第109回看護師国家試験―「国民衛生の動向」対応問題・回答
令和2年2月16日(日)に実施された第109回看護師国家試験について、「国民衛生の動向2022/2023」で内容を解説している問題、関連の強い問題をピックアップし、その正答と解説を示します。また、合格のために最重要となる必修問題(午前・午後冒頭25問と想定)については、本誌未対応の問題も最後にすべてまとめています。
問題を解きながら不明な部分を本誌で確認し、学習効率の向上にご活用下さい。
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厚生の指標増刊
国民衛生の動向 2022/2023
発売日:2022.8.26
定価:2,695円(税込)
472頁・B5判
雑誌コード:03854-08
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▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向
国民衛生の動向対応問題・掲載数
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出題数 |
対応問題数 |
対応問題率 |
必修問題 |
50問 |
19問 |
38.0% |
一般問題 |
130問 |
39問 |
30.0% |
計 |
180問 |
58問 |
32.2% |
※必修問題は午前・午後の冒頭25問と想定。未対応の必修問題は末尾に掲載。状況設定問題は除く。
午前
1 令和3年(2021年)の人口動態統計における主要死因別の死亡率で心疾患の順位はどれか。(改題)
- 1位
- 2位
- 3位
- 4位
② 2位
【▼ポイント】
令和3年(2021年)の死因順位は、1位が悪性新生物〈腫瘍〉、2位が心疾患、3位が老衰、4位が脳血管疾患、5位が肺炎となっている。
【▼参照】
第2編2章 人口動態 3.死亡 2〕死因の概要 4〕死因―心疾患
2 運動習慣が身体機能にもたらす効果はどれか。
- 肺活量の減少
- 耐糖能の低下
- 免疫力の向上
- 中性脂肪の増加
③ 免疫力の向上
【▼ポイント】
適切な身体活動・運動は、生活習慣病の予防やメンタルヘルス、生活の質の改善に有効であり、①×肺活量の増加、②×耐糖能の向上、③○免疫力の向上、④×中性脂肪の減少はそのもたらす効果である。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 2.健康増進対策 3〕身体活動・運動
3 介護保険の第2号被保険者は、( )歳以上65歳未満の医療保険加入者である。
( )に入る数字はどれか。
- 30
- 40
- 50
- 60
② 40
【▼ポイント】
介護保険の第1号被保険者は65歳以上の者、第2号被保険者は40~64歳の者である。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 1〕保険給付の手続き
4 健康保険法による療養の給付の対象はどれか。
- 手術
- 健康診査
- 予防接種
- 人間ドック
① 手術
【▼ポイント】
医療給付内容には、診察、処置・手術、薬剤・治療材料、食事療養、入院・看護、在宅療養・看護、訪問看護がある。国民医療費からも除かれるとおり、健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種などに要する費用は含まない。
【▼参照】
第4編2章 医療保険制度 3.医療保険各制度の概要と現状
7 令和元年(2019年)の国民生活基礎調査における平均世帯人数はどれか。(改題)
- 1.39
- 2.39
- 3.39
- 4.39
② 2.39
【▼ポイント】
令和元年(2019年)の平均世帯人員は2.39人となっている。平均世帯人員は、30年前の平成元年(1989年)には3.10人であり、単独世帯の増加、三世代世帯の減少などにより、減少傾向が続いている。
【▼参照】
第2編1章 人口静態 1.全国人口の動向 6〕全国の世帯数
8 レスパイトケアの目的はどれか。
- 介護者の休息
- 介護者同士の交流
- 介護者への療養指導
- 療養者の自己決定支援
① 介護者の休息
【▼ポイント】
同居の主な介護者の悩みやストレスの原因をみると「家族の病気や介護」が最も多く、こうした介護者の負担軽減のため、訪問介護やデイサービス、ショートステイなどを利用したレスパイトケア(介護者の一時的な休息支援)の拡充が図られている。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 10〕介護者・要介護者等の状況
9 死の三徴候に含まれるのはどれか。
- 筋の弛緩
- 角膜の混濁
- 呼吸の停止
- 呼名反応の消失
③ 呼吸の停止
【▼ポイント】
死の三徴候は、①呼吸停止、②心拍停止、③瞳孔散大・対光反射消失である。
【▼参照】
第3編4章 疾病対策 6.臓器移植・組織移植 1〕脳死体からの臓器移植の概要
14 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律〈医薬品医療機器等法〉による毒薬の表示を別に示す。

正しいのはどれか。
- A
- B
- C
- D
④ D
【▼ポイント】
医薬品医療機器等法(薬機法〉では、医薬品のうち毒性・劇性が強いものを毒薬・劇薬として厚生労働大臣が指定し、取り扱いを定めている。毒薬はその直接の容器または直接の被包に、黒地に白枠、白字で、その品名および「毒」の文字を記載しなければならない。なお劇薬は白地に赤枠、赤字で、その品名および「劇」の文字が記載されていなければならない(本問では①Aの色)。
【▼参照】
第6編2章 医薬品等の生産と輸出入 2.医薬品等の承認・許可制度
25 令和元年(2019年)の国民生活基礎調査で、男性の有訴者の症状が最も多いのはどれか。(改題)
- 腰痛
- もの忘れ
- 体がだるい
- 目のかすみ
- 手足の関節が痛む
① 腰痛
【▼ポイント】
令和元年(2019年)の病気やけが等で自覚症状のある者(有訴者)は、人口千人当たり302.5(男270.8・女332.1)であり、症状別にみると男性は腰痛、女性は肩こりが最も高い。
【▼参照】
第2編4章 健康状態と受療状況 1.健康状態 1〕有訴者の状況
29 公費医療と法の組合せで正しいのはどれか。
- 未熟児の養育医療――医療法
- 結核児童の療養給付――児童福祉法
- 麻薬中毒者の措置入院――精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉
- 定期予防接種による健康被害の救済措置――感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉
② 結核児童の療養給付――児童福祉法
【▼ポイント】
児童福祉法により、18歳未満の結核児童に対して、公費医療として療養の給付を行っている。①は母子保健法、③は麻薬及び向精神薬取締法、④は予防接種法である。
【▼参照】
第4編2章 医療保険制度 5.公費医療 1〕公費医療制度の概要
30 廃棄する物とその区分との組合せで正しいのはどれか。
- 滅菌パックの袋――産業廃棄物
- エックス線フィルム――一般廃棄物
- 血液の付着したメスの刃――感染性産業廃棄物
- pH12.5以上のアルカリ性の廃液――感染性一般廃棄物
③ 血液の付着したメスの刃――感染性産業廃棄物
【▼ポイント】
感染性廃棄物とは、医療機関等から生じる、人が感染し、もしくは感染するおそれのある病原体が含まれ、もしくは付着している廃棄物またはこれらのおそれのある廃棄物であり、廃棄物処理法施行令に定める感染性一般廃棄物(紙くず、包帯、脱脂綿等)と感染性産業廃棄物(血液、注射針、メス、レントゲン定着液等)を指す。
【▼参照】
第9編5章 廃棄物対策の動向 4.特別管理廃棄物
34 インシデントレポートで適切なのはどれか。
- 責任追及のためには使用されない。
- インシデントの発生から1か月後に提出する。
- 主な記述内容はインシデントの再発防止策である。
- 実施前に発見されたインシデントの報告は不要である。
① 責任追及のためには使用されない。
【▼ポイント】
医療機関内で医療事故につながりかねないインシデント(ヒヤリ・ハット)が発生した場合、再発防止を図ることを目的に、速やかにインシデントレポートにより、状況把握、要因分析、対策、職種間の情報共有を実施する。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 9〕医療安全に係る取り組み
45 ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉に感染している患者で、後天性免疫不全症候群〈AIDS〉の状態にあると判断できる疾患はどれか。
- 季節性インフルエンザ
- ニューモシスチス肺炎
- ノロウイルス性腸炎
- 単純性膀胱炎
② ニューモシスチス肺炎
【▼ポイント】
ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉に感染した場合、多くはほとんど症状もなく経過し、無症候性キャリアの状態で平均10年程度経過した後に症状が現れ、ニューモシスチス肺炎(カリニ肺炎)やカンジダ症、カポジ肉腫などの23の指標疾患の1つ以上を発症すると後天性免疫不全症候群〈AIDS〉と診断される。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 4〕HIV・エイズ(AIDS)
46 細菌性髄膜炎の症状はどれか。
- 羞明
- 羽ばたき振戦
- Raynaud〈レイノー〉現象
- Blumberg〈ブルンベルグ〉徴候
① 羞明
【▼ポイント】
細菌性髄膜炎は感染症法に定める5類感染症で、項部硬直、高熱、羞明(光過敏)、錯乱、頭痛、嘔吐などの症状が主にみられる。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 1.感染症対策
54 認知症が疑われる人や認知症の人およびその家族を訪問し、複数の専門職でアセスメントや自立生活の支援を行うのはどれか。
- 成年後見人
- 介護認定審査会
- 認知症対応型通所介護
- 認知症初期集中支援チーム
④ 認知症初期集中支援チーム
【▼ポイント】
認知症施策推進大綱に則り認知症支援体制の整備が推進されている。認知症初期集中支援チームは認知症の人やその家族に早期に関わるチームであり、早期診断・早期対応に向けた支援を行う。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 2.老人保健 2〕認知症施策のあゆみ
56 幼児を対象とする定期予防接種はどれか。
- DTワクチン(二種混合)
- ロタウイルスワクチン
- BCGワクチン
- 水痘ワクチン
④ 水痘ワクチン
【▼ポイント】
水痘ワクチンは生後12月から生後36月に至るまでの幼児を対象とする。①ジフテリア・破傷風混合トキソイド(DT)ワクチンは11歳以上13歳未満の者、②ロタウイルスワクチンは出生6週0日後から24(32)週0日後までの乳児、③BCGワクチンは1歳に至るまでの乳児を対象年齢としている(標準的な接種年齢は別に通知で規定されている)。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 4.予防接種 2〕予防接種法などによる対策
58 幼児の心肺蘇生における胸骨圧迫の方法で正しいのはどれか。
- 胸骨中央下部を圧迫する。
- 実施者の示指と中指とで行う。
- 1分間に60回を目安に行う。
- 1回の人工呼吸につき3回行う。
① 胸骨中央下部を圧迫する。
【▼ポイント】
一次救命処置(BLS)における心肺蘇生法では、胸骨圧迫30回(約5cm沈み込む強さ、100~120回/分の速さ)と人工呼吸2回の組み合わせによる処置を行う。幼児や小児の場合も、圧迫箇所が胸骨中央下部である点(①)や、圧迫回数・速さ(③)、人工呼吸回数(④)は成人と同様である(ただし、胸骨圧迫の強さは胸の厚みの3分の1が沈み込む深さとされる)。なお、②のように2本指の圧迫は乳児(1歳未満)の場合に行う。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 2.各医療対策の動向 3〕救急、休日夜間医療
63 正常に経過している妊娠36週の妊婦が、次に妊婦健康診査を受診する時期として推奨されるのはどれか。
- 4週後
- 3週後
- 2週後
- 1週後
④ 1週後
【▼ポイント】
男女雇用機会均等法により、妊婦が事業主に妊婦健康診査(母子保健法)を受診する時間の確保を請求できることが規定されている。その時期としては、妊娠23週までは4週間に1回、妊娠24~35週までは2週間に1回、妊娠36週以後出産までは1週間に1回が推奨される。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 4.児童家庭福祉 6〕妊産婦等の就業
64 災害派遣精神医療チーム〈DPAT〉で正しいのはどれか。
- 厚生労働省が組織する。
- 被災地域の精神科医療機関と連携する。
- 発災1か月後に最初のチームを派遣する。
- 派遣チームの食事は被災自治体が用意する。
② 被災地域の精神科医療機関と連携する。
【▼ポイント】
都道府県と指定都市は、被災地で精神医療や精神保健活動の支援を行う専門的なチームとして、災害派遣精神医療チーム〈DPAT〉を平時において整備し、発災時には概ね48時間以内に活動できる先遣隊を派遣する。派遣チームは交通・通信手段や宿泊、日常生活面で自立して活動する必要がある。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健 6〕精神障害者福祉
65 平成16年(2004年)に示された精神保健医療福祉の改革ビジョンの内容で正しいのはどれか。
- 地域生活支援の強化
- 任意入院制度の新設
- 医療保護入院の明確化
- 精神障害者の定義の見直し
① 地域生活支援の強化
【▼ポイント】
精神保健医療福祉の改革ビジョンは、「入院医療中心から地域生活中心へ」という基本的方策を示したものであり、受入条件が整えば退院可能な精神病床の入院患者について、地域生活支援体制の強化等の基盤強化を推進している。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健 1〕精神保健対策のあゆみ
67 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉に定められている隔離について正しいのはどれか。
- 隔離の理由は解除する時に患者に説明する。
- 開始した日時とその理由を診療録に記載する。
- 隔離室には同時に2人の患者まで入室可能である。
- 行動制限最小化委員会で開始の必要性を判断する。
② 開始した日時とその理由を診療録に記載する。
【▼ポイント】
精神保健指定医が必要と判断した12時間以上の患者の隔離を行うに当たっては、①隔離室には患者一人のみ入室させること、②隔離を行う際には患者に理由を知らせ、その理由、開始・解除日時を診療録に記載すること、③隔離期間中は注意深い臨床的観察や適切な治療を確保し、部屋の衛生の確保に配慮すること、④医師は原則として少なくとも毎日一回診察を行うこと―といった遵守事項が定められている。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健 3〕精神科の入院制度
69 Aさん(68歳、男性)は、筋萎縮性側索硬化症(ALS)のため在宅療養中で、気管切開下で人工呼吸器を使用し、要介護5の認定を受けている。
Aさんに提供される訪問看護で適切なのはどれか。
- 医療保険から給付される。
- 特別訪問看護指示書を受けて実施される。
- 複数の訪問看護事業所の利用はできない。
- 理学療法士による訪問は給付が認められない。
① 医療保険から給付される。
【▼ポイント】
○① 医療保険から給付される。
要介護者等には介護保険による訪問看護の給付が行われるが、厚生労働省が定める疾病等の利用者には医療保険の給付による訪問看護が行われる。「筋萎縮性側索硬化症」や「人工呼吸器を使用している状態」はそれに該当し、医療保険から給付される。
×② 特別訪問看護指示書を受けて実施される。
急性増悪等により一時的に頻回(週4日以上)の訪問看護の必要があるとして主治医による特別訪問看護指示書(14日間有効、一部2回交付可)の交付を受けた者には医療保険から給付が行われるが、本問では該当しない。
×④ 理学療法士による訪問は給付が認められない。
訪問看護を行うことができる職種として、看護師、保健師、准看護師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士が認められている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 2〕訪問看護
72 令和2年(2020年)の介護サービス施設・事業所調査における要介護度別利用者数の構成割合で、要介護5の利用者が最も多いのはどれか。(改題)
- 訪問介護
- 訪問看護ステーション
- 居宅介護支援
- 訪問入浴介護
④ 訪問入浴介護
【▼ポイント】
各サービスにおける要介護5の利用者の割合をみると、訪問入浴介護は48.1%と約半数を占め、訪問介護は10.1%、訪問看護ステーションは9.1%、居宅介護支援は6.7%となっている。要介護5の者はほぼ寝たきりの状態に当たり、食事、排泄、入浴などの日常生活上の介助が特に必要とされる。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 2〕介護給付
73 医療法における医療計画で正しいのはどれか。
- 国が策定する。
- 在宅医療が含まれる。
- 3年ごとに見直される。
- 病床の整備は含まれない。
② 在宅医療が含まれる。
【▼ポイント】
医療法に定める医療計画は、各都道府県が地域の実情に応じて主体的に策定するもので、計画期間である6年ごとに達成状況の調査・分析・評価・公表を行う。記載事項として、5疾病(がん、脳卒中、心血管疾患、糖尿病、精神疾患)と5事業(救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療)のほか、在宅医療、地域医療構想に基づく病床の整備などが含まれる。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 2.医療計画
74 災害対策基本法に定められている内容で正しいのはどれか。
- 物資の備蓄
- 避難所の設置
- 災害障害見舞金の支給
- 救護班による医療の提供
① 物資の備蓄
【▼ポイント】
災害対策基本法は統一的かつ計画的な防災体制の整備を図る、災害対策の最も基本となる法律で、物資の備蓄や防災訓練義務といった平時における予防等の責務などが規定されている。発災後、被災地域に適用される災害救助法では、避難所や応急仮設住宅の設置(②)、衣食や医療・助産の提供(④)など応急対策が行われる。復旧・復興にかかる救済援助措置(③)としては、激甚災害法や災害弔慰金の支給等に関する法律などで定められている。
【▼参照】
第1編2章 衛生行政活動の概況 9.健康危機管理体制
75 2015年の経済協力開発機構〈OECD〉の報告書の日本に関する記述で正しいのはどれか。
- 喫煙率が最も低い。
- 高齢化率が最も高い。
- 人口千人当たりの病床数が最も少ない。
- 国内総生産〈GDP〉に対する医療費の割合が最も高い。
② 高齢化率が最も高い。
【▼ポイント】
65歳以上の人口割合をみると、日本は28.9%(2021.10.1)と最も高く、次いでイタリア23.5%(2021.1.1)、ドイツ22.0%(2020.12.31)となっている。
【▼参照】
第2編1章 人口静態 1.全国人口の動向 1〕全国の総人口 等
86 地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律〈医療介護総合確保推進法〉で推進するのはどれか。2つ選べ。
- 子育て世代包括支援センター
- 地域包括ケアシステム
- 子どもの医療費の助成
- 地域生活支援事業
- 地域医療構想
② 地域包括ケアシステム
⑤ 地域医療構想
【▼ポイント】
平成26年(2014年)に成立した医療介護総合確保推進法では、地域における効率的かつ効果的な医療提供体制の確保(地域包括ケアシステムの構築)のため、都道府県は医療計画の一部として地域医療構想を策定することとし、構想区域ごと、病床機能ごとに、令和7年(2025年)の医療需要、病床の必要量などを推計している。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 2.医療計画 5〕地域医療構想
87 アルコール依存症の一次予防はどれか。2つ選べ。
- 年齢確認による入手経路の制限
- スクリーニングテストの実施
- 精神科デイケアへの参加
- 小学生への健康教育
- 患者会への参加
① 年齢確認による入手経路の制限
④ 小学生への健康教育
【▼ポイント】
疾病の予防対策には、生活習慣の改善や予防接種により健康の増進を図って発病を予防する一次予防と、健診などで疾病を早期発見したり、治療により疾患の重症化を予防する二次予防、リハビリテーションなど疾病が進行した後の社会復帰などを図る三次予防がある。②は二次予防、③と⑤は三次予防に当たる。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 1.生活習慣病 1〕生活習慣病の概念
88 医療法で規定されているのはどれか。2つ選べ。
- 保健所
- 特定機能病院
- 地方衛生研究所
- 市町村保健センター
- 医療安全支援センター
② 特定機能病院
⑤ 医療安全支援センター
【▼ポイント】
①保健所と④市町村保健センターは地域保健法に規定されている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 9〕医療安全に係る取り組み、5.医療施設
90 世界保健機関〈WHO〉の主要な活動はどれか。2つ選べ。
- 児童労働の撲滅
- 保健事業の技術的協力
- 人類の飢餓からの解放
- 感染症の撲滅事業の促進
- 労働者の労働条件の改善
② 保健事業の技術的協力
④ 感染症の撲滅事業の促進
【▼ポイント】
世界保健機関〈WHO〉は感染症対策や衛生統計の実施、国際疾病分類(ICD)等の基準づくり、保健分野における技術協力・研究開発など広範な活動を実施している。なお、①と⑤は国際労働機関〈ILO〉、③は国際連合食糧農業機関〈FAO〉の活動である。
【▼参照】
第1編2章 衛生行政活動の概況 12.世界保健機関(WHO)
午後
1 令和2年(2020年)の日本における完全生命表で女性の平均寿命に最も近いのはどれか。(改題)
- 78年
- 83年
- 88年
- 93年
③ 88年
【▼ポイント】
平均寿命とは0歳の平均余命をいい、令和2年(2020年)の第23回生命表では、男性が81.56年、女性が87.71年となっている。
【▼参照】
第2編3章 生命表 2.平均余命
2 令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査で20歳以上の男性における喫煙習慣者の割合に最も近いのはどれか。(改題)
- 7%
- 17%
- 27%
- 47%
③ 27%
【▼ポイント】
令和元年(2019年)の喫煙率は男性が27.1%、女性が7.6%となっている。男女ともに喫煙率は低下傾向にある。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 2.健康増進対策 6〕喫煙
3 じん肺に関係する物質はどれか。
- フロン
- アスベスト
- ダイオキシン類
- ホルムアルデヒド
② アスベスト
【▼ポイント】
じん肺は、主に粉じん(石綿〈アスベスト〉含む)の発生する環境で仕事をしている労働者が、粉じんを吸入することによって肺に生じた線維増殖性変化を主体とする疾病をいう。
【▼参照】
第8編 労働衛生 5.職業性疾病の予防対策 1〕粉じん障害防止対策
4 日本において国民皆保険制度となっているのはどれか。
- 医療保険
- 介護保険
- 雇用保険
- 労災保険
① 医療保険
【▼ポイント】
わが国はすべての国民が、①被用者保険、②国民健康保険、③後期高齢者医療のいずれかの医療保険制度に加入することとされており、この国民皆保険はわが国の医療保険制度の大きな特徴となっている。
【▼参照】
第4編2章 医療保険制度 1.医療保険制度
5 保健師助産師看護師法で規定されている看護師の義務はどれか。
- 研究をする。
- 看護記録を保存する。
- 看護師自身の健康の保持増進を図る。
- 業務上知り得た人の秘密を漏らさない。
④ 業務上知り得た人の秘密を漏らさない。
【▼ポイント】
看護師は、正当な理由がなく、その業務上知り得た人の秘密を漏らしてはならない。(保健師助産師看護師法42条2項)
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 4〕看護職員等
9 令和3年(2021年)の日本の人口推計で10年前より増加しているのはどれか。(改題)
- 総人口
- 年少人口
- 老年人口
- 生産年齢人口
③ 老年人口
【▼ポイント】
平成22年(2010年)と令和2年(2020年)を比較すると、総人口は191万人減、年齢3区分別にみると、年少人口(0~14歳)は177万人減、生産年齢人口(15~64歳)は594万人減、老年人口(65歳以上)は678万人増となっている。
【▼参照】
第2編1章 人口静態 1.全国人口の動向 2〕年齢別人口
10 医療法に規定されている診療所とは、患者を入院させるための施設を有しないもの又は( )人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。
( )に入る数字はどれか。
- 9
- 19
- 29
- 39
② 19
【▼ポイント】
なお、病院は20人以上の患者を入院させるための施設を有するものをいう。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 5.医療施設
21 標準予防策〈スタンダードプリコーション〉で感染源として取り扱うのはどれか。
- 汗
- 爪
- 唾液
- 頭髪
③ 唾液
【▼ポイント】
感染源の有無にかかわらず、血液・体液、分泌物、排泄物、創傷のある皮膚・粘膜(湿性生体物質)を介する微生物の伝播リスクを減らすために、すべての患者に対して標準的な感染予防策(スタンダードプリコーション)を行う。なお、①汗は湿性生体物質であるが標準予防策からは除かれる。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 10〕院内感染対策
22 赤血球製剤の保存温度で適切なのはどれか。
- -6~-2℃
- 2~6℃
- 12~16℃
- 22~26℃
② 2~6℃
【▼ポイント】
輸血用血液製剤の保存温度は、赤血球製剤は2~6℃、血漿製剤は-20℃以下、血小板製剤は 20~24℃(保存中は凝集の予防のため振とうが必要)である。
【▼参照】
第6編4章 特殊な医薬品、毒物・劇物 1.血液製剤
34 国民健康保険で正しいのはどれか。
- 被用者保険である。
- 保険者は国である。
- 高額療養費制度がある。
- 保険料は加入者の年齢で算出する。
③ 高額療養費制度がある。
【▼ポイント】
×① 被用者保険である。
わが国の医療保険は、被用者保険(職域保険)、国民健康保険、後期高齢者医療制度に大別される。
×② 保険者は国である。
国民健康保険の保険者は都道府県・市町村・国民健康保険組合である。
○③ 高額療養費制度がある。
各医療保険には、療養に要する費用が著しく高額になった場合、自己負担限度額を超える部分を償還払いする高額療養費制度が用意されている。
【▼参照】
第4編2章 医療保険制度 1.医療保険制度
35 高齢者の虐待防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律〈高齢者虐待防止法〉で、措置された高齢者が入所する社会福祉施設はどれか。
- 有料老人ホーム
- 特別養護老人ホーム
- 高齢者生活福祉センター
- サービス付き高齢者向け住宅
② 特別養護老人ホーム
【▼ポイント】
高齢者を保護・分離する手段として、居宅サービスの措置、養護老人ホームへの措置、特別養護老人ホームへのやむを得ない事由による措置などを講じることが規定されている。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 6.高齢者福祉等 2〕高齢者虐待防止
36 母子保健統計の算出方法で出生数を分母としているのはどれか。
- 妊娠満22週以後の死産率
- 周産期死亡率
- 乳児死亡率
- 死産率
③ 乳児死亡率
【▼ポイント】
①× 妊娠満22週以後の死産率
出生数+妊娠満22週以後の死産数の千対
②× 周産期死亡率
出生数+妊娠満22週以後の死産数の千対
③○ 乳児死亡率
出生率の千対
④× 死産率
出産(出生+死産)数の千対
【▼参照】
第2編2章 人口動態 7.乳児死亡
37 健康増進法に基づき実施されるのはどれか。
- 受療行動調査
- 特定保健指導
- アレルギー疾患対策
- 受動喫煙の防止対策
④ 受動喫煙の防止対策
【▼ポイント】
健康増進法は、国民健康・栄養調査、保健指導等、特定給食施設、受動喫煙防止などを規定している。なお、②特定保健指導は高齢者の医療の確保に関する法律に基づき実施される。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 2.健康増進対策 6〕喫煙
38 判断能力のある成人患者へのインフォームド・コンセントにおける看護師の対応で適切なのはどれか。
- 患者の疑問には専門用語を用いて回答する。
- 今後の治療に関しては医療者に任せるように話す。
- 治療方針への同意は撤回できないことを説明する。
- 納得ができるまで医師からの説明が受けられることを伝える。
④ 納得ができるまで医師からの説明が受けられることを伝える。
【▼ポイント】
医療提供の際に医療提供者が適切な説明を行い、医療の受け手の理解を得るように努める旨(インフォームド・コンセント)が医療法に規定されている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 1.医療法
46 医療施設において、患者の入院から退院までの看護を1人の看護師が継続して責任をもつことを重視した看護体制はどれか。
- 機能別看護方式
- 患者受け持ち方式
- チームナーシングシステム
- プライマリナーシングシステム
④ プライマリナーシングシステム
【▼ポイント】
×① 機能別看護方式
内容別に分類した看護業務を複数の看護師が分担して実施する方式。
×② 患者受け持ち方式
一人の看護師が複数の患者を受け持つ方式。
×③ チームナーシングシステム
複数人の看護師チームがそのリーダーの下に一定数の患者を受け持つ方式。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 4〕看護職員等
47 令和元年(2019年)の国民健康・栄養調査における成人の生活習慣の特徴で正しいのはどれか。(改題)
- 朝食の欠食率は40歳代が最も多い。
- 運動習慣のある人の割合は30歳代が最も多い。
- 1日の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満が最も多い。
- 習慣的に喫煙している人の割合は10年前に比べて増加している。
③ 1日の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満が最も多い。
【▼ポイント】
×① 朝食の欠食率は40歳代が最も多い。
朝食の欠食率は、20歳代が23.0%と最も多く、40歳代が22.5%となっている。
×② 運動習慣のある人の割合は30歳代が最も多い。
運動習慣のある人の割合は男女ともに70歳以上が最も多い。
○③ 1日の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満が最も多い。
1日の平均睡眠時間は6時間以上7時間未満の割合が最も高く、男32.7%、女36.2%で、次いで5時間以上6時間未満(男29.0%・女31.5%)と短い傾向が続いている。
×④ 習慣的に喫煙している人の割合は10年前に比べて増加している。
平成21年(2009年)と令和元年(2019年)の喫煙率をみると、男性は38.2%から27.1%、女性は10.9%から7.6%と減少傾向にある。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 2.健康増進対策
50 ラテックス製手袋を着用した直後に口唇・手足のしびれと喉頭の違和感を自覚した。
原因となる病態はどれか。
- Ⅰ型アレルギー
- Ⅱ型アレルギー
- Ⅲ型アレルギー
- Ⅳ型アレルギー
① Ⅰ型アレルギー
【▼ポイント】
ラテックスアレルギーは天然ゴム製品に接触することで赤み、かゆみ、蕁麻疹などの皮膚障害や、まれにアナフィラキシーショックを引き起こすもので、IgE抗体を介したⅠ型アレルギー(即時型アレルギー)に分類される。なお、天然ゴム製品に含まれる化学物質が皮膚に接触することが原因で生じるアレルギー性接触皮膚炎は、感作リンパ球が関与するⅣ型アレルギー(遅延型アレルギー)に分類され、接触してから数時間~2日程度経ってかゆみ、乾燥、湿疹等の症状が現れる。
【▼参照】
第3編4章 疾病対策 4.リウマチ・アレルギー疾患対策 2〕リウマチ・アレルギー疾患対策
54 令和元年(2019年)の国民生活基礎調査で、要介護者等との続柄別にみた主な介護者の構成割合のうち、「同居の家族」が占める割合に最も近いのはどれか。(改題)
- 14%
- 34%
- 54%
- 74%
③ 54%
【▼ポイント】
要介護者等との続柄別にみた主な介護者の構成割合のうち、同居の家族が54.4%を占める。なお、同居の家族のうちでは同居の配偶者が23.8%で最も多い。
【▼参照】
第5編1章 介護保険 2.介護保険制度の概要 10〕介護者・要介護者等の状況
56 高齢者に対するエイジズムの説明で適切なのはどれか。
- 年齢にとらわれないこと
- 加齢に伴う心身機能の変化
- 高齢という理由で不当な扱いをすること
- 老化に関連した遺伝子によって引き起こされる現象
③ 高齢という理由で不当な扱いをすること
【▼ポイント】
エイジズムとは年齢による偏見や差別をいい、特に高齢者に対する差別が問題となる。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 6.高齢者福祉等
59 令和2年度(2020年度)の福祉行政報告例における児童虐待で正しいのはどれか。(改題)
- 主たる虐待者は実父が最も多い。
- 性的虐待件数は身体的虐待件数より多い。
- 児童虐待相談件数は5年間横ばいである。
- 心理的虐待件数は5年前に比べて増加している。
④ 心理的虐待件数は5年前に比べて増加している。
【▼ポイント】
①× 主たる虐待者は実父が最も多い。
主たる虐待者は「実母」が47.4%、「実父」が41.3%となっている。
②× 性的虐待件数は身体的虐待件数より多い。
児童虐待の内容別にみると、「心理的虐待」が半分以上を占め、次いで「身体的虐待」となっている。
③× 児童虐待相談件数は5年間横ばいである。
2015年と比較すると児童虐待相談件数は10.3万件から20.5万件で、ほぼ倍増している。
④○ 心理的虐待件数は5年前に比べて増加している。
2015年と比較すると心理的虐待件数は、4.8万件から12.1万件と著しく増加している。
【▼参照】
第5編2章 社会保険と社会福祉 4.児童家庭福祉 4〕児童虐待対策
61 令和3年(2021年)の人口動態統計における日本の出生で正しいのはどれか。(改題)
- 出生数は過去10年で最低である。
- 出生数は100万人を上回っている。
- 合計特殊出生率は過去20年で最低である。
- 第1子出生時の母の平均年齢は30歳未満である。
① 出生数は過去10年で最低である。
【▼ポイント】
①○ 出生数は過去10年で最低である。
②× 出生数は100万人を上回っている。
令和3年(2021年)の出生数は81.2万人で過去最低となっている。
③× 合計特殊出生率は過去20年で最低である。
過去最低の合計特殊出生率は平成17年(2005年)の1.26である。令和3年(2021年)は1.30で過去10年に限れば最低となっている。
④× 第1子出生時の母の平均年齢は30歳未満である。
令和3年(2021年)の第1子出生時の母の平均年齢は30.9歳である。
【▼参照】
第2編2章 人口動態 2.出生
67 精神障害の三次予防の内容で適切なのはどれか。
- うつ病患者の復職支援
- 住民同士のつながりの強化
- 精神保健に関する問題の早期発見
- ストレス関連障害の発症予防に関する知識の提供
① うつ病患者の復職支援
【▼ポイント】
疾病の予防対策には、生活習慣の改善や予防接種により健康の増進を図って発病を予防する一次予防と、健診などで疾病を早期発見したり、治療により疾患の重症化を予防する二次予防、リハビリテーションなど疾病が進行した後の社会復帰などを図る三次予防がある。④は一次予防、②は一次予防もしくは二次予防、③は二次予防である。
【▼参照】
第3編1章 生活習慣病と健康増進対策 1.生活習慣病 1〕生活習慣病の概念
69 医療保護入院で正しいのはどれか。
- 入院の期間は72時間に限られる。
- 患者の家族等の同意で入院させることができる。
- 2人以上の精神保健指定医による診察の結果で入院となる。
- 精神障害のために他人に害を及ぼすおそれが明らかな者が対象である。
② 患者の家族等の同意で入院させることができる。
【▼ポイント】
医療保護入院は、医療および保護のために入院の必要があるが、任意入院(本人の同意による入院)が行われる状態にないと判定された者について、その家族等の同意がある場合の入院制度である。ただし、急速を要し、家族等の同意を得ることができない場合には、精神保健指定医の診察により、72時間以内の応急入院を行うことができる。①は応急入院または緊急措置入院、③と④は措置入院の説明である。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 4.精神保健 3〕精神科の入院制度
71 訪問看護事業所で正しいのはどれか。
- 24時間対応が義務付けられている。
- 自宅以外への訪問看護は認められない。
- 特定非営利活動法人〈NPO〉は事業所を開設できる。
- 従事する看護師は臨床経験3年以上と定められている。
③ 特定非営利活動法人〈NPO〉は事業所を開設できる。
【▼ポイント】
訪問看護ステーションは、都道府県知事から介護保険法に基づき事業者の指定を受け、医療法人、営利法人(会社)、社団・財団法人、社会福祉法人、地方公共団体、協同組合、NPO法人などが開設している。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 3.各医療対策の動向 2〕訪問看護
77 Aさん(28歳、男性)。海外出張で訪れたアフリカ地域から帰国後1週に39℃の発熱と解熱を繰り返すため外来を受診した。腹部症状は特にない。予測される感染症はどれか。
- マラリア
- コレラ
- 赤痢
- 破傷風
① マラリア
【▼ポイント】
マラリアは、熱帯・亜熱帯地域に広く分布する感染症でHIV/エイズ、結核と並び三大感染症ともいわれる。最も多い症状は発熱と悪寒で、熱発は間隔をあけて発熱期と無熱期を繰り返す。
【▼参照】
第3編3章 感染症対策 3.主な感染症等の動向と対策 7〕マラリア
78 看護師の特定行為で正しいのはどれか。
- 診療の補助である。
- 医師法に基づいている。
- 手順書は看護師が作成する。
- 特定行為を指示する者に歯科医師は含まれない。
① 診療の補助である。
【▼ポイント】
保健師助産師看護師法に定める特定行為は、看護師が医師または歯科医師の作成する手順書により行う診療の補助で、38行為が規定されている。
【▼参照】
第4編1章 医療提供体制 4.医療関係者 4〕看護職員等
89 健やか親子21(第2次)の基盤課題Bのうち、学童期・思春期の課題の指標となっているのはどれか。2つ選べ。
- 十代の喫煙率
- 十代の自殺死亡率
- 十代の定期予防接種の接種率
- 児童・生徒における不登校の割合
- 児童・生徒におけるむし歯(う歯)の割合
① 十代の喫煙率
② 十代の自殺死亡率
【▼ポイント】
健やか親子21(第2次)の基盤課題Bは、「学童期・思春期から成人期に向けた保健対策」であり、十代の喫煙率、飲酒率、自殺率、朝食を欠食する子どもの割合などの目標が掲げられている。
【▼参照】
第3編2章 保健対策 1.母子保健 1〕母子保健対策のあゆみ
対応外必修問題
午前5 第二次性徴の発現に関与するホルモンはどれか。
- 抗利尿ホルモン〈ADH〉
- 黄体形成ホルモン〈LH〉
- 副甲状腺ホルモン〈PTH〉
- 甲状腺刺激ホルモン〈TSH〉
② 黄体形成ホルモン〈LH〉
【▼ポイント】
思春期に、視床下部のGnRH(性腺刺激ホルモン放出ホルモン)の刺激により、下垂体から黄体形成ホルモン(LH)と卵胞刺激ホルモン(FSH)が分泌されることで、男子では男性ホルモンであるアンドロゲン(テストステロン)が、女子では女性ホルモンであるエストロゲン(卵胞ホルモン)がつくられ、第二次性徴が発現・成熟する。
午前6 児の吸啜刺激によって分泌が亢進し、分娩後の母体の子宮筋の収縮を促すのはどれか。
- オキシトシン
- プロラクチン
- テストステロン
- プロゲステロン
① オキシトシン
【▼ポイント】
オキシトシンは視床下部で産生され、下垂体後葉に運ばれ放出されるホルモンである。授乳時に児の吸啜刺激で分泌が促進され、母乳の放出や産褥期の子宮復古を促す。
午前10 球関節はどれか。
- 肩関節
- 膝関節
- 下橈尺関節
- 手根中手関節
① 肩関節
【▼ポイント】
球関節は、片方の関節の接合部分が球状をした可動域の広い(多軸性)関節で、肩関節や股関節が該当する。
午前12 脳塞栓症を生じやすい不整脈はどれか。
- 心室頻拍
- 心房細動
- 心房性期外収縮
- 完全房室ブロック
② 心房細動
【▼ポイント】
心房細動は心房内の不整脈で、致死性不整脈である心室細動よりも緊急性は低いが、心房内で血栓ができやすく、大動脈を通じて脳などの血管を詰まらせる原因となる(心原性脳塞栓症)。
午前13 貧血を診断する際の指標となる血液検査項目はどれか。
- アルブミン〈Alb〉
- ヘモグロビン〈Hb〉
- フィブリノゲン
- プロトロンビン時間〈PT〉
② ヘモグロビン〈Hb〉
【▼ポイント】
貧血は、血液中のヘモグロビン濃度が減少している状態と定義される。
午前15 成人の橈骨動脈における脈拍の測定方法で正しいのはどれか。

②
【▼ポイント】
橈骨動脈が通り、拍動が測りやすい部分(母指側)に、示指、中指、薬指の指先を添えて脈拍の回数を数える。なお、成人の標準的な脈拍は1分間に約60~100回とされる。
午前16 誤嚥しやすい患者の食事の援助で適切なのはどれか。
- 食材は細かく刻む。
- 水分の摂取を促す。
- 粘りの強い食品を選ぶ。
- 頸部を前屈した体位をとる。
④ 頸部を前屈した体位をとる。
【▼ポイント】
食事の際に顎を上げる(頸部後屈)と、咽頭と気管が直線的になり、食事が気管に入りやすくなる。誤嚥の防止のため、頸部前屈の体位で食事の援助を行うことが望ましい。
午前17 陰部洗浄に使用する湯の温度で最も適切なのはどれか。
- 30〜31℃
- 34〜35℃
- 38〜39℃
- 42〜43℃
③ 38〜39℃
【▼ポイント】
陰部洗浄に用いる湯の適温は体温より少し高い38〜40℃程度とされる。なお、足浴も同様の温度である(110回午前20出題)
午前18 滅菌物の取り扱いで正しいのはどれか。
- 鉗子の先端は水平より高く保つ。
- 鑷子の先端を閉じた状態で取り出す。
- 滅菌パックはハサミを用いて開封する。
- 滅菌包みは布の内側の端を手でつまんで開く。
② 鑷子の先端を閉じた状態で取り出す。
【▼ポイント】
×① 鉗子の先端は水平より高く保つ。
鉗子は手術等で血管や器官を牽引・圧迫するなどに用いるハサミ状をした器具である。先端を高くすると消毒液が持ち手部分に垂れるなど清潔ではないため、水平より低く保つ。
○② 鑷子の先端を閉じた状態で取り出す。
鑷子は手術等に用いるピンセットである。滅菌パックで個包装されており、取り出す際は先端を下向きに、外部環境に触れないように閉じた状態で取り出す。
×③ 滅菌パックはハサミを用いて開封する。
滅菌バックは、開封面を上向きに、ハサミを用いずに外側にめくるように手で開く。
×④ 滅菌包みは布の内側の端を手でつまんで開く。
滅菌包みは、清潔な内側には触れず、外側の端を手でつまんで開く。
午前19 直流除細動器の使用目的はどれか。
- 血圧の上昇
- 呼吸の促進
- 洞調律の回復
- 意識レベルの回復
③ 洞調律の回復
【▼ポイント】
直流除細動器(DC)は、電気ショックにより不整脈を治療する装置で、医療機関内で用いられる。洞調律とは、心筋を動かす電気信号を生み出す洞結節のリズムであり、直流除細動器により洞調律の回復が図られる。
午前20 経鼻経管栄養法を受ける成人患者の体位で適切なのはどれか。
- 砕石位
- 半坐位
- 腹臥位
- Sims〈シムス〉位
② 半坐位
【▼ポイント】
経鼻経管栄養法は、口からの食事が十分でない者に対して、鼻からチューブを挿入し、栄養剤を胃に送る方法である。注入時に栄養剤の逆流を防ぐため、上半身を45度程度上げる半坐位(ファウラー位)が適している。
午前21 胃がんのVirchow〈ウィルヒョウ〉転移が生じる部位はどれか。
- 腋窩
- 鼠径部
- 右季肋部
- 左鎖骨上窩
④ 左鎖骨上窩
【▼ポイント】
Virchow〈ウィルヒョウ〉転移は、胃がんなどが左鎖骨上窩リンパ節に転移することをいう。
午前22 包帯の巻き方を別に示す。

環行帯の巻き方で正しいのはどれか。
- A
- B
- C
- D
① A
【▼ポイント】
環行帯は、包帯法の巻き始めと巻き終わりに用いる巻き方で、同じ箇所に重ねて巻くものをいう。②は亀甲帯、③は折転帯、④は螺旋帯である。
午前23 皮下注射で適切なのはどれか。
- 注射部位を伸展する。
- 注射針は18〜20Gを使用する。
- 針の刺入角度は45〜90度にする。
- 皮下脂肪が5mm以上の部位を選択する。
④ 皮下脂肪が5mm以上の部位を選択する。
【▼ポイント】
皮下注射では、23~25Gの注射針を使用し(②)、皮下脂肪が5mm以上の部位(④)の皮膚をつまみ上げ(①)、10~30度の角度で刺入する(③)。なお、①注射部位を伸展するものは皮内注射、②18〜20Gの注射針を使用するものは輸血投与用の注射、④針の刺入角度45〜90度は筋肉内注射の特徴である。
午前24 細菌感染による急性炎症で最初に反応する白血球はどれか。
- 単球
- 好酸球
- 好中球
- 好塩基球
- リンパ球
③ 好中球
【▼ポイント】
白血球の一種である好中球は、細菌感染や真菌感染から体を守る主要な生体防御機構(免疫)である。好中球の減少は感染症のリスクを高め、好中球が500/μL未満で重度とされる。
午後6 エリクソン, E. H.の発達理論で青年期に生じる葛藤はどれか。
- 生殖性 対 停滞
- 勤勉性 対 劣等感
- 自主性 対 罪悪感
- 同一性 対 同一性混乱
④ 同一性 対 同一性混乱
【▼ポイント】
エリクソンは成長段階(乳児期・幼児前期・幼児後期・学童期・青年期(思春期)・成人期・壮年期・老年期)ごとに果たすべき課題(発達課題)を示している。青年期(13歳から20歳ころ)は、自分は何者であるかという自己同一性(アイデンティティ)の確立を達成するため、同一性対同一性の混乱の葛藤が生じる。①は壮年期、②は学童期、③は幼児期に当たる。
午後7 乳児期における呼吸の型はどれか。
- 肩呼吸
- 胸式呼吸
- 腹式呼吸
- 胸腹式呼吸
③ 腹式呼吸
【▼ポイント】
新生児期や乳児期では、横隔膜を上下に動かす腹式呼吸が中心である。7~8歳ころの学童期以降は胸式呼吸が優位となり、その間の幼児期後期ころは両者を組み合わせた胸腹式呼吸がみられる。
午後8 老年期にみられる身体的な変化はどれか。
- 血管抵抗の増大
- 消化管の運動の亢進
- 水晶体の弾性の増大
- メラトニン分泌量の増加
① 血管抵抗の増大
【▼ポイント】
加齢により、血管が硬くなり弾力性が失われると、血液が流れる際の血管抵抗が増大する。特に老年期では、大動脈の硬化による収縮期血圧の上昇、拡張期血圧の低下を特徴とする。
午後11 大腸で吸収されるのはどれか。
- 脂質
- 水分
- 糖質
- 蛋白質
② 水分
【▼ポイント】
大腸は、小腸から送られた内容物から水分等を吸収し、ふん便を作る働きをもつ。
午後12 三叉神経の機能はどれか。
- 視覚
- 眼球の運動
- 顔面の知覚
- 表情筋の運動
③ 顔面の知覚
【▼ポイント】
三叉神経は、顔面の感覚をつかさどる末梢神経である。角膜などへの接触・刺激で反射的に目を閉じる瞬目反射は、三叉神経を求心路とするものである(108回午前26問)。
午後13 脂肪分解酵素はどれか。
- ペプシン
- リパーゼ
- マルターゼ
- ラクターゼ
② リパーゼ
【▼ポイント】
リパーゼは主に膵臓に含まれる酵素で、胆汁により乳化された脂肪を分解するはたらきを持つ。
午後14 尿ケトン体が陽性になる疾患はどれか。
- 肝硬変
- 糖尿病
- 尿路感染症
- ネフローゼ症候群
② 糖尿病
【▼ポイント】
ケトン体は、肝臓が脂肪を分解することで生成される酸性の物質である。糖尿病でインスリン作用が不足するとエネルギー源となるグルコース(ブドウ糖)が利用できず、脂肪を多く分解してエネルギーを作るため、尿中のケトン体(尿ケトン体)が陽性になる。
午後15 下痢によって生じやすい電解質異常はどれか。
- 低カリウム血症
- 高カルシウム血症
- 高ナトリウム血症
- 低マグネシウム血症
① 低カリウム血症
【▼ポイント】
低カリウム血症は、激しい下痢や利尿薬の長期使用などにより、カリウムの排泄量が増大することで起こる電解質異常である。
午後16 意識レベルを評価するスケールはどれか。
- Borg〈ボルグ〉スケール
- フェイススケール
- ブリストルスケール
- グラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉
④ グラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉
【▼ポイント】
意識レベルを評価するスケールとしては、グラスゴー・コーマ・スケール〈GCS〉とジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉が用いられる。①Borg〈ボルグ〉スケールは主観的運動強度の評価、②フェイススケールは痛みの評価、③ブリストルスケールは大便の性状の評価をするスケールである、
午後17 マズロー, A. H.の基本的欲求の階層構造で承認の欲求はどれか。
- 尊重されたい。
- 休息をとりたい。
- 他人と関わりたい。
- 自分の能力を発揮したい。
① 尊重されたい。
【▼ポイント】
マズローの欲求階層説では、低階層から、①生理的(食事、排泄、睡眠等)欲求、②安全(危険回避)の欲求、③社会的(所属・愛情)欲求、④自尊(承認)の欲求、⑤自己実現の欲求の5階層となっており、人間は低階層の欲求が満たされると高階層の欲求に移っていくことをあらわす。2は生理的欲求、3は社会的欲求、4は自己実現の欲求である。
午後19 患者とのコミュニケーションで適切なのはどれか。
- 否定的感情の表出を受けとめる。
- 沈黙が生じた直後に会話を終える。
- 看護師が伝えたいことに重点をおく。
- 患者の表情よりも言語による表現を重視する。
① 否定的感情の表出を受けとめる。
【▼ポイント】
患者とのコミュニケーションにおいては、患者からの言語的・非言語的な情報を、否定的感情を含めて積極的に受け取ること(傾聴・観察)が重要である。
午後20 入浴の温熱作用はどれか。
- 筋緊張が増す。
- 末梢血管が拡張する。
- 慢性疼痛が増強する。
- 循環血液量が減少する。
② 末梢血管が拡張する。
【▼ポイント】
温浴効果により、手足の末梢血管が拡張し、血行が促進(循環血液量の増加)される(温熱作用)。また、筋肉の緊張が緩み、リラックス効果、腰痛・肩こりの緩和、睡眠促進などの効果が認められる。
午後23 成人で1日の尿量が100mL以下の状態を示すのはどれか。
- 希尿
- 頻尿
- 乏尿
- 無尿
④ 無尿
【▼ポイント】
成人の1日平均尿量は1,000mL~1,500mLで、400mL以下は乏尿(③)、100mL以下は無尿(④)とされる。なお、1日の尿の回数でみた異常では、回数が多い頻尿(②)、回数が少ない希尿(①)がある。
午後24 仰臥位における褥瘡の好発部位はどれか。
- 踵骨部
- 内顆部
- 膝関節部
- 大転子部
① 踵骨部
【▼ポイント】
仰臥位は仰向けに横たわる体位をいい、仰臥位で圧力が集中する後頭部、肩甲骨部、肘部、仙骨部、踵骨部は褥瘡の好発部位である。
午後25 成人の静脈血採血で通常用いられる注射針の太さはどれか。
- 14G
- 18G
- 22G
- 26G
③ 22G
【▼ポイント】
成人の静脈血採血では、21~23Gの太さの注射針が用いられる。
資料 厚生労働省「第106回保健師国家試験、第103回助産師国家試験、第109回看護師国家試験の問題および正答について」
注 当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。
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