第103回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
平成26年2月16日(日)に実施された第103回看護師国家試験について、「国民衛生の動向2022/2023」で内容を解説している問題、関連の強い問題をピックアップし、その正答と解説を示します。また、合格のために最重要となる必修問題(午前・午後冒頭25問と想定)については、本誌未対応の問題も最後にすべてまとめています。
問題を解きながら不明な部分を本誌で確認し、学習効率の向上にご活用下さい。
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厚生の指標増刊
国民衛生の動向 2022/2023
発売日:2022.8.26
定価:2,695円(税込)
472頁・B5判
雑誌コード:03854-08
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▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向
国民衛生の動向対応問題・掲載数
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出題数 |
対応問題数 |
対応問題率 |
必修問題 |
50問 |
18問 |
36.0% |
一般問題 |
130問 |
29問 |
22.3% |
計 |
180問 |
47問 |
26.1% |
※必修問題は午前・午後の冒頭25問と想定。未対応の必修問題は末尾に掲載。状況設定問題は除く。
午前
1 日本の令和3年(2021年)における出生数に最も近いのはどれか。(改題)
- 30万人
- 80万人
- 130万人
- 280万人
② 80万人
【▼ポイント】
令和3年(2021年)の出生数は81.2万人(過去最低)である。なお、死亡数は144.0万人で、その差である自然増減数はマイナス62.8万人となっている。
【▼参照】
第2編2章 人口動態 2.出生 1〕出生の動向
2 平均寿命は[ ]歳の平均余命である。
[ ]に入るのはどれか。
- 0
- 5
- 10
- 20
① 0
【▼ポイント】
平均寿命とは0歳の平均余命をいい、令和2年(2020年)の第23回生命表では、男性が81.56年、女性が87.71年となっている。
【▼参照】
第2編3章 生命表 1.生命表・生命関数
3 労働基準法で原則として定められている休憩時間を除く1週間の労働時間はどれか。
- 30時間を超えない。
- 40時間を超えない。
- 50時間を超えない。
- 60時間を超えない。
② 40時間を超えない。
【▼ポイント】
労働基準法では、労働時間について、休憩時間を除き1日に8時間、1週間に40時間を超えないように定めている。
【▼参照】
第8編 労働衛生 9.その他の労働衛生対策等 1〕過重労働による健康障害防止対策
4 国民医療費に含まれる費用はどれか。
- 予防接種
- 正常な分娩
- 人間ドック
- 入院時の食事
④ 入院時の食事
【▼ポイント】
国民医療費は傷病の治療費に限られ、正常な妊娠や分娩などに要する費用(②)、健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種などに要する費用(①・③)、固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢などの費用は含まない。
【▼参照】
第4編2章 医療保険制度 6.国民医療費
5 全ての人が差別されることなく同じように生活できるという考え方を示しているのはどれか。
- ヘルスプロモーション
- ノーマライゼーション
- プライマリヘルスケア
- エンパワメント
② ノーマライゼーション
【▼ポイント】
ノーマライゼーションは、障害者等が障害を持たない者と同等に生活・活動する社会を目指す理念で、障害者基本法ではこの理念の下に公共的施設のバリアフリー化などを幅広く規定している。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 5.障害者福祉等
8 市町村保健センターの業務はどれか。
- 廃棄物の処理
- 人口動態統計調査
- 看護師免許申請の受理
- 地域住民の健康づくり
④ 地域住民の健康づくり
【▼ポイント】
市町村保健センターは地域保健法に基づき、健康相談・保健指導・健康診査など地域保健に関し必要な事業を行うため、市町村が設置することができる。なお、①と②は地域保健法に基づき主に都道府県が設置する保健所の業務である。
【▼参照】
第1編2章 衛生行政活動の概況 2.衛生行政の組織 3〕市町村保健センター
9 インシデントレポートの目的はどれか。
- 責任の追及
- 再発の防止
- 懲罰の決定
- 相手への謝罪
② 再発の防止
【▼ポイント】
インシデントレポートは、医療事故につながりかねないインシデント(ヒヤリ・ハット)が発生した場合、再発防止のために状況把握、要因分析、対策、情報共有を行うものである。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 9〕医療安全に係る取り組み
18 感染性廃棄物の廃棄容器に表示するのはどれか。

①
【▼ポイント】
なお、性状に応じてマークの色を、①液状又は泥状のもの(血液等)は赤色、②固形状のもの(血液等が付着したガーゼ等)は橙色、③鋭利なもの(注射針等)は黄色と分けることが望ましい。
【▼参照】
第9編5章 廃棄物対策の動向 4.特別管理廃棄物
35 介護保険の第1号被保険者について正しいのはどれか。
- 予防給付対象者は要介護1である。
- 保険料は所得段階別の定額である。
- 医療保険者が保険料を徴収する。
- 対象は60歳以上である。
② 保険料は所得段階別の定額である。
【▼ポイント】
介護保険の第1号被保険者は65歳以上の者、第2号被保険者は40~64歳の者で、市町村ごとに介護サービス量や所得などに応じた定額保険料が設定される。要介護等の状態にあると判定された場合、要介護(1~5)の者には介護給付、要支援(1・2)の者には予防給付が支給される。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 1〕保険給付の手続き
36 令和元年(2019年)健やか親子21(第2次)の中間評価において、改善したと評価されていないのはどれか。(改変)
- 妊産婦死亡率
- 十代の喫煙率
- 十代の自殺死亡率
- むし歯のない3歳児の割合
③ 十代の自殺死亡率
【▼ポイント】
健やか親子21(第2次)の中間評価では、直近値(平成29年)の十代の自殺死亡率がベースライン値(平成24年)に比較して、10~14歳は増加、15~19歳は減少し、「変わらない」と評価された。①、②、④は改善したと評価されている。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 1.母子保健
37 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律に基づく入院形態でないのはどれか。
- 任意入院
- 応急入院
- 勧告入院
- 医療保護入院
③ 勧告入院
【▼ポイント】
任意入院(①)は精神障害者自身の同意に基づく入院制度である。任意入院が行われる状態にないと判定された者については、医療および保護のために入院の必要があり、その家族等の同意がある場合に医療保護入院(④)が行える。しかし、急速を要し、家族等の同意を得ることができない場合には、精神保健指定医の診察により、72時間以内の応急入院(②)を行うことができる。このほか、2人以上の精神保健指定医の診察を要件に、精神障害者で、入院させなければ自傷他害のおそれがある場合に行われる措置入院、措置入院の対象であるが急速な入院の必要性があることを条件に、指定医の診察は1名で足りるが、入院期間は72時間以内に制限される緊急措置入院がある。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健 3〕精神科の入院制度
38 救急医療体制とその内容の組合せで正しいのはどれか。
- 初期救急医療体制――休日・夜間急患センター
- 第2次救急医療体制――高度の診療機能を持つ24時間救命救急センター
- 第3次救急医療体制――在宅当番医
- 広域救急患者搬送体制――へき地巡回診療車
① 初期救急医療体制――休日・夜間急患センター
【▼ポイント】
救急医療体制は、重症度・緊急度に応じて、初期、二次、三次といった階層状の構造となっている。初期救急医療機関は、外来診療によって比較的症状の軽い救急患者の対応を行うもので、在宅当番医制と休日夜間急患センターが対応する。二次救急医療機関は、入院治療を必要とする重症の救急患者の医療を行うもので、病院群輪番制度が対応する。三次救急医療機関は、二次救急医療機関で対応できない重症および複数の診療科にわたるすべての重篤な救急患者を24時間体制で受け入れるもので、救命救急センターが対応する。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 3〕救急,休日夜間医療
41 無菌室で使用する物品とその滅菌方法の組合せで適切なのはどれか。
- ビニール袋に入った菓子――酸化エチレンガス滅菌
- ステンレス製のスプーン――高圧蒸気滅菌
- プラスチック製の箸――乾熱滅菌
- 紙製の絵本――低温プラズマ滅菌
② ステンレス製のスプーン――高圧蒸気滅菌
【▼ポイント】
オートクレーブを用いた滅菌を高圧蒸気滅菌といい、乾熱滅菌等に比べて低温・短時間での滅菌ができる。ただし、高温・高圧に耐えない器具(軟性内視鏡等)には用いない。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 10〕院内感染対策
55 高齢者のエイジズムについて正しいのはどれか。
- 高齢者の価値を認めるものである。
- 高齢者の権利を擁護するものである。
- 高齢者を生活環境の違いで区別するものである。
- 高齢者という理由で不当な扱いをするものである。
④ 高齢者という理由で不当な扱いをするものである。
【▼ポイント】
エイジズムとは年齢による偏見や差別をいい、特に高齢者に対する差別が問題となる。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 6.高齢者福祉等
60 令和元年(2019年)国民生活基礎調査で、同居している主な介護者のストレスや悩みの原因で最も割合の高いのはどれか。(改題)
- 自分の仕事
- 家族の病気や介護
- 家族との人間関係
- 自由にできる時間がない
② 家族の病気や介護
【▼ポイント】
同居の主な介護者の悩みやストレスの原因をみると家族の病気や介護が最も多く、こうした介護者の負担軽減のため、訪問介護やデイサービス、ショートステイなどを利用したレスパイトケア(介護者の一時的な休息支援)の拡充が図られている。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 10〕介護者・要介護者等の状況
62 小児の一次救命処置において推奨される胸骨圧迫の速さ(回数)はどれか。
- 少なくとも約 80回/分
- 少なくとも約100回/分
- 少なくとも約120回/分
- 少なくとも約140回/分
③ 少なくとも約100回/分
【▼ポイント】
一次救命処置(BLS)における心肺蘇生法では、胸骨圧迫30回(約5cm沈み込む強さ、100~120回/分の速さ)と人工呼吸2回の組み合わせによる処置を行う。幼児や小児の場合も、圧迫箇所(胸骨中央下部)や、圧迫回数・速さ、人工呼吸回数は成人と同様である(ただし、胸骨圧迫の強さは胸の厚みの3分の1が沈み込む深さとされる)。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 2.各医療対策の動向 3〕救急、休日夜間医療
70 精神科デイケアの目的はどれか。
- 陽性症状を鎮静化する。
- 社会生活機能を回復する。
- 家族の疾病理解を深める。
- 単身で生活できるようにする。
② 社会生活機能を回復する。
【▼ポイント】
精神科デイケアは、精神障害のある者を対象に、社会参加や社会復帰(復職、就労、進学・復学等)を目的として、生活リズムの改善やコミュニケーション能力の向上、精神疾患の再発防止などを図る通所施設であり、医療保険の適用対象となっている。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健
71 現在の日本の精神医療について正しいのはどれか。
- 精神及び行動の障害で入院した患者で最も多いのはうつ病である。
- 人口当たりの精神病床数はOECD加盟国の中では低い水準である。
- 各都道府県及び政令指定都市に精神保健福祉センターが設置されている。
- 精神障害者保健福祉手帳制度によって外来通院の医療費の給付が行われる。
③ 各都道府県及び政令指定都市に精神保健福祉センターが設置されている。
【▼ポイント】
×① 精神及び行動の障害で入院した患者で最も多いのはうつ病である。
精神病床に入院している患者では、「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」が最も多く、半分以上を占めている(令和2年)。
×② 人口当たりの精神病床数はOECD加盟国の中では低い水準である。
令和2年の精神病床数は32.5万床、精神病床の平均在院日数は277.0日で、以前と比べて減少・短縮しているものの、ともに国際的にみても非常に高い水準にある。
○③ 各都道府県及び政令指定都市に精神保健福祉センターが設置されている。
精神保健福祉センターは都道府県・指定都市に設置され、専門技術職員(精神保健福祉相談員含む)により保健所を中心とする地域精神保健業務を技術面から指導・援助する機関である。
×④ 精神障害者保健福祉手帳制度によって外来通院の医療費の給付が行われる。
精神障害者保健福祉手帳は、精神障害者が長期にわたり日常生活や社会生活に相当の制限を受けるなど、一定の精神障害の状態にあることを認定して交付されるもので、手帳の交付により、所得税・住民税の控除など各種税制の優遇措置や公共交通機関の運賃割引などが受けられる。なお、外来通院の医療費は、障害者総合支援法の自立支援医療(精神通院医療)として公費負担が行われている。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健
73 訪問看護に関する制度について正しいのはどれか。
- 平成12年(2000年)に老人訪問看護制度が創設された。
- サービスを開始するときに書面による契約は不要である。
- 訪問看護ステーションの管理者は医師もしくは看護師と定められている。
- 介護保険法に基づく訪問看護ステーションの開設には都道府県の指定が必要である。
④ 介護保険法に基づく訪問看護ステーションの開設には都道府県の指定が必要である。
【▼ポイント】
×① 平成12年(2000年)に老人訪問看護制度が創設された。
老人訪問看護制度は、平成4年(1992年)に医療保険による訪問看護サービスとして創設された。平成12年(2000年)には、介護保険法の施行に伴い、介護保険制度の居宅サービスの一つとして訪問看護サービスが位置づけられた。
×③ 訪問看護ステーションの管理者は医師もしくは看護師と定められている。
訪問看護ステーションの管理者は専従かつ常勤の保健師または看護師であって、適切な指定訪問看護を行うために必要な知識・技能を有する者とされる。
○④ 介護保険法に基づく訪問看護ステーションの開設には都道府県の指定が必要である。
訪問看護ステーションは、都道府県知事から介護保険法に基づき事業者の指定を受け開設している。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 2〕訪問看護
76 災害派遣医療チーム〈DMAT〉の活動で最も適切なのはどれか。
- 被災地域内での傷病者の搬送を行う。
- 外傷後ストレス障害〈PTSD〉に対応する。
- 長期の継続的な医療を行う。
- 被災地の復興を手助けする。
① 被災地域内での傷病者の搬送を行う。
【▼ポイント】
災害派遣医療チーム〈DMAT〉は急性期(おおむね48時間以内)から活動できる機動性を持つ専門的な医療チームである。長期にわたる活動(③)、復興期の活動(④)は想定されていない。また、発災後1か月以降に生じやすい外傷後ストレス障害〈PTSD〉(②)の対応時期とも重ならないとともに、外傷後ストレス障害などの精神医療等に専門的に当たるチームは、厳密には災害派遣精神医療チーム〈DPAT〉とされる。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 6〕災害時医療
78 日本における政府開発援助〈ODA〉の実施機関として正しいのはどれか。
- 国際協力機構〈JICA〉
- 世界保健機関〈WHO〉
- 国連開発計画〈UNDP〉
- 赤十字国際委員会〈ICRC〉
① 国際協力機構〈JICA〉
【▼ポイント】
開発途上国等への2国間協力として、わが国は国際協力機構〈JICA〉を通じた政府開発援助〈ODA〉を実施している。
【▼参照】
第1編2章 衛生行政活動の概況 11.国際協力 1〕2国間協力
84 日和見感染症の起炎菌はどれか。 2つ選べ。
- メチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉
- インフルエンザ菌
- A群溶連菌
- 髄膜炎菌
- 緑膿菌
① メチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉
⑤ 緑膿菌
【▼ポイント】
日和見感染症とは、正常な宿主に対しては病原性を発揮しない病原体が、抵抗力の弱まった宿主に対しては病原性を発揮して起こる感染症である。その主要な起炎菌として、多剤耐性緑膿菌〈MDRP〉やメチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉が挙げられ、特に院内感染対策としても重要な課題である。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 10〕院内感染対策
85 予防接種法において定期予防接種の対象となっていない疾患はどれか。(改題)
- 結核
- 水痘
- 風しん
- B型肝炎
- 流行性耳下腺炎
⑤ 流行性耳下腺炎
【▼ポイント】
定期予防接種対象(令和3年4月現在)
● 生ワクチン
BCG(結核ワクチン)、麻しん・風しん混合(MR)、麻しん(はしか)、風しん、水痘、ロタウイルス(1価、5価)
●不活化ワクチン・トキソイド
ポリオ(IPV)、ジフテリア・破傷風混合トキソイド(DT)、百日せき・ジフテリア・破傷風混合(DPT)、百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ混合(DPT‐IPV)、日本脳炎、インフルエンザ、B型肝炎、肺炎球菌(13価結合型)、肺炎球菌(23価莢膜ポリサッカライド)、インフルエンザ菌b型(Hib)、ヒトパピローマウイルス(HPV)(2価、4価)
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 4.予防接種 2〕予防接種法などによる対策
86 患者の権利について適切なのはどれか。2つ選べ。
- 患者は自分の医療情報を見ることができる。
- 患者は一度同意した治療方針を拒否できない。
- 患者はセカンドオピニオンを受けることができる。
- 患者が病室に不在の場合は検査の同意を家族から得る。
- 患者情報は患者と家族の同意なく保険会社に開示できる。
① 患者は自分の医療情報を見ることができる。
③ 患者はセカンドオピニオンを受けることができる。
【▼ポイント】
リスボン宣言(患者の権利宣言)では、主治医以外の医師による助言(セカンドオピニオン)を受けるなど選択の自由の権利や、医療上の記録に記載されている自己の情報を知るなど情報に対する権利の原則を規定している。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 1.医療法
午後
1 日本の令和3年(2021年)における主要死因別にみた死亡率が最も高いのはどれか。(改題)
- 肺炎
- 心疾患
- 悪性新生物〈腫瘍〉
- 脳血管疾患
③ 悪性新生物〈腫瘍〉
【▼ポイント】
令和3年(2021年)の死因順位は、1位が悪性新生物〈腫瘍〉、2位が心疾患、3位が老衰、4位が脳血管疾患、5位が肺炎となっている。悪性新生物〈腫瘍〉は昭和56年以降わが国の死亡の第一位であり、一貫して増加を続けている。
【▼参照】
第2編2章 人口動態 3.死亡 2〕死因の概要
2 循環式浴槽の水質汚染によって発生するのはどれか。
- B型肝炎
- マラリア
- レジオネラ肺炎
- 後天性免疫不全症候群〈AIDS〉
③ レジオネラ肺炎
【▼ポイント】
×① B型肝炎
B型肝炎は母子感染(垂直感染)や性行為感染、また、医療現場での針刺し事故などでも感染する可能性がある。
×② マラリア
マラリアは熱帯・亜熱帯地域に広く分布する感染症で、マハダラカによって媒介される。
○③ レジオネラ肺炎
レジオネラ属菌は自然界(河川、湖水、温泉や土壌など)に生息している細菌で、レジオネラ肺炎を引き起こす。
×④ 後天性免疫不全症候群〈AIDS〉
後天性免疫不全症候群〈AIDS〉は、性行為感染、血液または血液製剤の輸注による感染、母子感染(垂直感染)が主な感染経路で、とくに性行為感染が多くを占める。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策
3 要介護認定の申請先はどれか。
- 都道府県
- 市町村
- 診療所
- 訪問看護ステーション
② 市町村
【▼ポイント】
市町村は被保険者からの申請を受けて調査を行い、市町村に設置された介護認定審査会が要介護状態の区分の審査・判定を行う。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 1〕保険給付の手続き
4 医師の指示を受けて看護師が行うことのできる業務はどれか。
- 薬剤の処方
- 死亡の判定
- 静脈内注射
- 診断書の交付
③ 静脈内注射
【▼ポイント】
看護師は傷病者もしくは褥婦に対する療養上の世話または診療の補助を行うことを業とする(保健師助産師看護師法5条)。診療の補助の範囲は厚生労働省通知により解釈がなされ、静脈内注射は医師の指示の下に行うことができる。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 4〕看護職員等
6 令和元年(2019年)の国民生活基礎調査で、単独世帯の占める割合はどれか。(改題)
- 8.8%
- 28.8%
- 48.8%
- 68.8%
② 28.8%
【▼ポイント】
令和元年(2019年)では、単独世帯が28.8%、夫婦と未婚の子のみの世帯が28.4%、夫婦のみの世帯が24.4%、ひとり親と未婚の子のみの世帯が7.0%、三世代世帯が5.1%などとなっている。
【▼参照】
第2編1章 人口静態 1.全国人口の動向 6〕全国の世帯数
7 地域包括支援センターを設置できるのはどれか。
- 国
- 都道府県
- 市町村
- 健康保険組合
③ 市町村
【▼ポイント】
介護保険法に定められる地域包括支援センターは、住民の健康の保持と生活の安定のために必要な援助を行うもので、市町村に設置される。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 6〕地域包括ケアシステム
8 保健師助産師看護師法で規定されている看護師の義務はどれか。
- 看護研究
- 記録の保存
- 秘密の保持
- 関係機関との連携
③ 秘密の保持
【▼ポイント】
看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない(保健師助産師看護師法42条2項)。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 4〕看護職員等
10 死の三徴候に含まれるのはどれか。
- 呼名反応の消失
- 対光反射の消失
- 肛門緊張の消失
- 深部腱反射の消失
② 対光反射の消失
【▼ポイント】
死の三徴候は、①呼吸停止、②心拍停止、③瞳孔散大・対光反射消失である。
【▼参照】
第3編4章 疾病対策 6.臓器移植・組織移植 1〕脳死体からの臓器移植の概要
15 ウイルスが原因で発症するのはどれか。
- 血友病
- 鉄欠乏性貧血
- 再生不良性貧血
- 成人T細胞白血病〈ATL〉
④ 成人T細胞白血病〈ATL〉
【▼ポイント】
成人T細胞白血病〈ATL〉は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型〈HTLV-1〉の感染により発症する可能性があり、発症には主に母乳を介した母子感染が関与している。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向 11〕HTLV-1対策
25 令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査において、運動習慣のある女性の割合が最も高いのはどれか。(改題)
- 30~39歳
- 40~49歳
- 50~59歳
- 60~69歳
- 70歳以上
⑤ 70歳以上
【▼ポイント】
令和元年(2019年)の運動習慣のある割合は男女ともに70歳以上が最も多い(男42.7%・女35.9%)。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 2.健康増進対策 3〕身体活動・運動
34 関節リウマチで起こる主な炎症はどれか。
- 滑膜炎
- 骨髄炎
- 骨軟骨炎
- 関節周囲炎
① 滑膜炎
【▼ポイント】
関節リウマチは、関節滑膜を炎症の主座とする慢性の炎症性疾患である。症状の悪化に伴い、日常生活動作〈ADL〉の障害や生活の質〈QOL〉の低下を引き起こす。
【▼参照】
第3編4章 疾病対策 4.リウマチ・アレルギー疾患対策
36 障害者基本法で正しいのはどれか。
- 目的は障害者の保護である。
- 障害者の日が規定されている。
- 身体障害と知的障害の2つが対象である。
- 公共的施設のバリアフリー化の計画的推進を図ることとされている。
④ 公共的施設のバリアフリー化の計画的推進を図ることとされている。
【▼ポイント】
×① 目的は障害者の保護である。
障害者基本法は、障害者の自立や社会参加の支援のための施策を総合的・計画的に推進することを目的とする。
×② 障害者の日が規定されている。
障害者週間(12月3~9日)が設定されている。
×③ 身体障害と知的障害の2つが対象である。
身体障害、知的障害、精神障害(発達障害含む)その他の心身の機能の障害がある者を対象とする。
○④ 公共的施設のバリアフリー化の計画的推進を図ることとされている。
障害者基本法では、障害者等が障害を持たない者と同等に生活・活動する社会を目指すノーマライゼーションの理念の下に、公共的施設のバリアフリー化などを規定している。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 5.障害者福祉等
37 外来で患者の血液が付着したガーゼを処理する取り扱いで正しいのはどれか。
- 産業廃棄物
- 一般廃棄物
- 感染性産業廃棄物
- 感染性一般廃棄物
④ 感染性一般廃棄物
【▼ポイント】
感染性廃棄物とは、医療機関等から生じる、人が感染し、もしくは感染するおそれのある病原体が含まれ、もしくは付着している廃棄物またはこれらのおそれのある廃棄物であり、廃棄物処理法施行令に定める感染性一般廃棄物(紙くず、包帯、脱脂綿等)と感染性産業廃棄物(血液、注射針、メス、レントゲン定着液等)を指す。
【▼参照】
第9編5章 廃棄物対策の動向 4.特別管理廃棄物
38 社会福祉に関係する職種とその業務についての組合せで正しいのはどれか。
- 精神保健福祉士――精神障害者保健福祉手帳の発行
- 介護支援専門員――居宅サービス計画の作成
- 介護福祉士――生活保護の認定
- 社会福祉士――要介護度の認定
② 介護支援専門員――居宅サービス計画の作成
【▼ポイント】
介護支援専門員は、要介護者等を支援する上で解決すべき課題を把握(アセスメント)し、課題を解決するための居宅・施設の介護サービス計画を作成する。なお、介護サービス計画は利用者自ら作成し、居宅サービスを受けることも可能である。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 8〕介護関係従事者 等
46 地域連携クリニカルパスについて正しいのはどれか。
- 診療報酬の評価の対象ではない。
- 市町村を単位とした連携である。
- 記載内容は医師の治療計画である。
- 医療機関から在宅まで継続した医療を提供する。
④ 医療機関から在宅まで継続した医療を提供する。
【▼ポイント】
地域連携クリニカルパスは、急性期病院から回復期病院を経て早期に自宅に帰れるような全体的な診療計画をいい、治療を受ける地域内の医療機関で共有して用いる。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 2.医療計画
50 B型肝炎と比べたC型肝炎の特徴について正しいのはどれか。
- 劇症化しやすい。
- 性行為による感染が多い。
- 無症状のまま慢性化しやすい。
- ワクチン接種による感染予防対策がある。
③ 無症状のまま慢性化しやすい。
【▼ポイント】
×① 劇症化しやすい。
○③ 無症状のまま慢性化しやすい。
C型肝炎の多くは自覚症状が現れず慢性化し、肝硬変や肝がんに進行する場合がある。なお、劇症化する危険性があるものはA型肝炎である。
×② 性行為による感染が多い。
C型肝炎の主な感染経路は血液感染である。B型肝炎の感染経路の一つとして性行為感染がある。
×④ ワクチン接種による感染予防対策がある。
B型肝炎は定期予防接種の対象だが、C型肝炎は対象となっていない。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 3〕ウイルス性肝炎
58 小規模多機能型居宅介護で正しいのはどれか。
- 都道府県が事業者を指定する。
- 介護給付の施設サービスの1つである。
- 1日あたりの利用定員は19人以下である。
- 要介護者の状態に応じて短期間の宿泊が可能である。
④ 要介護者の状態に応じて短期間の宿泊が可能である。
【▼ポイント】
小規模多機能型居宅介護は、介護保険制度における地域密着型サービスで、居宅または厚生労働省令で定めるサービスの拠点に通わせ、または短期間宿泊(ショートステイ)させ、当該拠点において受ける日常生活上の世話および機能訓練をいう。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 2〕介護給付
72 健康保険法による訪問看護サービスで正しいのはどれか。
- サービス対象は65歳以上である。
- 介護支援専門員がケアプランを作成する。
- 末期の悪性腫瘍の療養者への訪問回数に制限はない。
- 特定疾患医療受給者証を持っている者は自己負担額1割である。
③ 末期の悪性腫瘍の療養者への訪問回数に制限はない。
【▼ポイント】
×① サービス対象は65歳以上である。
65歳以上の第1号被保険者で要介護等認定された者、40歳~64歳の第2号被保険者で脳血管疾患などの老化に起因する疾病(特定疾病)に罹患し、要介護等の認定をされた者には、介護保険による訪問看護の給付が行われ、それ以外の者には医療保険から給付が行われる。医療保険の給付に年齢の制限はない。
×② 介護支援専門員がケアプランを作成する。
介護支援専門員による介護サービス計画〈ケアプラン〉の作成を受けられるのは介護保険による給付である。
○③ 末期の悪性腫瘍の療養者への訪問回数に制限はない。
要介護者等であっても、末期の悪性腫瘍など厚生労働大臣が定める疾病等の利用者には医療保険から給付され、該当する者には原則週3日の訪問看護の提供を超えての利用が可能となっている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 2〕訪問看護
75 病院における医療安全管理体制で正しいのはどれか。
- 特定機能病院の医療安全管理者は兼任でよい。
- 医療安全管理のために必要な研修を3年に1度行う。
- 医療安全管理のための指針を整備しなければならない。
- 医薬品安全管理責任者の配置は義務づけられていない。
③ 医療安全管理のための指針を整備しなければならない。
【▼ポイント】
病院等の管理者は医療に係る安全管理のため、医療安全管理者や医療対話推進者を配置し、指針の整備、医療安全委員会の設置、職員研修(年2回程度)の実施などの体制を確保する。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 8〕医療安全管理体制
76 大規模災害時のトリアージで緊急度が最も高いと判断されるのはどれか。
- 下腿に創傷があるが補助があれば歩行できる。
- 自発呼吸はあるが橈骨動脈は触知できない。
- 気道確保しても自発呼吸がない。
- 開眼・閉眼の指示に応じる。
② 自発呼吸はあるが橈骨動脈は触知できない。
【▼ポイント】
トリアージ(災害時等の治療優先度の決定)の際にはトリアージタグ(識別票)を利用し、傷病者の緊急度に応じて、優先順に赤(Ⅰ:最優先治療群・重症群)、黄(Ⅱ:非緊急治療群・中等症群)、緑(Ⅲ:軽処置群・軽症群)、黒(0:不処置群・死亡群)と分類する。その判定にはSTART法が用いられ、歩行、呼吸、循環、意識の順番に確認を行い、歩行が出来ず、自発呼吸はあるが、呼吸数異常、脈拍異常、簡単な指示にも従えない意識レベルなどの場合は緊急度の高い赤に分類される。①は緑、③は黒、④は黄に該当する。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 6〕災害時医療
81 市町村の業務でないのはどれか。
- 妊娠届の受理
- 母子健康手帳の交付
- 乳児家庭全戸訪問事業
- 3歳児健康診査
- 小児慢性特定疾患公費負担医療給付
⑤ 小児慢性特定疾患公費負担医療給付
【▼ポイント】
児童福祉法の規定により、小児慢性特定疾病(令和3年11月1日現在、16疾患群788疾病)にかかっている18歳未満の児童等を対象に、都道府県、指定都市、中核市が実施主体となって医療費の自己負担分の一部を助成している。①、②、④は母子保健法に基づき、③は児童福祉法に基づき、住民により身近な市町村が母子保健福祉サービスを提供している。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 1.母子保健 2〕母子保健法に基づく施策
83 Ⅳ型(遅延型)アレルギー反応について正しいのはどれか。2つ選べ。
- IgE抗体が関与する。
- 肥満細胞が関与する。
- Tリンパ球が関与する。
- ヒスタミンが放出される。
- ツベルクリン反応でみられる。
③ Tリンパ球が関与する。
⑤ ツベルクリン反応でみられる。
【▼ポイント】
アレルギー反応はⅠ型からⅣ型に分類される。国民に身近なⅠ型アレルギー(即時型アレルギー)は、体内に入った原因物質(抗原)に対して、アレルギー素因を持つ人間がIgE抗体を作り出し、抗体量が十分になると、食物アレルギーや花粉症、アレルギー性鼻炎、蕁麻疹、アレルギー性結膜炎、アナフィラキシーショックなどの症状として表れる。一方、Ⅳ型アレルギー(遅延型アレルギー)はIgE抗体ではなく感作リンパ球が関与するもので、金属アレルギーや接触皮膚炎、ツベルクリン反応などが挙げられる。
【▼参照】
第3編4章 疾病対策 4,リウマチ・アレルギー疾患対策 2〕リウマチ・アレルギー疾患対策
89 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律により、病院の管理者が精神科病院に入院中の者に対して制限できるのはどれか。2つ選べ。
- 手紙の発信
- 弁護士との面会
- 任意入院患者の開放処遇
- 信書の中の異物の受け渡し
- 人権擁護に関する行政機関の職員との電話
③ 任意入院患者の開放処遇
④ 信書の中の異物の受け渡し
【▼ポイント】
指定医の判断による隔離や身体的拘束などの行動制限がある場合でも、信書の発受(①)や、行政機関の職員、代理人である弁護士との電話・面会(②・⑤)については制限できない。なお、信書の発受は制限できないが、異物が入っていると疑われる場合(④)は、病院職員立ち会いの下、本人が開封し、異物を取り除く等の処置を行うことができる。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健 3〕精神科の入院制度
対応外必修問題
午前6 出生時からみられ、生後3か月ころに消失する反射はどれか。
- 足踏み反射
- パラシュート反射
- Moro〈モロー〉反射
- Babinski〈バビンスキー〉反射
③ Moro〈モロー〉反射
【▼ポイント】
Moro〈モロー〉反射は新生児にみられる原始反射で、外部からの刺激に対して両手を広げて抱きつくような反射をいう。出生後すぐから反応が見られ、生後3~4か月ころには消失する。同様の原始反射として、手に刺激を与えた際に握ろうとする手掌把握反射がある。
午前7 閉経前と比べ閉経後に低下するホルモンはどれか。
- 卵胞ホルモン
- 黄体形成ホルモン〈LH〉
- 卵胞刺激ホルモン〈FSH〉
- 副腎皮質刺激ホルモン〈ACTH〉
① 卵胞ホルモン
【▼ポイント】
閉経(約50歳)ころの女性は、卵巣機能の低下により卵胞ホルモン(エストロゲン)の分泌量が減少する。一方で、性腺刺激ホルモンである卵胞刺激ホルモン(FSH)と黄体形成ホルモン(LH)は分泌を増やすため、閉経前後の更年期にはホルモンや自律神経のバランスが乱れ、ほてりや発汗、抑うつなどがみられる。
午前10 成人の1日の平均尿量はどれか。
- 100mL以下
- 200mL~400mL
- 1,000mL~1,500mL
- 3,000mL以上
③ 1,000mL~1,500mL
【▼ポイント】
成人の1日平均尿量は1,000mL~1,500mLである。なお、①は無尿(100mL未満)、②は乏尿(400mL未満)とされる。
午前11 普通の呼びかけで容易に開眼する場合、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉による評価はどれか。
- Ⅰ-3
- Ⅱ-10
- Ⅱ-30
- Ⅲ-100
② Ⅱ-10
【▼ポイント】
意識レベルを評価するジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉では、覚醒の程度に応じて、意識清明の0、刺激しなくても覚醒している状態であるⅠ桁(1・2・3)、刺激すると覚醒する状態であるⅡ桁(10・20・30)、刺激しても覚醒しない状態であるⅢ桁(100・200・300)に分類している。Ⅱ-10は普通の呼びかけで容易に開眼する、Ⅱ-30は痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと、かろうじて開眼する。
午前12 黄疸で黄染を確認しやすい部位はどれか。
- 歯
- 毛髪
- 爪床
- 眼球結膜
④ 眼球結膜
【▼ポイント】
黄疸は、赤血球が壊れる際にヘモグロビンが分解され、生成されたビリルビンにより皮膚や白眼(眼球結膜)が黄色くなる状態をいい、成人では全身のかゆみ(搔痒感)が生じることがある。
午前13 頻回の嘔吐で起こりやすいのはどれか。
- 脱水
- 貧血
- 発熱
- 血尿
① 脱水
【▼ポイント】
頻回の嘔吐により水分や大量の胃液(pH1~2の強酸性の胃酸)が失われると、脱水や血液のアルカリ性度が上昇する代謝性アルカローシスが生じやすい。
午前14 2型糖尿病の食事療法における1日のエネルギー摂取量の算出に必要なのはどれか。
- 体温
- 腹囲
- 標準体重
- 体表面積
③ 標準体重
【▼ポイント】
2型糖尿病患者の1日の(理想)エネルギー摂取量は、BMIから算出された標準体重(目標体重)と、身体活動に応じたエネルギー係数を乗じることで求められる。
午前15 抗血小板作用と抗炎症作用があるのはどれか。
- ヘパリン
- アルブミン
- アスピリン
- ワルファリン
③ アスピリン
【▼ポイント】
アスピリンは、非ステロイド抗炎症薬として解熱や鎮痛、抗炎症作用のほか、低用量であれば、血小板の機能を抑制し、血栓の生成を防止する抗血小板作用を発揮する。
午前16 注入時の浣腸液の温度で適切なのはどれか。
- 32~33℃
- 36~37℃
- 40~41℃
- 44~45℃
③ 40~41℃
【▼ポイント】
グリセリン浣腸などの浣腸液は、腸管の蠕動を促進するため、直腸温(深部体温)よりもやや高い約40℃とされる。
午前17 水平移動時の移送方法の写真を別に示す。

適切なのはどれか。
- ①
- ②
- ③
- ④
③ ③
【▼ポイント】
ストレッチャー等で水平の移動をする際には、患者の足側の方向に進む。先行する看護者は進行方向の安全や進路を確認するため前を向き、後行する看護者は患者の状態を観察しながら移送する。
午前19 薬物の有害な作用を予測するために収集する情報はどれか。
- 身長
- 過敏症の有無
- 1日水分摂取量
- 運動障害の有無
② 過敏症の有無
【▼ポイント】
医薬品等により引き起こされる有害作用を予測するため、アレルギー反応(過敏反応)やアレルギー性疾患(過敏症)の既往についての情報を収集することが適切である(アナフィラキシーショックの予防等)。
午前20 一般検査時の採血に最も用いられる静脈はどれか。
- 上腕静脈
- 大腿静脈
- 大伏在静脈
- 肘正中皮静脈
④ 肘正中皮静脈
【▼ポイント】
成人の採血においては前腕の静脈が多く用いられ、橈側皮静脈、肘正中皮静脈、尺側皮静脈などが選択される。
午前21 酸素吸入中に使用を禁止するのはどれか。
- 携帯電話
- ライター
- 電動歯ブラシ
- 磁気ネックレス
② ライター
【▼ポイント】
酸素は燃焼を助ける性質が強いガスであり、酸素吸入時などで酸素濃縮装置等を使用する際には、周囲2メートル以内に火気を置いてはならない。
午前22 創傷部位の創面の管理について正しいのはどれか。
- 洗浄する。
- 加圧する。
- 乾燥させる。
- マッサージする。
① 洗浄する。
【▼ポイント】
感染を伴わない創傷の治療において、現在は湿潤療法が基本で、消毒液ではなく水で洗浄し、乾燥しないように創傷被覆材(ドレッシング材)で保護する。
午前23 高齢者の転倒による骨折が最も多い部位はどれか。
- 頭蓋骨
- 肩甲骨
- 肋骨
- 尾骨
- 大腿骨
⑤ 大腿骨
【▼ポイント】
高齢者は加齢や運動低下に伴う骨密度の減少により、転倒時に脚の付け根である大腿骨頸部の骨折が多くみられる。令和元年国民生活基礎調査によると、介護が必要になった原因として、「骨折・転倒」は第4位の12.5%で、介護予防の面からも高齢者の転倒対策は重要である。
午前24 左心室から全身に血液を送り出す血管はどれか。
- 冠状動脈
- 下大静脈
- 肺動脈
- 肺静脈
- 大動脈
⑤ 大動脈
【▼ポイント】
左心室は大動脈を通じて全身に血液を送り、大静脈を通じて右心房に至る(体循環)。右心房から右心室に送り出された血液は、肺動脈を通じて肺に送られ、肺静脈を通じて左心房に至る(肺循環)。
午前25 徒手筋力テストの判定基準は[ ]段階である。
[ ]に入るのはどれか。
- 2
- 3
- 4
- 5
- 6
⑤ 6
【▼ポイント】
徒手筋力テスト(MMT)は、検査者が手を使って患者の筋力を判定する方法で、筋収縮が全くない0から、強い抵抗を加えても完全に可動域全体を動かせる5までの、6段階で評価される。
午後5 思春期に分泌が増加するホルモンはどれか。
- グルカゴン
- オキシトシン
- カルシトニン
- アンドロゲン
④ アンドロゲン
【▼ポイント】
思春期に、視床下部のGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)の刺激により、下垂体から黄体形成ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されることで、男子では男性ホルモンであるアンドロゲン(テストステロン)が、女子では女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)がつくられ、第二次性徴が発現・成熟する。
午後9 正常な胃液のpHはどれか。
- pH1~2
- pH4~5
- pH7~8
- pH10~11
① pH1~2
【▼ポイント】
胃液はpH1~2の強酸性で、頻回の嘔吐により大量の胃液が失われると、血液のアルカリ性度が上昇する代謝性アルカローシスや脱水が生じやすい。なお、主に胃の幽門部の粘膜で産出されるガストリンが胃酸(塩酸)の分泌を促している。
午後11 心原性ショックで直ちに現れる徴候はどれか。
- 血圧の上昇
- 体温の上昇
- 尿量の増加
- 脈拍数の増加
④ 脈拍数の増加
【▼ポイント】
心原性ショックは、不整脈や急性心筋梗塞等により心臓のポンプ機能が低下することで急性の循環不全等が起こる状態をいう。1回の心拍で送り出される血液量が減少することで血圧は低下し、脈拍は弱く速くなる(頻脈性不整脈)。
午後12 呼吸困難がある患者の安楽な体位はどれか。
- 起坐位
- 仰臥位
- 砕石位
- 骨盤高位
① 起坐位
【▼ポイント】
起坐位では起坐呼吸により呼吸困難が軽減されるため、肺うっ血のため呼吸困難が生じている左心不全患者に多くみられる。
午後13 尿の回数が異常に多い状態を表すのはどれか。
- 頻尿
- 乏尿
- 尿閉
- 尿失禁
① 頻尿
【▼ポイント】
頻尿は尿の回数が異常に多い状態をさし、回数が異常に少ない場合は希尿という。なお、1日の尿量でみた異常では、400mL未満の乏尿(②)、100mL未満の無尿がある。
午後14 ジゴキシンの主な有害な作用はどれか。
- 振戦
- 不整脈
- 聴覚障害
- 満月様顔貌〈ムーンフェイス〉
② 不整脈
【▼ポイント】
ジゴキシン(ジギタリス)は、心筋細胞内のカルシウム濃度を高め、心筋の収縮力を増強する強心薬として、心不全の治療などに用いられる。副作用としては、不整脈や悪心などがある。
午後16 医療機関における麻薬の取り扱いについて正しいのはどれか。
- 麻薬と毒薬は一緒に保管する。
- 麻薬注射液は複数の患者に分割して用いる。
- 使用して残った麻薬注射液は病棟で廃棄する。
- 麻薬注射液の使用後のアンプルは麻薬管理責任者に返却する。
④ 麻薬注射液の使用後のアンプルは麻薬管理責任者に返却する。
【▼ポイント】
アンプルの麻薬注射液は、管理面、衛生面に問題がある場合、同一患者や複数の患者に分割して施用することは控え(②)、施用後のアンプルは残液がある場合および空であっても麻薬管理者に返納する(③・④)。
午後17 主観的情報はどれか。
- 呼吸数
- 飲水量
- 苦悶様の顔貌
- 息苦しさの訴え
④ 息苦しさの訴え
【▼ポイント】
主観的(Subjective)情報は患者の話や訴えから得られた情報で、観察や測定で得られる客観的(Objective)情報と区別して、患者の状態を把握する。なお、息苦しさの訴えは主観的情報から評価される呼吸困難の症状である。
午後18 右片麻痺患者の寝衣交換で適切なのはどれか。
- 左から脱がせ、右から着せる。
- 左から脱がせ、左から着せる。
- 右から脱がせ、左から着せる。
- 右から脱がせ、右から着せる。
① 左から脱がせ、右から着せる。
【▼ポイント】
片麻痺等のある者や片腕の持続点滴患者の衣類の着脱介助時には脱健着患が原則で、脱ぐときは健側から、着るときは患側から行う。本問の場合は、麻痺のない左(健側)から脱がせ、麻痺のある右(患側)から着せる。
午後19 転倒・転落するリスクの高い薬はどれか。
- 去痰薬
- 降圧薬
- 抗菌薬
- 消化酵素薬
② 降圧薬
【▼ポイント】
降圧薬による血圧の低下により、起立性低血圧などめまいやふらつき、意識障害が起こり、転倒・転落を起こすリスクが高まる。
午後20 鎖骨下静脈へ中心静脈カテーテルを挿入する際に起こりやすい合併症はどれか。
- 肺炎
- 気胸
- 嗄声
- 無気肺
② 気胸
【▼ポイント】
気胸は、原因の一つとして外傷により胸膜が損傷し、胸腔内に空気が漏れ出て肺が縮むことをいう。中心静脈カテーテルを用いて高カロリー輸液などを投与する際(中心静脈栄養法〈TPN〉))、中心静脈のそばにある肺を誤って穿刺すると、気胸が起こるおそれがある。呼吸困難などが生じ気胸が疑われる場合は、X線撮影により診断する。
午後21 点滴静脈内注射の血管外漏出で注意すべき初期症状はどれか。
- 疼痛
- 水疱
- 潰瘍
- 皮膚壊死
① 疼痛
【▼ポイント】
点滴静脈内注射の際、刺入部位の腫脹や疼痛、発赤が生じた場合、血管外漏出の初期症状である。周辺組織の炎症や壊死につながり、重症化するおそれもあるため、直ちに注入を中止する必要がある。
午後22 湿性罨法はどれか。
- 氷枕
- 冷パップ
- 湯たんぽ
- 電気あんか
② 冷パップ
【▼ポイント】
罨法には、乾いた状態で器具を用いる乾性罨法、湿った状態で器具を用いる湿性罨法があり、さらに温熱刺激により血管拡張などを図る温罨法、冷却により局所の炎症の抑制などを図る冷罨法にわかれる。冷パップは湿布の一つで湿性冷罨法である。①氷枕は乾性冷罨法、③湯たんぽと④電気あんかは乾性温罨法に当たる。
午後23 気管内吸引の時間が長いと低下しやすいのはどれか。
- 血圧
- 体温
- 血糖
- 動脈血酸素飽和度〈SaO2〉
④ 動脈血酸素飽和度〈SaO2〉
【▼ポイント】
1回の気管内吸引では、挿入開始から終了までの時間は15秒以内にすることが推奨され、30秒以上実施した場合、動脈血酸素飽和度〈SaO2〉が低下し、低酸素血症をきたすことがある。また、気管の粘膜を傷つけないために吸引圧は-100〜-150mmHgに調整する。
午後24 思春期に特徴的にみられるのはどれか。
- 愛着行動
- 分離不安
- 自己同一性の確立
- 基本的信頼関係の確立
③ 自己同一性の確立
【▼ポイント】
思春期には、依存と独立のアンビバレント〈両価的〉な感情を持ちながらも、エリクソンが青年期の発達課題でいう自我同一性(アイデンティティ)の確立の過程で、親からの心理的離乳、年長者の価値観への拒絶、同世代の仲間との価値観の共有がみられる(第2反抗期)。
資料 厚生労働省「第100回保健師国家試験、第97回助産師国家試験、第103回看護師国家試験及び第103回看護師国家試験(追加試験)の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
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