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第114回看護師国家試験 午前状況設定問題 | 一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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第114回看護師国家試験 午前状況設定問題

令和7年2月16日(日)に実施された第114回看護師国家試験について、午前問題のうち状況設定問題の正答と解説を示します。

国民衛生の動向2024/2025」と合わせてご活用ください。

 

▼第114回看護師国家試験

午前 必修問題一般問題状況設定問題
午後 必修問題一般問題状況設定問題

 

Eisei22 23 hyo    厚生の指標増刊

国民衛生の動向 2024/2025

 

発売日:2024.8.27

定価:2,970円(税込)

412頁・B5判

雑誌コード:03854-08

 

ご注文は書店、または下記ネット書店、電子書籍をご利用下さい。

 

ネット書店

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▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

 

午前 状況設定問題

 

 

次の文を読み91〜93の問いに答えよ。

Aさん(73歳、女性)は1人で暮らしており、脳梗塞で入院した。Aさんは左半身に麻痺があり、認知機能障害はない。4点杖を使用して歩行が可能となり、住宅改修をして自宅に退院した。退院後は、降圧薬と抗血栓薬が処方され、服薬管理と健康管理の目的で訪問看護を週1回、調理と買い物代行の目的で訪問介護を週1回利用している。Aさんは「昨日、退院して初めて1人で買い物に行ったら転びそうになって、横にいた人に支えてもらったんです」と訪問看護師に話した。

 

▶午前91

このとき、訪問看護師が転倒予防のために収集する情報として最も適切なのはどれか。

 

  1. 服薬の状況
  2. 食事の摂取量
  3. 右上下肢の筋力
  4. 他者との交流の頻度

 

 


 

▶午前92

退院から2か月後、Aさんは杖歩行が安定し、時間をかけて調理や買い物を自分で行うようになった。看護師が訪問したとき、Aさんから「最近トイレに間に合わずに尿が漏れてしまうことがあるんです。恥ずかしいので排泄だけは人の世話になりたくないんです。良い方法があれば教えてください」と相談された。
このときの訪問看護師のAさんへの助言で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「パンツ型オムツを使ってみましょう」
  2. 「ポータブルトイレを使ってみましょう」
  3. 「夕食後は水分を摂り過ぎないようにしましょう」
  4. 「ご自分の排尿間隔に合わせてトイレに行きましょう」

 

 


 

▶午前93

退院から3か月後、Aさんはテレビを見て過ごす時間が多くなった。「買い物や調理が面倒になって、同じものばかり作っています」と言い「退院したころは毎日排便があったのに、最近便秘気味ですっきりしないんです」と訴えた。
訪問看護師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 食事内容を見直す。
  2. 腹部の温罨法を勧める。
  3. 市販の浣腸液の使用を勧める。
  4. 主治医に緩下薬の処方を相談する。

 

 


 

次の文を読み94〜96の問いに答えよ。

Aさん(56歳、女性、主婦)は、食後に冷汗を伴う腹痛があり外来を受診した。腹部超音波検査の結果、胆石症と診断され、腹腔鏡下胆囊摘出術の目的で入院した。
看護師は手術オリエンテーションで、術後の入院期間は2日と説明した。Aさんは、同じ手術を受けた妹が合併症で3週間以上食事もできなかったので、自分も同じ合併症を発症するかもしれないと心配そうに話した。

 

▶午前94

Aさんの妹が発症した合併症はどれか。

 

  1. 肺炎
  2. 胆汁瘻
  3. 皮下気腫
  4. 深部静脈血栓症

 

 


 

▶午前95

Aさんは、全身麻酔下で気腹法による腹腔鏡下胆囊摘出術を受けている。手術中のAさんに最も生じやすいのはどれか。

 

  1. 体温の上昇
  2. 心拍出量の上昇
  3. 腹腔内圧の低下
  4. 動脈血二酸化炭素分圧〈PaCO2〉の上昇

 

 


 

▶午前96

Aさんの術後の経過は良好で、退院した。その後の外来受診で「下痢をすることが多いです」という訴えがあった。
下痢を予防するために控えるもので正しいのはどれか。

 

  1. 塩分
  2. 脂質
  3. 糖質
  4. 蛋白質

 

 


 

次の文を読み97〜99の問いに答えよ。

Aさん(50歳、女性、会社員)は、職場で激しい頭痛を訴えて倒れ、意識を失って、救急搬送された。救命救急センター到着時のバイタルサインは、体温36.7℃、呼吸数20/分、脈拍88/分、血圧168/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(room air)であった。閉眼していたので、大声で話しかけると開眼したが、すぐに閉眼して眠り込んでしまう。

 

▶午前97

Aさんの意識レベルは、ジャパン・コーマ・スケール〈JCS〉で評価するとどれか。

 

  1. Ⅱ-10
  2. Ⅱ-20
  3. Ⅲ-100
  4. Ⅲ-200

 

 


 

▶午前98

Aさんは、CT検査の結果、脳動脈瘤の破裂によるくも膜下出血と診断され、クリッピング術を受けてICUに入室した。入室時のバイタルサインは、体温36.8℃、呼吸数22/分、脈拍78/分、血圧126/60mmHg、フェイスマスクによる酸素投与下(5L/分)で経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%であった。3時間後、Aさんは開眼して「頭が痛い」と訴えた。バイタルサインに変化はなく、脳槽ドレーンからは淡血性の排液がみられている。
このときの看護師の判断で正しいのはどれか。

 

  1. 端座位にする。
  2. 枕を高くする。
  3. 鎮痛薬の適応である。
  4. ドレーンをクランプする。

 

 


 

▶午前99

Aさんの回復は順調で、後遺症なく退院した。退院1か月後の外来で、Aさんに生活状況を聞くと、会話に対する反応は鈍く「この間、尿を漏らしてしまいました」と話した。家族は「最近物忘れが激しく、歩くのも遅くなりました」と話した。看護師がAさんに書類を渡すと、スムーズに受け取り、きれいな文字で名前を書いた。家族は「入院前と変わらない字で書けています」と言った。
Aさんに起こっている可能性が高いのはどれか。

 

  1. 脳血管攣縮
  2. 正常圧水頭症
  3. 脳動脈瘤の破裂
  4. Parkinson〈パーキンソン〉病

 

 


 

次の文を読み100〜102の問いに答えよ。

Aさん(87歳、女性)は1人で暮らしている。難聴のため補聴器を使用している。自宅で転倒して痛みで起き上がれなくなり、救急搬送され入院した。搬送先の病院で右大腿骨頸部骨折と診断され、全身麻酔下で人工骨頭置換術を受けた。術後は前腕部に点滴静脈内注射と右大腿の創部に吸引式ドレーンが一本挿入されている。
手術直後の検査所見:赤血球410万/μL、白血球7800/μL、Hb12.0g/dL、総蛋白6.5g/dL、アルブミン4.0g/dL、尿素窒素20mg/dL、Na145mEq/L、K3.8mEq/L。
術後のドレーン出血量は少量である。創部痛に対して非ステロイド性抗炎症薬の坐薬と内服が処方され、手術当日の21時に坐薬を使用した。

 

▶午前100

術後1日。朝6時のAさんのバイタルサインは、体温36.5℃、呼吸数18/分、脈拍64/分、血圧120/82mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97%(room air)であった。膀胱留置カテーテルが挿入されていて夜間の尿の流出は良好であった。腸蠕動音が確認できたため朝食が開始された。食事時にAさんが顔をしかめていたため、夜勤の看護師が鎮痛薬の内服を勧めたがAさんは「痛みはそれほど強くない」と言った。朝食後に点滴静脈内注射と吸引式ドレーンが抜去された。
午前9時の看護師の観察項目で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 意識レベル
  2. 酸素飽和度
  3. 創部痛
  4. 血圧
  5. 尿量

 

 


 

▶午前101

術後1日。午前中に看護師がAさんのバイタルサインを測定しているときは眠っていた。昼食後に看護師が訪室すると、Aさんは多弁で、落ち着かない様子がみられた。
看護師のAさんへの対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 医師に抗不安薬の処方を依頼する。
  2. ベッド上で安静に過ごしてもらう。
  3. 膀胱留置カテーテルを抜去する。
  4. ベッド周囲をカーテンで囲む。
  5. 補聴器の装着を確認する。

 

 


 

▶午前102

術後2週。Aさんは杖歩行の練習をしている。見守りをする看護師に「早く家に帰りたいけど、また転びそうで怖いし、元のように歩ける自信がない」と話した。
Aさんへの声かけで最も適切なのはどれか。

 

  1. 「リハビリテーションの回数をもっと増やしましょう」
  2. 「カルシウムを多く含んだ食品を摂りましょう」
  3. 「少しずつ歩けるようになってきていますよ」
  4. 「退院先は介護老人保健施設にしましょう」

 

 


 

次の文を読み103〜105の問いに答えよ。

Aさん(76歳、男性)は妻(72歳)と2人で暮らしている。ベッドからトイレに起きようとしたところ右上下肢にしびれと脱力感があり、動けなくなったため救急車で来院した。頭部CTで左中大脳動脈領域のラクナ梗塞と診断され、緊急入院し血栓溶解療法が施行された。
既往歴:53歳で高血圧症と診断され内服治療を継続している。
生活歴:60歳まで食品会社に勤務していた。
入院時の身体所見:身長168cm、体重65kg、体温37.2℃、呼吸数20/分、脈拍78/分、整、血圧210/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97%(room air)、右上下肢麻痺を認めた。
入院時の検査所見:白血球3,600/μL、赤血球420万/μL、Hb11.2g/dL、総蛋白6.2g/dL、アルブミン3.6g/dL、空腹時血糖108mg/dL、CRP0.1mg/dL。

 

▶午前103

入院2日、Aさんは全身状態が落ち着いてきたため、主治医から離床開始の指示があった。
Aさんの離床開始時の観察項目で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 血圧
  2. 見当識障害
  3. 下肢の知覚障害
  4. 夜間の睡眠状況

 

 


 

▶午前104

入院5日。Aさんは座位訓練の後、車椅子に座って食事を摂取することになった。食事動作は自助具を使用すれば少しずつ自分で摂取できるようになったが、時間が経過すると上体が右側に傾くため、体幹の右側にクッションを入れて食事をしている。
Aさんが安定して食事ができるための援助で適切なのはどれか。

 

  1. 座位時間を徐々に短縮する。
  2. テーブルの高さを高くする。
  3. 背部にタオルを入れ軽く前傾姿勢にする。
  4. Aさん自身で左側に重心を傾けるよう指導する。

 

 


 

▶午前105

入院2週、Aさんは自宅への退院を目指し、回復期リハビリテーション病棟へ転棟することになった。Aさんは、座位姿勢での右側への傾きが徐々に改善され、食事や作業療法の時間は車椅子での座位保持が可能になってきた。Aさんは看護師の介助で車椅子に移乗が可能となり、車椅子でトイレに移動できるようになった。看護師はAさんのADLの拡大を目標に、看護計画を修正することにした。
障害高齢者の日常生活自立度(寝たきり度)判定基準における評価で、Aさんの生活状況はどれか。

 

  1. ランクJ
  2. ランクA
  3. ランクB
  4. ランクC

 

 


 

次の文を読み106〜108の問いに答えよ。

Aちゃん(1歳4か月、女児)は、午前9時ころ、ポータブル型のゲーム機用の直径10mmのボタン型電池を誤飲し、午前10時に両親に付き添われ外来を受診した。看護師がAちゃんを観察すると、機嫌は良くバイタルサインも安定していた。Aちゃんに成長や発達の遅れはない。
待合室にはAちゃんの他に3人の患児が診察を待っていた。それぞれは以下のとおりである。
B君(1歳3か月、男児):今朝、カーペットの敷かれたフロアで歩行中に転倒。バイタルサインは正常、顔色良好。母親に抱っこされて遊んでいる。
Cちゃん(3歳、女児):体温39.5℃、呼吸数23/分、脈拍100/分、鼻汁多量、機嫌良好、顔色良好。
D君(9か月、男児):自宅で痙攣したため受診。初めての痙攣で、5分間継続したが、受診時には止まっている。待合室にて3回の嘔吐。体温38.7℃。声かけで開眼するが、すぐにうとうとする。

 

▶午前106

このときの看護師のトリアージで診察を受ける優先度が高いのはどれか。

 

  1. Aちゃん
  2. B君
  3. Cちゃん
  4. D君

 

 


 

▶午前107

Aちゃんは、腹部エックス線撮影で胃内にボタン型電池が認められ、全身麻酔下での内視鏡でボタン型電池を摘出し、消化管粘膜に大きな問題はなかった。摘出後、小児病棟に1泊入院した。小児病棟に入院1時間後、看護師が訪室するとAちゃんは覚醒しており、図のように「ママー、ママー」と言いながら大声で泣き、ベッドから両親の方に手を伸ばしている。両親は戸惑った様子で、ベッドの傍に立っている。
114am107
このときの看護師による安全な療養環境の整備で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. ぬいぐるみを取り除く。
  2. 毛布をベッド柵にかける。
  3. 柵を半分の高さまで降ろす。
  4. 点滴ルートの長さを延長する。
  5. 点滴スタンドをAちゃんの手が届くところまで近づける。

 

 


 

▶午前108

翌日、Aちゃんは退院することになった。看護師は、Aちゃんの誤飲予防のための教育的支援を両親に行うことにした。
両親に伝える内容で最も適切なのはどれか。

 

  1. Aちゃんから目を離さないこと
  2. Aちゃんにやってはいけないことを教えること
  3. 家の中でのAちゃんの行動範囲を柵で区切ること
  4. 大きさが4cmよりも小さいものはAちゃんの手が届かないところに置くこと

 

 


 

次の文を読み109〜111の問いに答えよ。

Aさん(41歳、初妊婦、会社員)は夫(42歳、会社員)と2人で暮らしている。身長は158cm、非妊時体重55kgである。Aさんは妊娠16週3日に妊婦健康診査を受診し順調な経過と診断された。妊婦健康診査後「夫から、高齢妊娠だから安静にするよう言われ、夫が家事をしてくれています。妊娠前はバスケットボールを週に3回、毎日夕方に夫とウォーキングをしていました。今は仕事に行く以外は、家でなるべく動かないようにしています」とAさんが看護師に話した。

 

▶午前109

Aさんへの活動に関する助言で適切なのはどれか。

 

  1. 「仕事は辞めましょう」
  2. 「ウォーキングを再開しましょう」
  3. 「週1回バスケットボールをやりましょう」
  4. 「ご家族の言うように安静にしていましょう」

 

 


 

▶午前110

Aさんは妊娠24週0日に妊婦健康診査を受けた。体重60kg(妊娠20週の体重は58kg)。血圧138/88mmHg、Hb10.1g/dL、Ht31%、尿蛋白(-)、尿糖(±)であった。Aさんは「足が重い気がします」と話すが、脛骨上の圧痕は認めなかった。
このときのアセスメントで適切なのはどれか。

 

  1. 体重増加が過剰である。
  2. 妊娠性貧血である。
  3. 高血圧である。
  4. 浮腫がある。

 

 


 

▶午前111

Aさんは夫に付き添われ、妊娠35週4日に妊婦健康診査を受けた。妊婦健康診査では、体重65kg、血圧126/76mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)。浮腫(±)。子宮底長30cm、腹囲88cmで異常を認めなかった。その後、Aさんは看護師に「夕方になると足がだるくなり、膝の裏を見たら、血管が膨らんで、青く浮き出ていました」と言う。
Aさんへの指導で適切なのはどれか。

 

  1. 「体重を減らしましょう」
  2. 「腹帯を強く巻きましょう」
  3. 「できるだけ立っていましょう」
  4. 「弾性ストッキングを着用しましょう」

 

 


 

次の文を読み112〜114の問いに答えよ。

Aさん(36歳、経産婦)は、夫(35歳)、男児(3歳)と3人で暮らしている。妊娠、分娩経過は順調で、妊娠39週5日で3,200gの女児を経腟分娩で出産した。1分後のApgar〈アプガー〉スコア9点、5分後のApgar〈アプガー〉スコア10点であった。
産褥1日、Aさんの子宮底は臍下2横指、硬度良好、悪露は赤色であった。「1人目の出産後よりもお腹が痛くて眠れませんでした」と看護師に話す。

 

▶午前112

このときのAさんへの説明で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 「痛み止めは使用できません」
  2. 「授乳をすると痛みが和らぎます」
  3. 「経産婦のほうが痛みを強く感じます」
  4. 「産後5日くらいまで痛みは続きます」
  5. 「子宮が元の大きさに戻るための痛みです」

 

 


 

▶午前113

産褥3日、乳房は緊満、乳管開通は左右とも5、6本、射乳がある。1日8回授乳をしている。児の体重は3,080gで前日よりも20g減少している。「母乳で育てたいと思っていたけど、乳房が張って授乳がうまくできないです」と話す。
このときのAさんへの説明で適切なのはどれか。

 

  1. 「水分を多めに摂りましょう」
  2. 「時間を決めて授乳をしましょう」
  3. 「乳房の張りは2週間程度続きます」
  4. 「授乳の前に乳輪部のマッサージをしましょう」

 

 


 

▶午前114

日齢4、Aさんの児の体重は3,100g。体温37.1℃、呼吸数48/分、心拍数130/分。経皮ビリルビン10.0mg/dL。排尿9回/日、排便8回/日。
児のアセスメントで正しいのはどれか。

 

  1. 経皮ビリルビン値は光線療法が必要な値である。
  2. 生理的体重減少の範囲を超えている。
  3. バイタルサインは正常である。
  4. 排尿回数が少ない。

 

 


 

次の文を読み115〜117の問いに答えよ。

Aさん(30歳、男性)は統合失調症で内服治療をしていた。最近、部屋にこもり、精神科受診以外は外出しなくなった。ある日、母親がAさんの部屋で大量の薬を見つけ、確認すると「薬は飲みたくない」と話した。受診に付き添った母親は「Aは昼間に寝ていて、夜に窓を開けて、隣の家に向かって『悪口を言うな』『監視するな』と大声で怒鳴る」と主治医に話した。Aさんと母親の強い希望があり、精神科病棟に入院することになり、薬物療法が開始された。
入院3日、夜間の巡視のたびにAさんは起きていて「隣の人が自分を監視している」「皆が悪口を言っている」と小さな声で看護師に話した。日中はホールで眠そうにしていることもあり、レクリエーションには「疲れた」と言って参加しない。他の患者と話すことはあるがトラブルはない。歯磨きや身だしなみは、声をかけると行う。

 

▶午前115

Aさんのセルフケアの観察項目で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 孤独と付き合いのバランス
  2. 活動と休息のバランス
  3. 安全を保つ能力
  4. 個人衛生

 

 


 

▶午前116

入院14日、Aさんは他の患者や看護師と話をする機会が増えた。「B看護師に私の悪口を言うのをやめるように言ってほしい」と訴え、受け持ち看護師が話を聞いていると興奮して声が大きくなることがあった。
受け持ち看護師のAさんへの対応で適切なのはどれか。

 

  1. 「悪口を言うのはB看護師ですか」
  2. 「悪いことは考えないほうがいいですよ」
  3. 「B看護師はAさんの悪口は言っていません」
  4. 「悪口を言われるとAさんはどんな気持ちになりますか」

 

 


 

▶午前117

入院1か月、Aさんは夜間、眠れるようになり、妄想や幻聴の症状が軽減した。看護師がAさんに薬を自己中断した理由を尋ねたところ「いろいろとストレスが溜まると何もしたくなくなり、薬を飲むことも面倒でした。今回の入院で飲み続けたら嫌な症状もなくなってきました。薬は飲んだほうがよいですね。これからはストレスを感じても乗り越えていけそうです」と話した。
Aさんの考えに当てはまる概念はどれか。

 

  1. カタルシス
  2. レジリエンス
  3. コンコーダンス
  4. コンプライアンス

 

 


 

次の文を読み118〜120の問いに答えよ。

Aさん(64歳、男性、外国籍)は、1年前に日本に移住し、娘(36歳、会社員)と娘の夫(42歳、会社員、日本人)と3人家族である。娘の夫は海外に長期出張中で、娘は日本語での簡単な日常会話はできるが、Aさんはほとんど日本語が理解できない。
Aさんは、2か月前から時々腰痛があり、市販薬で様子を見ていたが、徐々に腰痛が強くなり、娘に付き添われて受診した。検査の結果、肺癌と診断され、胸膜と腰椎への転移が見つかり、疼痛コントロールの目的で入院した。

 

▶午前118

病状について医師から説明を受けることになったが、娘から「夫はしばらく帰ってこないし、私は難しいことは分からないのでどうしたらいいですか」と質問を受けた。
看護師の助言で適切なのはどれか。

 

  1. 「ご主人に帰国してもらいましょう」
  2. 「医療通訳の方に同席してもらいましょう」
  3. 「娘さんからAさんにお話しされてはいかがですか」
  4. 「通訳できる知人を探して、同席してもらいましょう」

 

 


 

▶午前119

入院後、医療従事者との日常会話は、電子端末による翻訳を活用している。疼痛に対しては、モルヒネ徐放製剤の内服が開始され、レスキュードーズとして、モルヒネ速放製剤の内服が指示されている。激しい腰痛が1日に数回あるが、レスキュードーズを使いたくないと話し痛みを我慢している。
看護師の対応で優先度が高いのはどれか。

 

  1. レスキュードーズを無理に使う必要はないことを伝える。
  2. レスキュードーズを使いたくない理由を確認する。
  3. レスキュードーズの使い方を説明する。
  4. 疼痛スケールの記載を勧める。

 

 


 

▶午前120

入院8日、疼痛がコントロールされてきたAさんは「家に帰りたい」と希望しているが、娘は「仕事もあるし、もう少し病院にいてほしい」と話している。そこで、看護師の提案によりAさんのアドバンス・ケア・プランニングが行われることになった。
Aさんのアドバンス・ケア・プランニングで適切なのはどれか。

 

  1. 退院調整看護師に退院の手続きを進めてもらう。
  2. Aさんの発言内容の記録は施設外の人には提供しない。
  3. 娘の思いや不安に思っていることの解決が優先される。
  4. Aさんが大切にしていることや生きがいについて話してもらう。

 

 


 

資料 厚生労働省「第111回保健師国家試験、第108回助産師国家試験、第114回看護師国家試験の問題および正答について

注  当ページに掲載する解説は、看護師国家試験を解く上での理解しやすさを重視しているため、本来はより専門的・学術的な説明や議論がある部分を一部省略しています。正確な情報を掲載するように努めていますが、特に医療・看護行為や疾病、薬剤等の説明において、その正確性を保証するものではありませんので、学習以外での使用はお控え下さい。

 

▼第114回看護師国家試験

午前 必修問題一般問題状況設定問題
午後 必修問題一般問題状況設定問題

 

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