼球結膜
④ 眼球結膜
【▼ポイント】
黄疸は、赤血球が壊れる際にヘモグロビンが分解され、生成されたビリルビンにより皮膚や白眼(眼球結膜)が黄色くなる状態をいい、成人では全身のかゆみ(搔痒感)が生じることがある。
▶午前13
頻回の嘔吐で起こりやすいのはどれか。
- 脱水
- 貧血
- 発熱
- 血尿
① 脱水
【▼ポイント】
頻回の嘔吐により水分や大量の胃液(pH1~2の強酸性の胃酸)が失われると、脱水や血液のアルカリ性度が上昇する代謝性アルカローシスが生じやすい。
▶午前14
2型糖尿病の食事療法における1日のエネルギー摂取量の算出に必要なのはどれか。
- 体温
- 腹囲
- 標準体重
- 体表面積
③ 標準体重
【▼ポイント】
2型糖尿病患者の1日の(理想)エネルギー摂取量は、BMIから算出された標準体重(目標体重)と、身体活動に応じたエネルギー係数を乗じることで求められる。
▶午前15
抗血小板作用と抗炎症作用があるのはどれか。
- ヘパリン
- アルブミン
- アスピリン
- ワルファリン
③ アスピリン
【▼ポイント】
アスピリンは、非ステロイド抗炎症薬として解熱や鎮痛、抗炎症作用のほか、低用量で血小板の機能を抑制し、血栓の生成を防止する抗血小板作用を発揮するため、狭心症の治療薬としても用いられる。
▶午前16
注入時の浣腸液の温度で適切なのはどれか。
- 32~33℃
- 36~37℃
- 40~41℃
- 44~45℃
③ 40~41℃
【▼ポイント】
グリセリン浣腸などの浣腸液は、腸管の蠕動を促進するため、直腸温(深部体温)よりもやや高い約40℃とされる。
▶午前17
水平移動時の移送方法の写真を別に示す。

適切なのはどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
③ ③
【▼ポイント】
ストレッチャー等で水平の移動をする際には、患者の足側の方向に進む。先行する看護者は進行方向の安全や進路を確認するため前を向き、後行する看護者は患者の状態を観察しながら移送する。
▶午前19
薬物の有害な作用を予測するために収集する情報はどれか。
- 身長
- 過敏症の有無
- 1日水分摂取量
- 運動障害の有無
② 過敏症の有無
【▼ポイント】
医薬品等により引き起こされる有害作用を予測するため、アレルギー反応(過敏反応)やアレルギー性疾患(過敏症)の既往についての情報を収集することが適切である(アナフィラキシーショックの予防等)。
▶午前20
一般検査時の採血に最も用いられる静脈はどれか。
- 上腕静脈
- 大腿静脈
- 大伏在静脈
- 肘正中皮静脈
④ 肘正中皮静脈
【▼ポイント】
成人の採血においては前腕の静脈が多く用いられ、橈側皮静脈、肘正中皮静脈、尺側皮静脈などが選択される。
▶午前21
酸素吸入中に使用を禁止するのはどれか。
- 携帯電話
- ライター
- 電動歯ブラシ
- 磁気ネックレス
② ライター
【▼ポイント】
酸素は燃焼を助ける性質が強いガスであり、酸素吸入時などで酸素濃縮装置等を使用する際には、周囲2メートル以内に火気を置いてはならない。
▶午前22
創傷部位の創面の管理について正しいのはどれか。
- 洗浄する。
- 加圧する。
- 乾燥させる。
- マッサージする。
① 洗浄する。
【▼ポイント】
感染を伴わない創傷の治療において、現在は湿潤療法が基本で、消毒液ではなく水で洗浄し、乾燥しないように創傷被覆材(ドレッシング材)で保護する。
▶午前23
高齢者の転倒による骨折が最も多い部位はどれか。
- 頭蓋骨
- 肩甲骨
- 肋骨
- 尾骨
- 大腿骨
⑤ 大腿骨
【▼ポイント】
高齢者は加齢や運動低下に伴う骨密度の減少により、転倒時に脚の付け根である大腿骨頸部の骨折が多くみられる。令和元年国民生活基礎調査によると、介護が必要になった原因として、「骨折・転倒」は第4位の12.5%で、介護予防の面からも高齢者の転倒対策は重要である。
▶午前24
左心室から全身に血液を送り出す血管はどれか。
- 冠状動脈
- 下大静脈
- 肺動脈
- 肺静脈
- 大動脈
⑤ 大動脈
【▼ポイント】
左心室は大動脈を通じて全身に血液を送り、大静脈を通じて右心房に至る(体循環)。右心房から右心室に送り出された血液は、肺動脈を通じて肺に送られ、肺静脈を通じて左心房に至る(肺循環)。
▶午前25
徒手筋力テストの判定基準は[ ]段階である。
[ ]に入るのはどれか。
- 2
- 3
- 4
- 5
- 6
⑤ 6
【▼ポイント】
徒手筋力テスト(MMT)は、検査者が手を使って患者の筋力を判定する方法で、筋収縮が全くない0から、強い抵抗を加えても完全に可動域全体を動かせる5までの、6段階で評価される。
▶午後5
思春期に分泌が増加するホルモンはどれか。
- グルカゴン
- オキシトシン
- カルシトニン
- アンドロゲン
④ アンドロゲン
【▼ポイント】
思春期に、視床下部のGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)の刺激により、下垂体から黄体形成ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されることで、男子では男性ホルモンであるアンドロゲン(テストステロン)が、女子では女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)がつくられ、第二次性徴が発現・成熟する。
▶午後9
正常な胃液のpHはどれか。
- pH1~2
- pH4~5
- pH7~8
- pH10~11
① pH1~2
【▼ポイント】
胃液はpH1~2の強酸性で、頻回の嘔吐により大量の胃液が失われると、血液のアルカリ性度が上昇する代謝性アルカローシスや脱水が生じやすい。なお、主に胃の幽門部の粘膜で産出されるガストリンが胃酸(塩酸)の分泌を促している。
▶午後11
心原性ショックで直ちに現れる徴候はどれか。
- 血圧の上昇
- 体温の上昇
- 尿量の増加
- 脈拍数の増加
④ 脈拍数の増加
【▼ポイント】
心原性ショックは、不整脈や急性心筋梗塞等により心臓のポンプ機能が低下することで急性の循環不全等が起こる状態をいう。1回の心拍で送り出される血液量が減少することで血圧は低下し、脈拍は弱く速くなる(頻脈性不整脈)。
▶午後12
呼吸困難がある患者の安楽な体位はどれか。
- 起坐位
- 仰臥位
- 砕石位
- 骨盤高位
① 起坐位
【▼ポイント】
起坐位では起坐呼吸により呼吸困難が軽減されるため、肺うっ血のため呼吸困難が生じている左心不全患者に多くみられる。
▶午後13
尿の回数が異常に多い状態を表すのはどれか。
- 頻尿
- 乏尿
- 尿閉
- 尿失禁
① 頻尿
【▼ポイント】
頻尿は尿の回数が異常に多い状態をさし、回数が異常に少ない場合は希尿という。なお、1日の尿量でみた異常では、400mL未満の乏尿(②)、100mL未満の無尿がある。
▶午後14
ジゴキシンの主な有害な作用はどれか。
- 振戦
- 不整脈
- 聴覚障害
- 満月様顔貌〈ムーンフェイス〉
② 不整脈
【▼ポイント】
ジゴキシン(ジギタリス)は、心筋細胞内のカルシウム濃度を高め、心筋の収縮力を増強する強心薬として、心不全の治療などに用いられる。副作用としては、不整脈や悪心などがある。
▶午後16
医療機関における麻薬の取り扱いについて正しいのはどれか。
- 麻薬と毒薬は一緒に保管する。
- 麻薬注射液は複数の患者に分割して用いる。
- 使用して残った麻薬注射液は病棟で廃棄する。
- 麻薬注射液の使用後のアンプルは麻薬管理責任者に返却する。
④ 麻薬注射液の使用後のアンプルは麻薬管理責任者に返却する。
【▼ポイント】
アンプルの麻薬注射液は、管理面、衛生面に問題がある場合、同一患者や複数の患者に分割して使用することは控え(②)、使用後のアンプルは残液がある場合および空であっても麻薬管理者に返納する(③・④)。
▶午後17
主観的情報はどれか。
- 呼吸数
- 飲水量
- 苦悶様の顔貌
- 息苦しさの訴え
④ 息苦しさの訴え
【▼ポイント】
主観的(Subjective)情報は患者の話や訴えから得られた情報で、観察や測定で得られる客観的(Objective)情報と区別して、患者の状態を把握する。なお、息苦しさの訴えは主観的情報から評価される呼吸困難の症状である。
▶午後18
右片麻痺患者の寝衣交換で適切なのはどれか。
- 左から脱がせ、右から着せる。
- 左から脱がせ、左から着せる。
- 右から脱がせ、左から着せる。
- 右から脱がせ、右から着せる。
① 左から脱がせ、右から着せる。
【▼ポイント】
片麻痺等のある者や片腕の持続点滴患者の衣類の着脱介助時には脱健着患が原則で、脱ぐときは健側から、着るときは患側から行う。本問の場合は、麻痺のない左(健側)から脱がせ、麻痺のある右(患側)から着せる。
▶午後19
転倒・転落するリスクの高い薬はどれか。
- 去痰薬
- 降圧薬
- 抗菌薬
- 消化酵素薬
② 降圧薬
【▼ポイント】
降圧薬による血圧の低下により、起立性低血圧などめまいやふらつき、意識障害が起こり、転倒・転落を起こすリスクが高まる。
▶午後20
鎖骨下静脈へ中心静脈カテーテルを挿入する際に起こりやすい合併症はどれか。
- 肺炎
- 気胸
- 嗄声
- 無気肺
② 気胸
【▼ポイント】
気胸は、原因の一つとして外傷により胸膜が損傷し、胸腔内に空気が漏れ出て肺が縮むことをいう。中心静脈カテーテルを用いて高カロリー輸液などを投与する際(中心静脈栄養法〈TPN〉))、中心静脈のそばにある肺を誤って穿刺すると、気胸が起こるおそれがある。呼吸困難などが生じ気胸が疑われる場合は、X線撮影により診断する。
▶午後21
点滴静脈内注射の血管外漏出で注意すべき初期症状はどれか。
- 疼痛
- 水疱
- 潰瘍
- 皮膚壊死
① 疼痛
【▼ポイント】
点滴静脈内注射の際、刺入部位の腫脹や疼痛、発赤が生じた場合、血管外漏出の初期症状である。周辺組織の炎症や壊死につながり、重症化するおそれもあるため、直ちに注入を中止する必要がある。
▶午後22
湿性罨法はどれか。
- 氷枕
- 冷パップ
- 湯たんぽ
- 電気あんか
② 冷パップ
【▼ポイント】
罨法には、乾いた状態で器具を用いる乾性罨法、湿った状態で器具を用いる湿性罨法があり、さらに温熱刺激により血管拡張などを図る温罨法、冷却により局所の炎症の抑制などを図る冷罨法にわかれる。冷パップは湿布の一つで湿性冷罨法である。①氷枕は乾性冷罨法、③湯たんぽと④電気あんかは乾性温罨法に当たる。
▶午後23
気管内吸引の時間が長いと低下しやすいのはどれか。
- 血圧
- 体温
- 血糖
- 動脈血酸素飽和度〈SaO2〉
④ 動脈血酸素飽和度〈SaO2〉
【▼ポイント】
1回の気管内吸引では、挿入開始から終了までの時間は15秒以内にすることが推奨され、30秒以上実施した場合、動脈血酸素飽和度〈SaO2〉が低下し、低酸素血症をきたすことがある。また、気管の粘膜を傷つけないために吸引圧は-100〜-150mmHgに調整する。
▶午後24
思春期に特徴的にみられるのはどれか。
- 愛着行動
- 分離不安
- 自己同一性の確立
- 基本的信頼関係の確立
③ 自己同一性の確立
【▼ポイント】
思春期には、依存と独立のアンビバレント〈両価的〉な感情を持ちながらも、エリクソンが青年期の発達課題でいう自我同一性(アイデンティティ)の確立の過程で、親からの心理的離乳、年長者の価値観への拒絶、同世代の仲間との価値観の共有がみられる(第2反抗期)。
一般問題
▶午前26
呼吸中枢の存在する部位はどれか。
- 大脳
- 小脳
- 延髄
- 脊髄
③ 延髄
【▼ポイント】
呼吸中枢は、脳幹の橋から延髄にかけての部分にあり、呼気と吸気を調整し、呼吸リズムを形成している。
▶午前27
骨格筋の収縮について正しいのはどれか。
- 筋収縮のエネルギー源はADPである。
- 収縮力は関節が伸展した状態で最大となる。
- 骨格筋は副交感神経の指令を受けて収縮する。
- アクチンがミオシン上を滑走して筋収縮が起こる。
④ アクチンがミオシン上を滑走して筋収縮が起こる。
【▼ポイント】
×① 筋収縮のエネルギー源はADPである。
筋収縮のエネルギー源はATPであり、ミオシン頭部に存在する分解酵素によりADPとリン酸基に分解されてエネルギーが発生する。
×② 収縮力は関節が伸展した状態で最大となる。
収縮力は関節が屈曲した状態で最大となる。
×③ 骨格筋は副交感神経の指令を受けて収縮する。
随意筋である骨格筋は運動神経の指令を受けて収縮する。意識とは関係なく働く自律神経(交感神経、副交感神経)とは異なる。
○④ アクチンがミオシン上を滑走して筋収縮が起こる。
神経の刺激により筋細胞内の小胞体からカルシウムイオンが放出されることをきっかけに、アクチンとミオシン間の滑り運動による筋収縮が起こる。
▶午前28
光を屈折する眼の構造はどれか。
- 結膜
- 角膜
- 強膜
- 網膜
② 角膜
【▼ポイント】
眼球に入った光は角膜と水晶体で屈折した後、眼球内を満たしている硝子体を通って網膜に移り、視神経を通じて信号が脳に伝達される。
▶午前29
心臓の自動的収縮について正しいのはどれか。
- 運動神経で促進される。
- 興奮を伝える刺激伝導系がある。
- ペースメーカーはHis〈ヒス〉束である。
- 中脳の血管運動中枢による支配を受ける。
② 興奮を伝える刺激伝導系がある。
【▼ポイント】
×① 運動神経で促進される。
×④ 中脳の血管運動中枢による支配を受ける。
心筋は自分の意思で動かすことのできない不随意筋であり、延髄の心臓血管中枢が自律神経(交感神経・副交感神経)を介して心拍の調節を行う。
○② 興奮を伝える刺激伝導系がある。
×③ ペースメーカーはHis〈ヒス〉束である。
刺激伝導系は心臓を一定間隔で拍動させるための興奮刺激の流れをいい、ペースメーカーである右心房の洞房結節から生じた電気信号(リズム)は房室結節に集まり、ヒス束、プルキンエ線維、心室固有筋へと伝わっていく。
▶午前30
左心室の収縮力を抑制するのはどれか。
- アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬
- β遮断薬
- 硝酸薬
- 利尿薬
② β遮断薬
【▼ポイント】
β遮断薬は、交感神経であるβ1受容体を遮断することで心臓の収縮を抑制する薬で、高血圧や狭心症、不整脈の改善に用いられる。なお、副作用〈有害事象〉としてめまいや吐き気、食欲不振等があり、また、気管支収縮作用があらわれることもあるため、気管支喘息患者等には禁忌である。
▶午前31
味覚障害の原因となるのはどれか。
- 亜鉛欠乏
- リン欠乏
- カリウム欠乏
- マグネシウム欠乏
① 亜鉛欠乏
【▼ポイント】
舌にある多数の味蕾では5つの基本味(甘味・苦味・酸味・塩味・旨味)を知覚するが、味蕾の障害などにより味覚感度が低下する(味覚障害)。その原因として主に亜鉛不足が挙げられ、このほか鉄・ビタミン不足、加齢、ストレス、感染症、薬剤などが味覚障害の原因となることもある。
▶午前32
間欠性跛行が出現するのはどれか。
- 動脈塞栓症
- 血栓性静脈炎
- 深部静脈血栓症
- 閉塞性動脈硬化症
④ 閉塞性動脈硬化症
【▼ポイント】
閉塞性動脈硬化症〈ASO〉は手や足の動脈に生じる粥状動脈硬化で、初期症状としては手足の冷汗・しびれがあらわれ、その後、歩行によるふくらはぎの痛み(間歇性跛行)、安静時での疼痛、手足の腫瘍による壊死へと進行する。
▶午前33
胃癌についての組合せで正しいのはどれか。
- 腎臓転移――Wilms〈ウィルムス〉腫瘍
- 肝臓転移――Schnitzler〈シュニッツラー〉転移
- 卵巣転移――Krukenberg〈クルッケンベルグ〉腫瘍
- 胃周囲リンパ節転移――Virchow〈ウィルヒョウ〉転移
③ 卵巣転移――Krukenberg〈クルッケンベルグ〉腫瘍
【▼ポイント】
胃癌は、漿膜から外側に散らばる腹膜播種や、リンパ・血液の流れに乗って臓器を移動するなどの転移が起こりうる。卵巣転移であるクルッケンベルグ腫瘍のほか、②ダグラス窩への転移であるシュニッツラー転移、④左鎖骨上窩リンパ節への転移であるウィルヒョウ転移などがある。
▶午前34
腎盂腎炎について正しいのはどれか。
- 両腎性である。
- 初尿を用いて細菌培養を行う。
- 肋骨脊柱角の叩打痛が特徴である。
- 原因菌はGram〈グラム〉陽性球菌が多い。
③ 肋骨脊柱角の叩打痛が特徴である。
【▼ポイント】
×① 両腎性である。
○③ 肋骨脊柱角の叩打痛が特徴である。
×④ 原因菌はGram〈グラム〉陽性球菌が多い。
腎盂腎炎は、尿管につながる腎盂が、尿道から上行した大腸菌などのグラム陰性桿菌に感染することで起こるもので、高熱や片腎性の肋骨脊柱角叩打痛はその症状である。
×② 初尿を用いて細菌培養を行う。
出始めの初尿には外尿道周辺の細菌が混じるため、検査の正確性のために中間尿を用いる。
▶午前39
クリティカルシンキングで適切なのはどれか。
- 直観的アプローチである。
- 主観的情報を重視した考え方である。
- 物事を否定的にみる思考過程である。
- 根拠を持ち実践することを可能にする。
④ 根拠を持ち実践することを可能にする。
【▼ポイント】
クリティカルシンキングは、感情や主観に流されず、その事象の本質を批判的(×否定的)・客観的に見極める考え方をいう。
▶午前40
立位の腹部エックス線写真を別に示す。

この状態で出現している所見はどれか。
- 体液波動
- 皮膚線条
- 腹部膨満
- 皮下静脈の怒張
③ 腹部膨満
【▼ポイント】
立位での腹部エックス線で、イレウス(腸閉塞)に特徴的な空気と液体の貯留によるニボー像(鏡面像)がみられ、患者には腹部膨満感が出現していると考えられる。
▶午前42
看護師の作業時の姿勢と作業台を図に示す。
腰部の負担が最も小さいのはどれか。

①
【▼ポイント】
高めの作業台により背筋が曲がることがないため、腰部への負担が最も小さい。低めの作業台による前傾姿勢(②、③)や浅い腰掛け(④)は腰部に負担をかける。
▶午前43
前腕の動きを肩部上方から撮影した写真を別に示す。

前腕の回外を示すのはどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
③ ③
【▼ポイント】
肘を90度に屈曲した状態から前腕をひねって手のひらを上に向ける運動が回外であり、ドアノブをひねる際など日常的に用いられる(下に向ける④は回内)。なお、①は肩関節の外旋、②は肩関節の内旋である。
▶午前44
胸壁を呼気時に圧迫して気道分泌物の移動を促す手技はどれか。
- 振動法
- 咳嗽誘発法
- スクイージング
- 用手的呼吸介助法
③ スクイージング
【▼ポイント】
スクイージングは排痰促進法の一つであり、患者の呼気に合わせて胸郭を絞る(squeeze)ように圧迫するものである。
▶午前45
創傷の治癒過程における増殖期の状態はどれか。
- コラーゲンが成熟する。
- 基底細胞が創面を覆い始める。
- 血管内皮細胞が新しい血管を形成する。
- マクロファージによって創内の細菌が排除される。
③ 血管内皮細胞が新しい血管を形成する。
【▼ポイント】
創傷の治癒過程は「出血凝固期」「炎症期」「増殖期」「成熟期」の4段階を経る。増殖期には、コラーゲンが生成され、新しい血管(肉芽組織)が形成される。続く成熟期ではコラーゲンの成熟により瘢痕組織(傷跡)となる。
▶午前46
動脈性外出血の止血帯を用いた間接圧迫法について適切なのはどれか。
- 圧迫開始時刻を記載する。
- 幅が1cmの止血帯を用いる。
- 動脈圧より低い圧を加える。
- 圧迫は2時間に1回緩める。
① 圧迫開始時刻を記載する。
【▼ポイント】
間接圧迫止血法では、出血部位に近い中枢側(心臓側)の動脈を、動脈圧より強く圧迫することで止血する方法である。長時間の圧迫は血流障害や神経麻痺を引き起こすおそれがあるため、圧迫開始時刻を記録し、30分に1度程度緩める必要がある。
▶午前47
在宅医療が必要な患者の退院調整について適切なのはどれか。
- 医師が退院調整の決定権をもつ。
- 退院調整は入院時から開始する。
- 退院時に診療録を訪問看護師に渡す。
- 退院前の訪問指導は診療報酬の評価の対象ではない。
② 退院調整は入院時から開始する。
【▼ポイント】
在宅医療を必要とする入院患者に対しては、退院後に必要とする医療資源や援助、緊急時の対応等を把握し、切れ目なく在宅生活に移行できるようにするため、入院時から情報収集を行い、退院調整部署と連携することが適切である。
▶午前48
成人の身体の特徴について正しいのはどれか。
- 加齢に伴う聴力の低下は、低音で現れやすい。
- 青年期は、成人期の中で基礎代謝量が最も高い。
- 眼の調節力の低下は、硝子体の弾力性低下が原因である。
- 女性の更年期障害は、テストステロンの分泌低下が原因である。
② 青年期は、成人期の中で基礎代謝量が最も高い。
【▼ポイント】
×① 加齢に伴う聴力の低下は、低音で現れやすい。
加齢に伴う難聴では蝸牛など感音系の器官が障害され、特に高音域が聞こえづらくなる。
○② 青年期は、成人期の中で基礎代謝量が最も高い。
日本人の食事摂取基準(2020年版)で推定された基礎代謝量は、男性は15~17歳(1,610kcal/日)、女性は12~14歳(1,410kcal/日)で最も高く、青年期以降は加齢に伴って低下していく。
×③ 眼の調節力の低下は、硝子体の弾力性低下が原因である。
加齢により、光の量を調整する虹彩機能の低下、毛様体筋の働きによりピント調整を行う水晶体の弾力性低下などを原因として、眼の調節力は低下する。
×④ 女性の更年期障害は、テストステロンの分泌低下が原因である。
閉経(約50歳)前後の更年期には、女性ホルモンであるエストロゲンの分泌量が減少する一方で、卵胞刺激ホルモン〈FSH〉と黄体形成ホルモン〈LH〉の分泌は増えることにより、ホルモンのバランスが乱れてほてりや発汗、抑うつなどの症状がみられる。
▶午前49
術後合併症で術前の喫煙と最も関連が強いのはどれか。
- 尿閉
- イレウス
- 手術部位感染
- ダンピング症候群
③ 手術部位感染
【▼ポイント】
喫煙習慣者では手術に伴う合併症の危険性が高まり、呼吸器や循環器の合併症のほか、手術で生じた創傷の治りにくさや開きやすさ、それに伴う感染などの影響を及ぼす。
▶午前50
心電図モニターで不整脈の変化がみられた。このときの心電図を別に示す。

初期対応で適切なのはどれか。
- 胸骨圧迫を行う。
- 体表面ペーシングを準備する。
- 自覚症状がなければ経過観察をする。
- 自覚症状と血圧を医師に報告して指示を待つ。
① 胸骨圧迫を行う。
【▼ポイント】
心電図モニターにおいて心室興奮(QRS波)が不明瞭・不規則であり、致死性不整脈である心室細動の特徴である。直ちに救命処置として胸骨圧迫を行い、不整脈を取り除く除細動器の準備を行う必要がある。
▶午前51
Aさん(56歳)は、膵癌で幽門輪温存膵頭十二指腸切除術を受け、膵臓は約1/3になった。経過は良好である。
Aさんの消化吸収機能で正しいのはどれか。
- 脂肪吸収が低下する。
- ビタミンの吸収障害が起こる。
- 蛋白質が小腸粘膜から漏出する。
- 炭水化物を消化する能力は低下しない。
① 脂肪吸収が低下する。
【▼ポイント】
膵臓は、脂肪分解酵素であるリパーゼや糖質分解酵素であるアミラーゼを分泌するため、切除術によりその分泌機能が低下することで、脂肪や炭水化物の消化吸収能力は低下する。
▶午前52
Aさん(57歳、男性)は、肺癌で放射線治療後、放射線肺炎を発症し、1か月半前から副腎皮質ステロイドにより治療中である。2日前から38.0℃の発熱と頭痛が出現し、検査の結果、前頭葉に膿瘍が認められた。現在のAさんの血液検査データは、白血球12,000/μL、空腹時血糖101mg/dL、HbA1c5.9%、CRP4.6mg/dLである。
膿瘍の発症に関与した副腎皮質ステロイドの副作用はどれか。
- 糖尿病
- 易感染
- 高血圧症
- 創傷治癒遷延
② 易感染
【▼ポイント】
副腎皮質ステロイドの副作用〈有害事象〉として、高血糖や高血圧、易感染性、骨粗鬆症、食欲増進による体重増加、満月様顔貌〈ムーンフェイス〉などが挙げられる。発熱や白血球増加症、炎症マーカーであるCRPの高値から、易感染状態からの脳内感染(脳膿瘍)が考えられる。
▶午前53
運動神経の刺激の伝達経路を図に示す。

Guillain-Barré〈ギラン・バレー〉症候群で主に障害される部位はどれか。
- ア
- イ
- ウ
- エ
② イ
【▼ポイント】
ギラン・バレー症候群は、ウイルス感染や細菌感染により免疫システムが異常をきたし、末梢神経が障害され、脱力や麻痺、嚥下障害などが生じるものである。末梢神経は上位運動ニューロン(ア)と神経筋接合部(ウ)の間に当たる。
▶午前54
広汎子宮全摘術後の性機能障害に対する看護で適切なのはどれか。
- 性生活に関する指導はパートナーにも行う。
- 性行為は手術後約2週間で再開できると説明する。
- 腟が乾燥している場合は、性行為を避けるよう説明する。
- 性に対する不安を患者が表出するまで、性の話題を避ける。
① 性生活に関する指導はパートナーにも行う。
【▼ポイント】
広汎子宮全摘出術は子宮の周囲組織を含めて広範囲の切除を行うもので、術後も性生活は可能であるが、膣が短くなったり膣分泌液の低下など性機能障害により性交痛等が生じやすくなるため、開始時期や潤滑ゼリーの使用など、パートナーと意識を合わせた性生活を指導することが適している。
▶午前56
Aさん(75歳、男性)は、1人で暮らしている。Aさんは、耳鳴が気になり耳鼻科を受診したところ、老人性難聴と診断された。Aさんは、医師から補聴器の使用を勧められたが「どうせ1人で誰とも話さないから必要ない。生活していて不便なことはない」と言う。
Aさんへの説明として適切なのはどれか。
- 「難聴は治りますよ」
- 「文字盤を利用しましょう」
- 「一度補聴器を試してみましょう」
- 「聞こえないとますます孤立しますよ」
③ 「一度補聴器を試してみましょう」
【▼ポイント】
老人性難聴は、加齢により蝸牛など感音系の器官が不可逆的に障害されるものであり、補聴器は改善のための唯一の手段である。耳鼻科を受診するなど改善の意思はうかがえるため、利用につなげるために補聴器の体験を促すことが適切である。
▶午前57
老人性皮膚搔痒症について正しいのはどれか。
- 感染が原因である。
- 高温多湿な夏季に多発する。
- 硫黄入り入浴剤の使用で改善する。
- 入浴後に保湿クリームの使用を勧める。
④ 入浴後に保湿クリームの使用を勧める。
【▼ポイント】
×① 感染が原因である。
皮膚表面は抗菌作用を保持するために、角質層の皮脂によって弱酸性に調整されているが、加齢により皮脂の分泌量が減少するため、皮膚のバリア機能が低下し、乾燥が進んでかゆみが生じる(老人性皮膚搔痒症)。
×② 高温多湿な夏季に多発する。
気温の低下により湿度が低下する冬季に、肌が乾燥することで多発する。
×③ 硫黄入り入浴剤の使用で改善する。
硫黄は解毒作用が強く、皮脂を除去する性質があるため避ける。
○④ 入浴後に保湿クリームの使用を勧める。
入浴後、皮膚が乾燥する前に保湿クリームを使用することが適切である。
▶午前58
高齢者のうつ病の説明で正しいのはどれか。
- 電気けいれん療法は行わない。
- 認知症との区別はつきやすい。
- 三環系抗うつ薬を第一選択薬とする。
- 若年者と比べて身体症状の訴えが多い。
④ 若年者と比べて身体症状の訴えが多い。
【▼ポイント】
気分障害であるうつ病は、気分の落ち込み、興味や喜びの喪失といった精神症状と、不眠、食欲不振、疲労感といった身体症状があらわれる。高齢者では特に身体症状に対する訴えや強い不安を特徴とし、微細な身体の不調を重い病気と思い込む心気症状はその一つである。
×① 電気けいれん療法は行わない。
電気けいれん療法は重度の統合失調症やうつ病などの患者に対して、脳に短時間の電気刺激を与えて精神症状の緩和を図るものである。現在は、全身麻酔薬や筋弛緩薬により身体への負担を減らした修正型電気けいれん療法が行われている。
×② 認知症との区別はつきやすい。
高齢者のうつ病に多い心気的な訴えは、記憶力の衰えの訴えなど認知症的な特徴も多く、認知症外来を受診する患者の5人に1人はうつ病性障害であるとされる。
×③ 三環系抗うつ薬を第一選択薬とする。
うつ病に対する抗うつ薬としては選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉が用いられる。
▶午前59
高齢者が自身の終末期における生き方や死の迎え方の意向を表示する方法としてのアドバンスディレクティブ〈事前指示〉について正しいのはどれか。
- 法的な拘束力がある。
- 代理人を指名できない。
- 口頭や文書で意思表示できる。
- 財産の管理者の指定ができる。
③ 口頭や文書で意思表示できる。
【▼ポイント】
アドバンスディレクティブ〈事前指示〉とは、患者が将来、自らの判断能力を喪失した際に備えて、あらかじめ代理人や医療行為内容の意思表示を行うことで、法的な拘束力はないが本人の意思を尊重する。なお、④財産の管理者は指定できず、別に成年後見制度で成年後見人が財産管理の事務を代わりに行うことができる。
▶午前61
小児の睡眠の特徴で正しいのはどれか。
- 新生児の全睡眠におけるレム睡眠の割合は約50%である。
- 乳児の睡眠は単相性である。
- 成長に伴いレム睡眠が増加する。
- 10歳ころから成人と同じ睡眠覚醒リズムになる。
① 新生児の全睡眠におけるレム睡眠の割合は約50%である。
【▼ポイント】
○① 新生児の全睡眠におけるレム睡眠の割合は約50%である。
×③ 成長に伴いレム睡眠が増加する。
×④ 10歳ころから成人と同じ睡眠覚醒リズムになる。
睡眠は、急速眼球運動と骨格筋活動の低下を特徴とするレム睡眠と、大脳皮質の活動低下を特徴とするノンレム睡眠に大別され、新生児ではレム睡眠が睡眠の約半分を占めるが、年齢とともに減少し、幼児期(3~6歳)には成人と同様のサイクル(レム睡眠とノンレム睡眠が約90分ごとに繰り返される)となる。
×② 乳児の睡眠は単相性である。
単相性の睡眠とは1日1回まとまった睡眠を取ることで、乳児期や老年期では覚醒と睡眠を繰り返す多相性の睡眠となる。
▶午前63
若年性特発性関節炎で入院している子どもの看護で適切なのはどれか。
- 発疹が出現している間は隔離する。
- Raynaud〈レイノー〉現象の観察をする。
- 強い関節痛があるときは局部を安静に保つ。
- 朝のこわばりのある関節部位に冷湿布を貼用する。
③ 強い関節痛があるときは局部を安静に保つ。
【▼ポイント】
若年性特発性関節炎は16歳未満の若年者に生じる原因不明の慢性関節炎である。関節の腫れや痛み、それに伴う高熱などリウマチ性症状が主であるため、抗炎症薬による薬物療法や痛みのある局部の安静、こわばり部位への温罨法などが有効である。
▶午前64
妊娠期の不快症状と予防の組合せで適切なのはどれか。
- 下肢のけいれん――葉酸の摂取
- つわり――においの強い食事の摂取
- 便秘――緩下薬の服用
- 腰痛――硬めのマットレス使用
④ 腰痛――硬めのマットレス使用
【▼ポイント】
×① 下肢のけいれん――葉酸の摂取
妊娠期の下肢のけいれん(こむら返り)は筋肉の疲労や栄養不足によって生じ、カルシウムやその吸収を促進するビタミンDの摂取により予防する。葉酸の不足では、胎児の二分脊椎など神経管閉鎖不全のリスクが高まる。
×② つわり――においの強い食事の摂取
つわりは妊娠初期から中期に生じやすく、嗅覚が過敏となり吐き気を催すことがあるため、においの強い食事は避ける。
×③ 便秘――緩下薬の服用
妊娠期には、女性ホルモンであるプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増加し、腸の蠕動運動が抑制されるため便秘が生じやすい。緩下剤は排便を促進する下剤であるが、まずは食物繊維の多い食事や適度な水分摂取、運動などの生活指導により便秘の予防を図ることが適切である。
○④ 腰痛――硬めのマットレス使用
妊娠に伴い胎児の重みを支える腰部への負荷が大きくなり、腰痛が生じやすい。硬めのマットレスは寝返りが打ちやすく、腰痛の緩和につながる。
▶午前65
正常の分娩経過で正しいのはどれか。
- 分娩開始は、陣痛が15分間隔に起こった時点とする。
- 発露は、胎児先進部が陰裂間に常に見えている状態である。
- 分娩第2期は、破水から胎児が娩出するまでの期間である。
- 分娩第4期は、胎盤娩出から会陰縫合術の終了までの期間である。
② 発露は、胎児先進部が陰裂間に常に見えている状態である。
【▼ポイント】
分娩開始は、陣痛が規則的に1時間に6回以上(10分以内の間隔)に起こった時点である。分娩経過に沿って、陣痛開始から子宮口全開大までの第1期、子宮口全開大から胎児娩出まで(発露、排臨含む)の第2期、胎児の娩出から胎盤の娩出までの第3期、分娩後2時間までの第4期に分かれる。
▶午前66
成乳と比較した初乳の特徴で正しいのはどれか。
- ラクトアルブミンが少ない。
- IgAの含有量が多い。
- 粘稠度が低い。
- 乳糖が多い。
② IgAの含有量が多い。
【▼ポイント】
初乳には免疫物質(IgA)や蛋白質(ラクトアルブミン等)、ミネラル(塩類)が多く、一方で成乳には乳糖や脂肪が多く、このため初乳で粘稠度が高い。
▶午前67
Aさんは妊娠28週で子宮内胎児死亡のため死児を出産した。翌日、児との面会で、Aさんは「ごめんね」と言い、身動きせずにじっと児を見つめていた。
Aさんへの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
- 「つらいですよね」
- 「早く忘れましょう」
- 「元気を出してください」
- 「次の妊娠について考えましょう」
① 「つらいですよね」
【▼ポイント】
死産を受容するまでの過程において、楽観的、逃避的ではなく、共感的にAさんに接し、悲しみを徐々に受け入れるサポートを行うことが適切である。
▶午前68
知覚障害はどれか。
- 幻味
- 離人症
- 注察妄想
- 観念奔逸
① 幻味
【▼ポイント】
人間の感覚として、五感(視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚)、あるいは皮膚感覚や深部感覚などの体性感覚があるが、その感覚を統合する知覚において障害が生じた場合、例えば味覚では、実際とは異なる毒性の味などを感じる幻味が起こる。
▶午前69
認知行動療法で最も期待される効果はどれか。
- 過去の心的外傷に気付く。
- 薬物療法についての理解が深まる。
- 物事の捉え方のゆがみが修正される。
- 自分で緊張を和らげることができるようになる。
③ 物事の捉え方のゆがみが修正される。
【▼ポイント】
人間は認知のあり方(物事の考え方や受け取り方)が気分や行動に影響を与える。認知行動療法は、認知の偏りを修正し、問題解決を手助けすることによって精神疾患を治療することを目的とした精神療法として広く活用されている。
▶午前72
Aさん(75歳、男性)は、脳梗塞後遺症による右半身不全麻痺がある。妻と2人で暮らしている。Aさんは要介護3で、訪問介護と通所介護のサービスを利用している。今回、Aさんは誤嚥性肺炎で入院し、退院後に訪問看護が導入された。
訪問看護師と介護支援専門員が連携して行う内容で優先度が高いのはどれか。
- 住宅改修の検討
- Aさんの妻の介護負担の把握
- 肺炎予防に必要なケアの提供
- 訪問介護による生活援助内容の確認
③ 肺炎予防に必要なケアの提供
【▼ポイント】
誤嚥性肺炎で入院しており、右半身不全麻痺もあるため再発のリスクが高く、特に食事において誤嚥やそれにつながる肺炎を予防するための介助を行うことが優先される。
▶午前74
Aさん(70歳、男性)は、肺癌で骨転移がある。現在、Aさんは入院中であるが、積極的な治療は望まず「家で静かに暮らしたい」と在宅療養を希望し、24時間体制の訪問看護を利用する予定である。介護者であるAさんの妻と長男夫婦は「不安はあるが本人の希望をかなえたい」と話している。
退院前に、訪問看護師が行うAさんの家族への支援で優先度が高いのはどれか。
- 訪問介護の利用を勧める。
- 家族全員の看取りの意思確認をする。
- 退院後の処置を習得するよう指導する。
- 相談にいつでも対応することを伝える。
④ 相談にいつでも対応することを伝える。
【▼ポイント】
積極的な治療は望まない終末期患者の意思や自己決定を尊重することが求められるが、介護者の不安や本人の突発的な痛みの緩和等のため、常に相談・連絡・対応できる旨を伝えることが適切である。
▶午前75
Aさん(45歳、女性)は、筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉のため自宅で療養中である。Aさんは球麻痺症状が出現したため、経口摂取に加え、胃瘻による経管経腸栄養管理が開始された。
訪問看護師が行うAさんとAさんの家族への指導で適切なのはどれか。
- 水分は経口による摂取を勧める。
- 注入時間に生活パターンを合わせる。
- 経口摂取中の体位は頸部前屈位とする。
- 胃瘻からの半固形化栄養剤の使用は禁止する。
③ 経口摂取中の体位は頸部前屈位とする。
【▼ポイント】
筋萎縮性側索硬化症〈ALS〉は、随意筋を支配する運動ニューロン(上位・下位)が変性・消失していく疾患で、嚥下障害を伴うため誤嚥が生じやすい。水分摂取等は胃瘻から行い、経口摂取を行う際には食事が気管に入りやすくなる頸部前屈ではなく頸部前屈の体位が望ましい。
▶午前77
災害急性期に看護師が行う対応で最も適切なのはどれか。
- 情報の発信を行う。
- 各自の判断で行動する。
- 災害現場の安全を確保する。
- 災害時の対応マニュアルの見直しをする。
③ 災害現場の安全を確保する。
【▼ポイント】
災害急性期においては患者と職員の安全を最優先とし、被害状況の確認、余震等に備えた災害現場や避難経路の安全確認を行うことが適している。
▶午前79
外国人の女性が38.5℃の発熱のある生後3か月の男児を連れて小児科診療所を受診した。男児は上気道炎であった。女性は日本語が十分に話せず、持参した母子健康手帳から、男児はこの女性と日本人男性との間に生まれた子どもであることが分かった。夫は同居していない様子である。外来看護師は女性に、4か月児健康診査のことを知っているかを尋ねたが、女性は看護師の質問を理解できない様子であった。
男児が4か月児健康診査を受診するために必要な社会資源で優先度が高いのはどれか。
- 近所の病院
- 通訳のボランティア
- 児童相談所の児童福祉司
- 地区担当の母子健康推進員
② 通訳のボランティア
【▼ポイント】
看護師の質問を理解できない程度にコミュニケーションが取れないため、健康診査を正確に行う上で通訳の優先度が高い。なお、外国人患者については受入医療機関や医療通訳の整備が図られている。
▶午前80
Aさん(42歳、男性、事務職)は、仕事中に居眠りをすることが多いと上司に注意されていた。Aさんの睡眠時間は7時間であり、寝つきはよいが、毎朝寝不足と頭痛を感じていた。最近、いびきがひどいと家族から指摘されて受診した。Aさんは、身長165cm、体重81kgである。
最も考えられるのはどれか。
- うつ病
- 低血糖症
- もやもや病
- ナルコレプシー
- 睡眠時無呼吸症候群
⑤ 睡眠時無呼吸症候群
【▼ポイント】
睡眠時無呼吸症候群は睡眠中に何度も呼吸が止まり、低酸素状態が生じるもので、いびきや起床時の頭痛・めまい、日中の眠気などの症状を起こす。原因として、肥満や咽頭扁桃肥大により生じる閉塞型、呼吸中枢の障害により生じる中枢型があり、Aさんは体格指数であるBMI(体重(kg)÷身長(m)2)が81÷(1.65×1.65)≒29.8で肥満(BMI≧25.0)に当たり、肥満が原因の閉塞型と考えられる。
▶午前81
慢性腎臓病の説明で正しいのはどれか。
- 糖尿病腎症は含まれない。
- 病期分類の5期から蛋白制限が必要である。
- 腎障害を示す所見が1週間持続すれば診断できる。
- 糸球体濾過量〈GFR〉の低下は診断の必要条件である。
- 病期の進行とともに心血管疾患のリスクも高くなる。
⑤ 病期の進行とともに心血管疾患のリスクも高くなる。
【▼ポイント】
×① 糖尿病腎症は含まれない。
糖尿病腎症を含み、令和3年(2021年)末の慢性透析患者の原疾患をみると糖尿病腎症が39.6%と最も多くなっている。
×② 病期分類の5期から蛋白制限が必要である。
蛋白制限は、慢性腎臓病のステージ(重症度)分類におけるステージ3(中度の機能低下)で行う。
×③ 腎障害を示す所見が1週間持続すれば診断できる。
慢性腎臓病は腎機能の低下や障害が3か月以上持続している状態である。
×④ 糸球体濾過量〈GFR〉の低下は診断の必要条件である。
糸球体濾過量〈GFR〉は血清クレアチニン値を用いて推定される腎機能評価の指標であり、慢性腎臓病のステージ分類や人工透析導入の判断で必要となるが、診断の必要条件ではない。
○⑤ 病期の進行とともに心血管疾患のリスクも高くなる。
慢性腎臓病では、水分やナトリウムの排泄低下による高血圧、リン・カリウムの排泄低下による高リン血症・高カリウム血症、カルシウム吸収を促進するビタミンDの活性機能低下による低カルシウム血症、病期の進行とともに心血管疾患を発症するリスクは増大する。
▶午前82
血圧を上げる作用を持つのはどれか。2つ選べ。
- レニン
- インスリン
- カルシトニン
- ソマトスタチン
- ノルアドレナリン
① レニン
⑤ ノルアドレナリン
【▼ポイント】
○① レニン
レニンは腎臓で生成されるタンパク分解酵素で、分解・活性化の過程で血圧上昇作用をもつアンジオテンシジンⅡを作る。
○⑤ ノルアドレナリン
ノルアドレナリンは副腎皮質から分泌されるホルモンで、交感神経の情報伝達物質として放出されることで血圧上昇をもたらす。
▶午前83
視床下部の機能で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 感覚系上行路の中継核
- 長期記憶の形成
- 摂食行動の調節
- 飲水行動の調節
- 姿勢の調節
③ 摂食行動の調節
④ 飲水行動の調節
【▼ポイント】
視床下部は間脳に位置し、自律神経機能や内分泌機能の調節を行っている中枢で、体温調節や摂食・飲水行動の調節のはたらきなどを持つ。①は視床、②は側頭葉(海馬)、⑤は小脳の機能である。
▶午前87
Aさん(43歳、女性)は、吐血のため救急搬送され、食道静脈瘤破裂に対して緊急止血術が行われた。腹水は少量認められるが、経過は良好で近日中に退院を予定している。Aさんは5年前に肝硬変と診断されている。
Aさんへの食事指導で正しいのはどれか。2つ選べ。
- 高蛋白食とする。
- 塩分は制限しない。
- 食物繊維を控える。
- 固い食品を控える。
- 辛い香辛料を控える。
④ 固い食品を控える。
⑤ 辛い香辛料を控える。
【▼ポイント】
肝硬変と合併しやすい食道静脈瘤では、血中アンモニアの上昇を防ぐための蛋白質制限、腹水や浮腫を軽減するための塩分制限、便通を良くするための食物繊維の摂取が食事指導として適している。
▶午前88
小児の痛みについて正しいのはどれか。2つ選べ。
- 新生児の痛みを把握する指標はない。
- 薬物療法よりも非薬物療法を優先する。
- 遊びは痛みに対する非薬物療法の1つである。
- 過去の痛みの経験と現在の痛みの訴えには関係がない。
- 3歳ころから痛みの自己申告スケールの使用が可能である。
③ 遊びは痛みに対する非薬物療法の1つである。
⑤ 3歳ころから痛みの自己申告スケールの使用が可能である。
【▼ポイント】
×① 新生児の痛みを把握する指標はない。
新生児の痛みは、表情や泣き声の程度、動作など、非言語的な指標を活用して把握する。
×② 薬物療法よりも非薬物療法を優先する。
痛みの原因・傷病が明らかな場合など、状況に応じて薬物療法を優先する。
○③ 遊びは痛みに対する非薬物療法の1つである。
痛みのうち精神的不安などによるものは、遊びを通した痛み閾値(反応下限値)の上昇による非薬物療法が有効である。
×④ 過去の痛みの経験と現在の痛みの訴えには関係がない。
過去に経験した痛みは記憶され、現在の痛みの訴えに関係する。
○⑤ 3歳ころから痛みの自己申告スケールの使用が可能である。
例えばペインスケールは、痛みの程度を6段階に分けた表情を指し示すことで痛みを自己申告するもので、3歳から使用が可能である。
▶午前89
思春期の続発性無月経について正しいのはどれか。2つ選べ。
- ストレスが誘因となる。
- 乳房の発育は認められない。
- 急激な体重の増減と関連する。
- 妊娠を希望するまで治療対象にならない。
- 診断基準の1つとして5か月以上の月経停止がある。
① ストレスが誘因となる。
③ 急激な体重の増減と関連する。
【▼ポイント】
○① ストレスが誘因となる。
○③ 急激な体重の増減と関連する。
×⑤ 診断基準の1つとして5か月以上の月経停止がある。
続発性無月経は月経が3か月みられない場合をいい、思春期の場合は減食による急激な体重の減少や過度のストレス、スポーツが誘因となる。
×② 乳房の発育は認められない。
第二次性徴は、乳房発育、陰毛発生、初経(初めての月経)の順に進行するため、続発性無月経時にはすでに発育が認められる。
×④ 妊娠を希望するまで治療対象にならない。
妊娠の希望にかかわらず、ホルモン補充療法やカウンセリングによる治療の対象となる。
▶午前90
Aさん(85歳、女性)は、1人で暮らしており、高血圧症がある。物忘れがあり、要支援2の認定を受け、通所介護と訪問看護を利用している。Aさんの長女は他県に住んでいる。
Aさんの健康状態を維持するために訪問看護師が行う支援で適切なのはどれか。2つ選べ。
- 服薬管理の支援を行う。
- 水分の摂取状況を把握する。
- 入浴は控えるよう助言する。
- Aさんの長女に同居を勧める。
- 1人で買い物に行かないように助言する。
① 服薬管理の支援を行う。
② 水分の摂取状況を把握する。
【▼ポイント】
○① 服薬管理の支援を行う。
○② 水分の摂取状況を把握する。
高血圧症かつ物忘れがみられるため、降圧剤の服薬漏れを防ぐための支援や適切な水分摂取の確認を行うことが適している。
×③ 入浴は控えるよう助言する。
×⑤ 1人で買い物に行かないように助言する。
要介護区分は要介護状態になる前の要支援2であり、入浴や買い物など日常生活動作の過度な制限は要しない。
×④ Aさんの長女に同居を勧める。
通所介護と訪問看護を利用しており、家族に同居を勧めるまでは必要ない。
▶午後26
食道について正しいのはどれか。
- 厚く強い外膜で覆われる。
- 粘膜は重層扁平上皮である。
- 胸部では心臓の腹側を通る。
- 成人では全長約50cmである。
② 粘膜は重層扁平上皮である。
【▼ポイント】
×① 厚く強い外膜で覆われる。
食道の壁は、内側から粘膜層、粘膜下層、固有筋層、外膜の4層構造で、壁は薄いため穿孔が生じやすい。
○② 粘膜は重層扁平上皮である。
食道や皮膚表皮は重層扁平上皮である。
×③ 胸部では心臓の腹側を通る。
食道は心臓の背側を通る。
×④ 成人では全長約50cmである。
咽頭から噴門(胃の入り口)に至る食道の長さは、個人差もあるが約25cmである。なお、鼻孔から噴門では45〜55cmとなっている。
▶午後27
遺伝子について正しいのはどれか。
- DNAは体細胞分裂の前に複製される。
- DNAは1本のポリヌクレオチド鎖である。
- DNAの遺伝子情報からmRNAが作られることを翻訳という。
- RNAの塩基配列に基づきアミノ酸がつながることを転写という。
① DNAは体細胞分裂の前に複製される。
【▼ポイント】
生物の細胞内にある遺伝子はDNAによって構成される。
○① DNAは体細胞分裂の前に複製される。
細胞が分裂して増殖する前にDNAは複製され、分裂後の新しい細胞にそれぞれ格納される。
×② DNAは1本のポリヌクレオチド鎖である。
DNAの基本構造はポリヌクレオチド鎖が2本集まった二重螺旋構造である。
×③ DNAの遺伝子情報からmRNAが作られることを翻訳という。
×④ RNAの塩基配列に基づきアミノ酸がつながることを転写という。
DNAの遺伝子から塩基配列をmRNAにコピーし(転写)、それに基づいてアミノ酸がつながり蛋白質が合成される(翻訳)。
▶午後28
活動電位について正しいのはどれか。
- 脱分極が閾値以上に達すると発生する。
- 細胞内が一過性に負〈マイナス〉の逆転電位となる。
- 脱分極期には細胞膜のカリウム透過性が高くなる。
- 有髄神経ではPurkinje〈プルキンエ〉細胞間隙を跳躍伝導する。
① 脱分極が閾値以上に達すると発生する。
【▼ポイント】
細胞膜の内外には電位差=膜電位があり、静止膜電位では負〈マイナス〉の状態であるが、神経細胞が刺激を受けてイオン透過性が変化することでNa+(ナトリウム)が細胞内に流入し、膜電位が正〈プラス〉の方向に変化することを脱分極という。この脱分極が閾値以上に達すると活動電位が発生し、心筋の収縮を引き起こす。
▶午後29
脳神経とその機能の組合せで正しいのはどれか。
- 顔面神経――顔の感覚
- 舌下神経――舌の運動
- 動眼神経――眼球の外転
- 三叉神経――額のしわ寄せ
② 舌下神経――舌の運動
【▼ポイント】
舌下神経は舌筋に分布する運動神経である。①は三叉神経、③は外転神経、④は顔面神経が司る。
▶午後30
白血球について正しいのはどれか。
- 酸素を運搬する。
- 貪食作用がある。
- 骨髄で破壊される。
- 血液1μL中に10万~20万個含まれる。
② 貪食作用がある。
【▼ポイント】
×① 酸素を運搬する。
酸素の運搬は赤血球の働きで、赤血球内のヘモグロビンが肺で酸素を取り込み、全身に輸送している。
○② 貪食作用がある。
白血球(単球、好中球)は体内に侵入した細菌などの異物を捕食し(貪食作用)、消化・殺菌する。
×③ 骨髄で破壊される。
骨髄の造血機能により、白血球や赤血球が生成される。
×④ 血液1μL中に10万~20万個含まれる。
白血球数の通常の範囲(目安)は、血液1μL中に4000~8000個程度である。
▶午後31
降圧利尿薬により血中濃度が低下するのはどれか。
- ナトリウム
- 中性脂肪
- 尿酸
- 血糖
① ナトリウム
【▼ポイント】
降圧利尿薬によりナトリウムやカリウムなどの電解質の排泄量が増加し、低カリウム血症や低ナトリウム血症などの電解質異常を引き起こす。
▶午後32
肺癌について正しいのはどれか。
- 腺癌は小細胞癌より多い。
- 女性の肺癌は扁平上皮癌が多い。
- 腺癌は肺門部の太い気管支に好発する。
- 扁平上皮癌の腫瘍マーカーとしてCEAが用いられる。
① 腺癌は小細胞癌より多い。
【▼ポイント】
○① 腺癌は小細胞癌より多い。
×③ 腺癌は肺門部の太い気管支に好発する。
肺癌で最も多いのは肺末梢側に発生しやすい腺癌で、肺癌の約半分を占めている。
×② 女性の肺癌は扁平上皮癌が多い。
腺癌に次いで多い扁平上皮癌と小細胞癌は喫煙との関係が深いが、女性では腺癌が最も多い。
×④ 扁平上皮癌の腫瘍マーカーとしてCEAが用いられる。
扁平上癌の腫瘍マーカーとしてSCCが用いられる。
▶午後33
急性左心不全の症状はどれか。
- 肝腫大
- 呼吸困難
- 下腿浮腫
- 頸静脈怒張
② 呼吸困難
【▼ポイント】
左心室は大動脈を通じて全身に血液を送るが、急性左心不全によりポンプ機能が低下することで、肺静脈系のうっ血が生じ、呼吸困難や咳嗽(せき)などの症状が現れる。そのため、呼吸困難を軽減する起坐呼吸が左心不全患者に多くみられる。
▶午後35
重症筋無力症について正しいのはどれか。
- 筋肉の障害に起因する。
- 手術療法は甲状腺摘出である。
- 特徴的な症状は眼瞼下垂である。
- クリーゼが発症した時は抗コリンエステラーゼ薬を投与する。
③ 特徴的な症状は眼瞼下垂である。
【▼ポイント】
×① 筋肉の障害に起因する。
重症筋無力症は、免疫系が正常に機能せずに自己組織を破壊する自己免疫疾患である。
×② 手術療法は甲状腺摘出である。
合併症として胸腺腫や胸腺過形成などの胸腺異常が挙げられ、胸腺腫合併例では原則として胸腺摘除術が行われる。
○③ 特徴的な症状は眼瞼下垂である。
重症筋無力症の症状として、全身の筋力低下、特に眼瞼下垂や複視など眼筋型の症状を起こしやすい。
×④ クリーゼが発症した時は抗コリンエステラーゼ薬を投与する。
対症療法として用いられる抗コリンエステラーゼ薬の多量摂取により、クリーゼ(危機的な呼吸困難)を発症することがあり、投与を中止する。
▶午後39
がんの告知を受けた患者の態度と防衛機制の組合せで正しいのはどれか。
- がんのことは考えないようにする――投射
- がんになったのは家族のせいだと言う――抑圧
- 親ががんで亡くなったので自分も同じだと話す――代償
- 通院日に来院せず、家でゲームをしていたと話す――逃避
④ 通院日に来院せず、家でゲームをしていたと話す――逃避
【▼ポイント】
防衛機制とは、直面した危機や困難に対し、その不安を和らげるために無意識に働く心理的な防衛反応である。逃避は、耐えがたい感情や困難から心理的・物理的に逃げる・避けることをいう。
▶午後40
カウンセリングの基本的態度で適切なのはどれか。
- 同情
- 指導
- 受容
- 評価
③ 受容
【▼ポイント】
ロジャーズはカウンセリングに当たり積極的傾聴を提唱し、その3原則として、「共感的理解」「無条件の肯定的関心」「自己一致」を挙げている。無条件の肯定的関心は、聴く側が自らの価値観を入れずに相手の話を否定せず肯定的な関心を持って聴くことで、受容に当たる。
▶午後41
学習の特徴について誤っているのはどれか。
- 環境の影響を受ける。
- 報酬によって強化される。
- 永続的な行動の変容である。
- 情報の一時的な獲得である。
④ 情報の一時的な獲得である。
【▼ポイント】
学習とは個人の経験の積み重ねを基礎とした、永続性を持つ行動の変容をいう。④は一次記憶にとどまる勉強といえる。
▶午後42
異常な呼吸音とその原因の組合せで正しいのはどれか。
- 連続性副雑音――気道の狭窄
- 断続性副雑音――胸膜での炎症
- 胸膜摩擦音――肺胞の伸展性の低下
- 捻髪音――気道での分泌物貯留
① 連続性副雑音――気道の狭窄
【▼ポイント】
異常呼吸音(副雑音)は、断続性副雑音(細かい捻髪音と粗い水泡音)、連続性副雑音(低調性のいびき音と高調性の笛音)、胸膜摩擦音に分類される。②では胸膜摩擦音、③では断続性副雑音のうち捻髪音、④は断続性副雑音のうち水泡音が聴取される。
▶午後43
経鼻経管栄養法の実施方法とその目的の組合せで正しいのはどれか。
- 注入前に胃内容物を吸引する――消化の促進
- 注入中はFowler〈ファウラー〉位にする――逆流の防止
- 注入終了後に微温湯を流す――誤嚥の予防
- 注入終了後はチューブを閉鎖する――嘔吐の予防
② 注入中はFowler〈ファウラー〉位にする――逆流の防止
【▼ポイント】
経鼻胃管による栄養注入時は、栄養剤の逆流を防ぐため、上半身を45度程度上げる半坐位(ファウラー位)が適している。①は胃管の先端が留置されているかの確認、③は栄養剤の残留による腐敗の防止、④は逆流の防止のために行う。
▶午後44
気管内挿管中の患者の体位ドレナージの実施について適切なのはどれか。
- 実施前後に気管内吸引を行う。
- 体位ドレナージ後に吸入療法を行う。
- 自分で体位変換できる患者には行わない。
- 創部ドレーンが挿入されている場合は禁忌である。
① 実施前後に気管内吸引を行う。
【▼ポイント】
体位ドレナージは、痰が貯留した肺の部位を上にした体位をとり、重力により気道分泌物の排出(排痰)を促すことをいう。実施前に気管支を広げる吸入薬を用いることで排痰がより促され、実施前後には貯留・排出した痰を吸引する。
▶午後45
赤血球濃厚液の輸血について正しいのはどれか。
- 専用の輸血セットを使用する。
- 使用直前まで振盪させて使用する。
- 使用直前に冷蔵庫から取り出して使用する。
- 呼吸困難出現時は滴下数を減らして続行する。
① 専用の輸血セットを使用する。
【▼ポイント】
×② 使用直前まで振盪させて使用する。
凝集の予防のために保存中の振盪が必要なのは血小板製剤である。
×③ 使用直前に冷蔵庫から取り出して使用する。
赤血球製剤の保存温度は2~6℃とされ、冷蔵庫で保存することは適切であるが、不適合輸血を防止するために、冷蔵庫から取り出した後、医療従事者による二重チェックを行う。
×④ 呼吸困難出現時は滴下数を減らして続行する。
呼吸困難が出現した場合は直ちに輸血を中止する。
▶午後47
Aさん(26歳、男性)は、大量服薬による急性中毒が疑われ、午後9時30分に救急搬送された。呼吸状態と循環動態に異常はないが、意識は低下している。付き添って来たAさんの母親は「午後8時に夕食を終えて息子は部屋に戻りました。午後9時にお風呂へ入るよう声をかけに部屋に行ったら、倒れていたんです。息子はうつ病で通院中でしたが、最近は症状が落ち着いていました」と話す。
このときの対応で適切なのはどれか。
- 気管内挿管を行う。
- 咽頭を刺激して吐かせる。
- 胃酸分泌抑制薬を投与する。
- Aさんの母親にどんな薬を内服していたかを尋ねる。
④ Aさんの母親にどんな薬を内服していたかを尋ねる。
【▼ポイント】
急性中毒をもたらした内服薬の情報を収集した上で、それに沿った治療・対応を行うことが適切である。
▶午後48
Aさん(56歳、男性)は、進行結腸癌の術後に両側の多発肺転移が進行し、終末期で在宅療養中であったが呼吸困難が増悪したため入院した。経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉は95%であるが、安静時でも呼吸困難を訴え、浅い頻呼吸となっている。 発熱はなく、咳嗽はあるが肺炎の併発はない。
Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。
- 仰臥位を保つ。
- 酸素投与は行わない。
- モルヒネ塩酸塩の投与を検討する。
- 安静を保つため訪室は最低限とする。
③ モルヒネ塩酸塩の投与を検討する。
【▼ポイント】
主観的情報である呼吸困難を訴えている患者に対し、①呼吸が楽になる起座位、②酸素投与、③呼吸数を抑え症状を緩和するモルヒネ塩酸塩の投与、④急変等に備えた頻回の訪室が適切である。
▶午後49
Aさん(58歳、女性)は、10年前に肺気腫を指摘されたが喫煙を続け、体動時に軽い息切れを自覚していた。Aさんは、肺炎で救急病院に入院し経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉86%でフェイスマスクによる酸素投与(4L/分)が開始された。抗菌薬投与後6日、鼻腔カニューラによる酸素投与(2L/分)でAさんの経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉が94%まで回復した。夜間Aさんは眠れているようだが、早朝に頭痛を訴え、日中も傾眠傾向になった。
Aさんへの対応で適切なのはどれか。
- 抗菌薬の変更
- 酸素投与量の増加
- 動脈血液ガス分析の実施
- 胸部エックス線撮影の実施
③ 動脈血液ガス分析の実施
【▼ポイント】
早朝の頭痛や日中の傾眠傾向からCO2ナルコーシスが考えられる。CO2ナルコーシスは、呼吸不全患者のうち、動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉が45mmHgを超えるⅡ型呼吸不全患者に起こりやすい合併症で、著明な二酸化炭素〈CO2〉の蓄積により呼吸性アシドーシスとなり、意識障害や頭痛、羽ばたき振戦などの中枢神経症状を引き起こす。動脈血液ガス分析によりPaCO2を確認することが適切である。
▶午後51
頭蓋内圧亢進を助長するのはどれか。
- 便秘
- 酸素療法
- 浸透圧利尿薬
- Fowler〈ファウラー〉位
① 便秘
【▼ポイント】
便秘時には排泄の際に通常よりも強いいきみ(怒責)が必要で、腹圧がより高まり血圧、頭蓋内圧が亢進する。その他は頭蓋内圧を低下させる。
▶午後52
Aさん(42歳、男性)は、血尿を主訴に泌尿器科を受診した。診察の結果、Aさんは膀胱鏡検査を受けることになった。
Aさんへの検査についての説明で適切なのはどれか。
- 「入院が必要です」
- 「前日は夕食を食べないでください」
- 「局所麻酔で行います」
- 「終了後は水分の摂取を控えてください」
③ 「局所麻酔で行います」
【▼ポイント】
膀胱鏡検査は尿道口から内視鏡を挿入し、膀胱内部を直接観察するもので、①日帰りで行うことができる、②検査前の食事制限は不要、③尿道局所麻酔を行う、④尿路感染を防ぐために水分摂取を勧めて排尿を行う。
▶午後53
Aさん(85歳、男性)は、認知症である。Aさんは肺炎で入院し、病状が改善したため、主治医は退院を許可した。Aさんは「家に帰りたい」と繰り返し言っているが、同居していた長男夫婦は高齢者施設への入所を希望している。
このときの看護師の対応で最も適切なのはどれか。
- 主治医に退院後の療養場所を決定してもらう。
- 長男夫婦にAさんの希望を尊重するよう話す。
- 長男夫婦に入所が可能な高齢者施設の情報を提供する。
- 長男夫婦がAさんの施設への入所を希望している理由を確認する。
④ 長男夫婦がAさんの施設への入所を希望している理由を確認する。
【▼ポイント】
本人の希望を尊重することも重要であるが、同居する長男夫婦が施設入所を希望しており、同居・介護に不安を抱いていると考えられる。本人が認知症であり、その程度を含めて長男夫婦に確認し、受けられる社会的資源を考え、双方が納得できる形を模索することが適切である。
▶午後54
高齢者の蛋白質・エネルギー低栄養状態〈protein-energy malnutrition:PEM〉について正しいのはどれか。
- 体脂肪の消耗はみられない。
- 要介護度が高いほどPEMの発症率は高い。
- PEMの発症率は心疾患によるものが最も高い。
- 栄養指標は血清アルブミン3.7g/dl以下である。
② 要介護度が高いほどPEMの発症率は高い。
【▼ポイント】
蛋白質・エネルギー低栄養状態〈PEM〉は血清アルブミン値が3.5g/dL以下を指標とし、特に口腔機能の低下による食事量の減少、栄養素の偏りが生じる高齢者で起こりやすく、体脂肪や骨格筋の減少がみられる。
▶午後55
加齢による視覚の変化とその原因の組合せで正しいのはどれか。
- 老視――毛様体筋の萎縮
- 色覚異常――眼圧の亢進
- 視野狭窄――散瞳反応時間の延長
- 明暗順応の低下――水晶体の硬化
① 老視――毛様体筋の萎縮
【▼ポイント】
○① 老視――毛様体筋の萎縮
毛様体筋は、遠くを見るときは弛緩して水晶体を薄く、近くを見るときは収縮して水晶体を厚くすることでピント調整を行っているが、生理的加齢(老視)に伴い毛様体筋の萎縮、水晶体の弾力性の低下が起こり、ピント調整機能が低下する。
×② 色覚異常――眼圧の亢進
×③ 視野狭窄――散瞳反応時間の延長
眼圧の亢進を原因とし、視野の狭窄などの症状が生じるものは緑内障である。
×④ 明暗順応の低下――水晶体の硬化
明暗順応の低下は、瞳孔の周囲にある光の量を調節する虹彩の機能が、加齢により低下すること生じる。
▶午後56
Aさん(80歳、男性)は、肺炎と高血圧症で入院している。入院日の夜からAさんにはせん妄の症状がみられる。Aさんの家族は「しっかりした人だったのに急におかしくなってしまった」と動揺している。
せん妄についてAさんの家族への説明で正しいのはどれか。
- 「認知症の一種です」
- 「昼間に起こりやすいです」
- 「一度起こると治りません」
- 「環境の変化で起こることがあります」
④ 「環境の変化で起こることがあります」
【▼ポイント】
せん妄は睡眠障害や見当識障害、幻覚・妄想、気分障害などを症状とするもので、手術や入院など環境の変化によるストレス等でも一時的に生じることがある。とくに夜間に不安感が強くなり不眠と重なって起こりやすい(夜間せん妄)。
▶午後57
大腿骨転子部骨折のため人工骨頭置換術を行った。
術後の腓骨神経麻痺予防のための看護で適切なのはどれか。
- 大腿四頭筋訓練を実施する。
- 患側下肢を外旋位に固定する。
- 患側下肢に弾性ストッキングを着用する。
- 患側下肢の母趾と第2趾間の知覚異常の有無を観察する。
④ 患側下肢の母趾と第2趾間の知覚異常の有無を観察する。
【▼ポイント】
×① 大腿四頭筋訓練を実施する。
大腿四頭筋訓練は筋力低下の防止のために実施される。
×② 患側下肢を外旋位に固定する。
外旋位を固定すると腓骨頭部が圧迫され、腓骨神経麻痺が生じるおそれがある。
×③ 患側下肢に弾性ストッキングを着用する。
弾性ストッキングは下肢の深部静脈血栓症の防止のために用いられる。
▶午後59
Aちゃん(3歳、女児)は母親とともに小児科外来を受診した。診察の結果、Aちゃんは血液検査が必要と判断され、処置室で採血を行うことになった。
看護師の対応で適切なのはどれか。
- 処置前、母親ひとりに採血の説明をする。
- 坐位で行うか仰臥位で行うかをAちゃんに選ばせる。
- 注射器に血液の逆流が見られた時に「終わったよ」とAちゃんに伝える。
- 処置後、Aちゃんと採血について話さないようにする。
② 坐位で行うか仰臥位で行うかをAちゃんに選ばせる。
【▼ポイント】
小児医療において、本人のアドボカシー(権利擁護・代弁)は重要で、本人の意思や自己決定を尊重することが求められる。
▶午後60
正常に発達している小児が2歳0か月ころ、新たに獲得する言語で正しいのはどれか。
- 「おちゃ、ちょうだい」
- 「おかしがないの」
- 「これ、なあに」
- 「まんま」
① 「おちゃ、ちょうだい」
【▼ポイント】
乳幼児の発達スクリーニング検査として用いられるDENVERⅡ(デンバー発達判定法)では、2語文は1歳10か月ころに半数程度の乳幼児が可能となる。なお、④意味のある1語は1歳ころが目安で、②格助詞「が」を用いた言語、③疑問文は2語文より後の獲得である。
▶午後61
Aちゃん(3歳0か月)は、午後から38.0℃の発熱があったが、食事は摂取でき活気があった。夜間になり、3回嘔吐したため救急外来を受診した。来院時、Aちゃんは傾眠傾向にあった。診察の結果、髄膜炎が疑われ、点滴静脈内注射を開始し入院した。入院時、Aちゃんは、体温38.5℃、呼吸数30/分、心拍数120/分、血圧102/60mmHgであった。
入院時のAちゃんへの対応で最も優先度が高いのはどれか。
- 冷罨法を行う。
- 水平仰臥位を保つ。
- 意識レベルを観察する。
- 大泉門の状態を観察する。
③ 意識レベルを観察する。
【▼ポイント】
細菌性髄膜炎の症状として、項部硬直、高熱、羞明(光過敏)、錯乱、頭痛、嘔吐などがあげられ、進行すると意識障害や痙攣がみられる。意識レベルを優先的に確認する必要があり、評価時には小児用のグラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉やジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉を用いる。
▶午後62
食物アレルギーのある8歳の児童がアナフィラキシーショックを発症した場合の対応として適切なのはどれか。
- 水分の補給
- 抗ヒスタミン薬の内服
- 副腎皮質ステロイドの吸入
- アドレナリンの筋肉内注射
④ アドレナリンの筋肉内注射
【▼ポイント】
アナフィラキシーショックはⅠ型アレルギー(即時型アレルギー)に分類され、体内に入った特定の原因物質(抗原)に対するIgE抗体の反応による急性の過敏反応をいう。血圧の低下や呼吸器障害に対してアドレナリンの筋肉内注射を行うことが適切である。
▶午後63
A君(15歳、男子)は、病院に併設された院内学級に通いながら骨肉腫に対する治療を続けていた。現在、肺に転移しており終末期にある。呼吸困難があり、鼻腔カニュ-ラで酸素(2L/分)を投与中である。A君の食事の摂取量は徐々に減っているが、意識は清明である。1週間後に院内で卒業式が予定されている。A君は「卒業式は出席したい」と話している。
看護師のA君への対応として最も適切なのはどれか。
- 今の状態では出席は難しいと話す。
- 出席できるように準備しようと話す。
- 出席を決める前に体力をつけようと話す。
- 卒業式の前日に出席するかどうか決めようと話す。
② 出席できるように準備しようと話す。
【▼ポイント】
終末期患者の意思や自己決定を尊重することが求められる。
▶午後64
妊娠中期から末期の便秘について適切なのはどれか。
- 妊娠中期は妊娠末期と比較して生じやすい。
- エストロゲンの作用が影響している。
- 子宮による腸の圧迫が影響している。
- けいれん性の便秘を生じやすい。
③ 子宮による腸の圧迫が影響している。
【▼ポイント】
妊娠期には、女性ホルモンであるプロゲステロン(黄体ホルモン)の分泌が増加して腸の蠕動運動が抑制されるほか、特に妊娠末期で子宮が増大して腸が圧迫されるため、便秘が生じやすい。
▶午後65
正常な胎児の分娩機転について正しいのはどれか。
- 分娩開始時、胎児の背中は母体の背側にある。
- 後頭部が先進する。
- 胎児の顔は母体の腹側を向いて娩出される。
- 肩甲横径が骨盤の横径に一致する方向で娩出される。
② 後頭部が先進する。
【▼ポイント】
分娩時に胎児が産道を通過する際、胎児は4回の回旋運動を行う。
×① 分娩開始時、胎児の背中は母体の背側にある。
○② 後頭部が先進する。
骨盤内に嵌入する第1回旋では、頤部が胸部に接近することで後頭部(小泉門)が先進し、胎児の背中は母体の右側または左側に位置する。
×③ 胎児の顔は母体の腹側を向いて娩出される。
×④ 肩甲横径が骨盤の横径に一致する方向で娩出される。
娩出時は、胎児の顔は母体の背側を向き、肩甲横径が骨盤の前後径に一致する方向で娩出される。
▶午後66
新生児室の環境で適切なのはどれか。
- 無菌室
- 湿度は50~60%
- 温度は27~28℃
- コット間の距離は60cm
② 湿度は50~60%
【▼ポイント】
①無菌室である必要はなく、③温度は25℃前後、④コット(新生児用の可動式ベッド)間の距離は60㎝以上が適している。
▶午後67
Aさん(50歳、男性)は、アルコール依存症のために断酒目的で入院した。入院前日の夜まで毎日飲酒をしていたと話している。
入院当日に優先的に行うのはどれか。
- 抗酒薬の説明を行う。
- 断酒会への参加を促す。
- 振戦の有無を確認する。
- ストレス対処行動を分析する。
③ 振戦の有無を確認する。
【▼ポイント】
振戦せん妄は、長期間の飲酒歴のある重度のアルコール依存症者が飲酒を中断または減量した際に生じる離脱症状の一つで、著明な自律神経機能亢進や幻覚などの症状がみられる。その有無により、依存性の程度の確認や対応を行うため、優先的に行うことが適している。
▶午後68
Aさん(23歳、女性)は、トラックの横転事故に巻き込まれて一緒に歩いていた友人が死亡し、自分も軽度の外傷で入院している。看護師がAさんに「大変でしたね」と声をかけると、笑顔で「大丈夫ですよ。何のことですか」と言うだけで、事故のことは話さない。Aさんは検査の結果、軽度の外傷以外に身体的な異常や記憶の障害はない。
この現象はどれか。
- 解離
- 昇華
- 合理化
- 反動形成
① 解離
【▼ポイント】
防衛機制とは、直面した危機や困難に対し、その不安を和らげるために無意識に働く心理的な防衛反応である。解離は、耐えがたい感情や困難を記憶・意識から切り離し、自分の体験として統合しないことをいう。
▶午後69
精神疾患患者の家族の感情表出〈expressed emotion:EE〉について正しいのはどれか。
- 家族の訴えが明確になる。
- 認知行動療法の技法である。
- 統合失調症の再発に関連がある。
- 家族のストレス対処として効果的である。
③ 統合失調症の再発に関連がある。
【▼ポイント】
感情表出〈EE〉は感情の表し方をいい、感情を表す際に批判性・敵意性・過度の情緒性などが強く見られる場合はEEが高いとされる。特に統合失調症患者において、その家族が本人に対して高いEEを向けるほど、本人の再発率が高いとされる。
▶午後70
Aさん(21歳、男性)は、統合失調症と診断され、入院してハロペリドールの投与が開始された。入院後3日、39.5℃の急激な発熱、発汗、筋固縮および意識障害を認めた。
Aさんの状態で考えられるのはどれか。
- 昏迷
- 悪性症候群
- てんかん発作
- 静座不能〈アカシジア〉
② 悪性症候群
【▼ポイント】
悪性症候群とは、向精神薬の投与に伴う発熱、意識障害、錐体外路症状(筋緊張等)、自律神経症状(発汗)を主な特徴とする副作用〈有害事象〉であり、適切な治療を行わなければ死に至るおそれもある。
▶午後71
訪問看護師が、在宅医療に移行する患者の退院調整のために医療機関の看護師から得る情報で、優先度が高いのはどれか。
- 医療処置の指導内容
- 経済的な問題への対応
- 介護サービス利用の有無
- 訪問看護指示書の記載内容
① 医療処置の指導内容
【▼ポイント】
入院医療から在宅医療に移行する際には、医療機関で受けていた医療処置の切れ目のない継続が重要で、それに関する情報を元に在宅での医療資源等を考慮する。
▶午後73
Aさんは、1人で暮らしている。血管性認知症があり、降圧薬を内服している。要介護1で、週3回の訪問介護と週1回の訪問看護を利用している。最近では、Aさんは日中眠っていることが多く、週1回訪ねてくる長男に暴言を吐くようになっている。
Aさんの長男の話を傾聴した上で、訪問看護師の長男への対応で最も適切なのはどれか。
- デイサービスの利用を提案する。
- Aさんを怒らせないように助言する。
- Aさん宅に行かないように助言する。
- 薬の内服介助をするように提案する。
① デイサービスの利用を提案する。
【▼ポイント】
収集した情報のうち、日中眠っていることが多く、生活リズム(概日リズム)の乱れが最も懸念されるため、日中に老人デイサービスセンターに通う(通所介護)ことで生活リズムを整えることが、提案として適している。
▶午後74
在宅酸素療法(1L/分24時間)を行っている療養者の居住地域で2週間後に日中3時間の停電が予定されている。
停電への対応で最も適切なのはどれか。
- 事前の呼吸訓練
- 医療機関への入院
- 自家発電器の購入
- 携帯用酸素ボンベの準備
④ 携帯用酸素ボンベの準備
【▼ポイント】
在宅酸素療法〈HOT〉における停電への備えとして、残量が十分な携帯用酸素ボンベを用意し、停電により酸素濃縮器が使用できなくなった際に速やかに切り替えることができるようにすることが優先される。
▶午後77
災害の慢性期(復興期)における避難所内の看護師の役割で最も適切なのはどれか。
- 住宅支援
- 感染予防
- 安全な避難と誘導
- 居住スペースの確保
② 感染予防
【▼ポイント】
発災数日後から復興期に至るまで、避難所生活における感染予防対策は重要であるが、特に発災後1週~1か月以上の中長期にわたる避難所等の生活により活動性が低下することで、身体機能の低下をもたらす廃用症候群が生じやすくなるなど、感染症への抵抗力が弱まるため、一層の感染対策が必要である。
▶午後78改題
国際連合児童基金〈UNICEF〉の報告による5歳未満児の死亡率(2019年)が最も高い地域はどれか。
- サハラ以南のアフリカ
- 南アジア
- 北アメリカ
- ヨーロッパ・中央アジア
① サハラ以南のアフリカ
【▼ポイント】
国際連合児童基金〈UNICEF〉の報告(世界子供白書2021)によると、地域別にみた2019年の5歳未満児死亡率(出生千対)は、サハラ以南のアフリカが76(東部・南部アフリカ55、西部・中部アフリカ95)と最も高い。
▶午後79
Aさんは、3年前に来日した外国人でネフローゼ症候群のため入院した。Aさんは日本語を話し日常会話には支障はない。Aさんの食事について、文化的に特定の食品を食べてはいけないなどの制限があるがどうしたらよいかと、担当看護師が看護師長に相談した。
担当看護師に対する看護師長の助言で最も適切なのはどれか。
- 日本の病院なので文化的制限には配慮できないと話す。
- 文化的制限は理解できるが治療が最優先されると話す。
- Aさんの友人から文化的制限に配慮した食事を差し入れてもらうよう話す。
- 文化的制限に配慮した食事の提供が可能か栄養管理部に相談するよう話す。
④ 文化的制限に配慮した食事の提供が可能か栄養管理部に相談するよう話す。
【▼ポイント】
ネフローゼ症候群は低蛋白血症により浮腫(むくみ)が生じる疾患であり、食事療法としてはナトリウム(塩分)の摂取を制限することが必要である。本問では、患者の文化的制限に配慮した上で、適切な食事療法を図るため、栄養管理部と相談することが適切である。
▶午後80
血液検査で抗凝固剤が入っている採血管を使用するのはどれか。
- 血球数
- 電解質
- 中性脂肪
- 梅毒抗体
- 交差適合試験
① 血球数
【▼ポイント】
血液凝固により血球数の確認ができなくなるため、血球数を検査する際には抗凝固剤の入った採血管を使用する。
▶午後82
糖尿病神経障害のある患者へのフットケアの説明で適切なのはどれか。
- 「靴は大きめのサイズがよいです」
- 「靴下を履くようにしてください」
- 「1週間に1回は足の観察をしてください」
- 「足の傷は痛くなったら受診してください」
- 「外出後は足をアルコールで消毒しましょう」
② 「靴下を履くようにしてください」
【▼ポイント】
糖尿病患者に多くみられる感覚障害では、血管や神経の障害による足病変が起こりやすく、わずかな創傷や火傷からでも重症化するおそれがあるため、フットケアとして毎日両足部を観察して異常を見逃さないことや、足にフィットした靴擦れしない靴や靴下を履くことが適している。
▶午後84
肝硬変でみられる検査所見はどれか。2つ選べ。
- 血小板増多
- 尿酸値上昇
- 血清アルブミン値低下
- 血中アンモニア値上昇
- プロトロンビン時間短縮
③ 血清アルブミン値低下
④ 血中アンモニア値上昇
【▼ポイント】
○③ 血清アルブミン値低下
アルブミンは肝臓で作られる蛋白質で、血清膠質浸透圧を保持して物質を運搬する作用をもち、肝硬変により血清アルブミンが低下する。
○④ 血中アンモニア値上昇
肝硬変により肝臓の有害物質(アンモニア等)の解毒・分解機能が低下する。血液中に蓄積されたアンモニア等が脳に達すると肝性脳症を引き起こす。
▶午後85
膀胱留置カテーテル挿入中のシャワー浴について適切なのはどれか。2つ選べ。
- 実施前に蓄尿バッグを空にする。
- シャワー中はカテーテルを閉鎖する。
- 蓄尿バッグは腰より高い位置にかける。
- 終了後は挿入部をエタノールで消毒する。
- 終了後はカテーテルを固定するテープの位置を変える。
① 実施前に蓄尿バッグを空にする。
⑤ 終了後はカテーテルを固定するテープの位置を変える。
【▼ポイント】
膀胱留置カテーテルは排尿が困難な場合に挿入されるもので、シャワー浴の実施前には逆流を防ぐため蓄尿バッグを空にし、終了後は皮膚トラブルを避けるために固定テープの位置を変える。
▶午後86
潰瘍性大腸炎と比べたCrohn〈クローン〉病の特徴について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 悪性化の頻度は低い。
- 瘻孔を併発しやすい。
- 初発症状は粘血便である。
- 炎症は大腸に限局している。
- 好発年齢は50歳以上である。
① 悪性化の頻度は低い。
② 瘻孔を併発しやすい。
【▼ポイント】
クローン病は口腔から肛門に至る消化管の部位に炎症や潰瘍が起こる指定難病で、10~20歳代の若年層に好発するが悪性化の頻度は低い。一方、潰瘍性大腸炎は粘膜にびらんや潰瘍を形成する原因不明の大腸(特に直腸)の炎症性疾患で、滲出性下痢や粘血便はその特徴であり、大腸癌を合併するリスク因子でもある。
▶午後87
抗甲状腺ホルモン薬の副作用はどれか。2つ選べ。
- 多毛
- 眼球突出
- 中心性肥満
- 肝機能障害
- 無顆粒球症
④ 肝機能障害
⑤ 無顆粒球症
【▼ポイント】
甲状腺機能亢進症(バセドウ病)では頻脈など不整脈や眼球突出がみられる。その治療薬である抗甲状腺ホルモン薬の副作用〈有害事象〉としては、主に肝機能障害や無顆粒球症が挙げられる。
▶午後88
胎児と胎児付属物について正しいのはどれか。2つ選べ。
- 妊娠4週では、Doppler〈ドプラ〉法で胎児心音が聴取できる。
- 妊娠12週では、胎盤が完成している。
- 妊娠24週では、胎児の呼吸様運動がみられる。
- 妊娠26週では、胎児の胎位は固定している。
- 妊娠36週では、肺胞内に十分な肺表面活性物質が分泌されている。
③ 妊娠24週では、胎児の呼吸様運動がみられる。
⑤ 妊娠36週では、肺胞内に十分な肺表面活性物質が分泌されている。
【▼ポイント】
在胎26週ころに肺胞などの肺構造が完成し、在胎34週ころに肺表面活性物質(肺サーファクタント)が十分に分泌されることで、胎児の肺機能が成熟する。①は12週、②は16週、④は30週ころである。
▶午後90
「フロセミド注15mgを静脈内注射」の指示を受けた。注射薬のラベルに「20mg/2mL」と表示されていた。
注射量を求めよ。
ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。
解答:①.②mL
① 1
② 5
【▼ポイント】
「20mg/2mL」は、注射薬2mLのうちフロセミドが20mg含まれることを示す。フロセミドを15mg注射する場合、必要注射量をXとして、
15:X=20:2
20X=15×2
20X=30
X=30÷20
X=1.5mLとなる。
状況設定問題
▶次の文を読み91~93の問いに答えよ。
Aさん(25歳、男性、飲食店店員)は、2日前から感冒様症状があり、夜眠ろうとして横になるが息苦しくて眠れず、歩行や会話も困難となり、夜間にAさんの家族に伴われて救急外来を受診した。Aさんは地元の野球チームに所属し、休日には練習に参加しており、最近は残業が多く疲れていた。診察の結果、Aさんは気管支喘息発作と診断され、気管支拡張薬、副腎皮質ステロイドによる治療と、フェイスマスクによる酸素投与が行われたが、改善がみられず入院した。
▶午前91
入院後Aさんは呼吸困難が増悪し、発汗が著明であった。
入院時の看護として最も適切なのはどれか。
- 全身清拭を行う。
- セミファウラー位とする。
- 鎮静薬の処方を医師に相談する。
- 口をすぼめてゆっくりと息を吐くように指導する。
④ 口をすぼめてゆっくりと息を吐くように指導する。
【▼ポイント】
呼吸困難(息苦しさ)を軽減するための方法として、鼻から息を吸って口からゆっくり吐く(腹式呼吸)、口をすぼめて細くゆっくり呼吸する(口すぼめ呼吸)、座位で休息を取るなどが挙げられる。
▶午前92
入院後も呼吸困難や頻呼吸、呼吸性アシドーシスの改善が認められないため、鼻と口を覆うタイプのマスクを用いた非侵襲的陽圧換気を行うことになった。
Aさんへの説明で最も適切なのはどれか。
- 「話すことができなくなります」
- 「機械に合わせて呼吸してください」
- 「自分でマスクの位置を調整しても問題ありません」
- 「空気の圧力がかかるので息が吐きにくくなります」
④ 「空気の圧力がかかるので息が吐きにくくなります」
【▼ポイント】
非侵襲的陽圧換気〈NPPV〉は鼻マスクやフェイスマスクを装着して上気道から陽圧を加えて換気を行う方法で、気管内挿管や気管切開など侵襲的な方法とは異なり会話や食事が可能である。陽圧により息が吐きにくく感じる場合があるため、事前に説明を行うことは適切である。
▶午前93
非侵襲的陽圧換気開始後、Aさんの呼吸状態は改善した。酸素投与も中止となり、歩行時の呼吸状態の悪化を認めないため、近日中に退院する予定である。
退院時のAさんへの指導として最も適切なのはどれか。
- 「食事の制限はありません」
- 「お酒は飲んでも大丈夫です」
- 「野球はやめた方がよいでしょう」
- 「ストレスをためないようにしてください」
④ 「ストレスをためないようにしてください」
【▼ポイント】
喘息発作の防止のため、①アレルゲンを含む食物を避けること、②飲酒を控えること、③過度な運動を控えた上で適度に運動すること、④ストレス(Aさんの場合は過労による)を避けることが挙げられる。
▶次の文を読み94~96の問いに答えよ。
Aさん(56歳、女性、主婦)は、胆石症と診断され、腹腔鏡下胆囊摘出術予定で入院した。Aさんは身長152cm、体重70kgである。Aさんは、数年前に脂質異常症を指摘されたが、治療は受けていない。Aさんにその他の特記すべき既往歴はない。
▶午前94
看護師が手術オリエンテーションを行い、術後の入院期間は5日程度であると説明した。これに対してAさんは「1年前に妹が同じ手術を受けたが、食事はしばらく食べられず3週間以上管が抜けなかった。自分にも妹と同じ合併症が起こるかもしれない」と心配そうに話した。
Aさんが心配している、妹に起こった合併症はどれか。
- 肺炎
- 胆汁瘻
- 皮下気腫
- 深部静脈血栓症
② 胆汁瘻
【▼ポイント】
胆石症は胆嚢や胆管に生じる結石により胆嚢炎等の症状が現れるもので、標準的治療として腹部に開けた穴から腹腔鏡を用いて胆嚢ごと取り除く腹腔鏡下胆囊摘出術がとられる。その合併症としては、切除した胆嚢管から胆汁が腹腔内に漏れ出す胆汁瘻が挙げられ、合併した場合は絶食の上、漏れ出た胆汁を体外に排出するためのドレナージチューブを一定期間留置しなければならない。
▶午前95
Aさんは、全身麻酔下で気腹法による腹腔鏡下胆囊摘出術を受けた。
手術中にAさんに最も生じやすいのはどれか。
- 褥瘡
- 高体温
- 無気肺
- 脳梗塞
③ 無気肺
【▼ポイント】
腹腔鏡下胆囊摘出術では炭酸ガスを腹腔内に注入し、お腹を膨らませる気腹法が用いられる。気腹圧の上昇に伴い胸腔が押し込まれることで、肺胞に空気が行き渡らない無気肺などの呼吸器合併症が生じるおそれがある。
▶午前96
Aさんの術後の経過は良好で、退院の許可が出た。
退院後の日常生活に関する説明で正しいのはどれか。
- 「低蛋白食を摂取してください」
- 「退院後1週間、シャワー浴はできません」
- 「脂肪分の多い食事で下痢をするかもしれません」
- 「傷口が赤く腫れてきたら、消毒をしてください」
③ 「脂肪分の多い食事で下痢をするかもしれません」
【▼ポイント】
肝臓で作られる胆汁は、胆嚢で濃縮・貯留され、十二指腸に分泌されて脂肪を乳化することで、膵臓内のリパーゼ(脂肪分解酵素)の働きを助ける。胆囊摘出によりその濃縮・貯留機能が低下することで手術後は下痢が生じやすく、脂肪の制限を行う必要がある。
▶次の文を読み97~99の問いに答えよ。
Aさん(72歳、女性)は、1人で暮らしている。Aさんは1年前に夫を亡くした後、近所付き合いが少なくなっていた。遠方に住むAさんの息子が時々電話で様子を確認していた。最近は元気がなく、Aさんの息子が心配して様子を見に来たところ、食事を食べた様子がなく、ごみは捨てられていなかった。Aさんは発熱してぐったりしており、息子に連れられて病院を受診した。Aさんは脱水状態の治療と抑うつ状態の疑いのため検査が必要であると判断されて入院した。Aさんの既往歴に特記すべきことはない。
▶午前97
Aさんは入院直後、Mini-Mental State Examination〈MMSE〉30点であった。
さらに情報収集のために用いるアセスメント方法で適切なのはどれか。
- DBDスケール〈Dementia Behavior Disturbance Scale〉
- Hoehn-Yahr〈ホーエン・ヤール〉の重症度分類
- GDS〈Geriatric Depression Scale〉15
- Borg〈ボルグ〉スケール
③ GDS〈Geriatric Depression Scale〉15
【▼ポイント】
MMSEは認知機能を検査するスクリーニング検査で、30点満点中30点であり、認知症の疑いはないといえる。その上で「抑うつ状態の疑い」についてさらに情報収集するために、老年期うつ病評価尺度(GDS15)を用いることが適切である。
▶午前98
入院後1週間、Aさんの脱水状態は改善したが臥床していることが多い。Aさんは排泄時、手すりを使用してトイレまで歩行しているが、着脱動作が緩慢で失禁することが多い。
Aさんへの排泄援助として最も適切なのはどれか。
- オムツの着用を勧める。
- トイレに近い病室に変更する。
- 膀胱留置カテーテルの挿入を検討する。
- ポータブルトイレをベッドの横に設置する。
② トイレに近い病室に変更する。
【▼ポイント】
臥床が多く手すりを使用して歩行できるが、排泄時の着脱動作が緩慢であるために失禁している。トイレに近い病室に変更することで失禁や転倒を防ぐ。
▶午前99
入院後1か月、Aさんは内服治療により病棟内での活動範囲が拡大し、自立してできることが増えた。自宅へ退院することが方針として決まったが、Aさんは「家に帰っても1人だし、大丈夫かしら」と看護師に話す。
このときのAさんへの声かけで適切なのはどれか。
- 「薬の量を増やしてもらえるように主治医に相談してみましょう」
- 「1人でできることが多くなったからもう大丈夫ですね」
- 「心配なことについてゆっくりお聞きしますよ」
- 「お疲れのようなのでベッドで休みましょう」
③ 「心配なことについてゆっくりお聞きしますよ」
【▼ポイント】
退院に当たって一人で過ごすことへの不安を表しており、その心配事を聞き取り、必要があれば適切な社会資源を提案することが適切である。
▶次の文を読み100~102の問いに答えよ。
Aさん(85歳、男性)は、5年前に脳梗塞を発症し右片麻痺があり、要介護3の認定を受けた。Aさんの子どもは遠方に住んでおり、腰痛のあるAさんの妻(80歳)が1人で介護している。Aさんは、週2日通所介護を利用している。
▶午前100
Aさんの妻は「夜中にオムツを替えるために毎日起こされ、腹が立ちます」と通所介護の送り迎えを担当している看護師に訴えた。
最初にAさんの妻へ話しかける言葉で適切なのはどれか。
- 「主治医に相談しましょう」
- 「これまで通り頑張りましょう」
- 「夜眠れないと本当に大変ですね」
- 「Aさんはもっとつらいと思いますよ」
③ 「夜眠れないと本当に大変ですね」
【▼ポイント】
介護者である妻は80歳であり、子どもも遠方に住んでいるため、その介護負担は大きいと考えられる。安易な決めつけや励ましではなく、まず共感的にその気持ちを聴くことが適切である。
▶午前101
Aさんに優先されるサービスはどれか。
- 訪問入浴介護
- 夜間対応型訪問介護
- 特定施設入居者生活介護
- 認知症対応型共同生活介護(認知症高齢者グループホーム)
② 夜間対応型訪問介護
【▼ポイント】
夜間対応型訪問介護は介護保険制度における地域密着型サービスであり、夜間に定期的な巡回訪問または通報により居宅で日常生活上の世話を受ける。夜中のオムツ替えに負担を感じる妻にとって適切なサービスといえる。
▶午前102
3年後、Aさんは誤嚥性肺炎で入退院を数回繰り返したことからADLが低下し、要介護5になった。そのため、Aさんの妻の腰痛が悪化し、Aさんは介護老人福祉施設に入所した。入所後1か月が経過し、Aさんは発熱、傾眠傾向が続いている。Aさんの妻は医師から死期が近いと説明を受け動揺した。Aさんの妻は「自宅で看取ることができず、夫に悪いと思っています」と施設の看護師に話した。
Aさんの妻への声かけで最も適切なのはどれか。
- 「あなたがしっかりしましょう」
- 「自宅で看取るようにしましょう」
- 「長い間、十分介護をしてきましたよ」
- 「私たちが看取りますので大丈夫ですよ」
③ 「長い間、十分介護をしてきましたよ」
【▼ポイント】
約8年の間、Aさんの介護を行い、そのために腰痛を悪化させてAさんを介護老人福祉施設に入所させた。看取りに当たり動揺している妻に対して、介護期間の肯定的な評価を行うことが適切である。
▶次の文を読み103~105の問いに答えよ。
Aちゃん(1歳0か月、女児)は、つかまり立ちをしようとしてテーブルの上に手をかけたところ、熱い味噌汁の入ったお椀をひっくり返して前胸部と右前腕に熱傷を負ったため母親とともに救急外来を受診した。来院時、Aちゃんは、体温36.8℃、呼吸数36/分、心拍数120/分、血圧90/60mmHgであり、機嫌が悪く泣いている。
▶午前103
Aちゃんの前胸部と右前腕には発赤と一部に水疱がみられ、看護師が創部に軽く触れると激しく泣いた。
Aちゃんの熱傷の受傷深度として考えられるのはどれか。
- Ⅰ度
- 浅達性Ⅱ度
- 深達性Ⅱ度
- Ⅲ度
② 浅達性Ⅱ度
【▼ポイント】
熱傷はその深さによりⅠ度熱傷、Ⅱ度熱傷(浅達性、深達性)、Ⅲ度熱傷に分類される。鮮紅色の水疱形成がみられるものはⅡ度熱傷であり、そのうち強い痛みを伴うものは浅達性Ⅱ度熱傷(1〜2週の治癒期間)、無痛に近いものは深達性Ⅱ度熱傷(3〜4週の治癒期間)とされる。創部に軽く触れると激しく泣くことから、浅達性Ⅱ度と考えられる。
▶午前104
Aちゃんは、創部の処置と経過観察のため入院した。処置室で点滴静脈内注射と創部の処置を医師1人と看護師2人で行うことになった。看護師がAちゃんの母親に同席するよう促すと「かわいそうで見ていられるか不安です」と話した。
母親のつらさを受け止めた後の対応で適切なのはどれか。
- 「Aちゃんがかわいそうですよ」
- 「Aちゃんはもっとつらいですよ」
- 「Aちゃんが頑張る姿を見届けるべきですよ」
- 「Aちゃんにとってお母さんが支えになりますよ」
④ 「Aちゃんにとってお母さんが支えになりますよ」
【▼ポイント】
母親は処置を受けるAちゃんを見ることがかわいそうで不安を抱いている。母親のつらさを共感的に受け止めた上で、1歳児であるAちゃんにとって、慣れない処置室、知らない医師と看護師の中で母親が支えになることを伝えることは適切である。
▶午前105
Aちゃんの創部は治癒傾向にあり、退院して外来で処置を継続することになった。Aちゃんの母親は「子どもに痛い思いをさせてしまいました。私が気を付けないといけませんね」と話している。
家庭内での事故予防について、Aちゃんの母親に指導する内容として優先度が高いのはどれか。
- 調理の工夫
- 重症事故事例の提示
- 1歳児の行動の特徴
- Aちゃんへの説明の方法
③ 1歳児の行動の特徴
【▼ポイント】
今回の事故はAちゃんがつかまり立ちをしようとしたことに起因する。つかまり立ちは9~10か月の発達目安であり、今後も成長に伴い予期しない事故が起こるおそれがあるため、その特徴を知っておくことが事故を予防するために重要である。
▶次の文を読み106~108の問いに答えよ。
Aちゃんは、在胎37週0日に正常分娩で体重3,200gで出生した。AちゃんのApgar〈アプガー〉スコアは1分後9点、5分後10点であった。出生時は、体温37.1℃、呼吸数42/分、心拍数154/分であり、頭部に産瘤があった。Aちゃんの両親の血液型はB型Rh(+)である。
▶午前106
生後1日。Aちゃんは、体重3,100g、体温37.0℃、呼吸数38/分、心拍数142/分で、皮膚に黄染はみられない。Aちゃんは看護師の手指が手掌に触れると握り締めた。オムツ交換時には、暗緑色の便が少量みられた。
Aちゃんの状態として考えられるのはどれか。2つ選べ。
- 早産児である。
- 頻脈がみられる。
- 移行便がみられる。
- 把握反射がみられる。
- 生理的体重減少の範囲である。
④ 把握反射がみられる。
⑤ 生理的体重減少の範囲である。
【▼ポイント】
×① 早産児である。
妊娠満22週0日から36週6日までの出産を早期産、妊娠満37週0日から41週6日までの出産を正期産、妊娠満42週0日以上の出産を過期産という。妊娠37週0日の出産は正期産である。
×② 頻脈がみられる。
出生すぐの新生児の脈拍は高く、およそ180~200/分以上で頻脈とされる。心拍数142/分のため当たらない。
×③ 移行便がみられる。
新生児の便は、生後24時間以内の胎便(粘稠性のある黒緑色)、2~4日目の移行便(泥状の緑色)、3~5日目の普通便(黄色)と変化していく。暗緑色の便であるため、胎便と考えられる。
○④ 把握反射がみられる。
手掌把握反射は新生児にみられる原始反射で、手に刺激を与えた際に握ろうとする現象をいう。出生後すぐから反応が見られ、生後3~4か月ころには消失する。
○⑤ 生理的体重減少の範囲である。
出生後すぐの新生児では、母乳を飲む量が少ない一方で呼気や皮膚から水分が喪失(不感蒸泄)するため、生後3日ころに一時的に体重が減少する生理的体重減少が起こる。その減少率は10%以下が正常の範囲とされ、体重減少は3200g→3100gで、体重減少率(減少量÷減少前の値×100)は100÷3200×100≒3.1%と正常である。
▶午前107
生後3日。Aちゃんは母乳をよく飲み、体重3,050g、体温37.2℃、呼吸数34/分、心拍数136/分である。昨日は排尿6回、排便4回であった。Aちゃんの母親は、Aちゃんの顔の黄染を心配している。Aちゃんの血液検査データは血清総ビリルビン13mg/dLである。
Aちゃんの母親への説明で適切なのはどれか。
- 「生理的な黄疸です」
- 「早発性の黄疸です」
- 「光線療法を受けると思います」
- 「頭のこぶで黄疸が強くなります」
① 「生理的な黄疸です」
【▼ポイント】
黄疸は、赤血球が壊れる際にヘモグロビンが分解され、生成されたビリルビンにより皮膚や白眼が黄色くなる状態をいう。
○① 「生理的な黄疸です」
新生児の多くは、生後2日ころに顔面からの黄染がはじまり、生後4~5日でピークになる生理的な黄疸である。
×② 「早発性の黄疸です」
早発性黄疸は生後24時間以内に黄疸が起こる病的黄疸で、注意が必要である。
×③ 「光線療法を受けると思います」
新生児でビリルビン値が正常域を越える場合(18mg/dL以上)を重症黄疸といい、その値を下げるために光線療法が取られる。Aちゃんは13mg/dLであり当たらない。
×④ 「頭のこぶで黄疸が強くなります」
Aちゃんの頭部にみられる産瘤は、産道を通過する際に圧迫で生じる浮腫であり、通常1~3日で消滅する。出血を伴って黄疸を強くするおそれがあるものは頭血腫であり、通常1~2か月で消滅する。
▶午前108
生後5日、午前9時に沐浴が行われた。Aちゃんは、体重3,210g、体温36.9℃、呼吸数36/分、心拍数138/分である。昨日は排尿7回、排便5回であった。眼脂は認めない。午前11時に母児ともに退院予定である。
退院前のAちゃんへの処置で優先度が高いのはどれか。
- 殿部の清拭
- 哺乳量の測定
- 抗菌薬の点眼
- ビタミンK2シロップの与薬
④ ビタミンK2シロップの与薬
【▼ポイント】
母乳中には血液凝固作用を持つビタミンKが少なく、新生児のビタミンK欠乏性出血症を予防するため、出生後、生後1週間(産科退院時)、退院後等に定期的なビタミンK2シロップの内服が行われる。
▶次の文を読み109~111の問いに答えよ。
Aさん(25歳、初産婦)は、妊娠40週0日に3,600gの女児を正常分娩した。出血量は250mL、持続した出血はない。分娩後、Aさんは児を見て「かわいい」と言い、授乳している。乳管口の開口数は左右1本ずつである。分娩2時間後、子宮底の位置は臍下1横指で、硬度は良好であった。
▶午前109
産褥1日。Aさんは「トイレに行ったら、小さい血の塊が1個出ました」と訴えた。看護師が観察すると、Aさんは、体温36.5℃、脈拍60/分であった。子宮底の位置は臍上1横指で、硬さは昨日より軟らかくなっていた。乳管口の開口数は左右2本ずつである。
このときのAさんへの対応で優先度が高いのはどれか。
- 人工乳を勧める。
- 腹部の温罨法をする。
- ベッド上の安静を勧める。
- 子宮底の輪状マッサージをする。
④ 子宮底の輪状マッサージをする。
【▼ポイント】
悪露に凝血が混入している、子宮底が軟らかい、子宮底の位置が臍高1横指と高い(通常産褥1日目で臍下1横指)などから、分娩後の子宮が収縮する子宮復古に不全が考えられる。子宮底の輪状マッサージ等により子宮の収縮を促す必要がある。
▶午前110
産褥3日。Aさんの体調は回復してきているが「急にお乳全体が張ってきて痛い」と言う。看護師が観察するとAさんは体温37.0℃、脈拍70/分であった。授乳前は両乳房が腫脹し、乳管口の開口数は左右4本ずつあり、移行乳がみられた。授乳後は両乳房の腫脹が軽減した。
Aさんの状態として考えられるのはどれか。
- 乳腺炎
- 産褥熱
- 乳房緊満
- 乳管閉塞
③ 乳房緊満
【▼ポイント】
×① 乳腺炎
乳腺炎は乳腺の炎症で生じる乳房の腫れや痛み、発赤、発熱などであり、Aさんの症状として当たらない。
×② 産褥熱
産褥熱とは分娩後24時間~10日間のうちに2日以上にわたり38℃以上の発熱が続く状態をいう。体温37.0℃であり、当たらない。
○③ 乳房緊満
産褥3日目で母乳(初乳)の分泌が増加し、乳房緊満(張り)を生じながら移行乳に変化している。産褥期の正常な変化である。
×④ 乳管閉塞
乳汁の流れる乳管が閉塞することによりしこり等の症状が現れるが、Aさんは乳管口の開口数が左右4本ずつあり、授乳後は両乳房の腫脹が軽減するなど、乳管閉塞には当たらない。
▶午前111
産褥5日。母児ともに経過は順調で、本日、退院予定である。Aさんの乳汁分泌は良好で自律授乳をしており、1回の授乳時間は15分である。児は3,690g、昨日は排尿8回、排便4回であった。Aさんは「家に帰っても、このまま母乳で育てたい」と言う。
このときの看護師のAさんへの説明で正しいのはどれか。
- 1日6回の授乳にする。
- 昼間は乳房に冷湿布をする。
- 蛋白質を多く含む食品を摂る。
- 児の排尿は1日1回あればよい。
③ 蛋白質を多く含む食品を摂る。
【▼ポイント】
授乳期は母乳として蛋白質を多く消費するため、蛋白質を多く含む食品をとることが望ましい。「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、授乳婦は蛋白質を妊娠前よりも1日20g多く取ることを推奨している。
▶次の文を読み112~114の問いに答えよ。
Aさん(35歳、女性)は、右肋骨の骨折で2日前に整形外科病棟に入院した。上半身に多数の内出血のあとがあり、受け持ち看護師がAさんに話を聞いた。Aさんは、夫は機嫌が悪いと暴力を振るい、時には投げ飛ばすこともあり、今回も夫に殴られて骨折したと話した。Aさんは、毎日面会に来る夫に非常におびえており「今話したことは夫には絶対に言わないでほしい。骨折の処置だけしてください」と言う。Aさんは専業主婦で夫と2人で暮らしており、近くに親類や知り合いはいない。
▶午前112
受け持ち看護師の対応で適切なのはどれか。
- 夫にも事情を確認する。
- 夫の暴力について今後は話題にしない。
- Aさんから夫に暴力をやめるように伝えることを勧める。
- 病院から警察に通報する必要があることをAさんに伝える。
④ 病院から警察に通報する必要があることをAさんに伝える。
【▼ポイント】
配偶者暴力防止法〈DV防止法〉に基づき、配偶者からの暴力を受けている者を発見した者は、配偶者暴力相談支援センターまたは警察官に通報するよう努めなければならない(法6条1)。医療関係者においても、業務を行うに当たって、暴力による負傷または疾病にかかったと認められる者を発見した場合、その者の意思を尊重するよう努めた上で通報することができる(法6条2)。
▶午前113
Aさんには、不眠や急におびえたように震え出す様子がみられた。鎮痛薬を増量したが、骨折による痛みは全く軽減していない。睡眠薬も開始したが、不眠も改善していない。受け持ち看護師はどのように対応したらよいか分からず、リエゾン精神看護を専門とする看護師に相談した。
リエゾン精神看護を専門とする看護師の介入として適切なのはどれか。
- Aさんと夫が話し合う場を設定する。
- 精神科病棟への転棟を看護師長に指示する。
- リラクセーション法による介入を受け持ち看護師と計画する。
- 睡眠薬の増量を主治医と相談するよう受け持ち看護師に伝える。
③ リラクセーション法による介入を受け持ち看護師と計画する。
【▼ポイント】
リエゾンは連携や橋渡しを意味し、リエゾン精神看護は精神科と精神科以外をつなぐケアを指す。精神科を専門とするリエゾン看護師として、異なる専門性をもつ受け持ち看護師からの相談に応じ、連携して専門的なケアの方法を計画すること(コンサルテーション)は適切である。
▶午前114
Aさんの今後の治療に向けて、病院内でチームを編成することになった。
チームに組み入れる専門職で優先度が高いのはどれか。
- 栄養士
- 理学療法士
- 作業療法士
- 心理専門職
④ 心理専門職
【▼ポイント】
心理専門職として、日本臨床心理士資格認定協会が認定する臨床心理士や、国家資格である公認心理師が活躍している。家庭内暴力による心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉の症状がみられるAさんに対し、心理学に関する専門的知識や技術を用いた治療を行う上で、心理専門職との連携が優先される。
▶次の文を読み115~117の問いに答えよ。
Aさん(58歳、男性)は、3年前に直腸癌と診断され、手術を受けてストーマを造設した。その後Aさんは直腸癌を再発し、治療を行ったが効果がなく、腹部の癌性疼痛を訴えたため、疼痛をコントロールする目的で入院していた。Aさんは「自宅で療養したい。痛みは取り除いてほしいが、延命治療は望まない」と在宅療養を希望した。現在、Aさんはオキシコドン塩酸塩を1日2回内服し、食事は食べたいものを少量ずつ食べているが、摂取量が減少している。Aさんの家族は56歳の妻と他県で仕事をしている長女である。
▶午前115
Aさんは退院後、訪問診療と訪問看護を利用することになった。
訪問看護師が、Aさんと家族に説明する内容で適切なのはどれか。
- 「お風呂に入るのはやめましょう」
- 「自宅ではベッド上で安静にしてください」
- 「ストーマのパウチの交換をお手伝いします」
- 「ストーマがあるので副作用の便秘は心配ありません」
③ 「ストーマのパウチの交換をお手伝いします」
【▼ポイント】
人工肛門(ストーマ)を造設しており、便を集めるパウチ(ストーマ装具)を用いて受け止める。適切な交換時期・方法に沿って装具を交換しなければ皮膚障害等のおそれがあり、退院後の在宅療養中は家族等の協力が必要となる。
▶午前116
退院後、Aさんは痛みが強くなってきた。医師はオキシコドン塩酸塩を増量したが、Aさんは眠気が強くなり「薬を飲みたくない」と訴えた。そのため、フェンタニル貼付剤に切り替え、レスキューとしてモルヒネ塩酸塩が処方された。
訪問看護師によるAさんの家族への指導で適切なのはどれか。
- 保管用の金庫を準備する。
- フェンタニル貼付剤は痛みのある部位に貼る。
- フェンタニル貼付剤は痛みが出始めたら交換する。
- 残ったオキシコドン塩酸塩は医療機関に返却する。
④ 残ったオキシコドン塩酸塩は医療機関に返却する。
【▼ポイント】
麻薬及び向精神薬取締法に基づき、残った医療用麻薬は医療機関の麻薬管理者に返納する。
▶午前117
Aさんの傾眠傾向が強まり、時々無呼吸がみられるようになった。Aさんは食事や水分の摂取量は少ないが、疼痛を訴えることはない。Aさんの妻は「できればこのまま自宅でみていきたい」と話している。
Aさんを自宅で看取るための訪問看護師の対応として適切なのはどれか。
- 高カロリー輸液の開始を医師と相談する。
- 24時間の継続した観察をAさんの家族へ指導する。
- 仕事を辞めて介護を行うようにAさんの長女を説得する。
- 今後起こりうる身体症状の変化をAさんの家族へ説明する。
④ 今後起こりうる身体症状の変化をAさんの家族へ説明する。
【▼ポイント】
自宅で看取りたいと希望する妻に対して、臨死期に起こる身体的徴候をあらかじめ伝えることにより、実際その場に立ち会った際に動揺や意思の揺らぎが起こらないよう、心の準備を促すことが適切である。
▶次の文を読み118・119の問いに答えよ。
Aさん(65歳、男性)は、大動脈弁狭窄症で大動脈弁置換術が実施された。術後2日、Aさんは集中治療室に入室中である。Aさんは中心静脈ライン、心囊・縦隔ドレーン、胸腔ドレーン、動脈ライン、3本の末梢静脈ライン、膀胱留置カテーテルが挿入されている。Aさんの意識は清明で、呼吸状態、循環動態は安定しているが、挿入されているライン類を気にする様子がみられる。
▶午前118
ライン類の抜去事故を予防するための看護師の対応として最も適切なのはどれか。
- ラインを挿入している上肢をシーネで固定する。
- 抜去できるラインはないか医師に相談する。
- 1時間毎にAさんの状態を観察する。
- 鎮静薬を使用する。
② 抜去できるラインはないか医師に相談する。
【▼ポイント】
チューブやカテーテルなどライン類の自己抜去は常に起こりうるリスクがある。Aさんには多くのライン類がつながっており、それを気にしている様子があるため、不要なラインはないか確認し、役割を終えたラインを抜去して数を減らすことはリスクの軽減に適切である。
▶午前119
術後3日。Aさんは、術後のバイタルサインも安定しているため、一般病室に転室となった。現在は末梢静脈ラインと胸腔ドレーンが挿入されている。
Aさんのドレーン管理について正しいのはどれか。
- ドレーンバッグは挿入部より高い位置で保持する。
- 体位変換時は胸腔ドレーンをクランプする。
- 持続的に陰圧となっているか観察する。
- ドレーンのミルキングは禁忌である。
③ 持続的に陰圧となっているか観察する。
【▼ポイント】
胸腔ドレナージは胸腔内の空気や液体を体外に排出するもので、胸腔ドレーンを持続的に-10cmH2O程度の陰圧にすることで行う。
▶次の文を読み91~93の問いに答えよ。
Aさん(48歳、男性、会社員)は、8年前から高血圧症、脂質異常症および労作性狭心症に対して内服治療をしていた。胸部絞扼感が時々出現するため、経皮的冠動脈形成術〈PCI〉を実施することになった。Aさんは身長165cm、体重80kgである。午前9時過ぎから左橈骨動脈を穿刺し、狭窄部位である左冠状動脈にステント留置術が行われ、午前11時ころに終了した。
▶午後91
経皮的冠動脈形成術〈PCI〉終了後、穿刺部位を圧迫固定した。気分不快などの症状はない。
術後のAさんへの説明で適切なのはどれか。
- 「すぐに歩行できます」
- 「夕食まで食事はできません」
- 「2日後までシャワー浴はできません」
- 「左手首の圧迫固定は明日の朝まで行います」
① 「すぐに歩行できます」
【▼ポイント】
経皮的冠動脈形成術はカテーテルを細くなった冠動脈まで進めて血管を押し広げるものである。手術に伴う合併症として出血や血栓塞栓症が挙げられるが、症状は見られず、左橈骨動脈の穿刺であるため軽い歩行はすぐに可能である。
▶午後92
経皮的冠動脈形成術〈PCI〉終了後も点滴静脈内注射が継続され、抗血小板薬と抗菌薬の投与が行われた。その後、看護師はAさんの穿刺部位の出血がないことを確認した。
次に行う観察で最も注意すべき項目はどれか。
- 発熱
- 麻痺症状
- 皮膚の黄染
- 穿刺部位の感染徴候
② 麻痺症状
【▼ポイント】
穿刺部位の圧迫固定から血液循環不全や神経麻痺を生じるおそれがあり、麻痺症状の発現には注意を要する。
▶午後93
術後3日に退院することになった。
Aさんに対する退院指導の内容として適切なのはどれか。
- 「職場復帰は2週間後からにしましょう」
- 「3か月後の目標体重を65kgにしましょう」
- 「狭心症の症状が再度現れる可能性があります」
- 「退院後に穿刺部から出血する危険性があります」
③ 「狭心症の症状が再度現れる可能性があります」
【▼ポイント】
経皮的冠動脈形成術により冠動脈の狭窄が治療されたとしても、再狭窄により狭心症が再度現れる可能性がある。
▶次の文を読み94~96の問いに答えよ。
Aさん(43歳、男性、会社員)は、1か月前に右頸部の腫瘤に気付き、自宅近くの診療所を受診し、大学病院を紹介された。検査の結果、Aさんは、非Hodgkin〈ホジキン〉リンパ腫と診断され、縦隔リンパ節腫大による上大静脈の圧迫も確認され、化学療法導入のため入院した。Aさんは「悪性リンパ腫と言われたときにはショックだったけど、化学療法は有効であると聞いて、頑張ろうと思っている」と話す。入院時、Aさんは体温37.5℃、呼吸数18/分、脈拍84/分、血圧124/64mmHgであった。血液検査データは、赤血球302万/μl、Hb10.3g/dl、白血球6,400/μl、総蛋白7.6g/dlであった。
▶午後94
入院当日、Aさんは看護師に「最近、なんとなく手がむくんでいるような気がする」と言う。
Aさんの手のむくみの原因として可能性が高いのはどれか。
- 発熱
- 貧血
- 低蛋白血症
- 上大静脈の圧迫
④ 上大静脈の圧迫
【▼ポイント】
縦隔リンパ節転移等に伴い、上大静脈が圧迫され血流が阻害されることで、顔面や上肢などにうっ血や浮腫が生じる(大静脈症候群)。
▶午後95
入院後4日。Aさんは化学療法としてCHOP療法(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン、プレドニゾロン)を行うことになった。
開始前のAさんへの説明で適切なのはどれか。
- 「高齢の人より副作用は少ないでしょう」
- 「明日から加熱食となります」
- 「3日目ころから脱毛が始まります」
- 「5日目ころから口内炎ができやすくなります」
④ 「5日目ころから口内炎ができやすくなります」
【▼ポイント】
CHOP療法は悪性リンパ腫に対する化学療法で、3種類の抗がん剤(シクロホスファミド、ドキソルビシン、ビンクリスチン)と副腎皮質ホルモン(プレドニゾロン)を組み合わせたものである。抗がん剤と副腎皮質ホルモンの特性上、様々な副作用〈有害事象〉が予測され、1週間前後に現れる口内炎はその一つである。
▶午後96
治療は正午から開始され、午後5時ころから胸やけと悪心が出現した。その後、Aさんは制吐薬を追加投与され、症状は軽減した。それ以降、Aさんに悪心・嘔吐はないが、翌日も食欲がなく、食事は1/4程度の摂取であった。治療後3日には症状が改善し、食事は全量摂取できた。Aさんは「楽になったけど、やっぱりつらかった。思い出すだけでもちょっと気持ち悪くなる」と話す。
治療後3日までの状況を踏まえて、次回の治療時の対応で最も適切なのはどれか。
- 治療前日の夕食を控えてもらう。
- 治療薬の減量を医師に相談する。
- 1日1,000mLの水分摂取を促す。
- 病院食以外は食べないよう指導する。
- 治療前の制吐薬の追加投与を検討する。
⑤ 治療前の制吐薬の追加投与を検討する。
【▼ポイント】
CHOP療法(抗癌薬)の副作用〈有害作用〉として悪心(嘔気)や嘔吐があり、制吐薬の追加投与による緩和が図られる。今回は治療開始後に悪心が出現してから制吐薬を追加投与したが症状改善までのつらさを訴えており、次回は治療開始前に追加投与の検討が適切である。
▶次の文を読み97~99の問いに答えよ。
Aさん(75歳、女性)は、娘と2人で暮らしている。5年前にAlzheimer〈アルツハイマー〉病と診断された。半年前から食欲不振が続き体重減少がみられ受診した。検査の結果、胃癌と診断され胃全摘出術が行われた。入院時の改訂版長谷川式簡易知能評価スケール〈HDS-R〉16点、Mini-Mental State Examination〈MMSE〉18点。
▶午後97
Aさんは、術後1日の深夜に大きな声で娘の名前を呼び「ここはどこ」と叫びながらベッド柵をたたく行動がみられた。
このときに最初に行う対応として適切なのはどれか。
- 上肢の抑制を行う。
- 睡眠薬を与薬する。
- 娘に電話して来院してもらう。
- 病院に入院していると説明する。
④ 病院に入院していると説明する。
【▼ポイント】
入院など環境の変化によるストレスで、見当識障害等を症状とするせん妄がみられ、特に夜間に不安感が強くなり不眠と重なって起こりやすい(夜間せん妄)。場所に関する見当識の乱れに対して現在の場所、状況を説明することが適切である。
▶午後98
術後1週間が経過した。Aさんは日中は病室で眠っていることが多いが、夜間は病棟内の廊下を徘徊している。
Aさんへの看護で最も適切なのはどれか。
- 朝は無理に起こさない。
- 午後にレクリエーション活動を計画する。
- 夕食の時間を就寝前に変更する。
- 夜間は病室の天井の電気をつけておく。
② 午後にレクリエーション活動を計画する。
【▼ポイント】
せん妄や睡眠障害の予防のため、日中には離床して明るい環境でレクリエーションなどの活動を行い、夜は決まった時間に睡眠をとるなど、生活リズム(概日リズム)を崩さないよう促すことが適切である。
▶午後99
術後の経過は良好で2週間が経過した。食事は全粥、軟菜を8割程度摂取している。
娘に対するAさんの退院後の食事指導で適切なのはどれか。
- 食後の安静臥床を勧める。
- 食物繊維を多く含む食品の摂取を勧める。
- 1日の食事量を6~8回に分けて食べることを勧める。
- 食事時間が長くなっても満腹になるまで摂取するように勧める。
③ 1日の食事量を6~8回に分けて食べることを勧める。
【▼ポイント】
胃の切除、再建後には、摂取した食物が急速に腸に流れ込むことにより、めまいや動悸、冷や汗、顔面紅潮、腹痛などの症状が食後に現れるダンピング症候群のリスクが高まる。その予防のため、食事は消化の良い食品を、少量ずつ分割してゆっくり咀嚼して食べることが適している。
▶次の文を読み100~102の問いに答えよ。
Aちゃん(生後1か月、男児)は、2日前から嘔吐があり、昨日は噴水様嘔吐が5回あったため外来を受診し入院した。Aちゃんは体重4,200g、体温36.8℃、呼吸数36/分、心拍数120/分である。眼球結膜に黄染を認めない。上腹部に腫瘤を触知する。Aちゃんの血液検査データは、赤血球540万/μl、Ht45%、白血球10,100/μl、血小板58.6万/μl、アルブミン4.4g/dl、Na140mEq/l、K3.5mEq/l、Cl92mEq/l、動脈血pH7.48であった。
▶午後100
Aちゃんは入院時にも胃液様の嘔吐がみられた。
Aちゃんの現在の状態で考えられるのはどれか。
- 代謝性アシドーシス
- 呼吸性アシドーシス
- 代謝性アルカローシス
- 呼吸性アルカローシス
③ 代謝性アルカローシス
【▼ポイント】
哺乳時の噴水状の嘔吐は、胃の出口である幽門部の筋肉肥大による肥厚性幽門狭窄症の特徴であり、非胆汁性嘔吐である。頻回に胃液(pH1~2の強酸性の胃酸)を失うことで血液のアルカリ性度が上昇する代謝性アルカローシスが考えられる。
▶午後101
超音波検査と上部消化管造影の結果、Aちゃんは肥厚性幽門狭窄症と診断された。硫酸アトロピンによる保存療法で効果がなければ手術の予定である。硫酸アトロピンの静脈内注射を開始後、Aちゃんの嘔吐が消失したため、授乳を再開した。
授乳の方法で適切なのはどれか。
- 自律授乳にする。
- 授乳前後に排気する。
- 水平に抱いて授乳する。
- 授乳後は左向きに寝かせる。
② 授乳前後に排気する。
【▼ポイント】
授乳前後に排気を促すことで吐乳のリスクを下げる。
▶午後102
その後もAちゃんは嘔吐はなく体重も増加したため、硫酸アトロピンの投与方法を静脈内注射から内服に変更することになった。
母親に説明する内容で最も適切なのはどれか。
- 「授乳後に飲ませてください」
- 「内服後に顔が赤くなることがあります」
- 「3日間嘔吐がなければ内服は中止になります」
- 「便に血が混じることがありますが心配はありません」
② 「内服後に顔が赤くなることがあります」
【▼ポイント】
硫酸アトロピンは副交感神経に作用する鎮痙薬で、肥厚性幽門狭窄症に対して、授乳前に内服することで幽門の緊張を低下させて、嘔吐等の症状を緩和させる働きを持つ。その副作用として顔面潮紅が挙げられる。
▶次の文を読み103~105の問いに答えよ。
A君(8歳、男児)は、頭痛、食欲不振、全身倦怠感、肉眼的血尿および両眼瞼の浮腫を主訴に病院を受診した。1か月前に扁桃炎に罹患した以外は既往歴に特記すべきことはない。扁桃炎は抗菌薬を内服し軽快した。血液検査の結果、溶連菌感染後急性糸球体腎炎と診断されて入院した。入院時、A君は体温36.8℃、呼吸数20/分、脈拍は80/分、整で血圧132/80mmHgであった。
▶午後103
A君の入院時の看護計画で適切なのはどれか。
- 水分摂取を促す。
- 背部の冷罨法を行う。
- 1日3回の血圧測定を行う。
- 食事の持ち込みを許可する。
③ 1日3回の血圧測定を行う。
【▼ポイント】
溶連菌感染後に多くみられる、腎臓で血液を濾過する糸球体の炎症を急性糸球体腎炎といい、高血圧や浮腫、血尿などが症状として現れる。入院時の血圧は高値であり、塩分・水分制限の上で注意深く血圧を観察して、必要があれば降圧薬や利尿薬の投与が検討される。
▶午後104
入院3日目。両眼瞼の浮腫、肉眼的血尿は続いていた。看護師がバイタルサインを測定していると、A君は「頭が痛い。気持ち悪い」と訴えた。A君は体温36.8℃、呼吸数20/分、脈拍88/分、血圧142/86mmHgであった。
この状況からA君に起こりうる症状で注意するのはどれか。
- 耳痛
- 鼻閉
- 視野欠損
- 意識障害
④ 意識障害
【▼ポイント】
急性糸球体腎炎による高血圧(収縮期血圧140mmHg以上または拡張期血圧90mmHg以上)が認められ、頭痛や悪心を伴う高血圧性脳症により、意識障害や痙攣を起こすおそれがある。
▶午後105
入院後2週間が経過した。症状は軽快したが床上安静は続いている。仲が良かった同じ病室の児が退院して、A君はイライラして母親をたたくこともある。A君の母親は、毎日昼食後から夕食後まで面会をしている。
A君のストレスに対する看護師の対応で適切なのはどれか。
- 「家にすぐ帰れるから頑張ろう」
- 「お母さんにずっといてもらおう」
- 「好きなだけテレビを観ていいよ」
- 「ベッドに寝たままプレイルームに行こう」
④ 「ベッドに寝たままプレイルームに行こう」
【▼ポイント】
学童期であるA君にとって、長期の床上安静、仲の良かった児の退院、母親の面会頻度によりストレスが高まっていると考えられる。異なる環境であるプレイルームで、同年代の児と接するなどによりストレスを軽減することが適切である。
▶次の文を読み106~108の問いに答えよ。
Aさん(17歳、女子、高校生)は、3か月前から月経初日に腹痛や腰痛が生じて、学校を休むようになったため婦人科を受診した。Aさんの月経周期は26~34日、持続日数は4~6日である。Aさんはコーヒーを毎朝1杯飲んでおり、運動習慣はない。Aさんは身長162cm、体重55kgであり、既往歴に特記すべきことはない。
▶午後106
看護師はAさんの最近の月経状況について情報収集をした。月経時は普通サイズのパッドで対処しており、凝血塊が混じることはない。9月と10月のカレンダーを示す。 ただし、○は月経日を示す。

今回のAさんの月経周期を求めよ。
解答: ①②日
① 3
② 3
【▼ポイント】
月経周期は前回の月経開始日から今回の月経開始日の前日までをいい、9月2日から10月4日までの33日である。
▶午後107
Aさんの月経のアセスメントで適切なのはどれか。
- 月経前症候群
- 月経困難症
- 希発月経
- 過多月経
② 月経困難症
【▼ポイント】
月経困難症(月経痛、生理痛)とは、月経に伴って下腹部痛や腰痛などの病的症状が生じるもので、月経初日に腹痛や腰痛が生じているAさんのアセスメントとして適切である。
▶午後108
診察の結果、器質的病変は確認されなかった。Aさんは「生活で何か気を付けることはありますか」と尋ねた。
Aさんへの月経時の生活指導で適切なのはどれか。
- 安静の保持
- 腰部の温罨法
- コーヒー摂取量の増量
- 腹部を締めつける下着の着用
② 腰部の温罨法
【▼ポイント】
月経困難症のうち、子宮内膜症や子宮腺筋症など器質性疾患を認めないものを機能性月経困難症といい、初経後数年内に起こりやすい。子宮内膜からプロスタグランディンが過剰に分泌され、子宮が過剰に収縮する結果起こるもので、その過剰分泌を防ぐために身体を温める温罨法が適切である。
▶次の文を読み109~111の問いに答えよ。
Aさん(32歳、男性、会社員)は、2年前にうつ病による入院歴がある。Aさんは仕事中に「新しい営業戦略を考えついた」と上司に大声でまとまりのない話を続け、止めようとすると激怒するようになった。会社から連絡を受けたAさんの両親に付き添われて精神科を受診したところ、Aさんは双極性障害と診断され入院した。
▶午後109
Aさんは常に動き回り、次々と他の患者に一方的に話しかけている。看護師が止めようとすると、Aさんは「自分は営業職なんだから、人と話すのは得意なんだ。邪魔しないでほしい」と強い語調で言い返してくる。
看護師の対応で優先されるのはどれか。
- 家族に付き添いを依頼する。
- Aさんを静かな場所へ誘導する。
- Aさんに病気に関する説明をする。
- 納得できるまで看護師に話すよう促す。
② Aさんを静かな場所へ誘導する。
【▼ポイント】
興奮・攻撃性がみられる患者に対しては、興奮を鎮めるために一定時間刺激の少ない状態に置くことが適切である(タイムアウト)。
▶午後110
入院後3日が経過した。Aさんは自分の病室にいることはほとんどなく、自宅や会社に頻繁に電話したり、デイルームでノートに書き続けるなど、いつも忙しそうに過ごしている。食事の時間も落ち着かず、摂取量は毎食1/3から1/4程度である。
看護師の対応で適切なのはどれか。
- Aさんの食事を介助する。
- Aさんが栄養指導を受けられるよう調整する。
- Aさんに食事の摂取量が不足している事実を伝える。
- Aさんが自分から食事をしたい気持ちになるのを待つ。
③ Aさんに食事の摂取量が不足している事実を伝える。
【▼ポイント】
双極性障害は、躁状態(気分の高揚、活動性の上昇)と鬱状態(抑うつ、活動性の低下)を繰り返す精神疾患である。躁状態であるAさんに対しては介助や指導などを強制しないものの、食事摂取量を注意深く観察し、その事実を客観的に伝えることは適切である。
▶午後111
入院後1週間が経過し、Aさんの食事摂取量は増えたが、他の患者への過度な干渉や、自宅への頻繁な電話は続いている。Aさんは「以前は仕事をしすぎて疲れただけで病気ではない。今すぐ退院して仕事に戻りたい」と話しているが、主治医は退院を許可していない。
看護師の対応で適切なのはどれか。
- Aさんの上司に配置転換を相談する。
- Aさんに入院前の言動の問題点を指摘する。
- Aさんの両親に入院の継続を説得してもらう。
- Aさんと現時点で可能なことや困難なことを確認する。
④ Aさんと現時点で可能なことや困難なことを確認する。
【▼ポイント】
双極性障害の治療には長期間を要するもので、主治医はAさんの状態から退院を許可していない。焦りを抱く患者に対して、現時点で可能なことや困難なことを一緒に確認し、その入院を継続する必要性を改めて理解してもらうことが適切である。
▶次の文を読み112~114の問いに答えよ。
Aさん(40歳、男性)は、大学1年生のときに統合失調症を発症し、精神科病院に20年入院している。今回、退院して両親と同居することになった。入院中は定期的に作業療法に参加しており、日常生活は自立している。服薬は自己管理となっているが、時々飲み忘れることがある。
▶午後112
Aさんは1週間後に退院する予定だが「退院したら薬を飲むのはやめようかな」と看護師に話すことがある。時々幻聴に関して訴えがあり、睡眠が不規則になる。
退院後Aさんが利用するサービスで最も適切なのはどれか。
- 訪問介護
- 精神科作業療法
- 精神科訪問看護
- 訪問リハビリテーション
③ 精神科訪問看護
【▼ポイント】
日常生活は自立しているが服薬管理に不安がある。統合失調症の再発を防止するためにも服薬の継続は重要であり、在宅での服薬管理や精神状態の観察を行う精神科訪問看護の利用が適切である。
▶午後113
退院後3か月、Aさんは処方どおりに服薬している。Aさんの母親から「退院してからずっと1日中家の中で何もせず過ごしています。夫は本人に働くよう言っています」と看護師に相談があった。
母親への対応として最も適切なのはどれか。
- 「もう一度入院を考えてみますか」
- 「アルバイトを探してはいかがですか」
- 「Aさんはどう考えているようですか」
- 「お薬の調整を主治医に相談してみましょうか」
③ 「Aさんはどう考えているようですか」
【▼ポイント】
Aさんの服薬に問題はないが、父親はAさんに働くよう言っており、母親はどうすべきか迷って相談していると思われる。今後の生活や仕事については本人の意思が尊重されるため、Aさんの意思をまず確認することが適切である。
▶午後114
Aさんは受診時に「毎日父親に責められます。実家を出て生活してみたいです」と訴えた。Aさんに単身生活の経験はない。
Aさんに勧める社会資源で最も適切なのはどれか。
- 自立訓練〈生活訓練〉
- 小規模多機能型居宅介護
- 短期入所〈ショートステイ〉
- 共同生活援助〈グループホーム〉
① 自立訓練〈生活訓練〉
【▼ポイント】
自立訓練〈生活訓練〉は障害者総合支援法に定める障害福祉サービス(訓練等給付)の一つで、自立した日常生活または社会生活ができるよう、生活能力の維持・向上のために必要な支援・訓練を行うものである。精神科病院に20年入院しており、経験はないが自立して単身生活がしたいという希望を持つAさんに対する社会資源として適切である。
▶次の文を読み115~117の問いに答えよ。
Aちゃん(2歳4か月、女児)は、母と会社員の父と3人で暮らしている。Aちゃんは、脳性麻痺で寝たきりのため全介助で在宅療養をしていた。3か月前に、誤嚥性肺炎を発症して緊急入院し、気管切開をして人工呼吸器を装着した。現在、呼吸状態は安定しているが、啼泣時に気道閉塞があるため、夜間のみ人工呼吸器で呼吸管理を継続することになった。Aちゃんは自宅に戻って訪問看護を利用する予定である。身体障害者手帳(肢体不自由1級)を所持している。
▶午後115
Aちゃんの家族に必要な人工呼吸器による呼吸管理の指導の内容について適切なのはどれか。
- アラーム音は即座に消音する。
- 人工呼吸器の設定は変更してもよい。
- 加湿器の滅菌蒸留水は2日ごとに交換する。
- 気管カニューレ抜去時は新しいものを挿入する。
④ 気管カニューレ抜去時は新しいものを挿入する。
【▼ポイント】
このほか、①アラームの種類を確認して対応する、②人工呼吸器の設定は医師の指示による、③加湿器の滅菌蒸留水は毎日交換する。
▶午後116
Aちゃんの家族への指導は順調に行われ退院することになった。
Aちゃんの退院に向けて訪問看護師が連携をとる職種はどれか。
- 保健師
- 保育士
- 社会教育主事
- 介護支援専門員
① 保健師
【▼ポイント】
重症心身障害児等、長期的に在宅での療養を必要とする者への支援を行う保健師(保健所)との連携が適切である。
▶午後117
Aちゃんの母親から「家で育てることがこんなに大変だとは思わなかった。疲れました」と訪問の際に訴えがあった。
Aちゃんの母親の話を聞いた後の訪問看護師の対応として最も適切なのはどれか。
- 「すぐに入院ができる病院を探します」
- 「お母さんが頑張らないと駄目ですよ」
- 「お父さんに休職してもらいましょうか」
- 「ヘルパーさんに来てもらうことを検討しましょうか」
④ 「ヘルパーさんに来てもらうことを検討しましょうか」
【▼ポイント】
母親の介護負担の訴えに対し、ヘルパーなどの社会資源の利用により、介護者の休息支援(レスパイトケア)を図ることが適切である。
▶次の文を読み118~120の問いに答えよ。
午前6時30分、A県立病院の看護師は勤務中に突然、立っていられないほどの大きな揺れを感じた。病院の電源は自家発電に切り替わりA県北部を震源とするマグニチュード7.0の地震が発生したと院内放送があった。
▶午後118
病棟看護師が発災直後にとる行動で最も優先するのはどれか。
- 病棟内の患者の安全確認
- 病院外への患者の避難誘導
- 水道・ガスの被害状況の確認
- 患者への病棟内は安全という通知
① 病棟内の患者の安全確認
【▼ポイント】
災害急性期においては患者と職員の安全確認を最優先とし、次いで被害状況の確認、余震等に備えた災害現場や避難経路の安全確認を行うことが適している。
▶午後119
多くの傷病者が病院に運ばれてきた。医師の指示により看護師がトリアージを行った。
誤っているのはどれか。
- 歩行できているか確認する。
- 呼吸をしているか確認する。
- 血圧を測定する。
- 従命反応をみる。
③ 血圧を測定する。
【▼ポイント】
トリアージ(災害時等の治療優先度の決定)の際にはSTART法が用いられ、歩行、呼吸、循環、意識の順番に確認を行う。血圧の測定は含まれない。
▶午後120
看護師はトリアージを待っている被災者の1人が床に倒れているのを発見した。
看護師が最初に行う対応で適切なのはどれか。
- 自動体外式除細動器〈AED〉を装着する。
- 呼びかけに対する反応を確認する。
- 胸骨圧迫を開始する。
- 大声で人を呼ぶ。
② 呼びかけに対する反応を確認する。
【▼ポイント】
一次救命処置の手順としては、まず傷病者の反応を確認し、反応がない場合、応援を呼ぶ・通報する・自動体外式除細動器〈AED〉を要請する。その上で呼吸の確認を行い、呼吸がない場合等は胸骨圧迫・人工呼吸、AEDの使用に移る。
資料 厚生労働省「第100回保健師国家試験、第97回助産師国家試験、第103回看護師国家試験及び第103回看護師国家試験(追加試験)の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
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