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一般財団法人厚生労働統計協会|国民衛生の動向、厚生労働統計情報を提供

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令和6年2月9日実施の第110回保健師国家試験の全問題と正答を掲載します。

また、内容に応じて保健師国家試験受験者の必携テキスト「国民衛生の動向2024/2025」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。

 

分野別解説付き問題まとめ

を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。

 

なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。

 

Eisei22 23 hyo    厚生の指標増刊

国民衛生の動向 2024/2025

 

発売日:2024.8.27

定価:2,970円(税込)

412頁・B5判

雑誌コード:03854-08

 

ご注文は書店、または下記ネット書店、電子書籍をご利用下さい。

 

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▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

第110回保健師国家試験目次

 

 

第110回保健師国家試験・午前(55問)

 

 

▶午前1

プライマリヘルスケアの説明で正しいのはどれか。

 

  1. 健康的な公共政策づくりを行う。
  2. 活動原則の1つに地域資源の有効活用がある。
  3. 提唱された当初は慢性疾患の増加が懸念される先進国が対象であった。
  4. 健康は生きる目的ではなく、毎日の生活のための資源という健康観が示されている。

 

 


 

▶午前2

予防活動の概念図を以下に示す。
110am2h
生活習慣病に対する取り組みのうちAにあたるのはどれか。

 

  1. ヘルシーメニューのレシピを県のホームページで紹介する。
  2. 市内の中学生の保護者に特定健康診査の案内を配布する。
  3. 市の広報誌にウォーキングスポットを掲載する。
  4. 糖尿病の治療を中断した者に受診を勧奨する。

 

 


 

▶午前3

保健所の説明で正しいのはどれか。

 

  1. 平成30年(2018年)から令和4年(2022年)の5年間の推移で中核市の保健所は減少傾向にある。
  2. 地域保健に関する思想の普及が業務の1つである。
  3. 健康増進法に基づき設置されている。
  4. 介護認定審査会を開催する。

 

 


 

▶午前4

Aさん(56歳、男性)は、仕事の忙しさと職場の人間関係に悩み、夜間に熟睡できていない。気持ちが晴れない日が月に3、4回あり、その都度会社を休む。Aさんの妻はこれをきっかけに体調を崩すことが増え、家事を十分にできずにいる。娘は部屋に閉じこもりがちで中学校に行けなくなってしまった。
家族システム理論におけるAさん家族の状況はどれか。

 

  1. 恒常性
  2. 組織性
  3. 非累積性
  4. 循環的因果関係

 

 


 

▶午前5

健康段階別保健行動とその内容の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 健康増進行動治療のため医療機関を受診する。
  2. 病気回避行動睡眠不足の解消のため休養をとる。
  3. 病気対処行動早期発見のためがん検診を受診する。
  4. 予防的保健行動健康維持のため運動をする。

 

 


 

▶午前6

高齢化率が高いA市の保健師は、地域診断を行い、複数の健康課題を抽出した。
対応すべき健康課題で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 後期高齢者の増加に伴う認知症高齢者の増加
  2. 豪雪地帯に居住する高齢者の閉じこもりの増加
  3. 地域社会の希薄化によって社会との交流が減少した高齢者の増加
  4. 高齢者を高齢者が介護する世帯における介護負担による高齢者虐待の増加

 

 


 

▶午前7

介護保険法で規定される市町村介護保険事業計画の日常生活圏域で正しいのはどれか。

 

  1. おおむね小学校区である。
  2. 市町村が範囲を設定する。
  3. 高齢者の人口で圏域を定める。
  4. 介護保険法制定時に定められた。

 

 


 

▶午前8

A市では、精神障害者が可能な限り住み慣れた地域で本人の意向に沿った生活を送ることができるよう、精神障害にも対応した地域包括ケアシステムの構築を推進している。
評価の指標で適切なのはどれか。

 

  1. 医療保護入院の件数
  2. 精神保健指定医の数
  3. 精神病床の平均在院日数
  4. 精神障害者保健福祉手帳の申請者数

 

 


 

▶午前9

向老期の女性の健康課題で正しいのはどれか。

 

  1. 子宮頸癌が増加する。
  2. 器質的変化に起因する更年期症状が起こる。
  3. 骨盤底筋群の収縮力の低下によって排尿障害が起こる。
  4. プロゲステロンの産生低下に起因して動脈硬化が起こる。

 

 


 

▶午前10

ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉感染症および後天性免疫不全症候群〈AIDS〉の発生予防およびまん延防止対策で適切なのはどれか。

 

  1. 保健所での接触者健康診断の実施
  2. エイズ治療拠点病院における診療の集約
  3. 他の性感染症と区別した検査体制の充実
  4. 学校教育におけるHIV感染予防の正しい知識の普及啓発

 

 


 

▶午前11

Aちゃんは、3歳児健康診査で発語が単語のみであり、名前を呼んでも振り向かず、視線も合わず、コミュニケーションが難しかった。Aちゃんの母親によると自宅では視聴覚の問題はないとのことであった。保健師は発達相談ができる遊びの場を紹介したが、母親は「マイペースな子なので、特に心配していません」と強い口調で利用を拒否した。
このときの保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「Aちゃんは発達に問題があります」
  2. 「Aちゃんを専門医に診てもらいませんか」
  3. 「発達障害をもつ児の親の会に行ってみませんか」
  4. 「しばらくしたらAちゃんに会いにご自宅に伺ってもいいですか」

 

 


 

▶午前12

Aさん(8歳、男児)は保健室に来て「家で転んだ」と訴えた。養護教諭は前腕部に内出血を認めたため原因を尋ねると、説明が二転三転した。
このときの養護教諭の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 身体測定の記録を確認する。
  2. 保護者に内出血の原因を尋ねる。
  3. 保健室から校長に電話で報告する。
  4. 他の部位に外傷がないかを確認する。

 

 


 

▶午前13

3か月前に他部署から異動してきた新任管理者のA課長から「部下のBさんの様子が気になっています。先月のストレスチェックの結果はどうだったでしょうか」と保健師に連絡があった。
ラインによるケアを支援する保健師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「Bさんに保健師と面談するように勧めてください」
  2. 「Bさんの職場での様子を詳しく聞かせてください」
  3. 「A課長の部署の集団分析結果を説明するので面談に来てください」
  4. 「Bさんに私が確認し了解があればストレスチェックの結果を説明します」

 

 


 

▶午前14

児童虐待の三次予防はどれか。

 

  1. 児童虐待予防月間に虐待防止のポスターを掲示する。
  2. 一時保護所を退所した児童に対して定期的に面談する。
  3. ソーシャルネットワーキングサービス〈SNS〉の相談窓口を開設する。
  4. 乳幼児健康診査で「子どもにイライラする」と話す母親をグループカウンセリングに紹介する。

 

 


 

▶午前15

乳幼児の親に対して自治体が行う防災対策で適切なのはどれか。

 

  1. 地域の防災リーダーになるための研修を開催する。
  2. 子どもを連れた避難行動のシミュレーション訓練を実施する。
  3. 乳幼児とその家族は災害時の要配慮者ではないことを周知する。
  4. 災害時には「緊急安全確保」が出されるまで自宅で待機することを勧める。

 

 


 

▶午前16

A市では子育て世代の転入が増加している。子育て世代を対象としたアンケートを実施したところ、子育てに関することを相談する相手がいないとの回答が最も多かった。そこで、この課題を解決するために、A市では新たな補助事業を創設した。
補助事業の対象で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 育児に関する情報誌の作成費
  2. 家事支援ボランティアの交通費
  3. 商店街の授乳スペースの整備費
  4. 子育ての自主グループ活動の会場費

 

 


 

▶午前17

A保健師は、入職した市の研修で「市の人員配置においては、妊娠・出産・育児・介護のライフサイクルを考慮しワーク・ライフ・バランスが図られるよう配慮しています」と説明を受けた。
この説明は公衆衛生看護管理のどれか。

 

  1. 情報管理
  2. 人事管理
  3. 健康危機管理
  4. 組織運営管理

 

 


 

▶午前18

喫煙習慣の有無と性別の関連を調べる検定方法で適切なのはどれか。

 

  1. t検定
  2. 相関係数の検定
  3. 一元配置分散分析
  4. χ2〈カイ2乗〉検定

 

 


 

▶午前19

合計特殊出生率の算出方法で正しいのはどれか。

 

  1. 出生数を人口で除し、1,000を乗ずる。
  2. ある年齢の母の出生数を同年齢の女性人口で除し、1,000を乗ずる。
  3. 母の年齢別出生数を同年齢の女性人口で除し、15歳から49歳まで合計する。
  4. 母の年齢別女児出生数を同年齢の女性人口で除し、15歳から49歳まで合計する。

 

 


 

▶午前20

日本の医療制度の特徴で正しいのはどれか。

 

  1. 指定された医療機関を受診する。
  2. 診療報酬は加入する保険によって決まる。
  3. 生活保護の受給者は75歳になると後期高齢者医療制度へ移行する。
  4. 保険医療機関は患者の自己負担額を除いた診療報酬を審査支払機関に請求する。

 

 


 

▶午前21

日本の自殺対策で正しいのはどれか。

 

  1. 高齢者の自殺対策を重点施策に位置付けている。
  2. 市町村に自殺対策計画の立案を義務付けている。
  3. 事業主にメンタルヘルス対策推進を義務付けている。
  4. 令和8年までに自殺死亡率を平成27年と比べて10%減少することを目標としている。

 

 


 

▶午前22

保健師が家庭訪問を行う対象で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 特定保健指導の未受診者
  2. 特定健康診査で血圧200/100mmHgの未治療者
  3. 自助グループの情報を求めている潰瘍性大腸炎患者
  4. 正常な経過の児の体重測定を希望している産後3週の褥婦
  5. 民生委員が見守りをしている高齢者で最近物忘れが増えている者

 

 


 

▶午前23

特定健康診査の基本的な項目はどれか。

 

  1. 眼底検査
  2. 貧血検査
  3. 肝機能検査
  4. 心電図検査
  5. 血清クレアチニン検査

 

 


 

▶午前24改題

令和3年(2021年)の人口動態統計で、子どもの不慮の事故による年齢別死因の割合についてのグラフを以下に示す。
110am24h
窒息はどれか。

 

 

 


 

▶午前25

Aさん(80歳、女性)は要介護1、認知症高齢者の日常生活自立度判定基準Ⅱaで介護保険サービスを利用しながら1人で暮らしている。遠方に住む娘が地域包括支援センターに来所し、「家の中に最近購入したと思われる高価な商品が複数置かれ、公共料金は滞納していることが分かった。慣れ親しんだ自宅で最期まで生活してほしいが、お金の管理も心配。どうしたらよいか」と話す。
地域包括支援センターの保健師がAさんの娘に提案する内容で適切なのはどれか。

 

  1. Aさんとの同居
  2. Aさんの施設入所
  3. 成年後見制度の利用
  4. 民生委員への見守りの依頼
  5. 介護支援専門員への金銭管理の依頼

 

 


 

▶午前26

養護教諭の職務で正しいのはどれか。

 

  1. 保健室の経営
  2. 臨時休業の決定
  3. 学校保健計画の立案
  4. 定期環境衛生検査の実施
  5. 保健教育の年間計画の立案

 

 


 

▶午前27改題

令和3年度(2021年度)の業務上疾病発生状況等調査における疾病分類別業務上疾病発生者数をグラフに示す。
110am27h
Aに該当するのはどれか。
なお、「新型コロナウイルスり患によるもの」を含む「病原体による疾病」はグラフから除いている。

 

  1. 化学物質による疾病
  2. 負傷に起因する疾病
  3. 物理的因子による疾病
  4. 作業態様に起因する疾病
  5. じん肺及びじん肺合併症

 

 


 

▶午前28

災害対策基本法に規定されているのはどれか。

 

  1. 救護所における医療
  2. 自主防災組織の育成
  3. 被災世帯の住宅再建支援
  4. 被災者への生活再建支援金給付
  5. 被災世帯への災害援護資金の貸し付け

 

 


 

▶午前29

観察開始時点での観察集団の人数に占める、一定の観察期間内に新たに発生した患者数の割合はどれか。

 

  1. 罹患率
  2. 罹患率比
  3. 累積罹患率
  4. 寄与危険割合
  5. 人口(集団)寄与危険

 

 


 

▶午前30

先進諸国(アメリカ合衆国、イギリス、スウェーデン、フランス、日本)における妊産婦死亡率の推移のグラフを別に示す。
110am30h
日本はどれか。

 

  1. A
  2. B
  3. C
  4. D
  5. E

 

 


 

▶午前31

健康の社会的決定要因のうち構造的決定要因はどれか。

 

  1. 教育
  2. 居住・職場環境
  3. 食品の入手可能性
  4. 心理・社会的要因
  5. 行動と生物学的要因

 

 


 

▶午前32

厚生労働省が「『地域共生社会』の実現に向けて」(平成29年)で示した強化すべき改革の骨格はどれか。2つ選べ。

 

  1. 地域移行支援
  2. 地域課題の解決力
  3. 地域における防犯活動
  4. 地域丸ごとのつながり
  5. 地域における医療と介護の一体的実施

 

 


 

▶午前33

ウイルス性肝炎について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. C型肝炎は四類感染症である。
  2. B型肝炎は定期予防接種の対象である。
  3. 健康増進法に基づく肝炎ウイルス検診は都道府県が実施主体である。
  4. C型慢性肝炎のインターフェロンフリー治療は公費助成の対象である。
  5. 感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づき肝炎対策の推進に関する基本的な指針が策定されている。

 

 


 

▶午前34

介護保険について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 被保険者は40歳以上の者である。
  2. 財源は保険料と公費が50%ずつである。
  3. 特定疾病には交通事故による外傷が含まれる。
  4. 要介護者のケアプランは地域包括支援センターが作成する。
  5. 要介護認定で非該当になったものは予防給付の対象となる。

 

 


 

▶午前35

介護老人保健施設で、ノロウイルスによる感染性胃腸炎症状が複数の入所者と職員に発生している。
施設が行うべき感染拡大防止のための対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 発症者と未発症者で居室を分ける。
  2. 嘔吐物の処理は十分に乾燥させてから行う。
  3. 感染者が使用したリネン類は60℃で1分間の熱水洗濯を行う。
  4. 発症した食品調理従事者の業務への復帰は胃腸炎症状が消失した日からとする。
  5. 感染者が使用した非金属製の食器の消毒は次亜塩素酸ナトリウム溶液を使用する。

 

 


 

▶午前36

自治体の保健師が行う業務管理はどれか。2つ選べ。

 

  1. 地域活動計画と他部門の計画との整合性を判断する。
  2. 専門性を向上させるための研修を実施する。
  3. 活動の評価を翌年度の計画に反映させる。
  4. 地域のニーズを踏まえた地域診断を行う。
  5. 相談や訪問などの記録を管理する。

 

 


 

▶午前37

標準偏差の説明で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 分散をもとに計算する。
  2. 変動係数の計算に用いる。
  3. 測定値の中で出現頻度が最大の値である。
  4. 測定値の合計をデータ数で除した値である。
  5. 標準偏差が大きいほどばらつきが小さいことを意味する。

 

 


 

▶午前38

平成26年(2014年)に成立した地域における医療及び介護の総合的な確保を推進するための関係法律の整備等に関する法律〈医療介護総合確保推進法〉で示された地域医療構想について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 構想区域は現行の三次医療圏を原則としている。
  2. 地域包括ケアシステムの進捗と密接に関係する。
  3. 都道府県は地域医療構想の調整会議を設けて必要な協議を行う。
  4. 令和2年度(2020年度)末までに約9割の都道府県で策定を終えた。
  5. 令和22年(2040年)の医療需要と医療従事者の必要量を推計して定める。

 

 


 

▶午前39

生活保護について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 介護扶助は現物給付である。
  2. 所得保障の分類で社会手当に該当する。
  3. 保護開始の理由は「傷病による」が最も多い。
  4. 基本原理として補足性の原理が定められている。
  5. 社会保険制度として保険料によって運営される。

 

 


 

▶午前40

12人の体重(kg)のデータを値の大きさ順に表に示す。
第3四分位数の値を求めよ。
ただし、小数点以下の数値が得られた場合には、小数点以下第2位を四捨五入すること。

110am40h

 

解答:①②.③kg

 

 


 

次の文を読み41~43の問いに答えよ。

A市には高度経済成長期に建設された100戸ほどの集合住宅がある。急な坂の上にあり、近年、高齢化が進んでいる。先日、集合住宅の1人暮らし高齢者が自宅で亡くなっている状態で発見された。集合住宅を含むこの地域の自治会長が会議で保健センターに来所した際に「亡くなった高齢者はほとんど人付き合いがなく、自宅で閉じこもっていたようです。二度とこのようなことが起こらないように、自治会でも何かできないでしょうか」と相談した。

 

▶午前41

保健センターの保健師の支援で最も適切なのはどれか。

 

  1. 地域包括支援センターに相談するよう促す。
  2. 自治会役員による1人暮らし高齢者宅への訪問を勧める。
  3. 住民を対象とした閉じこもり予防教室の開催を企画する。
  4. 自治会主催の地域住民を対象とした意見交換会の開催を提案する。

 

 


 

▶午前42

保健センターの保健師は、改めてこの集合住宅を含む地域についてアセスメントを行うことにした。
対象とするデータで優先度が高いのはどれか。

 

  1. 地域密着型サービスの事業所数
  2. 在宅療養支援診療所数
  3. 世帯構造別世帯数
  4. 生活保護世帯数

 

 


 

▶午前43

自治会長から「自治会が中心となって開催している既存の体操教室を、閉じこもりを予防するための定期的な集いの場にも活用したいと考えています。円滑に進めるために気を付けることはありますか」と保健師に相談があった。
保健師が最初に助言する内容はどれか。

 

  1. 「運営に携わる人で集いの場の目的を共有しましょう」
  2. 「集いの場で必要となる経費を算出しておきましょう」
  3. 「集いの場の年間計画を立てておきましょう」
  4. 「開催案内のチラシを作成しましょう」

 

 


 

次の文を読み44~46の問いに答えよ。

A社は、従業員800人のIT企業である。システムエンジニアを中心としたBグループに在籍する30名の社員は全員が情報機器作業に従事している。平均年齢は42歳で、ここ数か月の1か月当たりの時間外労働時間が30時間を超える者はいない。保健師が定期健康診断後に社員全員の面談を実施したところ、Bグループにおいて肩こり、腰痛、眼の疲れを訴える者が多いことが分かった。

 

▶午前44

情報機器作業の健康障害対策を検討するにあたり確認すべき情報はどれか。2つ選べ。

 

  1. 受動喫煙対策
  2. 一連続作業時間
  3. 職場の人間関係
  4. 職場環境測定の結果
  5. 生活習慣病の有病率

 

 


 

▶午前45

保健師は、Bグループの職場巡視をすることにした。
情報機器作業職場の職場巡視の確認項目で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 作業姿勢
  2. 疲労の訴え
  3. 職場の雰囲気
  4. 通路上の配線

 

 


 

▶午前46

職場巡視の結果、情報機器作業における労働衛生管理のためのガイドラインが遵守されていないことが分かった。
保健師が最初に行う対応はどれか。

 

  1. 衛生委員会に職場巡視の結果を報告する。
  2. 情報機器作業者向けの健康相談を実施する。
  3. 管理職向けの情報機器作業に関する労働衛生教育を実施する。
  4. Bグループのリーダーにガイドラインを遵守するよう指導する。

 

 


 

次の文を読み47~49の問いに答えよ。

人口200万人のA県において、ある感染症の抗体保有率を把握するために標本調査を行うことにした。

 

▶午前47

この研究デザインはどれか。

 

  1. 横断研究
  2. 介入研究
  3. コホート研究
  4. 症例対照研究
  5. 生態学的研究

 

 


 

▶午前48

性別と年齢の分布が母集団のA県と等しくなるように、2,500人を標本抽出した。
この標本抽出方法はどれか。

 

  1. 系統抽出法
  2. 集落抽出法
  3. 層化抽出法
  4. 多段抽出法
  5. 単純無作為抽出法

 

 


 

▶午前49

抽出した2,500人のうち2,000人が調査に参加し、参加者の性別と年齢の分布に偏りはなかった。抗体保有者は1,800人であった。
調査で判明した抗体保有率はどれか。

 

  1. 0.09%
  2. 0.9%
  3. 72%
  4. 80%
  5. 90%

 

 


 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。

Aさん(16歳、高校生)が最近太ってきたように感じた母親が、Aさんに確認したところ、しばらく月経がないことが分かった。母親が付き添って産婦人科を受診し妊娠24週であることが判明した。胎児の父親であるアルバイト先の先輩に妊娠を伝えたところ、音信不通となった。Aさんは両親と話し合った結果、出産して自分で育てることを決意し、町役場に母親と母子健康手帳の交付手続きで来所した。町役場の母子保健担当保健師がAさんと母親に面接し、Aさんは現在高校1年生であり、会社員の父と専業主婦の母と3人で暮らしていることが分かった。

 

▶午前50

面接時にAさんの体調を確認したうえで、保健師が行う支援で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 母親学級の紹介
  2. 育児支援体制の確認
  3. 育児手技取得の指導
  4. 学業継続の意思確認

 

 


 

▶午前51

Aさんは高校を休学してBちゃん(男児)を出産した。出産後は両親の支援を受けながら育児をしていたが、出産後10か月で高校に復学した。復学して半年が過ぎたころ、Aさんの母親から町役場に「育児が大変です」と電話があった。保健師はAさんとAさんの母親に育児状況を確認するため、家庭訪問を行った。家庭訪問で、Aさんは「今はBの世話は主に母がしてくれています。最近、部活を再開し土日も練習があります」と話した。Aさんの母親は「Bも大きくなってきたので、私の負担が大きいです」と話した。
家庭訪問時に保健師が勧める内容で最も適切なのはどれか。

 

  1. 子育て支援センターの利用
  2. Bちゃんの保育所への入所
  3. 部活動への参加日数を減らすこと
  4. 祖父母を対象にした育児講座への参加

 

 


 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。

人口5万人のA市には高齢者が多い地域があり、災害が発生した場合に自ら避難することが困難な住民が多数発生することが懸念されている。A市では以前に避難行動要支援者の名簿を作成し、個別避難計画の作成も進んでいるが、その後に市内で転居した住民も多く、新たに障害や難病の認定を受けた住民も少なくない。このため、改めて住民の実態を確認して災害に備えることにした。

 

▶午前52

A市における避難行動要支援者名簿の説明で正しいのはどれか。

 

  1. 個別の避難計画が作成されている住民は名簿から除外する。
  2. 名簿に市が記載すべき事項について法律による規定はない。
  3. 災害の発災前に名簿の情報を利用できるのはA市職員に限られる。
  4. ハザードマップにおける危険地域から安全な地域へ転居している住民は名簿から除外する。
  5. 避難行動要支援者の把握のため県の保健所に対し難病患者情報の提供を求めることができる。

 

 


 

▶午前53

平日の昼の時間帯にA市を震源とする地震が発生し、家屋に被害を受けた住民は地域のB避難所、C避難所、D避難所へ避難した。3つの避難所は地域の学校の体育館を使用しており、広さは同程度で、避難者に年齢の偏りはないが、B避難所には収容人数の上限に近い避難者がいる。C避難所とD避難所の避難者数はいずれもB避難所の半数程度であるが、C避難所では当初、トイレの約7割が故障して仮設トイレの増設まで2日を要した。
発災5日目、避難所によっては、発熱、咳、下痢、嘔吐等の症状を訴える人が増加した。避難後に出現した症状ごとの有症者数の累計の表を以下に示す。
110am53h
B避難所、C避難所、D避難所と①~③の組合せで正しいのはどれか。

 

   ① ② ③

  1. B D C
  2. C B D
  3. C D B
  4. D B C
  5. D C B

 

 


 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。

Aさん(85歳、男性)は息子(50歳)と2人暮らしで、介護保険サービスを利用していない。民生委員から市役所の保健師に「Aさんが最近痩せてきて、着替えもできていない様子。ここ数日見かけない。息子はたまにアルバイトをしているがほとんどAさんの年金で生活をしている」と相談があった。

 

▶午前54

保健師が民生委員と一緒に自宅を訪問すると、Aさんはごみが散乱している居間に寝ていた。息子は「父親の夕食は自分が弁当を買ってきている。朝食や昼食は夕食の弁当の残りを食べている」と言う。Aさんは失禁がみられ、数週間入浴もしていないようであった。
この事例への対応の緊急度を判断するための情報で最も重要なのはどれか。

 

  1. Aさんの年金額
  2. 別居家族の有無
  3. 息子の健康状態
  4. Aさんの栄養状態

 

 


 

▶午前55

保健師が息子と話をすると「1年前にかかりつけの医師から父は認知症だと説明された」「父はわざと自分を困らせようと失禁している」と言う。保健師は息子の大変さをねぎらい、息子へAさんの介護保険サービスを早急に利用するように伝えるが、息子は「お金がもったいない。このまま寝かせておく」と拒否した。
保健師の対応で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 息子と継続した面接を行う。
  2. 民生委員の見守りを継続する。
  3. 生活保護の申請手続きを支援する。
  4. Aさんの福祉の措置について検討する。
  5. 認知症の症状と対応方法について指導する。

 

 

 

第110回保健師国家試験・午後(55問)

 

 

▶午後1改題

子どもの貧困対策の推進に関する法律に基づく子供の貧困対策に関する大綱(令和元年)に示されているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. いじめへの対応
  2. 児童手当の支給
  3. 保護者に対する就労支援
  4. 放課後等デイサービスの設置

 

 


 

▶午後2

学校保健安全法で規定されている児童生徒等に実施する定期健康診断で正しいのはどれか。

 

  1. 実施責任者は養護教諭である。
  2. 毎学年5月31日までに実施する。
  3. 検査項目の1つに栄養状態がある。
  4. 15日以内に本人および保護者への結果の通知義務がある。

 

 


 

▶午後3

出入国在留管理庁による国籍・地域別在留外国人数の年次推移を以下に示す。
110pm3h
Dの国はどれか。

 

  1. 韓国
  2. 中国
  3. ベトナム
  4. フィリピン

 

 


 

▶午後4

生活習慣病をもつ住民が自身の生活を見直すために役立つ情報を集め活用するのに必要なのはどれか。

 

  1. リーダーシップ
  2. コンプライアンス
  3. ヘルスリテラシー
  4. アカウンタビリティ

 

 


 

▶午後5

市では健康増進や介護予防を推進する住民活動を活性化させるために、各地区の健康づくりリーダーを養成することにした。
対象者を選定する方法で最も適切なのはどれか。

 

  1. 市民への募集
  2. 自治会員の輪番制
  3. 社会福祉協議会の推薦
  4. 地区担当保健師の推薦

 

 


 

▶午後6

人口100人のA地区は高齢化と過疎化が進行している中山間地域である。老人クラブの活動は積極的に行われているが、健康課題としてフレイルがある。民生委員、自治会役員、老人クラブは協力し合って、この課題に取り組む組織をつくることにした。
この組織の種類はどれか。

 

  1. 特定非営利活動法人〈NPO〉型
  2. セルフヘルプグループ型
  3. 委員会型
  4. 地縁型

 

 


 

▶午後7

4か月児健康診査の問診で正しいのはどれか。

 

  1. 「1人で座れますか」
  2. 「人見知りをしますか」
  3. 「あやすとよく笑いますか」
  4. 「音楽を聞かせると手足を動かして喜びますか」

 

 


 

▶午後8

Aさん(70歳、男性)は定年退職後、年金の給付を受けて、妻と2人で暮らしている。2年前にParkinson〈パーキンソン〉病と診断された。Hoehn-Yahr〈ホーエン・ヤール〉の重症度分類でステージⅢとなり、Aさんの妻が医療費助成の申請のため保健所に来所した。その際に家庭訪問の日時を約束し、保健師が訪問したところ、Aさんは「入浴や通院のときに不安を感じることがあるが、何とか自分のことは1人でできている」と話した。
初回訪問時の情報収集で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 住環境
  2. 家族関係
  3. 経済状況
  4. 病院への通院方法

 

 


 

▶午後10

予防接種について正しいのはどれか。

 

  1. 定期接種の実施主体は都道府県である。
  2. 学校などでの集団接種を原則としている。
  3. 流行性耳下腺炎は定期接種の対象である。
  4. 定期接種による健康被害には予防接種健康被害救済制度がある。

 

 


 

▶午後11

セクシュアリティに配慮が必要な児童生徒に対して学校が行う支援内容で適切なのはどれか。

 

  1. 制服は生物学的な性に合わせる。
  2. 通知表は児童生徒が希望する呼称で記す。
  3. 当該児童生徒への配慮を同級生に周知する。
  4. 医療機関の助言を受けてからサポートチームを設置する。

 

 


 

▶午後12

常時使用する労働者が35名の事業場(製造業)に選任が義務付けられているのはどれか。

 

  1. 産業医
  2. 保健師
  3. 衛生管理者
  4. 安全衛生推進者

 

 


 

▶午後13

健康危機管理について正しいのはどれか。

 

  1. 対象分野に児童虐待が含まれる。
  2. 定義は地域保健法に規定されている。
  3. 市町村の地域防災計画の策定は努力義務である。
  4. 対応は有事対応と事後対応の2つに大別される。

 

 


 

▶午後14

公衆衛生看護管理における地区管理はどれか。

 

  1. 継続支援を必要とする人のモニタリングをする。
  2. 新規事業の予算確保のために企画書を作成する。
  3. 潜在的な健康課題も含めた地域の健康課題を把握する。
  4. 地域の健康課題について他の自治体の先進事例を調べる。

 

 


 

▶午後15

平成15年(2003年)の「地域保健従事者の資質の向上に関する検討会報告書」における地域保健従事者に求められる能力のうち「行政職員としての能力」はどれか。

 

  1. 交渉・折衝能力
  2. 健康危機管理能力
  3. 保健事業運営能力
  4. 個人・家族に対する支援能力

 

 


 

▶午後16

解析時に可能な交絡要因の制御方法はどれか。

 

  1. 限定
  2. 層化
  3. マッチング
  4. 無作為割付

 

 


 

▶午後17

ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(Universal Health Coverage:UHC)の説明で正しいのはどれか。

 

  1. すべての人が適切な保健医療サービスに支払い可能な費用でアクセスできる状態
  2. 労働条件の国際基準となる条約や勧告を採択し、批准国への監視を行う機関
  3. すべての子どもが命と権利を守り安全な生活を送れるよう支援する基金
  4. 世界の人々の福祉の実現や、人権の国際的な保障を目的としている機関

 

 


 

▶午後18

医療法に基づき医療機関へ立入検査を行うのはどれか。

 

  1. 特定機能病院の医療安全管理者
  2. 医療安全支援センターの職員
  3. 保健所の環境衛生監視員
  4. 都道府県の医療監視員

 

 


 

▶午後19

第3期がん対策推進基本計画の目標項目で正しいのはどれか。

 

  1. がん有病率
  2. がん検診受診率
  3. 緩和ケア病棟数
  4. がん患者の支援団体数

 

 


 

▶午後20

同じ健康課題をもつ住民が主体となったグループの発展段階を準備期、開始期、作業期、終結期に分類した場合、作業期の特徴はどれか。

 

  1. 成果を出そうとする。
  2. メンバーに警戒がみられる。
  3. グループの構造化がみられる。
  4. メンバーは自分たちの居場所を見出そうとする。

 

 


 

▶午後21

生活習慣病予防を目的にした活動で、ナッジ理論を活用しているのはどれか。

 

  1. 階段に消費カロリーを表示する。
  2. 生活習慣病のメカニズムについて説明する。
  3. 仲間づくりを意図したグループワークを行う。
  4. 自分の目標を周囲の人に宣言するように勧める。

 

 


 

▶午後22改題

令和3年(2021年)の学校保健統計調査における学校種別の主な疾病・異常被患率を以下に示す。
110pm22h1
110pm22h2
110pm22h3
110pm22h4
裸眼視力1.0未満の者を示したグラフはどれか。

 

  1. A
  2. B
  3. C
  4. D

 

 


 

▶午後23

因果関係を推論する上で相対危険やオッズ比の大きさが指標となるのはどれか。

 

  1. 関連の一致性
  2. 関連の強固性
  3. 関連の時間性
  4. 関連の整合性
  5. 関連の特異性

 

 


 

▶午後24

全国がん登録制度について正しいのはどれか。

 

  1. 罹患率を計測する。
  2. 健康増進法に基づいている。
  3. 診断後7日以内に届け出る。
  4. がん罹患者の同意が必要である。
  5. 指定届出機関による定点把握である。

 

 


 

▶午後25改題

令和4年(2022年)の人口動態統計における10~14歳の死因順位の第1位はどれか。

 

  1. 自殺
  2. 肺炎
  3. 心疾患
  4. 悪性新生物
  5. 先天奇形、変形及び染色体異常

 

 


 

▶午後26

厚生労働省に地域保健・健康増進事業報告を行うのはどれか。

 

  1. 介護保険施設
  2. 企業および事業所
  3. がん診療連携拠点病院
  4. 保健所および市区町村
  5. 病院、療養病床を有する診療所

 

 


 

▶午後27

A市における乳がん検診受診者数が今年8月で昨年度1年間の受診者数を超え、予定していた年間支出額を上回ることが見込まれるため、次年度の支出見込額を増額することになった。
今年度の増額分に対応するために編成されるのはどれか。

 

  1. 一般会計
  2. 暫定予算
  3. 当初予算
  4. 特別会計
  5. 補正予算

 

 


 

▶午後28

A市では職員の仕事と子育ての両立を図るための市町村行動計画を策定した。
この取り組みの根拠となる法律はどれか。

 

  1. 健康増進法
  2. 児童福祉法
  3. 母子保健法
  4. 子ども・子育て支援法
  5. 次世代育成支援対策推進法

 

 


 

▶午後29

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉で規定されているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 検疫所の設置
  2. 飼い犬の狂犬病予防注射
  3. 病原体に汚染された場所の消毒
  4. 結核患者の通院医療費の公費負担
  5. 食中毒発生時の飲食店の営業停止

 

 


 

▶午後30

歯科保健施策について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 歯科疾患実態調査は3年ごとに実施されている。
  2. 健康増進法によって歯周疾患検診が義務化された。
  3. ライフステージごとの歯科口腔保健事業の推進が図られている。
  4. 平成23年(2011年)に歯科口腔保健の推進に関する法律が施行された。
  5. 第1次国民健康づくり対策の課題の1つとして歯の健康が取り上げられた。

 

 


 

▶午後31

地域支援事業のうち包括的支援事業はどれか。2つ選べ。

 

  1. 総合相談支援
  2. 通所型サービス
  3. 家族介護支援事業
  4. 介護予防ケアマネジメント
  5. 地域リハビリテーション活動支援事業

 

 


 

▶午後32

産業保健総合支援センターの業務で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 産業医の選任を行う。
  2. 特殊健康診断を実施する。
  3. 衛生管理者を対象に研修を実施する。
  4. 労災補償の支給決定のための調査を行う。
  5. 事業場のメンタルヘルス対策の普及促進を行う。

 

 


 

▶午後33

自然災害に備えた地方自治体における事業継続計画〈Business Continuity Plan:BCP〉で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 地域防災計画で代用できる。
  2. 継続の優先度が高い事業を特定する。
  3. 策定に際しては自治体の全部署が参画する。
  4. 災害発生後の急性期から復興期までの計画を立てる。
  5. 策定の過程でパブリックコメントを求める必要がある。

 

 


 

▶午後34

リスクコミュニケーションについて正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 地域保健法に規定されている。
  2. リスクについて双方向的な意見交換を行う。
  3. リスクに伴う住民の情緒的な不安の軽減は目的に含まれない。
  4. 住民自身がリスクへの対応について主体的な選択をできるよう支援する。
  5. 感染症発生時には患者ごとに年齢、住所、診断医療機関名等の詳細な情報を公表する。

 

 


 

▶午後35

国勢調査について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 3年ごとに実施する。
  2. 人口静態を把握する。
  3. 厚生労働省が実施する。
  4. 調査区を無作為抽出する。
  5. 世帯員と世帯について調査を実施する。

 

 


 

次の文を読み36~38の問いに答えよ。

Aさん(48歳、女性)の特定健康診査の結果は、身長160.5cm、体重76.8kg、BMI30、腹囲93cm、血圧135/85mmHg、空腹時血糖95mg/dL、HDLコレステロール38mg/dL、中性脂肪200mg/dLであり、喫煙歴はない。保健師は特定健康診査の結果に基づき「生活習慣について一緒に見直しましょう」と電話連絡をした。当初、Aさんは「今のところ生活習慣を変えるつもりはない」と言っていたが、保健師の働きかけで初回面接を受けることになった。

 

▶午後36

保健師は変化ステージ理論を用いて初回面接を実施した。
Aさんから得る情報で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 食事の好み
  2. 1日の運動量
  3. 過去10年間の体重
  4. 現在の自分の健康状態に対する認識

 

 


 

▶午後37

3か月後のAさんとの評価面接において、体重74kg、腹囲90cmに減少していた。Aさんは「初回面接から間食はしないようにしているし、ご飯は小さなお茶碗に変えて1杯だけに減らしている。しかし、7,000歩を毎日歩くことはできず体重は目標達成に至っていない」と話した。
変化ステージ理論における現在のAさんのステージはどれか。

 

  1. 関心期
  2. 準備期
  3. 実行期
  4. 維持期

 

 


 

▶午後38

面接後、Aさんは「これからも続けられるか不安だ」と話した。そこでAさんのこれまでの努力を承認し、継続の重要性を伝え「継続できたら1か月ごとに自分にご褒美をあげるのはどうですか」と提案した。
このときのAさんに対する保健師の働きかけはどれか。

 

  1. 意識の高揚
  2. 環境の再評価
  3. 強化マネジメント
  4. 刺激コントロール

 

 


 

次の文を読み39~41の問いに答えよ。

人口5万人のA市は中心地にマンションが増え、山間部は古い日本家屋が立ち並んでいる。高齢者人口割合は33%で、今後も増加すると見込まれている。要介護状態となる者の割合が年々増加しており、他市に比べても高いことから、保健師は、A市の高齢者の実態を明らかにした上で、新たな介護予防事業を検討することにした。

 

▶午後39

新たな介護予防事業を検討するために収集する情報で最も適切なのはどれか。

 

  1. 特定健康診査の結果
  2. 介護サービス施設・事業所調査の結果
  3. 要介護認定者の介護サービスの利用状況
  4. 基本チェックリストによる生活機能評価の結果

 

 


 

▶午後40

介護が必要となった原因を全国および県と比較したところ「骨折」の割合が高いことが分かった。そこで、特定健康診査受診時の問診で「この1年間に転んだことがある」と回答した65歳以上の高齢者に聞き取り調査を行うことにした。
聞き取り調査の内容で最も適切なのはどれか。

 

  1. 転倒した場所
  2. 食事の摂取内容
  3. 同居家族の有無
  4. 骨粗しょう症検診の受診の有無

 

 


 

▶午後41

聞き取り調査の結果を踏まえ、介護予防事業の実施に向けて地域ケア会議を開催することにした。
地域の実態の共有を行う会議の参加者で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 民生委員
  2. A市医師会の会長
  3. A市の管理栄養士
  4. 病院の理学療法士

 

 


 

次の文を読み42~44の問いに答えよ。

Aさん(56歳、女性、無職)は1年前に職を失ってから飲酒量が増え、半年前には多量飲酒で意識消失し大学病院に救急搬送され、アルコール依存症が疑われたが、治療にはつながらなかった。警察署から、B町の保健師に「B町に住むAさんが泥酔して公園で寝ていたところを保護している。保護したのはこの半年で3回目だ。Aさんは1人暮らしだが、B町に姉のCさんがいるので、Cさんに迎えに来てもらっていた。今回はCさんに連絡がとれないので、保健師の支援をお願いできないか。保健師に連絡することは本人が同意している」と連絡があった。保健師は、住民基本台帳でAさんとCさんがB町に居住していることを確認した。

 

▶午後42

保健師は上司に報告および相談し、警察署にAさんを迎えに行き、Aさんの自宅で面接することになった。
この面接の際に把握する情報で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 今回の飲酒の理由
  2. 自宅の整理整頓の状況
  3. AさんとCさんの関係性
  4. かかりつけの医師の有無

 

 


 

▶午後43

保健師が翌日に再度訪問すると、Aさんは「お酒をやめられず、どうしていいかわからない」と話したため、Aさんはアルコール依存症の治療プログラムを受ける目的で入院した。退院が近づき、Aさん、Cさん、医師、受持ち看護師、保健師でカンファレンスを行った。Aさんは「1人暮らしで、誰とも話さずに家でじっとしているとお酒を飲んでしまいそう」と話した。
この状況でAさんに勧められる可能性が高いのはどれか。

 

  1. 運動教室への参加
  2. 自助グループへの参加
  3. 就労に向けたハローワークの利用
  4. 地域のボランティア活動への参加

 

 


 

▶午後44

退院後2週、保健師はAさんの受診継続や断酒状況を確認するため、Aさんの自宅を訪問した。その際、Cさんからも話を聞くため、同席を依頼した。Cさんは「妹は通院していますが飲酒は続いています。お金に困っているのにお酒を飲むのをやめられず、妹もつらいようで、私がアルコール度数の低いお酒を買って届けています」と話した。
保健師のCさんへの助言で適切なのはどれか。

 

  1. 「Aさんの趣味を探しましょう」
  2. 「同居してAさんが飲酒しないよう見守りましょう」
  3. 「Aさんにお金がないという現実に向き合ってもらいましょう」
  4. 「Aさんの飲酒に関する困りごとを代わりに解決しないようにしましょう」

 

 


 

次の文を読み45~47の問いに答えよ。

Aさん(15歳、男子、中学3年生)はこれまで保健室に来室することがなかったが、今週に入り「お腹が痛い」「頭が痛い」と訴えて2回来室した。来室すると養護教諭が促すまで教室に戻ることがない。

 

▶午後45

Aさんが来室したときの養護教諭の対応で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 早退を勧める。
  2. 医療機関への受診を勧める。
  3. 身体的な症状の問診をする。
  4. 保健室は長時間利用できないことを説明する。

 

 


 

▶午後46

Aさんは毎日保健室へ来室するようになった。気になった養護教諭が「何かあったのか」と尋ねると、いじめに遭っていると話し始めた。Aさんは同級生にスマートフォンで撮られた自分の画像を、無断でクラス中に共有されたことがきっかけで教室に入るのが怖くなったと話した。
Aさんのつらい気持ちを受け止めたあと、次に養護教諭が行う対応で適切なのはどれか。

 

  1. 誰が画像の共有を始めたのかを尋ねる。
  2. いじめが解決するまで学校を休むよう勧める。
  3. 共有された画像の確認をAさんと一緒に行う。
  4. Aさんが話してくれたことを担任教諭に伝えてよいかを確認する。

 

 


 

▶午後47

Aさんの事例を受けて、改めて中学校全体でいじめ防止対策を実施することになった。

 

  1. この時点で学校が行ういじめ防止対策はどれか。
  2. 所轄警察署との連携
  3. いじめ相談窓口の再周知
  4. いじめ対応事例集の作成
  5. いじめ加害者に対する懲戒制度の検討

 

 


 

次の文を読み48~50の問いに答えよ。

Aさん(22歳、男性、大学生)は、10月から咳嗽が出現し、12月に増強したため、医療機関を受診したところ感染性の肺結核と診断された。診断した医師からB保健所に結核発生の届出があった。Aさんはこれまで結核の既往はない。

 

▶午後48

Aさんの居住する寮および大学がB保健所管内であり、接触者健康診断を実施することになった。B保健所の保健師がAさんに面接で確認した状況を以下に示す。
最優先に接触者健康診断を行うことが望ましい接触者はどれか。

 

  1. 同じ講義を履修している学生
  2. 同じ寮で生活している学生
  3. 別の大学の友人
  4. 講義を担当している大学の教員

 

 


 

▶午後49

接触者健康診断でAさんの通う大学の学生および教員からは、10人の患者と20人の潜在性結核感染者が発見された。
この学生および教員の服薬確認を行う場所で最も適切なのはどれか。

 

  1. 医療機関
  2. B保健所
  3. 大学の健康管理室
  4. 学生および教員の住所地を管轄している保健所

 

 


 

▶午後50

Aさんの結核は薬剤耐性がなく標準治療を行っていたが、翌年4月に就職のため隣県のC保健所管内に転居することになった。
今後のAさんの管理で正しいのはどれか。

 

  1. 通院予定の医療機関の医師からC保健所へ結核の発生届の提出が必要である。
  2. 転居後のAさんへの治療中の支援はC保健所が実施する。
  3. Aさんの服薬は治療開始後1年で終了する予定である。
  4. 治療終了後のAさんの管理はB保健所が実施する。

 

 


 

次の文を読み51、52の問いに答えよ。

Aちゃん(1歳7か月、女児)、在胎週数37週0日、出生体重1,980gで、低酸素性虚血性脳症でNICUに入院した。生後3か月に気管切開術を受け、24時間人工呼吸器管理である。他市からの転入のため保健センターに連絡があった。転入前に1歳6か月児健康診査は受診済みである。
市保健センターの保健師が家庭訪問をしたところ、父親(40歳)は単身赴任で、母親(38歳)がAちゃんの世話をしていた。Aちゃんは支えれば座ることはできるが寝返りは難しく、2時間ごとに気管内吸引と経管栄養を実施していた。外来診療(月1回)、訪問診療(月2回)、訪問看護(週1回)を利用し、身体障害者手帳1級(肢体不自由)は取得していた。市内に住む祖母(63歳)が手伝いに来ている。

 

▶午後51

Aちゃんの家族の健康課題をアセスメントするために、保健師が収集する情報で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 祖母の育児負担状況
  2. 母親の心身の疲労状況
  3. 母親の訪問看護に対する満足度
  4. 単身赴任している父親の育児への思い

 

 


 

▶午後52

3か月後、母親から「新しい生活にAが慣れてきたので、Aが楽しめることを増やしてやりたい」と相談を受けた。
保健師の相談対応で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 保健師の訪問回数を増やす。
  2. 発達相談支援事業所の通所を提案する。
  3. 祖母が児と遊ぶ時間をもてるよう調整する。
  4. 母に児との遊びを通したコミュニケーションを指導する。
  5. 訪問看護師に児とのコミュニケーションを増やせるか相談する。

 

 


 

次の文を読み53、54の問いに答えよ。

A市で実施している1歳6か月児健康診査では、「経過観察」の割合が年々増加している。そこで、経過観察となった親子を対象に、県と連携して新規事業の立ち上げを検討することにした。

 

▶午後53

最初に取り組むのはどれか。

 

  1. 新規事業のプログラムの検討
  2. 事業の運営に携わるスタッフの選定
  3. 1歳6か月児健康診査で経過観察と判断した理由の分析
  4. 乳幼児を持つ母親への困りごとに関するアンケート調査の実施

 

 


 

▶午後54

事業は母親が子どもと一緒に遊びながら関わり方を学んでいく内容で、月に1回、交通の便が良い会場で開催した。毎回、定員を超える希望者があった。県とは3か月に1回の連携会議を開催し、課題の共有と改善方法の検討を行った。1年後、参加者からは、子どもとの関わり方のヒントが得られ、安心して子育てができるようになったとの感想が聞かれた。
事業の評価の種類とその指標の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. プロセス評価――定員を超える希望者数
  2. アウトカム評価――安心して子育てができると感じた参加者の増加
  3. アウトプット評価――会場の交通の便の良さ
  4. ストラクチャー評価――3か月に1回の県との連携会議の開催

 

 


 

次の文を読み55の問いに答えよ。

人口250万人のA県。特定健康診査の受診率が35%、特定保健指導の実施率は隣県より低い。40~50歳代の肥満と高血圧者が増加している。また、30歳代の喫煙率も男性が40%、女性が20%と隣県より高い。県の方針として健康寿命の延伸と生活習慣病予防を掲げ、地域・職域連携推進に取り組むために地域・職域連携推進協議会を設けることにした。

 

▶午後55

初回の会議で取り上げる議題で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. A県の勤労世代における健康課題
  2. 高血圧の就労者に向けた講演会の内容
  3. 小規模事業者の特定保健指導のあり方
  4. 健康経営認定事業所を増やすための取り組み
  5. 協議会に参加する組織で実施している健康増進事業

 

 


 

資料 厚生労働省「第110回保健師国家試験、第107回助産師国家試験、第113回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

 

国民衛生の動向」は、毎年わが国の衛生の状況や保健行政の動向を解説したものとして、昭和24年の創刊以来、公衆衛生テキストの決定版として長年ご愛用いただいています。とくに本誌では、最新の衛生を取り巻く制度の解説や人口・健康状況などの統計が網羅されており、医療関係者の国家試験対策のテキストとしても広く活用されているところです。

 

当ページでは、医師国家試験の受験者向けに、最新の「国民衛生の動向2024/2025」がカバーする医師国家試験の過去問をピックアップし、本誌の該当箇所を示します。問題を解きながら不明な部分を本誌で確認し、学習効率の向上にご活用下さい。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

発売日:2024.8.27

定価:2,970円(税込)

412頁・B5判

雑誌コード:03854-08

 

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医師国家試験について

最新の試験日程や手続き等の情報は、医師国家試験の施行について(厚生労働省)をご確認下さい。

 

医師国家試験は昭和21年(1946年)から開始し、最新では令和6年(2024年)2月に118回目の試験が実施されました。

過去10年間の受験者数、合格者数、合格率は以下のとおりです。

 

 

 受験者数   合格者数   合格率 
 118回(2024年) 10,336人 9,547人 92.4%
 117回(2023年)   10,293人   9,432人   91.6% 
 116回(2022年)   10,061人   9,222人   91.7% 
 115回(2021年)   9,910人   9,058人   91.4% 
 114回(2020年)   10,140人   9,341人   92.1% 
 113回(2019年)   10,146人   9,029人   89.0% 
 112回(2018年)   10,010人   9,024人   90.1% 
 111回(2017年)   9,618人   8,533人   88.7% 
 110回(2016年)   9,434人   8,630人   91.5% 
 109回(2015年)   9,057人   8,258人   91.2% 

 

直近5回をみると、受験者数は1万人前後で、合格率は9割前後で推移しています。
直近の合格基準は、必修問題(一般問題1問1点・臨床実地問題1問3点)が200点中160点、必修問題を除いた一般問題及び臨床実地問題(1問1点)が220点以上/295点、禁忌肢問題選択数が2問以下とされています。


医師国家試験の出題基準は、医師国家試験出題基準改定部会で検討が行われ改定を重ねてきており、令和6年実施の第118回試験からは、「令和6年版医師国家試験出題基準」が適用されています。
試験は2日間400問にわたり、内容も専門的な医学総論・各論にとどまらず、公衆衛生に関する制度や統計など幅広く出題されるため、弱点を作らずに解ける問題を取りこぼさない学習が必要となります。

 

問題種類別 医師国家試験過去問題

過去の医師国家試験に出題された問題を、テーマ別に分けてポイントを解説しています。

本格的に試験対策を始める前の傾向を知る際、また、試験直前の確認などにお使い下さい。

 

  

医師国家試験過去問題PDF

厚生労働省が公表している過去10年間の問題、正答のPDFの一覧です。

 

第118回

(2024年)

A問題 

B問題

C問題

D問題

E問題

F問題

A問題 別冊

B問題 別冊

C問題 別冊

D問題 別冊

E問題 別冊

F問題 別冊

 正答 

第117回

(2023年)

A問題 

B問題

C問題

D問題

E問題

F問題

A問題 別冊

B問題 別冊

C問題 別冊

D問題 別冊

E問題 別冊

F問題 別冊

 正答 

第116回

(2022年)

A問題

B問題

C問題

D問題

E問題

F問題

A問題 別冊

B問題 別冊

C問題 別冊

D問題 別冊

E問題 別冊

F問題 別冊

正答

第115回

(2021年)

A問題

B問題

C問題

D問題

E問題

F問題

A問題 別冊

B問題 別冊

C問題 別冊

D問題 別冊

E問題 別冊

F問題 別冊

正答

第114回

(2020年)

A問題

B問題

C問題

D問題

E問題

F問題

A問題 別冊

B問題 別冊

C問題 別冊

D問題 別冊

E問題 別冊

F問題 別冊

正答

第113回

(2019年)

A問題

B問題

C問題

D問題

E問題

F問題

A問題 別冊

B問題 別冊

C問題 別冊

D問題 別冊

E問題 別冊

F問題 別冊

正答

第112回

(2018年)

A問題

B問題

C問題

D問題

E問題

F問題

A問題 別冊

B問題 別冊

C問題 別冊

D問題 別冊

E問題 別冊

F問題 別冊

正答

第111回

(2017年)

A問題

B問題

C問題

D問題

E問題

F問題

G問題

H問題

I問題

A問題 別冊

B問題 別冊

C問題 別冊

D問題 別冊

E問題 別冊

F問題 別冊

G問題 別冊

H問題 別冊

I問題 別冊

正答

第110回

(2016年)

A問題

B問題

C問題

D問題

E問題

F問題

G問題

H問題

I問題

A問題 別冊1234

B問題 別冊

C問題 別冊

D問題 別冊123

E問題 別冊

F問題 別冊

G問題 別冊

H問題 別冊

I問題 別冊12345

正答

第109回

(2015年)

A問題

B問題

C問題

D問題

E問題

F問題

G問題

H問題

I問題

A問題 別冊

B問題 別冊

C問題 別冊

D問題 別冊

E問題 別冊

F問題 別冊

G問題 別冊

H問題 別冊

I問題 別冊

正答

 

 

医療職国家試験に出る国民衛生の動向

 

 

図説 国民衛生の動向

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図説 国民衛生の動向』は、「国民衛生の動向」の図説ダイジェスト版です。「国民衛生の動向」の内容に沿って、1ページ1テーマで、フルカラーの図表とともに要点を絞って解説しています。

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厚生労働統計協会では、医療職の皆様のキャリアアップのために、研究発表や論文作成に必要な統計知識を実践的に学んでいただくオンラインセミナーを、毎年数回開催しています。

詳細はこちらをご確認下さい。

国民衛生の動向」は公衆衛生の状況に関わる統計を網羅し、毎年直近の数値に更新した最新版を刊行しています。


医師国家試験では様々な統計調査を基にした、最新の数値を問う問題が毎年複数問出題されるので、「国民衛生の動向」などで最新の統計をまとめて押さえることが必須となります。

 

このページでは、第118回(2024年)から第107回(2013年)までの12年分の医師国家試験に出題された統計問題をピックアップし、問題を解く上で必要となる最新統計を解説しています。


これまで出題された統計問題の傾向を把握し、「国民衛生の動向」を参照して、より詳細なデータや推移、その対策や制度などを関連付けて確認することで、様々な問題に対応できる力を身に付けていただければ幸いです。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

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412頁・B5判

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▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

テーマ別

統計問題法律問題医療制度問題

 

統計別問題目次

 

 

人口静態

第2編1章 p41~50

国勢調査

国勢調査は、一時点における人口や年齢別などの静止した姿である人口静態の主要統計として、5年に1回実施される全数調査(悉皆調査)である。

 

▶107回E問題6

国勢調査について誤っているのはどれか。

 

  1. 全数調査である。
  2. 自記式で行われる。
  3. 外国人も対象となる。
  4. 人口動態調査である。
  5. 5年に1度実施される。

 

 

総人口

  • 令和4年(2022年)の総人口は1億2495万人男6076万人・女6419万人)である。
  • 2000年代半ばに戦後初めて人口減少となり、近年は減少傾向が続いている。

 

▶118回F問題10

我が国で日本人の総人口が減少に転じた時期はどれか。

 

  1. 1980年代
  2. 1990年代
  3. 2000年代
  4. 2010年代
  5. 2020年代

 

 

年齢3区分別人口

  • 年齢3区分別人口をみると、年少人口(0~14歳)が1450万人(11.6%)、生産年齢人口(15~64歳)が7421万人(59.4%)、老年人口(65歳以上)が3624万人(28.9%)となっている。
  • 少子高齢化により、年少人口割合、生産年齢人口割合は減少傾向、老年人口割合は増加傾向にある。

 

▶107回B問題19改題

令和4年(2022年)の我が国の65歳以上の人口の割合に最も近いのはどれか。

 

  1. 9%
  2. 19%
  3. 29%
  4. 39%
  5. 49%

 

 


 

▶108回B問題1改題

我が国の人口静態(令和4年度)で正しいのはどれか。

 

  1. 総人口は6,218万4千人である。
  2. 総人口に占める男性の割合は女性より多い。
  3. 15歳未満の人口は1,000万人を超えていない。
  4. 生産年齢人口が総人口に占める比率は40%である。
  5. 老年人口(65歳以上)は総人口の25%を超えている。

 

 


 

▶114回F問題29

2010年以降の我が国の人口構造について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 人口は男性の方が多い。
  2. 総人口は減少傾向である。
  3. 従属人口指数は減少傾向である。
  4. 年少人口の割合は減少傾向である。
  5. 老年人口の割合は40%を超えている。

 

 

世帯の状況

  • 令和3年(2021年)の世帯総数は5191万世帯で増加傾向にあり、世帯構造別にみると、単独世帯が29.5%で最も多く、三世代世帯が4.9%で最も少ない。また、夫婦のみの世帯(24.5%)、夫婦と未婚の子のみの世帯(27.5%)、ひとり親と未婚の子のみの世帯(7.1%)を合わせた核家族世帯は59.1%となっている。
  • 65歳以上の者のいる世帯は全世帯のうち49.7%を占めており、さらに65歳以上の者のみの世帯についてみると全世帯の29.0%となっている。

 

▶115回F問題9

我が国の世帯構成について正しいのはどれか。

 

  1. 世帯数は増加傾向にある。
  2. 三世代世帯は単独世帯より多い。
  3. 単独世帯は核家族世帯より多い。
  4. 65歳以上の者のみの世帯は全世帯の過半数を占める。
  5. 核家族世帯の中ではひとり親と未婚の子のみの世帯が最も多い。

 

 

労働統計

  • 令和4年(2022年)の労働力人口は6902万人(就業者6723万人+完全失業者179万人)である。完全失業者の労働力人口に占める割合(完全失業率)は2.6%で、年齢階級別にみると15~24歳の完全失業率が高い(4.4%)。
  • 雇用者に占める非正規職員・従業員の割合は長期的に上昇を続けており、令和4年には36.9%となっている。

 

▶109回B問題29改題

平成24~令和4年の社会状況で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 完全失業率は2%以下である。
  2. 非正規雇用の割合は増加している。
  3. 完全失業率は40〜50歳が最も高い。
  4. 父母がいる児童の世帯の約80%で父母とも仕事をしている。
  5. 児童のいる世帯の母の仕事は正規雇用より非正規の割合が高い。

 

 

年齢階級別就業者数

  • 令和4年(2022年)の年齢階級別就業者数をみると、15~24歳が547万人、25~34歳が1110万人、35~44歳が1313万人、45~54歳が1637万人、55~64歳が1204万人、65歳以上が912万人となっている。
  • その推移をみると、第2次ベビーブーム(1971年~74年)後の出生数の低下から、25~34歳や35~44歳の低下が大きい。また、高齢者の就労を支援する取り組みの結果、65歳以降の就業者数が増加している。

 

▶117回C問題30改題

2013年から2022年までの15~24歳、25~34歳、35~44歳、45~54歳、55~64歳、65歳以上の6階級における年齢階級別就業者数の推移を示す。
117c30.png
65歳以上の就業者数はどれか。

 

 

 

 

人口動態

第2編2章 p51~69

出生数・合計特殊出生率

  • 令和4年(2022年)の出生数は77.1万人(過去最低)で減少傾向にある。
  • 15~49歳の女性の年齢別出生率を合計した指標を合計特殊出生率という。平成元年(1989年)に合計特殊出生率が1.57を記録(1.57ショック)して以降減少を続け、平成17年(2005年)に過去最低の1.26を記録した後、一時若干の上昇をみせるものの再び低下し、令和4年(2022年)は1.26となっている。
  • 人口が将来にわたって増えも減りもしない合計特殊出生率の値を人口置換水準といい、同年は2.07であるが大きく下回っているため、人口減少が今後も続くと推計される。

 

▶117回C問題12

我が国における、将来人口を定常的に保てる合計特殊出生率(人口置換水準)の値に最も近いのはどれか。

 

  1. 1.0
  2. 1.1
  3. 1.9
  4. 2.1
  5. 4.0

 

 


 

▶108回B問題20改題

合計特殊出生率、周産期死亡率、出生時の平均体重、低出生体重児の出生割合、複産〈多胎〉の出生割合を図に示す。それぞれ1990年における数値を100%としたときの2020年までの変化である。
108B20.png
合計特殊出生率はどれか。

 

 

 


 

▶114回C問題6改題

日本、アメリカ、イタリア、韓国およびフランスの合計特殊出生率の1995年から2021年までの推移を別に示す。
114c6
日本はどれか。

 

 

 

主要5死因別死亡率の推移

令和4年(2022年)の死因順位は、1位が悪性新生物〈腫瘍〉、2位が心疾患、3位が老衰、4位が脳血管疾患、5位が肺炎となっている。

 

  • 悪性新生物〈腫瘍〉は、昭和56年(1981年)以降死因の第1位であり、一貫して増加を続けている。
  • 心疾患は、平成9年(1997年)以降死因の第2位であり、近年は増加を続けている。
  • 老衰は、高齢者のいわゆる自然死をいい、平均寿命の延伸に伴い近年急増している。
  • 脳血管疾患は、昭和55年(1980年)まで死因の第1位であったが、長期的に減少傾向にある。
  • 肺炎は、昭和55年(1980年)ころから上昇傾向にあったが、平成29年(2017年)ころから低下傾向にある。

 

▶117回C問題29・111回B問題14統合

我が国の主要死因別にみた死亡率(人口10万対)の推移を別に示す。
117c29.png
AとBはそれぞれどれか。

 

  1. 心疾患
  2. 脳血管疾患
  3. 老衰
  4. 悪性新生物〈腫瘍〉
  5. 肺炎

 

 

年齢調整死亡率

悪性新生物〈腫瘍〉や心疾患などの粗死亡率は増加傾向にあるが、基準人口を用いて年齢構成の歪みを補正した年齢調整死亡率をみると、老衰等を除いた多くの死因で減少しており、死亡状況は改善しているといえる。

 

▶113回F問題34改題

2012年(平成24年)に比して2022年(令和4年)で、粗死亡率が増加しているが年齢調整死亡率が減少しているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 自殺
  2. 結核
  3. 心疾患
  4. 悪性新生物〈腫瘍〉
  5. 脳血管疾患

 

 

部位別悪性新生物〈腫瘍〉

  • 性別・部位別に悪性新生物〈腫瘍〉の死亡数(令和4年)をみると、男性では(気管、気管支及び肺)、大腸(結腸と直腸S状結腸移行部及び直腸)、の順に高く、女性では大腸、肺、膵、乳房の順に高い。
  • 男女ともに肺、大腸、膵の死亡数が増加傾向にあり、胃は減少傾向にある。また、女性では乳房の死亡数も増加傾向である。

 

▶117回F問題33改題

女性における肺、胃、膵、大腸および子宮の悪性新生物死亡数の推移を示す。
117f33.png
③はどれか。

 

  1. 肺(気管、気管支および肺)
  2. 大腸(結腸、直腸S状結腸移行部および直腸)
  3. 子宮

 

 

女性における乳房・子宮の悪性新生物〈腫瘍〉による死亡の特徴

  • 上記のとおり女性の乳癌による死亡数は増加傾向にあり、特に閉経後の60~64歳で顕著に死亡率が高まる。
  • 子宮頸癌の死亡率の特徴として、40歳代の死亡率がより高齢の年齢階層と比べても大差なく高止まりしていることが挙げられる。

 

▶115回C問題10

1958〜2018年の子宮頸癌、胃癌、大腸癌、肺癌、乳癌の女性の年齢階層別死亡率の推移を別に示す。ただし、死亡率は相対的な値として示してある。
115c10-1.png
115c10-2.png
115c10-3.png
115c10-4.png
115c10-5.png
子宮頸癌はどれか。

 

 

 

不慮の事故による死亡の状況

  • 令和4年(2022年)の不慮の事故による死亡(3.8万人)のうち、総数では「転倒・転落・墜落」(1.0万人)が最も多く、「窒息」「溺死及び溺水」「交通事故」と続く。
  • かつては不慮の事故のうちでも交通事故による死亡が最も多かったが、数十年間減少傾向が続いている。

 

▶109回B問題5改題

不慮の事故のうち、「交通事故」、「転倒・転落・墜落」、「溺死及び溺水」、「窒息」、「中毒」の5種類における死亡数の年次推移を図に示す。
109b5.png
①の予防になるのはどれか。

 

  1. 高温での長湯を避ける。
  2. 容器のラベルをよく読む。
  3. 階段では手すりにつかまる。
  4. シートベルト装着を遵守する。
  5. 食べ物は小さく切ってよくかんで食べる。

 

 

乳児の不慮の事故による死亡原因

令和3年(2021年)の乳児(0歳)の不慮の事故による死亡は61人で、その原因をみると「窒息」が56人(91.8%)と大部分を占めている。

 

▶110回G問題1

乳児の不慮の事故による死亡原因で最も多いのはどれか。

 

  1. 窒息
  2. 溺水
  3. 火災
  4. 転落
  5. 交通事故

 

 


 

▶117回D問題5改題

令和3年(2021年)の年齢階級別にみた不慮の事故による死因別割合(%)を別に示す。
117d5.png
Aはどれか。

 

  1. 窒息
  2. 交通事故
  3. 溺死および溺水
  4. 煙、火および火災
  5. 転倒・転落・墜落

 

 

自殺の状況

  • 自殺による死亡者数は平成10年(1998年)に3万人を超えたが、平成22年(2010年)以降は減少傾向、近年は横ばいであり、令和4年(2022年)には2.1万人(男1.4万人・女0.7万人)となっている。
  • 年齢階級別にみると、10~39歳の各階級では死因の第1位となっている。さらに性別に見ると、男性では10~44歳の各階級、女性では10~34歳の各階級で死因の第1位である。
  • 特定された自殺者の原因・動機をみると(複数回答)、健康問題が12,774人と最も多く、家庭問題(4,775人)、経済・生活問題(4,697人)と続く。

 

▶110回G問題35改題

我が国の自殺の現状について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 性別では女性が多い。
  2. 手段では縊首が最も多い。
  3. 動機では健康問題が最も多い。
  4. 年間自殺者数は1万5000人以下になっている。
  5. 人口10万人あたりの自殺者数は先進7か国で最も少ない。

 

 


 

▶109回A問題14改題

過去10年(2013〜2022年)の自殺の動向で正しいのはどれか。

 

  1. 総数は増加し続けている。
  2. 40歳代女性の死因の第1位である。
  3. 男性の自殺数は女性の5倍を超える。
  4. 自殺率は40歳以降、年齢とともに単調に増加する。
  5. 判明した自殺者の動機で最も多いのは健康問題である。

 

 


 

▶107回E問題29改題

我が国の自殺の現状について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 自殺者数は男性よりも女性が多い。
  2. 動機としては家庭問題が最も多い。
  3. 10歳から39歳の死因の第1位である。
  4. 最近の年間自殺者数は約2万人である。
  5. 自殺死亡率はOECD加盟国の平均を下回っている。

 

 


 

▶109回G問題1改題

我が国の高齢化率(%)、婚姻率(人口千対)、自殺死亡率(人口10万対)、出生率(人口千対)、新生児死亡率(出生千対)の推移を別に示す。

109g1-1.png

109g1-2.png

109g1-3.png

109g1-4.png

109g1-5.png
自殺死亡率はどれか。

 

 

 


 

▶114回C問題20

日本人男性の1947年から2016年までのある死因についての年齢群別死亡率(人口10万対)の推移を別に示す。
114c20.png
死因はどれか。

 

  1. 悪性新生物
  2. 脳血管疾患
  3. 肺炎
  4. 不慮の事故
  5. 自殺

 

 


 

▶110回E問題17改題

令和4年(2022年)の年齢階級別の主な死因の構成割合を別に示す。
110e17
①で示すのはどれか。

 

  1. 自殺
  2. 心疾患
  3. 悪性新生物
  4. 脳血管疾患
  5. 不慮の事故

 

 

死産

  • 死産は妊娠満12週以後の死児の出産をいう。
  • 令和4年(2022年)の自然死産数は7,390胎、人工死産数は7,788胎で、死産率(出産千対)は自然死産が9.4、人工死産が9.9となっている。

 

▶118回C問題5

死産届が必要な妊娠週数は何週以降か。

 

  1. 8
  2. 12
  3. 16
  4. 20
  5. 24

 

 

妊産婦死亡

  • 妊産婦死亡は、妊娠中または妊娠終了後満42日未満の女性の死亡をいう。
  • 令和3年(2021年)の妊産婦死亡数は21人、妊産婦死亡率(出産(出生+死産)10万対)は2.5と、100を超えていた昭和30年代から大きく低下を続けている。
  • わが国の妊産婦死亡の原因疾患としては産科危機的出血が最も多い。(日本産婦人科医会)

 

▶108回B問題6改題

最近5年間の我が国の年間妊産婦死亡数はどれか。

 

  1. 約30人/年
  2. 約100人/年
  3. 約200人/年
  4. 約500人/年
  5. 約1,000人/年

 

 


 

▶111回G問題25改題

人口動態統計(令和3年)における妊産婦死亡について正しいのはどれか。

 

  1. 妊産婦死亡は妊娠中から分娩後7日目までの死亡をいう。
  2. 産科的合併症で死亡したものを直接産科的死亡という。
  3. 妊産婦死亡率は1,000出生当たりの数で示す。
  4. 肺血栓塞栓症が原因疾患として最も多い。
  5. 妊産婦死亡数は年間約200人である。

 

 


 

▶113回C問題7

2010年(平成22年)から2016年(平成28年)までの日本の妊産婦死亡の原因別頻度を以下に示す。
113c7.png
①はどれか。
ただし、①〜⑤はa〜eのいずれかに該当する。

 

  1. 感染症
  2. 肺血栓塞栓症
  3. 産科危機的出血
  4. 心・大血管疾患
  5. 心肺虚脱型羊水塞栓症

 

 


 

▶109回E問題8改題

我が国の合計特殊出生率、妊産婦死亡率、新生児死亡率、乳児死亡率、死産率の推移を別に示す。それぞれ2020年における数値を1としたときの1950年からの変化である。
109e8.png
妊産婦死亡率はどれか。

 

 

 

死亡場所

令和4年(2022年)の死亡の場所別割合をみると、病院が64.5%と半分以上を占め、次いで自宅17.4%、老人ホーム10.0%、介護医療院・介護老人保健施設3.9%、診療所1.4%などとなっている。

 

▶112回F問題16改題

令和4年(2022年)の人口動態統計における死亡の場所別にみた割合を示す。
112f16.png
(イ)はどれか。

 

  1. 自宅
  2. 病院
  3. 診療所
  4. 老人ホーム
  5. 介護医療院・介護老人保健施設

 

 

 

人口複合問題

 

▶114回F問題20

母子保健に関する用語について誤っているのはどれか。

 

  1. 乳児死亡とは生後1年未満の死亡である。
  2. 新生児死亡とは生後4週未満の死亡である。
  3. 死産とは妊娠12週以後の死児の出産である。
  4. 早期新生児死亡とは生後1週未満の死亡である。
  5. 周産期死亡とはすべての死産に早期新生児死亡を加えたものである。

 

 


 

▶116回C問題15

総人口を分母とする指標はどれか。

 

  1. 婚姻率
  2. 乳児死亡率
  3. 老年人口指数
  4. 標準化死亡比
  5. 合計特殊出生率

 

 


 

▶110回E問題21改題

平成12年(2000年)と比較した令和4年(2022年)の我が国の人口動態で正しいのはどれか。

 

  1. 婚姻数は増加している。
  2. 出生率は上昇している。
  3. 粗死亡率は低下している。
  4. 乳児死亡率は上昇している。
  5. 年齢調整死亡率は低下している。

 

 


 

▶113回C問題18

我が国の人口統計の最近20年間の変化として正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 乳児死亡率は上昇傾向にある。
  2. 自然増減数はマイナスに転じた。
  3. 老年人口指数は低下傾向にある。
  4. 交通事故の死亡者数は減少傾向にある。
  5. 悪性新生物の年齢調整死亡率は上昇傾向にある。

 

 


 

▶111回B問題31改題

2022年における我が国の人口構造について正しいのはどれか。

 

  1. 老年化指数は約100%である。
  2. 出生数は死亡数を上回っている。
  3. 生産年齢人口割合は増加している。
  4. 合計特殊出生率は1.5を超えている。
  5. 65歳以上の者のみの世帯は全世帯の約30%である。

 

 


 

▶113回F問題1

我が国の死亡と寿命の変遷について正しいのはどれか。

 

  1. 1950年以降、死亡率の最も高い死因は一貫して悪性新生物である。
  2. 1960年代中盤までの寿命の延伸の最大原因は乳幼児死亡の減少である。
  3. 1970年代の脳卒中死亡率の低下は主として脳梗塞の減少による。
  4. 1980年以降、肺炎の年齢調整死亡率は増加が続いている。
  5. 1990年以降、自殺による死亡数は一貫して3万人を超えている。

 

 

 

生命表

第2編3章 p70~73

平均余命・平均寿命

  • 平均余命は、x歳ちょうどの者のその後の生存年数の期待値を表し、x歳以上の定常人口(Tx)/x歳での生存人数(lx)で求められる。
  • 特に0歳の平均余命を平均寿命といい、長期的に延伸傾向で、2010年の男性79.55年・女性86.30年から、2022年には男性81.05年・女性87.09年に上昇している。

 

▶111回B問題21改題

厚生労働省の簡易生命表(令和4年)で80歳の日本人女性の平均余命に最も近いのはどれか。

 

  1. 3年
  2. 6年
  3. 12年
  4. 18年
  5. 24年

 

 


 

▶116回C問題26改題

2010年に比較して2022年の数値が上昇しているのはどれか。

 

  1. 総人口
  2. 平均寿命
  3. 年間出生数
  4. 生産年齢人口
  5. 合計特殊出生率

 

 

 

健康状態と受療状況

第2編4章 p74~79

有訴者・通院者

国民生活基礎調査では、病気やけが等で自覚症状のある者の人口千人当たりの割合(有訴者率)、傷病で通院している者の人口千人当たりの割合(通院者率)を求めている。

 

▶116回F問題29

国民生活基礎調査から求められる指標はどれか。2つ選べ。

 

  1. 婚姻率
  2. 受療率
  3. 罹患率
  4. 有訴者率
  5. 通院者率

 

 

有訴者の状況

令和元年(2019年)の有訴者率を症状別にみると、男性では腰痛(91.2)、肩こり(57.2)、鼻がつまる・鼻汁がでる(49.7)の順に高く、女性では肩こり(113.8)、腰痛(113.3)、手足の関節が痛む(69.9)の順に高い。

 

▶117回B問題10

2016年および2019年に行われた国民生活基礎調査で、病気やけが等で自覚症状がある人数を人口1,000人比で求めた有訴者率を、性別と症状別にグラフに記したものを別に示す。
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117b10-2.png
Aの症状はどれか。

 

  1. 下痢
  2. 動悸
  3. 腹痛
  4. 腰痛
  5. 手足のしびれ

 

 

患者調査

  • 患者調査は、全国の医療施設(病院、一般診療所、歯科診療所)を利用する入院・外来患者の傷病等の状況を把握するため、厚生労働省が3年に1度実施している。
  • 把握する内容は、層化無作為抽出された医療施設で受療した推計患者数(傷病別)や、人口10万人に対する推計患者数である受療率退院患者の平均在院日数、継続的に医療を受けている患者を含めた傷病別の総患者数などである。

 

▶112回F問題35

患者調査について正しいのはどれか。

 

  1. 毎年実施する。
  2. 外来患者のみ調査を行う。
  3. 傷病別の受療率を推計する。
  4. 国内の全医療施設で実施する。
  5. 医療費についての調査が含まれる。

 

 


 

▶113回F問題2

患者調査について誤っているのはどれか。

 

  1. 受療率がわかる。
  2. 3年に1度行われる。
  3. 患者本人が回答する。
  4. 平均在院日数がわかる。
  5. 厚生労働省が実施する。

 

 

傷病分類別推計患者数の推移

精神及び行動の障害や神経系の疾患による推計患者数の推移をみると、気分障害やアルツハイマー病の患者は増加傾向、統合失調症や血管性認知症の患者は減少傾向にある。

 

▶107回B問題33改題・112回F問題19類問

厚生労働省の患者調査で平成26年と比較して令和2年に増加しているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 気分障害の外来患者
  2. てんかんの外来患者
  3. 統合失調症の入院患者
  4. Alzheimer型認知症の入院患者
  5. 精神作用物質使用による精神および行動障害の入院患者

 

 

重症度の状況

年齢階級別にみた入院(重症度等)の状況別推計入院患者数の構成割合は下図のとおりで、総数では「生命の危険がある」患者が5.6%、「生命の危険は少ないが入院治療、手術を要する」患者が76.7%、「受け入れ条件が整えば退院可能」患者が11.6%、「検査入院」が0.9%などとなっている。

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▶108回E問題5改題

厚生労働省の患者調査(令和2年)による入院(重症度等)の状況別推計入院患者数の構成割合において、「生命の危険がある」患者の割合はどれか。

 

  1. 約5%
  2. 約15%
  3. 約25%
  4. 約35%
  5. 約45%

 

 

受療行動調査

受療行動調査は、受療の状況や受けた医療に対する満足度などを調査することにより、患者の医療に対する認識や行動を明らかにすることを目的としている。

 

▶116回E問題16

患者満足度を調査対象項目とするのはどれか。

 

  1. 患者調査
  2. 受療行動調査
  3. 病院機能評価
  4. 医療事故調査制度
  5. 産科医療補償制度

 

 

 

生活習慣病と健康増進対策

第3編1章 p80~94

国民健康・栄養調査

国民健康・栄養調査は、健康増進法に基づき、国民の身体の状況、栄養素等摂取量及び生活習慣の状況を明らかにし、国民の健康の増進の総合的な推進を図るための基礎資料を得ることを目的とする。発病を予防する一次予防の基礎資料として重要となる。

 

▶114回C問題5

我が国の一次予防推進の基礎資料となるのはどれか。

 

  1. 患者調査
  2. 人口動態調査
  3. 国民健康・栄養調査
  4. 医師・歯科医師・薬剤師調査
  5. 全国在宅障害児・者等実態調査

 

 

食塩摂取量

  • 平成30年(2018年)の食塩摂取量の平均値(20歳以上)は、男性が11.0g、女性が9.3gとなっている。
  • なお、成人のナトリウム(食塩相当量)の1日当たり目標量は、健康日本21(第二次)では8g、日本人の食事摂取基準(2020年版)では男7.5g未満・女6.5g未満に設定しており、いずれの目標も達成できていない。

 

▶115回C問題14

1995〜2018年の日本の性別の一人当たり食塩消費量を別に示す。
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Xに相当する数値はどれか。

 

  1. 10.2
  2. 10.5
  3. 11.0
  4. 12.0
  5. 15.0

 

 

喫煙率

令和元年(2019年)の20歳以上の喫煙率(現在習慣的に喫煙している者の割合)は16.7%(男性27.1%・女性7.6%)となっており、男女ともに喫煙率は低下傾向にある。

 

▶109回H問題19改題・111回C問題7類問

我が国における喫煙について正しいのはどれか。

 

  1. 喫煙率は20%を超える。
  2. 禁煙の薬物治療に医療保険が適用される。
  3. 喫煙指数は1日の喫煙本数×年齢である。
  4. 受動喫煙によって肺癌の発生は変化しない。
  5. ニコチンはたばこに含有される発癌物質である。

 

 

 

感染症対策

第3編3章 p123~148

結核

  • 結核は感染症法上の二類感染症に分類され、乳児へのBCGワクチンの予防接種など対策が進められている。
  • 1950年ころには結核の死亡率(人口10万対)は146.4と死因の第1位であったが、その後は急減し、令和3年(2021年)の死亡率は1.5となっている。
  • 患者数は減少を続けているが依然として1万人を超える新規患者が発生しており、令和3年(2021年)は1.2万人となっている。

 

▶107回B問題31改題

結核対策について正しいのはどれか。

 

  1. 根拠法は健康増進法である。
  2. 乳幼児に対する予防接種はBCGである。
  3. 全国の年間新規患者登録数は約2,000人である。
  4. 潜在性結核感染症は法に基づく届出が不要である。
  5. 結核登録票の管理を行うのは感染症指定医療機関である。

 

 


 

▶108回E問題1改題

我が国の男性におけるある疾患の人口10万人あたりの死亡率の推移を年齢階級別に示す。
108e1.png
この疾患はどれか。

 

  1. 結核
  2. 糖尿病
  3. 悪性新生物
  4. 脳血管疾患
  5. 急性心筋梗塞

 

 

風疹

  • 風疹は、発熱や発疹、リンパ節腫脹を特徴とする風疹ウイルスによる感染性疾患で、主に飛沫感染が感染経路である。
  • 平成24年(2012年)平成30年(2018年)ころに風疹が流行したことから、追加的対策として抗体保有率の低い年代の成人男性に抗体検査・予防接種を促した。

 

▶117回C問題9

感染症法上の五類感染症のうち、全数把握対象疾患である梅毒、風疹、麻疹、後天性免疫不全症候群、薬剤耐性アシネトバクター感染症について、発生動向調査によるそれぞれの患者数の年次推移を示す。
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風疹はどれか。

 

  1. A
  2. B
  3. C
  4. D
  5. E

 

 

インフルエンザ

  • 季節性のインフルエンザは5類感染症に分類され、主な感染経路は飛沫感染である。小児の罹患率が高く、高齢者で重症化しやすい特徴がある。
  • 例年、11月ころから患者が発生し、1~2月ころに患者数のピークを迎え、4月以降減少するという経緯をたどる。新型コロナウイルス感染症流行前の令和元年(2019年)では188万件の報告数があった。

 

▶110回B問題25

あるウイルス性疾患の我が国における月別発生数の傾向を示す。
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この疾患はどれか。

 

  1. 水痘
  2. B型肝炎
  3. デング熱
  4. インフルエンザ
  5. アデノウイルス感染症

 

 


 

▶115回F問題26

2019年以前の我が国におけるインフルエンザについて、正しいのはどれか。

 

  1. 小児に比べて大人の罹患率が高い。
  2. 罹患数は1シーズンに1〜2万人である。
  3. 4月から5月にかけて流行のピークがある。
  4. 他の年齢層に比べて高齢者の致死率が高い。
  5. オセルタミビル耐性のウイルス株が90%以上を占める。

 

 

 

医療提供体制

第4編1章 p166~206

医療従事者の状況(令和2年(2020年))

  • 医師は34.0万人、歯科医師は10.7万人、薬剤師は32.2万人である(届出数)。
  • 保健師は5.6万人、助産師は3.8万人、看護師は128.1万人、准看護師は28.5万人である(就業者数)。

 

▶108回H問題1

就業者数が最も少ないのはどれか。

 

  1. 医師
  2. 看護師
  3. 保健師
  4. 薬剤師
  5. 歯科医師

 

 

精神障害者の医療提供体制(令和2年)

  • 精神病床数は32.5万床(人口千人当たり2.6床)、精神病床の平均在院日数は277.0日、精神病床推計入院患者数は27.3万人(うち65歳以上16.9万人)となっている。
  • 傷病別にみると、精神病床入院患者では「統合失調症、統合失調症型障害及び妄想性障害」が、外来患者では「気分[感情]障害(躁うつ病を含む)」が最も多い。

 

▶109回G問題6改題

最近5年間における精神障害者の医療の実態について正しいのはどれか。

 

  1. 精神病床の平均在院日数は約90日である。
  2. 精神病床数は人口千人当たり約1床である。
  3. 精神病床入院患者は65歳以上が半数以上を占める。
  4. 精神病床入院患者は統合失調症より認知症が多い。
  5. 精神科外来患者は気分障害より統合失調症が多い。

 

 


 

▶115回F問題22

我が国の精神保健について誤っているのはどれか。

 

  1. 精神科診療所の数は増加傾向にある。
  2. OECD諸国と比べて人口当たりの精神科病床数が多い。
  3. 医療観察法は自殺念慮の強い場合の入院に関する法律である。
  4. 精神科救急医療システムは都道府県や政令指定都市が取り組む。
  5. 精神保健福祉センターでは精神障害者福祉手帳の障害等級の判定を行う。

 

 

 

医療保険制度

 第4編2章 p208~219

医療保険適用者数

  • わが国はすべての国民が、「被用者保険」「国民健康保険」「後期高齢者医療制度」のいずれかの医療保険に加入することとされている(国民皆保険)。
  • 令和2年度(2020年度)末現在の医療保険適用者は、被用者保険が7779万人(62.4%)、国民健康保険が2890万人(23.2%)、後期高齢者医療制度が1806万人(14.5%)となっている。

 

▶115回F問題13

公的医療保険について誤っているのはどれか。

 

  1. 現金が給付される。
  2. 主たる財源は保険料である。
  3. 被用者保険の加入者が最も多い。
  4. 国民はいずれかの医療保険に加入する。
  5. 小学校就学前の自己負担は2割である。

 

 

国民医療費

  • 国民医療費は、医療機関などにおける傷病の治療に要する費用を推計したものである。正常な妊娠や分娩などに要する費用、健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種などに要する費用、固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢などの費用、平成12年度から開始した介護保険制度の給付費は含まない。
  • 令和2年(2020年)度の国民医療費は43.0兆円(対国民総生産〈GDP〉比8.02%)、人口1人当たり34.1万円で、長期的に上昇傾向にある。人口1人当たりの国民医療費を年齢階級別にみると、65歳未満が18.4万円に対し、65歳以上は73.4万円(約4倍)、75歳以上は90.2万円(約5倍)となっている。

 

▶108回E問題2改題

国民医療費(令和2年度)で正しいのはどれか。

 

  1. 年間40兆円を超える。
  2. 介護保険の費用が含まれる。
  3. 国民総生産比は10%を超える。
  4. 財源別では患者負担が30%を超える。
  5. 制度別では後期高齢者医療給付分が50%を超える。

 

 


 

▶112回F問題14改題

国民医療費について正しいのはどれか。

 

  1. 健康診断の費用を含む。
  2. 正常な妊娠や分娩に関する費用を含む。
  3. 国民医療費の対GDP比は減少している。
  4. 令和2年度の国民医療費は40兆円を超えている。
  5. 65歳以上の1人当たり国民医療費は65歳未満の約2倍である。

 

 


 

▶114回F問題24改題

令和2年度の国民医療費について正しいのはどれか。

 

  1. 予防接種の費用を含む。
  2. 生活保護による医療扶助費は含まれない。
  3. 国民医療費の総額は40兆円を超えている。
  4. 65歳以上の入院医療費が50%以上を占める。
  5. 受診1日あたりの単価が最も高いのは75歳以上の入院医療費である。

 

 


 

▶113回F問題4改題

令和2年度の国民医療費について正しいのはどれか。

 

  1. 介護保険費用が含まれる。
  2. 国民総生産に対する比率は5%を超える。
  3. 一般診療所医療費は病院医療費より多い。
  4. 年齢階級別では65歳以上が80%を超える。
  5. 薬局調剤医療費は医科診療医療費より多い。

 

 


 

▶116回B問題10・113回E問題2類問・109回E問題2類問

社会保障制度について正しいのはどれか。

 

  1. 診療録の保存義務期間は終診時から2年間である。
  2. 国民健康保険組合の被保険者数は6千万人より多い。
  3. 国民医療費は2000年からの20年間で3倍に増加した。
  4. 介護保険第1号被保険者数は第2号被保険者数より多い。
  5. 結核患者の医療費の公費負担は感染症法に規定されている。

 

 


 

▶109回H問題2

日本、アメリカ、ドイツ及びフランスの比較で、日本について正しいのはどれか。

 

  1. 高齢化率が最も低い。
  2. 平均在院日数が最も長い。
  3. 人口千人当たりの医師数が最も多い。
  4. 人口千人当たりの病床数が最も少ない。
  5. 国内総生産〈GDP〉に対する国民医療費の割合が最も高い。

 

 

 

介護保険

 第5編1章 p220~233

介護が必要になった原因

令和元年(2019年)の介護が必要になった原因をみると、「認知症」が17.6%と最も高く、次いで「脳血管疾患(脳卒中)」が16.1%、「高齢による衰弱」が12.8%、「骨折・転倒」が12.5%、「関節疾患」が10.8%などとなっている。

 

▶115回C問題9改題

令和元年度国民生活基礎調査において、介護が必要となった原因を集計した結果を別に示す。
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Aに該当する原因はどれか。

 

  1. 糖尿病
  2. 呼吸器疾患
  3. 骨折・転倒
  4. Parkinson病
  5. 悪性新生物(がん)

 

 

 

社会保険と社会福祉

 第5編2章 p234~245

生活保護制度

  • 生活保護制度は、生活に困窮する国民に対して最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする制度である。
  • 令和3年(2021年)の被保護実世帯数(1か月平均)は164.2万世帯と長期的に増加傾向である。被保護世帯の内訳をみると、高齢者世帯が半数以上を占めており、一貫して増加傾向にある。
  • 保護開始の主な理由をみると、「貯金等の減少・喪失」が44.1%と最も多い。

 

▶116回F問題17改題

生活保護について正しいのはどれか。

 

  1. 生活保護基準は都道府県が定める。
  2. 被保護世帯数は平成22年(2010年)以降減少傾向にある。
  3. 被保護世帯数は高齢者世帯が最も多い。
  4. 生活保護の開始は要介護状態が最も多い。
  5. 生活保護受給者は国民健康保険に加入している。

 

 

相対的貧困率

  • 相対的貧困率とは、貧困線(等価可処分所得の中央値の半分)に満たない世帯員の割合をいう。令和3年(2021年)の貧困線は127万円、相対的貧困率は15.4%となっている。
  • 相対的貧困率は経済協力開発機構(OECD)が定義しており、加盟国間の比較をみるとわが国は先進諸国の中で最も高く、加盟国の平均を超えている。

 

▶117回C問題18

相対的貧困について正しいのはどれか。

 

  1. 世界銀行が定義している。
  2. 生活保護を受給している世帯の状況を指す。
  3. 単身世帯の相対的貧困率は母子世帯より高い。
  4. 世帯の大きさによらず世帯所得の高さで決まる。
  5. 我が国の相対的貧困率はOECD加盟国の平均より高い。

 

 

 

食品安全行政の動向

 第7編2章 p278~292

食中毒統計

令和4年(2022年)の食中毒の事件数は962件、患者数は6,856人、死者は5人となっている。判明した病因物質をみると、事件数ではアニサキスが59.4%、患者数ではノロウイルスが32.2%と最も多い。

 

▶113回F問題12

ノロウイルス感染症について正しいのはどれか。

 

  1. 食前加熱が有効である。
  2. 抗ウイルス薬が有効である。
  3. 生体内でベロトキシンを産生する。
  4. ワクチンが定期接種に位置付けられている。
  5. 原因が判明した食中毒の中での患者数は第3位である。

 

 

 

労働衛生

 第8編 p299~310

労働災害・業務上疾病(令和3年(2021年))

  • 労働災害の発生状況をみると、死亡者数は774人で減少傾向、休業4日以上の死傷者数は13.2万人で増加傾向にある。
  • 過労死等に関連する労災認定数をみると、脳・心臓疾患は172人で減少傾向、精神障害等は629人で増加傾向にある。
  • 業務上疾病発生割合をみると、病原体による疾病が69.4%で最も多いが、そのうち新型コロナウイルスり患によるもの68.9%を除いた場合は、負傷に起因する疾病(そのうち災害性腰痛)が最も多い。

 

▶116回C問題32

我が国の労働災害について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 労働災害の認定は産業医が行う。
  2. 死亡者数は年間100人以下である。
  3. 業務上疾病で最も多いのは熱中症である。
  4. 休業4日以上の傷病者数は近年増加傾向にある。
  5. 精神障害による労働災害認定件数は増加傾向にある。

 

 

 

学校保健

第10編 p341~351

学校保健統計調査

  • 令和3年度(2021年度)の小学校における疾病・異常被患率をみると、「むし歯(う歯)」が39.0%で最も高く、次いで「裸眼視力1.0未満の者」が36.9%となっている。
  • その推移をみると、「むし歯(う歯)」の状況は一貫して改善傾向にある一方、「裸眼視力1.0未満の者」の割合はやや上昇傾向にある。

 

▶111回E問題2改題・107回B問題10類問

学校保健統計調査における小学生の主な疾病・異常被患率の推移を示す。
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②はどれか。
ただし、①〜⑤はa〜eのいずれかに該当する。

 

  1. 心電図異常
  2. むし歯(う歯)
  3. 鼻・副鼻腔疾患
  4. (尿)蛋白検出の者
  5. 裸眼視力1.0未満の者

 

 

 

国際比較

先進国と開発途上国の死亡原因

開発途上国(低所得国)では、感染症など感染性疾患による死亡率が顕著である一方、先進諸国(高所得国)では生活習慣を原因とする非感染性疾患(悪性新生物(がん)、心疾患、脳血管疾患等)による死亡率が高い傾向にある。

 

▶111回E問題28

開発途上国において我が国より低いと考えられるのはどれか。

 

  1. 出生率
  2. がん死亡率
  3. 乳児死亡率
  4. 妊産婦死亡率
  5. マラリア死亡率

 

 


 

▶114回F問題19

WHOが公表した2016年のファクトシートによれば、低所得国よりも高所得国で上位にある死因はどれか。

 

  1. 交通事故
  2. 下痢性疾患
  3. 下気道感染症
  4. 虚血性心疾患
  5. 新生児仮死および出生時損傷

 

 


 

▶112回F問題20

WHOが公表した2015年の低所得国と高所得国における主な死亡原因の割合を示す。
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(ア)はどれか。

 

  1. 感染症
  2. 悪性新生物
  3. 心血管疾患
  4. 不慮の事故
  5. 周産期の異常

 

 


 

▶115回C問題24

非感染性疾患(脳心血管疾患・悪性新生物・慢性呼吸器疾患・糖尿病を含む)の国際保健における現況について正しいのはどれか。

 

  1. 死亡原因としては感染性疾患より少ない。
  2. 死亡の半分以上は高所得国で発生している。
  3. 急速な都市化や生活習慣のグローバル化が加速要因となっている。
  4. 最大の寄与を有する単一リスクファクターは塩分過剰摂取である。
  5. 低・中所得国においては、富裕層の方が貧困層より死亡率が高い。

 

 

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

テーマ別

統計問題法律問題医療制度問題

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

 

「国民衛生の動向」は公衆衛生、保健・福祉、医療提供体制などの最新の動向を解説し、医療従事者や国家試験対策として広く用いられています。

 

医師国家試験では、医療法や医師法などの業務に関わる法律、医療ニーズの多様化に対応した医療制度、医療を取り巻く国民皆保険など、様々な制度に関する知識が問われます。

 

このページでは、過去の第118回(2024年)から第107回(2013年)までの12年分の医師国家試験の中から、医療提供体制に関わる制度ごとに、「国民衛生の動向」の記述を基に要点を簡潔にまとめ、理解と実践を図れるように構成しています。

 

出題傾向を把握し、より詳細な制度内容や関連規定、歴史的背景や改正点などを「国民衛生の動向」内で確認し、医療制度に対する理解を深めていただければ幸いです。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

発売日:2024.8.27

定価:2,970円(税込)

412頁・B5判

雑誌コード:03854-08

 

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▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

テーマ別

統計問題法律問題医療制度問題

 

目次

医療法

:インフォームド・コンセント/医療に関する選択の支援/医療計画/二次医療圏/地域医療構想・病床機能報告制度/災害医療/へき地医療/医療安全支援センター/医療事故調査・支援センター/特定機能病院/地域医療支援病院

 

医師法

:総則/主な規定/保険医/医療従事者

 

精神保健福祉

:精神保健福祉センター/精神障害者の入院形態/精神科入院患者の制限事項/医療観察法

 

訪問看護

:概要/訪問看護の対象者/訪問看護ステーション(事業者)

 

医療保険制度

:医療給付内容/国民皆保険/自己負担/高額療養費制度

 

 

医療法

インフォームド・コンセント

医療法では、患者の自己決定を尊重することを目的にインフォームド・コンセントが規定されており、治療や治験に当たっては、医療従事者は患者に十分な説明を行い、患者の理解と自由意思に基づいた文書での同意(いつでも撤回可能)が必要となる。

 

▶115回E問題5

成人を対象としたインフォームド・コンセントについて正しいのはどれか。

 

  1. 本人と家族の同意が必要である。
  2. 患者は同意をいつでも撤回できる。
  3. 予後についての説明は必要でない。
  4. 医師の過失責任を回避する目的で行う。
  5. 最新の治療法を推奨しなければならない。

 

 


 

▶114回B問題8

インフォームド・コンセントについて誤っているのはどれか。

 

  1. 医師法に定められている。
  2. 患者の自己決定権の行使が目的である。
  3. 代替可能な治療法についても提示する。
  4. 同意はいつでも撤回することができる。
  5. 医療従事者側からの十分な説明が前提である。

 

 


 

▶113回B問題1

インフォームド・コンセントについて正しいのはどれか。

 

  1. 同意後は撤回できない。
  2. 医師法に定められている。
  3. 文書で意思を確認すればよい。
  4. 医療従事者の責任回避が目的である。
  5. 患者の主体性を重んじて行う行為である。

 

 


 

▶111回F問題1

インフォームド・コンセントについて誤っているのはどれか。

 

  1. 患者の理解が同意の前提になる。
  2. 自己決定尊重の倫理原則に基づく。
  3. 医療行為に対する承諾書のことである。
  4. 患者の主体性を重んじて行う行為である。
  5. 臨床研究に参加してもらう場合に必要になる。

 

 

医療に関する選択の支援

医療法では、医療に関する選択の支援等のため、国および地方公共団体は、医療を受ける者が病院、診療所または助産所の選択に関して必要な情報を容易に得られるように、必要な措置を講ずるよう努めなければならないとされる。

 

▶110回F問題20

28歳の女性。突然の腹痛を自覚したため受診できる医療機関をインターネットで探したところ、都道府県のウェブサイトで内科の診療所や病院を検索できるようになっていた。この情報提供システムは、法律に基づいて設置されていると記載されていた。
根拠法として正しいのはどれか。

 

  1. 医師法
  2. 医療法
  3. 介護保険法
  4. 健康保険法
  5. 地域保健法

 

 

医療計画

医療法に基づき、都道府県は地域の実情に応じて医療計画を策定する。主な項目は以下のとおり。

 

  • 5疾病(がん、脳卒中、心血管疾患、糖尿病、精神疾患)
  • 6事業(救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療、新興感染症等の感染拡大時における医療〈*2024年度から追加〉)
  • 居宅等における医療(在宅医療)の確保
  • 地域医療構想に関する事項
  • 医療従事者の確保
  • 医療の安全の確保
  • 地域医療支援病院の整備目標等
  • 二次医療圏・三次医療圏の設定
  • 基準病床数の設定

 

▶109回B問題18

医療計画に含まれないのはどれか。

 

  1. 監察医の確保
  2. 救急医療の確保
  3. 基準病床数の設定
  4. 二次医療圏の設定
  5. 地域医療支援病院の整備

 

 


 

▶117回C問題31

医療法に規定されていないのはどれか。

 

  1. 医療圏
  2. 基準病床数
  3. 地域医療構想
  4. 医師の臨床研修
  5. 医療従事者の確保

 

 


 

▶118回F問題4

医療計画の記載事項に含まれないのはどれか。

 

  1. 救急医療
  2. 精神疾患
  3. 労働災害
  4. 地域医療構想
  5. 医療従事者の確保

 

 


 

▶108回E問題4

医療計画の内容として最も適切なのはどれか。

 

  1. 日常生活圏域の設定
  2. 老人福祉施設の整備の推進
  3. 特定健康診査の実施率の向上
  4. 地域連携クリニカルパスの普及
  5. 医療費の効率的な提供に関する達成目標の設定

 

 

二次医療圏

  • 二次医療圏とは、一体の区域として入院にかかる医療を提供することが相当である単位として都道府県が定める地域であり、医療計画の記載事項の一つである。
  • 社会的条件を考慮の上、多くは都道府県内の複数の市町村をまたいで設定される。

 

▶115回C問題1

二次医療圏について正しいのはどれか。

 

  1. 中学校区に該当する。
  2. 各市町村に該当する。
  3. 各都道府県内の複数の市町村を含む。
  4. 各都道府県に該当する。
  5. 複数の都道府県を含む。

 

 


 

▶112回C問題15

二次医療圏について正しいのはどれか。

 

  1. 都道府県が定める。
  2. 特定機能病院を設置する。
  3. ドクターヘリを配備する。
  4. 地域保健法によって規定される。
  5. 人口30万人を基準として設定される。

 

 

地域医療構想・病床機能報告制度

平成26年(2014年)の医療介護総合確保推進法の成立に伴う医療法の改正により、都道府県は医療計画の一部として地域医療構想を策定し、構想区域(原則二次医療圏)ごと、病床機能区分(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)ごとに、2025年の医療需要(在宅医療含む)と病床の必要量を推計することとされた。

 

▶113回F問題6

在宅医療の医療需要の推計が示されているのはどれか。

 

  1. 患者調査
  2. 国勢調査
  3. 健康日本21
  4. 地域医療構想
  5. 介護保険事業計画

 

 


 

▶112回F問題27

都道府県による地域医療構想において検討すべき内容に含まれないのはどれか。

 

  1. 医療提供体制
  2. 保健所の配置
  3. 医療従事者の確保・養成
  4. 医療需要の将来推計
  5. 病床の機能分化推進

 

 


 

▶114回C問題1

地域医療構想について誤っているのはどれか。

 

  1. 2025年の医療需要を推計する。
  2. 医療計画の一部として策定する。
  3. 構想区域は都道府県単位である。
  4. 病床の必要量を病床の機能別に推計する。
  5. 地域医療構想会議には医療保険者も参加する。

 

 


 

▶117回C問題5・116回E問題9類問

病床機能報告における病床機能の区分に含まれないのはどれか。

 

  1. 高度急性期
  2. 急性期
  3. 回復期
  4. 療養期
  5. 慢性期

 

 

災害医療

  • 災害医療とは、災害発生時に医療の需要が急増した状態で行う医療活動であり、都道府県が策定する医療計画の5事業のうちの一つに位置づけられる。
  • 都道府県は平時において災害拠点病院を指定し、災害時に24時間体制で重症患者などの受け入れや治療を行う。
  • 災害拠点病院を中心に、災害急性期(おおむね48時間以内)から活動できる機動性を持つ専門的な災害派遣医療チーム〈DMAT〉が整備されている。

 

▶111回E問題7・107回B問題5類問・117回C問題4類問

災害医療について正しいのはどれか。

 

  1. 災害拠点病院は市区町村が指定する。
  2. 災害現場では医師は救急救命士の指揮下に入る。
  3. 防災体制を整備する地域的単位を二次医療圏と呼ぶ。
  4. トリアージは医師以外の医療職も行うことができる。
  5. 災害医療とは災害派遣医療チーム〈DMAT〉の医療活動のことである。

 

 


 

▶110回B問題19

災害時における医療について誤っているのはどれか。

 

  1. 医師の役割は応急手当である。
  2. 都道府県の医療計画に示されている。
  3. 災害拠点病院は被災患者を24時間体制で受け入れる。
  4. 災害派遣医療チーム〈DMAT〉は自己完結型の医療救護を基本とする。
  5. 大規模災害では長期間にわたってこころのケアを提供する必要がある。

 

 

へき地医療

山村や離島などの医療機関のない無医地区における医療の確保(へき地医療)が、医療計画の5事業の一つとして掲げられており、以下のような施設・設備の整備がなされている。

 

  • 都道府県単位で設置されたへき地医療支援機構は、代診医の派遣調整など広域的なへき地医療支援事業の企画・調整を行う。
  • 都道府県知事が指定するへき地医療拠点病院は、へき地診療所への代診医派遣や無医地区への巡回診療車の派遣などを行う。
  • 都道府県は、無医地区単位で地域住民の医療確保を図るへき地診療所、地域住民に保健指導を行うへき地保健指導所、巡回診療を実施するへき地巡回診療車などを整備する。

 

▶116回F問題10

離島における唯一の診療所で医療を実践するうえで優先度が低いのはどれか。

 

  1. 高度医療の提供
  2. 自治体との連携
  3. 他の医療機関との連携
  4. 遠隔読影システムの整備
  5. 救急搬送システムの整備

 

 


 

▶117回C問題25

日本のへき地保健医療対策について誤っているのはどれか。

 

  1. 巡回診療が推進されている。
  2. ITの活用が推進されている。
  3. 医療計画の5事業に含まれている。
  4. へき地医療拠点病院は一次医療圏単位で整備される。
  5. プライマリケアを実践する医師の確保が求められている。

 

 


 

▶113回C問題6・109回E問題5類問

へき地医療について正しいのはどれか。

 

  1. へき地医療支援機構は市町村ごとに設置する。
  2. へき地医療診療所は一次医療圏毎に設置されている。
  3. へき地保健医療計画は地域医療支援病院が策定する。
  4. へき地医療拠点病院は代診医派遣の役割を担っている。
  5. へき地巡回診療車は地域の救命救急センターから派遣される。

 

 


 

▶118回F問題16

へき地医療支援機構が行う事業はどれか。

 

  1. 在宅医療の確保
  2. 母子保健の実施
  3. 代診医の派遣調整
  4. 地域医療構想の策定
  5. 地域包括ケアの推進

 

 


 

▶116回C問題28

へき地医療拠点病院について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 無医地区の巡回診療を行う。
  2. へき地保健指導所を整備する。
  3. へき地保健医療対策を策定する。
  4. へき地診療所への医師派遣を行う。
  5. 厚生労働大臣によって指定される。

 

 

医療安全支援センター

医療法に規定される医療安全支援センターは、医療の安全の確保のために都道府県・保健所設置市・特別区が設置するもので、医療に関する苦情や相談への対応、情報の提供、医療関係者への研修などを実施する。

 

▶116回B問題6

治療後の経過に関して主治医以外に相談を希望する場合、助言や情報提供を行う施設はどれか。

 

  1. 保健所
  2. 福祉事務所
  3. 市町村保健センター
  4. 医療安全支援センター
  5. 地域包括支援センター

 

 


 

▶117回C問題24・108回C問題2類問

医療安全支援センターについて正しいのはどれか。

 

  1. 市町村に設置される。
  2. 医療事故調査を実施する。
  3. 地域保健法に規定されている。
  4. 患者・家族からの苦情に対応する。
  5. 看護師の常駐が義務付けられている。

 

 

医療事故調査・支援センター

病院等の管理者は、提供した医療に起因した、または疑われる死亡・死産であって管理者が予期しなかった医療事故等が発生した場合、厚生労働大臣が指定した医療事故調査・支援センターに遅滞なく報告し、遺族への説明、原因究明のための調査を行わなければならない。

 

▶113回C問題2・118回B問題23類問

医療事故調査制度について正しいのはどれか。

 

  1. 調査は院外機関のみが行う。
  2. 診療に起因した死亡全てが対象となる。
  3. 事故発生時は医療機関から警察に速やかに届け出る。
  4. 調査が終了するまで、医療機関は事故の説明を遺族にしてはならない。
  5. 医療の安全を確保するために医療事故の再発防止を目的とした制度である。

 

 

特定機能病院

医療法に定められる特定機能病院は、高度の医療の提供や研修を実施する能力を有する病院として、厚生労働大臣が個別に承認する。

 

▶110回G問題30

設置根拠が医療法によるのはどれか。

 

  1. 保険薬局
  2. 特定機能病院
  3. 母子保健施設
  4. 介護老人保健施設
  5. 柔道整復師による施術所

 

 

地域医療支援病院

  • 医療法に定められる地域医療支援病院は、地域医療の確保を図る病院としての構造設備を有する病院として、都道府県知事が承認する。
  • 承認条件として、①紹介患者に対する医療の提供(かかりつけ医の支援)、共同利用の体制が整備されていること、②救急医療の提供能力を有すること、④原則200床以上の病床を有すること、⑤地域医療従事者に対する研修の実施等が挙げられる。

 

▶114回F問題31

地域医療支援病院について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 厚生労働大臣が承認する。
  2. 救急医療の提供能力を有する。
  3. 400床以上の病床が必要である。
  4. かかりつけ医を支援する能力を有する。
  5. 三次医療圏ごとに1施設の設置が目標である。

 

 


 

▶111回G問題24

地域医療支援病院について正しいのはどれか。

 

  1. 療養病床を設置する。
  2. 救急医療を提供する。
  3. 厚生労働大臣が承認する。
  4. 高度の医療技術を開発する。
  5. 紹介率30%以上が要件である。

 

 


 

▶118回C問題15

地域医療支援病院に求められる機能はどれか。

 

  1. 高度医療技術の開発
  2. 地域住民の栄養改善
  3. 質の高い臨床研究の主導
  4. 難病患者の療養生活支援
  5. 地域の医療従事者に対する研修

 

 

 

医師法

総則

医師は、医療及び保健指導を掌ることによって公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。(1条)

 

▶115回E問題7

医師法第1条の条文を示す。
「医師は、医療と保健指導を掌ることによって、(ア)の向上と増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。」
(ア)に入るのはどれか。

 

  1. 公衆衛生
  2. 社会保障
  3. 生命科学
  4. 適正診療
  5. 臨床医学

 

 

主な規定

医師法では、医師免許、医師国家試験、医師(臨床)研修のほか、以下のような医師の業務について規定している。

 

  • 医師でなければ医業をなしてはならない(医業の独占)。(17条)
  • 診察治療の求めがあった場合、正当な事由なく拒んではならない(応召義務)。(19条)
  • 医師は、自ら診察しないで治療を行ったり診断書・処方箋を交付してはならない(無診察医療の禁止)。(20条)
  • 検案(死後診察)で異常を認めた場合、24時間以内に警察署へ届け出なければならない。(21条)
  • 治療上薬剤を調剤して投与する必要がある場合、処方箋を交付しなければならない。(22条)
  • 診療後、遅滞なく診療に関する事項を診療録に記載しなければならない。(24条)

 

なお、医師の守秘義務については刑法に規定されている。

 

▶115回B問題3

医師法に規定されないのはどれか。

 

  1. 応召義務
  2. 守秘義務
  3. 臨床研修
  4. 処方箋の交付
  5. 診療録の記載

 

 


 

▶117回F問題34

医師法に規定されているのはどれか。

 

  1. 医師の免許
  2. 医師の守秘義務
  3. 医療機関の種類
  4. 医療の安全の確保
  5. 特定機能病院の要件

 

 


 

▶112回F問題24

医師の義務と規定する法律との組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 守秘義務――医師法
  2. 応召義務――民法
  3. 説明義務――医療法
  4. 処方箋の交付義務――健康保険法
  5. 異状死体の届出義務――刑法

 

 


 

▶111回E問題15

医療法で規定されているのはどれか。

 

  1. 応招義務
  2. 医業の独占
  3. 医師臨床研修
  4. 異状死体の届出義務
  5. 医療機関の管理者要件

 

 


 

▶113回F問題32・118回C問題4類問

法律とその内容の組合せで誤っているのはどれか。

 

  1. 医療法――無診察治療の禁止
  2. 労働基準法――産前産後休業
  3. 健康増進法――受動喫煙の防止
  4. 児童福祉法――小児慢性特定疾患の医療費助成
  5. 労働者災害補償保険法――業務災害に関する給付

 

 

保険医

保険医は健康増進法に規定され、保険医療機関(厚生労働大臣に指定された療養の給付を行う病院・診療所)で健康保険の診療に従事する医師をいい、自ら地方厚生(支)局長に申請して厚生労働大臣の登録を受けなければならない。

 

▶111回G問題30

保険医について正しいのはどれか。

 

  1. 医師法に規定されている。
  2. すべての医師は登録する義務がある。
  3. 保険診療に関する費用を任意に設定できる。
  4. 保険診療として健康診断を行うことができる。
  5. 保険診療を行うには医療機関も指定を受けていなければならない。

 

 

その他医療従事者

医師のほか、医療従事者のうち国家資格であるものは以下などが挙げられる。

 

  • 歯科医師
  • 薬剤師
  • 保健師
  • 助産師
  • 看護師
  • 診療放射線技師
  • 臨床検査技師
  • 理学療法士
  • 作業療法士
  • 視能訓練士
  • 言語聴覚士
  • 臨床工学技士
  • 義肢装具士
  • 歯科衛生士
  • 歯科技工士
  • 救命救急士
  • あん摩マッサージ指圧師、はり師、きゅう師

 

▶114回C問題7

国家資格でないのはどれか。

 

  1. 介護福祉士
  2. 言語聴覚士
  3. 理学療法士
  4. 臨床工学技士
  5. 医療ソーシャルワーカー

 

 


 

▶114回E問題23

脳梗塞で入院した患者に対し、言語聴覚士が評価を行うのはどれか。

 

  1. 見当識
  2. 嚥下機能
  3. 巧緻運動
  4. 四肢筋力
  5. 心理状態

 

 


 

▶112回C問題45

72歳の男性。脳梗塞で入院し、急性期治療を終え、現在は回復期病棟でリハビリテーションを行っている。右半身麻痺と嚥下障害が残存しているが、病状が安定してきたので退院を見据えて療養環境を調整することになった。
多職種連携における職種と役割の組合せで誤っているのはどれか。

 

  1. 看護師――吸痰処置の指導
  2. 薬剤師――服薬の指導
  3. 理学療法士――関節拘縮の予防
  4. 管理栄養士――食事の指導
  5. ケアマネジャー――介護度の認定

 

 


 

▶111回B問題2

医療、介護および福祉の分野で連携する職種の専門性や主たる役割について最も適切なのはどれか。

 

  1. 介護支援専門員は要介護度を判定する。
  2. 管理栄養士は高齢者施設で調理を担当する。
  3. 作業療法士は基本的動作能力の回復を図る。
  4. 言語聴覚士は摂食・嚥下の機能回復を図る。
  5. 民生委員は生活保護の受給資格を判定する。

 

 


 

▶115回E問題32

84歳の男性。発熱と咳嗽を主訴に来院し、誤嚥性肺炎の診断で入院した。意識は清明。身長173cm、体重60kg。体温38.5℃。脈拍96/分、整。血圧120/80mmHg。呼吸数22/分。SpO296%(鼻カニューラ2L/分酸素投与下)。入院時から多職種で誤嚥性肺炎治療のサポートを行うことになった。
この患者に関わる職種とその職務内容の組合せで誤っているのはどれか。

 

  1. 看護師――抗菌薬の処方
  2. 管理栄養士――食形態の評価
  3. 言語聴覚士――嚥下訓練
  4. 薬剤師――内服薬の剤型検討
  5. 理学療法士――呼吸リハビリテーション

 

 


 

▶109回H問題30

78歳の男性。脳梗塞で入院中である。急性期リハビリテーションを終えて片麻痺が残っている。前立腺肥大による排尿障害があり尿道カテーテルを留置中である。同居している息子夫婦は共働きで日中は独居となる。自宅への退院を予定しており多職種での退院カンファレンスを行った。
退院後の医療と介護の計画で適切なのはどれか。

 

  1. 薬剤師が訪問して内服薬を処方する。
  2. 介護福祉士が尿道カテーテルの交換を行う。
  3. 医療ソーシャルワーカーがケアプランを作成する。
  4. 介護支援専門員〈ケアマネジャー〉が昼食を介助する。
  5. 作業療法士が患者の自宅でリハビリテーションを実施する。

 

 


 

▶107回C問題24

76歳の女性。急に発症した左上下肢の麻痺を主訴に救急外来を受診した。医師の指示により、看護師が静脈路を確保した(①)。初診時の診察で脳卒中が疑われたため、医師の指示により、診療放射線技師が頭部単純MRIを撮影し(②)、医師が右中大脳動脈領域の脳梗塞と診断し入院させた。その後、薬物療法とリハビリテーションにより患者は順調に回復していったが、嚥下機能に問題を認めたため、医師の指示により、言語聴覚士による嚥下訓練(③)管理栄養士による食事形態の調節(④)とが追加された。入院中、患者が不眠を訴えたため、過去に交付された処方箋を参照して、薬剤師が睡眠導入薬の処方箋を交付し(⑤)、患者への投薬が行われた。
下線部のそれぞれの医療専門職の行為として適切でないのはどれか。

 

 

 


 

▶118回B問題1

医師の指示があっても採血できない職種はどれか。

 

  1. 看護師
  2. 助産師
  3. 保健師
  4. 薬剤師
  5. 臨床検査技師

 

 


 

▶107回E問題3

医師の指示が必要でないのはどれか。

 

  1. 看護師による静脈注射
  2. 臨床検査技師による採血
  3. 助産師による正常分娩の介助
  4. 診療放射線技師によるCTの撮影
  5. 臨床工学技士による経皮的心肺補助〈PCPS〉の交換

 

 

 

精神保健福祉

精神保健福祉センター

  • 精神疾患は医療法に基づく医療計画の5疾病の一つであり、その保健福祉対策は精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉に基づき実施される。
  • 精神保健福祉センターは、精神保健及び精神障害者の福祉に関して、知識の普及・調査研究、複雑または困難な相談・指導などを行うものとして都道府県・指定都市に設置される。

 

▶117回C問題33

精神保健福祉センターについて正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 市町村に設置される。
  2. 精神医療審査会の事務を行う。
  3. 障害者総合支援法に規定されている。
  4. 精神障害者保健福祉手帳の発行を行う。
  5. 精神保健福祉に関する知識の普及を行う。

 

 

精神障害者の入院形態

  • 任意入院は精神障害者自身の同意に基づく入院制度である。
  • 任意入院が行われる状態にない者については、その家族等の同意がある場合に、精神保健指定医1名の診察を要件に医療保護入院が行える。急速を要し、家族等の同意が得られない場合には、72時間以内の応急入院を行うことができる。
  • 2人以上の指定医の診察を要件に、入院させなければ自傷他害のおそれがある精神障害者については措置入院を行うことができる。急速な入院の必要性がある場合、指定医1名の診察による72時間以内の緊急措置入院を行うことができる。

 

▶114回F問題41

25歳の男性。幻聴を主訴に兄に連れられて来院した。昨日から「そばに人がいないのに、考えていることを批判し動作を命令する声が聞こえてくる。つらくて仕方がない」と苦痛を伴った幻聴を訴えるようになったため、精神科病院を受診した。この病院で3年前に統合失調症と診断され、通院中であった。患者はこの声が聞こえなくなるよう入院の上で治療して欲しいと訴えている。
適切な入院形式はどれか。

 

  1. 応急入院
  2. 自由入院
  3. 任意入院
  4. 医療保護入院
  5. 緊急措置入院

 

 


 

▶116回C問題49

75歳の女性。夜間に徘徊することに困った夫に付き添われて来院した。78歳の夫と2人暮らしである。60歳で発症したアルツハイマー型認知症が進行し、最近3カ月はひとりで出かけて自宅から離れた場所まで歩き回り、警察に保護されることが多くなった。徘徊や不眠などの原因精査と治療のため、精神科病棟に入院することになった。本人はほとんど言葉を発せず、意思も確認できない。夫の認知機能に低下は認めない。
適切な入院形式はどれか。

 

  1. 緊急措置入院
  2. 措置入院
  3. 応急入院
  4. 医療保護入院
  5. 任意入院

 

 


 

▶112回F問題46・107回G問題40類問

45歳の男性。精神科閉鎖病棟を含む複数の診療科のある病院内で、廊下に座り込んでいるところを保護された。病院事務員が話を聞くと、その病院の精神科に通院している患者であること、統合失調症と診断されていること、単身で生活しており、すぐ連絡のとれる家族はいないことが分かった。患者は「自分は病気ではない。『しばらくこの病院の廊下で寝泊まりするように』という声が聞こえてきたから、廊下で寝る場所を探していた」と述べた。患者から話を聴いている現場には内科当直医、精神保健指定医の資格をもつ精神科医、当直の事務員がいる。精神科医の診察の結果、入院が必要であると判断された。精神科医が入院治療の必要性について繰り返し説明したが、患者は拒否し「このまま病院の廊下で寝泊まりする」と主張し譲らなかった。
現時点で最も適切な入院形態はどれか。

 

  1. 任意入院
  2. 措置入院
  3. 応急入院
  4. 医療保護入院
  5. 緊急措置入院

 

 


 

▶114回F問題26

精神障害者の保健、医療、福祉について正しいのはどれか。

 

  1. 治療を行う際のインフォームド・コンセントは必要ない。
  2. 緊急措置入院は複数の精神保健指定医の診察を必要とする。
  3. 知的障害者の福祉対策は成人後も児童福祉法に基づいて行われる。
  4. 精神保健福祉センターは精神保健福祉の知識について普及・啓発を行う。
  5. 精神保健及び精神障害者福祉に関する法律〈精神保健福祉法〉の目的は犯罪予防である。

 

 


 

▶113回C問題8

精神保健について正しいのはどれか。

 

  1. 措置入院患者数は年々増加している。
  2. 精神科デイケアは医療保険で賄われる。
  3. 精神保健指定医は学会が認定する資格である。
  4. 精神保健福祉センターは市町村ごとに設置される。
  5. 精神障害者社会復帰施設は入院患者の社会復帰訓練を行う。

 

 

精神科入院患者の制限事項

精神科入院患者で隔離や身体的拘束などの行動制限がある場合でも、以下の事項については制限できない

 

  • 信書の発受
  • 行政機関の職員や代理人である弁護士との電話・面会
  • 精神医療審査会への退院請求、処遇改善請求(精神医療審査会は審査・判定を行う)

 

▶115回F問題55

22歳の男性。家庭内で自室に閉じこもり「おれの悪口を言うな」、「外を通る人が窓からのぞいている」などの実際には認められないことを口走ることが多くなったため、両親とともに来院した。診察した精神保健指定医は、治療が必要であるが本人に治療意欲がないことを考え、医療保護入院とした。
禁止できるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 弁護士との面会
  2. 両親あての手紙
  3. 友人あての電話
  4. 家族の希望による自宅外泊
  5. 精神医療審査会への退院請求

 

 


 

▶118回C問題24

医療保護入院する患者への説明で適切なのはどれか。

 

  1. 「弁護士と面会することはできません」
  2. 「入院中に任意入院に切り替えることはありません」
  3. 「入院治療が必要な理由や入院目的について自分で考えましょう」
  4. 「治療に納得いかない場合は精神医療審査会に申し立てができます」
  5. 「退院の希望があった場合は72時間以内に退院することができます」

 

 


 

▶111回G問題48

22歳の男性。行動の異常を心配した家族に連れられて来院した。自室に閉じこもり、つじつまの合わない言動がみられるという。幻聴、被害妄想および精神運動性障害を認めた。器質的な要因が認められず、統合失調症で入院が必要と診断され、父親の同意によって医療保護入院となった。しかし患者は「自分は病気ではない。入院の必要はない」と主張して退院請求を出すことを希望した。
患者への説明として正しいのはどれか。

 

  1. 「医療保護入院なので退院請求はできません」
  2. 「精神保健指定医は退院請求を却下できます」
  3. 「退院請求は精神保健福祉センター長に対して行います」
  4. 「退院請求の審査は精神医療審査会で行われます」
  5. 「審査結果はあなたではなく、病院に報告されます」

 

 

心神喪失等の状態で重大な他害行為を行った者の医療及び観察等に関する法律〈医療観察法〉

医療観察法に基づき、心神喪失または心神耗弱の状態で重大な他害行為を行い、不起訴処分または無罪などが確定した者に対して、裁判官と精神保健審判員の合議体による審判で、入院や通院による医療の決定を行う。

 

▶112回C問題12

心神喪失の状態で殺人未遂を犯し、不起訴処分になった者の指定入院医療機関について定めた法律はどれか。

 

  1. 刑法
  2. 医師法
  3. 医療観察法
  4. 地域保健法
  5. 精神保健福祉法

 

 

 

訪問看護

概要

訪問看護サービスは、医師の訪問看護指示書の下に看護師等が行う、在宅での療養上の世話または必要な診療の補助である。

 

▶107回G問題1

在宅ケアのうち医師の指示書が必要なのはどれか。

 

  1. 自宅改修
  2. 訪問看護
  3. 訪問介護
  4. 通所介護
  5. 通所リハビリテーション

 

 

訪問看護の対象者

  • 訪問看護サービスの利用に当たり、要介護者等(65歳以上の第1号被保険者、40~64歳の第2号被保険者で要介護認定された者)には介護保険からの給付が行われ、40歳未満の者と要介護者等以外の者には医療保険から給付される。
  • 介護保険の給付は医療保険の給付に優先する。介護保険の場合の自己負担は原則1割(所得により2割、3割)、医療保険の場合は保険の種類、所得、年齢区分に応じた自己負担となる。

 

▶115回C問題7

訪問看護について正しいのはどれか。

 

  1. 自己負担は発生しない。
  2. 主治医の指示とは独立して行われる。
  3. 介護保険よりも医療保険を優先して利用する。
  4. 要介護認定を受けていない者は対象外である。
  5. 人工呼吸器の管理は看護師が在宅で行う診療補助行為に含まれる。

 

 


 

▶111回E問題12

訪問看護について誤っているのはどれか。

 

  1. 40歳未満でも利用できる。
  2. 家族の状態についても情報を収集する。
  3. 人工呼吸器の管理を行うことができる。
  4. リハビリテーションを行うことができる。
  5. 介護保険より医療保険を優先して利用する。

 

 

訪問看護ステーション(事業者)

  • 訪問看護ステーションは、訪問看護サービスを提供する事業所として都道府県知事から指定を受けて開設されるもので、その管理者は専従かつ常勤の保健師または看護師とされる。
  • 訪問看護ステーションは、医療法人、営利法人(会社)、社団・財団法人、社会福祉法人、地方公共団体、協同組合、NPO法人などが開設できる。

 

▶108回E問題3

訪問看護ステーションについて正しいのはどれか。

 

  1. 介護保険が利用できる。
  2. 40歳未満は利用できない。
  3. 全国に約50か所設置されている。
  4. 管理者は医師でなければならない。
  5. 医師の指示書なしで訪問看護を利用できる。

 

 


 

▶114回F問題14

訪問看護について正しいのはどれか。

 

  1. 事業者は医療法人に限られる。
  2. 医師の指示を受けて業務を行う。
  3. 人工呼吸器の在宅管理は業務ではない。
  4. 介護保険による訪問回数は、原則週1回までである。
  5. 介護保険が適用される場合、訪問看護の自己負担は3割である。

 

 

 

医療保険制度

医療給付内容

  • 医療保険から給付される費用には、診察、処置・手術、薬剤・治療材料、食事療養、入院・看護、在宅療養・看護、訪問看護がある。
  • 正常な妊娠や分娩に要する費用、健康の維持・増進を目的とした健康診断や予防接種に要する費用、介護保険制度に係る費用は含まない。

 

▶109回G問題2

公的医療保険の給付対象となるのはどれか。

 

  1. 正常分娩
  2. 入院中の食事
  3. 職場の健康診断
  4. 地域住民への健康教育
  5. インフルエンザの予防接種

 

 


 

▶110回C問題15

公的医療保険の給付対象となるのはどれか。

 

  1. 禁煙治療
  2. 正常分娩
  3. 人間ドック
  4. 介護予防サービス
  5. 日本脳炎の予防接種

 

 

国民皆保険

わが国はすべての国民が以下の医療保険に加入することとされている(国民皆保険)。

 

  • 被用者保険(会社員や公務員など事業者に使用される75歳未満の加入者とその扶養家族)
  • 後期高齢者医療制度(原則75歳以上の者)
  • 国民健康保険(上記に該当しない者)

 

▶117回B問題21

我が国の医療保険制度について正しいのはどれか。

 

  1. 国民皆保険制度である。
  2. 予防接種は対象である。
  3. 保険医は保険者が指定する。
  4. 65歳以上は後期高齢者医療制度に加入する。
  5. 雇用主は被用者保険の保険料を全額負担する。

 

 


 

▶110回E問題33

被保険者とその医療保険制度の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 30歳 民間企業従業員――共済組合
  2. 40歳 自営業――国民健康保険
  3. 50歳 公務員――協会けんぽ
  4. 60歳 大学教員――組合管掌健康保険
  5. 70歳 年金受給者――後期高齢者医療制度

 

 

自己負担

医療費の一部負担金割合は、後期高齢者医療制度が原則1割(一定以上の所得者2割、現役並み所得者3割)、被用者保険や国民健康保険が原則3割(未就学児や現役並み所得のない70歳以上の者は2割)となっている。

 

▶112回E問題16改題

一定以上の所得または現役並み所得のない75歳以上の者の医療費の一部負担(自己負担)割合はどれか。

 

  1. なし
  2. 1割
  3. 2割
  4. 3割
  5. 5割

 

 


 

▶113回C問題4

後期高齢者医療制度における自己負担割合を決定するために必要な情報はどれか。

 

  1. 資産
  2. 居住地
  3. 要介護度
  4. 家族構成
  5. 前年の所得

 

 

後期高齢者医療の財源

後期高齢者医療制度の医療給付の財源は、後期高齢者の保険料負担が1割、現役世代からの支援金が4割、公費負担が5割となっている。

 

▶118回F問題27

後期高齢者医療費の財源負担は、患者負担を除き、現役世代の支援金が約①割、公費負担が約②割、保険料が約③割である。
①②③の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. ①2 ②5 ③3
  2. ①4 ②3 ③3
  3. ①4 ②5 ③1
  4. ①5 ②2 ③3
  5. ①5 ②4 ③1

 

 

高額療養費制度

  • 医療保険には、療養に要する費用が著しく高額になった場合、月ごとの自己負担限度額を超える部分を償還払いする高額療養費制度が用意されている。
  • 自己負担限度額は被保険者の年齢、所得(標準報酬月額)に応じて設定される。

 

▶113回F問題3

公的医療保険について正しいのはどれか。

 

  1. 保険料率は全国一律である。
  2. 医療給付は現金給付で行われる。
  3. 財源の8割以上は保険料である。
  4. 75歳以上はすべて1割負担である。
  5. 医療費が高額の場合には助成制度がある。

 

 


 

▶116回C問題9

高額療養費制度において、患者の年齢に加えて月の自己負担限度額を規定する条件はどれか。

 

  1. 疾患の種類
  2. 治療の種類
  3. 疾患の罹病期間
  4. 受診医療機関の規模
  5. 患者世帯の標準報酬月額

 

 

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

テーマ別

統計問題法律問題医療制度問題

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

 

国民衛生の動向」は、医療や公衆衛生、福祉など厚生行政の全体像を1冊に集約し、法律制度の概要、歴史、改正内容などを網羅しています。

 

医師国家試験では、専門的な医学総論・各論だけでなく、保健、福祉、衛生、社会保障など、幅広い法律・制度の知識が問われています。

 

このページでは、過去の第118回(2024年)から第107回(2013年)までの12年分の医師国家試験の中から、法律ごとに「国民衛生の動向」の記述を基に要点を簡潔にまとめ、理解と実践を図れるように構成しています。

 

出題傾向を把握し、より詳細な制度内容や関連規定、歴史的背景や改正点などを「国民衛生の動向」内で確認し、法律に対する理解を深めていただければ幸いです。

 

※医療法等の医療提供体制に係る法律は「医療制度問題まとめ」をご確認ください。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

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▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

テーマ別

統計問題法律問題医療制度問題

 

法律別問題目次

第1編:社会保障の動向と衛生行政の体系

  • 地域保健法

第3編:保健と医療の動向

  • 健康増進法
  • 高齢者の医療の確保に関する法律
  • 母子保健法
  • 母体保護法
  • 臓器の移植に関する法律
  • 感染症法
  • 予防接種法
  • 検疫法

第5編:保健医療を取り巻く社会保障

  • 介護保険法
  • 生活保護法
  • 児童福祉法
  • 次世代育成支援対策推進法
  • 労働基準法
  • 育児・介護休業法
  • 高齢者虐待防止法

第6~10編:薬事・生活環境・労働衛生・学校保健

  • 麻薬及び向精神薬取締法
  • 水道法
  • 建築物衛生法
  • 労働安全衛生法
  • 労働者災害補償保険法
  • 環境基本法
  • 廃棄物処理法
  • 学校保健安全法
  • 学校教育法

 

 

地域保健法

第1編2章 2.衛生行政の組織 p22~24

保健所

保健所は地域における公衆衛生の向上と増進を図るために、都道府県等が設置するもので、保健所長は原則として医師であって要件に該当する者を当てる。保健所では、以下の事項についての指導・業務を行う。

 

  • 地域保健に関する思想の普及と向上
  • 人口動態統計その他地域保健に係る統計
  • 栄養の改善と食品衛生
  • 住宅、水道、下水道、廃棄物の処理、清掃その他の環境衛生
  • 医事と薬事
  • 保健師
  • 公共医療事業の向上と増進
  • 母性、乳幼児、老人の保健
  • 歯科保健
  • 精神保健
  • 治療方法が確立していない疾病その他の特殊の疾病(難病等)により長期に療養を必要とする者の保健
  • エイズ、結核、性病、伝染病その他の疾病の予防
  • 衛生上の試験と検査
  • その他地域住民の健康の保持と増進

 

このほか、医療法に基づく病院への立ち入り検査、感染症法に基づく医師からの感染症患者届出、食品衛生法に基づく医師からの食中毒患者届出などの業務がある。

 

▶108回E問題39

保健所の役割はどれか。3つ選べ。

 

  1. 環境衛生に関する業務
  2. 食品衛生に関する業務
  3. 人口動態統計に関する業務
  4. 社会福祉士に関する認定業務
  5. 母子健康手帳に関する交付業務

 

 


 

▶112回F問題25・107回G問題30類問

保健所の業務として誤っているのはどれか。

 

  1. 難病に関する相談を受ける。
  2. 食中毒患者の届出を受ける。
  3. 医療保険に関する事務を行う。
  4. 保健師による家庭訪問活動を行う。
  5. 人口動態統計に関する事務を行う。

 

 


 

▶114回C問題33

保健所の役割はどれか。3つ選べ。

 

  1. 3歳児健康診査
  2. 医療法に基づく立入検査
  3. 国勢調査の調査票の審査
  4. 地域における健康危機管理
  5. 人口動態統計の調査票の審査

 

 


 

▶111回B問題30

保健所の業務はどれか。

 

  1. 生活保護の認定
  2. 食品に関する営業者の監視
  3. 予防接種後の健康被害救済
  4. 地域包括支援センターの設置
  5. 休日夜間急患センターの設置

 

 


 

▶110回B問題21

保健所について正しいのはどれか。

 

  1. 介護認定の審査を行う。
  2. 保険医の登録先である。
  3. 労働災害の届出先である。
  4. 特定健康診査の実施主体である。
  5. 地域における健康危機管理の拠点である。

 

 


 

▶115回C問題27

保健所の業務で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 医療機関に立入検査を行う。
  2. 選任している産業医の変更の届出を受ける。
  3. 検疫感染症が流行している地域からの船舶を隔離する。
  4. 業務中に結核に感染した労働者の労働災害を認定する。
  5. カルバペネム耐性腸内細菌科細菌感染症の届出を受ける。

 

 

市町村保健センター

市町村保健センターは地域保健法に基づき、健康相談・保健指導・健康診査など地域保健に関し必要な事業を行うため、市町村が設置することができる。

 

▶110回G問題32

市町村保健センターについて正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 住民の健康相談を行う。
  2. 設置根拠は地域保健法である。
  3. 医療法に基づく医療計画を策定する。
  4. センター長は医師でなければならない。
  5. 各市町村に設置することが義務付けられている。

 

 


 

▶111回G問題7

市町村保健センターの業務はどれか。

 

  1. 夜間・休日の診療
  2. 乳幼児の健康診査
  3. 要支援、要介護の認定
  4. 食中毒発生時の原因調査
  5. 病院運営についての助言

 

 


 

▶112回C問題10

市町村保健センターの業務はどれか。

 

  1. 医療計画の策定
  2. 健康教室の開催
  3. 人口動態統計の作成
  4. 食中毒発生時の原因調査
  5. 医療安全管理に関する指導

 

 


 

▶108回G問題2

保健所と市町村保健センターとの比較で、保健所に限られるのはどれか。

 

  1. 保健師の勤務
  2. 地域保健の推進
  3. 医療監視の実施
  4. 健康日本21の推進
  5. 対人サービスの提供

 

 

地方衛生研究所

  • 地方衛生研究所は、公衆衛生の向上と増進を図るため、都道府県または指定都市における科学的・技術的中核として、①調査研究、②試験検査、③研修指導、④公衆衛生情報などの収集・解析・提供の4本柱の業務を行う。
  • 従来、地方衛生研究所設置要綱等に基づいて設置されていたが、令和4年の地域保健法改正により地方衛生研究所等の体制整備が法定化された。

 

▶116回C問題25

地方衛生研究所の業務でないのはどれか。

 

  1. 人口動態統計に係る統計
  2. 疾病予防に関する調査研究
  3. 地域保健関係者の研修指導
  4. 衛生微生物に関する試験検査
  5. 公衆衛生情報の収集・解析・提供

 

 


 

▶110回E問題23改題

地域保健について正しいのはどれか。

 

  1. 婦人相談所は家庭内暴力を契機に設置された。
  2. 保健所には原則として医師を置かなければならない。
  3. 地方衛生研究所は法律に明記されていない。
  4. 市町村保健センターは伝染病の予防のために設置されている。
  5. 町村は地域保健対策を円滑に実施するための人材の確保又は資質の向上の支援に関する計画を定める。

 

 

 

健康増進法

第3編1章 2.1〕(5)健康増進法 p86~87

主な規定

健康増進法は以下の事項などを規定している。

 

  • 基本方針(健康日本21等)
  • 国民健康・栄養調査、食事摂取基準
  • 保健指導等
  • 特定給食施設
  • 受動喫煙防止

 

▶114回F問題16

受動喫煙の防止を規定している法律はどれか。

 

  1. 健康増進法
  2. 地域保健法
  3. 母子保健法
  4. たばこ事業法
  5. 医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律〈医薬品医療機器等法〉

 

 


 

▶109回B問題30

健康増進法に規定されているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 健康診査の実施
  2. 母子健康手帳の交付
  3. 市町村保健センターの設置
  4. 国民健康・栄養調査の実施
  5. 認知症の予防に関する調査研究

 

 


 

▶118回C問題11

健康増進法で規定されていないのはどれか。

 

  1. 健康日本21
  2. 受動喫煙防止
  3. 食事摂取基準
  4. 定期予防接種
  5. 国民健康・栄養調査

 

 

市町村による健康増進事業

健康増進法に基づき、市町村は健康増進事業として歯周疾患検診、骨粗鬆症検診、肝炎ウイルス検診、がん検診などの実施に努めることとされる。

 

▶115回F問題8

がん検診を規定している法律はどれか。

 

  1. 健康増進法
  2. 健康保険法
  3. がん対策基本法
  4. がん登録推進法
  5. 高齢者医療確保法

 

 

 

高齢者の医療の確保に関する法律

第3編1章 1.3〕(1)特定健康診査・特定保健指導 p83

特定健康診査・特定保健指導

  • 高齢者の医療の確保に関する法律に基づき、市町村を含む医療保険者には、40~74歳の被保険者・被扶養者に対する特定健康診査・特定保健指導が義務づけられている。
  • 特定健康診査の結果から生活習慣病のリスクの高さ順にグループ分けして、生活習慣病の改善が特に必要な対象者への特定保健指導を実施する方式(リスクストラテジー)をとっている。

 

▶109回F問題2・118回F問題30類問

特定保健指導について正しいのはどれか。

 

  1. 実施主体は国である。
  2. 健康増進法に規定されている。
  3. 20歳から64歳までの被保険者が対象である。
  4. ポピュレーションストラテジーが根底にある。
  5. リスクの高い生活習慣を有する者が対象である。

 

 

特定健康診査の基本的な実施項目

特定健康診査で実施する基本的な項目は以下のとおりである。

 

  • 質問票(服薬・喫煙歴等)
  • 身体計測(身長・体重・BMI・腹囲)
  • 血圧測定
  • 理学的検査(身体検査)
  • 検尿(尿糖、尿蛋白)
  • 血液検査(脂質検査・血糖検査・肝機能検査)

 

このうち、腹囲とBMIによって生活習慣病のリスクを判定し、腹囲が男≧85cm・女≧90cmの場合、または腹囲はそれ未満であるがBMI25以上である場合、特定保健指導における支援の対象となる。

 

▶110回B問題32

特定健康診査で必須の項目はどれか。2つ選べ。

 

  1. 心電図
  2. γ-GTP
  3. 血圧測定
  4. 眼底検査
  5. 尿素呼気試験

 

 


 

▶116回C問題58

40歳の女性。特定健康診査を受けた。既往歴に特記すべきことはない。喫煙歴はない。飲酒は日本酒5合/日である。身長148cm、体重65kg。BMI29.6。腹囲92cm。体温36.4℃。脈拍72/分、整。血圧128/68mmHg。血液所見(空腹時):赤血球352万、Hb9.8g/dL、Ht32%、白血球9,200。血液生化学所見:総蛋白6.4g/dL、アルブミン2.8g/dL、AST76U/L、ALT58U/L、LD338U/L(基準120〜245)、尿素窒素25mg/dL、クレアチニン0.8mg/dL、血糖102mg/dL、HbA1c5.8%(基準4.6〜6.2)、総コレステロール220mg/dL、HDLコレステロール42mg/dL、トリグリセリド140mg/dL。Na135mEq/L、K4.2mEq/L、Cl93mEq/L。
この患者で特定保健指導による支援が必要とされる基準に該当するのはどれか。2つ選べ。

 

  1. BMI29.6
  2. 腹囲92cm
  3. Hb9.8g/dL
  4. AST76U/L
  5. 日本酒5合/日

 

 

 

母子保健法

第3編2章 1.1〕母子保健法に基づく施策 p96~99

主な規定

母子保健法では以下の事項などを規定しており、多くは市町村が実施主体となっている。

 

  • 乳幼児・妊産婦の保健指導・訪問指導
  • 1歳6か月児・3歳児に対する健康診査など、乳幼児・妊産婦の健康診査
  • 市町村への妊娠の届出と、届出をした者への母子健康手帳の交付
  • 低体重児(2500g未満の乳児)を出生した際の届け出
  • 未熟児に対する養育医療の給付
  • 母子健康包括支援センター(子育て世代包括支援センター)の設置

 

▶112回F問題41

母子保健法に基づいて行われるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 妊産婦健康診査
  2. 未熟児養育医療
  3. 乳幼児期の定期予防接種
  4. 小児慢性特定疾患治療研究事業
  5. 児童相談所の設置

 

 


 

▶111回G問題33

母子保健法に規定されている児の健康診査の時期で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 1か月
  2. 4か月
  3. 1歳
  4. 1歳6か月
  5. 3歳

 

 


 

▶107回G問題5

母子保健法による母子保健事業として行われていないのはどれか。

 

  1. 母子健康手帳の交付
  2. 乳児医療の公費による助成
  3. 未熟児の訪問指導
  4. 1歳6か月児健康診査
  5. 3歳児健康診査

 

 


 

▶109回E問題3

我が国の母子保健制度について正しいのはどれか。

 

  1. 母子健康手帳は妊娠の届出の際に交付される。
  2. 乳幼児の健康診査の根拠法は健康増進法である。
  3. 母子保健法で定める事業の主体は都道府県である。
  4. 妊産婦の健康診査の実施時期は法律で定められている。
  5. 社会保険事務所は未熟児に対する養育医療の給付を行う。

 

 


 

▶107回B問題8

母子保健について正しいのはどれか。

 

  1. 母子健康手帳は都道府県が交付する。
  2. 妊婦健康診査は保険診療の対象である。
  3. 産後休業は母子保健法で規定されている。
  4. 母性健康管理指導事項連絡カードは医師が発行する。
  5. 低体重児の届出の対象となるのは出生体重2,000g未満である。

 

 

 

母体保護法

第3編2章 1.8〕(4)家族計画 p103

人工妊娠中絶

  • 母体保護法は、母性の生命健康を保護することを目的に、不妊手術、人工妊娠中絶、受胎調節の実地指導を規定している。
  • 人工妊娠中絶は都道府県単位の医師会が指定した医師(指定医師)が本人及び配偶者の同意を得て行うことができる。

 

▶115回C問題11

母体保護法指定医の資格が必要な医療行為はどれか。

 

  1. 人工授精
  2. 体外受精
  3. 不妊手術
  4. 出生前診断
  5. 人工妊娠中絶

 

 

 

臓器の移植に関する法律〈臓器移植法〉

第3編4章 6.臓器移植・組織移植 p161~162

概要

  • 現在、臓器提供意思を示すには、健康保険証、運転免許証、マイナンバーカードに記入するか、インターネットによる臓器提供意思登録サイトで登録する方法がとられる。
  • 平成22年の改正臓器移植法施行により、本人の意思が不明な場合(拒否の意思がない場合)でも、家族(遺族)の書面による承諾により脳死判定および臓器摘出が可能となった。

 

▶107回E問題25

平成22年改正後の臓器の移植に関する法律で、脳死時の臓器提供の意思が法律的に有効でないのはどれか。

 

  1. 運転免許証に記載しておく。
  2. 医療保険の被保険者証に記載しておく。
  3. 書面にせずにかかりつけ医に話しておく。
  4. 日本臓器移植ネットワークに登録しておく。
  5. 本人の意思が不明な場合に臓器提供の承諾書を家族から得る。

 

 


 

▶117回E問題28

40歳の女性。シュノーケリング中にうつ伏せで浮かんでいるところを発見され、救急車で搬入された。救急隊が到着した際には心肺停止状態であり、適切な処置により心拍は再開したが、入院4日目の頭部単純CTで皮髄境界消失と尿崩症を認めたため、入院6日目と7日目に法的脳死判定を実施して脳死と判定された。事故の前に臓器提供に関する本人の口頭による拒否の意思表示はなかった。
この患者で臓器提供ができる根拠に該当しないのはどれか。

 

  1. 個人番号カードの意思表示
  2. 運転免許証の意思表示
  3. 健康保険証の意思表示
  4. 医師の承諾
  5. 家族の承諾

 

 

 

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉

第3編3章 1.感染症対策 p123~127

1~4類感染症

感染症法上の1~4類感染症を診断した医師は、直ちに最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない全数把握対象疾患である。

 

【1~4類感染症の一例】

  • 1類感染症:エボラ出血熱、痘そう、ペスト
  • 2類感染症:急性灰白髄炎、ジフテリア、結核、重症急性呼吸器症候群〈SARS〉、鳥インフルエンザ(H5N1、H7N9)
  • 3類感染症:コレラ、腸管出血性大腸菌感染症
  • 4類感染症:A型肝炎、E型肝炎、マラリア、日本脳炎

 

▶109回B問題7

我が国の感染症対策において発生数の全数把握を行っているのはどれか。

 

  1. 結核
  2. 手足口病
  3. 突発性発疹
  4. インフルエンザ
  5. ヘルパンギーナ

 

 

5類感染症

5類感染症は、全数把握対象疾患と定点把握対象疾患に分類される。

 

【全数把握対象疾患(直ちに報告)】

侵襲性髄膜炎菌感染症、風疹、麻疹

 

【全数把握対象疾患(7日以内に報告)】

ウイルス性肝炎(E型・A型除く)、後天性免疫不全症候群〈AIDS〉、梅毒、破傷風、百日咳 等

 

【定点把握対象疾患】

水痘、伝染性紅斑、突発性発疹、流行性耳下腺炎、性器クラミジア感染症、流行性角結膜炎 等

 

▶109回G問題30改題

診断したら直ちに保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならないのはどれか。3つ選べ。

 

  1. 結核
  2. 麻疹
  3. コレラ
  4. アメーバ赤痢
  5. クリプトスポリジウム症

 

 


 

▶111回D問題10

感染症法に基づき、すべての医師がすべての患者の発生について届出を行うのはどれか。

 

  1. 水痘
  2. 梅毒
  3. 突発性発疹
  4. 伝染性紅斑
  5. 性器ヘルペス

 

 


 

▶115回C問題13

Choose the disease that is under sentinel surveillance in Japan, and does not require reports from all medical institutions.

 

  1. Measles
  2. Mumps
  3. Pertussis
  4. Rubella
  5. Syphilis

 

 

入院勧告

感染症患者が感染症法に基づいて入院する場合、十分な説明と同意に基づいた入院を期待する入院勧告制度がとられ、以下の感染症指定医療機関での医療費が公費負担される。

 

  • 特定感染症指定医療機関(新感染症患者対象)
  • 第1種感染症指定医療機関(1類感染症患者対象)
  • 第2種感染症指定医療機関(2類感染症患者対象)

 

新感染症の入院医療費は全額公費負担され、1類感染症と2類感染症、新型インフルエンザ等感染症は医療保険適用残額が公費負担となっている。

 

▶113回F問題19

感染症法に基づく入院勧告の対象となるのはどれか。

 

  1. 麻疹
  2. 破傷風
  3. B型肝炎
  4. 鳥インフルエンザ(H5N1)
  5. 後天性免疫不全症候群〈AIDS〉

 

 


 

▶107回B問題4

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉に基づく入院勧告の対象でないのはどれか。

 

  1. エボラ出血熱
  2. 結核
  3. コレラ
  4. ジフテリア
  5. 鳥インフルエンザ(H5N1)

 

 


 

▶115回C問題6改題

医療費が全額公費負担となるのはどれか。

 

  1. 結核の一般医療
  2. 新感染症による入院
  3. 精神障害者の措置入院
  4. 小児慢性特定疾病の外来治療
  5. 予防接種による健康被害の救済措置

 

 

 

予防接種法

第3編3章 4.予防接種 p142~148

定期の予防接種

  • 予防接種法に基づく定期の予防接種は、主に集団予防を目的とするA類疾病(接種の努力義務あり)と、個人予防を目的とするB類疾病(努力義務なし)に類型化される。B類疾病は、高齢者の肺炎球菌感染症とインフルエンザが対象である。
  • 実施主体は市町村(特別区含む)で、その費用については公費負担が行われる。

 

▶114回C問題27

主に個人予防を目的としたB類疾病に含まれる定期予防接種の対象疾病はどれか。2つ選べ。

 

  1. 風疹
  2. 麻疹
  3. 百日咳
  4. インフルエンザ
  5. 高齢者の肺炎球菌感染症

 

 


 

▶113回F問題26

定期接種として65歳時に接種が推奨されているワクチンはどれか。

 

  1. 麻疹ワクチン
  2. 肺炎球菌ワクチン
  3. 髄膜炎菌ワクチン
  4. B型肝炎ワクチン
  5. インフルエンザ桿菌ワクチン

 

 


 

▶116回C問題29

予防接種法に規定されている定期接種について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 1類疾病と2類疾病がある。
  2. 実施主体は都道府県である。
  3. 接種費用が公費で負担される。
  4. 医師は副反応を疑う症状を知った時に報告する義務がある。
  5. すべての対象疾病について、接種対象者には接種の努力義務がある。

 

 

定期予防接種の対象

生ワクチン

BCG(結核)、麻疹・風疹混合(MR)、麻疹、風疹、水痘、ロタウイルス

 

不活化ワクチン・トキソイド

ポリオ(急性灰白髄炎)、ジフテリア・破傷風混合トキソイド、百日せき・ジフテリア・破傷風混合、百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ混合、日本脳炎、インフルエンザ、B型肝炎、肺炎球菌、インフルエンザ菌b型(Hib)、ヒトパピローマウイルス(HPV)

 

▶115回F問題11

予防接種法で任意の予防接種に含まれるのはどれか。

 

  1. MRワクチン
  2. 水痘ワクチン
  3. 日本脳炎ワクチン
  4. おたふくかぜワクチン
  5. ヒトパピローマウイルス〈HPV〉ワクチン

 

 


 

▶107回E問題30

我が国において予防に生ワクチンが使われているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 結核
  2. 風疹
  3. 日本脳炎
  4. 細菌性髄膜炎
  5. 肺炎球菌性肺炎

 

 

 

検疫法

第3編3章 2.検疫 p127~128

概要

  • 検疫は、国内に常在しない新興・再興感染症が船舶や航空機を介して国内に侵入することを防ぐために実施されるもので、国内法としては検疫法に基づいて行われる。
  • 検疫の対象となる検疫感染症として、感染症法上の1類感染症と、2類感染症のうち「鳥インフルエンザ(H5N1、H7N9)」「中東呼吸器症候群〈MERS〉」、4類感染症のうち「デング熱」「チタングニア熱」「マラリア」「ジカウイルス感染症」、新型インフルエンザ等感染症が指定されている。

 

▶116回C問題54

26歳の男性。ある国から日本国内の空港に帰国した。日本国籍を有している。到着時、発熱と下痢を伴っており、出発国の状況から一類感染症の可能性が考えられた。
この患者に関わる対応で検疫法に基づいて検疫所長が行うことができるとされている措置として誤っているのはどれか。

 

  1. 本人の隔離
  2. 航空機の消毒
  3. 出発国への送還
  4. 出発国での行動歴の聴取
  5. 可能性のある病原体の検査

 

 


 

▶115回C問題15

感染症について正しいのはどれか。

 

  1. 結核は検疫感染症である。
  2. コレラの治療医療費は全額公費負担となる。
  3. 髄膜炎菌感染症は定期予防接種の対象である。
  4. マラリアは感染症法に基づく入院勧告の対象となる。
  5. 新型インフルエンザは、診断後直ちに都道府県知事に届け出る。

 

 

 

介護保険法

第5編1章 介護保険 p220~233

被保険者

介護保険の被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と、40~64歳の医療保険加入者である第2号被保険者である。満40歳に達したときから介護保険料の徴収が開始する。

 

▶117回B問題14

介護保険の強制加入の開始年齢はどれか。

 

  1. 20歳
  2. 40歳
  3. 60歳
  4. 65歳
  5. 75歳

 

 

要介護認定の申請

介護保険の被保険者は、介護が必要になった場合、市町村に申請して要介護認定を受ける必要がある。

 

▶112回B問題18

介護保険の要介護認定の申請先はどれか。

 

  1. 保健所
  2. 市区町村
  3. 地域医療拠点病院
  4. 在宅療養支援診療所
  5. 社会福祉事務所

 

 

認定調査

  • 要介護認定の申請を受けた市町村は心身の状況などの訪問等による調査を行うとともに、主治医意見書によりコンピュータでの一次判定を行う。一次判定では、「直接生活介助」「間接生活介助」「BPSD関連行為」「機能訓練関連行為」「医療関連行為」の5項目について、要介護認定等基準時間を算出する。
  • 一次判定の結果等に基づき、市町村に設置された介護認定審査会が、要介護状態の区分(要支援1・2、要介護1~5の7区分)の審査・判定等を行う。

 

▶112回C問題23・118回C問題31類問

介護保険における要介護認定に必要なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 訪問調査
  2. 主治医意見書
  3. 保健所長の許可
  4. 年金手帳
  5. ケアプランの作成

 

 


 

▶117回C問題22

介護保険の要介護認定の一次判定で調査する項目でないのはどれか。

 

  1. 家族構成
  2. 生活機能
  3. 認知機能
  4. 社会的行動
  5. 基本動作機能

 

 

介護給付・予防給付

介護保険からの保険給付には、要介護状態に該当する者に対する介護給付(居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービス)と、要支援状態に該当する者に対する予防給付(介護予防サービス)がある。

 

▶118回E問題40

74歳の女性。①高血圧症で通院治療を受けている。1年前から変形性膝関節症と診断され、杖をついて屋外歩行をしている。②一人暮らしで、③年金生活をしている。食事摂取、着替え、排泄および入浴は自立している。④認知機能に問題はない。膝の痛みのため掃除と洗濯ができない。要介護認定は⑤要支援1である。介護予防ケアプランに基づいて予防給付(介護予防サービス)を受けている。
予防給付(介護予防サービス)を受ける根拠はどれか。

 

 

 

介護保険料と利用者の自己負担

  • 介護保険料は、市町村ごとに介護サービス量や所得などに応じた定額保険料が設定される。
  • 要介護認定を受けた被保険者は介護保険からの給付を受けられ、費用の原則1割(所得に応じて2割または3割)を負担して介護サービスを利用することができる。

 

▶117回C問題13

介護保険について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 自己負担率は5割である。
  2. 福祉事務所が認定を行う。
  3. 介護予防サービスが含まれる。
  4. 保険料は市町村によって異なる。
  5. 高齢者医療確保法で規定されている。

 

 


 

▶114回F問題21

介護保険について正しいのはどれか。

 

  1. 保険者は都道府県である。
  2. 被保険者は65歳以上に限定される。
  3. 介護給付費は国民医療費に含まれる。
  4. 転倒防止のための住宅改修に利用できる。
  5. 自己負担割合は所得にかかわらず1割である。

 

 


 

▶111回B問題27

介護保険について正しいのはどれか。

 

  1. 被保険者は65歳以上である。
  2. 介護保険料は全国一律である。
  3. 主治医意見書には要介護度を記入する。
  4. 認知機能の障害は介護保険の対象となる。
  5. 地域包括支援センターは二次医療圏ごとに設置される。

 

 

介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護支援専門員は、要介護者等を支援する上で解決すべき課題を把握し、課題を解決するための居宅・施設の介護サービス計画を作成する。

 

▶116回F問題1

介護保険を利用した通所リハビリテーションをすすめられた際に、患者が支援を依頼すべき職種で最も適切なのはどれか。

 

  1. ケアマネジャー
  2. 歯科衛生士
  3. 訪問看護師
  4. ホームヘルパー
  5. 理学療法士

 

 

介護老人保健施設

介護保険制度の施設サービスの一つである介護老人保健施設は、症状が安定期にある要介護者について、居宅での生活を営むことができるようにするため、心身の機能の維持回復を図る(リハビリテーションを提供する)ものである。

 

▶109回B問題3

リハビリテーションに重点が置かれているのはどれか。

 

  1. グループホーム
  2. 有料老人ホーム
  3. 介護老人保健施設
  4. 介護老人福祉施設
  5. 軽費老人ホーム〈ケアハウス〉

 

 


 

▶116回C問題34

理学療法士や作業療法士によるリハビリテーションを受けられる介護保険施設または介護サービスはどれか。2つ選べ。

 

  1. 介護老人保健施設
  2. 介護老人福祉施設
  3. 通所介護(デイサービス)
  4. 小規模多機能型居宅介護サービス
  5. 通所リハビリテーション(デイケア)

 

 

介護老人福祉施設

介護保険制度の施設サービスの一つである介護老人福祉施設では、原則要介護3以上の要介護者に対し、日常生活上の世話、機能訓練、健康管理および療養上の世話を行う。

 

▶108回F問題1

医療法に定められていない施設はどれか。

 

  1. 病院
  2. 助産所
  3. 診療所
  4. 歯科診療所
  5. 介護老人福祉施設

 

 

地域包括支援センター

介護保険法に規定される地域包括支援センターは、住民の健康の保持と生活の安定のために必要な援助を行う機関で、市町村が設置し、保健師、社会福祉士、主任介護専門員(ケアマネジャー)を配置する。

 

▶112回F問題3

医療法に規定されていないのはどれか。

 

  1. 特定機能病院
  2. 地域医療支援病院
  3. 臨床研究中核病院
  4. 地域包括支援センター
  5. 医療安全支援センター

 

 


 

▶113回F問題43

地域包括支援センターに配置が義務付けられているのはどれか。3つ選べ。

 

  1. 医師
  2. 保健師
  3. 社会福祉士
  4. 主任ケアマネジャー
  5. 医療ソーシャルワーカー

 

 

地域包括支援センターの業務

地域包括支援センターが行う地域支援事業として以下の4事業等がある。

 

  • 介護予防ケアマネジメント(第1号介護予防支援事業)
  • 総合相談支援業務(住民の各種相談を幅広く受け付けて、制度横断的な支援を実施)
  • 権利擁護業務(虐待の防止、早期発見
  • 包括的・継続的ケアマネジメント支援業務(介護支援専門員への助言、ネットワーク作り)

 

▶113回F問題5

高齢者虐待防止ネットワークの構築に中心的役割を果たす機関はどれか。

 

  1. 保健所
  2. 地域医療支援病院
  3. 市町村保健センター
  4. 地域包括支援センター
  5. 医療安全支援センター

 

 


 

▶111回E問題3

地域包括支援センターについて正しいのはどれか。

 

  1. 設置主体は都道府県である。
  2. 地域保健法に定められている。
  3. 医師の配置が義務付けられている。
  4. 高齢者に対する虐待への対応を行う。
  5. 活動対象は要介護区分3以上の者である。

 

 

地域包括ケアシステム

  • 地域包括ケアシステムは、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援のため、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される体制を構築するものである。
  • サービス提供の単位として、概ね30分以内に必要なサービスが提供される日常生活圏域を想定している。

 

▶112回F問題17

地域包括ケアシステムについて誤っているのはどれか。

 

  1. 自立生活の支援を目指す。
  2. 高齢者の尊厳の保持を目指す。
  3. 住み慣れた地域での暮らしを支える。
  4. 二次医療圏単位でサービスを提供する。
  5. 医療・介護・予防・生活支援・住まいが一体的に提供される。

 

 


 

▶117回C問題2

地域包括ケアについて誤っているのはどれか。

 

  1. 二次医療圏単位で構築される。
  2. 生活支援サービスを中核とした包括的ケアである。
  3. 介護保険事業計画の策定によりシステムとして構築する。
  4. 高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援を目的としている。
  5. 地域ケア会議で個別課題の支援を通じた地域の課題把握を行う。

 

 

 

生活保護法

第5編2章 2.生活保護 p235

目的

生活保護制度は、憲法第25条(生存権)の保障する「健康で文化的な最低限度の生活」を維持できない、生活に困窮する国民に対し、国が必要な保護を行い、最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする制度である。

 

▶110回F問題12

生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務に関する日本国憲法第25条に規定されているのはどれか。

 

  1. 「すべて国民は、個人として尊重される」
  2. 「何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない」
  3. 「すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ」
  4. 「国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない」
  5. 「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」

 

 

生活保護実施主体・扶助の種類

  • 生活保護の申請受付や決定、実施は福祉事務所が行う。
  • 要保護者の生活需要の性質等に応じて、①生活、②教育、③住宅、④医療、⑤介護、⑥出産、⑦生業、⑧葬祭の8扶助が設けられている。基本的に金銭給付であるが、④医療、⑤介護は現物給付をとる。

 

▶118回F問題14

生活保護で現物給付されるのはどれか。

 

  1. 医療扶助
  2. 教育扶助
  3. 住宅扶助
  4. 生活扶助
  5. 葬祭扶助

 

 


 

▶116回C問題30

生活保護法について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 給付の申請は保健所で行う。
  2. 分娩は扶助の対象外である。
  3. 生存権の理念に基づき制定されている。
  4. 介護扶助は原則として金銭給付によって行う。
  5. 医療扶助では原則として後発医薬品を使用する。

 

 

 

児童福祉法

第5編2章 3.児童家庭福祉 p235~239

児童相談所

児童相談所は各都道府県・指定都市に設置が義務づけられており、子どもに関する以下のような各種相談に応じて専門的な角度から調査・診断・判定を行う。

 

  • 養護相談:虐待、養育困難、迷子、養子縁組などに関する相談
  • 保健相談:健康管理に関する相談
  • 障害相談:視聴覚障害、知的障害、発達障害などの障害に関する相談
  • 非行相談:ぐ犯行為・違法行為があった子どもに関する相談
  • 育成相談:性格行動、不登校、しつけなど育成上の問題に関する相談

 

▶107回F問題2

児童相談所の業務の対象でないのはどれか。

 

  1. 虐待
  2. 非行
  3. 不登校
  4. 生活保護
  5. 心身障害

 

 

児童虐待への対応

児童相談所では、相談や虐待通告に基づき必要な指導、児童の一時保護や児童福祉施設入所といった措置を行っている。

 

▶109回B問題6

児童相談所の業務はどれか。

 

  1. 乳児健康診査の実施
  2. 就学時健康診断の通知
  3. 保護者に定期予防接種を通知
  4. 被虐待児に対し家庭からの一時保護
  5. 小児慢性特定疾患に関する医療費助成

 

 


 

▶114回F問題13

児童相談所について正しいのはどれか。

 

  1. 国の機関である。
  2. 療育の指導を行う。
  3. 乳児健康診査を実施する。
  4. 被虐待児の一時保護を行う。
  5. 所長は医師でなければならない。

 

 

通告義務

児童福祉法および児童虐待防止法では、要保護児童を発見した者は児童相談所または福祉事務所に通告しなければならない旨を定め、虐待を受けている(おそれがある)子どもを発見したすべての者に通告義務を課している。

 

▶108回G問題30・115回B問題21類問・114回B問題5類問

虐待が疑われる児を診察した際の通告先として適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 保健所
  2. 教育委員会
  3. 児童相談所
  4. 福祉事務所
  5. 地域包括支援センター

 

 

児童虐待の種類

児童虐待防止法では児童虐待について、保護者が行う、①身体的虐待、②性的虐待、③ネグレクト、④心理的虐待と定義している。

 

▶112回F問題38

児童虐待について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 児童虐待の通告は保健所に行う。
  2. 言葉の暴力は児童虐待には含まれない。
  3. 児童と保護者との通信は制限できない。
  4. 児童にわいせつな行為をさせることが含まれる。
  5. 児童虐待を受けていると思われる児童を発見した者は医師以外でも通告できる。

 

 

 

次世代育成支援対策推進法

第5編2章 3.児童家庭福祉 p235~239

概要

  • 次世代育成支援対策推進法は、次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される環境の整備のため、①国・地方公共団体には次世代育成支援対策の推進、②事業主には必要な雇用環境の整備、③国民には次世代育成支援対策への協力などの責務を規定している。
  • 従業員101人以上の事業主には行動計画を策定することが義務づけられており、計画に盛り込む内容として、育児休業や短時間勤務に関する取組、所定外労働の削減や年次有給休暇の取得に関する取組を記載することとされる。

 

▶107回E問題2

次世代育成支援対策推進法に規定されているのはどれか。

 

  1. 育児休業
  2. 学童保育
  3. 産前休業
  4. 安全衛生教育
  5. 労働災害防止計画

 

 


 

▶116回F問題20

次世代育成支援対策推進法について誤っているのはどれか。

 

  1. 児童福祉施設が規定されている。
  2. 国民は子育て支援に協力する責務を負っている。
  3. 子どもが健やかに生まれ、育成されることを目的とする。
  4. 国及び地方公共団体は子育て支援を推進する責務を負っている。
  5. 従業員数が100人を超える事業主は次世代育成行動計画を策定する。

 

 

 

労働基準法

第5編2章 3.6〕妊産婦等の就業 p238~239

妊産婦の産前産後休業

  • 労働基準法の規定により、使用者は産前6週間で休業を請求した女性、産後8週間(産後6週間経過後の女性の請求による就業は可)を経過しない女性を就業させてはならない。
  • 産前産後休業の期間およびその後30日間の解雇は禁止されている。

 

▶114回C問題51・108回B問題41類問

35歳の初妊婦(1妊0産)。妊娠33週6日。妊婦健康診査のため来院した。これまでの妊娠経過に異常を認めていなかった。脈拍96/分、整。血圧126/68mmHg。尿所見:蛋白(-)、糖(-)。子宮底長29cm、腹囲94cm。内診で子宮口は閉鎖している。胎児推定体重2,120g、羊水指数〈AFI〉18cm。胎盤は子宮底部に位置している。職業は事務職である。明日から休業を申請するという。
この妊婦の休業を規定する法律はどれか。

 

  1. 健康増進法
  2. 母子保健法
  3. 母体保護法
  4. 労働基準法
  5. 次世代育成支援対策推進法

 

 


 

▶107回G問題42

34歳の初妊婦。妊娠30週0日。妊婦健康診査のため来院した。母児に異常を認めない。本人は産前休業を希望している。
説明として正しいのはどれか。

 

  1. 「2週後からは勤務ができません」
  2. 「2週後からは産前休業できます」
  3. 「4週後からは勤務ができません」
  4. 「4週後からは産前休業できます」
  5. 「明日からでも産前休業できます」

 

 

妊産婦の就業制限

労働基準法では、妊産婦等の危険有害業務の就業禁止のほか、女性の請求による妊産婦等の軽易業務転換、時間外労働・休日労働・深夜業の制限、育児時間なども規定している。

 

▶107回E問題14

妊娠中の女性の就業が制限されていないのはどれか。

 

  1. 著しく暑熱な場所における業務
  2. 鉛を吸入するおそれのある業務
  3. 交替制勤務が常態となっている業務
  4. 20kg以上の重量物を継続的に取り扱う業務
  5. 墜落のおそれのある高さ5m以上の場所での業務

 

 

 

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律〈育児・介護休業法〉

第5編2章 3.6〕妊産婦等の就業 p238~239

育児休業

  • 育児・介護休業法に基づき、男女ともに子どもが原則1歳になるまでの育児休業を規定している。また、特別の要件に該当する場合、最長2歳までの育児休業の延長が規定されている。
  • このほか、請求による所定外労働の制限や所定労働時間の短縮(3歳まで)、看護休暇の取得や時間外労働の制限(小学校就学前まで)が規定されている。

 

▶117回C問題38

32歳の初産婦(1妊0産)。妊娠24週の妊婦健康診査のため、夫とともに来院した。妊娠初期に単胎妊娠と診断され、以降の妊婦健康診査において異常を認めなかった。人員不足のため、産前・産後に可能な限り勤務を継続して欲しいと勤務先から要請があり悩んでいるという。夫と共働きで生計を立てている。
この患者への説明として正しいのはどれか。3つ選べ。

 

  1. 「産後12週間は就業できません」
  2. 「請求すれば産前6週間の休業が可能です」
  3. 「勤務先の要請に従って働くことを勧めます」
  4. 「産後、男女ともに育児休業の取得が可能です」
  5. 「産前・産後の休業中は解雇されることはありません」

 

 


 

▶116回C問題35改題

出産、育児と就労について正しいのはどれか。3つ選べ。

 

  1. 産前休業は請求すればいつでも取得できる。
  2. 産後休業は出産日翌日から8週間取得できる。
  3. 育児休業は子供が1歳になるまで取得できる。
  4. 育児休業は子供が3歳になるまで延長できる。
  5. 育児休業は配偶者も取得することができる。

 

 


 

▶108回E問題12

出産、育児と就労について正しいのはどれか。

 

  1. 妊婦健康診査は就業に差し支えない範囲で行う。
  2. 産前休暇は任意の時期に取得できる。
  3. 育児休業制度は女性のみが対象である。
  4. 育児のために就業時間を短縮することができる。
  5. ほとんどの女性が出産後も就労を継続している。

 

 

 

高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律〈高齢者虐待防止法〉

第5編2章 5.2〕高齢者虐待防止対策 p241~242

高齢者虐待の種類

高齢者虐待防止法に基づき、虐待の種類として、①身体的虐待、②介護・世話の放棄・放任、③心理的虐待、④性的虐待、⑤経済的虐待が区分されている。

 

▶114回F問題18

高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律で規定される養護者による行為で、高齢者虐待にあてはまらないのはどれか。

 

  1. 食事の提供を拒絶する。
  2. わいせつな行為をする。
  3. 就寝時にベッド柵で囲む。
  4. 排泄物の処理を拒絶する。
  5. 本人の財産を許諾なく処分する。

 

 

 

麻薬及び向精神薬取締法

第6編3章 2.麻薬・覚醒剤等 p269~271

主な規定

  • 麻薬事故(滅失、破損、盗取、所在不明等)に係る都道府県知事への届出
  • 廃棄に係る都道府県知事への届出、職員立ち会いの下での廃棄
  • 鍵のかかる堅固な設備内での麻薬の保管
  • 麻薬施用者による麻薬の施用・交付時の記録

 

▶115回E問題3

医療機関における麻薬の管理・取扱いについて誤っているのはどれか。

 

  1. 鍵をかけた堅固な設備に保管する。
  2. 残った注射薬は研修医が1人で破棄する。
  3. 紛失した場合は都道府県知事に届け出る。
  4. 施用・交付時に診療録に必要事項を記載する。
  5. 施用・交付には麻薬施用者免許が必要である。

 

 

 

水道法

第7編1章 1.上水道 p273~276

水道水質基準

  • 水道により供給される水は、水道法に基づく水道水質基準に適合しなければならない。
  • 項目の一つである大腸菌は「検出されない」こととされる。

 

▶109回B問題8・114回F問題1類問

水道法に基づく水質基準で検出されないことと規定されているのはどれか。

 

  1. 塩素酸
  2. 大腸菌
  3. カルシウム
  4. マグネシウム
  5. 総トリハロメタン

 

 

 

建築物衛生法

第7編4章 4.建築物衛生 p297~298

建築物環境衛生管理基準

空気調和設備を設けている建築物では、①浮遊粉じん量、②CO、③CO2、④温度、⑤相対湿度、⑥気流、⑦ホルムアルデヒドの数値が規定されている。

 

▶110回B問題7

建築物における衛生的環境の確保に関する法律〈建築物衛生法〉に基づいて基準が定められ、建築物内で測定されるのはどれか。

 

  1. トルエン
  2. エチルベンゼン
  3. アセトアルデヒド
  4. ホルムアルデヒド
  5. パラジクロロベンゼン

 

 

 

労働安全衛生法

第8編 労働衛生 p299~310

労働衛生の3管理

労働安全衛生法は、すべての事業所を対象として、職場における労働者の安全と健康の確保、快適な職場環境の形成促進を目的に、以下の労働衛生の3管理を規定している。

 

  • 作業環境管理:作業環境を的確に把握し、様々な有害要因を取り除いて、良好な作業環境を確保する。
  • 作業管理:作業の内容や方法によって有害な物質やエネルギーが人に及ぼす影響が異なるため、これらの要因を適切に管理して、労働者への影響を少なくする。
  • 健康管理:健康診断とその結果に基づく事後措置、健康指導であり、労働者の健康状態を把握し、作業環境や作業との関連を検討することにより、労働者の健康障害を未然に防ぐ。

 

▶112回C問題18・107回E問題31類問

労働衛生管理のうち作業環境管理はどれか。2つ選べ。

 

  1. 労働時間の短縮
  2. 防毒マスクの着用
  3. 局所排気装置の設置
  4. 特殊健康診断の実施
  5. 気中有害物質濃度の測定

 

 


 

▶118回F問題15

作業環境管理はどれか。

 

  1. 安全な手順の教育
  2. 暑熱作業の時間制限
  3. 防塵マスク使用の徹底
  4. 血中鉛高値者の保健指導
  5. 有害物質使用工程の密閉化

 

 

特殊健康診断

特殊健康診断は労働安全衛生法に基づき、以下のような有害業務の従事者または特定物質を取り扱う従事者に対して実施する健康診断である。

 

  • 有機溶剤業務
  • 鉛業務
  • 四アルキル鉛等業務
  • 特定化学物質・製造禁止物質の製造・取扱業務
  • 高圧室内業務と潜水業務
  • 放射線業務
  • 除染等業務
  • 石綿等業務

 

▶118回F問題35

労働者の健康診断で特殊健康診断はどれか。2つ選べ。

 

  1. 給食従業員の検便
  2. 雇入れ時の健康診断
  3. 放射線業務の健康診断
  4. 有機溶剤業務の健康診断
  5. 海外派遣労働者の健康診断

 

 

長時間労働者に対する医師による面接指導

長時間にわたる過重な労働は、脳・心臓疾患、精神疾患との関連性が強いことから、その防止のため、すべての事業所に長時間労働者(月80時間超の時間外・休日労働を行い、申出のあった者等)に対する医師による面接指導が義務づけられている。

 

▶116回E問題20

労働安全衛生法に規定される健康の保持増進のための措置について誤りはどれか。

 

  1. うつ病や自殺の予防が目的に含まれる。
  2. 適用となるのは常時50人以上の事業場である。
  3. 脳血管・心臓疾患のリスク管理として重要である。
  4. 時間外労働が月80時間超の労働者は希望により面接指導が受けられる。
  5. 事業者は過重労働者に対し医師による面接指導の実施が義務づけられている。

 

 

産業医

  • 産業医は専門家として労働者の健康管理等に当たる医師であり、常時50人以上の労働者を使用する事業場において、事業者が選任しなければならない。
  • 労働安全衛生法では、産業医の職務として、労働者の健康診断、長時間労働者への面接指導、ストレスチェック、作業環境の維持管理、作業の管理、労働者の健康管理、健康教育・相談、衛生教育、健康障害の調査・再発防止措置、定期巡視(毎月1回以上)などが規定されている。

 

▶108回E問題8

産業医について正しいのはどれか。

 

  1. 処方箋の発行はできない。
  2. 労働基準法に定められている。
  3. 選任後は地域の保健所に届け出る。
  4. 週1回は職場巡視をする義務がある。
  5. 労働者50人以上の事業所では選任が義務付けられている。

 

 


 

▶111回E問題11

産業医について誤っているのはどれか。

 

  1. 事業者が選任する。
  2. 月1回の職場巡視を行う。
  3. 業務上疾病の認定を行う。
  4. 労働安全衛生法に要件が示されている。
  5. 常時50人以上の事業所では選任が義務付けられている。

 

 


 

▶110回E問題14

産業医の職務として法令に規定されていないのはどれか。

 

  1. 衛生教育
  2. 作業の管理
  3. 労働者の健康管理
  4. 作業環境の維持管理
  5. 採用を判断するための健康診断

 

 


 

▶109回E問題6

職場の一般健康診断後の保健指導における産業医の役割でないのはどれか。

 

  1. 生活習慣の改善指導
  2. 保健指導の対象者の選出
  3. 指導を実施する保健師への助言
  4. 生活習慣と検査結果の関連の評価
  5. 業績評価のための人事部への情報提供

 

 


 

▶116回F問題24

職場の自殺予防対策に関係しない職種・組織はどれか。

 

  1. 産業医
  2. 衛生管理者
  3. 産業保健師
  4. 産業保健推進センター
  5. 精神保健福祉センター

 

 

 

労働者災害補償保険法

第8編 8.労働災害補償と業務上疾病 p306~308

概要

  • 労災保険制度は、業務上の事由通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡などに対して保険給付を行うものである。請求は労働基準監督署に行い、必要な調査の上で認定される。
  • 労災保険制度の保険者は政府で、事業に要する費用は原則として事業主が負担する保険料で賄われ、医療費の自己負担はない

 

▶112回B問題37

21歳の男性。左示指の切創を主訴に来院した。飲食店のアルバイトをしている際に受傷した。
適用となる保険はどれか。

 

  1. 傷害保険
  2. 協会けんぽ
  3. 国民健康保険
  4. 組合管掌健康保険
  5. 労働者災害補償保険

 

 


 

▶109回G問題8

労働者災害補償保険法による保険給付の対象とならないのはどれか。

 

  1. 通常の業務としての夜警中に転倒し負傷した。
  2. 勤務時間内の事業場の火事で避難中に階段を踏み外し負傷した。
  3. 職場に届け出た経路で出勤する途中に交通事故にあって負傷した。
  4. 昼の休憩中に、公園で同僚が投げた野球のボールによって打撲した。
  5. 休日に上司から呼び出されて出勤し、勤務中に事故にあって負傷した。

 

 


 

▶108回B問題4

労働者災害補償保険について正しいのはどれか。

 

  1. 休業補償給付は含まれない。
  2. 通勤中の負傷は補償対象になる。
  3. 保険料は労働者が全額負担する。
  4. 医療費の自己負担割合は3割である。
  5. 業務上の疾病を認定するのは産業医である。

 

 


 

▶114回C問題2

労働災害補償保険について正しいのはどれか。

 

  1. 通勤災害は含まれない。
  2. 保険者は市町村である。
  3. 労働災害の認定は厚生労働大臣が行う。
  4. 保険料は労働者と事業者の両者で負担する。
  5. 保険療養費は被災労働者の自己負担はない。

 

 

 

環境基本法

第9編2章 1.大気汚染対策の動向 p320~324

大気汚染に係る環境基準

  • 環境基本法に基づく大気汚染に係る環境基準として、①二酸化硫黄(SO2、②一酸化炭素(CO)、③浮遊粒子状物質(SPM)、④微小粒子状物質(PM2.5、⑤二酸化窒素(NO2)、⑥光化学オキシダント、⑦ベンゼン、⑧トリクロロエチレン、⑨テトラクロロエチレン、⑩ジクロロメタンが設定されている。
  • 環境基準の達成状況をみると概ね100%に近い達成となっているが、光化学オキシダントについては、一般環境大気測定局で0.2%、自動車排出ガス測定局で0%と、極めて低い水準となっている。

 

▶113回C問題10・108回B問題8類問

大気汚染に係る環境基準の対象物質はどれか。

 

  1. カドミウム
  2. 二酸化硫黄
  3. アルキル水銀化合物
  4. ポリビニルアルコール

 

 


 

▶108回E問題38改題・107回G問題10類問

我が国において大気汚染の環境基準の達成状況が極めて低いのはどれか。

 

  1. 一酸化炭素
  2. 二酸化硫黄
  3. 二酸化窒素
  4. 光化学オキシダント
  5. 微小粒子状物質(PM2.5)

 

 

 

廃棄物処理法

第9編4章 4.特別管理廃棄物 p339

感染性廃棄物

医療機関等から生じた廃棄物のうち、感染性の病原体が含有・付着した(またはそのおそれのある)廃棄物を感染性廃棄物といい、感染性一般廃棄物(紙くず、包帯、脱脂綿等)と感染性産業廃棄物(血液、注射針、メス、レントゲン定着液等)に分類される。

 

▶117回C問題7

医療機関における産業廃棄物でないのはどれか。

 

  1. 使用済みメス
  2. 未使用注射針
  3. アルコール試薬
  4. 使用済みゴム手袋
  5. シュレッダー処理された書類

 

 

 

学校保健安全法

第10編 1.学校保健行政の動向 p341~344

主な規定

学校保健安全法では、健康診断(就学時、定期・臨時、職員)、健康相談、感染症予防、学校環境衛生などの保健管理や、事故や災害等による児童生徒等に生じる危険の防止、対処などの学校安全が規定されている。

 

▶117回C問題27

学校保健安全法に規定されていないのはどれか。

 

  1. 学校職員の健康保持
  2. 食に関する指導(食育)
  3. 児童の学校外における安全点検や対策
  4. 児童の心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉へのケア
  5. 就学中に発生した災害時の児童に対する安全対策

 

 

定期健康診断

定期健康診断は、毎学年6月30日までに実施し、学校保健安全法施行規則に定められた項目について検査する。

 

▶108回B問題5

小学校の健康診断について正しいのはどれか。

 

  1. 隔年で実施される。
  2. 聴力検査は含まれない。
  3. 胸部エックス線撮影を行う。
  4. 心エコー検査は必須項目である。
  5. 学校保健安全法に基づいて行われる。

 

 

学校において予防すべき感染症

学校保健安全法では、学校において予防すべき感染症として、感染力に応じて第一種から第三種に分類され、出席停止の期間の基準が定められている。

 

▶115回C問題3

学校保健安全法における風疹の出席停止期間の基準について正しいのはどれか。

 

  1. 発疹が消失するまで
  2. 解熱した後3日を経過するまで
  3. 発症した後5日を経過するまで
  4. すべての発疹が痂皮化するまで
  5. 病状により学校医その他の医師が感染のおそれがないと認めるまで

 

 


 

▶113回F問題40

中学校における疾患と出席停止期間の基準との組合せで正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 季節性インフルエンザ――発症した後5日かつ解熱後2日経過するまで
  2. 咽頭結膜炎――主要症状が消退した後2日を経過するまで
  3. 百日咳――特有な咳が消失後3日を経過するまで
  4. 風疹――解熱した後3日を経過するまで
  5. 水痘――すべての発しんが痂皮化した後3日を経過するまで

 

 


 

▶109回G問題7

疾患と学校保健安全法による出席停止期間の基準の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 水痘――解熱した後2日を経過するまで
  2. 風疹――解熱するまで
  3. 麻疹――解熱した後3日を経過するまで
  4. 百日咳――出席停止の必要なし
  5. 鳥インフルエンザ(H5N1)――特有の咳が消失するまで

 

 

 

学校教育法

第10編 5.特別支援教育 p349~351

特別支援学校

特別支援学校の対象となる障害は、視覚障害者、聴覚障害者、知的障害者、肢体不自由者、病弱者(身体虚弱者を含む)である。

 

▶118回C問題10

特別支援学校の対象となる障害はどれか。

 

  1. 自閉症
  2. 学習障害
  3. 言語障害
  4. 情緒障害
  5. 知的障害

 

 

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

テーマ別

統計問題法律問題医療制度問題

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

 

国民衛生の動向」は、毎年わが国の衛生の状況や保健行政の動向を解説したものとして、昭和24年の創刊以来、公衆衛生テキストの決定版として長年ご愛用いただいています。とくに、本誌では最新の衛生を取り巻く制度の解説や人口・健康状況などの統計が網羅されており、医療関係者の国家試験対策のテキストとしても広く活用されているところです。

 

当ページでは、薬剤師国家試験の受験者向けに、最新の「国民衛生の動向2024/2025」がカバーする薬剤師国家試験の過去問をピックアップし、本誌の該当箇所を示します。問題を解きながら不明な部分を本誌で確認し、学習効率の向上にご活用下さい。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

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薬剤師国家試験について

最新の試験日程や手続き等の情報は、「薬剤師国家試験」(厚生労働省)をご確認下さい。

 

薬剤師国家試験は昭和24年(1949年)から開始し、最新では令和6年(2024年)2月に109回目の試験が実施されました。

過去10年間の受験者数、合格者数、合格率は以下のとおりです。

 

 

 受験者数   合格者数   合格率 
 109回(2024年)   13,585人   9,296人   68.43% 
 108回(2023年)   13,915人   9,602人   69.00% 
 107回(2022年)   14,124人   9,607人   68.02% 
 106回(2021年)   14,031人   9,634人   68.66% 
 105回(2020年)   14,311人   9,958人   69.58% 
 104回(2019年)   14,376人   10,194人   70.91% 
 103回(2018年)   13,579人   9,584人   70.58% 
 102回(2017年)   13,243人   9,479人   71.58% 
 101回(2016年)   14,949人   11,488人   76.85% 
 100回(2015年)   14,316人   9,044人   63.17% 

 

直近5回をみると、受験者数は1.4万人前後で、合格率は7割前後で推移しています。


第109回薬剤師国家試験の合格基準は、「全問題の得点(1問2点688点満点)が420点以上」、「必須問題について、全問題への配点の70%以上で、かつ、構成する各科目の得点がそれぞれ配点の30%以上」、「禁忌肢問題選択数は2問以下」となっています。

 

薬剤師国家試験の出題基準は、薬剤師国家試験出題基準改定部会で検討が行われ改定を重ねてきており、令和3年実施の試験からは、新たな「薬剤師国家試験出題基準」が適用されています。


薬理、薬剤、病態・薬物治療など、薬剤師業務で必要となる知識はもちろん、業務を遂行するために必要となる法規・制度・倫理や公衆衛生学など幅広い知識が問われるため、苦手分野を作らない学習が必要となります。

 

問題種類別 薬剤師国家試験過去問題

過去の薬剤師国家試験に出題された問題を、テーマ別に分けてポイントを解説しています。本格的に試験対策を始める前の傾向を知る際、また、試験直前の確認などにお使い下さい。

 

 

薬剤師国家試験過去問題PDF

厚生労働省が公表している過去10年間の問題、正答のPDFの一覧です。

 

第109回

(2024年)

 1日目

  1. 必須問題
  2. 一般問題(薬学理論問題) 
  3. 一般問題(薬学理論問題)

 2日目

  1. 一般問題(薬学実践問題)
  2. 一般問題(薬学実践問題)
  3. 一般問題(薬学実践問題)

 正誤表

 正答 

第108回

(2023年)

 1日目

  1. 必須問題
  2. 一般問題(薬学理論問題)
  3. 一般問題(薬学理論問題)

 2日目

  1. 一般問題(薬学実践問題)
  2. 一般問題(薬学実践問題)
  3. 一般問題(薬学実践問題)
正答

第107回

(2022年)

 1日目

  1. 必須問題
  2. 一般問題(薬学理論問題)
  3. 一般問題(薬学理論問題)

 2日目

  1. 一般問題(薬学実践問題)
  2. 一般問題(薬学実践問題)
  3. 一般問題(薬学実践問題)
正答

第106回

(2021年)

 1日目

  1. 必須問題
  2. 一般問題(薬学理論問題)
  3. 一般問題(薬学理論問題)

 2日目

  1. 一般問題(薬学実践問題)
  2. 一般問題(薬学実践問題)
  3. 一般問題(薬学実践問題)

 正誤表

正答

第105回

(2020年)

 1日目

  1. 必須問題
  2. 一般問題(薬学理論問題)
  3. 一般問題(薬学理論問題)

 2日目

  1. 一般問題(薬学実践問題)
  2. 一般問題(薬学実践問題)
  3. 一般問題(薬学実践問題)

 正誤表

正答

第104回

(2019年)

 1日目

  1. 必須問題
  2. 一般問題(薬学理論問題)
  3. 一般問題(薬学理論問題)

 2日目

  1. 一般問題(薬学実践問題)
  2. 一般問題(薬学実践問題)
  3. 一般問題(薬学実践問題)

 正誤表

正答

第103回

(2018年)

 1日目

  1. 必須問題
  2. 一般問題(薬学理論問題)
  3. 一般問題(薬学理論問題)

 2日目

  1. 一般問題(薬学実践問題)
  2. 一般問題(薬学実践問題)
  3. 一般問題(薬学実践問題)

 正誤表

正答

第102回

(2017年)

 1日目

  1. 必須問題
  2. 一般問題(薬学理論問題)
  3. 一般問題(薬学理論問題)

 2日目

  1. 一般問題(薬学実践問題)
  2. 一般問題(薬学実践問題)
  3. 一般問題(薬学実践問題)
正答

第101回

(2016年)

 1日目

  1. 必須問題
  2. 一般問題(薬学理論問題)
  3. 一般問題(薬学理論問題)

 2日目

  1. 一般問題(薬学実践問題)
  2. 一般問題(薬学実践問題)
  3. 一般問題(薬学実践問題)

 正誤表

正答

第100回

(2015年)

 1日目

  1. 必須問題
  2. 薬学一般問題
  3. 薬学一般問題

 2日目

  1. 薬学実践問題
  2. 薬学実践問題
  3. 薬学実践問題
正答

 

 

医療職国家試験に出る国民衛生の動向

 

 

図説 国民衛生の動向

9784875118046

 

図説 国民衛生の動向』は、「国民衛生の動向」の図説ダイジェスト版です。「国民衛生の動向」の内容に沿って、1ページ1テーマで、フルカラーの図表とともに要点を絞って解説しています。

記述量の多い「国民衛生の動向」の手軽な副読本としても活用できます。

 

医療職のための統計セミナー

厚生労働統計協会では、医療職の皆様のキャリアアップのために、研究発表や論文作成に必要な統計知識を実践的に学んでいただくオンラインセミナーを、毎年数回開催しています。

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国民衛生の動向」は衛生の状況に関わる統計を網羅し、毎年直近の数値に更新した最新版を刊行しています。

 

薬剤師国家試験では様々な統計調査を基にした、最新の状況を問う問題が毎年複数問出題されるので、「国民衛生の動向」などで最新の統計をまとめて押さえることが必須となります。

 

このページでは、第109回(2024年)から第98回(2013年)までの12年分の薬剤師国家試験に出題された統計問題をピックアップし、問題を解く上で必要となる最新統計を解説しています。

 

これまで出題された統計問題の傾向を把握し、「国民衛生の動向」を参照して、より詳細なデータや推移、その対策や制度などを関連付けて確認することで、様々な問題に対応できる基礎力を身に付けていただければ幸いです。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

発売日:2024.8.27

定価:2,970円(税込)

412頁・B5判

雑誌コード:03854-08

 

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▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

テーマ別

統計問題法律問題薬事制度問題

 

目次

 

 

人口静態

第2編1章 人口静態 p41~50

人口静態統計

  • 人口静態はある時点における人口や年齢別などの静止した姿を指す。
  • 総務省統計局が実施する国勢調査はその主要統計で、5年に1回実施される。
  • 国勢調査の対象者は、調査年の10月1日午前0時現在において本邦内に常住している者(外国人を含む)である。

 

▶98回一般理論(衛生)125

国勢調査に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 調査年の7月1日午前0時に国内に常住する者を対象とする。
  2. 人口静態統計である。
  3. 確定人口とは、大規模調査年の人口のことである。
  4. 結果は、生命表の作成に用いられる。
  5. 日本に住んでいる外国人は調査対象に含まれない。

 

 

年齢3区分・人口指数

人口を年齢3区分別にみると、0~14歳の年少人口、15~64歳の生産年齢人口、65歳以上の老年人口に分けられる。また、年少人口と老年人口を合わせたものを従属人口という。

 

【▼年齢構造に関する指数】

 

●年少人口指数

:(年少人口÷生産年齢人口)×100

 

●老年人口指数

:(老年人口÷生産年齢人口)×100

 

●従属人口指数

:{(年少人口+老年人口)÷生産年齢人口}×100

 

●老年化指数

:(老年人口÷年少人口)×100

 

▶100回必須(衛生)18

老年化指数を表す式はどれか。1つ選べ。

 

100 18y

 

 


 

▶107回一般理論(衛生)120改題

下表は、2022年10月1日現在の年齢区分別人口割合を示したものである。この表に基づく人口指標に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

107 120y

 

  1. 老年化指数は250を超えている。
  2. 老年人口指数は50を超えている。
  3. 年少人口指数は20を超えている。
  4. 従属人口指数は80を超えている。
  5. 老年人口割合は25%を超えている。

 

 


 

▶103回一般理論(衛生)125改題

表は、我が国における2000年と2020年の年齢三区分別人口構成割合及び2040年における予測値を示したものである。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

103 125y

 

  1. 年少人口割合と老年人口割合の和は、従属人口割合となる。
  2. この表から求められる老年人口割合の倍化年数は、20年より短い。
  3. 2000年から2020年にかけて、老年化指数は2倍以上上昇している。
  4. 2020年における老年人口指数は50を上回る。
  5. 2040年に予測される年少人口指数は15を下回る。

 

 

年齢区分別人口割合の推移

令和4年(2022年)10月1日現在、年齢3区分別人口の総人口に対する割合をみると、年少人口割合は11.6%、生産年齢人口割合は59.4%、老年人口割合は29.0%で、年少人口割合と生産年齢人口割合は減少傾向、老年人口割合は増加傾向にある。

 

▶109回一般理論(衛生)124

下図の曲線ア~エは、15歳未満、15~64歳、65歳以上、75歳以上のいずれかの年齢区分別人口の割合の推移を、右の数値は2022年における各年齢区分別人口の割合を示している。年齢区分別人口に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

 109 124y

 

  1. アは生産年齢人口の割合を示している。
  2. イは65歳以上の老年人口の割合を示している。
  3. アとウの和は、従属人口の割合である。
  4. イをエで割った値に100を乗じた値は、老年人口指数である。
  5. 2022年における年少人口指数は、およそ19.5である。

 

 

 

人口動態

第2編2章 人口動態 p51~69

人口動態調査

人口動態調査は、①出生、②死亡、③死産、④婚姻、⑤離婚を把握し、人口及び厚生労働行政施策の基礎資料を得ることを目的として毎年実施している。

 

▶104回必須(衛生)20

ある地域の1年間の人口動態を調べる際、必要でないのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 出生数
  2. 死亡数
  3. 老年人口
  4. 婚姻数
  5. 離婚数

 

 


 

▶109回一般理論(衛生)123

保健統計に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 保健統計は、人口統計と死亡統計に大別される。
  2. 人口統計は、人口動態統計と疾病統計に大別される。
  3. 人口統計は、集団の健康水準の向上を図る上で重要な情報である。
  4. 人口動態統計は、ある一時点における人口の規模や構造などを調査するものである。
  5. 人口静態統計の代表的なものは、国勢調査である。

 

 

人口の推移

  • わが国の人口は、第一次ベビーブームと呼ばれる昭和22年(1947年)~24年(1949年)の出生率の急上昇と、その第一次ベビーブーム世代が出生年齢となって再び出生率が上昇した昭和46年(1971年)~49年(1974年)の第二次ベビーブームを経ている。
  • その後の出生率は低下に転じ、平成17年(2005年)に戦後初めて人口が減少し、近年は減少傾向が続いている。将来推計人口によれば、令和2年(2020年)に1億2615万人であった人口は、令和42年(2060年)には9615万人と1億人を割り込むと推計される。

 

▶99回一般(衛生)126改題

次の図は、我が国の人口の推移を示したものである。以下の記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

99 126y

 

  1. 自然増減率は、出生率と死亡率の差から求められる。
  2. 人口増減率から将来の出生率を予測できる。
  3. 昭和25年に人口増減率が一時的に上昇しているが、これには第一次ベビーブームが関係している。
  4. 昭和50年に人口増減率が一時的に上昇しているが、これは海外から日本に流入する者(外国籍の者を含む)が増加したためである。
  5. 今後20年間、人口は横ばいのまま推移すると予測されている。

 

 

合計特殊出生率

15~49歳の女性の年齢別出生率を合計したものを合計特殊出生率といい、一人の女性が一生の間に生む子どもの数を表す。

 

▶101回一般理論(衛生)126改題

合計特殊出生率及び下図に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 合計特殊出生率は、15歳から39歳までの女性を対象として算出する。
  2. 合計特殊出生率は、既婚女性のみを対象として算出する。
  3. 合計特殊出生率は、総再生産率の約2倍の値となる。
  4. 下図から、1960年には、夫婦一組あたりの平均子供数が2人であったことがわかる。
  5. 下図から、合計特殊出生率の低下には、未婚率の上昇が影響している可能性が考えられる。

 

101 126 1y

101 126 2y

 

 

死亡の動向

  • 人口千人に対する粗死亡率は戦後低下傾向にあったが、昭和58年(1983年)頃から人口の高齢化の影響により、死亡数と合わせて上昇傾向にある。
  • 人口の高齢化などの年齢構成の歪みを補正するため、基準人口を用いて年齢構成の影響を取り除いた年齢調整死亡率が用いられており、粗死亡率とは対照に低下傾向にある。

 

▶99回必須(衛生)18

我が国の死亡統計において、1985年以降緩やかな上昇傾向を示している指標はどれか。1つ選べ。

 

  1. 妊産婦死亡率
  2. 周産期死亡率
  3. 乳児死亡率
  4. 粗死亡率
  5. 年齢調整死亡率

 

 


 

▶100回一般(衛生)124改題

図のA及びBは、我が国における出生や死亡に関わる人口動態指標の1950年以降の年次推移である。この図に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

 

100 124y

 

  1. Aの値が低下傾向を示す一因に、晩婚化に伴う出産開始年齢の高齢化があげられる。
  2. Aの値は、総人口と出生数のみから求めることができる。
  3. Aの値が1971年から1974年にかけて高い値を示すのは、第1次ベビーブーム世代の女性が出産適齢期にさしかかったことによる。
  4. Bの値が1983年頃から緩やかな上昇傾向を示しているのは、人口の高齢化の影響によるものである。
  5. Bの値は人口の年齢構成の影響を受けるが、Aの値は影響を受けない。

 

 

年齢調整死亡率の計算

年齢調整死亡率の計算には、「観察集団の年齢(階級)別死亡率」と「基準集団の年齢(階級)別人口(平成27年モデル人口)」を用いて、以下の式で計算する。

nenreityousei

 

▶105回一般理論(衛生)128改題

表は、我が国における男女別の死亡統計(人口千対)の推移を示したものである。この表及び我が国の死亡統計に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

105 128y

 

  1. 1950年から1980年までの間、粗死亡率が低下しているのは、この期間に出生率が上昇したためである。
  2. 1990年から2021年まで粗死亡率が上昇しているのは、この期間に健康水準が低下したためである。
  3. 1990年から2021年まで、粗死亡率は上昇しているにもかかわらず年齢調整死亡率が低下しているのは、この期間の人口の高齢化を反映している。
  4. 年齢調整死亡率は、2015年の年齢別死亡率を基準にして、対象集団の年齢別人口構成で補正したものである。
  5. 2021年における年齢調整死亡率の性差が、粗死亡率の性差より顕著であるのは、その年の年齢別人口構成の性差が顕著であることを反映している。

 

 


 

▶102回一般理論(衛生)124

以下の表における観察集団(1)及び観察集団(2)の人口統計についての記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

102 124y

 

  1. 粗死亡率は、観察集団(1)より観察集団(2)の方が高い。
  2. 老年人口割合は、観察集団(1)より観察集団(2)の方が高い。
  3. 65歳以上死亡数の死亡総数に対する割合は、観察集団(1)より観察集団(2)の方が低い。
  4. 基準集団の人口構成を用いた年齢調整死亡率は、観察集団(1)では41より小さな値になる。
  5. 基準集団の人口構成を用いた年齢調整死亡率は、観察集団(1)より観察集団(2)の方が高い値を示す。

 

 

主要死因別死亡率の推移(令和4年(2022年))

主な死因別の死亡率(人口10万対)をみると、悪性新生物〈腫瘍〉が昭和56年以降、死因の第1位であり一貫して増加傾向にある。第2位の心疾患も増加傾向にあり、第3位の老衰は近年急増している。かつて死因の第1位であった脳血管疾患は減少傾向で第4位、肺炎が第5位となっている。

 

▶105回必須(衛生)21改題

令和4年における我が国の死因別死亡率の第2位に該当する死因はどれか。1つ選べ。

 

  1. 自殺
  2. 不慮の事故
  3. 肺炎
  4. 心疾患
  5. 悪性新生物

 

 


 

▶102回一般理論(衛生)128改題

下図は、死因別にみた死亡率の年次推移を、1950年から2022年まで示した結果である。各死因の死亡率の変遷の理由について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

102 128y

 

  1. ①の死亡率の上昇には人口の高齢化は関与しない。
  2. 1995年前後に②の死亡率が急激に減少し、④の死亡率が増加したのは、国際ルールの変更により、死因の統計処理法が変わったことによる。
  3. ③の死亡率が1980年代から増加してきたのは、新しい種類の③として、抗菌剤が効かない新興感染症が急速に増えたためである。
  4. ④の死亡率が1970年代から減少傾向にあるのは、食生活の変化によってカルシウムの摂取量が増えたことが主要な要因と考えられる。
  5. 1950年まで死因のトップであった⑤の死亡率が激減したのは、新たな治療薬などの医療の進歩、衛生水準の向上や栄養状態の改善によるところが大きい。

 

 

部位別にみた悪性新生物〈腫瘍〉による死亡(令和3年(2021年))

悪性新生物〈腫瘍〉による死亡数・率を部位別にみると、男では肺・大腸・胃・膵・肝の順に多く、女では大腸・肺・膵・乳房・胃の順に多い。

※肺=「気管、気管支及び肺」

※大腸=「結腸と直腸S状結腸移行部及び直腸」

※肝=「肝及び肝内胆管」

 

▶108回一般理論(衛生)122

下図は、我が国における胃、肝臓、膵臓、大腸及び肺の悪性新生物による粗死亡率(人口10万対)の年次推移を示したものである。部位a~eの悪性新生物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

108 122y

 

  1. aは大腸である。
  2. bの悪性新生物のリスク要因として、食塩の過剰摂取があげられる。
  3. cの悪性新生物が1990年代後半まで増加した主な要因として、ヒトパピローマウイルス感染が考えられる。
  4. dの悪性新生物のリスク要因として、食生活の欧米化や運動不足などによる肥満があげられる。
  5. eは肺である。

 

 


 

▶106回一般理論(衛生)122改題

表は、我が国の女性における胃、子宮、大腸、肝臓及び乳房の悪性新生物による死亡数の推移を表したものである。乳房に該当するのはどれか。1つ選べ。

 

106 122y

 

 


 

▶103回一般理論(衛生)126改題

表は全悪性新生物及び部位別にみた悪性新生物の年齢調整死亡率の年次推移を示したものである。A~Fは、乳房、肺(気管、気管支及び肺)、胃、肝臓、大腸及び子宮のいずれかに対応している。これらの年次推移に関する記述のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。

 

103 126y

 

  1. Aの年齢調整死亡率が低下し続けている要因として、がんの早期発見や食生活の変化が考えられる。
  2. Bの年齢調整死亡率が1990年代後半まで上昇した主な要因として、飲酒やウイルス感染の関与が考えられる。
  3. Cの年齢調整死亡率が1990年代後半まで上昇した要因の1つとして、食事内容の欧米化が考えられる。
  4. Eの年齢調整死亡率の低下の主な要因として、ワクチンの定期接種によるEの罹患率の低下が考えられる。
  5. 近年、全悪性新生物の年齢調整死亡率が男女とも低下しているが、粗死亡率も同様に低下している。

 

 

心疾患・脳血管疾患による死亡

  • 心疾患のうち主な死因をみると、心不全が最も高く増加傾向で、次いで虚血性心疾患が高く近年は横ばい傾向である。
  • 脳血管疾患のうち主な死因をみると、脳梗塞が最も高く、脳内出血くも膜下出血と続き、いずれも近年は低下から横ばい傾向である。

 

▶107回一般理論(衛生)125

図は、1950年代から2010年代における心疾患及び脳血管疾患の死亡率の年次推移を示したものである。疾患ア~エは、心不全、虚血性心疾患、脳梗塞、脳内出血のいずれかである。次の記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

 

107 125y

 

  1. 疾患アによる死亡率には、狭心症や心筋梗塞による死亡が含まれる。
  2. 1995年以降の疾患イの死亡率の上昇には、老年人口の割合の増加が関係している。
  3. 疾患ウは、脳内出血である。
  4. 1960年以降、疾患エの死亡率が低下した原因として、食塩摂取量の低下やタンパク質摂取量の増加がある。
  5. 寒冷刺激は、疾患エのリスクファクターとなる。

 

 

 

生命表

第2編3章 生命表 p70~73

平均寿命

  • 平均寿命とは0歳の平均余命をいい、令和元年(2019年)の簡易生命表では、男性が81.56年、女性が87.71年となっている。
  • 平均寿命は戦後大きく延伸し、特に昭和20年代ころの大幅な改善は、0~4歳の乳児死亡率の低下と、結核による死亡の激減に負うところが大きい。

 

▶100回一般(衛生)125改題

図は我が国の平均寿命の年次推移を示したものである。1947年から1960年にかけての平均寿命の著しい延伸の主な原因はどれか。2つ選べ。

 

100 125y

 

  1. 0~4歳の感染性疾患による死亡率の低下
  2. 10歳代の不慮の事故による死亡率の低下
  3. 20歳代の結核による死亡率の低下
  4. 40歳代の脳血管疾患による死亡率の低下
  5. 50歳代の胃がんによる死亡率の低下

 

 

健康寿命

健康寿命とは日常生活に制限のない期間をいい、令和元年(2019年)は男性72.68年・女性75.38年と、男女ともに延伸している。

 

▶104回一般理論(衛生)122改題

少子・高齢化に関する我が国の人口指標の数値の大小関係について、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 令和3年の合計特殊出生率>令和3年の総再生産率
  2. 令和元年の健康寿命>令和元年の0歳平均余命
  3. 令和3年の年少人口指数>令和3年の老年人口指数
  4. 平成2年の平均初婚年齢>令和3年の平均初婚年齢
  5. 令和3年の粗死亡率>平成2年の粗死亡率

 

 

 

感染症発生動向

第3編3章 感染症対策 p123~148

性感染症の状況

  • 性感染症とは、感染症法上の5類感染症に位置づけられた5疾患(梅毒・性器クラミジア感染症・性器ヘルペスウイルス感染症・淋菌感染症・尖圭コンジローマ)など、性行為によって伝播する感染症を指す。
  • 梅毒は全数把握対象疾患であり、平成22年(2010年)以降報告数は増加傾向で、令和3年(2021年)は7,978人となっている。
  • その他は定点把握対象疾患であり、そのうちでは性器クラミジア感染症の報告数が30,003人と最も多い。

 

▶108回一般理論(衛生)123

下図は、我が国におけるある性感染症の報告数(全数把握)の年次推移を示したものである。この図に該当する感染症はどれか。1つ選べ。

 

108 123y

 

  1. 性器クラミジア感染症
  2. 性器ヘルペス感染症
  3. 尖圭コンジローマ
  4. 梅毒
  5. 後天性免疫不全症候群

 

 


 

▶106回一般理論(衛生)121

我が国における性感染症に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 尖圭コンジローマは、ヒトパピローマウイルスによって引き起こされる。
  2. 定点把握報告の対象となっている性感染症のうち、膣カンジダ症が最も報告数が多い。
  3. 淋菌感染症の報告数は、公衆衛生の向上により減少し、平成25年以降は感染の報告がない。
  4. B型肝炎は、母子感染に加え、性的接触によっても起こる。
  5. 感染症法では、梅毒への対応として特定職種への就業が制限されている。

  *感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律

 

 

HIV・AIDS

  • 後天性免疫不全症候群(AIDS)は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の感染によって引き起こされる細胞性免疫不全状態を主な病態とする疾患で、令和3年(2021年)ではHIV感染者報告数が742件、AIDS患者報告数が315人となっている。
  • HIVの主な感染経路は、①HIV感染者との性行為、②血液または血液製剤の輸注、③母子感染(垂直感染)の3つであり、中でも新規HIV感染者の感染経路では性的接触が83.8%と大部分を占め、特に男性の同性間性的接触の割合が高い。

 

▶103回一般理論(衛生)129

我が国における性感染症に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 新規HIV感染者の大半は男性であり、異性との性的接触によるものが最も多い。
  2. 2010年以降、性器クラミジア感染症の患者数は、性感染症の中で淋菌感染症に次いで多い。
  3. 2010年以降、梅毒の患者数が増加しているが、その治療には抗ウイルス薬ラミブジンが有効である。
  4. B型肝炎ウイルスはキャリアとの性行為により感染するため、その予防にはコンドームの使用が有効である。
  5. HIV感染症及び梅毒は、いずれも5類感染症の中で全数把握が必要な感染症である。

 

 


 

▶99回一般(衛生)128改題

我が国における性感染症に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 性器クラミジア感染症の患者数は、性感染症の中で最も多く、その対策が急務となっている。
  2. 新規HIV感染者(平成30-令和4年)の大半は男性であり、感染の原因としては、同性間の性的接触によるものが最も多い。
  3. B型肝炎については、輸血を介した新規の発症者も増え続けている。
  4. 淋菌感染症の患者数は公衆衛生の向上により30年前に比べ激減しており、平成20年以降感染の報告はない。
  5. 梅毒の予防に有効なワクチンが実用化されている。

 

 


 

▶109回一般理論(衛生)121

図1は、国内のHIV感染者及びAIDS患者の年間新規報告数の推移を示したものであり、図2は、2021年における国内のHIV感染者の新規報告の感染経路別内訳である。HIV感染者の発生動向に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

 109 121y

 

  1. 図1のAはHIV感染者で、BはAIDS患者を表している。
  2. 2021年におけるHIV感染者とAIDS患者を合わせた新規報告数に占めるAIDS患者の割合は、約80%と高い水準である。
  3. HIV感染者年間新規報告数は、男性よりも女性の方が多い。
  4. 図2の経路アは、母子感染によるものである。
  5. 図2の経路イは、同性間の性的接触によるものである。

 

 

 

医療提供体制

第4編1章 医療提供体制 p166~206

医療従事者の状況(令和2年(2020年))

  • 医師は34.0万人、歯科医師は10.7万人、薬剤師は32.2万人である(届出数)。
  • 保健師は5.6万人、助産師は3.8万人、看護師は128.1万人、准看護師は28.5万人である(就業者数)。

 

▶101回必須(法規)77

日本国内において就業者数が最も多いのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 医師
  2. 歯科医師
  3. 薬剤師
  4. 看護師
  5. 臨床検査技師

 

 

医療施設・薬局の状況(令和3年(2021年))

  • 病院:8,205施設
  • 一般診療所:104,292施設
  • 歯科診療所:67,899施設
  • 薬局:61,791施設

 

▶99回必須(法規)77

過去10年間の統計を踏まえて、施設数の多い順序を正しく表示しているのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 一般診療所>病院>薬局
  2. 一般診療所>薬局>病院
  3. 薬局>病院>一般診療所
  4. 薬局>一般診療所>病院
  5. 病院>薬局>一般診療所

 

 

 

国民医療費

第4編2章 医療保険制度 p208~219

概要

国民医療費は、医療機関などにおける傷病の治療に要する費用を推計したもので、以下の費用は含まない。

 

  • 正常な妊娠や分娩などに要する費用
  • 健康の維持・増進を目的とした健康診断・予防接種などに要する費用
  • 固定した身体障害のために必要とする義眼や義肢などの費用
  • 一般用医薬品の購入費用
  • 介護保険制度に基づく給付費

 

▶103回必須(法規)76

国民医療費に含まれるのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 帝王切開による分娩
  2. 一般用医薬品の購入
  3. 特定健康診査の受診
  4. 肺炎球菌感染症の予防接種
  5. 介護保険法におけるリハビリテーション

 

 


 

▶105回必須(法規)73

国民医療費の増加要因として、適切でないのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 医療技術の高度化
  2. 疾病構造の変化
  3. 高齢化社会の急速な進行
  4. 介護保険制度の創設
  5. 医療供給体制の整備

 

 

国民医療費の状況①

令和2年度(2020年度)の国民医療費は43.0兆円で、人口1人当たり34万600円となっている。また、国民総生産に対する比率は8.02%である。

 

●制度区分別国民医療費

制度区分別にみると、医療保険等給付分が19.4兆円(45.1%)と最も高く、次いで後期高齢者医療給付分が15.3兆円(35.6%)、患者等負担分が5.2兆円(12.1%)、公費負担医療給付分が3.1兆円(7.3%)となっている。

 

▶102回一般理論(法規)148改題

下図は、令和2(2020)年度の制度区分別国民医療費の給付分等の割合を示したものである。ア、イ、ウ及びエにあてはまるのはどれか。1つ選べ。

 

102 148y

 

   ア――イ――ウ――エ

 

  1. 医療保険――後期高齢者医療――公費負担――患者負担
  2. 医療保険――後期高齢者医療――患者負担――公費負担
  3. 後期高齢者医療――医療保険――公費負担――患者負担
  4. 後期高齢者医療――医療保険――患者負担――公費負担
  5. 医療保険――公費負担――後期高齢者医療――患者負担
  6. 医療保険――公費負担――後期高齢者医療――患者負担

 

 

国民医療費の状況②

●財源別国民医療費

財源別にみると、保険料が21.3兆円(49.5%)と最も多く、次いで公費16.5兆円(38.4%)となっている。

 

●診療種類別国民医療費

診療種別にみると、医科診療費が30.8兆円(71.6%)と最も多く、次いで薬局調剤医療費が7.6兆円(17.8%)、歯科診療医療費が3.0兆円(7.0%)となっている。

 

●年齢階級別国民医療費

年齢階級別にみると、0~14歳は2.1兆円(4.9%)、15~44歳は5.0兆円(11.7%)、45~64歳は9.4兆円(21.9%)、65歳以上は26.4兆円(61.5%)、75歳以上は16.8兆円(39.0%)となっている。

 

●傷病分類別医科診療医療費

傷病分類別にみると、循環器系の疾患が6.0兆円(19.5%)と最も多く、次いで新生物〈腫瘍〉が4.7兆円(15.2%)となっている。

 

▶100回必須(法規)78改題

国民医療費に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 一般用医薬品の購入費用は含まれない。
  2. 財源の80%以上は、保険料である。
  3. 薬局調剤医療費は、近年横ばい傾向にある。
  4. 薬剤料が占める割合は、50%を超えている。
  5. 国民総生産に占める割合は、1%以下である。

 

 


 

▶105回一般理論(法規)143改題

令和2年度の国民医療費の内訳に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 制度区分別では、後期高齢者医療給付分が医療保険等給付分を上回っている。
  2. 財源別では、保険料の占める割合が最も高い。
  3. 診療種類別では、薬局調剤医療費の占める割合が最も高い。
  4. 傷病分類別では、新生物(腫瘍)の占める割合が最も高い。
  5. 年齢階級別では、全体の約8割が65歳以上の高齢者に使われている。

 

 

 

麻薬・覚醒剤等

第6編3章 特殊な医薬品、毒物・劇物 p265~272

法令別検挙者数(令和3年(2021年))

  • 麻薬・覚醒剤等の薬物は、それぞれ各法により規制されている。
  • 法令別検挙者数をみると、覚醒剤取締法では7,970人と最も多いが近年減少傾向にある。次いで大麻取締法での検挙者数が5,783人と多く、近年急増している。

 

▶107回必須(衛生)21改題

図は、我が国の薬物事犯について、2010年から2021年の法律別検挙人数を示したものである。法律A~Eは、覚醒剤取締法、大麻取締法、麻薬及び向精神薬取締法、あへん法、毒物及び劇物取締法のいずれかである。近年、法律Bによる検挙人数が増加傾向にある。法律Bとして正しいのはどれか。1つ選べ。

 

107 21y

 

  1. 覚醒剤取締法
  2. 大麻取締法
  3. 麻薬及び向精神薬取締法
  4. あへん法
  5. 毒物及び劇物取締法

 

 

 

食中毒

第7編2章 食品安全行政の動向 p278~292

ノロウイルス

  • ノロウイルスは手指や食品を介して経口で感染し、ヒトの腸管で増殖する感染性胃腸炎で、特に冬期に流行する特徴がある。
  • 大規模食中毒につながりやすく、令和4年(2022年)の食中毒患者数6,856人のうち、ノロウイルスが2,175人(32.2%)と最も多い。

 

▶103回必須(衛生)18

冬季に患者発生数がピークになる食中毒の病因物質はどれか。1つ選べ。

 

  1. カンピロバクター・ジェジュニ
  2. ツキヨタケ
  3. 腸炎ビブリオ
  4. ノロウイルス
  5. サルモネラ属菌

 

 


 

▶101回必須(衛生)19改題

最近10年間で、我が国において、発生患者数が最も多い食中毒の病因物質はどれか。1つ選べ。

 

  1. 黄色ブドウ球菌
  2. カンピロバクター・ジェジュニ/コリ
  3. サルモネラ属菌
  4. 腸管出血性大腸菌(ベロ毒素産生)
  5. ノロウイルス

 

 

食中毒発生状況(令和4年(2022年))

病因物質別の患者数をみると、ノロウイルスに次いでウェルシュ菌が1,467人(21.7%)、カンピロバクター・ジェジュニ/コリが822人(12.2%)、サルモネラ属菌が698人(10.3%)などとなっている。

 

▶105回一般理論(衛生)126改題

表は、2005年と2022年の食中毒統計に示された主な食中毒原因物質による食中毒の発生状況である。このうち、B~Dに当てはまる原因物質の組合せとして正しいのはどれか。1つ選べ。

 

105 126y

 

105 126 2y

 

 

 

業務上疾病

第8編 労働衛生 p299~310

業務上疾病発生状況(令和3年(2021年))

  • 業務上疾病の発生割合をみると、「病原体による疾病」が69.4%で最も多い。
  • 「病原体による疾病」のうち新型コロナウイルスり患によるもの68.9%を除いた場合は、コロナ禍以前と同様に「負傷に起因する疾病」(そのうち「災害性腰痛」)が最も多い。

 

▶108回必須(衛生)17

下図は、我が国における2017年から2021年までの業務上疾病の発生状況を示したものである。Aに該当する疾病はどれか。1つ選べ。

 

108 17y

 

  1. 手指前腕の障害及び頸肩腕症候群
  2. 熱中症
  3. 振動障害
  4. 騒音性難聴
  5. 災害性腰痛

 

 

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

テーマ別

統計問題法律問題薬事制度問題

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

国民衛生の動向」は公衆衛生、保健・福祉、医療提供体制、薬事などの最新の動向を解説し、医療従事者や国家試験対策として広く用いられています。

 

薬剤師国家試験では、医薬品医療機器等法などの薬剤師業務に関わる法律、多様な医薬品の安全性を確保するための制度など、様々な法規に関する知識が問われます。

 

このページでは、過去の第109回(2024年)から第98回(2013年)までの12年分の薬剤師国家試験の中から、薬事に関わる制度ごとに、「国民衛生の動向」の記述を基に要点を簡潔にまとめ、理解と実践を図れるように構成しています。

 

出題傾向を把握し、より詳細な制度内容や関連規定、歴史的背景や改正点などを「国民衛生の動向」内で確認し、薬事制度に対する理解を深めていただければ幸いです。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

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▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

テーマ別

統計問題法律問題薬事制度問題

 

目次

●第6編1章 薬事行政の動向

 

●第6編2章 医薬品等の安全性と有効性の確保

 

●第6編3章 特殊な医薬品、毒物・劇物

 

 

医療品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律(医薬品医療機器等法、薬機法)

6編1章:薬事行政の動向

日本薬局方

  • 日本薬局方は、医薬品の性状及び品質の適正を図るため、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定めた医薬品の規格基準書で、医薬品医療機器等法ではここに収められている物を医薬品と定義している。
  • 厚生労働大臣は少なくとも10年ごとに全面にわたって見直しを行うよう、その改定について薬事・食品衛生審議会に諮問しなければならない。

 

▶109回必須(法規)75

医薬品医療機器等法第41条第1項において、日本薬局方を定め公示する目的を規定している条文の【  】に当てはまるのはどれか。1つ選べ。

「厚生労働大臣は、【  】を図るため、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて、日本薬局方を定め、これを公示する。」

 

  1. 医薬品の性状及び品質の適正
  2. 医薬品の安定供給の確保
  3. 医薬品の有効性及び安全性の確保
  4. 医療の安全確保
  5. 良質かつ適切な医療の確保

 

 


 

▶106回一般理論(法規)148

日本薬局方に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて定めた医薬品の規格基準書である。
  2. 通則、生薬総則、製剤総則、一般試験法及び医薬品各条から構成される。
  3. 「日本薬局方に収められている物」は、医薬品医療機器等法において医薬品と定義されている。
  4. 薬局方は我が国独特の規格基準書であり、米国や欧州に同様のものは存在しない。
  5. 少なくとも10年ごとに全面にわたって見直されなければならない。

 

 

医薬品の分類

  • 医薬品は、医師等によって使用またはその処方箋や指示により使用される医療用医薬品と、それ以外の一般用医薬品、一般用医薬品に移行するまでの要指導医薬品に分けられる。
  • 一般用医薬品は、リスクの大きさに応じて第1類から第3類までの3つの区分に分類される。その販売に従事する者は、第1類医薬品については薬剤師が、第2類・第3類医薬品については薬剤師または登録販売者が販売または授与しなければならない。

 

▶103回必須(法規)73

薬局において、登録販売者が販売できるのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 薬局製造販売医薬品
  2. 要指導医薬品
  3. 第一類医薬品
  4. 指定第二類医薬品
  5. 処方箋医薬品

 

 

医薬品販売業

●薬局

薬剤師が販売または授与の目的で調剤の業務を行う場所で、営業時間中は薬剤師が常駐し、医療用医薬品の調剤のほか、一般用医薬品、要指導医薬品を販売することができる。

 

●店舗販売業

一般用医薬品と要指導医薬品以外の医薬品は販売できない。

 

●配置販売業

一般用医薬品以外の医薬品は販売できない。

 

●卸売販売業

薬局開設者等に対してのみ医薬品を販売する。

 

▶101回必須(法規)72

専ら薬局開設者等に医薬品を販売するのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 店舗販売業
  2. 配置販売業
  3. 卸売販売業
  4. 医薬品製造業
  5. 医薬品製造販売業

 

 


 

▶104回必須(法規)72

店舗販売業において販売できないのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 要指導医薬品
  2. 第一類医薬品
  3. 第二類医薬品
  4. 第三類医薬品
  5. 処方箋医薬品

 

 

要指導医薬品

  • 要指導医薬品とは、承認に際して製造販売後に安全性に関する調査を実施することとされた品目や毒薬、劇薬のうち、厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いた上で指定するものである。
  • 要指導医薬品は、薬剤師が使用者本人に対面で情報提供・指導した上で販売することとされており、あらかじめ、要指導医薬品を使用しようとする者の年齢や他の薬剤等の使用の状況などを確認しなければならない。
  • 要指導医薬品は一定の安全性評価期間終了後、安全性が確認されれば一般用医薬品に移行し、インターネット等での販売が可能となる。

 

▶108回必須(実務)89

一般消費者に対する要指導医薬品の日常の販売について、正しいのはどれか。1つ選べ。

 

  1. インターネットで販売できる。
  2. 配置による方法で販売できる。
  3. 使用する者の年齢を確認しなければならない。
  4. 使用する者が同居家族の場合も販売できる。
  5. 情報提供は薬剤師又は登録販売者が行う。

 

 

スイッチOTC

  • 薬局やドラッグストアで購入できる薬をOTC(over the counter)医薬品という。
  • 医療用医薬品のうち副作用が少なく安全性が高い薬としてOTC医薬品に転用したものをスイッチOTC医薬品という。

 

▶102回必須(実務)85・99回必須(実務)83類問

医療用医薬品としてすでに使われている有効成分が転用された要指導医薬品及び一般用医薬品を何というか。1つ選べ。

 

  1. 指定薬物
  2. ジェネリック医薬品
  3. オーファンドラッグ
  4. スイッチOTC
  5. ダイレクトOTC

 

 

医薬分業

  • 医薬分業とは、医師が患者に交付した処方箋に基づき、薬剤師が調剤を行い、医師と薬剤師がそれぞれの専門分野で業務を分担することによって、医療の質の向上を図ることを目指すものである。
  • 昭和30年(1955年)の法改正により医師等の処方箋発行が原則となった後、昭和49年(1974年)の診療報酬改定により処方箋料が大幅に引き上げられたことを契機に、急速に普及した。

 

▶105回一般理論(法規)144

医薬分業に関する記述のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 薬剤師法の施行を契機に、急速に普及した。
  2. 処方箋受取率は、都道府県の間でほとんど差がない。
  3. 処方箋を患者に交付する医師が、調剤を受ける薬局を指定することが望ましい。
  4. 複数の医療機関を受診しても、患者が特定の薬局を利用することで、薬剤服用歴を薬局で一元的に管理できる。
  5. 交付された処方箋により、患者自身が服用している薬の名称について知ることができる。

 

 


 

▶104回必須(法規)77

地域における薬局の役割に該当しないのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 在宅医療への参画
  2. 地域住民の健康診断
  3. 医薬品の販売・調剤
  4. 生活習慣病等の健康相談応需
  5. 薬物乱用防止活動

 

 

健康サポート薬局

平成28年(2016年)から、かかりつけ薬剤師・薬局の基本的機能を備えた上で、積極的に地域住民の健康の維持・増進を支援する健康サポート薬局の公表制度が始まった。その届出要件として以下のような事項が挙げられる。

 

  • 服薬情報の一元的な把握とそれに基づく薬学的管理・指導
  • 休日を含む24時間対応、在宅対応
  • 医療機関への受診勧奨やその他の関係機関への紹介
  • 個人情報に配慮した相談スペースの確保
  • 健康の維持・増進に関する相談対応と記録の作成

 

▶106回必須(法規)80

法令で以下のとおり定義されているのはどれか。1つ選べ。

「患者が継続して利用するために必要な機能及び個人の主体的な健康の保持増進への取組を積極的に支援する機能を有する薬局」

 

  1. 保険薬局
  2. 薬剤師会会営薬局
  3. 健康サポート薬局
  4. 地域包括支援センター
  5. ドラッグストア

 

 


 

▶105回必須(実務)87

健康サポート薬局の活動・業務内容として適切でないのはどれか。1つ選べ。

 

  1. アドヒアランスの悪い患者に対して、残薬を入れる袋を渡した上で来局してもらい、服薬状況を確認した。
  2. 健康相談で来局した地域住民の家庭血圧が高いことを確認したため、降圧剤を調剤した。
  3. 市販の医薬品を使用しても体調の改善が見られなかった地域住民に対して受診勧奨した。
  4. 地域住民に対して、医薬品の適正使用に関する講演を行った。
  5. 地域住民から介護サービスに関する相談があったため、地域包括支援センターを紹介した。

 

 


 

▶109回必須(実務)84

健康サポート薬局の届出要件の一つとして、適切なのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 個人情報に配慮した相談窓口の設置
  2. 休日を除く24時間の開局
  3. 薬局内での無菌調剤
  4. 予防接種のためのワクチン調製
  5. 専門薬剤師による抗がん剤の選択支援

 

 

地域連携薬局・専門医療機関関連連携薬局

●地域連携薬局
入退院時の医療機関等との情報連携や、在宅医療等に地域の薬局と連携しながら一元的・継続的に対応できる薬局。

●専門医療機関関連連携薬局
がん等の専門的な薬学管理に関係機関と連携して対応できる薬局。

 

▶109回必須(法規)76

次の文章の【  】に当てはまるのはどれか。1つ選べ。

他の医療提供施設と連携し、地域における医薬品の適正使用の推進、情報提供や指導を行うなどの機能を有する薬局として、都道府県知事の認定を受けて称することができる名称は、「【  】連携薬局」である。

 

  1. 医療
  2. 地域
  3. 多職種
  4. 医療機関
  5. 医療介護

 

 

医薬品等の製造販売業の許可

  • 製造販売するものの区分ごとに、①第一種医薬品(処方箋医薬品)製造販売業、②第二種医薬品(処方箋医薬品以外の医薬品)製造販売業、③医薬部外品製造販売業、④化粧品製造販売業の許可が与えられ、それぞれ許可を受けた者でなければ製造販売してはならない。
  • 製造販売業者には品質管理の基準(GQP)製造販売後安全管理基準(GVP)の適合が許可要件とされる。

 

▶108回必須(法規)74

製造販売業者が対応すべき医薬品等の品質管理の基準を定めた省令はどれか。1つ選べ。

 

  1. GCP
  2. GLP
  3. GMP
  4. GQP
  5. GVP

 

 


 

▶98回必須(法規)72

医薬品製造販売業の許可を得るために適合する必要がある基準はどれか。1つ選べ。

 

  1. GCP(Good Clinical Practice)
  2. GLP(Good Laboratory Practice)
  3. GVP(Good Vigilance Practice)
  4. GMP(Good Manufacturing Practice)
  5. GPSP(Good Post-marketing Study Practice)

 

 


 

▶103回必須(法規)74

医薬品等に係るGVPは何の基準か。1つ選べ。

 

  1. 安全性に関する非臨床試験の実施
  2. 臨床試験の実施
  3. 製造管理及び品質管理
  4. 製造販売後の調査及び試験の実施
  5. 製造販売後安全管理

 

 

医薬品等の製造業の許可

  • 製造業の許可は、製造の区分(医薬品、医薬部外品、化粧品)に応じて製造所ごとに与えられ、それぞれ許可を受けた者でなければ製造販売してはならない。
  • 申請後、厚生労働省は製造所が厚生労働省令で定める基準に適合するかどうかについての書面による調査または実地の調査を行い、適合しないときは許可を与えないことができる。

 

▶101回一般理論(法規)142

医薬品の製造販売業及び製造業に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 製造業の許可は、品目ごとに受けなければならない。
  2. 製造業の許可には、第1種と第2種の区分がある。
  3. 製造業の許可については、GQPが許可要件である。
  4. 製造販売業者が、医薬品を自社工場で製造する場合には、製造業の許可が必要である。
  5. 製造販売業者が、自ら輸入した医薬品を薬局開設者に販売する場合には、医薬品販売業の許可が必要である。

 

 


 

▶106回一般理論(法規)146

医薬品の製造販売業及び製造業に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 第一種医薬品製造販売業の許可を受ければ、処方箋医薬品の製造販売を行うことができる。
  2. 製造販売業者が自社製品を製造する自社の製造所は、製造業の許可を受けているものとみなされる。
  3. 製造販売業者が、自ら輸入した医薬品を薬局開設者に販売する場合には、医薬品販売業の許可を必要としない。
  4. 製造業者が、自ら製造した医薬品を店舗販売業者に販売する場合には、医薬品販売業の許可を必要としない。
  5. 製造業者は、製造しようとする医薬品の品目ごとに許可を受けなければならない。

 

 


 

▶108回一般理論(法規)146

医薬品の製造販売業及び製造業に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 製造業の許可は、製造所ごとに受けなければならない。
  2. 製造業者は、製造所ごとに医薬品総括製造販売責任者を設置しなければならない。
  3. 製造販売業者が、自ら輸入した一般用医薬品を店舗販売業者に販売する場合は、医薬品販売業の許可を必要としない。
  4. 製造販売業者が、医薬品を自社工場で製造する場合は、製造業の許可を受けたものとみなされる。
  5. 第1種医薬品製造販売業の許可を受けた場合は、第2種医薬品製造販売業対象の医薬品も製造販売することができる。

 

 

製造販売の承認・製造販売業の許可が必要な医薬品等

医薬品等のうち、次に掲げるものを製造販売する場合は、製造販売の承認・製造販売業の許可が必要となる。

 

  • 医薬品(日本薬局方に収められているもので承認を要しないものとして指定されたものを除く)
  • 医薬部外品(承認不要医薬部外品基準に収められているものを除く)
  • 名称の表示を省略しようとする成分を配合しようとする化粧品

 

これら以外の医薬品等については製造販売の承認を要しない。

  

▶100回一般(法規)141

医薬品の製造又は製造販売に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 製造業の許可は、製造しようとする医薬品の品目ごとに受けなければならない。
  2. 業として医薬品の小分けを行おうとする者は、製造業の許可を受けなければならない。
  3. 製造業の許可の申請を行った場合、許可基準への適合の有無についての調査が行われる。
  4. 第一種医薬品製造販売業の許可を受ければ、すべての医療用医薬品を製造販売することができる。
  5. 日本薬局方に収載されている医薬品は、承認審査を受けずに製造販売することができる。

 

 

緊急承認・特例承認

医薬品等が、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延その他の健康被害の拡大を防止するため緊急に使用されることが必要な医薬品であること等の条件に該当する場合、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて承認を与えることができる(緊急承認・特例承認)。

 

▶102回一般理論(法規)143

医薬品の製造販売の承認に関して、誤っているのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 承認を受けずに製造販売できる医薬品がある。
  2. 医療上特にその必要性が高いと認められる場合、承認審査が優先して行われる。
  3. 原薬等登録原簿に収められている原薬等を原材料とする場合は、登録されていることを証する書面をもって承認申請の資料の一部にすることができる。
  4. 国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがある疾病のまん延などを防止するために緊急に必要な医薬品の場合は、特例的に承認される制度がある。
  5. 製造販売業者は、承認事項の一部を変更しようとする場合、厚生労働省令で定める軽微な変更であれば、その内容を記録して保存することでそれを行うことができる。

 

 

医薬品等の製造販売の承認を与えない場合

医薬品等の製造販売の承認審査において、次のような場合は承認を与えない

 

  • 申請者が、申請に係る医薬品に関する製造販売業の許可を受けていない場合
  • 申請に係る医薬品を製造する製造所が製造業の許可等を受けていない場合
  • 申請された効能または効果を有すると認められない場合
  • 効能または効果に比べて著しく有害な作用を有することにより、使用価値がないと認められる場合
  • 性状または品質が保健衛生上著しく不適当な場合
  • 化粧品に含有されている成分が名称の記載を省略しようとする成分として不適切な場合

 

▶105回一般理論(法規)147

医薬品の製造販売の承認拒否事由として、適切でないのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 申請に係る医薬品が、その申請に係る効能、効果を有すると認められないとき。
  2. 申請に係る医薬品が、その効能、効果に比して著しく高価格であるとき。
  3. 申請に係る医薬品が、その効能、効果に比して著しく有害な作用を有することにより、医薬品としての使用価値がないと認められるとき。
  4. 申請に係る医薬品の性状又は品質が、保健衛生上著しく不適当なとき。
  5. 申請者が、申請に係る医薬品に関する製造販売業の許可を受けていないとき。

 

 


 

▶108回一般理論(法規)143

医薬品の製造販売の承認拒否事由に該当するのはどれか。2つ選べ。ただし、特例承認や緊急承認などの特別な事例は除く。

 

  1. 申請者である企業が製造販売業の許可を受けていないとき。
  2. 申請に係る医薬品と同じ作用機序のものが、すでに10剤以上承認されているとき。
  3. 申請に係る医薬品が効能又は効果を有すると認められないとき。
  4. 申請に係る医薬品が海外での承認や審査を受けていないとき。
  5. 申請に係る医薬品の製造所における製造管理又は品質管理の方法が、「医薬品の臨床試験の実施に関する基準」に適合していると認められないとき。

 

 

医薬品等の承認審査に係る基準

●GMP(Good Manufacturing Practice)

製造管理及び品質管理の方法の基準

 

●GLP(Good Laboratory Practice)

非臨床試験の実施の基準

 

●GCP(Good Clinical Practice)

臨床試験の実施の基準

 

▶104回必須(法規)78・101回必須(法規)79類問

医薬品のGLPの説明として正しいのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 医薬品の製造管理及び品質管理の基準
  2. 医薬品の臨床試験の実施の基準
  3. 医薬品の安全性に関する非臨床試験の実施の基準
  4. 医薬品の製造販売後安全管理の基準
  5. 医薬品の適正な流通管理の基準

 

 

医療機器

  • 医療機器とは、人の疾病の診断や治療、予防に使用されること、または人の身体の構造や機能に影響を及ぼすことが目的とされている機械器具、歯科材料、医療用品、衛生用品、プログラム(再生医療等製品を除く)をいう。
  • 医療機器のうち、副作用または機能の障害が生じた場合に人の生命および健康に重大な影響を与えるおそれがあるものを高度管理医療機器、人の生命および健康に影響を与えるおそれがあるものを管理医療機器、人の生命及び健康に影響を与えるおそれがほとんどないものを一般医療機器という。

 

▶107回一般理論(法規)145

次の分類のうち、コンタクトレンズが該当するのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 高度管理医療機器
  2. 管理医療機器
  3. 一般医療機器
  4. 再生医療等製品
  5. 医薬部外品

 

 


 

▶102回一般理論(法規)141

医薬品医療機器等法に規定される医療機器に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 人の疾病の診断、治療又は予防に使用されることを目的としたプログラムも医療機器に該当することがある。
  2. 人体に対するリスクの大きさによって、「高度管理医療機器」、「管理医療機器」、「一般医療機器」に分類される。
  3. 添付文書の記載事項は法令で定められていない。
  4. 再生医療等製品も医療機器に含まれる。
  5. 高度管理医療機器の販売においては、薬剤師による対面での情報提供が義務づけられている。

 

 

再生医療等製品の製造販売の承認

  • 再生医療等製品とは、失った組織や臓器を再生させる治療として、人または動物の細胞に培養等の加工をしたもの、導入されて体内で発現する遺伝子を含有させたものをいう。
  • 再生医療等製品の製造販売をしようとする者は、品目ごとに厚生労働大臣の承認を受けなければならない。再生医療等製品の性質から、有効性が推定され、安全性が確認できれば、条件と期限を付して承認し、承認後に有効性と安全を改めて検証する条件及び期限付承認の制度が設けられている。

 

▶105回必須(法規)75

法律において、条件及び期限付き承認の仕組みが規定されているのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 医薬品
  2. 医療機器
  3. 医薬部外品
  4. 再生医療等製品
  5. 化粧品

 

 

希少疾病用医薬品

  • 希少疾病用医薬品とは、対象患者数が本邦において5万人未満であること、用途に関して特に優れた使用価値を有することとなるなどの条件に合致するものとして、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が指定し、公示されるものである。
  • 希少疾病用医薬品の条件に該当しなくなった場合や、正当な理由なく試験研究または製造販売が行われない場合、厚生労働大臣は指定を取り消すことができる。

 

▶99回必須(法規)71

希少疾病用医薬品の指定の条件において、我が国におけるその用途に係る対象者数として規定されているのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 5,000人未満
  2. 10,000人未満
  3. 50,000人未満
  4. 100,000人未満
  5. 200,000人未満

 

 

希少疾病用医薬品に係る規定

  • 医薬品等の製造販売の承認に当たり、臨床試験の試験成績に関する資料の一部の添付を要しないこと、必要な審査または調査を他の医薬品に優先して行うことができる。
  • 国は、希少疾病用医薬品の試験研究を促進するのに必要な資金の確保に努めること、税制上の措置を講ずることとしている。

 

▶100回一般(法規)143

希少疾病用医薬品として指定されたものに対して、国又は厚生労働大臣がとる施策として医薬品医療機器等法に規定されていないのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 製造販売承認の申請にかかる審査について、他のものに優先して行うことができる。
  2. 試験研究を促進するために必要な資金の確保に努める。
  3. 試験研究を促進するために必要な税制上の措置を講ずる。
  4. 製造所における製造管理又は品質管理の方法が基準に適合しているかの調査について、他のものに優先して行うことができる。
  5. 再評価制度の対象から除外する。

 

 


 

▶105回必須(法規)80

希少疾病用医薬品に関する記述のうち、適切なのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 指定難病の患者に対する治療薬のことである。
  2. 国が主体となって製品化を行う。
  3. 指定された後に、取り消されることはない。
  4. 承認されるまで、指定されたことは公開されない。
  5. 他の医薬品に優先して承認審査を受けられる。

 

 


 

▶104回一般理論(法規)143

希少疾病用医薬品に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 用途に係る対象者の数が、本邦において定められた人数に達しない場合に指定されるものである。
  2. 用途に関し、特に優れた使用価値があるものである。
  3. 指定について緊急を要する場合は、薬事・食品衛生審議会の意見を聴くことなく指定できる。
  4. 指定されたときは、その旨が公示される。
  5. 正当な理由なく試験研究が行われないときは、指定を取り消されることがある。

 

 

特定用途医薬品

特定用途医薬品は、対象とする用途の需要が著しく充足していないことや、製造販売の承認が与えられた場合、その用途に関して特に優れた使用価値を有することなどの条件に合致するものとして、薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が指定するものである。

 

▶109回一般理論(法規)144

特定用途医薬品の指定に必須となる要件はどれか。2つ選べ。

 

  1. 製造販売の承認が与えられた場合に、その用途に関し、特に優れた使用価値を有すること。
  2. その用途に係る対象者が我が国で5万人未満であること。
  3. その用途に関し、既に製造販売承認を与えられている医薬品と作用機序が明らかに異なる物であること。
  4. その用途が、感染症の拡大などの緊急時に用いる必要がある物であること。
  5. その用途が、厚生労働大臣が指定する区分に属する疾病の治療等であって、その用途に係る需要が著しく充足されていないと認められる物であること。

 

 

指定薬物

  • 指定薬物とは、中枢神経系の興奮、抑制、幻覚の作用を有する蓋然性が高く、保健衛生上の危害が発生するおそれがあるものとして、厚生労働大臣が薬事審議会の意見を聴いて指定するものをいう。
  • 医薬品医療機器等法に基づき、疾病の診断、治療、予防の用途および人の身体に対する危害の発生を伴うおそれがない用途(医療等の用途)以外の用途に供するために製造、輸入、販売、授与、所持、購入、譲り受けを行ってはならない。

 

▶103回一般理論(法規)143

指定薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 麻薬は、指定薬物に含まれる。
  2. 覚醒剤は、指定薬物に含まれる。
  3. 何人も広告を行ってはならない。
  4. 医薬品医療機器等法による「医療等の用途」以外の用途に使用してはならない。
  5. 厚生労働大臣は、指定薬物の疑いがある物品を発見した場合、その物品を貯蔵している者に対して、指定薬物であるかどうかの検査を受けるべきことを命ずることができる。

 

 


 

▶109回一般理論(法規)145

指定薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 麻薬及び向精神薬取締法に基づき、厚生労働大臣が指定する。
  2. 緊急を要する場合、薬事・食品衛生審議会の意見を聴かずに、厚生労働大臣が指定できる。
  3. ジアセチルモルヒネ(ヘロイン)は指定薬物に該当する。
  4. 指定には、1つ1つの物質を個別に指定(個別指定)と特定の構造を有する物質を一括した指定(包括指定)の2つがある。
  5. 「医療等の用途」以外の用途に供するための製造、販売、購入等は禁止されているが、所持の制限はない。

 

 


 

▶100回一般(法規)142

医薬品医療機器等法で規制される指定薬物に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 指定薬物を含有する植物は、すべて指定薬物として規制される。
  2. 指定薬物の製造、販売等が認められる「医療等の用途」とは、疾病の診断、治療又は予防の用途及び犯罪鑑識の用途のみである。
  3. 指定薬物の広告に関する規制はない。
  4. 厚生労働大臣は、医薬品医療機器等法の規定に違反して販売された指定薬物を薬事監視員に回収させることができる。
  5. 医薬品医療機器等法の規定に違反して指定薬物を販売した者に対する罰則は、罰金のみである。

 

 

毒薬・劇薬

  • 医薬品のうち毒性・劇性が強いものを厚生労働大臣が薬事・食品衛生審議会の意見を聴いて毒薬・劇薬として指定する。
  • 毒薬は容器または被包に、黒地・白枠・白字で「毒」の文字を記載しなければならない。一方、劇薬は白地・赤枠・赤字で「劇」の文字を記載しなければならない。

 

▶105回必須(法規)72

毒薬は、直接の容器又は直接の被包に「【 ① 】地に【 ② 】枠、【 ② 】字をもって、品名及び「毒」の文字」を記載する。色の組合せとして正しいのはどれか。1つ選べ。

 

105 72y

 

 

毒薬・劇薬の規定

  • 業務上毒薬または劇薬を取り扱う者は、他の物と区別して貯蔵、陳列しなければならない。毒薬については、貯蔵、陳列する場所にかぎを施さなければならない。
  • 毒薬または劇薬は、14歳未満の者その他安全な取扱いをすることについて不安があると認められる者には交付してはならない。

 

▶103回一般理論(法規)142

毒薬又は劇薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 毒薬には、その直接の容器又は直接の被包に、白地に赤枠、赤字をもって、その品名及び「毒」の文字が記載されていなければならない。
  2. 薬局開設者は、封を開いて毒薬を販売することができる。
  3. 薬局開設者は、常時取引関係を有する薬剤師に対して劇薬を販売する場合、法で定められた事項が記載された文書を受け取る必要はない。
  4. 毒薬又は劇薬は、16歳未満の者には交付してはならない。
  5. 病院又は診療所において、劇薬を貯蔵する場所にはかぎを施さなければならない。

 

 


 

▶99回一般(法規)141

処方せん医薬品並びに毒薬及び劇薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 体外診断用医薬品は、処方せん医薬品として指定される。
  2. 正当な理由があれば、処方せんを受けた者以外の者に対して、処方せん医薬品を販売または授与することができる。
  3. 薬局開設者は、処方せん医薬品の販売又は授与を記録した帳簿を、最終の記載の日から3年間保存しなければならない。
  4. 業務上劇薬を取り扱う者は、貯蔵する場所に「医薬品」及び「劇」の文字を表示しなければならない。
  5. 毒薬は、かぎをかけた場所に他の物と区別して貯蔵しなければならない。

 

 

 

医療品等の安全対策

6編2章:医薬品等の安全性と有効性の確保

医薬品リスク管理計画(RMP:Risk Management Plan)

  • RMPは、医薬品の開発から市販後まで一貫したリスク管理をまとめた文書で、医薬品の安全性の確保を図るものである。
  • 設定された安全性検討事項(重要な特定リスク、潜在的リスク、不足情報)に対して、医薬品安全性監視活動リスク最小化活動の計画が策定され、その実施状況や報告内容に基づいて、ベネフィット・リスクバランスが評価される。

 

▶105回必須(法規)74

以下の略語のうち、医薬品の開発段階から安全対策を実施することで、製造販売後の医薬品の安全性の確保を図ることを目的とするのはどれか。1つ選べ。

 

  1. DPC
  2. EBM
  3. IRB
  4. RMP
  5. SDG

 

 


 

▶107回一般理論(法規)144

医薬品リスク管理計画に関する説明のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. GCP省令に基づき、医薬品の製造販売後のリスクとベネフィットを評価する。
  2. 安全性検討事項として、重要なリスクを特定し、それに対して安全性監視計画とリスク最小化計画を策定・実施する。
  3. 安全性検討事項には、特定されたリスクに加え、潜在的なものや不足情報も含まれる。
  4. 安全性監視計画には、添付文書の作成や改訂が含まれる。
  5. リスク最小化計画には、副作用・感染症報告制度に基づく副作用評価が含まれる。

 

 

市販直後調査

新医薬品が販売開始されると、治験時よりも使用患者が増加し、重篤な副作用が発現する可能性もあるため、製造販売業者等は販売開始直後の6ヵ月間、副作用等情報を把握するための市販直後調査を実施している。

 

▶107回必須(法規)73

GVP省令に基づき、新医薬品の適正使用のための情報提供と副作用情報の把握のために、市販後のある一定期間、製造販売業者が行う調査はどれか。1つ選べ。

 

  1. 一般使用成績調査
  2. 製造販売後臨床試験
  3. 市販直後調査
  4. 特定使用成績調査
  5. 使用成績比較調査

 

 


 

▶109回必須(法規)74

新有効成分含有医薬品等の市販直後調査の実施は、どの時点から6ケ月と規定されているか。1つ選べ。

 

  1. 承認申請した時
  2. 承認を受けた時
  3. 販売を開始した時
  4. 薬価収載された時
  5. 医薬品リスク管理計画を策定した時

 

 

添付文書

  • 医薬品医療機器等法に基づき、医薬品等の適正な使用や安全性に関する情報を伝達するため、医薬品等に添付する添付文書等により、使用上の注意や用法・用量などの情報提供が行われている。
  • 医薬品等の製造販売業者には添付文書等記載事項の届出・公表が義務づけられており、記載事項に必要な変更が生じた場合届け出る必要がある。

 

▶106回一般理論(法規)147

医薬品の添付文書等(医薬品に添付する文書又はその容器若しくは被包)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 製造販売業者は、添付文書等記載事項について、法令で定められた方法によって公表しなければならない。
  2. 添付文書等記載事項は、薬価改定にあわせて変更しなければならない。
  3. 添付文書等記載事項は、医薬品に関する最新の論文その他により得られた知見に基づき、記載されていなければならない。
  4. 製造販売業者は、厚生労働大臣が指定する医薬品の添付文書等記載事項の内容について、あらかじめ厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
  5. 添付文書等に承認を受けていない効能又は効果を記載するためには、承認を受けていない旨を注記しなければならない。

 

 


 

▶104回必須(病態)67

要指導医薬品及び一般用医薬品の添付文書への記載項目に該当しないのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 製品の特徴
  2. 使用上の注意
  3. 効能又は効果
  4. 臨床成績
  5. 用法及び用量

 

 


 

▶101回必須(病態)66

一般用医薬品の添付文書に記載する必要のない項目はどれか。1つ選べ。

 

  1. 改訂年月
  2. 添付文書の必読及び保管に関する事項
  3. 製品の特徴
  4. 薬効薬理
  5. 消費者相談窓口

 

 

医薬品インタビューフォーム

医薬品インタビューフォームとは添付文書を補完する学術資料として、日本病院薬剤師会が記載要領を策定して、製薬企業に作成・提供を依頼している情報である。

 

▶103回必須(病態)66

医薬品インタビューフォームに関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 医薬品医療機器等法で定められた公文書である。
  2. 医療用医薬品添付文書を補完する三次資料である。
  3. 記載事項は医療用医薬品添付文書と同一である。
  4. 独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)が作成し、提供している。
  5. 厚生労働省が記載要領を策定している。

 

 

医薬品安全対策情報(DSU)

DSU(Drug Safety Update)は、医療用医薬品の添付文書に記載されている「使用上の注意」の改訂情報である。

 

▶108回必須(病態)69

医療用医薬品の「使用上の注意」改訂を取りまとめた医薬品情報源はどれか。1つ選べ。

 

  1. 医薬品リスク管理計画(RMP)
  2. 重篤副作用疾患別対応マニュアル
  3. 緊急安全性情報
  4. 医薬品安全対策情報(DSU)
  5. 医療用医薬品製品情報概要

 

 


 

▶106回必須(病態)69

図中の【 ア 】に入る語句はどれか。1つ選べ。

 

106 69y

 

  1. COCHRANE LIBRARY
  2. DRUG SAFETY UPDATE
  3. INTERVIEW FORM
  4. PHYSICIANSʼ DESK REFERENCE
  5. RISK MANAGEMENT PLAN

 

 

緊急安全性情報(イエローレター)

緊急安全性情報は、添付文書の改訂時に、緊急に安全対策上の措置をとる必要があると判断された場合、厚生労働省からの配布指示に基づき製造販売業者が作成する文書である。

 

▶103回必須(実務)82

添付文書の「警告」や「禁忌」に追加する情報を迅速に伝達するために、厚生労働省の指示のもとに製造販売業者が作成する文書はどれか。1つ選べ。

 

  1. 医療用医薬品製品情報概要
  2. イエローレター
  3. 医薬品安全対策情報
  4. 医薬品・医療機器等安全性情報
  5. 医薬品インタビューフォーム

 

 

安全性速報(ブルーレター)

安全性速報は、緊急安全性情報に準じ、一般的な使用上の注意の改訂情報よりも迅速な安全対策措置をとる必要があると判断された場合に、厚生労働省からの配布指示に基づき製造販売業者が作成する文書である。

 

▶99回必須(病態)66

医薬品等の安全性に関する重要な情報であり、緊急安全性情報に準じ厚生労働省の指示で製造販売業者が作成し、指示後1ヶ月以内に医療関係者へ伝達するものはどれか。1つ選べ。

 

  1. PMDA医療安全情報
  2. 安全性速報
  3. 医薬品安全対策情報
  4. 医薬品・医療機器等安全性情報
  5. 医療用医薬品製品情報概要

 

 

医薬品・医療機器等安全性情報

厚生労働省は医薬品・医療機器等の副作用等の情報を収集し、重要なものについては医薬品・医療機器等安全性情報を作成して医療関係者等に逐次送付している。

 

▶107回必須(病態)69

厚生労働省が発行する資料はどれか。1つ選べ。

 

  1. 医療用医薬品添付文書
  2. 医薬品インタビューフォーム
  3. 医薬品リスク管理計画
  4. 医薬品・医療機器等安全性情報
  5. くすりのしおり

 

 

医薬品等に係る被害救済制度

  • 医薬品を適正に使用して発生した副作用被害で、賠償責任を有する者が不明である健康被害に対し、医薬品医療機器総合機構(PMDA)が救済給付を行っている。
  • 救済給付の種類として、医療費、医療手当、障害年金、障害児養育年金、遺族年金、遺族一時金、葬祭料がある。

 

▶104回一般理論(法規)146

独立行政法人医薬品医療機器総合機構法において規定されている副作用被害救済給付の対象となるのはどれか。2つ選べ。なお、いずれの場合も入院を要する程度の健康被害とする。

 

  1. 副作用の原因となった許可医薬品について、賠償責任者が不明である場合
  2. 救命のためやむをえず通常の使用量を超えて許可医薬品を使用したことにより生じた副作用で、その発生があらかじめ認識されていた場合
  3. 任意に予防接種を受けたことにより副作用が生じた場合
  4. 抗悪性腫瘍剤のアクチノマイシンDを使用したことにより副作用が生じた場合

 

 


 

▶102回必須(法規)76

医薬品副作用被害救済制度における副作用救済給付の対象として、誤っているのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 医療費
  2. 医療手当
  3. 障害年金
  4. 休業保障
  5. 葬祭料

 

 

再評価制度

再評価制度は、すでに承認された医薬品について、現在の医学薬学の学問水準から有効性と安全性を見直す制度である。

 

▶101回必須(法規)78

すでに承認されている医薬品について、その時点での知見に基づいて承認の可否を見直す制度はどれか。1つ選べ。

 

  1. 使用成績調査
  2. 医薬品リスク管理
  3. 薬価改定
  4. 再評価
  5. 製造販売後臨床試験

 

 

再審査制度

  • 再審査制度は、新医薬品等の承認後に使用成績の調査などの市販後調査を行わせ、一定期間の後にその医薬品の有効性と安全性を確認するものである。
  • 対象となる新医薬品等とは、すでに製造販売の承認を与えられている医薬品と、有効成分、分量、用法、用量、効能、効果などが明らかに異なる医薬品である。

 

▶106回一般理論(法規)144・98回必須(法規)78類問

医薬品の再審査制度に関する記述のうち、適切なのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 再審査制度は、特許期間の終了前に医薬品の有効性及び安全性を再確認する制度である。
  2. 再審査のための調査や試験に必要な期間を再審査期間として、製造販売業者が厚生労働大臣に届出を行う。
  3. 再審査申請書には、医薬品の使用成績調査に関する資料の添付が必要である。
  4. 再審査期間中の副作用報告は、製造販売業者のみに対し義務づけられている。
  5. 後発医薬品は、再審査の対象となっている。

 

 

医薬品等の広告

医薬品医療機器等法に基づき、医療品等の誇大広告等が規制されており、医薬品等適正広告基準によって適正化が図られている。

 

▶104回一般理論(法規)142

医薬品等の広告に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 医薬関係者向けの専門誌には、承認される前の医薬品の広告を掲載できる。
  2. 医薬関係者向けの専門誌には、医薬品医療機器等法に基づいて指定されたがんの治療薬の広告を掲載できる。
  3. 放送事業者や出版社は、我が国で未承認の医療機器であっても、海外で承認されていれば性能・効果を広告できる。
  4. 放送事業者や出版社は、医薬品の効能・効果を誇大に広告できる。
  5. 放送事業者や出版社は、医師が医薬品の効能・効果を保証する記事を広告できる。

 

 

 

覚醒剤取締法

6編3章:特殊な医薬品、毒物・劇物

概要

  • 覚醒剤取締法は、覚醒剤およびその原料の輸入、輸出、所持、製造、譲渡、譲受、使用に関して必要な取締りを行うことを目的とする。
  • 覚醒剤として、フェルアミノプロパン、フェニルメチルアミノプロパン及び各その塩類のほか、政令で指定された覚醒作用を有するものが掲げられる。

 

▶105回必須(法規)77

覚醒剤取締法で規制されるのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 大麻
  2. モルヒネ
  3. 亜硝酸イソブチル
  4. フェニルアミノプロパン
  5. ペンタゾシン

 

 

医薬品である覚醒剤原料の取扱い

  • 医薬品である覚醒剤原料は、鍵をかけた堅固な場所で保管しなければならない。
  • 薬局開設者は、処方箋に基づき調剤した医薬品である覚醒剤原料を患者に譲り渡すことができる。

 

▶107回一般理論(法規)146

医薬品である覚醒剤原料について、薬局における法令に基づく取扱いとして、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. かぎをかけて薬品庫に保管する。
  2. 麻薬と一緒に保管できる。
  3. 薬局で調剤するためには、覚醒剤施用機関としての指定を受ける必要がある。
  4. 処方箋に基づき調剤し、患者に譲渡することができる。
  5. 使用期限が切れた調剤前のものを廃棄した場合、30日以内に都道府県知事に届け出る。

 

 

 

大麻取締法

6編3章:特殊な医薬品、毒物・劇物

大麻

  • 「大麻」とは、大麻草(カンナビス・サティバ・エル)とその製品をいう。
  • ただし、大麻草の成熟した茎とその製品(樹脂を除く)、大麻草の種子とその製品を除く。

 

▶109回必須(法規)77

大麻取締法で規定される「大麻」に該当しない大麻草(カンナビス・サティバ・エル)の部位はどれか。1つ選べ。

 

  1. 花穂
  2. 未熟な茎
  3. 種子

 

 

 

麻薬及び向精神薬取締法

6編3章:特殊な医薬品、毒物・劇物

麻薬取扱者

●厚生労働大臣の免許を受ける者

麻薬輸入業者、麻薬輸出業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者、家庭麻薬製造業者、麻薬元卸売業者

 

●都道府県知事の免許を受ける者

麻薬卸売業者、麻薬小売業者、麻薬施用者、麻薬管理者、麻薬研究者

 

▶104回必須(法規)75

都道府県知事の免許を受けることが必要なのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 麻薬製剤業者
  2. 麻薬輸出業者
  3. 麻薬輸入業者
  4. 麻薬小売業者
  5. 麻薬製造業者

 

 

麻薬処方箋

  • 麻薬施用者は、麻薬を記載した処方箋(麻薬処方箋)を交付する。そこには、患者の氏名、麻薬の品名、分量、用法用量、自己の氏名、免許証の番号等を記載しなければならない。
  • 麻薬小売業者は、都道府県知事の免許を受けて、麻薬処方箋により調剤された麻薬を譲り渡すことを業とする。

 

▶109回必須(実務)90・98回必須(実務)86類問

麻薬及び向精神薬取締法に基づき、入院患者の麻薬処方箋に記載しなければならない必須事項はどれか。1つ選べ。

 

  1. 患者の住所
  2. 処方箋の使用期間
  3. 麻薬施用者の免許証の番号
  4. 麻薬業務所の名称
  5. 麻薬業務所の所在地

 

 


 

▶106回必須(法規)76

麻薬処方箋により調剤された麻薬を譲り渡すことを業とする者はどれか。1つ選べ。

 

  1. 麻薬製造業者
  2. 麻薬卸売業者
  3. 麻薬小売業者
  4. 麻薬施用者
  5. 麻薬管理者

 

 

麻薬の輸出

  • 麻薬輸出業者でなければ麻薬を輸出してはならない。
  • ただし、本邦から出国する者が、厚生労働大臣の許可を受けて、自己の疾病の治療の目的で携帯して輸出する場合を除く。
  • なお、向精神薬も同様に携帯して出国(輸出)できるが、厚生労働大臣の許可は要しない。

 

▶106回必須(法規)77

患者が自らの治療のために、2週間程度の海外旅行に携帯する場合、地方厚生(支)局長の許可が必要となるのはどれか。1つ選べ。なお、地方厚生(支)局長は、厚生労働大臣から権限が委任されているものとする。

 

  1. 麻薬
  2. 向精神薬
  3. あへん
  4. 覚醒剤
  5. 大麻

 

 

証紙による封かん

  • 麻薬輸入業者、麻薬製造業者、麻薬製剤業者は、小分けした麻薬を譲り渡す場合、麻薬を収めた容器または容器の直接の被包に、政府発行の証紙で封を施さなければならない。
  • 麻薬小売業者を除く麻薬営業者は、封が施されているままでなければ麻薬を譲り渡してはならない。
  • 麻薬施用者または麻薬小売業者は、封が施されているまま、麻薬を交付、譲り渡してはならない。

 

▶107回必須(法規)76

次のうち、麻薬及び向精神薬取締法に基づく「証紙による封かん」の封が施されていない麻薬を譲り渡すことができる業者はどれか。1つ選べ。

 

  1. 麻薬輸入業者
  2. 麻薬製造業者
  3. 麻薬元卸売業者
  4. 麻薬卸業者
  5. 麻薬小売業者

 

 

向精神薬取扱者

●厚生労働大臣の免許を受ける者

向精神薬輸入業者、向精神薬輸出業者、向精神薬製造製剤業者、向精神薬使用業者

 

●都道府県知事の免許を受ける者

向精神薬卸売業者、向精神薬小売業者

 

薬局開設の許可を受けた者は、向精神薬卸売業者および向精神薬小売業者の免許を受けた者とみなす。

 

▶105回必須(法規)71

薬局開設者が、都道府県知事に別段の申出をしない限り、免許を受けたとみなされるのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 向精神薬輸入業者
  2. 向精神薬輸出業者
  3. 向精神薬製造製剤業者
  4. 向精神薬使用業者
  5. 向精神薬小売業者

 

 

事故の届出

向精神薬取扱者は、向精神薬について、滅失、盗取、所在不明等の事故が生じた場合、速やかにその品名・数量等を、業者の種類に応じて厚生労働大臣または都道府県知事に届け出なければならない。

 

▶102回必須(法規)75

薬局で向精神薬を取扱う場合、法令に基づいて届出が必要とされているのはどれか。1つ選べ。なお、薬局は、向精神薬営業者に関して別段の申し出はしていないものとする。

 

  1. 処方箋に基づく譲渡
  2. 他の薬局への譲渡
  3. 向精神薬卸売業者からの譲受
  4. 廃棄
  5. 一定量以上の滅失、盗取等の事故

 

 

向精神薬の分類

  • 向精神薬は、その乱用の危険性と治療上の有用性により、第1種向精神薬第2種向精神薬第3種向精神薬の3種類に分類されている。
  • 向精神薬輸入業者または向精神薬輸出業者が、第1種向精神薬を輸入または輸出しようとする場合、その都度厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
  • 向精神薬営業者は第1種向精神薬、第2種向精神薬を譲り渡し、譲り受け、または廃棄した場合、その品目、数量、年月日等の事項を記録しなければならない。

 

▶105回必須(実務)86

薬局間で譲渡を行う際、譲受・譲渡の記録が法律上必要なのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 化粧品
  2. 医薬部外品
  3. 第二類医薬品
  4. 指定第二類医薬品
  5. 第二種向精神薬

 

 


 

▶103回一般理論(法規)146

向精神薬に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 向精神薬は、第一種及び第二種向精神薬の2種類に分類される。
  2. 向精神薬取扱者が、向精神薬を廃棄する場合には、届出は不要である。
  3. 向精神薬卸売業者は、免許を受けた業務所が所在する都道府県外の向精神薬小売業者に向精神薬を譲り渡すことができない。
  4. 向精神薬を調剤する際には、都道府県知事の免許を受けた医師の処方箋であることの確認が必要である。
  5. 薬局開設者は、辞退を申し出ない限り、向精神薬卸売販売業及び向精神薬小売業の免許を受けた者とみなされる。

 

 


 

▶99回一般(法規)145

麻薬及び向精神薬の取扱いについて、正しいのはどれか。2つ選べ。なお、地方厚生(支)局長は、厚生労働大臣から権限が委任されているものとする。

 

  1. 向精神薬を用いて動物実験等の研究を行う施設の設置者の登録は、地方厚生(支)局長又は都道府県知事が行う。
  2. 麻薬研究者が研究用の麻薬を製造する場合は、その都度、都道府県知事の許可が必要である。
  3. 海外旅行をする際、向精神薬を携帯するには、地方厚生(支)局長の許可が必要である。
  4. 家庭麻薬製造業者は、特段の許可を受けることなくコデイン、ジヒドロコデイン及びその塩類を麻薬製剤業者に譲り渡すことができる。
  5. 向精神薬輸出業者が第一種向精神薬を輸出する際には、その都度、地方厚生(支)局長の許可が必要である。

 

 

 

毒物及び劇物取締法

6編3章:特殊な医薬品、毒物・劇物

毒物・劇物の表示

毒物及び毒物取締法は、医薬品と医薬部外品を除く農薬や工業製品など日常流通する有用な化学物質について、毒性の強さに応じて毒物、劇物、特定毒物に指定している。毒物劇物営業者は、その容器及び被包に以下の表示をする必要がある。

 

  • 「医薬用外」の文字
  • 毒物については赤地に白色をもって「毒物」の文字
  • 劇物については白地に赤色をもって「劇物」の文字

 

▶107回必須(法規)75

毒物劇物営業者が行う毒物の容器及び被包への表示方法として、正しいのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 「医薬用外」の文字及び白地に黒色をもって「毒物」の文字
  2. 「医薬用外」の文字及び黒地に白色をもって「毒物」の文字
  3. 「医薬用外」の文字及び赤地に白色をもって「毒物」の文字
  4. 「医薬用外」の文字及び白地に赤色をもって「毒」の文字
  5. 「医薬用外」の文字及び白地に黒色をもって「毒」の文字

 

 

営業の登録・毒物劇物取扱責任者

○営業の登録
  • 毒物または劇物の製造業、輸入業、販売業の登録は、製造所、営業所、店舗ごとに都道府県知事が行う。登録事項として、製造業または輸入業では毒物または劇物の品目を登録しなければならない。
  • 製造業または輸入業の登録は5年ごとに、販売業の登録は6年ごとに更新を受けなければ、その効力を失う。

 

○毒物劇物取扱責任者

  • 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を直接取り扱う製造所等ごとに専任の毒物劇物取扱責任者を置き、保健衛生上の危害の防止に当たらせなければならない。
  • 毒物劇物取扱責任者は、①薬剤師、②厚生労働省令で定める学校で、応用化学に関する学課を修了した者、③都道府県知事が行う毒物劇物取扱者試験に合格した者でなければなることができない。

 

▶106回一般理論(法規)149

毒物及び劇物取締法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を直接に取り扱う製造所、営業所又は店舗ごとに、原則として、専任の毒物劇物取扱責任者を置かなければならない。
  2. 毒物劇物取扱責任者は、薬剤師でなければならない。
  3. 毒物又は劇物の製造業の登録及び販売業の登録は、毎年、更新を受けなければその効力を失う。
  4. 毒物又は劇物の製造業の登録は、製造しようとする品目を登録しなければならない。
  5. 毒物又は劇物の製造業の登録を行えば、登録品目と同じ毒物又は劇物の輸入を行うこともできる。

 

 

特定毒物研究者・特定毒物使用者

●特定毒物研究者

特定毒物研究者とは、学術研究のために特定毒物を製造、輸入、使用する者として都道府県知事から許可を受けた者で、特定毒物を学術研究以外の用途に供してはならない。

 

●特定毒物使用者

特定毒物使用者とは、特定毒物を使用することができる者として品目ごとに政令で指定する者で、特定毒物を品目ごとに政令で定める用途以外の用途に供してはならない。

 

▶103回一般理論(法規)147

特定毒物の取扱いに関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 毒物劇物営業者は、特定毒物を所持できない。
  2. 特定毒物研究者になるには、都道府県知事(又は政令指定都市の市長)の許可が必要である。
  3. 特定毒物使用者は、特定毒物の用途に制限を受けない。
  4. 特定毒物研究者は、特定毒物を貯蔵する場所に「特定毒物」の文字を表示しなければならない。
  5. 毒物劇物輸入業者は、特定毒物を輸入できる。

 

 


 

▶109回一般理論(法規)146

毒物及び劇物取締法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 興奮、幻覚、麻酔作用を有する毒物又は劇物を交付する場合、その交付を受ける者の氏名及び住所を確認しなければならない。
  2. 引火性、発火性又は爆発性を有し、業務その他正当な目的以外での所持が認められないものとして、トルエンが指定されている。
  3. 特定毒物使用者は、特定毒物を品目ごとに政令で定める用途以外の用途に供してはならない。
  4. 毒物及び劇物の容器・被包には「医薬用外」の文字とともに、毒物については黒地に白色で「毒物」の文字、劇物については白地に赤色で「劇物」の文字を表示しなければならない。
  5. 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を直接に取り扱う製造所、営業所又は店舗ごとに原則として、専任の毒物劇物取扱責任者を置かなければならない。

 

 

その他の各種規定

●届出

毒物劇物営業者は、氏名や住所、法人名や事務所の所在地等を変更した場合、30日以内に所在地の都道府県知事にその旨を届け出なければならない。

 

●事故の際の措置

毒物劇物営業者・特定毒物研究者は、毒物または劇物が盗難にあい、または紛失した場合、直ちに警察署に届け出なければならない。

 

●譲渡手続

毒物劇物営業者は、毒物または劇物を他の毒物劇物営業者に販売、授与したときは、その都度、必要事項を書面に記載しておかなければならず、販売または授与の日から5年間保存しなければならない。

 

▶101回一般理論(法規)145

毒物及び劇物取締法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 特定毒物研究者は、特定毒物を学術研究以外の用途で使用することができる。
  2. 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物を直接に取り扱う製造所、営業所又は店舗ごとに、原則として、専任の毒物劇物取扱責任者を置かなければならない。
  3. 毒物劇物営業者は、毒物又は劇物の譲渡に係る書面を、販売又は授与の日から10年間保管しなければならない。
  4. 毒物劇物営業者は、その取扱いに係る毒物又は劇物が盗難にあい、又は紛失したときは、直ちに、その旨を警察署に届け出なければならない。
  5. 毒物劇物営業者は、その製造所、営業所又は店舗の名称を変更したときは、新たに登録を受けなければならない。

 

 

 

安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律〈血液法〉

6編3章:特殊な医薬品、毒物・劇物

理念

血液法の基本理念として、以下の4点が掲げられている。

 

  • 血液製剤の安全性の向上
  • 血液製剤の国内自給の確保と安定供給
  • 血液製剤の適正使用の推進
  • 施策の策定・実施に当たり公正の確保と透明性の向上

 

▶106回必須(法規)75

国内自給確保の基本理念が法律で規定されているのはどれか。1つ選べ。

 

  1. ワクチン製剤
  2. 血液製剤
  3. 麻薬製剤
  4. 漢方製剤
  5. 抗生物質製剤

 

 


 

▶99回一般(法規)144

安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律に規定されている基本理念に掲げられていないのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 血液製剤は、その安全性の向上に常に配慮して、製造、供給又は使用されなければならない。
  2. 血液製剤は、貴重なものであること等から、適正に使用されなければならない。
  3. 血液製剤は、できるだけ低廉な価格で供給されるようにしなければならない。
  4. 血液製剤は、国内自給が確保されることを基本とするとともに、安定的に供給されるようにしなければならない。
  5. 血液製剤に関する施策の策定及び実施に当たっては、公正の確保及び透明性の向上が図られるよう努めなければならない。

 

 

採血に係る規定

  • 血液製剤の原料とするために、業として人体から採血しようとする者は、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。ただし、病院または診療所で診療のために用いられる血液製剤のみの原料とする目的での採血はこの限りでない。
  • 何人も有料で人体から採血し、または人の血液の提供のあっせんをしてはならない。
  • 業として人体から採血することは、医療及び歯科医療以外の目的で行われる場合であっても、医師法に規定する医業に該当するものとする。

 

▶102回一般理論(法規)145

安全な血液製剤の安定供給の確保等に関する法律に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 血液製剤は、医薬品医療機器等法上の医薬品から除外されている。
  2. 血液製剤を製造販売する場合は、この法律の規定による許可を受けなければならない。
  3. 病院又は診療所以外の場所において、血液製剤の原料とする目的で、業として人体から採血するには、厚生労働大臣の許可が必要である。
  4. 業として採血することは、医業にあたる。
  5. 血液製剤の原料とする目的で採血するときは、その対価を支払うことができる。

 

 

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

テーマ別

統計問題法律問題薬事制度問題

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

国民衛生の動向」は、医療や公衆衛生、福祉など厚生行政の全体像を1冊に集約し、法律や制度の概要、歴史、改正内容などを網羅しています。

 

薬剤師国家試験では、専門的な薬学総論・各論だけでなく、衛生、保健、福祉、社会保障など、幅広い法律・制度の知識が問われています。

 

このページでは、第109回(2024年)から第98回(2013年)までの12年分の薬剤師国家試験の中から、法律ごとに「国民衛生の動向」の記述を基に要点を簡潔にまとめ、理解と実践を図れるように構成しています。

 

出題傾向を把握し、より詳細な制度内容や関連規定、歴史的背景や改正点などを「国民衛生の動向」内で確認し、法律に対する理解を深めていただければ幸いです。

 

※医薬品医療機器等法など薬事に係る法律は「薬事制度問題まとめ」をご確認ください。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

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ネット書店

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▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

テーマ別

統計問題法律問題薬事制度問題

 

目次

●第3編 保健対策

 

●第4編 医療提供体制と医療保険

 

●第5編 保険医療を取り巻く社会保障

 

●第7編 生活環境

 

●第8編 労働衛生

 

●第9編 環境保健

 

●第10編 学校保健

 

 

感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律〈感染症法〉

第3編3章 感染症対策 p123~148

感染症の分類

感染症法では、対象とする感染症の感染力や罹患した場合の症状の重篤性などに基づいて1~5類感染症、新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症に分類している。

 

●1類感染症

エボラ出血熱、クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱

 

●2類感染症

急性灰白髄炎、結核、ジフテリア、重症急性呼吸器症候群〈SARS〉、中東呼吸器症候群〈MERS〉、鳥インフルエンザ(H5N1、H7N9)

 

●3類感染症

コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス

 

●4類感染症

E型肝炎、A型肝炎、黄熱、Q熱、狂犬病、鳥インフルエンザ(2類以外)、ボツリヌス症、マラリア、野兎病、そのほか動物又はその死体、飲食物、衣類、寝具その他の物件を介して人に感染し、国民の健康に影響を与えるおそれがあるものとして政令で定めるもの

 

●5類感染症

インフルエンザ(鳥・新型インフルエンザ除く)、ウイルス性肝炎(4類以外)、クリプトスポリジウム症、後天性免疫不全症候群〈AIDS〉、性器クラミジア感染症、梅毒、麻しん、メチシリン耐性黄色ブドウ球菌感染症、そのほか国民の健康に影響を与えるおそれがあるものとして厚生労働省令で定めるもの

 

▶99回必須(衛生)19

「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」において二類感染症に指定されているのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 結核
  2. 風しん
  3. ペスト
  4. コレラ
  5. 細菌性赤痢

 

 


 

▶108回必須(衛生)16

感染症法において、「動物又はその死体、飲食物、衣類、寝具その他の物件を介して人に感染し、国民の健康に影響を与えるおそれがある感染症」に分類されるのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 性器クラミジア感染症
  2. デング熱
  3. マイコプラズマ肺炎
  4. 麻しん
  5. 流行性耳下腺炎

 

 

感染症類型ごとの対応

  • 1~4類感染症を診断した医師は、直ちに最寄りの保健所長を経由して都道府県知事に届け出なければならない(全数把握対象疾患)。
  • 1~3類感染症の患者で、飲食物に直接接触する業務に従事している者については、感染のおそれがなくなるまでその業務の就業を制限する。
  • 1~4類感染症の患者により、感染症の病原体に汚染された、または疑いのある場所について消毒すべきことを命ずることができる。

 

▶100回一般(衛生)128

「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律(感染症法)」に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 1類感染症の対象疾患は、すべてウイルスが病因の疾患である。
  2. 3類感染症の対象疾患は、すべて細菌が病因の疾患である。
  3. 1~4類感染症は、すべて全数把握対象疾患である。
  4. 1~4類感染症の患者は、すべて特定業種への就業が制限される。
  5. 4類及び5類感染症の対象疾患は、いずれも人から人へ直接感染することはない。

 

 


 

▶105回必須(衛生)19

感染症法により、病原体に汚染された場所に消毒等の対物措置が必要とされる感染症はどれか。1つ選べ。

 

  1. 麻しん
  2. ヘルパンギーナ
  3. 腸管出血性大腸菌感染症
  4. マイコプラズマ肺炎
  5. クリプトスポリジウム症

 

 

 

検疫法

第3編3章 2.検疫 p127~128

検疫感染症

検疫は、国内に常在しない新興・再興感染症が船舶や航空機を介して国内に侵入することを防ぐために実施されるもので、その患者には隔離、停留、消毒等の措置がとられる。

 

【検疫の対象となる検疫感染症】

  • 1類感染症
  • 2類感染症のうち「鳥インフルエンザ(H5N1、H7N9)」「中東呼吸器症候群〈MERS〉」
  • 4類感染症のうち「デング熱」「チタングニア熱」「マラリア」「ジカウイルス感染症」
  • 新型インフルエンザ等感染症

 

▶107回一般理論(衛生)122

検疫に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 検疫法は、国内に常在しない感染症の病原体が船舶又は航空機を介して国内に侵入することの防止を目的としている。
  2. 検疫感染症の患者は、入国停止、隔離、停留あるいは消毒等の措置がとられる。
  3. 新興感染症は、すべて検疫感染症に含まれる。
  4. 検疫感染症には、感染症法に定める一類感染症が含まれる。
  5. 検疫感染症には、感染症法に定める新型インフルエンザ等感染症が含まれる。

 

 

 

予防接種法

第3編3章 4.予防接種 p142~148

定期予防接種の対象疾病

定期予防接種の対象疾病は、予防接種法の改正に伴い以下のとおり追加された。

 

●平成25年(2013年)

Hib感染症、小児の肺炎球菌感染症、ヒトパピローマウイルス(HPV)

 

●平成26年(2014年)

水痘、成人用肺炎球菌

 

●平成28年(2016年)

B型肝炎

 

●令和2年(2020年)

ロタウイルス

 

▶103回必須(衛生)19

母子感染防止事業の徹底により母子感染は激減したが、小児における水平感染が問題となったため、予防接種法における定期接種の対象に新たに加えられたウイルスはどれか。1つ選べ。

 

  1. A型肝炎ウイルス
  2. B型肝炎ウイルス
  3. C型肝炎ウイルス
  4. E型肝炎ウイルス
  5. アデノウイルス

 

 


 

▶99回一般(衛生)129

小児の髄膜炎による死亡や後遺症を予防することを目的として、平成25年から定期接種が行われることになったワクチンはどれか。2つ選べ。

 

  1. 不活化ポリオワクチン
  2. 麻しん・風しん混合ワクチン
  3. インフルエンザ菌b型(Hib)ワクチン
  4. ヒトパピローマウイルスワクチン
  5. 小児用肺炎球菌ワクチン

 

 

A類疾病・B類疾病

予防接種法に基づく定期の予防接種は、主に集団予防を目的とするA類疾病(接種の努力義務あり)と、個人予防を目的とするB類疾病(努力義務なし、高齢者の肺炎球菌感染症・インフルエンザ)に類型化される。

 

▶109回一般理論(衛生)125

予防接種に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 予防接種で得られる免疫は、人工能動免疫に含まれる。
  2. 予防接種によって免疫能を獲得することは、宿主に対する疾病予防である。
  3. 予防接種法におけるA類疾病については、接種の努力義務はない。
  4. 予防接種法におけるB類疾病の予防接種は、個人予防よりも集団予防を主な目的としている。
  5. 予防接種法に定められた予防接種による健康被害は、医薬品副作用被害救済制度により救済される。

 

 

 

定期接種の対象(令和5年5月現在)

【生ワクチン】

  • BCG
  • 麻疹・風疹混合(MR)
  • 麻疹(はしか)
  • 風疹
  • 水痘
  • ロタウイルス(1価、5価)

 

【不活化ワクチン・トキソイド】

  • ポリオ(IPV)
  • ジフテリア・破傷風混合トキソイド(DT)
  • 百日せき・ジフテリア・破傷風混合(DPT)
  • 百日せき・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ混合(DPT-IPV)
  • 日本脳炎
  • インフルエンザ
  • B型肝炎
  • 肺炎球菌(13価結合型)
  • 肺炎球菌(23価莢膜ポリサッカライド)
  • インフルエンザ菌b型(Hib)
  • ヒトパピローマウイルス(HPV)(2価、4価、9価)

 

▶104回一般理論(衛生)124

予防接種法に定める予防接種に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. インフルエンザは、個人の発症又はその重症化の防止に比重を置くため、B類疾病に分類されている。
  2. 日本脳炎の予防接種には、トキソイド由来のワクチンが用いられる。
  3. ポリオのワクチンは、ジフテリア、百日咳、破傷風のワクチンとともに4種混合ワクチンとして接種される。
  4. 水痘に対して、ワクチンの任意接種が行われている。
  5. 原虫感染症に対して、ワクチンの任意接種が行われている。

 

 


 

▶103回一般理論(衛生)128

予防接種に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 予防接種法のA類疾病に対する予防接種のみならず、B類疾病に対する予防接種も、国民の努力義務(勧奨接種)とされている。
  2. 先天性風疹症候群の予防のために、妊娠する前に予防接種により風疹に対する免疫を獲得しておくことが望まれる。
  3. 小学校における集団感染を防止するために、すべての小学生を対象にインフルエンザワクチンの予防接種が定期接種として行われている。
  4. 現在、定期接種において、ポリオに対するワクチンは、弱毒生ワクチンではなく不活化ワクチンが用いられている。
  5. 麻疹及び流行性耳下腺炎の予防接種には、MRワクチンが用いられている。

 

 


 

▶105回一般理論(衛生)131改題

予防接種法に定める定期予防接種に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. B型肝炎の予防接種は、生後12ヶ月までの間に1回のみ接種する。
  2. 4種混合ワクチンであるDPT-IPVは、ジフテリア、百日咳、破傷風及びポリオ(急性灰白髄炎)の予防に用いられる。
  3. 2019年以降、風しんワクチン接種の公費助成の対象者を拡大したのは、近年の風しんの流行及び先天性風しん症候群の報告数の増加によるものである。
  4. 水痘の予防接種を受けた場合、日本脳炎の予防接種は27日以上の間隔を置かなければ受けることができない。
  5. 肺炎球菌感染症は、小児及び高齢者の個人予防を主な目的とするB類疾病に位置付けられている。

 

 


 

▶100回一般(衛生)129

予防接種法に基づく定期予防接種に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 学校内での集団感染を防ぐため、インフルエンザワクチンは6歳で接種する。
  2. ワクチン接種により起こる痛み、腫れ、発赤等の軽度な副反応は、完全には防ぐことができない。
  3. 麻しん及び風しんは、中学校就学以降に感染しやすいため、そのワクチンは11~12歳で接種する。
  4. 乳児や小児の間で流行する感染症の定期予防接種は、母子免疫が消失する前の生後早い時期に設定されている。
  5. BCGワクチンは、予防効果を高めるため1歳と5歳で接種する。

 

 

 

医療法

第4編1章 1.医療法 p166

総則①

医療法は以下の事項を定めること等により、医療を受ける者の利益の保護及び良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保を図り、もって国民の健康の保持に寄与することを目的とする。

 

  • 医療を受ける者による医療に関する適切な選択を支援するために必要な事項
  • 医療の安全を確保するために必要な事項
  • 病院、診療所及び助産所の開設及び管理に関し必要な事項
  • 上記施設の整備、医療提供施設相互間の機能の分担、業務の連携を推進するために必要な事項

 

▶101回必須(法規)74

医療法の目的として、正しいのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 保険給付の確保
  2. 副作用被害の救済
  3. 良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制の確保
  4. 医薬品等の品質の確保
  5. 薬物乱用の防止

 

 

総則②

  • 医療は生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とし、医師、歯科医師、薬剤師、看護師など医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係に基づき、医療を受ける者の心身の状況に応じて行われる。
  • その内容は、単に治療のみならず、疾病の予防のための措置およびリハビリテーションを含む良質かつ適切なものでなければならない。

 

▶100回必須(法規)71

薬剤師を「医療の担い手」と明記している法律はどれか。1つ選べ。

 

  1. 薬剤師法
  2. 医薬品医療機器等法(旧称:薬事法)
  3. 医療法
  4. 健康保険法
  5. 国民健康保険法

 

 

総則③

  • 医療は、国民自らの健康の保持増進のための努力を基礎として、医療を受ける者の意向を十分に尊重し、医療提供施設医療を受ける者の居宅等において、その機能に応じて効率的に提供されなければならない。
  • 医療提供施設は、病院、診療所、介護老人保健施設、介護医療院、調剤を実施する薬局その他の医療を提供する施設など医療を提供する施設をいう。

 

▶109回必須(法規)78

医療法において、医療提供施設として明記されているのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 調剤を実施する薬局
  2. 医薬品店舗販売業の許可を有する店舗
  3. 医療を受ける者の居宅
  4. 医療安全支援センター
  5. 医療事故調査・支援センター

 

 

総則④

医療の担い手は、医療を受ける者に対して良質かつ適切な医療を行うよう努めなければならず、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない(インフォームド・コンセント)。

 

▶102回必須(法規)74

医療を受ける者に対する医療の担い手の責務として、医療法に規定されているのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 福祉サービスの提供
  2. 医療技術の普及
  3. 医療計画の策定
  4. 効率的な説明
  5. 良質かつ適切な医療の提供

 

 


 

▶98回必須(法規)74

医療法で規定する医療提供の理念に該当しないのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 生命の尊重と個人の尊厳の保持を旨とする。
  2. 医療を受ける者の意向を十分に尊重する。
  3. 国民自ら健康の保持増進に努める。
  4. 医療の担い手の地位向上に努める。
  5. 医療の担い手と医療を受ける者との信頼関係を基本とする。

 

 


 

▶108回一般理論(法規)147

医療法に明記されていないのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 医療は、国民自らの健康の保持増進のための努力を基礎とする。
  2. 医療は、個人の利益よりも公共の利益を優先して行われなければならない。
  3. 医療は、治療のみならず、疾病の予防のための措置及びリハビリテーションを含む。
  4. 医療は、医療を受ける者の意向を十分に尊重し、医療提供施設の機能に応じ効率的に提供されなければならない。
  5. 医療の担い手は、医療を提供するに当たり、適切な説明を行い、医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない。

 

 

医療計画

  • 厚生労働大臣は、良質かつ適切な医療を効率的に提供する体制(医療提供体制)の確保を図るための基本方針を作成する。
  • 基本方針に基づき、都道府県は地域の実情に応じて医療計画を策定する。

 

▶105回必須(法規)76・100回必須(法規)73類問

医療法の規定に基づく「医療計画」を定めることが義務づけられているのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 厚生労働省
  2. 都道府県
  3. 地方厚生局
  4. 保健所
  5. 市区町村

 

 

医療計画の主な記載事項

  • 5疾病(がん、脳卒中、心血管疾患、糖尿病、精神疾患)
  • 6事業(救急医療、災害医療、へき地医療、周産期医療、小児医療、新興感染症等の感染拡大時における医療)
  • 居宅等における医療(在宅医療)の確保
  • 地域医療構想に関する事項
  • 医療従事者の確保
  • 医療の安全の確保

 

▶98回一般(法規)145

医療提供体制の確保に関する医療法の規定について、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 基本方針は、良質かつ適切な医療を効率的に提供するために定める。
  2. 基本方針は、都道府県知事が定める。
  3. 医療計画は、市町村(特別区を含む)ごとに作成される。
  4. 都道府県は、医療従事者の確保のための事項を定める。

 

 


 

▶109回一般理論(法規)147

医療法に基づく医療計画策定において定めるべき事項はどれか。2つ選べ。

 

  1. がん等の5疾病の治療又は予防に係る事業に関する事項
  2. 献血に関する住民への理解及び献血受入の円滑な実施に関する事項
  3. 地域医療に必要となる未承認薬の治験の推進に関する事項
  4. 医療従事者の確保に関する事項
  5. 患者申出療養等の評価療養の実施に関する事項

 

 

医療の安全の確保

病院等の管理者は医療に係る安全管理のため、以下の体制整備を実施する。

 

  • 医療安全管理者や医薬品安全管理責任者の配置
  • 指針の整備
  • 医療安全委員会の設置
  • 職員研修(年2回程度)の実施

 

▶105回一般理論(法規)148

医療法に基づき、医療機関の管理者に求められる医療安全の確保に関する記述のうち、適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 医療に係る安全管理のための指針を整備しなければならない。
  2. 医薬品安全管理責任者を配置しなければならない。
  3. 医療事故が発生した場合、第三者委員会による調査を実施しなければならない。
  4. 医薬品の安全使用のために、患者を対象とした研修を実施しなければならない。
  5. 医療事故が発生した場合、当該医療事故の日時、場所、状況等を公表しなければならない。

 

 

医療施設

●病院

20人以上の患者を入院させるための施設を有するものをいう。

 

●診療所

患者を入院させるための施設を有しないもの、または19人以下の患者を入院させるための施設を有するものをいう。

 

●特定機能病院

高度の医療の提供や研修を実施する能力を有する病院として、厚生労働大臣が個別に承認する。

 

●地域医療支援病院

地域医療の確保を図る病院としての構造設備を有する病院として、都道府県知事が承認する。

 

●臨床研究中核病院

質の高い臨床研究や治験を推進・支援するための能力を有する病院として、厚生労働大臣が承認する。

 

▶99回必須(法規)73

医療法において、地域医療支援病院の要件に該当しないのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 救急医療を提供する能力
  2. 原則として200床以上の病床
  3. 他の医療機関から紹介された患者に対する医療の提供
  4. 医薬品情報管理室の設置
  5. 高度な医療技術の開発を行う能力

 

 


 

▶107回一般理論(法規)148

医療法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 診療所は、専任薬剤師を置かなければならない。
  2. 病院は、20人以上の患者を入院させるための施設を有する。
  3. 地域医療支援病院の承認要件には、救急医療を提供する能力が含まれる。
  4. 特定機能病院の承認要件には、特定臨床研究に関する計画を立案し、実施する能力が含まれる。
  5. 臨床研究中核病院の承認要件には、高度の医療を提供する能力が含まれる。

 

 

病院が有する施設

病院には、各科専門の診察室、手術室、処置室、臨床検査施設、調剤所、給食施設などの施設を有しなければならない。

 

▶103回必須(法規)72

病院が必ず有しなければならない施設はどれか。1つ選べ。

 

  1. 集中治療室
  2. 病理の検査施設
  3. 調剤所
  4. 研究室
  5. 病理解剖室

 

 

 

薬剤師法

第4編1章 4.3〕薬剤師 p191~193

薬剤師の任務

薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする(法1条)。

 

▶98回必須(実務)81

薬剤師の任務は薬剤師法第1条に規定されている。この条文の【  】に当てはまるのはどれか。1つ選べ。

「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他【  】をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。」

 

  1. 医薬品管理
  2. 地域医療
  3. 薬事衛生
  4. 医薬品開発
  5. 医薬品適正使用

 

 


 

▶108回必須(法規)71

薬剤師の任務は薬剤師法第1条に規定されている。この条文の【  】に当てはまるのはどれか。1つ選べ。

「薬剤師は、調剤、医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって、【  】の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保するものとする。」

 

  1. 医療の質
  2. 地域連携
  3. 公衆衛生
  4. 健康サポート
  5. 薬剤師の経済的利益

 

 


 

▶100回必須(法規)74

医師法、歯科医師法、薬剤師法の第一条によって定められる医師、歯科医師、薬剤師の共通の任務はどれか。1つ選べ。

 

  1. 医療を効率的に提供する体制の確保
  2. 国民の健康な生活の確保
  3. 医療を受ける者の利益の保護
  4. 各職種間の業務連携
  5. 生命の尊重と個人の尊厳の保持

 

 

薬剤師名簿

  • 厚生労働省に薬剤師名簿を備え、登録年月日や処分に関する事項などを登録する(法6条)。
  • 免許は、薬剤師国家試験に合格した者の申請により、薬剤師名簿に登録することによって行う(法7条1項)。

 

▶106回必須(法規)72

薬剤師法第6条に定める薬剤師名簿の登録事項はどれか。1つ選べ。

 

  1. 現住所
  2. 卒業大学名
  3. 勤務先名
  4. 認定薬剤師の資格
  5. 登録年月日

 

 

相対的欠格事由と免許の取消し等

相対的欠格事由として以下のいずれかに該当した場合は免許を与えないことがあり(法5条)、薬剤師がこれらに該当した場合または薬剤師としての品位を損するような行為があった場合、厚生労働大臣は、あらかじめ医道審議会の意見を聴いた上で、①戒告、②3年以内の業務の停止、③免許の取消しの処分をすることができる(法8条)。

 

  • 心身の障害により薬剤師の業務を適正に行うことができない者
  • 麻薬、大麻またはあへんの中毒者
  • 罰金以上の刑に処せられた者
  • 薬事に関し犯罪または不正の行為があった者

 

▶102回必須(法規)73

厚生労働大臣が、薬剤師の免許の取消し等の処分をするにあたって、あらかじめ意見を聴かなければならないのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 医道審議会
  2. 都道府県知事
  3. 内閣府
  4. 薬事・食品衛生審議会
  5. 裁判所

 

 


 

▶99回一般(法規)143改題

薬剤師免許(以下「免許」という。)に対する処分等に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 免許の処分に当たっては、薬事・食品衛生審議会の意見を聴かなければならない。
  2. 戒告は最も軽い処分であるため、再教育研修の対象とはならない。
  3. 薬剤師業務の停止期間は3年以内である。
  4. 免許を取り消された者が再び免許を取得しようとする場合は、改めて国家試験を受けて合格しなければならない。

 

 

絶対的欠格事由

  • 未成年者には、薬剤師免許を与えない(法4条)。
  • なお、かつては成年被後見人または被保佐人も欠格条項の対象であったが、令和元年(2019年)の法改正により対象から外れている。

 

▶102回一般理論(法規)144改題

薬剤師免許に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 薬剤師が被後見人になった場合には、免許が取り消される。
  2. 薬剤師免許証の交付によって効力が生じる。
  3. 薬剤師国家試験に合格した者には、申請手続を要せず免許が与えられる。
  4. 視覚又は精神の機能の障害により薬剤師の業務を適正に行うに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者は、免許を与えられないことがある。

 

 


 

▶100回必須(法規)72改題

薬剤師免許に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 未成年者には、免許は与えられない。
  2. 免許の申請書は、卒業した大学を経由して厚生労働大臣に提出する。
  3. 免許の効力は、申請者が免許証を受け取った時から生じる。
  4. 免許を取り消されても、免許証を厚生労働大臣に返納する必要はない。
  5. 免許証が破れたという理由では、再交付を申請することはできない。

 

 

名称独占

薬剤師でなければ、薬剤師またはこれにまぎらわしい名称を用いてはならない(法20条)。

 

▶105回一般理論(法規)141

薬剤師法に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 薬剤師の任務は、「医療及び保健指導をつかさどることによって、公衆衛生の向上及び増進に寄与し、もって国民の健康な生活を確保する。」と定められている。
  2. 薬剤師でなければ、薬剤師又はこれにまぎらわしい名称を用いてはならない。
  3. 薬剤師免許は、薬剤師国家試験の合格によって発行される。
  4. 薬剤師は罪を犯しても、免許を取り消されることはない。
  5. 調剤に従事する薬剤師に限り、資格を確認できるよう氏名が公表される。

 

 

処方箋による調剤

薬剤師は、医師、歯科医師又は獣医師の処方箋によらなければ、販売又は授与の目的で調剤してはならない。また、処方箋を交付した医師等の同意を得た場合を除き、これを変更して調剤してはならない(法23条)。

 

▶106回必須(法規)73

以下の【  】に入る語句はどれか。1つ選べ。

薬剤師法第23条
薬剤師は、医師、歯科医師又は獣医師の【  】によらなければ、販売又は授与の目的で調剤してはならない。

 

  1. 指示
  2. カルテ
  3. 処方せん
  4. 診断書
  5. 診療方針

 

 

調剤された薬剤の表示

薬剤師は、調剤した薬剤の容器または被包に、以下の事項を記載しなければならない(法25条)。

 

  • 患者の氏名、用法、用量
  • 調剤年月日
  • 調剤した薬剤師の氏名
  • 調剤した薬局等の名称及び所在地

 

▶108回必須(実務)83

薬剤師法に基づき薬袋への記載が必須である事項はどれか。1つ選べ。

 

  1. 調剤した薬剤師氏名
  2. 処方した医師氏名
  3. 使用上の注意
  4. 処方箋発行日
  5. 医薬品名

 

 


 

▶102回必須(実務)83

薬袋に記載する事項として必須なのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 処方医名
  2. 処方箋発行日
  3. 薬品名
  4. 使用上の注意
  5. 調剤年月日

 

 

情報の提供および指導

薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため、販売または授与の目的で調剤したときは、患者等に対して必要な情報提供、薬学的知見に基づく指導を行わなければならない。必要があると認める場合は、患者の薬剤の使用の状況を継続的かつ的確に把握しなければならない(法25条の二)。

 

▶101回必須(法規)73

薬剤師法において、薬剤師が、販売又は授与の目的で調剤したときに、患者又は現にその看護に当たっている者に対して、情報の提供とともに行わなければならないとされているのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 療養の方法の指導
  2. 薬学的知見に基づく指導
  3. 療養上の世話
  4. 処方箋の写しの交付
  5. 疑義照会の有無の告知

 

 

処方箋への記入・保存

  • 薬剤師は、調剤済みとなった処方箋に、調剤済みの旨や調剤年月日などの事項を記入し、記名押印または署名しなければならない(法26条)。
  • 薬局開設者は、調剤済みとなった処方箋を、その日から3年間保存しなければならない(法27条)。

 

▶107回必須(法規)71・99回必須(実務)81類問

調剤済みとなった処方箋に薬剤師が記載しなければならないのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 患者の病名
  2. 患者の住所
  3. 調剤年月日
  4. 調剤した薬剤師の薬剤師名簿登録番号
  5. 服薬指導の内容

 

 

調剤録

  • 薬局開設者は、薬局に調剤録を備えなければならない(法28条1項)。
  • 薬局開設者は、調剤録を最終記入の日から3年間、保存しなければならない(3項)。

 

▶102回必須(実務)87

薬局において、薬剤師法に基づき、作成が義務づけられているのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 薬剤情報提供書
  2. お薬手帳
  3. 領収書
  4. 明細書
  5. 調剤録

 

 

調剤録記入事項

薬剤師は、薬局で調剤したときは、以下の事項を記入しなければならない(法28条2項)。

 

  • 患者の氏名・年令
  • 薬名・分量
  • 調剤、情報の提供、指導を行った年月日
  • 調剤量
  • 調剤、情報の提供、指導を行った薬剤師の氏名
  • 情報の提供、指導の内容の要点
  • 処方箋の発行年月日
  • 処方箋を交付した医師等の氏名、住所・勤務先等
  • 医師等の同意を得て処方箋に記載された医薬品を変更して調剤した場合の内容
  • 医師等に疑義照会した場合の回答

 

▶100回必須(実務)82

薬剤師が保険調剤の調剤録を作成するタイミングとして最も適切なのはどれか。1つ選べ。ただし、分割調剤の場合を除く。

 

  1. 処方せんを受け付けた時
  2. 処方監査を終了した時
  3. 計数・計量調剤を終了した時
  4. 調剤薬鑑査を終了した時
  5. 処方せんが調剤済となった時

 

 


 

▶101回必須(実務)89

調剤録を作成するにあたり、該当する事項があった場合、記載が必要なのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 後発医薬品の使用に関する患者の意向
  2. 患者の身長及び体重
  3. 患者の副作用歴
  4. 疑義照会の結果
  5. 残薬の状況

 

 

調剤・応需義務

  • 薬剤師でない者は、原則として販売又は授与の目的で調剤してはならない(法19条)。
  • 薬剤師は調剤の求めがあった場合、正当な理由なく拒んではならない。なお、処方箋を拒否できる正当な理由として、処方箋の内容に疑義があるが処方医師に連絡が付かず、疑義照会ができない場合などが挙げられる(法21条)。

 

▶108回一般理論(法規)142

薬剤師法が定める薬剤師の業務に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 薬剤師は、調剤の求めがあった場合、薬局開設者の許可があれば調剤を断ることができる。
  2. 薬剤師でない者は、原則、販売又は授与の目的で調剤できない。
  3. 薬剤師は、正当な理由があると認める場合には、薬剤師の判断で、処方箋に記載された医薬品の用法・用量を変更して調剤することができる。
  4. 薬剤師は、調剤した薬剤の適正な使用のため必要があると認める場合、患者の薬剤の使用状況を継続的かつ的確に把握し、必要な指導等を行わなければならない。
  5. 薬剤師は、処方箋が調剤済みになった場合には、速やかに処方箋を破棄しなければならない。

 

 


 

▶107回一般理論(法規)142

薬剤師法に規定されている薬剤師の業務に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 調剤に従事する薬剤師は、調剤の求めがあった場合には、正当な理由がなければ、調剤を断ってはならない。
  2. 処方箋中の疑わしい点について、処方医と連絡がとれない場合には、照会せずに調剤することができる。
  3. 薬局以外の場所では、いかなる場合も、販売又は授与の目的で調剤することはできない。
  4. 医師などの処方箋によらなければ、販売又は授与の目的で調剤することはできない。
  5. 調剤に従事する薬剤師は、薬剤師免許を携帯しなければ調剤できない。

 

 


 

▶104回必須(法規)71

薬剤師に関する記述のうち、正しいのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 薬剤師の免許の効力は、薬剤師国家試験に合格した時から生じる。
  2. 薬剤師以外の者が調剤を行うことは、例外なく禁止されている。
  3. 薬剤師名簿への登録を行えば、自動的に保険薬剤師として登録される。
  4. 薬剤師でなければ、薬剤師又はこれにまぎらわしい名称を用いてはならない。
  5. 薬剤師の品位を損するような行為を行っても、免許を取り消されることはない。

 

 


 

▶98回一般(法規)144

調剤に関わる薬剤師法の規定のうち、条文に例外規定があるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 処方せんによらなければ調剤してはならないこと
  2. 薬剤師でない者は調剤してはならないこと
  3. 調剤した薬剤の容器又は被包に法定事項を記載すること
  4. 調剤した薬剤について適正な使用のための情報を提供すること
  5. 薬局以外の場所で調剤してはならないこと

 

 


 

▶103回一般理論(法規)144

薬剤師の業務に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 処方された医薬品を備蓄していなかったので、調剤を拒否した。
  2. 患者から薬袋不要の申出があったので、調剤した薬剤だけを交付した。
  3. 処方箋を交付した医師の同意を得て薬剤を変更して調剤した。
  4. 処方箋に発行の年月日の記載がなかったが調剤した。
  5. 薬剤師免許証を紛失し、再交付申請中であるが、調剤した。

 

 


 

▶99回必須(法規)72

薬剤師法に定める薬剤師の任務又は業務でないのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 調剤
  2. 医薬品の供給
  3. 処方せん中の疑わしい点の医師、歯科医師又は獣医師への照会
  4. 調剤した薬剤についての患者等への情報提供
  5. 検査のための採血

 

 

 

刑法

 

秘密漏示罪

  • 刑法134条に基づき、医師や薬剤師、医薬品販売業者、助産師等(これらの職にあった者含む)が正当な理由なく業務上知り得た秘密を漏らした場合、6月以下の懲役または10万円以下の罰金が規定されている。
  • 告訴がなければ公訴を提起することができない親告罪である(刑法135条)。

 

▶105回必須(法規)79

薬剤師が業務上知り得た人の秘密を漏らすと、秘密漏示罪に問われる場合があるが、その根拠となる法律はどれか。1つ選べ。

 

  1. 民法
  2. 薬剤師法
  3. 刑法
  4. 医薬品医療機器等法
  5. 個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)

 

 


 

▶101回一般理論(法規)141

薬剤師の守秘義務(刑法第134条)に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 親告罪である。
  2. 正当な理由がある場合には、秘密を漏らしても、守秘義務違反にならない。
  3. 守秘義務違反によって懲役刑に処されることはない。
  4. 医師と薬剤師の守秘義務では、規定されている刑罰に差がある。
  5. 業務上知り得た秘密であっても、その後、薬剤師でなくなった場合には、その秘密を漏らしても、守秘義務違反にならない。

 

 


 

▶109回必須(法規)73

薬剤師法において規定されている事項はどれか。1つ選べ。

 

  1. 薬局の開設の許可
  2. 管理薬剤師の責務
  3. 一般用医薬品の取扱い
  4. 処方箋中の疑義の照会
  5. 守秘義務

 

 

 

保健師助産師看護師法

第4編1章 4.4〕看護職員等 p193~197

総則

●保健師

厚生労働大臣の免許を受けて、保健師の名称を用いて、保健指導に従事することを業とする者をいう。

 

●助産師

厚生労働大臣の免許を受けて、助産又は妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子をいう。

 

●看護師

厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。

 

▶108回必須(法規)73

以下のように法律で規定されているのはどれか。1つ選べ。

「厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじょく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者」

 

  1. 保健師
  2. 助産師
  3. 看護師
  4. 介護福祉士
  5. 介護支援専門員

 

 


 

▶101回一般理論(法規)144

医療従事者に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 看護師は、原則として、医師の指示がなくても、医薬品を授与し、医薬品についての指示をすることができる。
  2. 薬剤師は、病棟業務においては、診療の補助を業として行える。
  3. 医師は、治療上薬剤を調剤して投与する必要があると認めた場合には、原則として、処方箋を交付しなければならない。
  4. 診療に従事する医師は、診察治療の求めがあった場合には、正当な事由がなければ、これを拒むことはできない。
  5. 保健師とは、助産又は妊婦、じょく婦若しくは新生児の保健指導を行うことを業とする女子をいう。

 

 

 

医療保険制度

第4編2章 医療保険制度 p208~219

療養の給付

医療保険被保険者の疾病または負傷に関しては、次の療養の給付を行う。(現物給付)

 

  • 診察
  • 薬剤又は治療材料の支給
  • 処置、手術その他の治療
  • 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
  • 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護

 

食事療養や生活療養などに係る給付は含まない。

 

▶100回必須(法規)77

医療保険制度において、「療養の給付」に含まれないのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 診察
  2. 薬剤又は治療材料の支給
  3. 食事療養
  4. 処置、手術その他の治療
  5. 居宅における療養上の管理

 

 

国民皆保険

わが国は、すべての国民が以下の医療保険に加入する国民皆保険である。

 

○被用者保険

  • 会社員や公務員など事業者に使用される75歳未満の加入者とその扶養家族が被保険者である。
  • 被用者保険として、全国健康保険協会管掌健康保険(協会けんぽ)、組合管掌健康保険(組合健保)、船員保険、各共済組合などがある。

 

○後期高齢者医療制度

  • 75歳以上の者及び65歳以上75歳未満で寝たきり状態など一定の障害の状態にあり、後期高齢者医療広域連合の認定を受けた者が被保険者である。

 

○国民健康保険

  • 被用者保険の加入者でも後期高齢者医療の被保険者でもない自営業者や農業従事者などが被保険者である。
  • 保険者は、都道府県、市町村、国民健康保険組合である。

 

▶102回必須(法規)78

自営業などの人を対象とする医療保険はどれか。1つ選べ。

 

  1. 船員保険
  2. 国民健康保険
  3. 共済組合
  4. 組合管掌健康保険
  5. 全国健康保険協会管掌健康保険

 

 


 

▶105回一般理論(法規)149

我が国の医療保険制度に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 国民はいずれかの公的医療保険に加入する。
  2. 自らが将来使用する医療費を予め積み立てておく自助の原則による。
  3. 被用者保険と国民健康保険とでは、現物給付される医療の内容は異なる。
  4. 医療保険制度による医療の財源に、公費は含まれていない。
  5. 後期高齢者医療制度の被保険者には、75歳以上の者及び65歳以上75歳未満の寝たきり状態にある者が含まれる。

 

 


 

▶101回一般理論(法規)147

公的医療保険制度に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 国民皆保険制度が成立したのは、昭和30年代である。
  2. 国民健康保険の保険者は、国である。
  3. 最も加入者が多いのは、後期高齢者医療制度である。
  4. 全国健康保険協会管掌健康保険は、被用者保険である。
  5. 生活保護受給者は、国民健康保険に加入する。

 

 


 

▶99回一般(法規)148

わが国の医療保険制度の説明として、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 基本的にすべての国民が何らかの医療保険制度に加入する国民皆保険である。
  2. 加入者は、全国のすべての医療機関で療養の給付を受けることができる。
  3. 加入者が納めた保険料に応じて、給付される療養の種類に違いがある。
  4. 保険で給付される療養と保険外で給付される療養を併用できる場合がある。
  5. 75歳以上の者は、保険料を負担しない制度に加入する。

 

 

 

介護保険法

第5編1章 介護保険 p220~233

保険者

介護保険制度の保険者(実施主体)は、国民に最も身近な行政単位である市町村(特別区含む)である。

 

▶109回必須(法規)79

介護保険の保険者に該当するのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 国民健康保険組合
  2. 健康保険組合
  3. 地方厚生局
  4. 都道府県
  5. 市町村及び特別区

 

 

被保険者・要介護認定

  • 介護保険の被保険者は、65歳以上の第1号被保険者と、40~64歳の医療保険加入者である第2号被保険者である。
  • 要介護認定の申請を受けた市町村は主治医意見書等により一次判定を行い、その結果に基づき市町村に設置された介護認定審査会が、要介護状態の区分(要支援1・2、要介護1~5の7区分)の審査・判定等を行う。

 

▶108回一般理論(法規)148

介護保険に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 保険者は、市町村(特別区含む)である。
  2. 保険給付を受けていない第2号被保険者は、保険料を支払う必要はない。
  3. 第2号被保険者は、特定疾病によって生じた障害による要支援・介護状態でなければ、保険給付を受けることはできない。
  4. 要介護認定(要支援認定を含む)は、主治医が行う。
  5. 要支援状態と認定された者はサービスの利用に際し費用の自己負担があるが、要介護状態と認定された者は自己負担がない。

 

 


 

▶102回一般理論(法規)146

介護保険に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 介護保険の被保険者が、自己の居宅で受けた介護サービスは、保険給付の対象とならない。
  2. 介護給付を受けようとする被保険者は、保険者である都道府県に対し医師の診断書を添えて申請する必要がある。
  3. 介護保険の第2号被保険者の保険料は、被保険者が加入する医療保険者が徴収する。
  4. 要介護状態とは、1年以上継続して常時介護を要すると見込まれる状態をいう。
  5. 要介護状態は5段階に、要支援状態は2段階に区分されている。

 

 

地域包括ケアシステム

地域包括ケアシステムは、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援のため、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・予防・生活支援が一体的に提供される体制を構築するものである。

 

▶107回必須(実務)82

以下の説明文に該当するのはどれか。1つ選べ。

厚生労働省において、2025年を目途に、高齢者の尊厳の保持と自立生活の支援の目的のもとで、可能な限り住み慣れた地域で、自分らしい暮らしを人生の最期まで続けることができるような仕組みを構築することを推進している。

 

  1. 地域包括ケアシステム
  2. 地域医療情報システム
  3. 地域連携クリニカルパス
  4. 健康サポート薬局
  5. かかりつけ薬局

 

 


 

▶103回必須(実務)87

地域包括ケアシステムに関する以下の文の【  】に当てはまるのはどれか。1つ選べ。

団塊の世代が75歳以上となる2025年を目途に、重度な要介護状態となっても住み慣れた地域で自分らしい暮らしを人生の最後まで続けることができるよう、住まい・医療・介護・【  】・生活支援が一体的に提供される地域包括ケアシステムの構築を実現していきます。

 

  1. 教育
  2. 出産
  3. 生業
  4. 予防
  5. 葬祭

 

 

 

食品各法

第7編2章 食品安全行政の動向 p278~292

食品安全基本法

食品安全基本法は、リスク分析(評価・管理・コミュニケーション)により食品安全の確保を図るもので、リスク評価は内閣府に設置された食品安全委員会が担当する。

 

▶105回必須(衛生)17

食品の安全性に係るリスク分析の3要素(リスク評価、リスク管理、リスクコミュニケーション)のうち、リスク評価を担う行政機関はどれか。1つ選べ。

 

  1. 厚生労働省
  2. 農林水産省
  3. 環境省
  4. 消費者庁
  5. 内閣府食品安全委員会

 

 

食品衛生法

  • 食品衛生法は、「飲食に起因する」(食品、添加物、器具・容器包装、おもちゃ、洗浄剤)衛生上の危害の発生を防止するため、食品衛生に関する規格・基準や監視指導を規定している。
  • 平成15年(2003年)の改正では、一定の量を超えて農薬等が残留する食品の販売などを原則禁止するポジティブリスト制度が導入された。これにより、残留基準が設定されていない無登録農薬が一律基準を超えて食品に残留している場合でも、規制ができるようになった。
  • 平成30年(2018年)の改正では、HACCPに沿った衛生管理の制度化が行われた。HACCPとは、原材料入荷から製品出荷までの全工程で、危害要因を除去または低減させるために特に重要な工程を管理し、製品の安全性を確保する衛生管理手法である。

 

▶106回一般理論(衛生)130

「食の安全性」を確保するための法制度に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 食品安全基本法において、消費者は食の安全性に積極的役割を果たすことが求められている。
  2. 食品衛生法において、食品に触れる器具、容器包装、洗浄剤、及び乳幼児が口にするおもちゃは規制・措置の対象とはならない。
  3. HACCPとは、食品製造における最終製品の抜き取り検査による衛生管理の方法である。
  4. 食品表示法において、厚生労働大臣により食品に関する表示の基準が定められている。
  5. 食品表示法において、食物アレルギーの発症数が多い、あるいは症状が重篤となる7品目を特定原材料と定め、表示を義務付けている。

 

 


 

▶101回一般理論(衛生)124

食品の安全に関わる法制度に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. ポジティブリスト制度により、国内で流通しているすべての農薬について、食品中の残留基準が個別に設定されている。
  2. HACCPとは、食品製造における最終製品の抜き取り検査による衛生管理の方法である。
  3. 特定保健用食品の関与成分の健康影響は、食品安全委員会が評価を行う。
  4. 食品表示法は、JAS法、食品衛生法、健康増進法の食品の表示に関する規定を統合して、包括的かつ一元的にしたものである。
  5. 食品添加物の規格や使用基準は、食品安全基本法で定められている。

 

 

 

化審法・化管法

第7編3章 化学物質の安全対策の動向 p293~295

化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律〈化審法〉

化審法では新規化学物質に関する事前審査制度を設け、その性状等から以下等に区分している。

 

●第一種特定化学物質

難分解性、高蓄積性、人または高次捕食動物への長期毒性

 

●監視化学物質

難分解性、高蓄積性、毒性不明

 

●第二種特定化学物質

難分解性、低蓄積性、人健康影響・生態影響のおそれがあるもの

 

▶100回必須(衛生)21

化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(化審法)において、難分解性、高蓄積性及びヒト又は高次捕食動物への長期毒性を有する化学物質の分類はどれか。1つ選べ。

 

  1. 監視化学物質
  2. 優先評価化学物質
  3. 特定毒物
  4. 第一種特定化学物質
  5. 第二種特定化学物質

 

 

化審法の制定契機

昭和48年(1973年)、PCB(ポリ塩化ビフェニル)による環境汚染問題を契機に化審法は制定され、翌年、第一種特定化学物質としてPCBが初めて指定された。

 

▶99回必須(衛生)21

「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律(化審法)」によって規制されている第一種特定化学物質はどれか。1つ選べ。

 

  1. 塩化トリフェニルスズ
  2. トリクロロエチレン
  3. ポリ塩化ビフェニル
  4. ポリ塩化ジベンゾフラン
  5. ポリ塩化ジベンゾ-p-ジオキシン

 

 

特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律〈化管法〉

●化学物質排出移動量届出(PRTR)制度

PRTR制度とは、人の健康や生態系に有害なおそれがあるなどの性状を有する化学物質について、その取扱事業者に環境への排出量などを国に届け出る制度である。

 

●安全データシート(SDS)制度

SDS制度とは、化学物質等を他の事業者に譲渡または提供する際に、その物質の特性と取り扱いに関する情報をSDSにより事前に提供することを義務づける制度である。

 

▶108回一般理論(衛生)135

化審法及び化管法に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 化審法の対象となる物質は、新規化学物質のみであり、化審法の公布前に製造・輸入されていた既存化学物質は、対象とはならない。
  2. 化審法における監視化学物質は、難分解性、低蓄積性であり、ヒト及び生活環境動植物に対して長期毒性を有する物質である。
  3. 化審法において、分解性の判定には活性汚泥が用いられる。
  4. 化管法において、安全データシート(SDS)制度は、対象となる事業者が対象化学物質の排出・移動量を国に届け出る制度である。
  5. 化管法において、PRTR制度の対象物質は、SDS制度の対象物質に指定されている。

 

 


 

▶105回一般理論(衛生)140

「化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律」(化審法)及び「特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律」(化管法)に関する記述のうち、誤っているのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 化審法は、PCB(ポリ塩化ビフェニル)による環境汚染及び人での健康被害の発生を契機として制定された。
  2. 化審法では、新規化学物質を製造又は輸入するにあたって、事前に安全性の審査を受けることが義務付けられている。
  3. 化審法で定められている第二種特定化学物質は、難分解性で高蓄積性であり、人又は高次捕食動物への長期毒性を有する。
  4. 化管法では、指定された化学物質について、安全データシート(SDS)による事業者への情報提供が義務付けられている。
  5. 化管法において、PRTR制度の対象事業者は、指定された化学物質について、環境中への排出量及び廃棄物としての事業所外への移動量を国に届け出なければならない。

 

 

 

労働安全衛生法

第8編 労働衛生 p299~310

労働衛生の3管理

労働安全衛生法は、すべての事業所を対象として、職場における労働者の安全と健康の確保、快適な職場環境の形成促進を目的に、以下の労働衛生の3管理を規定している。

 

●作業環境管理

作業環境を的確に把握し、様々な有害要因を取り除いて、良好な作業環境を確保する。

 

●作業管理

作業の内容や方法によって有害な物質やエネルギーが人に及ぼす影響が異なるため、これらの要因を適切に管理して、労働者への影響を少なくする。

 

●健康管理

健康診断とその結果に基づく事後措置、健康指導であり、労働者の健康状態を把握し、作業環境や作業との関連を検討することにより、労働者の健康障害を未然に防ぐ。

 

▶108回一般理論(衛生)126

労働衛生管理に関する記述のうち、作業管理に該当するのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 特殊健康診断を実施する。
  2. 作業環境測定を実施する。
  3. 局所排気を行う。
  4. 健康障害リスクを評価し、作業の手順や方法を最適化する。
  5. 作業者が呼吸用保護具を着用する。

 

 

 

環境基本法

第9編2章 人の健康保護と生活環境の保全 p320~329

環境基準

環境基本法に基づき、大気汚染、水質汚濁、土壌汚染、騒音に係る環境基準を定めることとしている。

 

▶102回必須(衛生)25

環境基本法で規定された以下の公害のうち、環境基準が設定されていないのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 大気汚染
  2. 悪臭
  3. 騒音
  4. 土壌汚染
  5. 水質汚濁

 

 

大気汚染に係る環境基準

環境基本法に基づく大気汚染に係る環境基準として、以下の物質が設定されている。

 

  1. 二酸化硫黄
  2. 一酸化炭素
  3. 浮遊粒子状物質
  4. 微小粒子状物質(PM2.5
  5. 二酸化窒素
  6. 光化学オキシダント
  7. ベンゼン
  8. トリクロロエチレン
  9. テトラクロロエチレン
  10. ジクロロメタン

 

このほかダイオキシン類対策特別措置法により、ダイオキシン類に対して大気中の環境基準が設定されている。

 

▶98回一般(衛生)140

大気中の濃度について環境基準が定められている物質はどれか。2つ選べ。

 

  1. トルエン
  2. ダイオキシン類
  3. ホルムアルデヒド
  4. 光化学オキシダント
  5. ジクロロプロパン

 

 


 

▶103回必須(衛生)25

大気中に含まれる物質のうち、環境基本法により環境基準が設定されていないのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 一酸化炭素
  2. 二酸化炭素
  3. 二酸化窒素
  4. テトラクロロエチレン
  5. ベンゼン

 

 

水質汚濁に係る環境基準

環境基本法に基づき、水質汚濁に係る環境基準が定められており、以下の2基準に大別される。

 

○人の健康の保護に関する環境基準

  • 全国の公共用水域(河川・湖沼・海域)と地下水に一律に適用される。
  • 基準値が「検出されないこと」とされている物質として、全シアン、アルキル水銀、PCBが掲げられている。

 

○生活環境の保全に関する環境基準

  • 公共用水域について、利水の態様に応じ、水域ごとに類型が指定されている。
  • 河川では生物化学的酸素要求量(BOD)、湖沼と海域では化学的酸素要求量(COD)が基準として用いられている。

 

▶107回必須(衛生)24

公共用水域の水質汚濁に関する「人の健康の保護に関する環境基準」において、基準値が「検出されないこと」と定められているのはどれか。1つ選べ。

 

  1. カドミウム
  2. ヒ素
  3. アルキル水銀
  4. トリクロロエチレン
  5. 硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素

 

 


 

▶109回一般理論(衛生)138

水質汚濁に係る環境基準に関する記述のうち、正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 水質汚濁防止法に基づいて、定められている。
  2. 水中の有機物量の指標として、河川では化学的酸素要求量(COD)、湖沼及び海域では生物化学的酸素要求量(BOD)が採用されている。
  3. 底層を利用する水生生物の個体群を維持できる場を保全・再生する目的で、湖沼及び海域において底層溶存酸素量の基準値が定められている。
  4. 地下水には、「生活環境の保全に関する環境基準」が定められている。
  5. 公共用水域には、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸及びその塩の「生活環境の保全に関する環境基準」が定められている。

 

 

 

大気汚染防止法

第9編2章 1.大気汚染対策の動向 p320~324

固定発生源対策

大気汚染防止法に基づき、固定発生源における粒子状物質対策としてばいじんと粉じんの規制が行われており、粉じんは一般粉じんと特定粉じん(石綿)に分けられている。

 

▶100回必須(衛生)25

大気汚染防止法で「特定粉じん」に指定されている物質はどれか。1つ選べ。

 

  1. ディーゼル排気粒子
  2. ばいじん
  3. スギ花粉
  4. 鉛ヒューム
  5. 石綿

 

 

 

廃棄物の処理及び清掃に関する法律〈廃棄物処理法〉

第9編4章 廃棄物対策の動向 p335~340

特別管理廃棄物

  • 廃棄物処理法に基づき、「爆発性、毒性、感染性その他の人の健康又は生活環境に係る被害を生ずるおそれがある性状を有する廃棄物」を特別管理廃棄物(特別管理一般廃棄物特別管理産業廃棄物)として規定している。
  • そのうち、医療機関等から排出される感染性の病原体が含有・付着した(またはそのおそれのある)廃棄物を感染性廃棄物といい、感染性一般廃棄物(紙くず、包帯、脱脂綿等)と感染性産業廃棄物(血液、注射針、メス、レントゲン定着液等)に分類される。なお、注射器については使用・未使用に関わらず感染性産業廃棄物として扱う。

 

▶107回必須(衛生)25

医療機関により廃棄される未使用の注射針が該当する区分として、最も適切なのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 事業系一般廃棄物
  2. 家庭系一般廃棄物
  3. 特別管理一般廃棄物
  4. 特別管理産業廃棄物
  5. 非感染性廃棄物

 

 


 

▶106回必須(衛生)25

指定感染症の治療・検査時に使用された医療用マスクを滅菌せずに廃棄する際の分類として、適切なのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 産業廃棄物
  2. 事業系一般廃棄物
  3. 感染性一般廃棄物
  4. 特別管理産業廃棄物
  5. 感染性産業廃棄物

 

 

 

学校保健安全法

第10編 学校保健 p341~351

学校薬剤師

  • 学校薬剤師は、大学以外の学校(幼稚園、小学校、中学校、義務教育学校、高等学校、中等教育学校、特別支援学校、高等専門学校)に設置が義務付けられている。
  • 職務として、学校保健計画・学校安全計画の立案への参与、環境衛生検査、健康相談、保健指導、必要な指導及び助言等が定められている。

 

▶107回必須(法規)80・98回必須(実務)90類問

学校薬剤師の設置が法律で義務付けられていないのはどれか。1つ選べ。

 

  1. 幼稚園
  2. 小・中学校
  3. 高等学校
  4. 大学
  5. 特別支援学校

 

 

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

テーマ別

統計問題法律問題薬事制度問題

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

令和7年2月13日実施の第108回助産師国家試験の全問題と正答を掲載します。

 

また、内容に応じて衛生テキスト「国民衛生の動向2024/2025」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。

 

分野別解説付き問題まとめ

を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。

 

なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

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▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

第108回助産師国家試験目次

 

 

第108回助産師国家試験・午前(55問)

 

▶午前1

産後の授乳について母乳栄養または人工栄養にするか迷っている初妊婦に対して、助産師は具体的な授乳のイメージができるように説明し「一緒に考えましょう」と伝えた。
このときの助産師の対応は、倫理原則のうちどれか。

 

  1. 正義
  2. 善行
  3. 無危害
  4. 自律尊重

 

 


 

▶午前2

妊婦の摂取量が過量な場合に、有機水銀による胎児の健康障害が最も懸念される魚介はどれか。

 

  1. サバ
  2. ブリ
  3. カツオ
  4. クロマグロ

 

 


 

▶午前3

Aさん(54歳、女性、専業主婦)は夫と2人暮らしである。趣味は読書で家事以外で家から出ることは少ない。
Aさんが運動不足によってリスクが高くなる健康問題はどれか。

 

  1. 1型糖尿病
  2. 子宮内膜症
  3. 腹圧性尿失禁
  4. メタボリックシンドローム

 

 


 

▶午前4

卵胞の発育で正しいのはどれか。

 

  1. 排卵時の卵胞の直径は3~5mmである。
  2. 初経のころの原始卵胞数は出生時より少ない。
  3. 排卵されなかった卵胞はグラーフ卵胞となる。
  4. プロゲステロンの作用によって排卵に至る卵胞が1つになる。

 

 


 

▶午前5

男性不妊のリスク因子はどれか。

 

  1. 腎結石
  2. 低身長
  3. 両側鼠径ヘルニア修復術の既往
  4. 単純ヘルペスウイルスの感染の既往

 

 


 

▶午前6

妊娠初期にみられる生殖器の変化で正しいのはどれか。

 

  1. 子宮頸部は茶褐色を示す。
  2. 子宮体部は非対称性に増大する。
  3. 卵巣は妊娠8週までに縮小する。
  4. 子宮内膜に子宮体部の全血流量の90%が分布するようになる。

 

 


 

▶午前7

胎児の免疫で正しいのはどれか。

 

  1. 先天感染に対してIgMが産生される。
  2. T細胞が産生されるのは出生後である。
  3. 血中の主要な免疫グロブリンはIgAである。
  4. B細胞が血中に現れるのは在胎30週ころからである。

 

 


 

▶午前8

胎児が吸啜と嚥下の協調運動ができるようになる在胎週数はどれか。

 

  1. 20週~22週
  2. 24週~26週
  3. 28週~30週
  4. 32週~34週

 

 


 

▶午前9

乳児にみられる反射を別に示す。
108am9j
正期産で生まれた児が生後3、4か月になったころに、消失する反射はどれか。

 

 

 


 

▶午前10

Aさん(39歳、初産婦)は、妊娠36週3日に前期破水で入院した。翌日の午前7時から陣痛が発来し、内診所見は、子宮口4cm開大、展退度60%、Station-1、子宮頸管の硬度は中、子宮口の位置は中央であった。午前11時からの胎児心拍数陣痛図を別に示す。
108am10j
このときのアセスメントで正しいのはどれか。

 

  1. 過強陣痛である。
  2. 臍帯圧迫が起きている。
  3. 子宮内感染が起きている。
  4. 胎児がアシドーシスである。

 

 


 

▶午前11

異所性妊娠の発生が最も多い部位はどれか。

 

  1. 腹膜
  2. 卵巣
  3. 卵管間質部
  4. 卵管膨大部

 

 


 

▶午前12

甲状腺機能亢進症合併妊娠で正しいのはどれか。

 

  1. 抗甲状腺薬は胎児の甲状腺機能を亢進させる。
  2. 甲状腺機能亢進症は産後に軽快することが多い。
  3. 甲状腺機能亢進状態が続くと早産のおそれがある。
  4. 妊婦全員に甲状腺機能検査を行うことが推奨されている。

 

 


 

▶午前13

サイトメガロウィルスの母子感染で正しいのはどれか。

 

  1. 発生頻度は0.01%程度である。
  2. 新生児尿の核酸検査で診断する。
  3. 近年の妊婦の抗体保有率は上昇している。
  4. 妊娠以前に感染の既往がある妊婦では発生しない。

 

 


 

▶午前14

Aさん(初妊婦)は、自宅で妊娠反応が陽性となり、産婦人科クリニックを受診した。Aさんは「最終月経から約10週経過していると思うが、記憶が曖昧」と話す。 胎児超音波検査の写真を別に示す。
108am14j
妊娠週数を確定するために計測する部位はどれか。

 

 

 


 

▶午前15

会陰切開の縫合部痛を訴えている褥婦へのケアで正しいのはどれか。

 

  1. 仰臥位を勧める。
  2. シャワー浴を禁止する。
  3. 会陰部への冷罨法を勧める。
  4. 産褥期の性交痛とは関連しないことを伝える。

 

 


 

▶午前16

正期産の正常新生児と分娩後の母親に対して早期母子接触を行う。母子ともに状態は安定している。
母子の体位を図に示す。
望ましいのはどれか。

 

108am16j

 

 


 

▶午前17

身体発育や神経発達に異常のない乳幼児の月齢と睡眠パターンの組合せで適切なのはどれか。

 

  1. 生後1か月――昼夜の区別なく睡眠と覚醒を繰り返す。
  2. 生後4か月――1日の睡眠回数が8回になる。
  3. 生後7か月――夜間2時間おきに目を覚ます。
  4. 生後12か月――1日の睡眠時間が7時間になる。

 

 


 

▶午前18

Aちゃん(6か月、男児)は、救急外来に搬送された。母親は「Aちゃんが泣き止まないため、父親があやすつもりで強く揺さぶったところ、しばらくしたらぐったりした」と話している。Aちゃんは、CT検査の結果、硬膜下血腫が確認された。外見上の外傷は認められなかった。
このときAちゃんに生じている可能性が高いのはどれか。

 

  1. 下血
  2. 眼底出血
  3. 鼓膜穿孔
  4. 股関節の脱臼

 

 


 

▶午前19

地域周産期母子医療センターであるA病院は、B市の事業委託を受けて産科病棟内で短期入所(ショートステイ)型の産後ケア事業を実施することになった。
新規事業のPDCAサイクルで計画にあたるのはどれか。

 

  1. 利用者の募集
  2. 1日の利用人数の設定
  3. 食事メニューの見直し
  4. 利用者へのアンケート調査

 

 


 

▶午前20

妊婦健康診査の公費負担について正しいのはどれか。

 

  1. 国が全額公費負担している。
  2. 妊婦1人当たりの公費負担額は全国一律である。
  3. 多胎と単胎の妊婦健康診査の公費負担額は同じである。
  4. 全市区町村で妊婦1人当たり14回以上の公費負担をしている。

 

 


 

▶午前21

周産期医療の体制構築に係る指針において、総合周産期母子医療センターの母体・胎児集中治療室〈MFICU〉に求められる事項で正しいのはどれか。

 

  1. 占有の手術室
  2. 1床につき6.3m2の個室
  3. 3床に1名の助産師又は看護師の配置
  4. 経皮的酸素分圧〈tcPO2〉監視装置の設置

 

 


 

▶午前22

子を持つ親の支援に関する項目と根拠法令の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. ひとりで子どもを育てる母親の就業支援――男女共同参画社会基本法
  2. ファミリーサポートセンターでの支援――次世代育成支援対策推進法
  3. 未就学の子の看護休暇の取得――育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律〈育児・介護休業法〉
  4. 出産育児一時金の支給――労働基準法

 

 


 

▶午前23

Aさん(32歳、初産婦)は、女児を正常分娩で出産した。母子ともに経過は順調で、混合栄養である。退院前日に大規模災害が発生した。Aさんの退院先は断水しているが、建物の崩壊はない。Aさんは退院を希望している。
退院時に説明する内容で適切なのはどれか。

 

  1. 「母乳分泌の量に関わらず母乳は中止しましょう」
  2. 「哺乳瓶の代わりに紙コップを使用することができます」
  3. 「調乳には硬水のミネラルウォーターを使用してください」
  4. 「退院先の断水が復旧するまで赤ちゃんは病院で預かります」

 

 


 

▶午前24

Aさん(40歳)は、不妊治療にて妊娠し、妊娠10週で流産した。不妊専門相談センターの電話相談で「初めての妊娠で、楽しみにしていたのに。どうしたらよいか分かりません」と話した。
不妊専門相談センターの助産師がAさんに最初に話す内容で適切なのはどれか。

 

  1. 「里親制度について説明しましょう」
  2. 「ご家族はどのように言っているのですか」
  3. 「染色体検査を受けることをお勧めします」
  4. 「流産となり気持ちが混乱しているのですね」
  5. 「習慣流産の治療で有名な病院を紹介しましょう」

 

 


 

▶午前25

正常分娩にて出生し、完全母乳栄養中の健康な乳児において、生後1か月の腸内 細菌叢で最も優位になるのはどれか。

 

  1. ビフィズス菌
  2. ブドウ球菌
  3. 乳酸桿菌
  4. 連鎖球菌
  5. 大腸菌

 

 


 

▶午前26

思春期を対象にした月経に関する説明で正しいのはどれか。

 

  1. 「18歳までは初経がなくても正常です」
  2. 「運動選手の場合は、月経がなくても正常です」
  3. 「月経周期が33日でも規則的であれば問題ありません」
  4. 「月経痛があっても鎮痛薬は使わないようにしましょう」
  5. 「10歳代で起こる月経困難症は、何かの病気がある可能性が高いです」

 

 


 

▶午前27

分娩後の恥骨結合離開で安静臥床中の褥婦への対応で適切なのはどれか。

 

  1. 座位保持ができるようになってから授乳を開始する。
  2. 恥骨の触診は手掌全体で恥骨に圧をかけて押す。
  3. 恥骨と大転子周囲を骨盤ベルトで固定する。
  4. 産後2、3日で治癒することを伝える。
  5. 骨盤底筋体操を勧める。

 

 


 

▶午前28

新生児の足底を図に示す。
108am28j
新生児マススクリーニング検査の採血時の穿刺部位で正しいのはどれか。

 

 

 


 

▶午前29

4か月児健康診査における視覚の標準的な発達を確認するための項目で正しいのはどれか。

 

  1. 斜視
  2. 視力
  3. 追視
  4. 色の区別
  5. 光への反応

 

 


 

▶午前30

Aさん(初産婦)は妊娠35週0日でBちゃん(女児)を出産した。Bちゃんの出生時の身長は42cm、体重は2,200gであった。
Bちゃんが該当するのはどれか。

 

  1. appropriate for gestational age
  2. heavy for gestational age
  3. large for gestational age
  4. light for gestational age
  5. small for gestational age

 

 


 

▶午前31

早産児の脳室内出血で正しいのはどれか。

 

  1. 低体温療法の適応である。
  2. 生後72時間以内に起こりやすい。
  3. 約80%が分娩時外傷によって起こる。
  4. 在胎34週以降の出生児に起こりやすい。
  5. 急性期の診断には頭部MRI検査が有用である。

 

 


 

▶午前32改題

日本の令和4年(2022年)の人口動態統計における妊産婦死亡の死因別死亡数のうち、直接産科的死亡で最も多いのはどれか。

 

  1. 妊娠、分娩及び産じょくにおける浮腫、タンパク〈蛋白〉尿及び高血圧性障害
  2. 前置胎盤及び(常位)胎盤早期剝離
  3. 産科的塞栓症
  4. 子宮外妊娠
  5. 分娩後出血

 

 


 

▶午前33

銅付加型子宮内避妊器具〈Cu-IUD〉について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 最長1年使用できる。
  2. 高い避妊効果がある。
  3. 未産婦に適している。
  4. 乳汁分泌量に影響を及ぼす。
  5. 緊急避妊法として使用される。

 

 


 

▶午前34

妊娠の成立に関して正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 排卵後の卵胞は黄体形成ホルモン〈LH〉を産生する。
  2. 受精は排卵の12~24時間後に行われる。
  3. 受精とは精子と卵子が結合し細胞質と核が融合することである。
  4. 受精卵は桑実胚期に着床する。
  5. 子宮内膜の増殖期に受精卵が着床する。

 

 


 

▶午前35

正常分娩進行中の子宮の変化で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 子宮峡部は伸展して薄くなる。
  2. 子宮頸部は下方から開大する。
  3. 子宮峡部が収縮し子宮体部が伸展する。
  4. 子宮洞筋部の収縮は娩出の原動力となる。
  5. 組織学的子宮口の位置に生理的収縮輪が形成される。

 

 


 

▶午前36

Whooleyの包括的2項目質問票の説明で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 使用は医師に限られている。
  2. 妊娠期の使用が推奨されている。
  3. 全般性不安障害〈全般不安症〉の発症を評価する。
  4. 直近7日間に該当する症状がよくあったかを尋ねる。
  5. 質問への回答のいずれかが「はい」であれば抑うつ状態の可能性がある。

 

 


 

▶午前37

Aさん(22歳、初妊婦)は、妊娠前に外陰部の腫瘤を自覚していたが、自然に消失したという。産婦人科の初診時に梅毒血清反応と梅毒トレポネーマ抗体血清検査を行ったところ、いずれも陽性であった。
Aさんへの治療で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. ペニシリン系抗菌薬を投与する。
  2. 妊娠12週以降に治療を開始する。
  3. 治療効果の判定は梅毒血清反応で行う。
  4. 陰圧室に隔離して治療を行う必要がある。
  5. 外陰部に副腎皮質ステロイド軟膏を塗布する。

 

 


 

▶午前38

出生後1時間の新生児の呼吸の異常所見はどれか。2つ選べ。

 

  1. 呼吸数が50/分である。
  2. 周期性呼吸がみられる。
  3. 呼気時に呻吟がみられる。
  4. 胸骨上窩の陥没呼吸がみられる。
  5. 吸気時に前胸部と腹部が同時に上昇する。

 

 


 

▶午前39

在胎30週で出生した極低出生体重児。先天性疾患や合併症はなく、日齢65に退院することとなった。自宅では保育所に通っている2歳の兄が両親とともに生活しており、兄の通う保育所ではインフルエンザとRSウイルス感染症が流行している。
退院時に児に行う感染予防対策で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 予防的抗菌薬の投与
  2. 肺炎球菌ワクチンの接種
  3. 副腎皮質ステロイド薬の吸入
  4. インフルエンザワクチンの接種
  5. 抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体の投与

 

 


 

▶午前40

Aさんは、妊婦健康診査でHBs抗原陽性、HBe抗原陽性を指摘された。
母子感染予防策で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 予定帝王切開で分娩を行う。
  2. 出産直前の母体にγ-グロブリンを投与する。
  3. 出生直後の児にB型肝炎ワクチン接種を行う。
  4. 生後2か月で抗HBsヒト免疫グロブリンを児に投与する。
  5. 出生12時間以内に抗HBsヒト免疫グロブリンを児に投与する。

 

 


 

次の文を読み41~43の問いに答えよ。

Aさん(30歳、1回経産婦)は、妊娠37週の妊婦健康診査でB群溶血性連鎖球菌〈GBS〉陽性であったが、それ以外の妊娠経過に異常はなかった。妊娠40週5日の午後10時にAさんは電話で「午後4時くらいから不規則に子宮収縮がありましたが、午後7時からは規則的に15分間隔になり、今も変わりません。生理痛のような痛みがあります。昨日の妊婦健康診査で、子宮の出口は2cm開いていると言われました。昨日から褐色のおりものがありますが、破水はしていません。いきみたい感じはありません」と落ち着いて話した。

 

▶午前41

Aさんは「病院までは30分くらいで行けます。上の子は近所に住む実母に預けることができます。どうしたらよいでしょうか」と話した。
電話でのAさんへの説明で適切なのはどれか。

 

  1. すぐに来院してもらう。
  2. 破水後にもう一度電話してもらう。
  3. 明日の午前中に外来を受診してもらう。
  4. 陣痛が10分間隔になったら来院してもらう。
  5. いきみたい感じがでてきたら来院してもらう。

 

 


 

▶午前42

その後Aさんは入院し、陣痛発来5時間後に陣痛間欠5分、陣痛発作40秒となった。内診所見は、子宮口7cm開大、展退度80%、Station±0、子宮頸管の硬度は軟、子宮口の位置は前方であった。矢状縫合は斜径、小泉門は5時方向、卵膜は触れず、薄いピンク色の羊水の流出を確認した。胎児心拍数陣痛図の波形はレベル2。腰部痛があるため左側臥位で過ごしており、肛門が押される感じがすると訴えている。
このときの対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 入浴するよう促す。
  2. 四つん這いの姿勢になるよう促す。
  3. エネルギー源となる食事の摂取を勧める。
  4. Valsalva〈バルサルバ〉法を実施してもらう。
  5. 分娩監視装置による連続モニタリングから、間欠的胎児心拍数聴取にする。

 

 


 

▶午前43

Aさんは、分娩開始後9時間で正常分娩した。分娩後、左正中側切開への縫合術が行われた。分娩時出血量は440mLで、子宮収縮は良好であった。分娩5時間後、Aさんは尿意を感じ、トイレまで歩行したが尿は出なかった。体温36.8℃、脈拍78/分、血圧138/74mmHg。子宮底の高さは臍高で硬く触れ、流血はない。口渇なし。意識は清明である。会陰切開縫合部の腫脹と発赤はない。触診で膀胱充満がみられた。膀胱部の不快感はない。
Aさんの尿が出ない原因で考えられるのはどれか。

 

  1. 脱水
  2. 尿路感染症
  3. 子宮復古不全
  4. 骨盤底筋群の弛緩
  5. 膀胱壁の平滑筋の麻痺

 

 


 

次の文を読み44~46の問いに答えよ。

Aさん(34歳、初産婦)は、妊娠40週4日。妊娠中の経過は、母児ともに順調で推定胎児体重は2,980gである。本日、午前1時から、10分おきに子宮収縮が出現したため、午前3時に来院した。入院から12時間後、内診所見は子宮口9cm開大、展退度100%、Station+2であった。胎児は第1胎向、第1分類、胎児心拍数陣痛図の波形はレベル1である。分娩室に入室して側臥位で過ごしているが、呼吸が乱れ全身に力が入っている。

 

▶午前44

このときの助産師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 酸素投与を行う。
  2. 仰臥位を勧める。
  3. 深呼吸を促す。
  4. 排泄を促す。

 

 


 

▶午前45

1時間後、Aさんは左側臥位で分娩をすることとなった。第4回旋で児の顔が向くと考えられる方向はどれか。

 

  1. Aさんの肛門側
  2. Aさんの恥骨側
  3. Aさんの左足側
  4. Aさんの右足側

 

 


 

▶午前46

児の出生から15分後に胎盤娩出した。Aさんは興奮気味で気分が高揚している様子である。分娩時出血量は320mLであった。1時間値は体温37.3℃、呼吸数30/分、脈拍84/分、血圧108/68mmHg、出血量40mL、子宮底の高さは臍高。硬度はやや良好で、子宮底マッサージで良好となった。
このときの観察結果で正常から逸脱しているのはどれか。

 

  1. 体温
  2. 呼吸数
  3. 脈拍
  4. 血圧
  5. 出血量

 

 


 

次の文を読み47~49の問いに答えよ。

Aさん(36歳、初産婦)は、胎児超音波検査は異常なく、妊娠経過は順調であり無痛分娩を希望している。妊娠40週5日、陣痛発来し入院した。医師がカテーテルを硬膜外腔に挿入し、テストドーズをカテーテルに注入し、母児ともに問題ないことを確認した。その後、硬膜外麻酔を開始し、Aさんの痛みは和らぎ、息苦しさはなかった。コールドテストにて麻酔が効いている範囲を評価した。

 

▶午前47

図を別に示す。このときコールドテストで冷感を感じない部位を橙色で示す。
108am47j
適切な範囲はどれか。

 

 

 


 

▶午前48

2時間後、Aさんの内診所見は既破水、子宮口3cm開大、展退度50%、Station±0であった。胎児心拍数陣痛図で、胎児心拍数は60bpmで2分間持続した。
このときの助産師の対応で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 体位を変える。
  2. 抗菌薬の準備をする。
  3. 医師に診察を依頼する。
  4. オキシトシンの点滴を準備する。
  5. 医師に硬膜外麻酔薬の投薬追加を提案する。

 

 


 

▶午前49

その後、Aさんは緊急帝王切開で女児を分娩した(羊水混濁なし)。児は、3,108g、Apgar〈アプガー〉スコア1分後8点、5分後9点であった。出生後5時間の時点で、児は、呼吸数120/分、心拍数160/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉92%(room air)、直腸温38.0℃で、医師は新生児搬送することに決めた。
新生児搬送までの児への対応で正しいのはどれか。

 

  1. 酸素を投与する。
  2. 直接母乳を与える。
  3. 冷罨法で体温を下げる。
  4. 肺サーファクタント補充療法の準備をする。

 

 


 

次の文を読み50~52の問いに答えよ。

令和4年(2022年)3月1日、Aさん(27歳、初産婦)は妊娠28週0日、自宅で胎動の減少、性器出血、持続的な腹部の痛みを認めた。かかりつけの地域周産期母子医療センターを受診し、直ちに常位胎盤早期剝離と診断され、緊急帝王切開術にてBちゃんを出産した。Bちゃんの出生時の体重は1,300g、Apgar〈アプガー〉スコアは1分後2点、5分後3点、10分後4点であり、蘇生処置が行われた。その後、重症新生児仮死の診断でNICUに入院し、人工呼吸器が装着され、閉鎖式保育器に収容された。

 

▶午前50

保育器の管理方法で適切なのはどれか。

 

  1. 加湿槽へ生理食塩水を給水する。
  2. 保育器の吹出口をシーツで覆う。
  3. 保育器内温度を35℃に設定する。
  4. 保育器内湿度を30%に設定する。

 

 


 

▶午前51

Bちゃん(日齢120)はGCU入院中で全身状態は安定しているが、経口哺乳が進まず、経管栄養を続けている。頭部MRI検査で脳室周囲白質軟化症と診断された。医師から両親へ、経管栄養が当面必要であること、運動発達の遅れや麻痺が出現する可能性があること、2週間後を目安に退院できることが伝えられた。Aさんから助産師に「退院前に産科医療補償制度の申請をしたいと思ったが、できないと言われた。その理由を知りたい」と相談があった。
Aさんへの理由の説明で正しいのはどれか。

 

  1. 自宅で常位胎盤早期剝離を発症した。
  2. 在胎週数28週0日で生まれた。
  3. 出生体重が1,300gであった。
  4. 現在、日齢120である。
  5. 現在、入院中である。

 

 


 

▶午前52

Bちゃんが入院中の病棟の病床数は、NICU6床、GCU12床、合計18床である。3交代制で、深夜勤帯はNICU2名、GCU2名の合計4名の看護師または助産師と新生児科医師1名が勤務している。近年、自然災害が多発しているため、深夜勤帯に災害が発生したことを想定した避難訓練を実施した。訓練では、NICUで緊急避難が必要な場合の避難優先順位について確認した。
優先順位が高いのはどれか。

 

  1. 酸素投与中の児
  2. 人工呼吸器管理中の児
  3. 動脈ライン挿入中の児
  4. コットで経口哺乳を行っている児

 

 


 

次の文を読み53、54の問いに答えよ。

Aさん(30歳、経産婦)は、2年前に離婚し長女(3歳)と2人暮らしだったが、パートナー(36歳、会社員)と同居後まもなくして妊娠が判明し、婚姻届を提出している。妊娠経過は順調で、妊娠37週に3,000gの男児を出産、産後5日に2,900gの児とともに退院した。保健センターから委託を受けた助産師は、産後25日に新生児訪問でAさんの自宅を訪問した。児は母乳栄養で退院時から体重が420g増加、活気があり、頭皮、両眉および両頰に丘状の黄色湿疹があり、べたついている。Aさんは「沐浴は夫が毎日、ガーゼのハンカチを使って石鹸でしっかり洗っています。沐浴後は母乳を飲ませています」と話す。児の排尿は8~10回/日、排便は2~3回/日程度である。

 

▶午前53

助産師のAさんへの助言で適切なのはどれか。

 

  1. 人工乳を追加する。
  2. 湿疹の部位は手で洗う。
  3. 肛門刺激を1日1回行う。
  4. 沐浴後は白湯を飲ませる。

 

 


 

▶午前54

Aさんは「夫は妊娠中は上の子とよく遊んでくれましたが、退院してからは生まれた子を特に可愛がります。上の子が夫に抱っこをせがんだら応じますが、自分から上の子を抱っこすることはありません。上の子をもっと抱っこしてあげてほしいと夫には伝えています」と話す。夫によるAさんや第1子への暴力的な言動はない。Aさんは1年間の育児休業を取得予定である。
このときの助産師のAさんへの対応で適切なのはどれか。

 

  1. 要保護児童対策地域協議会とAさんの情報を共有することを伝える。
  2. Aさんと夫それぞれの家族への思いについて情報収集を継続する。
  3. 第1子の一時預かり事業の利用を勧める。
  4. 児童相談所への相談を勧める。

 

 


 

次の文を読み55の問いに答えよ。

Aさん(39歳、初妊婦)は2年前から不妊治療を受け、2回目の体外受精後に妊娠した。既往歴および家族歴ともに特記すべきことはない。Aさんは妊娠10週の妊婦健康診査で産科外来を訪れ、妊娠経過は順調であった。外来助産師に「不妊治療で妊娠した場合は、出生前検査を受けた方がよいのでしょうか。妊娠した友人は非侵襲的出生前遺伝学的検査〈NIPT〉を受けた人が多いです」と話す。

 

▶午前55

このときのAさんへの対応で適切なのはどれか。

 

  1. 「ご友人の出生前検査の経験を詳しく教えてください」
  2. 「Aさんの年齢から出生前検査を受けることをお勧めします」
  3. 「不妊治療で妊娠した女性の出生前検査の受検割合をお伝えしますね」
  4. 「Aさんが出生前検査を受けるかどうか考える理由をお話しいただけますか」

 

 

 

第108回助産師国家試験・午後(55問)

 

▶午後1

性的暴力について正しいのはどれか。

 

  1. 性的暴力は心的外傷後ストレス障害〈PTSD〉のリスク因子になる。
  2. 性的暴力の被害者支援の原則は性被害の詳細な聞き取りである。
  3. 交際相手との間の不同意性交は性的暴力にあたらない。
  4. 性的暴力の加害者は、全く知らない人が最も多い。

 

 


 

▶午後2

骨盤入口面の形態を図に示す。
女性型はどれか。

 

108pm2j

 

 


 

▶午後3

乳癌の自己検診で正しいのはどれか。

 

  1. 年1回行う。
  2. 触診は立位で行う。
  3. 視診は鏡に映して行う。
  4. 視診は片腕を上げた姿勢で行う。

 

 


 

▶午後4

卵巣過剰刺激症候群について正しいのはどれか。

 

  1. 出血傾向となる。
  2. 血管透過性が低下する。
  3. プロゲステロンの上昇によって発症する。
  4. hCG〈ヒト絨毛性ゴナドトロピン〉製剤の投与が発症の契機となる。

 

 


 

▶午後5

妊娠に伴う呼吸数と機能的残気量の変化の組合せで正しいのはどれか。

 

   呼吸数    機能的残気量

  1. 増加する。――増加する。
  2. 増加する。――低下する。
  3. 低下する。――増加する。
  4. 低下する。――低下する。

 

 


 

▶午後6

在胎20週ころの胎児の形態と発育の説明で正しいのはどれか。

 

  1. 開眼する。
  2. 頭髪が認められる。
  3. 皮膚の透明度が増す。
  4. 老人様顔貌が消失する。

 

 


 

▶午後7

発育・発達が順調な乳幼児の社会性の発達の評価において、人見知りが始まる時期に最も近いのはどれか。

 

  1. 生後2か月
  2. 生後6か月
  3. 生後12か月
  4. 生後18か月

 

 


 

▶午後8

クラウス,M.H.とケネル,J.H.が提唱した母子相互作用で生じるエントレインメントにおける新生児の行動で正しいのはどれか。

 

  1. 母親があやすと笑う。
  2. 母親の行動を目で追いかける。
  3. 母親の話しかけに反応するように同調して自分の身体を動かす。
  4. 母親が指で新生児の手掌に触れると新生児は母親の指を握りしめる。

 

 


 

▶午後9

分娩予定日の算出で正しいのはどれか。

 

  1. 人工授精の施行日に280日を加える。
  2. 基礎体温の高温相の2日目に266日を加える。
  3. 体外受精・新鮮胚移植の採卵日に266日を加える。
  4. hMG-hCG療法のhCG〈ヒト絨毛性ゴナドトロピン〉製剤投与日に280日を加える。

 

 


 

▶午後10

Aさん(38歳、初産婦)は妊娠28週に妊婦健康診査のため来院した。身長162cm、体重69kg(非妊時体重62kg)、血圧128/62mmHg、尿蛋白(-)、尿糖(-)、子宮底長24cm。超音波検査で子宮頸管長38mm。Aさんは「夕方おなかが張ることがあるが、痛みはなく少し座っているとおさまります」と話す。
このときのAさんの状態のアセスメントで正しいのはどれか。

 

  1. 子宮頸管長の短縮が認められる。
  2. 子宮底長は妊娠週数に比べて小さい。
  3. 体重増加量が推奨基準を逸脱している。
  4. Braxton-Hicks〈ブラクストン-ヒックス〉収縮が出現している。

 

 


 

▶午後11

双胎妊娠について正しいのはどれか。

 

  1. 二絨毛膜双胎は二卵性双胎と診断する。
  2. 胎囊が2つあれば二絨毛膜双胎と診断する。
  3. 単胎妊娠に比べて胎児形態異常の発生頻度は低い。
  4. 膜性診断ができない場合は二絨毛膜双胎として管理する。

 

 


 

▶午後12

Aさん(32歳、初産婦)は陣痛開始から12時間が経過した。このときの内診所見は、子宮口7cm開大、展退度80%、Station±0、小泉門は触れず、大泉門が先進部として触れた。
この場合に予測される骨盤通過面はどれか。

 

  1. 小斜径周囲面
  2. 前後径周囲面
  3. 大斜径周囲面
  4. 気管頭頂径周囲面

 

 


 

▶午後13

養親となることを希望している者への特別養子縁組制度の説明で正しいのはどれか。

 

  1. 「養親は育児休業を取得できません」
  2. 「実親が育てたいと言った場合は、実親の元に戻ります」
  3. 「原則、養子になった子どもとの親子関係は解消できません」
  4. 「将来子どもが戸籍を見ると、養子であることが分かります」

 

 


 

▶午後14

母体の致死率が高く、妊娠を避けるべき循環器系の病態はどれか。

 

  1. 肺高血圧症
  2. 肺血栓塞栓症の既往
  3. 心室中隔欠損症の修復後
  4. NYHA心機能分類Ⅰ度の心不全

 

 


 

▶午後15

妊娠糖尿病の妊娠管理で正しいのはどれか。

 

  1. 食事療法として2分食を指導する。
  2. 薬物療法としてインスリン療法を行う。
  3. 薬物療法として経口血糖降下薬を内服する。
  4. 食前血糖120mg/dL以下を目指して指導する。

 

 


 

▶午後16

Aちゃん(4歳、男児)は幼稚園通園中である。有意語の発語が少なく指示が通じにくい、ごっこ遊びをしない、興味を持つおもちゃが限定されている、といった特徴から自閉スペクトラム症と診断されている。最近、不機嫌になって対応に困ることが多くなり、両親はAちゃんとの関わり方に悩んでいる様子である。
児への関わり方の指導で適切なのはどれか。

 

  1. 遊びの場になるべく多種類のおもちゃを置いておく。
  2. 興奮状態になった場合は1人になれる場所に誘導する。
  3. Aちゃんに理解できないことは明確な言葉で繰り返し伝える。
  4. Aちゃんの機嫌をみてその日のスケジュールをこまめに変更する。

 

 


 

▶午後17改題

低出生体重児について正しいのはどれか。

 

  1. 令和4年(2022年)の低出生体重児の割合は全出生の5%である。
  2. 低出生体重児の予後は在胎週数と相関しない。
  3. 3歳までに成長曲線を上回る。
  4. 成人後の肥満に関連がある。

 

 


 

▶午後18

高校2年生を対象に、将来の妊娠も視野に入れた健康づくりをテーマに助産師が健康教育を行うことになった。
説明で適切なのはどれか。

 

  1. 「バランスのよい食事で適正な体重を維持しましょう」
  2. 「スポーツは1日60分、1週間300分を目安に行いましょう」
  3. 「結婚したら、女性は速やかにかかりつけの婦人科医院をつくりましょう」
  4. 「幼児期に風しんワクチンを受けていても妊娠初期に再度接種しましょう」

 

 


 

▶午後19

A病院は母体・胎児集中治療室〈MFICU〉を持たない総合病院である。
A病院の産科病棟の管理で正しいのはどれか。

 

  1. 空床に他科の患者を受け入れることができる。
  2. 助産師の配置人数は診療報酬で規定されている。
  3. 母児同室をする病室の床面積は診療報酬で規定されている。
  4. 正常新生児6名に1名の看護職員を配置しなければならない。

 

 


 

▶午後20

出産扶助について適切なのはどれか。

 

  1. 自宅分娩は支給対象外である。
  2. 分娩介助費は実費で支給される。
  3. 分娩前の処置は支給対象ではない。
  4. 分娩後の衛生材料は現物支給される。

 

 


 

▶午後21

RhD式血液型不適合妊娠で胎児水腫が認められた。
このとき、胎児水腫を引き起こした免疫グロブリンはどれか。

 

  1. IgA
  2. IgD
  3. IgE
  4. IgG
  5. IgM

 

 


 

▶午後22

発熱を主訴に母乳外来を再診した産後4週の母親。産科医師の診察でインフルエンザと診断され、抗インフルエンザウイルス薬(オセルタミビルリン酸塩)が処方された。
今後の授乳について助産師の説明で適切なのはどれか。

 

  1. 「人工乳を補足しましょう」
  2. 「内服前に授乳しましょう」
  3. 「今までどおり授乳しましょう」
  4. 「搾乳した母乳を飲ませましょう」
  5. 「一度冷凍した母乳を解凍して飲ませましょう」

 

 


 

▶午後23

避妊指導におけるGATHER法の説明で正しいのはどれか。

 

  1. 集合教育の手法である。
  2. 全ての要素を順番に行う必要がある。
  3. 緊急避妊薬の指導に特化した手法である。
  4. 対象者の年齢に関係なく同じ情報を提供する。
  5. 避妊指導におけるカウンセリング手法である。

 

 


 

▶午後24

新生児真性メレナの原因はどれか。

 

  1. 壊死性腸炎
  2. 母体血の嚥下
  3. 急性胃粘膜病変
  4. ミルクアレルギー
  5. ビタミンKの欠乏

 

 


 

▶午後25

重篤な新生児黄疸による急性ビリルビン脳症の第1期に認められる臨床症状はどれか。

 

  1. 眼振
  2. 眼瞼下垂
  3. 後弓反張
  4. 胆汁性嘔吐
  5. Moro〈モロー〉反射の減弱

 

 


 

▶午後26

A助産師は、3年前に助産所を開設し、セミオープンシステムを導入している。半年前から、妊婦と子育て中の母親が交流できる子育てサロンを新たに開始した。A助産師は、妊産婦に助産所をより広く周知するためにホームページを見直すことにした。
助産所のホームページに掲載が禁止されているのはどれか。

 

  1. A助産師がサロンに参加した母親に依頼した体験談の記事
  2. セミオープンシステムの説明
  3. 子育てサロンの開催日時
  4. 助産所の分娩費用
  5. 嘱託医師の氏名

 

 


 

▶午後27

閉経以降の女性に生じる身体変化の特徴で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 骨吸収は低下する。
  2. 骨形成は低下する。
  3. 中性脂肪は上昇する。
  4. HDLコレステロールは上昇する。
  5. LDLコレステロールは上昇する。

 

 


 

▶午後28

性染色体の数の異常を示すのはどれか。2つ選べ。

 

  1. アンドロゲン不応症
  2. Turner〈ターナー〉症候群
  3. Sheehan〈シーハン〉症候群
  4. Rokitansky〈ロキタンスキー〉症候群
  5. Klinefelter〈クラインフェルター〉症候群

 

 


 

▶午後29

尖圭コンジローマについて正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. リンパ節腫脹を生じる。
  2. 血液検査によって診断する。
  3. 治療には抗菌薬を内服する。
  4. 予防法としてワクチン接種がある。
  5. 外陰部の病変には外用薬を塗布する。

 

 


 

▶午後30

羊膜で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 血管がない。
  2. 羊水を分泌する。
  3. 胎生42日目に形成される。
  4. エストロゲンが分泌される。
  5. 子宮内膜から分化したものである。

 

 


 

▶午後31

母性健康管理指導事項連絡カードについて正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 母体保護法に規定されている。
  2. 措置が必要となる症状に産後の不安がある。
  3. 措置が必要な期間を延長する場合は新たに発行する。
  4. 必要な措置を講じることは事業主の努力義務である。
  5. 女性従業者は診断書を添えて事業主に必要な措置を申請する。

 

 


 

▶午後32

Aさん(40歳、初産婦)は、骨盤位のため38週0日に帝王切開で分娩する方針になった。非妊時のBMI30、喫煙者であることから、静脈血栓塞栓症の発症を予防するため、術後に抗凝固療法が予定されている。
Aさんに手術後に行う対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 直接授乳の中止
  2. 臥床時の頭部挙上
  3. 3日間のベッド上安静
  4. 間欠的空気圧迫法の実施
  5. 初回歩行時の助産師の付き添い

 

 


 

▶午後33

Aさん(25歳、初産婦)は、10年前にてんかんと診断され、抗てんかん薬の内服で現在の病状は安定している。妊娠38週0日で3,800gの男児を経腟分娩で出産した。羊水混濁なし、Apgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後9点であった。児は生後2時間、啼泣時に軽度の下顎、四肢のふるえがみられる。努力呼吸や心雑音はない。体温37.0℃、呼吸数50/分、心拍数140/分、血圧60/40mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(room air)である。
この児で今後、気を付けなければならないのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 離脱症候群
  2. 新生児低血糖
  3. 先天性心疾患
  4. 胎便吸引症候群
  5. 新生児一過性多呼吸

 

 


 

▶午後34

乳児家庭全戸訪問事業〈こんにちは赤ちゃん事業〉について正しいのはどれか。 2つ選べ。

 

  1. 実施主体は都道府県である。
  2. 訪問の担当者には子育て経験者が含まれる。
  3. 育児相談や子育て支援に関する情報提供を行う。
  4. 対象は生後6か月までの乳児がいる全家庭である。
  5. 児童虐待の防止等に関する法律〈児童虐待防止法〉に基づき実施される。

 

 


 

▶午後35

保健師助産師看護師法に記載されている助産師の義務はどれか。2つ選べ。

 

  1. 就業の届出
  2. 出生証明書の交付
  3. 受胎調節実地指導
  4. 新生児の訪問指導
  5. 助産所開設時の届出

 

 


 

次の文を読み36~38の問いに答えよ。

Aさん(25歳、女性、会社員)は、2日前に市販の妊娠反応検査薬が陽性だったため、産婦人科クリニックを受診した。学生時代からマラソンを続け、現在も社会人選手として毎日トレーニングをしている。
身体所見:身長162cm、体重43kg。
月経周期:初経は17歳だったが、周期は不規則で1年近く無月経だったこともある。
超音波検査所見:子宮内に10mmの胎囊は確認できたが、胎芽・胎児および心拍動は確認できず、受胎日も特定できなかった。

 

▶午後36

Aさんへの助産師の説明で適切なのはどれか。

 

  1. 「妊娠12週までは胎児心拍の確認は難しいです」
  2. 「次の診察までは安静にしてください」
  3. 「市販薬は飲んでも大丈夫です」
  4. 「10日後に受診してください」

 

 


 

▶午後37

その後、Aさんは胎児心拍が確認されて順調な妊娠経過をたどった。妊娠32週の妊婦健康診査で助産師外来を受診したAさんは「最近、赤ちゃんがよく動くんです。そのたび下腹が張ってトイレに行きたくなります」と話している。助産師がLeopold〈レオポルド〉触診法を行った。
触診の所見:
第1段 子宮底に浮球感がある。
第2段 母体左側に児背がわずかに触れる。羊水量は中程度。右臍棘線中央付近で胎児部分を触れ、胎動に伴って腹部に弱い緊張感が出現する。
第3段 子宮底より小さく胎児部分を触れる。
第4段 骨盤内へ胎児部分の嵌入はない。
この所見から助産師が行う生活上の助言で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「キーゲル体操をやってみましょう」
  2. 「帝王切開になる可能性も考えておきましょう」
  3. 「休むときは右側を下にして横になりましょう」
  4. 「冷えを防止するために靴下は2枚履きましょう」

 

 


 

▶午後38

Aさんは無事に分娩予定日を迎えた。40週1日から前駆陣痛があったが不規則になったため自宅で過ごし、40週3日の早朝に規則的な陣痛が発来して入院した。入院時のビショップスコアは5点。5時間が経過した正午、陣痛は4~5分間隔。陣痛持続時間は1分。胎児心拍数陣痛図はreassuringfetalstatus。内診所見は、子宮口3cm開大、展退度60%、Station-1、子宮口硬度やや軟、子宮口位置中央、分泌物なし。Aさんはやや疲れた様子で、陣痛間欠時にうとうとしている。
助産師の判断した分娩時期で適切なのはどれか。

 

  1. 分娩開始前である。
  2. 分娩第1期の潜伏期である。
  3. 分娩第1期の加速期である。
  4. 分娩第1期の極期である。

 

 


 

次の文を読み39~41の問いに答えよ。

Aさん(36歳、初妊婦)は、夫Bさん(44歳)と2人暮らしである。妊娠15週3日の妊婦健康診査で来院した。妊娠経過は順調である。診察時、Aさんは頭痛、食欲不振、疲労感、不眠を訴えた。さらに、助産師に「妊娠は、夫が強く望んでいたんです。実の母との関係はうまくいっていないので、子育てを手伝ってもらおうとは思っていないです」と話した。

 

▶午後39

このときのAさんへの助産師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 妊娠への思いについて表出を促す。
  2. 実母に子育ての相談をするように提案する。
  3. 妊娠を喜ぶ夫の気持ちに寄り添うように励ます。
  4. 身体的な症状はマイナートラブルであり軽減すると説明する。

 

 


 

▶午後40

Aさんは妊娠28週に、不眠、集中力の減退によって日常の生活が困難となり、うつ病と診断された。精神科医師から薬物療法のメリットとデメリットがAさん夫婦に説明され、Aさんは抗うつ薬の内服を開始した。その1週後から、Aさんの支援のために、定期的に、担当の助産師と産科医師、精神科医師、精神科看護師、保健センター保健師による連携会議を行うことになった。
初回の会議で共有すべき情報として優先度が高いのはどれか。

 

  1. Aさんの病状
  2. 実母との関係
  3. 家族の支援状況
  4. 利用できる保健サービス

 

 


 

▶午後41

妊娠34週の妊婦健康診査で、産科医師からAさんに経腟分娩が可能であると説明された。うつ病については内服治療を継続しており、症状はコントロールされている。その後、Aさんから「母親学級に参加しバースプランについて知りました。でも、陣痛の痛みに耐えられるのか、うつ病の薬を飲んでいても、生まれてすぐに赤ちゃんにおっぱいを吸わせていいのか、イメージできないことが多いです。夫は、出産に立ち会うことに乗り気ではないみたいです」という訴えがあった。そこで、担当の助産師は、Aさんにバースプランを作成することを提案した。
バースプランを作成するにあたり、助産師がAさんへ情報提供する内容で適切なのはどれか。

 

  1. 「分娩室では、Bさんの協力が必要です」
  2. 「お産のときは眠らないように工夫しましょう」
  3. 「うつ病の場合は、無痛分娩は勧められません」
  4. 「分娩室で、赤ちゃんにおっぱいを吸わせることができます」

 

 


 

次の文を読み42~44の問いに答えよ。

Aさん(32歳、初産婦)は、妊娠39週6日、規則的な子宮収縮と痛みを自覚し、午前3時に分娩予定の産婦人科を受診した。胎児は頭位、子宮口5cm開大、展退度80%、Station-1。無痛分娩を希望し、硬膜外麻酔により痛みが緩和された。午前11時に子宮口全開大、Station+4、午後2時に子宮口全開大、Station+4、矢状縫合は縦で小泉門が0時方向に触れる。分娩停止の適応で鉗子遂娩術が実施されることになった。

 

▶午後42

このときに必要な対応はどれか。

 

  1. 浣腸
  2. 導尿
  3. 子宮底圧迫法
  4. 硬膜外麻酔の中止

 

 


 

▶午後43

Aさんは午後2時15分に2,952gの女児を鉗子分娩で出産し、午後2時20分に胎盤が娩出された。胎盤が娩出された直後より、暗赤色の血液が腟内から吹き出した。子宮は軟らかく子宮底の触知が困難である。
まず行うべき処置はどれか。

 

  1. 子宮双手圧迫法
  2. 子宮動脈塞栓術
  3. 子宮内容除去術
  4. 子宮腔内バルーンタンポナーデ

 

 


 

▶午後44

Aさんの出血は止まり、会陰切開部の縫合が行われた。午後6時、助産師が訪室すると「お尻のあたりが痛いです。便がしたい感じもあります」と訴えて顔をしかめている。会陰部は軽度腫脹がみられるが、縫合不全はなく、パッドへの悪露の付着は少量である。
このときの助産師の対応で正しいのはどれか。

 

  1. 内診をする。
  2. トイレで排便を促す。
  3. 鎮痛薬の処方を医師に依頼する。
  4. 子宮収縮薬の処方を医師に依頼する。

 

 


 

次の文を読み45~47の問いに答えよ。

Aさん(38歳、初産婦)は妊娠39週0日、胎児機能不全のため緊急帝王切開を受け、男児(Bちゃん)を出産した。羊水混濁は認めなかった。児は生後20秒で手術台から蘇生台に到着したが全身にチアノーゼを認め、啼泣はなく、筋緊張の低下が認められた。

 

▶午後45

蘇生の初期処置で必要なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 胸骨圧迫
  2. 酸素投与
  3. 皮膚乾燥
  4. 口腔内吸引
  5. 経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉モニター装着

 

 


 

▶午後46

Bちゃんはマスクを用いた持続的気道陽圧〈CPAP〉療法を受けて呼吸状態は改善したが、呼吸補助療法が中止できないためマスクを用いた持続的気道陽圧〈CPAP〉を継続しつつNICUに入院して閉鎖式保育器に収容された。入院時のバイタルサインは、体温36.9℃、呼吸数90/分、心拍数160/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97%(room air)であった。
入院直後の呼吸を補助するためのケアで正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 上体の挙上
  2. 母乳の哺乳
  3. 足底の皮膚刺激
  4. 胃管から胃内吸引
  5. バッグマスク換気

 

 


 

▶午後47

BちゃんはNICU入院後、保育器内で経鼻的持続気道陽圧呼吸療法〈CPAP〉(吸入酸素濃度25%)を装着し、末梢静脈路が確保されてブドウ糖液による輸液を開始された。
輸液療法開始後早期に静脈内投与されるのはどれか。

 

  1. ビタミンK
  2. アドレナリン
  3. 塩化カリウム
  4. 無水カフェイン

 

 


 

次の文を読み48、49の問いに答えよ。

Aさん(35歳、初妊婦)は、妊娠20週0日である。身長160cm、体重60kg(非妊時体重57kg)、仕事はIT関係の会社で週5日デスクワークをしている。本日、助産師外来を受診し「姉が妊娠糖尿病だったので私もそうなるのではないかと心配している。つわりがおさまってから食欲が旺盛で食べ過ぎてしまう。どれくらい食べても大丈夫なのか相談したい」と話す。妊娠初期の随時血糖は92mg/dL、ヘモグロビンA1c〈HbA1c〉は2%であった。

 

▶午後48

現在のAさんの推定エネルギー必要量で適切なのはどれか。

 

  1. 1,700kcal/日
  2. 1,900kcal/日
  3. 2,100kcal/日
  4. 2,300kcal/日
  5. 2,500kcal/日

 

 


 

▶午後49

Aさんは妊娠26週0日になった。前回の妊婦健康診査受診時に実施した50gGCTが156mg/dLだった。本日の妊婦健康診査では、尿糖+、ヘモグロビンA1c〈HbA1c〉4%、75gOGTTは空腹時血糖90mg/dL、1時間値195mg/dL、2時間値148mg/dLであり、妊娠糖尿病と診断された。
妊娠糖尿病の診断基準に当てはまる結果はどれか。

 

  1. 尿糖
  2. 空腹時血糖
  3. 75gOGTT1時間値
  4. 75gOGTT2時間値
  5. ヘモグロビンA1c〈HbA1c〉

 

 


 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。

Aさん(38歳、初産婦)は、妊娠41週0日、身長152cm、体重80kg(非妊時体重72kg)である。午前4時に陣痛発来し、午前7時に入院した。現在は入院から1時間が経過し、陣痛間欠8分、陣痛発作30秒、胎児心拍数陣痛図はreassuring fetal statusである。体温36.6℃、脈拍78/分、血圧134/80mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)、Seitz〈ザイツ〉法(±)。妊娠40週3日の妊婦健康診査で推定胎児体重3,500g、BPD9.7cm、AFI10cmであった。

 

▶午後50

このときの助産診断で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 過期産である。
  2. 巨大児と推定される。
  3. 遷延分娩のリスクが高い。
  4. 妊娠高血圧症候群である。
  5. 胎児の健康状態は良好である。

 

 


 

▶午後51

Aさんは子宮口6cm開大後、陣痛促進のためオキシトシン点滴静脈内注射が開始された。その後、順調に分娩が進行し、子宮口全開大から1時間30分で児頭まで娩出した。引き続き前在肩甲娩出術を試みたが娩出しない。
このときの対応で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 子宮底部を圧迫する。
  2. 強く児頭を牽引する。
  3. 恥骨上縁圧迫法を行う。
  4. オキシトシンを増量する。
  5. McRoberts〈マックロバーツ〉体位をとらせる。

 

 


 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。

Aさん(39歳、初産婦)は、妊娠28週時の妊婦健康診査にて羊水が多いことを指摘され、妊娠29週0日に総合周産期母子医療センターであるB病院を紹介受診した。超音波検査にて推定胎児体重は1,150g(-2SD)、AFI32cm、小脳低形成、先天性心疾患、食道閉鎖症の疑いなどの所見が認められた。Aさんは、胎児に染色体異常がある可能性について担当医師から説明を受け、出生前検査を希望した。

 

▶午後52

このときに行われる出生前検査はどれか。

 

  1. 絨毛検査
  2. 羊水検査
  3. 母体血清マーカー検査
  4. 非侵襲的出生前遺伝学的検査〈NIPT〉

 

 


 

▶午後53

Aさんは、妊娠33週0日の妊婦健康診査にて「息苦しくて横になれない。食べても吐いてしまう。お腹の張りが頻回にある」と訴え、入院管理となった。超音波検査にて推定胎児体重は1,630g(-5SD)、AFI45cm、子宮頸管長33mmである。胎児心拍数陣痛図は、胎児心拍数基線140bpm、基線細変動10bpm、一過性頻脈を認め、一過性徐脈を認めない。子宮収縮を不規則に認める。
Aさんへの治療で正しいのはどれか。

 

  1. 羊水除去
  2. 酸素の投与
  3. 利尿薬の投与
  4. 子宮収縮抑制薬の投与

 

 


 

次の文を読み54の問いに答えよ。

Aさん(38歳、女性、会社員、経産婦)は身長162cm、体重82kg、BMI32、血圧165/95mmHg、毎日たばこを10本吸っている。1年前から月経痛が強くなってきたため婦人科を受診した。「仕事が忙しいので毎日薬を飲むのは困る」と話す。内診で骨盤内感染症が疑われた。Aさんは月経痛に対して、レボノルゲストレル放出子宮内システム〈LNG-IUS〉を希望したが、挿入されなかった。

 

▶午後54

Aさんにレボノルゲストレル放出子宮内システム〈LNG-IUS〉を挿入できない理由はどれか。

 

  1. 肥満
  2. 高血圧
  3. 喫煙習慣
  4. 骨盤内感染症の疑い

 

 


 

次の文を読み55の問いに答えよ。

Aさん(32歳、初産婦)は妊娠30週3日で、夫と実母の3人暮らしである。助産師が担当している保健センターの相談室に来所した。Aさんは「産後は母が手伝ってくれると言っていますが、産後ケアについても知っておきたいです」と話した。助産師は、産後ケア事業について説明することにした。

 

▶午後55

Aさんへの説明で適切なのはどれか。

 

  1. 「産後2年以内に利用してください」
  2. 「宿泊の場合は全額自費になります」
  3. 「育児に関する指導を受けることができます」
  4. 「お母さんと同居していると利用できません」

 

 


 

資料 厚生労働省「第110回保健師国家試験、第107回助産師国家試験、第113回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

国民衛生の動向」は公衆衛生、母子保健・母子福祉、医療提供体制などの最新の動向を解説し、医療従事者や国家試験対策として広く用いられています。

 

助産師国家試験では、毎年1問程度、人口動態統計などを基にした最新の母子保健統計を問う問題が出題されており、「国民衛生の動向」などで最新の統計をまとめて押さえることが必須となります。

 

このページでは、第107回(2024年)から第88回(2005年)までの20年間の助産師国家試験に出題された母子保健統計問題をピックアップし、最新の数値とともに解説しています。

 

これまで出題された統計問題の傾向を把握し、「国民衛生の動向」を参照して、より詳細なデータや推移、その対策や制度などを関連付けて確認することで、様々な問題に対応できる力を身に付けていただければ幸いです。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

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定価:2,970円(税込)

412頁・B5判

雑誌コード:03854-08

 

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▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

 

出生の動向

  • 令和4年(2022年)の出生数は過去最低の77.1万人、人口千対の出生率は6.3と減少が続いている。
  • 母の年齢階級別に出生率の推移をみると、20~24歳、25~29歳では昭和50年代以降低下を続け、代わって30歳以上の各階級が上昇し、近年は30~34歳の出生率が最も高い。
  • なお、第1子出生時の母親の平均年齢も延びており、令和4年(2022年)は30.9歳となっている。

 

▶95回午前23改題

日本における20〜39歳の母の5歳ごとの年齢階級別出生率の推移を示す。
95am23j
30〜34歳に該当するのはどれか。

 

 

 

 

合計特殊出生率

  • 15~49歳の女性の年齢別出生率を合計したものを合計特殊出生率といい、令和4年(2024年)は1.26となっている。
  • 母の年齢別出生率を女児だけについて合計した総再生産率は0.64、さらに女児の死亡を見込んだ純再生産率は0.63となっている(令和3年)。

 

▶88回午前67

合計特殊出生率はどれか。

 

  1. (ある年齢階級の母が1年間に産んだ子の数/ある年齢階級の女子の人口)×1,000
  2. (同じ母親から出生した順位別出生数/15~49歳女子人口)×1,000
  3. (母の年齢別出生数/年齢別女子人口)の15~49歳の合計
  4. (母の年齢別女児出生数/年齢別女子人口)の15~49歳の合計

 

 


 

▶89回午前66改題

わが国の合計特殊出生率で正しいのはどれか。

 

  1. 18~49歳の女子人口を基に計算される指数である。
  2. 1950年代の低下は主に有配偶率の低下による。
  3. 1970年代以降の低下は主に30歳代における出生率の低下による。
  4. 令和4年(2022年)は1.26である。

 

 


 

▶100回午後12改題

日本の令和4年(2022年)の出生に関する統計で正しいのはどれか。

 

  1. 純再生産率は1.3である。
  2. 出生数は約100万人である。
  3. 沖縄県の合計特殊出生率は低率である。
  4. 母の年齢階級別出生率をみると30~34歳が最も高い。

 

 

 

妊産婦死亡(令和4年)

  • 妊産婦死亡は、妊娠中または妊娠終了後満42日未満の女性の死亡をいい、妊産婦死亡数は33人、妊産婦死亡率(出産10万対)は4.2となっている。
  • 妊娠時における産科的合併症が原因で死亡したものを直接産科的死亡(23人)、妊娠前から存在した疾患又は妊娠中に発症した疾患により死亡したものを間接産科的死亡(5人)という。直接産科的死亡の原因では「産科的塞栓症」が8人と最も多い。

 

▶92回午後28改題・89回午前67類問

わが国の令和4年(2022年)における妊産婦死亡の直接産科的死因の第1位はどれか。

 

  1. 産科的塞栓
  2. 分娩後出血
  3. 前置胎盤及び胎盤早期剥離
  4. 妊娠、分娩、産褥における浮腫、蛋白尿、高血圧性障害

 

 

 

周産期死亡

  • 周産期死亡は、妊娠満22週以後の死産と生後1週未満の早期新生児死亡を合わせたものをいい、令和4年(2022年)の周産期死亡数は、妊娠満22週以後の死産が2,061胎、早期新生児死亡が466人の2,527胎・人となっている。
  • 周産期死亡数を出産数(出生数+死産数)で割った1000対を周産期死亡率といい、令和4年(2022年)は3.3となっている。
  • 最も多い死亡原因は「周産期に発生した病態」である。

 

▶102回午後26

日本の人口動態統計調査における周産期死亡率を求める式を示す。
102pm26j
(  )に入るのはどれか。

 

  1. 妊娠満12週以後22週未満の死産数
  2. 人工妊娠中絶数
  3. 新生児死亡数
  4. 年間出生数
  5. 年間出産数

 

 


 

▶97回午後35

ある年の人口統計を表に示す。
97pm35j
周産期死亡率を求めよ。
ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。

 

解答:①.②

 

 


 

▶91回午前67改題

令和4年(2022年)の我が国の周産期死亡で正しいのはどれか。

 

  1. 母親の年齢が45歳以上の周産期死亡率は25~29歳の2倍以上である。
  2. 早期新生児死亡数は妊娠22週以後の死産数よりも多い。
  3. 最も多い死亡原因は先天奇形および染色体異常である。
  4. 周産期死亡率は6.0である。

 

 

 

乳児死亡・新生児死亡・早期新生児死亡

  • 乳児死亡は生後1年未満の死亡をいい、そのうち生後4週未満の死亡を新生児死亡、生後1週未満の死亡を早期新生児死亡という。
  • 令和4年(2022年)では、乳児死亡数・率(出生千対)が1,356人・1.8、新生児死亡数・率(出生千対)が609人・0.8、早期新生児死亡数・率(出生千対)が466人・0.6となっている。
  • 死因第1位は、乳児死亡・新生児死亡で「先天奇形、変形及び染色体異常」、早期新生児死亡が「周産期に特異的な呼吸障害及び心血管障害」となっている。

 

▶101回午後9改題

日本における令和4年(2022年)の乳児死亡について正しいのはどれか。

 

  1. 死因の第1位は乳幼児突然死症候群〈SIDS〉である。
  2. 乳児死亡数は2,000人を下回っている。
  3. 死亡率は3.0を上回っている。
  4. 早期新生児死亡は含まれない。

 

 


 

▶105回午前17改題

日本の令和4年(2022年)の早期新生児死亡で正しいのはどれか。

 

  1. 周産期死亡の8割を占める。
  2. 新生児死亡数の3割を占める。
  3. 死亡原因の第1位は敗血症である。
  4. 死亡率は出生1,000に対して0.6である。

 

 

 

死産

  • 死産は妊娠満12週以後の死児の出産をいい、そのうち人工死産は胎児の母体内生存が確実なときに人工的処置を加えたことにより死産に至った場合をいい、それ以外はすべて自然死産である。
  • 令和4年(2022年)の自然死産数は7,390胎、人工死産数は7,788胎で、死産率(出産千対)は自然死産が9.4、人工死産が9.9となっている。自然死産率は昭和36年(1961年)をピークに減少傾向にあるが、人工死産率は昭和50年頃から上昇と低下を示している。
  • なお、母体保護法による人工妊娠中絶は長期的に減少傾向にあり、令和4年(2022年)の人工妊娠中絶件数は122,725件、人工妊娠中絶実施率(女子人口千対)は5.1となっている。

 

▶106回午前25改題

母子保健統計の年次推移グラフを示す。
106am25j
Aに当てはまるのはどれか。

 

  1. 自然死産率
  2. 人工死産率
  3. 乳児死亡率
  4. 新生児死亡率

 

 

 

総合問題

 

▶98回午後35改題

令和4年(2022年)の母子保健統計について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 出生数は過去20年で最低である。
  2. 自然死産率は人工死産率よりも高い。
  3. 妊産婦死亡数は100人を超えている。
  4. 人工妊娠中絶数は前年に比べ増加している。
  5. 第1子出生時の母の平均年齢は30歳を超えている。

 

 


 

▶99回午前13改題

日本の平成22年(2010年)以降の母子保健統計について正しいのはどれか。

 

  1. 令和4年(2022年)の自然死産率は人工死産率よりも高い。
  2. 妊産婦死亡率は緩やかに低下を続けている。
  3. 乳児死亡の原因で最も多いのは不慮の事故である。
  4. 母の年齢階級別出生率が最も高いのは30〜34歳である。

 

 


 

▶103回午後34改題

令和4年(2022年)の日本の母子保健統計で正しいのはどれか。

 

  1. 合計特殊出生率は1.26である。
  2. 人工死産率よりも自然死産率の方が高い。
  3. 年齢別の出生率で最も高いのは25〜29歳である。
  4. 新生児死亡の原因は「周産期に特異的な呼吸障害、および心血管障害」が最多である。

 

 


 

▶104回午前20改題

令和4年(2022年)の母子保健統計で正しいのはどれか。

 

  1. 合計特殊出生率は約1.6である。
  2. 周産期死亡数は約2,500人である。
  3. 人工妊娠中絶実施率(女子人口千対)は約1.0である。
  4. 女性の労働力率を年齢階級別にみると逆U字型曲線を描く。

 

 


 

▶94回午前24改題

令和4年(2022年)の母子保健統計で正しいのはどれか。

 

  1. 人工死産率よりも自然死産率の方が高い。
  2. 人工妊娠中絶数は前年と比べて増加している。
  3. 低出生体重児の出生割合は全出生数の約1割である。
  4. 妊産婦死亡の原因は間接産科的死亡が半数以上である。

 

 


 

▶90回午前66改題

令和4年(2022年)の母子保健統計で正しいのはどれか。

 

  1. 妊産婦死亡率は4.2(出産10万対)である。
  2. 第1子出生時の母親の平均年齢は32.6歳である。
  3. 乳児死亡の原因の第1位は周産期の特異的な呼吸障害である。
  4. 早期新生児死亡の原因の第1位は胎盤・臍帯および卵膜の合併症である。

 

 

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

国民衛生の動向」は、毎年わが国の衛生の状況や保健行政の動向を解説したものとして、昭和24年の創刊以来、公衆衛生テキストの決定版として長年ご愛用いただいています。とくに、本誌では最新の衛生を取り巻く制度の解説や人口・健康状況などの統計が網羅されており、医療関係者の国家試験対策のテキストとしても広く活用されているところです。

 

当ページでは、助産師国家試験の受験者向けに、最新の「国民衛生の動向2024/2025」がカバーする助産師国家試験の過去問をピックアップし、本誌の該当箇所を示します。問題を解きながら不明な部分を本誌で確認し、学習効率の向上にご活用下さい。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

発売日:2024.8.27

定価:2,970円(税込)

412頁・B5判

雑誌コード:03854-08

 

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助産師国家試験について

最新の試験日程や手続き等の情報は、助産師国家試験の施行(厚生労働省)をご確認下さい。

 

助産師国家試験は昭和27年(1952年)から開始し、最新では令和7年(2025年)2月に108回目の試験が実施されました。

過去10年間の受験者数、合格者数、合格率は以下のとおりです。

 

 

 受験者数   合格者数   合格率 
 108回(2025年)  2,050人 2,027人 98.9%
 107回(2024年)  2,151人 2,125人 98.8%
 106回(2023年)  2,105人 2,093人 99.4%
 105回(2022年)  2,089人 2,077人 99.4%
 104回(2021年)  2,108人 2,100人 99.6%
 103回(2020年)  2,105人 2,093人 99.4%
 102回(2019年)  2,105人 2,096人 99.6%
 101回(2018年)  2,230人 2,201人 98.7%
 100回(2017年)  2,053人 1,909人 93.0%
 99回(2016年)  2,008人 2,003人 99.8%

 

直近5回をみると、受験者数、合格者数は横ばい傾向で、合格率は99%前後と非常に高く推移しています。合格基準は、一般問題(1問1点の75問)と状況設定問題(1問2点の35問)を合わせた145点のうち87点(60%)以上とされます。

 

医療職国家試験の中では合格率は高いですが、試験問題が簡単だというわけではなく、授業や実習、過去問を中心にしっかり学習を進めた受験者が多いことがその理由の一つです。過去の合格率に惑わされず、着実に知識を身に付けていくことが大切です。

 

助産師国家試験の出題基準は、平成9年の公表以来、保健師助産師看護師国家試験出題基準改定部会で検討を行い、改定を重ねてきており、令和5年実施の試験からは、「保健師助産師看護師国家試験出題基準 令和5年版」が適用されています。

 

出題基準では、「基礎助産学」「助産診断・技術学」「地域母子保健」「助産管理」の4科目が設定されています。「国民衛生の動向」では、特に助産環境を取り巻く「地域母子保健」について最新の制度や統計を解説しています。

 

問題種類別 助産師国家試験過去問題

過去の助産師国家試験に出題された問題を、テーマ別に分けてポイントを解説しています。本格的に試験対策を始める前の傾向を知る際、また、試験直前の確認などにお使い下さい。

 

 

試験年次別 助産師試験過去問題

助産師国家試験の年次別に問題と正答、「国民衛生の動向」が対応する章・ページ数を掲載します。

問題を解きながら「国民衛生の動向」を確認し、知識の定着に役立てて下さい。

 

 

助産師国家試験過去問題PDF

厚生労働省が公表している過去10年間の問題、正答のPDFの一覧です。

 

第108回

(2025年)

午前問題

午後問題

午前問題別冊 正答

第107回

(2024年)

午前問題

午後問題

午前問題別冊 正答

第106回

(2023年)

午前問題

午後問題

午前問題別冊 正答

第105回

(2022年)

午前問題 

午後問題

午前問題別冊 正答 

第104回

(2021年)

午前問題

午後問題

午前問題別冊 正答

第103回

(2020年)

午前問題

午後問題

午前問題別冊 正答

第102回

(2019年)

午前問題

午後問題

午前問題別冊 正答

第101回

(2018年)

午前問題

午後問題

午前問題別冊 正答

第100回

(2017年)

午前問題

午後問題

午前問題別冊 正答

第99回

(2016年)

午前問題

午後問題

午前問題別冊 正答

 

 

医療職国家試験に出る国民衛生の動向

助産師として必要となる看護師資格を得るための看護師国家試験のほか、保健師や医師、薬剤師国家試験の統計・法律問題など「国民衛生の動向」が対応する問題とポイントを掲載しています。
内容も重なる部分が多く、知識の定着や予想問題として活用することをおすすめします。

 

 

図説 国民衛生の動向

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図説 国民衛生の動向』は、「国民衛生の動向」の図説ダイジェスト版です。「国民衛生の動向」の内容に沿って、1ページ1テーマで、フルカラーの図表とともに要点を絞って解説しています。

記述量の多い「国民衛生の動向」の手軽な副読本としても活用できます。

 

医療職のための統計セミナー

厚生労働統計協会では、医療職の皆様のキャリアアップのために、研究発表や論文作成に必要な統計知識を実践的に学んでいただくオンラインセミナーを、毎年数回開催しています。

詳細はこちらをご確認下さい。

国民衛生の動向」は、母子保健・母子福祉や公衆衛生など厚生行政の全体像を1冊に集約し、法律や制度の概要、歴史、改正内容などを網羅しています。

 

助産師国家試験では、主に母子保健行政を取り巻く幅広い法律の知識が毎年多く問われています。法律の学習を苦手とする方は多いですが、しっかり理解して覚えれば確実な得点源となります。

 

このページでは、助産師国家試験に出題された法律ごとに、「国民衛生の動向」の記述を基に要点を簡潔にまとめ、107回(2024年)から96回試験(2013年)までの過去12年の出題の中から対応する問題をピックアップしています。「国民衛生の動向」と併用してご活用下さい。

 

なお、母子保健法や母体保護法などは「国民衛生の動向でみる母子保健制度問題まとめ」をご参照ください。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

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▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

法律別問題目次

 

 

健康増進法

第3編1章 2.1〕(5)健康増進法 p86~87

日本人の食事摂取基準

  • 健康増進法に基づき、国民の健康の保持・増進を図る上で摂取することが望ましいエネルギーおよび栄養素の量の基準を厚生労働大臣が定め、5年ごとに改定を行っている。
  • 妊婦・授乳婦、乳児・小児、高齢者といった対象特性ごとの設定も行っている。

 

▶101回午後13

妊婦における食事摂取基準を定める法律はどれか。

 

  1. 健康増進法
  2. 健康保険法
  3. 地域保健法
  4. 母子保健法
  5. 母体保護法

 

 

妊婦の食事摂取基準

  • 日本人の食事摂取基準(2020年版)では、妊娠初期(〜13週6日)、妊娠中期(14週0日〜27週6日)、妊娠後期(28週0日〜)の3区分に分けて、妊娠前と比べて余分に摂取すべきと考えられるエネルギー量を付加量として示している。
  • 付加量が設定されている栄養素は、蛋白質(中期・後期)、ビタミンA(後期)、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビタミンC、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレンである。

 

▶106回午前34

日本人の食事摂取基準(2020年版)で妊娠後期の妊婦に付加量が設定されている栄養素はどれか。2つ選べ。

 

  1. カルシウム
  2. ナイアシン
  3. ビタミンA
  4. ビタミンC
  5. ビタミンK

 

 


 

▶104回午前29改題

日本人の食事摂取基準(2020年版)で、妊娠中の女性が非妊時と同量の摂取で良いとされる栄養素はどれか。

 

  1. カルシウム
  2. タンパク質
  3. ビタミンC
  4. 葉酸

 

 

授乳婦の食事摂取基準

  • 妊産婦と同様に、正常な妊娠・分娩を経た授乳婦が授乳期間中に妊娠前と比べて余分に摂取すべきと考えられるエネルギー量を付加量として示している。
  • 付加量が設定されている栄養素は、蛋白質、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ナイアシン、ビタミンB6、ビタミンB12、葉酸、ビタミンC、鉄、亜鉛、銅、ヨウ素、セレン、モリブデンである。

 

▶96回午後33改題

2020年版の「日本人の食事摂取基準」で授乳婦に付加量が設定されている栄養素はどれか。2つ選べ。

 

  1. カルシウム
  2. ビタミンA
  3. ビタミンK
  4. 食物繊維

 

 

 

予防接種法

第3編3章 4.予防接種 p142~148

乳児の予防接種

予防接種の開始は生後2ヶ月が推奨され、定期接種であるインフルエンザ菌b型〈Hib〉、肺炎球菌、B型肝炎、四種混合(百日咳・ジフテリア・破傷風・不活化ポリオ混合)、ロタウイルスの接種が可能となる。

 

▶96回午前39

生後2か月から接種が可能なワクチンはどれか。2つ選べ。

 

  1. Hibワクチン
  2. 麻疹ワクチン
  3. DPTワクチン
  4. 肺炎球菌ワクチン
  5. 日本脳炎ワクチン

 

 


 

▶99回午前30

1か月児健康診査時の予防接種に関する保健指導で正しいのはどれか。

 

  1. 「BCGは生後12か月から接種が可能です」
  2. 「肺炎球菌ワクチンは定期接種ではありません」
  3. 「Hibワクチンは生後2か月から接種が可能です」
  4. 「生ワクチンと不活化ワクチンとの同時接種はできません」
  5. 「インフルエンザワクチンは生後1か月から接種が可能です」

 

 


 

▶107回午後1改題

乳幼児の予防接種で正しいのはどれか。

 

  1. 接種の開始は生後2か月が推奨される。
  2. 定期接種、任意接種ともに就学前に完了する。
  3. 同時接種とは複数のワクチンを混合して接種することである。
  4. 注射生ワクチン接種から6日以上あけて次の注射生ワクチン接種が可能となる。

 

 

 

医療法

第4編1章 1.医療法 p166

助産所の規定

(有床)助産所とは、助産師が公衆または特定多数人のために業務(病院又は診療所において行うものを除く)を行う場所をいう。なお、無床助産所は、助産師が妊産婦等の自宅に出張するのみで健康診査、分娩、産後ケアなどの業務を行うものをいう。医療法に基づき以下のような規定がなされている。

 

  • 助産所は、妊婦、産婦または褥婦10人以上の入所施設を有してはならない。
  • 助産師が助産所を開設したときは、開設後10日以内に、助産所の所在地の都道府県知事に届け出なければならない。なお、開設地の都道府県知事の許可を受ければ、助産師でない者も助産所を開設できる。
  • 助産所の開設者は、助産師を管理者としなければならない。
  • 助産所の開設者は、嘱託医師を定めて置かなければならない(有床・無床問わず)。

 

▶99回午前32

保健師助産師看護師法に定められていないのはどれか。

 

  1. 助産所開設の届出
  2. 異常死産児の届出
  3. 業務従事者の届出
  4. 出生証明書の交付
  5. 臨床研修の努力義務

 

 


 

▶97回午前40

助産所の開設と管理について医療法で規定されているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 分娩費用
  2. 臨時応急の手当
  3. 従事者の人的構成
  4. 妊産褥婦の収容人数
  5. 嘱託医師を定めること

 

 


 

▶96回午前22

助産所の管理で正しいのはどれか。

 

  1. 妊産婦の入所数は1〜19人である。
  2. 開設者と管理者は同一人物でなければならない。
  3. 開設者は嘱託医師名を都道府県知事に届け出る。
  4. 業務に従事する助産師の略歴を広告してはならない。

 

 


 

▶104回午後22

助産所について正しいのはどれか。

 

  1. 開設した場合は所在地の市区町村長に届け出る。
  2. 分娩を扱わない助産所でも産後ケアを行える。
  3. 開設者は助産師でなければならない。
  4. 入所者数の上限は12名である。

 

 


 

▶107回午後23

助産所の開設で正しいのはどれか。

 

  1. 管理者は助産師に限定されない。
  2. 無床の助産所の場合は開設届は不要である。
  3. 出張のみで助産に従事する場合でも嘱託医師を定めなければならない。
  4. 助産師が開設する場合は事前に都道府県知事に届け出なければならない。

 

 


 

▶103回午前40

助産所の開設で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 医療法に規定されている。
  2. 開設者は助産師免許が必要である。
  3. 開設届は都道府県知事に提出する。
  4. 無床の助産所の開設届は不要である。
  5. 1人の助産師が同時に2か所以上の開設はできない。

 

 


 

▶99回午後11

無床の助産所について正しいのはどれか。

 

  1. 自宅の住所を所在地として届け出る。
  2. 管理者は助産師でなくてもよい。
  3. 保健所長が開設を認可する。
  4. 分娩は取り扱えない。

 

 


 

▶98回午後20

助産所の管理者に義務付けられているのはどれか。

 

  1. 産科医療補償制度への加入
  2. 助産師免許の助産所内での掲示
  3. 医療安全支援センターへの開設の届出
  4. 職員に対する医療に係る安全管理のための研修の実施

 

 

有床助産所の構造設備

助産所の構造設備について、以下のような基準が定められている。

 

  • 入所室を地下に設けないこと。
  • 入所室の床面積について、1母子の入所では6.3m2以上、2母子以上の入所では1母子につき4.3m2メートル以上とすること。
  • 第3階以上の階に入所室を有する場合は避難階段を2以上設けること。
  • 入所施設を有する助産所にあっては、床面積9m2以上の分娩室を設けること。

 

▶98回午後29

医療法に基づき、有床助産所の構造設備について基準が定められているのはどれか。

 

  1. 保育器
  2. 分娩室の床面積
  3. 入所する妊産婦用の食堂
  4. 洗浄機能の付いたトイレ
  5. 子ども用のプレイルーム

 

 


 

▶101回午前17

A助産師は助産所を開業予定である。助産所の建物は地下1階、地上2階建てで、分娩を取り扱い、産褥入院も計画している。
助産所の構造設備で正しいのはどれか。

 

  1. 母子の入所室は地下にした。
  2. 個室の床面積は4.3m2にした。
  3. 分娩室の床面積は12m2にした。
  4. 入所室の収容人数を10人とした。

 

 


 

▶106回午前40

分娩を取り扱う有床助産所を産婦人科診療所に併設して開設することになった。助産所の構造は耐震、耐火構造の地下1階から地上3階建てにした。 関連法規に基づいた
助産所の開業計画で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 地階に入所室を設ける。
  2. 避難階段を2つ設ける。
  3. ベッド数は15床にする。
  4. 管理者は産婦人科診療所の産科医にする。
  5. 所在地の都道府県知事に開設を届け出る。

 

 

 

保健師助産師看護師法

第4編1章 4.4〕看護職員等 p193~197

助産師の業務①

  • 助産師は、医師等の指示があった場合を除くほか、診療機械の使用、医薬品の授与、医薬品についての指示など、医師等が行わなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。
  • ただし、臨時応急の手当をし、またはへその緒を切り、浣腸を施すなど、助産師の業務に当然に付随する行為をする場合はこの限りでない。

 

▶105回午前19

助産業務と規定する法律の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 臍帯切断――保健師助産師看護師法
  2. 臨時応急の手当――母子保健法
  3. 妊産婦の訪問指導――母体保護法
  4. 助産所に関する広告――地域保健法

 

 


 

▶103回午前10

院内助産において分娩時の出血時に助産師が自らの判断で行う対応で適切なのはどれか。

 

  1. 昇圧薬の投与
  2. 胎盤用手剝離
  3. 輸血開始の決定
  4. 腟内ガーゼ充塡

 

 

助産師の業務②

助産師は、妊婦、産婦、褥婦、胎児、新生児に異常があると認めたときは、医師の診療を求めさせることを要し、自らこれらの者に対して処置をしてはならない。ただし、臨時応急の手当については、この限りでない。

 

▶100回午後29

助産業務に関連する法律と内容の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 刑法――医行為の禁止
  2. 医療法――助産録の記載
  3. 児童福祉法――守秘義務
  4. 母体保護法――母性健康管理指導事項連絡カードの発行
  5. 保健師助産師看護師法――異常妊婦に対する臨時応急の手当

 

 

助産師の業務③

助産師は、妊娠4月以上の死産児を検案して異常があると認めたときは、24時間以内に所轄警察署にその旨を届け出なければならない。

 

▶106回午前33

助産師の異常死産児の届出義務を規定している法律はどれか。

 

  1. 刑法
  2. 戸籍法
  3. 母子保健法
  4. 母体保護法
  5. 保健師助産師看護師法

 

 


 

▶107回午後35

助産師が死産児を検案して異常があると認めた場合の届出で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 48時間以内に届け出なければならないと規定されている。
  2. 妊娠4か月の死産児は対象となる。
  3. 医療法に定められている。
  4. 届出は義務である。
  5. 保健所に届け出る。

 

 

助産師の業務④

助産師が分娩介助をしたときは、助産に関する以下のような事項を遅滞なく助産録に記載しなければならず、5年間保存しなければならない。 (保健師助産師看護師法施行規則34条)

 

  • 妊産婦の住所、氏名、年齢および職業
  • 分娩回数および生死産別
  • 妊産婦の既往疾患の有無およびその経過
  • 今回妊娠の経過、所見および保健指導の要領
  • 妊娠中医師による健康診断受診の有無(結核、性病に関する検査を含む。)
  • 分娩の場所および年月日時分
  • 分娩の経過および処置
  • 分娩異常の有無、経過および処置
  • 児の数および性別、生死別
  • 児および胎児附属物の所見
  • 産褥の経過および褥婦、新生児の保健指導の要領
  • 産後の医師による健康診断の有無

 

▶99回午前14

助産録について正しいのはどれか。

 

  1. 記載事項は医療法に定められている。
  2. 帝王切開術の場合は記載義務はない。
  3. 電子カルテの場合の保存期間は3年である。
  4. 記載義務は保健師助産師看護師法に定められている。

 

 


 

▶98回午前40

保健師助産師看護師法施行規則に規定されている助産録の記載事項はどれか。2つ選べ。

 

  1. 妊娠高血圧症候群の妊婦の治療方針
  2. 産婦の配偶者の職業
  3. 保健指導の要領
  4. 産婦の性格
  5. 分娩経過

 

 


 

▶96回午後25

助産録の記載事項として保健師助産師看護師法施行規則に規定されていないのはどれか。

 

  1. 児の性別
  2. 分娩の場所
  3. 妊産婦の住所
  4. 妊産婦の国籍
  5. 胎児付属物の所見

 

 

 

刑法

 

守秘義務

  • 刑法134条に基づき、助産師または助産師であった者が、正当な理由なく、業務上取り扱ったことについて知り得た人の秘密を漏らしたときは、懲役または罰金に処する。
  • なお、保健師、看護師、准看護師については、保健師助産師看護師法42条に基づく守秘義務が規定されている。

 

▶97回午前30

助産師の守秘義務が規定されているのはどれか。

 

  1. 刑法
  2. 医療法
  3. 母子保健法
  4. 保健師助産師看護師法
  5. 個人情報の保護に関する法律

 

 


 

▶96回午後18

助産師の守秘義務違反とならないのはどれか。

 

  1. 妊婦の夫が有名人であることを友人の助産師に話した。
  2. 妊婦のパートナーが失業していたことを妊婦の母親に伝えた。
  3. 昨日の感動的な出産をしたAさんのことを妊婦である友人に話した。
  4. 5歳の子どもの腹部に複数の内出血があることを児童相談所に伝えた。

 

 

 

戸籍法

 

出生届

出生の届出は、14日以内(国外で出生があったときは3ヶ月以内)に行わなければならない。届出書には以下のような事項を記載する。

 

  • 子の男女の別および嫡出子または非嫡出子の別
  • 出生の年月日時分および場所
  • 父母の氏名および本籍、父または母が外国人であるときはその氏名および国籍

 

▶105回午前20

出生届について正しいのはどれか。

 

  1. 母子保健法に規定されている。
  2. 出生の年月日時分及び場所を記入する欄がある。
  3. 子の両親以外の代理人が届け出ることはできない。
  4. 出生の日から7日以内に届け出るよう規定されている。

 

 


 

▶107回午前20

Aさん(初産婦、未婚)は、1人暮らしをしている。出産後3か月は実家に滞在する予定である。
出生の届出書の提出で正しいのはどれか。

 

  1. 提出は出生後21日以内と規定されている。
  2. 届出者はAさんでなければならない。
  3. 居住地区の保健所に提出する。
  4. 嫡出子の有無を記入する。

 

 


 

▶101回午前40

出生届について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 出生後15日以降に届け出る。
  2. 出生証明書とは別に届け出る。
  3. 母子保健法に規定されている。
  4. 24時間いつでも届け出ることができる。
  5. 嫡出子と非嫡出子との別を記入する欄がある。

 

 

 

死産の届出に関する規程

 

死産届

  • 死産の届出は、医師または助産師の死産証書または死胎検案書を添えて、死産後7日以内に届出人の所在地または死産があった場所の市町村長に届け出なければならない。
  • 死産の届出は父が行い、やむを得ない事由で父が届出をすることができないときは、母、同居人、死産に立ち会った医師、死産に立ち会った助産師、その他の立会人という順序によって行う。

 

▶102回午後35・105回午後21類問

死産に関わる届出で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 死産届は24時間以内に提出する。
  2. 死産届は死産のあった場所の都道府県知事に提出する。
  3. 死産の分娩に立ち会った場合は死胎検案書を作成する。
  4. 死産児を検案して異常を認めた場合は、所轄警察署に届け出る。
  5. 提供した医療に起因する予期しなかった死産は医療事故調査・支援センターに届け出る。

 

 


 

▶100回午後28

Aさん(30歳、初妊婦)。夫と義母の3人暮らし。妊娠38週で子宮内胎児死亡となり、帝王切開術を受けた。手術後8日で退院する予定である。Aさんの実母から「赤ちゃんの父親は海外出張中で帰って来ることができません。死産届は誰が出したらよいでしょうか」と助産師に相談があった。
届出者として最も適切なのはどれか。

 

  1. 義母
  2. Aさん
  3. Aさんの実母
  4. 死産に立ち会った医師
  5. 死産に立ち会った助産師

 

 

 

健康保険法

 

出産育児一時金

  • 出産育児一時金は健康保険法等に基づく保険給付で、被保険者またはその被扶養者が出産したときに一定の金額を支給する制度である。
  • 妊娠4か月(85日)以降の出産(死産)で支給され、支給金額は、産科医療補償制度に加入の医療機関等で妊娠週数22週以降に出産した場合は1児につき50万円、制度未加入であったり22週未満で出産した場合は1児につき48.8万円となっている。

 

▶101回午後10

出産育児一時金について正しいのはどれか。

 

  1. 支給額は標準報酬日額の3分の2である。
  2. 被保険者本人が出産したときのみ支給対象となる。
  3. 妊娠85日以後の出産であれば死産でも支給される。
  4. 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律〈男女雇用機会均等法〉に定められている。

 

 


 

▶98回午前25改題

31歳の初妊婦。妊娠30週0日、双胎妊娠。小学校の教員。
この妊婦へ支給される出産育児一時金で正しいのはどれか。

 

  1. 50万円である。
  2. 所得制限がある。
  3. 2人分支給される。
  4. 出産前から受け取ることができる。

 

 


 

▶102回午後13

Aさん(26歳、初妊婦)。留学生。妊娠9週。来日2年目。Aさんのパートナーも留学生で、2人ともアルバイトをしながら学業を継続している。日本での出産を希望している。出産費用が心配になり、助産師に相談してきた。
Aさんが出産育児一時金を支給されるための条件はどれか。

 

  1. 自国の大使館に妊娠届を提出していること
  2. 日本の公的医療保険に加入していること
  3. 母子健康手帳を交付されていること
  4. 日本で婚姻届けを提出していること

 

 

出産手当金

  • 出産手当金は、被保険者が出産日以前42日(多胎妊娠は98日)から出産日後56日までの間に産前産後休暇を取得し、事業主から給料の支払を受けられない場合に保険者から支給される手当である。
  • 1日当たりの金額は、(直近12か月間の標準報酬月額の平均額)×1/30×2/3で計算される。

 

▶102回午前14

出産手当金で正しいのはどれか。

 

  1. 健康保険法で定められている。
  2. 異常分娩の場合には支給されない。
  3. 1日につき標準報酬日額に相当する額が支給される。
  4. 被保険者が扶養している配偶者の出産にも支給される。

 

 

 

児童扶養手当法

 

児童扶養手当

児童扶養手当は、父母の離婚等により、父または母と生計を同じくしていない児童が育成されるひとり親世帯を対象に、生活の安定と自立の促進に寄与するために支給される手当である。

 

▶107回午後21

低所得のひとり親世帯の生活の安定と自立の促進を目的とした手当はどれか。

 

  1. 児童手当
  2. 出産手当金
  3. 児童扶養手当
  4. 特別児童扶養手当

 

 

 

母子及び父子並びに寡婦福祉法

 

生活資金の貸付

母子及び父子並びに寡婦福祉法に基づき、母子家庭に対する母子福祉資金、父子家庭に対する父子福祉資金、寡婦に対する寡婦福祉資金の貸付を行っている。

 

▶106回午後20

母子及び父子並びに寡婦福祉法に規定されている制度はどれか。

 

  1. 生活扶助
  2. 生活資金の貸付
  3. 特別児童扶養手当
  4. 児童養護施設の利用

 

 

特定教育・保育施設の利用等に関する特別の配慮

市町村は母子家庭の福祉が増進されるように、特定教育・保育施設または特定地域型保育事業の利用について、相談、助言、要請等を行う場合には、特別の配慮をしなければならない。

 

▶101回午前32

Aさん(28歳)は、昨年夫を事故で亡くし、実父母と同居していたが、仕事を始めて3歳の子どもと2人で暮らすことになった。子どもは健康で、順調に成長している。
母子及び父子並びに寡婦福祉法に基づき、Aさんが受けられる支援で正しいのはどれか。

 

  1. 保育施設の利用に関する特別の配慮
  2. 特別児童扶養手当
  3. 乳幼児医療費助成
  4. 次世代育成支援
  5. 生活扶助

 

 

 

児童福祉法

第5編2章 3.児童家庭福祉 p235~239

養育支援訪問事業

養育支援訪問事業では、出産後の子どもの養育について出産前に支援を行うことが特に必要と認められる妊婦(特定妊婦)を対象に、保健師や助産師、保育士などが訪問し、指導・助言を行う。支援の必要性を判断するために、以下のような項目がある。

 

  • 若年
  • 経済的問題
  • 妊娠葛藤
  • 母子健康手帳未発行・妊娠後期の妊娠届
  • 妊婦健康診査未受診等
  • 多胎
  • 妊婦の心身の不調

 

▶101回午前36

特定妊婦について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 高所得の妊婦は該当しない。
  2. 児童福祉法に定義されている。
  3. 児童養護施設が相談窓口となる。
  4. 妊婦健康診査の未受診者を含む。
  5. 周産期医療ネットワークに登録される。

 

 

地域子育て支援拠点事業

地域子育て支援拠点事業は、概ね3歳未満の乳幼児と保護者を対象に、相互の交流を行う場所を開設し、子育てについての相談、情報の提供、助言などの援助を行う事業である。

 

▶97回午前21改題

地域子育て支援拠点事業について正しいのはどれか。

 

  1. おおむね3歳未満の児童および保護者を対象とする。
  2. ボランティアには子育て経験が必要である。
  3. ひとり親家庭等日常生活支援事業がある。
  4. 新生児訪問事業を実施する。

 

 

乳児家庭全戸訪問事業

乳児家庭全戸訪問事業は、原則生後4ヶ月までの乳児のいるすべての家庭を訪問し、乳児と保護者の心身の状況と養育環境の把握、子育てに関する情報の提供、養育についての相談などを行う事業である。

 

▶103回午後35

児童福祉法で規定しているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 子の看護休暇
  2. 乳幼児健康診査
  3. 乳児家庭全戸訪問事業
  4. 地域子育て支援拠点事業
  5. 母子健康包括支援センター

 

 

 

次世代育成支援対策推進法

第5編2章 3.児童家庭福祉 p235~239

概要

  • 次世代育成支援対策推進法は、我が国の急速な少子化の進行、家庭や地域を取り巻く環境の変化に対応するため、次代の社会を担う子どもが健やかに生まれ、かつ、育成される環境の整備のため、国・地方公共団体、事業主、国民の責務を規定している。
  • 従業員101人以上の事業主には行動計画を策定することが義務づけられており、計画に盛り込む内容として、育児休業や短時間勤務に関する取組、所定外労働の削減や年次有給休暇の取得に関する取組を記載することとされる。

 

▶97回午後23

一般事業主に対し、仕事と家庭の両立に関する行動計画の策定を義務づけている法律はどれか。

 

  1. 母子保健法
  2. 労働基準法
  3. 少子化社会対策基本法
  4. 男女共同参画社会基本法
  5. 次世代育成支援対策推進法

 

 


 

▶100回午後13

次世代育成支援対策推進法について正しいのはどれか。

 

  1. 妊産婦に対してマタニティマークの携帯を推進する。
  2. 急速な少子化の進行を踏まえて策定された法律である。
  3. 次世代育成支援対策は3年ごとに取り組みを評価する。
  4. 常時雇用の従業員が50人以上の企業は行動計画の策定が義務付けられている。

 

 

 

男女雇用機会均等法

第5編2章 3.6〕妊産婦等の就業 p238~239

不利益取扱いの禁止

事業主は、女性労働者の妊娠や出産に係る措置を理由として、解雇その他不利益取扱いをしてはならない。

 

▶107回午前29

就労している妊婦が「産前休業を申請した後、上司から『こんな忙しいときに産前休業を取るなんて、周りはとても迷惑する』と何度も言われています。これはハラスメントではないでしょうか」と相談した。
このような上司からの言動の防止措置を定めた法律はどれか。

 

  1. 地域保健法
  2. 母子保健法
  3. 労働基準法
  4. 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律〈男女雇用機会均等法〉
  5. 育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律〈育児・介護休業法〉

 

 

妊婦健康診査の請求

  • 妊婦は事業主に妊婦健康診査を受診する時間の確保を請求できる。
  • 健康診査等により妊娠中・出産後の女性労働者が医師等から指導を受けた場合、主治医等が記入した母性健康管理指導事項連絡カードに従って、事業主は勤務時間の変更などの必要な措置を講じなければならない。

 

▶96回午前29

「母性健康管理指導事項連絡カード」について規定している法律はどれか。

 

  1. 労働基準法
  2. 母子保健法
  3. 母体保護法
  4. 国民健康保険法
  5. 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律

 

 

 

労働基準法

第5編2章 3.6〕妊産婦等の就業 p238~239

産前産後休業

使用者は産前6週間で休業を請求した女性、産後8週間産後6週間経過後の女性の請求による就業は可)を経過しない女性を就業させてはならない。

 

▶104回午前23

法律において、「使用者は、産後(①)週間を経過しない女性を就業させてはならない。ただし、産後(②)週間を経過した女性が請求した場合において、その者について、医師が支障がないと認めた業務に就かせることは、差し支えない」と規定されている。
①と②に入る数字の組合せで正しいのはどれか。

 

  ①  ②

  1. 4――6
  2. 6――8
  3. 8――4
  4. 8――6 

 

 

生理休暇

生理日の就業が著しく困難な女性が休暇を請求した場合には、その者を生理日に就業させることはできない。

 

▶99回午後10

生理休暇について正しいのはどれか。

 

  1. 非正規雇用の場合は取得できない。
  2. 取得には医師の診断書が必要である。
  3. 請求できる日数は月に3日までである。
  4. 労働基準法に定められている権利である。

 

 

 

育児・介護休業法

第5編2章 3.6〕妊産婦等の就業 p238~239

主な規定

育児・介護休業法には育児に関して以下のような規定がある。

 

  • 子どもが1歳になるまでの育児休業
  • 3歳までの子を養育する労働者の請求による所定外労働の制限や所定労働時間の短縮
  • 小学校就学前までの子を養育する労働者の請求による看護休暇の取得や時間外労働の制限

 

▶105回午前21

育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律〈育児・介護休業法〉に規定されている制度で正しいのはどれか。

 

  1. 専業主婦の配偶者は育児休業を申請できない。
  2. 育児休業は出産日から起算して1年まで取得できる。
  3. 子の看護休暇は就学前の子を養育する労働者が取得できる。
  4. パパ・ママ育休プラスは夫婦がそれぞれ1年2か月育児休業を取得できる。

 

 

 

妊産婦の就業(複合問題)

 

▶98回午前10

30歳の初妊婦。妊娠23週5日。妊娠経過は良好。1年前から正規雇用の職員として働いている。「妊婦健康診査は有給休暇をとって受診していました。今後は妊婦健康診査の回数が増えたり、出産後も子どものことで仕事を休む機会が増えると思うのでどのような制度があるか聞きたい」と言う。
この妊婦への情報提供として正しいのはどれか。

 

  1. 「妊婦健康診査の受診に必要な時間を確保するための休暇の申請ができます」
  2. 「産後休暇の後に育児休業が1年とれます」
  3. 「看護休暇は1年に20日が限度です」
  4. 「子どもが小学生になるまで短時間勤務が可能です」

 

 


 

▶106回午後34

双生児を出産した会社員が利用できる制度で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 産後休業は14週間である。
  2. 1児ごとに出産育児一時金が支給される。
  3. 子が就学するまで短時間勤務を申請できる。
  4. 子の看護休暇は1年間に10日まで取得できる。
  5. 産後2年まで医師の指示による受診に必要な時間を申請できる。

 

 


 

▶102回午後6

Aさん(28歳、初妊婦)。現在、妊娠18週で双胎。事務職で正規採用されて3か月経った。
Aさんへの保健指導で正しいのはどれか。

 

  1. 「育児休業は1年間の申し出ができます」
  2. 「産前休業は予定日前に16週間取得できます」
  3. 「妊婦健康診査受診に必要な時間には、医療機関への往復時間を含みます」
  4. 「出産手当金は、出産日以前42日から出産日後より56日まで支給されます」

 

 

 

児童虐待防止法

第5編2章 3.4〕児童虐待防止対策 p237~238

面会等の制限

児童虐待を受けた児童について、児童福祉法に基づく施設入所等の措置や一時保護が行われた場合、必要があると認めるとき、児童相談所長や施設の長は、児童虐待を行った保護者について児童との面会、通信の全部または一部を制限することができる。

 

▶105回午前18

児童虐待の防止等に関する法律〈児童虐待防止法〉で規定されているのはどれか。

 

  1. 児童相談所への看護師の配置
  2. 特定妊婦に対する養育支援訪問
  3. 心身の危険がある児童の一時保護
  4. 保護者に対する施設入所等の措置となった児童との面会の制限

 

 

児童虐待の早期発見

児童の福祉に職務上関係のある助産師等は、児童虐待を発見しやすい立場にあることを自覚し、児童虐待の早期発見に努めなければならない。

 

▶104回午前24

児童虐待の防止等に関する法律〈児童虐待防止法〉に明記されている助産師の役割はどれか。

 

  1. 児童虐待の早期発見
  2. 虐待を受けた児童の一時保護
  3. 虐待のおそれがある児童の居所への訪問
  4. 保護者に対する児童虐待防止のための教育

 

 

児童虐待の種類

児童虐待防止法では児童虐待について、保護者が行う、①身体的虐待、②性的虐待、③ネグレクト(無視、怠慢)、④心理的虐待と定義している。

 

▶99回午後35

児童虐待のうち、ネグレクトに相当するのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 乳幼児を家に放置して外出する。
  2. 子どもの自尊心を傷つける発言をする。
  3. 子どもに不潔な下着を長期間着用させる。
  4. 子どもをポルノグラフィーの被写体にする。
  5. 子どもの前で配偶者やその他の家族に対し暴力を振るう。

 

 

 

DV防止法

第5編2章 3.5〕配偶者からの暴力の防止対策 p238

概要

  • 配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律〈DV防止法〉に基づき、医療関係者が業務を行うに当たって、配偶者からの暴力による負傷または疾病にかかったと認められる者を発見した場合、その者の意思を尊重するよう努めた上で通報することができるほか、配偶者暴力相談支援センター等の利用について情報を提供するよう努めなければならない。
  • DV防止法に規定する配偶者には、男性・女性の別を問わず、婚姻の届出をしていない事実婚、離婚後(事実上離婚したと同様の事情に入ることを含む)、生活の本拠を共にする交際相手からの暴力も含む。

 

▶103回午前11

配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律〈DV防止法〉に定められている配偶者からの暴力に関する医療関係者の対応で正しいのはどれか。

 

  1. 通報先は児童相談所である。
  2. 通報することは守秘義務に反する。
  3. 事実上婚姻関係にある被害者については通報できない。
  4. 配偶者暴力相談支援センター等の利用について被害者に情報提供する。

 

 

 

性同一性障害特例法

 

性別の取扱いの変更の審判

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律〈性同一性障害特例法〉に基づき、性別の取扱いの変更の審判を行える者として、以下のいずれにも該当することが条件である。

 

  • 18歳以上であること
  • 現に婚姻をしていないこと
  • 現に未成年の子がいないこと
  • 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること
  • その身体について他の性別に係る身体の性器に係る部分に近似する外観を備えていること

 

▶106回午前27

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律で、戸籍上の性別の取扱いについて変更の審判ができる条件に含まれるのはどれか。

 

  1. 16歳以上であること。
  2. 婚姻状態にある場合は配偶者の同意があること。
  3. 心理専門職によるカウンセリングを受けていること。
  4. 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態であること。

 

 


 

▶99回午前40

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律において、性別の取扱いの変更を家庭裁判所で審判することができる条件はどれか。2つ選べ。

 

  1. 現に未成年の子がいないこと
  2. ホルモン治療を受けていること
  3. 性染色体の核型が正常ではないこと
  4. 生物学的性と同一の性への恋愛感情を有すること
  5. 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること

 

 

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

平成25年2月14日実施の第96回助産師国家試験の全問題と正答を掲載します。

 

また、内容に応じて衛生テキスト「国民衛生の動向2024/2025」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。

 

分野別解説付き問題まとめ

を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。

 

なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

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▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

第96回助産師国家試験目次

 

 

第96回助産師国家試験・午前(55問)

 

▶午前1

世界保健機構〈WHO〉が提唱しているリプロダクティブ・ヘルスの基本的四大要素で正しいのはどれか。

 

  1. 健全な家族関係を維持できる。
  2. 婦人科系がんの早期発見ができる。
  3. 思春期の人たちの栄養状態を適切に保つ。
  4. すべての女性が安全な妊娠と出産を享受できる。

 

 


 

▶午前2

尖圭コンジローマで正しいのはどれか。

 

  1. 男性は感染しない。
  2. 一度罹患すれば再発しない。
  3. ワクチンで感染を予防できる。
  4. 妊婦が罹患すれば分娩後に治療する。

 

 


 

▶午前3

プロスタグランディンFの投与が禁忌である産婦の内科合併症はどれか。

 

  1. 糖尿病
  2. 気管支喘息
  3. 甲状腺機能低下症
  4. 特発性血小板減少性紫斑病

 

 


 

▶午前4

成人T細胞白血病ウイルス陽性の母親から出生した児への対応で正しいのはどれか。

 

  1. 入院中は他の児と隔離する。
  2. 抗体検査は新生児期に実施する。
  3. 毎月外来受診するよう母親に指導する。
  4. 乳児期の予防接種は通常どおり実施する。

 

 


 

▶午前5

母体血中の糖を胎児に転送する作用を持つホルモンはどれか。

 

  1. エストロゲン
  2. プロゲステロン
  3. hPL〈ヒト胎盤性ラクトゲン〉
  4. hCG〈ヒト絨毛性ゴナドトロピン〉

 

 


 

▶午前6

妊娠に伴う腟の変化で正しいのはどれか。

 

  1. 分泌物のpHが低下する。
  2. 色が薄いピンク色に変化する。
  3. 上皮のグリコゲン含有量が減少する。
  4. Döderlein〈デーデルライン〉桿菌が減少する。

 

 


 

▶午前7

妊娠前から妊娠初期にかけて葉酸を十分に摂取することで発症を低減できる胎児合併症はどれか。

 

  1. 心奇形
  2. 胎児水腫
  3. 胎児発育不全
  4. 神経管閉鎖障害

 

 


 

▶午前8

甲状腺疾患合併妊娠について正しいのはどれか。

 

  1. 甲状腺ホルモン製剤内服中は授乳を禁止する。
  2. Basedow〈バセドウ〉病は妊娠中期以降に改善傾向を示す。
  3. 橋本病は分娩を契機に甲状腺クリーゼを発生するリスクが高い。
  4. プロピルチオウラシルを内服していた場合、授乳中はチアマゾールに切り替える。

 

 


 

▶午前9

5名の経産婦に対して、上の子どもへの対応をテーマに育児教室を開催することになった。
参加者を中心とした方法で最も適切なのはどれか。

 

  1. シンポジウム
  2. バズ・セッション
  3. デモンストレーション
  4. パネルディスカッション

 

 


 

▶午前10

母体保護法に定められた不妊手術について正しいのはどれか。

 

  1. 卵巣摘出術が含まれる。
  2. 配偶者の同意は不要である。
  3. 母体保護法指定医以外は実施できない。
  4. 都道府県知事に実施報告をしなければならない。

 

 


 

▶午前11

Traube〈トラウベ〉聴診器とその聴診法との写真を別に示す。写真の右下が妊婦の頭側である。
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聴診法で正しいのはどれか。

 

 

 


 

▶午前12

妊娠中の運動の説明で適切なのはどれか。

 

  1. 「妊娠16週以降は、仰向けで実施できる運動をしましょう」
  2. 「運動するときは、1分間に140回くらいの脈拍が目安です」
  3. 「妊娠高血圧症候群の予防としてウォーキングをしましょう」
  4. 「適度な運動をしておけば、お産が長引くことはありません」

 

 


 

▶午前13

帝王切開既往妊婦が経腟分娩する際の管理で正しいのはどれか。

 

  1. 陣痛発来した時点で帝王切開の術前検査を行う。
  2. 微弱陣痛ではプロスタグランディン製剤を用いる。
  3. 分娩第2期遷延でも吸引分娩は行わない。
  4. 分娩後1時間は頻回に母体の血圧測定を行う。

 

 


 

▶午前14

30歳の初産婦。身長158cm、体重68kg。推定児体重3,800g。第1頭位。陣痛間欠2分、発作50秒で、肛門圧迫感が強く努責がかかっている。内診所見は、子宮口8cm開大、展退度80%、Station±0、小泉門が5時方向に触れる。
このときにとる体位として最も適切なのはどれか。

 

  1. 坐位
  2. 蹲踞位
  3. 左側臥位
  4. 四つん這い

 

 


 

▶午前15

在胎38週で出生した児。出生体重2,600g、身長48cm。分娩時に羊水混濁を認めた。出生直後、体温37.1℃、心拍120/分、呼吸数52/分。中心性チアノーゼはなく、活気があって筋緊張は良好である。
アセスメントで正しいのはどれか。

 

  1. このまま経過観察する。
  2. 酸素投与が必要である。
  3. 口腔内吸引が必要である。
  4. 保育器への収容が必要である。

 

 


 

▶午前16

オキシトシンによる分娩誘発法で正しいのはどれか。

 

  1. 希釈法は、5単位のオキシトシンを500mLの5%ブドウ糖液に溶解する。
  2. 分娩監視装置は、子宮収縮薬投与開始時から装着する。
  3. オキシトシンを増量するときは15分ごとに行う。
  4. 血圧と脈拍測定は2時間ごとに行う。

 

 


 

▶午前17

授乳時の乳頭痛の予防で適切なのはどれか。

 

  1. 児が泣き始めてから授乳する。
  2. 児に吸啜させる時間を1回3分とする。
  3. 児の唇を巻き込むように乳頭をくわえさせる。
  4. 児の胸を母親の身体にぴったりとつけるように抱く。

 

 


 

▶午前18

新生児蘇生におけるフリーフローによる酸素投与の写真を別に示す。
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正しいのはどれか。

 

 

 


 

▶午前19

1か月健康診査における診察所見で直ちに専門的な検査・治療が必要となるのはどれか。

 

  1. 臍ヘルニア
  2. 停留睾丸
  3. 陰囊水腫
  4. 白色便

 

 


 

▶午前20

地域において保健福祉活動を行う機関と事業の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 市町村――養育医療の給付
  2. 福祉事務所――助産施設への入所措置
  3. 助産所――自立支援医療(育成医療)の給付
  4. 児童相談所――ファミリーサポートセンター事業

 

 


 

▶午前21

病院で助産師外来を開設することになった。
目標管理過程のPDCAサイクルの組合せで適切なのはどれか。

 

  1. P――調査結果を参考に助産師外来の時間を変更する。
  2. D――助産師外来の運営方法や人員配置について計画する。
  3. C――利用者満足度調査を実施する。
  4. A――助産師外来を実施する。

 

 


 

▶午前22

助産所の管理で正しいのはどれか。

 

  1. 妊産婦の入所数は1〜19人である。
  2. 開設者と管理者は同一人物でなければならない。
  3. 開設者は嘱託医師名を都道府県知事に届け出る。
  4. 業務に従事する助産師の略歴を広告してはならない。

 

 


 

▶午前23

大地震が発生した。地区の電気・水道の使用ができなくなった。病院建物の倒壊はない。余震は続いている。
褥婦に説明する内容で適切なのはどれか。

 

  1. 避難する際は新生児を助産師に預ける。
  2. 食事が十分に摂れなくても母乳哺育を続ける。
  3. お湯を沸かせないときはミルクを水で溶かす。
  4. 母子の家族を病院に呼んで一緒に生活してもらう。

 

 


 

▶午前24

肺胞内圧を高く維持して肺胞の虚脱を防止する新生児の呼吸症状はどれか。

 

  1. 呻吟
  2. 多呼吸
  3. 陥没呼吸
  4. 鼻翼呼吸
  5. シーソー呼吸

 

 


 

▶午前25

32歳の経産婦。妊娠36週1日。妊婦健康診査に来院した。体重52kg。血圧136/82mmHg。尿蛋白+、尿糖(-)。下腿浮腫+。内診所見は、子宮口閉鎖。推定児体重は2,680g。超音波検査では30分間に明瞭な四肢の動きを2回認め、そのうち1回は脚をすばやく伸展して屈曲位に戻す運動であった。この間、胎児呼吸様運動は認めない。36mmの羊水ポケットを認めた。NSTはreassuring fetal statusであった。
対応で適切なのはどれか。

 

  1. オキシトシン点滴静脈内注射
  2. 24時間後の超音波検査
  3. 1週後の超音波検査
  4. ラミナリア桿挿入
  5. 帝王切開術

 

 


 

▶午前26

30歳の初産婦。昨日午後10時に内診所見子宮口2cm開大で入院した。本日午前7時、陣痛間欠2分、陣痛発作50〜60秒。内診所見は、子宮口9cm開大、Station+1。胎児心拍数陣痛図では正常波形。時々悪心があり、陣痛に関係なく、ベッド上で体を丸めてベッド柵にしがみついている。
産婦への援助で最も適切なのはどれか。

 

  1. 入浴を促す。
  2. 乳頭刺激を行う。
  3. 力を抜くよう促す。
  4. 坐位になるよう促す。
  5. 朝食の全量摂取を促す。

 

 


 

▶午前27

新生児の呼吸窮迫症候群〈RDS〉で正しいのはどれか。

 

  1. 女児に多い。
  2. 肺表面活性物質は過剰である。
  3. 母親が糖尿病であると発症しやすい。
  4. 破水から出生までの時間が長いほど発症しやすい。
  5. 新生児へのステロイド治療によって症状が軽減する。

 

 


 

▶午前29

「母性健康管理指導事項連絡カード」について規定している法律はどれか。

 

  1. 労働基準法
  2. 母子保健法
  3. 母体保護法
  4. 国民健康保険法
  5. 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律

 

 


 

▶午前30

トキソプラズマ症で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 妊婦の尿検査によって診断する。
  2. 胎児への感染は母体経腟上行感染である。
  3. 妊婦の初感染は胎児感染のリスクが高い。
  4. 胎児に感染した場合は心室中隔欠損を生じる。
  5. 感染した動物の糞尿に妊婦が触れることによって感染する。

 

 


 

▶午前31

分娩の三要素のうち、「産道」と「胎児およびその付属物」との相互関係によって生じるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 肩甲難産
  2. 子宮破裂
  3. 低在横定位
  4. 頸管無力症
  5. 原発性微弱陣痛

 

 


 

▶午前32

糖尿病合併妊婦への対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 妊娠によって耐糖能は悪化しやすいことを説明する。
  2. BMIが22の妊婦ではエネルギー付加は行わない。
  3. 食前血糖値が100mg/dL以下となるよう管理する。
  4. 血糖コントロールには経口血糖降下薬を用いる。
  5. リトドリン塩酸塩使用時には低血糖に注意する。

 

 


 

▶午前33

新生児の黄疸で直接ビリルビンが上昇するのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 母乳性黄疸
  2. 胆道閉鎖症
  3. 新生児肝炎
  4. Rh式血液型不適合
  5. ABO式血液型不適合

 

 


 

▶午前34

日本で承認されている低用量経口避妊薬について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 排卵を抑制する。
  2. 卵巣癌の発生率を高める。
  3. 子宮頸癌の予防効果がある。
  4. 黄体ホルモン単独製剤である。
  5. 不妊手術以外で最も避妊効果が高い。

 

 


 

▶午前35

妊娠28週の初妊婦で正常から逸脱している所見はどれか。2つ選べ。

 

  1. AFI25cm
  2. BPD70mm
  3. 子宮底長25cm
  4. 推定児体重800g
  5. 胎児心拍数140bpm

 

 


 

▶午前36

25歳の経産婦。妊娠40週。午前1時に子宮口3cm開大で入院したが、陣痛が弱くなったため陣痛間欠時に眠っている。午前11時、陣痛周期は8〜9分であり「痛みは強くありません」と言う。内診所見は、子宮口4cm開大、展退度70%、Station-1であった。胎児心拍数陣痛図は正常波形であった。未破水である。昼食は全量摂取している。昨夜排便があった。
陣痛を促進するための効果的なケアはどれか。2つ選べ。

 

  1. グリセリン浣腸を実施する。
  2. 努責を誘導する。
  3. 歩行を勧める。
  4. 入浴を勧める。
  5. 導尿する。

 

 


 

▶午前37

ともに外国籍の両親が日本国内で出生した児を日本で養育するために必要となるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 出生届の提出
  2. 日本国籍の申請
  3. 日本の戸籍の作成
  4. パスポートの申請
  5. 在留資格取得許可の申請

 

 


 

▶午前38

在胎30週、1,600gにて出生した新生児。保育器に収容され、呼吸障害に対して経鼻的CPAP療法が行われている。
このときのケアとして正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 動脈血酸素分圧〈PaO2〉100Torrを目標に酸素濃度を調節する。
  2. 経口哺乳は生後6時間から開始する。
  3. 投与する水分量の目安を60mL/kg/日とする。
  4. 保育器内の温度は36〜37℃に設定する。
  5. 保育器内の湿度は60%に設定する。

 

 


 

▶午前39

生後2か月から接種が可能なワクチンはどれか。2つ選べ。

 

  1. Hibワクチン
  2. 麻疹ワクチン
  3. DPTワクチン
  4. 肺炎球菌ワクチン
  5. 日本脳炎ワクチン

 

 


 

▶午前40

分娩監視装置による連続的モニタリングが勧められるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 前期破水
  2. 予定日超過
  3. 分娩第1期
  4. 子宮収縮薬投与中
  5. 41mL以上のメトロイリンテル挿入中

 

 


 

次の文を読み41〜43の問いに答えよ。

52歳の女性。42歳で子宮筋腫に対して単純子宮全摘術を受けた。1年前からホットフラッシュや発汗が出現し、最近、その頻度が増して動悸や易疲労感を伴うようになったため来院した。来院時、身長154cm、体重43kg。脈拍64/分、血圧112/72mmHgである。

 

▶午前41

この女性の検査結果で上昇している可能性が高いのはどれか。

 

  1. 甲状腺刺激ホルモン〈TSH〉
  2. 卵胞刺激ホルモン〈FSH〉
  3. エストラジオール
  4. プロゲステロン

 

 


 

▶午前42

この女性はホルモン補充療法を受けることになった。
方法として適切なのはどれか。

 

  1. エストロゲン単独周期的投与法
  2. エストロゲン単独持続的投与法
  3. エストロゲン・プロゲスチン(黄体ホルモン製剤)併用周期的投与法
  4. エストロゲン・プロゲスチン(黄体ホルモン製剤)併用持続的投与法

 

 


 

▶午前43

この女性がホルモン補充療法を受けることで予防できるのはどれか。

 

  1. 乳癌
  2. 脳卒中
  3. 骨粗鬆症
  4. 静脈血栓塞栓症

 

 


 

次の文を読み44〜46の問いに答えよ。

Aさん(40歳、女性)は、36歳で結婚したが自然妊娠しなかったため、38歳から不妊専門クリニックで治療を受けている。既往歴に特記すべきことはない。これまで体外受精を4回受けた。今回の体外受精で受精後5日の胚2個を子宮内に移植し、妊娠反応陽性になった。

 

▶午前44

胚移植から4週経過した。3日前から下腹部膨満感と悪心とがあり、食事も摂れていないため来院した。身長155cm、体重50kg。体温37.0℃、脈拍60/分、血圧120/70mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)、尿ケトン体2+。診察にて腟分泌物は白色少量、子宮口は閉鎖。子宮は超鶏卵大で軟らかく、軽度の圧痛がある。経腟超音波検査の所見を別に示す。
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診断で正しいのはどれか。

 

  1. 1絨毛膜1羊膜性双胎
  2. 1絨毛膜2羊膜性双胎
  3. 2絨毛膜1羊膜性双胎
  4. 2絨毛膜2羊膜性双胎

 

 


 

▶午前45

Aさんは悪阻の治療のため総合病院に入院となった。入院後、Aさんは「不妊治療を受けている間は妊娠を目標に頑張っていましたが、妊娠後のことまで深く考えていませんでした。私にはどんなリスクがあるのか、夫と一緒に聞いておきたいです」と話している。
Aさんと夫への説明として優先度が高いのはどれか。

 

  1. 子宮破裂
  2. 絨毛膜羊膜炎
  3. 児頭骨盤不適合
  4. 妊娠高血圧症候群
  5. 母児間輸血症候群

 

 


 

▶午前46

Aさんは妊娠37週1日で破水し、2,520gと2,600gの児を帝王切開にて分娩した。術後の経過は良好である。術後7日、Aさんは「無事に出産できてほっとしていますが、退院後の育児がきちんとできるか心配です。不妊治療で貯金を遣ってしまったので、経済的にもあまり余裕がありません」と不安そうである。
Aさんが今後の支援で活用できるのはどれか。

 

  1. 養育医療
  2. 新生児訪問指導
  3. 産科医療補償制度
  4. 特定不妊治療助成制度

 

 


 

次の文を読み47〜49の問いに答えよ。

36歳の初産婦。妊娠経過は順調であった。妊娠39週5日、午後11時に陣痛発来し、翌日午前2時に入院した。入院時の内診所見は、子宮口4cm開大、展退度30%、Station-2、未破水であった。

 

▶午前47

午前7時、陣痛間欠9分、陣痛発作30秒。内診所見は、子宮口5cm開大、展退度40%、Station-1、大泉門を1時方向に触れた。未破水である。
胎児の胎位で正しいのはどれか。

 

  1. 前方前頭位
  2. 前方後頭位
  3. 後方前頭位
  4. 後方後頭位

 

 


 

▶午前48

胎児心拍数陣痛図では正常波形であったので、病棟内を自由に歩行できるように分娩監視装置を外して経過観察した。午前10時、陣痛間欠7分、陣痛発作30秒。内診所見は、子宮口5cm開大、展退度40%、Station-1、大泉門を1時方向に触れた。未破水である。胎児心拍数陣痛図は正常波形である。
この時点の処置として適切なのはどれか。

 

  1. 人工破膜
  2. メトロイリンテル挿入
  3. オキシトシン点滴静脈内注射
  4. プロスタグランディンE1誘導体腟坐薬の投与

 

 


 

▶午前49

午後3時に子宮口は全開大した。午後4時、陣痛間欠2分、陣痛発作60秒。内診所見は、子宮口全開大、展退度100%、Station+3、小泉門が先進し6時方向に触れた。胎児心拍数陣痛図は正常波形である。
適切な対応はどれか。

 

  1. 経過観察する。
  2. McRoberts〈マックロバーツ〉体位をとらせる。
  3. 吸引分娩の準備をする。
  4. 帝王切開の準備をする。

 

 


 

次の文を読み50〜52の問いに答えよ。

41歳の初産婦。妊娠経過は順調であった。妊娠41週3日、午前7時に前期破水し、午前10時に入院した。体温37.0℃。内診所見は、子宮口3cm開大、展退度50%、Station-2であった。

 

▶午前50

入院時の胎児心拍数陣痛図を別に示す。
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対応で正しいのはどれか。

 

  1. 2時間ごとにドップラーで間欠的胎児心拍数聴取を行う。
  2. 15分ごとにドップラーで間欠的胎児心拍数聴取を行う。
  3. 陣痛が規則的になってから連続的分娩監視装置モニタリングを再開する。
  4. 連続的分娩監視装置モニタリングを継続する。

 

 


 

▶午前51

午後6時の内診所見は、子宮口9cm開大、展退度80〜90%、Station±0、小泉門が10時方向に触れた。羊水流出がみられ、混濁はない。陣痛間欠2分、陣痛発作60秒。陣痛発作時、産婦は顔をしかめている。胎児心拍数陣痛図は正常波形であった。
この時点の援助で適切なのはどれか。

 

  1. 禁食とする。
  2. 努責の練習をする。
  3. 分娩体位をとってもらう。
  4. 背部から腰部へのマッサージを行う。

 

 


 

▶午前52

分娩時の第4回旋で正しいのはどれか。

 

  1. 児の右肩甲が先進し、顔面は母体の左大腿側に向く。
  2. 児の左肩甲が先進し、顔面は母体の左大腿側に向く。
  3. 児の右肩甲が先進し、顔面は母体の右大腿側に向く。
  4. 児の左肩甲が先進し、顔面は母体の右大腿側に向く。

 

 


 

次の文を読み53〜55の問いに答えよ。

Aさん(35歳、経産婦)。3,200gの児を正常分娩にて出産した。夫と2歳の長女との4人暮らし。実母は徒歩5分のところに住んでおり、手助けが必要なときはいつでも訪問が可能である。

 

▶午前53

助産師は、保健センターから新生児訪問の委託を受けて、生後28日に訪問した。「赤ちゃんの体重が増えない気がします。1回の授乳に40分から1時間かかって私が疲れるのでミルクに切り替えたい」と相談された。児の体重増加量は30g/日であった。
母乳哺育について優先して観察すべきAさんに関する項目はどれか。

 

  1. 食事内容
  2. 水分摂取量
  3. 授乳時の姿勢
  4. 乳房のタイプ

 

 


 

▶午前54

Aさんは「最近、長女が言うことを聞かない。いけないことだと分かっているが、授乳で疲れているときに反抗されると、イライラして長女を叩いてしまう」と話した。助産師はAさんの話をよく聴き、思いを受け止めた。
その後のAさんへの助言として適切なのはどれか。

 

  1. 「なぜ反抗するのかを長女に聞いてみましょう」
  2. 「叩きそうになったら大きく深呼吸しましょう」
  3. 「児童虐待再発防止プログラムに参加してみませんか」
  4. 「長女が言うことを聞かないときには厳しく叱りましょう」

 

 


 

▶午前55

エジンバラ産後うつ病自己質問票で、Aさんの得点は10点であった。
対応として適切なのはどれか。

 

  1. 子育て広場を紹介する。
  2. 乳児院への入所を勧める。
  3. 夫婦で精神科を受診するよう勧める。
  4. ファミリーサポートセンターを紹介する。
  5. 直ちに保健センターの母子担当の保健師に連絡をする。

 

 

 

第96回助産師国家試験・午後(55問)

 

▶午後1

日本で着床前診断の対象となる疾患はどれか。

 

  1. フェニルケトン尿症
  2. Down〈ダウン〉症候群
  3. Turner〈ターナー〉症候群
  4. Duchenne〈デュシェンヌ〉型筋ジストロフィー

 

 


 

▶午後2

月経前症候群の身体症状に主に関わるホルモンを分泌するのはどれか。

 

  1. 卵巣
  2. 脳下垂体前葉
  3. 脳下垂体後葉
  4. 視床下部

 

 


 

▶午後3

授乳が禁止となる薬剤はどれか。

 

  1. アンピシリン
  2. プレドニゾロン
  3. メトトレキサート
  4. アセトアミノフェン

 

 


 

▶午後4

卵膜を構成するもので母体に由来するのはどれか。

 

  1. 羊膜
  2. 脱落膜
  3. 絨毛膜
  4. 結合組織層

 

 


 

▶午後5

妊娠に伴う変化で正しいのはどれか。

 

  1. 心拍出量は減少する。
  2. 腎血漿流量は減少する。
  3. 循環血流量は減少する。
  4. 腎の糸球体濾過率は増加する。

 

 


 

▶午後6

頭位分娩での児頭の応形機能について正しいのはどれか。

 

  1. 前方後頭位では大斜径が短縮する。
  2. 児頭の変形は分娩後約1か月持続する。
  3. 両頭頂骨の上に前頭骨・後頭骨が重なる。
  4. 後在頭頂骨が前在頭頂骨の下方に進入する。

 

 


 

▶午後7

39歳の初産婦。双胎妊娠による切迫早産で4週間の安静入院後、妊娠37週で帝王切開となった。手術翌日の子宮底の高さは臍下1横指で収縮は良好である。Hb10.2g/dL。初回歩行時、軽度下肢の痛みを感じたがしばらくして痛みは落ち着いた。脈拍72/分、血圧118/56mmHg。初回歩行の2時間後にトイレまで歩行した際、トイレ内で突然意識を消失した。
考えられる状態はどれか。

 

  1. 子癇
  2. 脳虚血
  3. 肺血栓塞栓症
  4. 出血性ショック

 

 


 

▶午後8

60歳の女性。排尿困難を主訴として来院した。膀胱と子宮頸部が腟口まで下垂しており、医師は骨盤臓器脱と診断し、排尿障害の治療のためにリングペッサリーを腟内に装着した。
この女性への指導として正しいのはどれか。

 

  1. 「入浴時には外してください」
  2. 「スポーツは控えてください」
  3. 「装着したまま性交渉が可能です」
  4. 「長時間の外出は控えてください」

 

 


 

▶午後9

25歳の初産婦。妊娠40週5日で、3,850gの児を正常分娩した。弛緩出血で、約2,000mL出血した。現在分娩後2時間、子宮収縮は良好である。脈拍130/分、血圧80/50mmHg。産婦は意識清明であるが悪心を訴えており、四肢の冷感を認めた。
直ちに行われる処置はどれか。

 

  1. 全身を温める。
  2. 輸血を開始する。
  3. 気管内挿管する。
  4. 副腎皮質ステロイドを投与する。

 

 


 

▶午後11

会陰裂傷第3度があった産婦への対応で正しいのはどれか。

 

  1. 直腸診を行う。
  2. 直腸筋層まで縫合する。
  3. 食事は低残渣食とする。
  4. 翌日に浣腸を行う。

 

 


 

▶午後12

Brandt-Andrews〈ブラント・アンドリュース〉胎盤圧出法で適切なのはどれか。

 

  1. 胎盤剝離徴候を確認する前に実施する。
  2. 片手を腹壁から子宮体と子宮下部の境の部位に当てる。
  3. 最初に腹壁に当てた手で子宮体を恥骨部側に押し下げる。
  4. 臍帯は牽引しないようにする。

 

 


 

▶午後13

34歳の1回経産婦。前回正常分娩で2,700gの児を出産した。妊娠39週3日。身長145cm、体重58kg。児頭大横径〈BPD〉9.6cm。午後2時30分に自然破水した。内診所見は、子宮口全開大、Station-3、矢状縫合は横径に一致していた。午後4時、陣痛間欠1〜2分、陣痛発作60秒。内診所見では、児頭の下降度に変化がなかった。胎児心拍数陣痛図は正常波形である。
対応で適切なのはどれか。

 

  1. 散歩を勧める。
  2. 絶飲食とする。
  3. 乳頭刺激をする。
  4. 子宮収縮薬の準備をする。

 

 


 

▶午後14

28歳の初産婦。3,400gの児を正常分娩で出産した。分娩時出血は650mL。会陰裂傷第2度と腟壁裂傷とがあり、縫合術を受けた。分娩後3時間、体温37.3℃、脈拍88/分、血圧120/70mmHg。子宮底は臍下2横指で硬く触れる。赤色出血が1時間で40g。「お尻のあたりが痛い」と激しい痛みを訴え、苦痛表情だが脱肛はない。会陰部に腫脹はなく縫合不全もない。
最も考えられるのはどれか。

 

  1. 頸管裂傷
  2. 腟壁血腫
  3. 弛緩出血
  4. 後陣痛

 

 


 

▶午後15

NYHA分類でⅠ度の心疾患合併妊婦の管理で適切なのはどれか。

 

  1. 選択的帝王切開を勧める。
  2. 妊娠初期から入院を勧める。
  3. 生活の中に一定の休息時間を設ける。
  4. インフルエンザワクチンの接種を控えるように説明する。

 

 


 

▶午後16

市町村における次世代育成支援の行動計画策定で適切なのはどれか。

 

  1. 民間事業者の活用は控える。
  2. 他の市町村と類似した計画とする。
  3. 社会的養護を必要とする子どもへの対応を検討する。
  4. 夫婦と子ども2人の世帯を想定して対策を検討する。

 

 


 

▶午後17改題

母体保護法の目的で正しいのはどれか。

 

  1. 母子の生活を支援する。
  2. 母子保健事業を推進する。
  3. 母性の生命健康を保護する。
  4. 母子家庭等および寡婦の福祉を保護する。

 

 


 

▶午後18

助産師の守秘義務違反とならないのはどれか。

 

  1. 妊婦の夫が有名人であることを友人の助産師に話した。
  2. 妊婦のパートナーが失業していたことを妊婦の母親に伝えた。
  3. 昨日の感動的な出産をしたAさんのことを妊婦である友人に話した。
  4. 5歳の子どもの腹部に複数の内出血があることを児童相談所に伝えた。

 

 


 

▶午後19

助産業務について正しいのはどれか。

 

  1. 臨時応急の手当であっても医行為を行ってはならない。
  2. 医師の指示の下に行った行為は責任を問われない。
  3. 業務の範囲内において裁量権がある。
  4. 死胎の検案はできない。

 

 


 

▶午後20

男性側の不妊原因で最も多いのはどれか。

 

  1. 造精機能障害
  2. 精路通過障害
  3. 勃起障害
  4. 射精障害
  5. 性欲低下

 

 


 

▶午後21

第2頭位で、児頭の最大周囲径が骨盤入口部にある図を示す。
前頭頂骨進入はどれか。
ただし、図の上が母体腹側、下が母体背側を示す。円は骨盤入口面、◇印は大泉門、Y印は小泉門を表す。

 

96pm21j

 

 


 

▶午後22

妊婦の下肢のけいれんについて正しいのはどれか。

 

  1. 膝窩筋に起こりやすい。
  2. 妊娠初期に発症頻度が高い。
  3. 血中のカルシウムの増加が原因となる。
  4. 予防としてリン酸の過剰摂取を避ける。
  5. 予防として就寝時は下肢の底屈位をとる。

 

 


 

▶午後23

鉗子分娩を安全に行うために満たすべき条件はどれか。

 

  1. 小泉門が先進している。
  2. 胎児の状態が良好である。
  3. 子宮口が全開大している。
  4. Stationが±0以下である。
  5. 矢状縫合が縦になっている。

 

 


 

▶午後24

母乳哺育を行っている生後1か月の正期産児において、母乳不足を疑う所見はどれか。

 

  1. 平均体重増加量27g/日
  2. 哺乳時間40〜50分/回
  3. Kaup〈カウプ〉指数17
  4. 哺乳回数8〜10/日
  5. 粘液便の排泄

 

 


 

▶午後25

助産録の記載事項として保健師助産師看護師法施行規則に規定されていないのはどれか。

 

  1. 児の性別
  2. 分娩の場所
  3. 妊産婦の住所
  4. 妊産婦の国籍
  5. 胎児付属物の所見

 

 


 

▶午後26

妊娠27週5日で出生した1,050gの児。
皮膚の観察でみられるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 硝子様透明
  2. 稗粒腫
  3. 胎脂
  4. 落屑
  5. 産毛

 

 


 

▶午後27

Rubin〈ルービン〉の示す母親役割行動における保持期の特徴で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 家族との関係を再調整する。
  2. 育児技術の習得に向けて努力する。
  3. 自らの基本的欲求を満たそうとする。
  4. 母乳が十分分泌するかに関心を向ける。
  5. 出産によって、子どもと分離したという認識をもつ。

 

 


 

▶午後28

胎児機能不全を起こしやすい臍帯の所見はどれか。2つ選べ。

 

  1. 臍帯偽結節がある。
  2. 臍帯の長さが25cmである。
  3. 臍帯が卵膜に付着している。
  4. 臍動脈が2本、臍静脈が1本である。
  5. 臍帯の太さが1.5cm×1.5cmである。

 

 


 

▶午後29

低出生体重児で出生後早期に起こりやすいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 一過性多呼吸
  2. 顔面神経麻痺
  3. 上腕神経叢麻痺
  4. 胎便吸引症候群
  5. 低カルシウム血症

 

 


 

▶午後30

36歳の初産婦。身長160cm、非妊時体重56kgであった。妊娠26週2日、体重60kg、血圧142/78mmHg。尿蛋白+、尿糖(±)。Hb10.5g/dL。子宮底長30cm、腹囲93cm。下腿浮腫(±)。1週前から腰痛がある。腹部緊満感が頻回にある。内診所見は、子宮口閉鎖、出血はない。
妊婦への指導で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 入浴を制限する。
  2. 鉄分の多い食材を勧める。
  3. 摂取カロリーを制限する。
  4. 1日1時間程度の散歩を勧める。
  5. 腹部緊満感のあるときは休息をとる。

 

 


 

▶午後31

助産所業務ガイドラインで、嘱託医療機関に緊急に搬送すべき新生児の症状とされているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 直腸温38.1℃
  2. 出生時体重2,400g
  3. 生後12時間排便がない。
  4. 生後18時間に黄疸を認める。
  5. 他症状のない生後6時間の心雑音

 

 


 

▶午後32

第1前方後頭位の分娩経過でStation+3のときの所見について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 矢状縫合は左斜径に一致する。
  2. 小泉門は10時方向に触れる。
  3. 恥骨結合後面3分の2を触知できる。
  4. 児頭の最大周囲径は骨盤峡部にある。
  5. Hodge〈ホッジ〉骨盤平行平面区分法では第4平行平面である。

 

 


 

▶午後33改題

2020年版の「日本人の食事摂取基準」で授乳婦に付加量が設定されている栄養素はどれか。2つ選べ。

 

  1. カルシウム
  2. ビタミンA
  3. ビタミンK
  4. 食物繊維

 

 


 

▶午後34

子宮筋腫合併妊婦。妊娠34週で、子宮底部の筋層内筋腫は直径8cmであり、胎盤付着位置は筋腫の直上である。
特に注意すべき産科合併症はどれか。2つ選べ。

 

  1. 常位胎盤早期剝離
  2. 児頭骨盤不均衡
  3. 分娩後出血
  4. 過強陣痛
  5. 頸管裂傷

 

 


 

▶午後35

セルフヘルプグループ活動はどれか。2つ選べ。

 

  1. 死産を経験した母親の会
  2. 助産所が主催する両親学級
  3. 21トリソミーの児をもつ親の会
  4. 高齢初産婦を対象とした出産準備教室
  5. 助産師によるベビーマッサージの講習会

 

 


 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。

14歳の女性。月経周期は28日型であったが、2か月間月経がなかったため、母親に付き添われ思春期外来を受診した。初経は10歳。身長157cm、体重45kg。脈拍64/分、血圧110/70mmHg。全身所見に異常はなかった。

 

▶午後36

母親は「娘は、朝は牛乳だけ、夕食もほとんど残している。給食は少し食べているようだが、痩せてきていて心配です」と話す。本人は「自分は太っていてかわいくない。友達から好かれるために、もっと痩せなくてはいけないから今以上は食べたくありません」と話す。
この時点で思春期やせ症の診断基準を満たすのはどれか。

 

  1. 脈拍数
  2. 肥満度
  3. 月経周期
  4. 本人の自身に対する身体像

 

 


 

▶午後37

診察の結果、乳房、陰毛の発育は良好。妊娠反応は陰性。既往歴に特記すべきことはない。血液検査は、FSH6.0mIU/mL、LH3.0mIU/mLであった。エストロゲンとプロゲスチン(黄体ホルモン製剤)を投与した後に消退出血が認められた。
最も疑われるのはどれか。

 

  1. 視床下部性無月経
  2. 下垂体性無月経
  3. 卵巣性無月経
  4. 子宮性無月経

 

 


 

▶午後38

初診から1か月が経過した。無月経の治療と、専門カウンセラーによるカウンセリングを受けている。初診時は、食べることを強く拒否していたが、最近は食べることを受け入れるようになってきた。初診時より体重が2kg減少した。
食事に関する対応で適切なのはどれか。

 

  1. 食事の代わりに経腸栄養剤を摂取する。
  2. 食事の量は、残さず摂取できる量から段階的に増量する。
  3. 毎日の生活に運動を取り入れ、空腹になるようにする。
  4. 治療により月経が開始した後に、食生活の改善をはかる。

 

 


 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。

29歳の経産婦。妊娠37週0日。不規則な子宮収縮を主訴に午後10時に来院した。妊娠経過は良好であった。身長165cm、体重55kg。推定児体重3,400g。胎児心拍数陣痛図では陣痛間欠8分、発作40秒。胎児心拍基線140bpm、胎児心拍細変動は良好で、一過性頻脈があり、一過性徐脈は出現していない。血性分泌物はない。

 

▶午後39

胎児心音の最良聴取部位は、母体の左側、臍棘線上中央であった。内診所見は、子宮口5cm開大、展退度50%、Station-1。陣痛開始しており入院となった。矢状縫合は横径に一致し、大泉門は左側、小泉門は右側に触知できた。
胎児の胎位胎向で正しいのはどれか。

 

  1. 第1後頭位
  2. 第1前頭位
  3. 第2後頭位
  4. 第2前頭位

 

 


 

▶午後40

陣痛開始から6時間が経過した。陣痛間欠7分、発作30秒。胎児心拍基線細変動25bpm。陣痛発作時に少し苦悶様の表情がみられたため内診を実施したところ、子宮口6cm開大、展退度60%、Station-1。矢状縫合は右斜径に一致し、小泉門が2時方向に触れた。発作時、胎胞を触知する。血性分泌物少量。
この所見から考えられる状態はどれか。

 

  1. 微弱陣痛
  2. 回旋異常
  3. 早期破水
  4. 胎児機能不全

 

 


 

▶午後41

休息と活動を組み入れながら観察し、陣痛開始から16時間が経過した。陣痛間欠6分、発作40秒。内診所見は、子宮口8cm開大、展退度80%、Station+1。胎児心拍数陣痛図では胎児心拍基線140bpm、基線細変動6〜25bpm、最下点90bpm、回復まで40秒の変動一過性徐脈が2回みられた。入院してからあまり眠れていないという。
対応で適切なのはどれか。

 

  1. 経過観察する。
  2. 院内の階段昇降を促す。
  3. 医師と子宮収縮薬の使用について相談する。
  4. 帝王切開の準備をする。

 

 


 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。

32歳の女性。身長160cm、体重70kg。月経周期が不規則であったが、市販の妊娠検査薬が陽性であったため来院した。血圧134/80mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)であった。

 

▶午後42

最終月経から算出した妊娠週数は8週0日である。超音波検査では、子宮内に胎囊〈GS〉は確認されたが、胎芽は認められなかった。
この時点の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 入院
  2. 自宅安静
  3. 1週後に再診
  4. 4週後に妊婦健康診査

 

 


 

▶午後43

妊娠12週。早朝の悪心と軽度の倦怠感がある。体重72kg。血圧132/80mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)、尿ケトン体(-)。胎児の発育は良好である。
保健指導で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「散歩をしましょう」
  2. 「1日2食にしましょう」
  3. 「果物は好きなだけ食べましょう」
  4. 「マタニティスイミングを始めましょう」

 

 


 

▶午後44

その後、妊娠経過は順調であったが、妊娠22週の妊婦健康診査で、血圧160/95mmHg。尿蛋白+。軽度の頭重感が出現した。
病型分類で正しいのはどれか。

 

  1. 本態性高血圧
  2. 妊娠高血圧
  3. 妊娠高血圧腎症
  4. 加重型妊娠高血圧腎症

 

 


 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。

21歳の初産婦。妊娠経過は順調であった。妊娠40週5日に3,600gの児を正常分娩で出産した。分娩所要時間第1期20時間、第2期3時間、総出血量400mLであった。会陰切開縫合術を受けた。帰室後、食事を全量摂取し、初回授乳を行った。乳房の形はⅢ型であり、短乳頭であった。

 

▶午後45

分娩後5時間、褥婦は尿意を感じ、トイレに歩行したが尿は出なかった。子宮底の高さは臍下2横指、子宮は硬く流血はない。会陰切開縫合部の腫脹と発赤はない。触診で膀胱充満がみられた。
褥婦のアセスメントで適切なのはどれか。

 

  1. 一過性の尿道括約筋の攣縮をきたしている。
  2. 膀胱の筋緊張が上昇している。
  3. 膀胱の炎症が起きている。
  4. 脱水を起こしている。

 

 


 

▶午後46

産褥1日、褥婦は「縫ったところが痛くて、授乳するのがつらいです」と訴えた。会陰縫合部の出血、腫脹および発赤はない。
褥婦の会陰部痛を軽減するためのケアとして有効なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 会陰部のマッサージ
  2. 縫合部の冷湿布
  3. 縫合部の消毒
  4. 縫合部の圧迫
  5. 円座の使用

 

 


 

▶午後47

退院後2週、褥婦は夫に付き添われて母乳外来を訪れた。「昨夜からおっぱいが痛かったです。今日の昼食後、急に寒気がして熱を測ったら38.0℃で、驚いたのですぐに来ました」と震えながら話した。
最も優先度の高い観察項目はどれか。

 

  1. 血乳の有無
  2. 副乳の有無
  3. 乳頭亀裂の有無
  4. 乳房の硬結の有無
  5. 乳房の大きさの左右差

 

 


 

次の文を読み48〜50の問いに答えよ。

在胎38週3日、吸引分娩で出生した児。分娩中の経過は良好で、排臨後、胎児心拍数が70bpmに低下し、2分後に出生した。羊水混濁が軽度あり、児の啼泣は弱く、筋緊張低下を認める。身長49.5cm、体重3,200g。

 

▶午後48

出生直後の児への処置として正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 胸骨圧迫を開始する。
  2. 気管吸引を繰り返す。
  3. 乾いたタオルでよく拭く。
  4. 児の背部を優しく刺激する。
  5. バッグ・マスク換気を開始する。

 

 


 

▶午後49

生後3日。体重2,900g、頭囲32.5cm。体温36.7℃、呼吸数52/分、心拍数114/分、整。大泉門1.4cm×1.5cm、膨隆はなし。先進部の頭頂に浮腫状の腫脹を認める。頰を触った指の方向に口を向ける。便は黄色調で血清総ビリルビン14.0mg/dLである。
この児のアセスメントで正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 頭血腫がある。
  2. 多呼吸である。
  3. 高ビリルビン血症である。
  4. 生理的範囲の大泉門である。
  5. 探索〈ルーティング〉反射がある。

 

 


 

▶午後50

生後5日。体重2,890gで体重減少が続いている。母乳のみを哺乳している。
哺乳量不足を疑う情報として重要なのはどれか。

 

  1. 体温が37.3℃である。
  2. 下肢に落屑がみられる。
  3. 授乳間隔が2時間ごとである。
  4. 過去24時間の排尿回数が4回である。
  5. 血清総ビリルビン値15.0mg/dLである。

 

 


 

次の文を読み51、52の問いに答えよ。

29歳の経産婦。12月1日に、妊娠41週2日で、予定日超過の管理目的で入院した。4歳の第1子が4日前にインフルエンザに罹患して保育所を休んでいる。家族内の誰もインフルエンザワクチンを接種していなかった。

 

▶午後51

12月2日、夫は分娩の立会いを希望しているが、この日の朝から38.0℃の発熱と関節痛がある。
夫の分娩の立会いに関する対応で適切なのはどれか。

 

  1. 夫の立会いは許可しない。
  2. 隔離した分娩室での出産とし、立会いを許可する。
  3. 夫にマスクとガウン着用の上で立会いを許可する。
  4. 妊婦にインフルエンザワクチンを接種し、立会いを許可する。
  5. 夫が抗インフルエンザウイルス剤を内服した上で立会いを許可する。

 

 


 

▶午後52

12月3日に正常分娩をした。褥婦は分娩の8時間前から悪寒を訴えており、分娩時には38.5℃の発熱があった。迅速診断でインフルエンザと診断されたため、抗インフルエンザウイルス剤の内服を開始した。分娩後2時間、母親は初回歩行できており、体温は38.0℃、咳はなく倦怠感も強くない。母乳哺育を希望している。児の体温37.0℃、脈拍125/分、呼吸数45/分。活発に四肢を動かしている。
感染対策上、最も適切なのはどれか。

 

  1. 感染症病棟で母子同室
  2. 産科病棟の個室で母子同室
  3. 産科病棟の大部屋で母子同室
  4. 児をNICU入院とした母子異室
  5. 児を新生児室管理とした母子異室

 

 


 

次の文を読み53〜55の問いに答えよ。

32歳の経産婦。妊娠41週2日に分娩誘発のために診療所に入院した。妊娠中期まで喫煙3本/日。入院時ビショップスコア8点。翌朝、オキシトシン点滴静脈内注射2ミリ単位/分から誘発分娩が開始となった。午後3時、授乳室にいた助産師は、胎児心拍モニター音で児心拍数が急激に70bpm台に低下したことに気づき、陣痛室に行き内診した。自然破水しており、子宮口7cm開大、臍帯脱出を認めた。
診療所は6床。この日の診療所の医療従事者の勤務体制は、外来に産婦人科医2名、看護師2名、病棟に助産師1名、看護師1名が勤務していた。

 

▶午後53

この時点の対応として最も適切なのはどれか。

 

  1. 臍帯の還納を試みる。
  2. 外来の医師に電話をかけに行く。
  3. 内診指で児頭を持ち上げながら人を呼ぶ。
  4. 新生児搬送のために近隣の医療機関に連絡する。

 

 


 

▶午後54

このような分娩のために診療所に準備しておくべきもので、最も適切なのはどれか。

 

  1. 血糖測定器
  2. 心電図モニター
  3. 新生児用バッグ・マスク
  4. 人工肺サーファクタント

 

 


 

▶午後55

今回の事例から医療安全対策として検討する内容で最も適切なのはどれか。

 

  1. 看護職員の勤務配置
  2. 子宮収縮薬の開始時投与量
  3. 予定日超過妊婦の分娩方針
  4. 喫煙している妊婦に対する保健指導

 

 


 

資料 厚生労働省「第99回保健師国家試験、第96回助産師国家試験及び第102回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

平成26年2月13日実施の第97回助産師国家試験の全問題と正答を掲載します。

 

また、内容に応じて衛生テキスト「国民衛生の動向2024/2025」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。

 

分野別解説付き問題まとめ

を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。

 

なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

発売日:2024.8.27

定価:2,970円(税込)

412頁・B5判

雑誌コード:03854-08

 

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▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

第97回助産師国家試験目次

 

 

第97回助産師国家試験・午前(55問)

 

▶午前1

国際助産師連盟〈ICM〉の「基本的助産業務に必須な能力2010年」に示されている能力はどれか。

 

  1. 助産師自身の健康管理能力
  2. 女性の経済的自立支援能力
  3. 幼児を持つ母親への子育て支援能力
  4. 母子のケアの社会的、疫学的、文化的能力

 

 


 

▶午前2

魚介類に蓄積し、妊婦が過量摂取することにより胎児の健康への影響が懸念されているため、厚生労働省が妊婦の摂取量の目安を示している物質はどれか。

 

  1. 有機鉛
  2. 有機リン
  3. 有機水銀
  4. 有機塩素化合物

 

 


 

▶午前3

妊娠中にプロゲステロンの産生の主体が黄体から胎盤に移行する時期はどれか。

 

  1. 妊娠4週ころ
  2. 妊娠8週ころ
  3. 妊娠12週ころ
  4. 妊娠16週ころ

 

 


 

▶午前4

骨盤腔の区分とその形成部の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 骨盤入口部――岬角
  2. 骨盤部――恥骨結合上縁
  3. 骨盤峡部――第2・第3仙椎接合部
  4. 骨盤出口部――寛骨臼内面下縁

 

 


 

▶午前5

産褥熱について正しいのはどれか。

 

  1. 乳腺炎に続発する。
  2. 細菌感染症である。
  3. 持続的な子宮の激痛がある。
  4. 37.5℃以上の発熱で診断する。

 

 


 

▶午前6

機能性月経困難症の患者で月経血中濃度が上昇しているのはどれか。

 

  1. オキシトシン
  2. エストロゲン
  3. プロゲステロン
  4. プロスタグランジン

 

 


 

▶午前7

妊娠34週0日の初妊婦。非対称性〈asymmetrical〉胎児発育不全〈FGR〉-1.5SDと診断された。経腹超音波検査で胎児と胎児付属物の異常はない。羊水量は正常。自宅安静と1週後の再検査となった。
保健指導で適切なのはどれか。

 

  1. 胎動カウントをする。
  2. 乳頭の手入れを開始する。
  3. 摂取エネルギー量を増やす。
  4. 塩分摂取は5g/日以下とする。

 

 


 

▶午前8

正常分娩した産褥5日の初産婦。産後の経過に異常はなく、母乳分泌も良好である。褥婦が「夫は単身赴任で、私1人で子どもを育てられるかどうか心配です」と話した。
コミュニケーション技術を用いた対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「子育ては母親がするものですよ」
  2. 「あなたは大丈夫。自信を持ちましょう」
  3. 「心配していると母乳の出が悪くなりますよ」
  4. 「心配なことをもう少し詳しく教えてください」

 

 


 

▶午前9

乳癌について正しいのはどれか。

 

  1. 妊娠中に治療はできない。
  2. 妊娠中の生検は禁忌である。
  3. 授乳期にマンモグラフィは禁忌である。
  4. 授乳期の反復する血乳は精密検査が必要である。

 

 


 

▶午前10

腹部触診法の写真を別に示す。
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Seitz〈ザイツ〉法はどれか。

 

 

 


 

▶午前11

妊娠30週0日の初妊婦への母乳育児に向けた説明で適切なのはどれか。

 

  1. 「お産当日から頻回授乳することが大切です」
  2. 「妊娠37週を過ぎるまでは乳頭には触れないでください」
  3. 「お産後は搾乳が必要なので今から練習しておきましょう」
  4. 「母乳と人工乳のどちらで育てていくかを妊娠中に決めておきましょう」

 

 


 

▶午前12

28歳の女性。33歳の夫と2人暮らし。仕事が忙しく不規則な生活によって体重が減少し、2年前から無月経となった。1年前から妊娠を希望しているが、無月経が続いているため外来を受診し、視床下部性の排卵障害と診断された。身長160cm、体重40kg(3年前の体重53kg)。医師からは夫の検査も勧められている。女性は「これからどうすればいいのでしょうか」と助産師に質問した。
助産師の説明で適切なのはどれか。

 

  1. 「養子縁組をしましょう」
  2. 「もう少し様子をみましょう」
  3. 「体重を増やすことが大切です」
  4. 「夫の検査結果が出るのを待ちましょう」

 

 


 

▶午前13

42歳の初産婦。分娩第1期所要時間は12時間、子宮口全開大から100分経過している。Station+2、胎児の矢状縫合は第1斜径で小泉門は1時方向に触れる。陣痛間欠2~3分、陣痛発作40秒。胎児心拍数陣痛図の波形はレベル2である。
アセスメントで適切なのはどれか。

 

  1. 正常経過
  2. 微弱陣痛
  3. 児頭下降不良
  4. 胎児機能不全

 

 


 

▶午前14

助産師の利き手が右手の場合、仰臥位分娩での発露時の会陰保護で正しいのはどれか。

 

  1. 左手で児頭を徐々に娩出する。
  2. 右手で肛門側から児頭を強く圧迫する。
  3. 右手で肛門保護を行い、左手は使用しない。
  4. 両手を陰裂に当て、会陰を下方に押し下げる。

 

 


 

▶午前15

硬膜外麻酔下の分娩における麻酔の影響で起こりやすいのはどれか。

 

  1. 鉗子・吸引分娩になりやすい。
  2. 出生児に呼吸抑制が生じやすい。
  3. 子宮復古が遅れやすい。
  4. 母体の誤嚥性肺炎発症の危険性が高くなりやすい。

 

 


 

▶午前16

出産後の母親の心理的特徴について適切なのはどれか。

 

  1. 産褥早期に一過性に情緒不安定となる。
  2. 授乳行動に対する不安は軽減する傾向にある。
  3. 産褥5~10日は依存的な態度を示す時期である。
  4. 出産について想起できるのは産褥5日以降である。

 

 


 

▶午前17

産褥1日、会陰裂傷第4度の褥婦から、縫合部にしみるようで怖くて排尿できないと訴えがあった。
適切な対応はどれか。

 

  1. 膀胱留置カテーテルを留置する。
  2. 水分摂取量を減らすよう指導する。
  3. 臥床したまま便器を挿入して排尿させる。
  4. 縫合部に問題がないことを褥婦と一緒に確認する。

 

 


 

▶午前18

32歳の初産婦。妊娠40週4日に経腟分娩で2,840gの男児を出産した。30歳で甲状腺機能亢進症を発症し、プロピオチオウラシルを内服している。妊娠中の血中甲状腺ホルモン値は正常範囲内であった。
授乳に関する説明で正しいのはどれか。

 

  1. 「お薬を減らせば授乳できます」
  2. 「昆布を多めに食べて授乳しましょう」
  3. 「特に授乳を制限する必要はありません」
  4. 「お薬を飲んでいるので授乳はやめてください」

 

 


 

▶午前19

不規則抗体による新生児溶血性疾患について正しいのはどれか。

 

  1. 生後10日以降に発症する。
  2. 末梢血に有核赤血球が多数出現する。
  3. 直接ビリルビン優位の高ビリルビン血症となる。
  4. RhD抗原が母親で陽性、児で陰性の組合せが多い。

 

 


 

▶午前20

在胎39週6日、助産所で出生した児。出生時体重3,800g。母親の妊娠経過は順調であった。生後2時間に振戦があり、血糖値を測定したところ35mg/dLであったため、糖水を飲ませた。
次に行う対応で適切なのはどれか。

 

  1. 経過観察する。
  2. 次回授乳からは人工乳を補足する。
  3. 60分後に血糖値を測定する。
  4. 直ちに搬送する。

 

 


 

▶午前21改題

地域子育て支援拠点事業について正しいのはどれか。

 

  1. おおむね3歳未満の児童および保護者を対象とする。
  2. ボランティアには子育て経験が必要である。
  3. ひとり親家庭等日常生活支援事業がある。
  4. 新生児訪問事業を実施する。

 

 


 

▶午前22

特定不妊治療費の助成に必要な要件はどれか。

 

  1. これまでに人工授精を受けたことがある。
  2. 指定医療機関で治療を受けている。
  3. 現在の子どもが1人以下である。
  4. 治療期間は5年以上である。

 

 


 

▶午前23

病院で新たに助産師外来を開設することになった。勤務経験5年以上の助産師5名が担当し、対象は正常経過の妊婦とした。
助産師外来の運営で望ましいのはどれか。

 

  1. 医師への報告基準を作成する。
  2. 妊婦の希望する超音波検査を主とする。
  3. 正常な経過であれば医師外来の受診は不要とする。
  4. 妊婦健康診査の記録は助産師外来独自の記録とする。

 

 


 

▶午前24

妊娠37週0日の初産婦。陣痛発来で入院した。入院後3時間で自然破水し、羊水は白色で少量の血性分泌物がみられた。破水後、胎児心拍数陣痛モニタリングを開始した。1時間後に胎児心拍数が80bpmに低下したため、直ちに酸素を投与し、1分後に回復した。40分後に遅発性一過性徐脈が出現し、助産師は医師に報告した。児は吸引分娩で出生、Apgar〈アプガー〉スコアは1分後6点、5分後9点であった。
この事例で改善すべき行動はどれか。

 

  1. 破水した産婦を経過観察したこと
  2. 医師の指示なく酸素投与を行ったこと
  3. 血性分泌物がみられたことを医師に報告しなかったこと
  4. 胎児心拍数が80bpmに低下したことを医師に報告しなかったこと

 

 


 

▶午前25

2週前に大災害を体験した妊婦。妊婦健康診査時に「小さな物音も気になります。不安になると気持ちが落ち着かず、眠りが浅くなります。あのときのことが思い出されます」と話した。
適切な対応はどれか。

 

  1. 災害のことは早く忘れるよう励ます。
  2. つらい体験は胸にしまっておくよう勧める。
  3. 誰にでも起こりうる反応であることを話す。
  4. これから子どもが生まれるのだから幸せな方だと慰める。

 

 


 

▶午前26

妊娠高血圧腎症の診断基準に含まれるのはどれか。

 

  1. 蛋白尿
  2. 両下肢の浮腫
  3. 低アルブミン血症
  4. 血中クレアチニン高値
  5. 糸球体濾過量〈GFR〉低値

 

 


 

▶午前27

低置胎盤の胎盤辺縁から内子宮口までの距離を測定し、経腟分娩の可否を判断するのに適切な時期はどれか。

 

  1. 妊娠20週
  2. 妊娠28週
  3. 妊娠30週
  4. 妊娠35週
  5. 妊娠38週

 

 


 

▶午前28

在胎32週3日、1,850gで出生した児。出生後に呼吸障害は認められなかったが、保温のため保育器に収容した。
出生当日の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 経口哺乳を開始する。
  2. 生理食塩水の輸液を準備する。
  3. 保育器の設定温度は36.0℃にする。
  4. 保育器内の酸素濃度は40%にする。
  5. 初回面会時に母親にタッチングを勧める。

 

 


 

▶午前29

在胎38週0日、体重2,300gで出生した児。小頭症、心奇形および白内障が認められた。
この症例の診断において優先される確認事項はどれか。

 

  1. 妊娠初期のトキソプラズマ感染の有無
  2. 妊娠初期の風疹ウイルス感染の有無
  3. 母親のアルコール依存症の有無
  4. 母親の薬物摂取の有無
  5. 母親の喫煙の有無

 

 


 

▶午前30

助産師の守秘義務が規定されているのはどれか。

 

  1. 刑法
  2. 医療法
  3. 母子保健法
  4. 保健師助産師看護師法
  5. 個人情報の保護に関する法律

 

 


 

▶午前31

卵管性不妊症の原因となるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 淋菌
  2. カンジダ
  3. ヘルペス
  4. クラミジア
  5. B群溶連菌

 

 


 

▶午前32

子宮内膜症について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 経産婦では発症しない。
  2. 閉経後に発症しやすい。
  3. 発症リスクの1つに喫煙がある。
  4. 症状の1つに骨盤内疼痛がある。
  5. 治療法の1つに黄体ホルモン療法がある。

 

 


 

▶午前33

母乳生成に関与するホルモンで正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. プロスタグランジンは乳腺を増殖させる。
  2. プロゲステロンは乳腺を増殖させる。
  3. エストロゲンは乳汁を生成する。
  4. プロラクチンは乳汁を生成する。
  5. オキシトシンは乳汁を生成する。

 

 


 

▶午前34

新生児において核黄疸の発症リスクを増加させる因子はどれか。2つ選べ。

 

  1. 低血糖
  2. 低酸素血症
  3. 高カルシウム血症
  4. 低ナトリウム血症
  5. 代謝性アルカローシス

 

 


 

▶午前35

非妊時と比較して妊娠中期に低下するのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 耐糖能
  2. 肺活量
  3. 腎血流量
  4. 機能的残気量
  5. 糸球体濾過量〈GFR〉

 

 


 

▶午前36

多胎妊娠について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 二卵性双胎の約75%が二絨毛膜性である。
  2. 双胎は単胎に比べて妊娠糖尿病になりやすい。
  3. 二卵性双胎が生じる頻度は遺伝素因に無関係である。
  4. 一絨毛膜性双胎は二絨毛膜性双胎に比べて周産期死亡率が高い。
  5. 二絨毛膜性双胎は一絨毛膜性双胎に比べて双胎間輸血症候群を生じやすい。

 

 


 

▶午前37

新生児の脳室周囲白質軟化症について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 早産児に多い。
  2. 初発症状はけいれんが多い。
  3. 病変は左右対称性にみられる。
  4. 診断は生後24時間以内に行う。
  5. 原因は児の高二酸化炭素血症である。

 

 


 

▶午前38

分娩第2期に側臥位の姿勢をとる利点はどれか。2つ選べ。

 

  1. 胎児の下降が早い。
  2. 陰部の浮腫が少ない。
  3. 肩甲娩出がスムーズである。
  4. 分娩介助者が会陰を保護しやすい。
  5. 骨盤を動かしながら娩出力を調節できる。

 

 


 

▶午前39

1歳6か月児が行うことができるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 幅跳びをする。
  2. 三輪車をこぐ。
  3. 押し車で遊ぶ。
  4. 積み木を2個積む。
  5. ままごとで役割を演じる。

 

 


 

▶午前40

助産所の開設と管理について医療法で規定されているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 分娩費用
  2. 臨時応急の手当
  3. 従事者の人的構成
  4. 妊産褥婦の収容人数
  5. 嘱託医師を定めること

 

 


 

次の文を読み41~43の問いに答えよ。

在胎41週3日、正常分娩で出生した3,800gの児。出生直後は啼泣なく、筋緊張も低下していた。皮膚刺激と口鼻腔吸引を行い、吸引した羊水は混濁していた。出生から30秒後、弱い自発呼吸が認められ、心拍数80/分であった。

 

▶午前41

新生児蘇生法ガイドライン2010に基づいて管理する場合、このときの処置で適切なのはどれか。

 

  1. フリーフローで酸素投与
  2. バッグ・マスク換気
  3. CPAP
  4. 気管挿管
  5. 胸骨圧迫

 

 


 

▶午前42

生後1時間から多呼吸、陥没呼吸および呻吟が認められ始め、徐々に呼吸障害が増悪した。高濃度酸素を投与したが、中心性チアノーゼが認められたため、胸腹部エックス線撮影を行った。生後6時間に撮影した胸腹部エックス線写真を別に示す。
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最も疑われる疾患はどれか。

 

  1. 気胸
  2. 胎便吸引症候群
  3. 一過性多呼吸〈TTN〉
  4. 呼吸窮迫症候群〈RDS〉
  5. 先天性横隔膜ヘルニア

 

 


 

▶午前43

生後1日に肉眼的黄疸を認めた。児の血液型はA型Rh(+)。母親はO型Rh(+)。精密検査の結果、ABO式血液型不適合による溶血性黄疸と診断され、児の交換輸血が必要となった。
交換輸血に使用する合成血の組成で最も適切なのはどれか。

 

  1. A型赤血球とO型血漿
  2. A型赤血球とA型血漿
  3. O型赤血球とAB型血漿
  4. AB型赤血球とO型血漿

 

 


 

次の文を読み44~46の問いに答えよ。

25歳の初産婦。妊娠40週2日。妊娠経過は良好であった。午前5時に陣痛が発来し、午前7時に来院した。身長156cm、体重64kg(非妊時52kg)。胎児推定体重3,320g。来院時の診察にて、胎児心拍数は130bpm、第1頭位。内診所見は、子宮口4cm開大、展退度40%、Station-1、未破水で回旋異常はない。

 

▶午前44

来院時の内診所見図で正しいのはどれか。
ただし、図の上が母体腹側、下が母体背側を示し、◇は大泉門、Yは小泉門を表す。

 

97am44j

 

 


 

▶午前45

午後0時の内診所見は、子宮口6cm開大、展退度50%、Station+1。陣痛間欠7分、陣痛発作30秒。午後0時30分からオキシトシン点滴静脈内注射が開始された。点滴開始後2時間で、最下点85bpm、持続時間40秒の変動一過性徐脈が1回みられた。胎児心拍数基線130bpm、基線細変動は正常である。
このときの対応で適切なのはどれか。

 

  1. 絶飲食にする。
  2. 体位変換を行う。
  3. 酸素を投与する。
  4. オキシトシン点滴静脈内注射を中止する。

 

 


 

▶午前46

その後順調に陣痛が増強し、午後4時30分に破水した。陣痛間欠1分30秒、陣痛発作60秒。内診所見は子宮口全開大、展退度100%、Station+3、回旋は正常。羊水混濁を軽度認めた。さらに2時間後に内診したが所見は変わらず、産瘤が増大している。内診後の胎児心拍数陣痛図を別に示す。
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今後の方針で最も適切なのはどれか。

 

  1. 経過観察
  2. オキシトシンの増量
  3. 鉗子分娩
  4. 帝王切開

 

 


 

次の文を読み47~49の問いに答えよ。

Aさん(38歳、初産婦)。妊娠糖尿病。妊娠中は、自己血糖測定、インスリン自己注射を行い、食事は6回の分割食とし血糖コントロールは良好であった。3,100gの児を正常分娩にて出産し母児同室中である。産褥1日。医師からインスリン注射について「今は使用しなくてよいでしょう。今後は血糖値の変化をみながら使用について判断していきましょう」と説明があった。

 

▶午前47

産褥2日。血糖値は朝食前80mg/dL、朝食後2時間120mg/dLであった。助産師が訪室すると直接授乳を行っている。
このときの対応で適切なのはどれか。

 

  1. このまま経過を観察する。
  2. 飴をなめるように促す。
  3. 直ちに母乳を中止する。
  4. 直ちにインスリン注射の準備をする。

 

 


 

▶午前48

産褥6日。母乳分泌は良好で、授乳は母乳のみで行っている。児の体重は3,150g、経過は順調である。1日の摂取エネルギーは1,800kcal。退院後、食事療法で血糖コントロールを行うことになった。
退院指導で適切なのはどれか。

 

  1. 「授乳前には軽い食事を摂るといいですよ」
  2. 「授乳を30分程度で切り上げて血糖値の変動を抑えましょう」
  3. 「母乳分泌量が増えてもこのまま1,800kcalを維持しましょう」
  4. 「母乳を続けた方が、将来Aさんが糖尿病になりにくくなります」

 

 


 

▶午前49

出産後6か月、定期検査のため来院し、血糖値は正常であった。Aさんは「退院後は自分の食事療法と初めての育児で毎日が大変でした。でも、最近は自分なりの育児ができるようになり、母乳哺育で頑張っています。次の妊娠のことを考えています」と言う。
Aさんへの説明として最も適切なのはどれか。

 

  1. 「妊娠するたびに妊娠糖尿病は重症化します」
  2. 「授乳中の避妊には低用量ピルを使いましょう」
  3. 「お子さんたちは糖尿病になる心配はないでしょう」
  4. 「次の妊娠は血糖コントロールが良い時にしましょう」

 

 


 

次の文を読み50~52の問いに答えよ。

36歳の2回経産婦。妊娠経過は順調であった。妊娠39週5日、2,680gの児を正常分娩で出産した。会陰裂傷はなく、出血量は250mLであった。乳房の形はⅡa、短乳頭であった。前回は人工栄養であったが、今回は母乳栄養を希望している。

 

▶午前50

産褥1日。訪室すると、下腹部をおさえ顔をしかめて直接授乳を行っていた。授乳前の診察で子宮底の高さ臍下3横指、硬度良好、悪露は血性で少量、凝血塊はない。
このときの対応で適切なのはどれか。

 

  1. 子宮収縮抑制薬の投与を医師と相談する。
  2. 今回の授乳を一時中断する。
  3. 輪状マッサージを行う。
  4. ベッド上安静とする。

 

 


 

▶午前51

産褥3日。両乳房は全体的に温かく硬い感触である。乳管口の開口数は3~4本で、乳輪部の圧迫で乳汁がにじむ。左乳頭に水疱がある。立て抱きで授乳しており、児頭が不安定になっている。「お乳が張って痛いし、赤ちゃんもうまく吸えないみたいです」と言う。体温37.0℃、脈拍78/分。子宮収縮は良好である。
このときの褥婦への対応で適切なのはどれか。

 

  1. 消炎鎮痛薬の投与を医師と相談する。
  2. 乳房全体を冷罨法する。
  3. 脇抱きで授乳をする。
  4. 直接授乳を中止する。

 

 


 

▶午前52

産褥5日。1日の授乳回数は10回程度で母乳のみである。左乳頭の亀裂はあるが、痛みは自制内で授乳は続けていた。授乳後に両乳房の緊満は軽減する。褥婦から「家に帰ってからおっぱいに傷ができたらどうしたらいいですか」と質問があった。児の体重は2,573gで、前日から20g増加している。経過は順調である。
翌日に退院予定の褥婦に対する授乳の指導で適切なのはどれか。

 

  1. 3時間ごとの授乳
  2. 乳房温湿布
  3. 哺乳瓶授乳
  4. カップ授乳

 

 


 

次の文を読み53~55の問いに答えよ。

県の女性健康支援センターでは、5年前から電話相談を週2日実施している。電話相談は8名の助産師が輪番制で対応しており、相談日には1名が担当している。

 

▶午前53

52歳の女性から電話相談があった。最近、すぐイライラしたり、動悸がしたりして、なんとなく体調が悪い。長女が結婚して夫婦2人の生活になり、夫は仕事で忙しく、ほとんど話を聞いてもらえない。内科を何度も受診したが、薬だけが増え症状は改善されないという。
対応として適切なのはどれか。

 

  1. 「精神科を受診してみませんか」
  2. 「薬を一度やめてみてはいかがですか」
  3. 「長女夫婦と同居してはいかがでしょうか」
  4. 「心配事について一緒に整理してみましょうか」

 

 


 

▶午前54

助産師は女性からの相談を30分傾聴し、断続した不正性器出血があり、閉経が近いと考えていること、体調不良について相談する人が周囲にいないことが分かった。
女性へのアドバイスで優先されるのはどれか。

 

  1. 婦人科の受診
  2. 心理カウンセリングの利用
  3. 更年期女性を対象とした健康教室への参加
  4. 女性健康支援センターの電話相談の継続的利用

 

 


 

▶午前55

電話相談の開始当初は、妊娠、出産や子育てに関する相談が主であった。1年ほど前から、50歳前後の女性からの不眠、頭痛、のぼせ、憂うつ、物忘れなどに関する相談件数が増え、約半数を占めている。そのため、女性健康支援センターでは相談を担当している助産師を対象に研修会を実施することになった。
研修内容として最も適切なのはどれか。

 

  1. 脳血管疾患について
  2. 月経前症候群について
  3. エストロゲン欠乏症状について
  4. Alzheimer〈アルツハイマー〉病について

 

 

 

第97回助産師国家試験・午後(55問)

 

▶午後1

受精卵が着床するときの卵割の状態で正しいのはどれか。

 

  1. 4細胞期
  2. 8細胞期
  3. 桑実胚
  4. 胚盤胞

 

 


 

▶午後2

羊水について正しいのはどれか。

 

  1. pHは6~7である。
  2. 妊娠初期には絨毛膜から分泌される。
  3. 妊娠末期の羊水量は約1,000mLである。
  4. 妊娠中期から末期には主に胎児尿に由来する。

 

 


 

▶午後3

32歳の初産婦。妊娠39週0日。内診所見は、子宮口3cm開大、展退度80%、Station-2、子宮頸管の硬度は軟、子宮口の位置は中央であった。
この産婦のBishop〈ビショップ〉スコアの点数はどれか。

 

  1. 7点
  2. 8点
  3. 9点
  4. 10点

 

 


 

▶午後4

哺乳開始後の正常新生児で活性が低い消化酵素はどれか。

 

  1. 膵アミラーゼ
  2. ラクターゼ
  3. マルターゼ
  4. ペプシン

 

 


 

▶午後5

産褥期の肺塞栓症のリスク因子で正しいのはどれか。

 

  1. 睡眠不足
  2. 頻回の授乳
  3. 精神的な興奮
  4. 長時間の安静臥床

 

 


 

▶午後6

オキシトシン5単位を5%ブドウ糖液500mLで希釈し、点滴静脈内注射を開始した。
120mL/時間で滴下しているときのオキシトシンの1分間当たりの投与量で正しいのはどれか。

 

  1. 1ミリ単位
  2. 5ミリ単位
  3. 10ミリ単位
  4. 20ミリ単位

 

 


 

▶午後7

ヒトパピローマウイルス〈HPV〉ワクチンと子宮頸癌の説明で適切なのはどれか。

 

  1. HPVワクチンは1回の接種で予防効果がある。
  2. 子宮頸癌のほぼ50%にハイリスクHPVが検出される。
  3. HPVワクチンを投与すれば子宮頸がん検診は不要である。
  4. HPVワクチンはHPV16型とHPV18型に対する感染予防効果がある。

 

 


 

▶午後8

18歳の初妊婦。未婚。妊娠24週0日。3回目の妊婦健康診査である。妊婦はパートナーのことを嫌悪しており、現在まったく会っていない。実家に住んでいるが、両親とも働いており、あまり話ができていないという。妊婦は出産して子どもに会えることを楽しみにしている。
今回の妊婦健康診査時の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 入籍することを勧める。
  2. 出生した児を乳児院に預けることを勧める。
  3. 母親になるのでしっかりするように励ます。
  4. 出産・育児について親に相談するように勧める。

 

 


 

▶午後9

産褥経過で正常から逸脱しているのはどれか。

 

  1. 分娩直後の悪寒
  2. 分娩後12時間の子宮底の高さ臍上1横指
  3. 産褥3日の歩行時の恥骨部痛
  4. 産褥10日の褐色の悪露

 

 


 

▶午後10

産褥5日の褥婦。児はNICUに入院している。両乳房の外側に乳汁のうっ滞があり、射乳は3~5本ある。
用手搾乳の方法について適切なのはどれか。

 

  1. 軽く痛みを感じる範囲内で行う。
  2. 搾乳前に乳頭を滅菌水で清拭する。
  3. 固くなっている部分から搾乳する。
  4. 搾乳時間は左右の乳房を合わせて1時間程度とする。

 

 


 

▶午後11

産褥1日。児は口唇裂と診断された。母親は、母児同室を拒み、授乳も助産師に依頼し、病室で何をするでもなくぼんやりと過ごしている。
このときの助産師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 児を抱くように促す。
  2. 母児同室を行うように促す。
  3. 夫に至急連絡をとり母親の状況を伝える。
  4. 児のことには触れずに母親の身体回復へのケアを行う。

 

 


 

▶午後12

Dubowitz法について正しいのはどれか。

 

  1. 発育障害の評価をする。
  2. 出生直後に評価をする。
  3. 外表所見の1つに頭髪による評価がある。
  4. 神経学的所見の1つにスカーフ徴候による評価がある。

 

 


 

▶午後13

在胎38週0日、体重2,800gで出生した児。出生直後に21トリソミーにみられる特異な顔貌を認めた。出生後30分の観察にて、体温36.7℃、呼吸数28/分、心拍数134/分、整。第1排尿はない。
対応で適切なのはどれか。

 

  1. 直接授乳は中止する。
  2. 心雑音の有無を聴取する。
  3. 出生後2時間の尿量を確認する。
  4. 特徴的な啼泣の有無を観察する。

 

 


 

▶午後14

A市にあるボランティア組織「ツインピアの会」は、多胎児の育児経験のある女性たちが多胎児を出産した親に対して、1か月健康診査に同伴する活動を行っている。同市にある病院では、多胎児を出産した褥婦にこの組織を紹介していきたいと考えている。
連携をとるために病院が行うことで適切なのはどれか。

 

  1. 「ツインピアの会」に年間活動報告の提出を指示する。
  2. 同伴するボランティアとして院内の助産師を派遣する。
  3. 「ツインピアの会」に同伴する児の出生時の状況を伝える。
  4. 「ツインピアの会」の活動を院内の助産師に情報提供する。

 

 


 

▶午後15

初診時の妊婦健康診査の結果を示す。
助産所で管理可能と考えられるのはどれか。

 

  1. 17歳、初産婦。血圧146/88mmHg
  2. 36歳、1回経産婦。前回、妊娠糖尿病。血圧118/88mmHg
  3. 44歳、2回経産婦。前回、帝王切開分娩。血圧122/70mmHg
  4. 25歳、1回経産婦。前回、経腟骨盤位分娩。血圧120/72mmHg

 

 


 

▶午後16

助産師自身の健康を守るための感染予防対策はどれか。

 

  1. 正常新生児を抱きあげる前の手指消毒
  2. 感染症のない妊婦をケアする時のマスクの着用
  3. 分娩時に使用した器具を取り扱う際のゴム手袋の着用
  4. メチシリン耐性黄色ブドウ球菌〈MRSA〉保菌者をケアする時の予防衣の着用

 

 


 

▶午後17

母体保護法第14条に基づき人工妊娠中絶の適応となるのはどれか。

 

  1. 妊婦が未成年である。
  2. 妊婦が強く希望している。
  3. 妊婦が妊娠中に風疹に罹患した。
  4. 胎児が染色体異常であると診断された。
  5. 重症妊娠悪阻により妊婦の全身状態が著しく悪化している。

 

 


 

▶午後18

図の手技で出現する反射はどれか。
97pm18j

 

  1. 側弯反射
  2. 交叉性伸展反射
  3. 視性立ち直り反射
  4. 非対称性緊張性頸反射
  5. Landau〈ランドー〉反射

 

 


 

▶午後19

新生児の疾病とリスク因子との組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 先天性心疾患――羊水過多
  2. 先天性食道閉鎖――羊水過少
  3. 胎便関連性腸閉塞――過期妊娠
  4. 低カルシウム血症――妊娠糖尿病
  5. 呼吸窮迫症候群〈RDS〉――妊娠高血圧症候群

 

 


 

▶午後20

妊娠41週0日の初産婦。妊娠経過は順調であった。子宮口2cm開大、展退度70%であるが分娩は開始していない。「陣痛が来るようにできることはしてみたい」と話す。
分娩を誘発する効果があるのはどれか。

 

  1. 乳頭を刺激する。
  2. 横になって休養する。
  3. グリセリン浣腸をする。
  4. 下腹部をマッサージする。
  5. 高エネルギーの食事を摂取する。

 

 


 

▶午後21

在胎30週0日、体重1,200gで出生した児。生後7日で人工呼吸器を装着している。
この児に対するディベロップメンタルケアで適切なのはどれか。

 

  1. 子宮内と同じような姿勢を保つ。
  2. 室内の照度は明るく保つ。
  3. 積極的に音刺激を与える。
  4. 気管内吸引は定時に行う。
  5. 清拭は深睡眠時に行う。

 

 


 

▶午後22

在胎40週0日で出生した児。経過は順調で生後5日に2,700gで退院した。生後30日、1か月児健康診査に来院した。体重は3,500g。大泉門の大きさは2cm×2cm。児を引き起こすと、肘は軽く曲がり頭部がやや背屈している。児の便は便色カード2番で薄いクリーム色であった。黄疸が気になるという母親の訴えによって、経皮的黄疸計で測定したところ15mg/dLであった。
健康診査の結果で異常所見はどれか。

 

  1. 体重
  2. 大泉門の大きさ
  3. 引き起こし反射
  4. 便の色
  5. 経皮的黄疸計の測定結果

 

 


 

▶午後23

一般事業主に対し、仕事と家庭の両立に関する行動計画の策定を義務づけている法律はどれか。

 

  1. 母子保健法
  2. 労働基準法
  3. 少子化社会対策基本法
  4. 男女共同参画社会基本法
  5. 次世代育成支援対策推進法

 

 


 

▶午後24

思春期女子の身体変化で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 初経の発来は体脂肪量に影響される。
  2. 骨盤外計測値は14歳以降に急激に増加する。
  3. 初経のころの原始卵胞数は出生時よりも少ない。
  4. 年間身長増加量は初経後1年以内がピークである。
  5. 初経のころの子宮の形態は体部に比べて頸部が長い。

 

 


 

▶午後25

妊娠初期においてhCG〈ヒト絨毛性ゴナドトロピン〉が関連しているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 妊娠悪阻
  2. 乳腺の分化
  3. 妊娠性痒疹
  4. 妊娠黄体の維持
  5. 甲状腺機能低下

 

 


 

▶午後26

子癇発作の出現の予測に有用な徴候はどれか。2つ選べ。

 

  1. 頭痛
  2. 腰痛
  3. 耳閉感
  4. 上腹部痛
  5. 手指の振戦

 

 


 

▶午後27

経口避妊薬の副効用はどれか。2つ選べ。

 

  1. 過多月経の改善
  2. 性感染症の予防
  3. 月経困難症の軽減
  4. 深部静脈血栓症の予防
  5. 子宮頸癌発生率の低下

 

 


 

▶午後28

尿を用いた妊娠反応検査について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 胞状奇胎では陽性である。
  2. 異所性妊娠では陰性である。
  3. プロゲステロンの濃度を測定している。
  4. 子宮内胎児死亡の24時間後には陰性化している。
  5. 妊娠の診断可能な時期は経腟超音波断層法より早い。

 

 


 

▶午後29

重症妊娠悪阻の管理中において注意すべき主な合併症はどれか。2つ選べ。

 

  1. 肺塞栓症
  2. 悪性高熱症
  3. 高カリウム血症
  4. 高ナトリウム血症
  5. Wernicke〈ウェルニッケ〉脳症

 

 


 

▶午後30

破水の診断に用いられる物質はどれか。2つ選べ。

 

  1. 癌胎児性フィブロネクチン
  2. α-フェトプロテイン〈AFP〉
  3. スフィンゴミエリン
  4. エラスターゼ
  5. レシチン

 

 


 

▶午後31

32歳の初産婦。妊娠経過は順調であった。妊娠39週0日、3,300gの児を正常分娩で出産した。分娩所要時間は11時間で、総出血量は300mLであった。児の出生後の状態は良好。妊娠中に早期母子接触について説明を受けて同意していた。
早期母子接触を実施する際の留意点で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 児に服を着せる。
  2. 実施中は助産師が付き添う。
  3. 6時間以上継続して実施する。
  4. 母親の体位は水平位で実施する。
  5. 児にパルスオキシメータを装着する。

 

 


 

▶午後32

播種性血管内血液凝固〈DIC〉を発生しやすい基礎疾患として産科DICスコアで加点対象となっているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 子癇
  2. 前置胎盤
  3. 癒着胎盤
  4. 子宮破裂
  5. 羊水塞栓

 

 


 

▶午後33改題

予防接種を受ける子どもの親への説明で適切なのはどれか。

 

  1. 「接種当日は入浴してはいけません」
  2. 「接種当日は激しい運動は避けましょう」
  3. 「副反応は接種後24時間以降にはみられません」
  4. 「家庭で測定した体温で接種ができるか判断します」
  5. 「不活化ワクチンを接種した後、6日以上あけなければ次のワクチンを接種できません」

 

 


 

▶午後34

周産期医療情報センターについて正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 二次医療圏に1か所設置される。
  2. 周産期救急情報システムを設置する。
  3. 地域周産期母子医療センターに設置される。
  4. 地域の周産期医療に関する情報を収集する。
  5. 全国の周産期医療施設の病床の空床状況を把握する。

 

 


 

▶午後35

ある年の人口統計を表に示す。
97pm35j
周産期死亡率を求めよ。
ただし、小数点以下第2位を四捨五入すること。

 

解答:①.②

 

 


 

次の文を読み36~38の問いに答えよ。

20歳の女性。未婚。大学生。月経が不規則で、3か月の無月経と悪心を主訴として、パートナーと一緒に来院した。身長163cm、体重48kg。経腟超音波検査で胎児心拍が確認され、頭殿長〈CRL〉は50mmであった。2人は妊娠を喜んでいる。内診時、左右の小陰唇に水疱が数個みられた。

 

▶午後36

助産師は親意識を促すために、妊婦とパートナーに「赤ちゃんの心臓の音を聴いてみますか」と聞いた。2人が希望したため、Doppler〈ドプラ〉法で胎児心音を聴取することにした。妊婦の腹部を図に示す。
97pm36j
プローブを当てる部位で適切なのはどれか。

 

 

 


 

▶午後37改題

妊婦は「妊娠すると太ってはダメと友達から聞きました。できるだけこの体型を維持したいです」と言う。助産師は妊娠中の体重のコントロールについて説明した。
この妊婦の体重増加量の目安はどれか。

 

  1. 5kg以上
  2. 7kg未満
  3. 7kg以上10kg未満
  4. 10kg以上13kg未満
  5. 12kg以上15kg未満

 

 


 

▶午後38

妊婦は外陰部がピリピリすると訴えた。
治療をした上で、今後の性生活での注意点で適切なのはどれか。

 

  1. 特に注意することはない。
  2. コンドームを使用する。
  3. オーラルセックスはしてもよい。
  4. 水疱が消えるまで性器での性交渉は中止する。

 

 


 

次の文を読み39~41の問いに答えよ。

53歳の女性。4回経妊3回経産婦。第1子は4,100gで、鉗子分娩であった。48歳で閉経。夫は50歳で健在。初診時、身長145cm、体重70kg。6か月前から夕方になると外陰部に違和感を感じるようになったと話す。また、トイレが近く、尿を我慢していると立ち上がった時に少し漏れるという。診察すると、膀胱が努責により腟口から2cm上方まで下垂してくる。

 

▶午後39

追加して確認する情報はどれか。

 

  1. 性交渉の有無
  2. 四肢冷感の有無
  3. 習慣的飲酒の有無
  4. ホットフラッシュの有無

 

 


 

▶午後40

この女性は保存的治療を希望したため、骨盤底筋体操を指導した。
追加で指導する内容で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 塩分制限
  2. 体重の減量
  3. 排尿日誌の記載
  4. 水分摂取の制限
  5. 毎朝のジョギング

 

 


 

▶午後41

3か月が経過した。「体操で膀胱が下がってくる感じは良くなったけれど、トイレが近いのが治りません。夜に何度もトイレに起きるので睡眠不足です」と訴えている。外来受診の際、排尿後の導尿で残尿は80mLであった。
この女性に対する治療として考慮されるのはどれか。

 

  1. 腟閉鎖術
  2. 抗コリン薬の内服
  3. 定時的な自己導尿
  4. 排尿時の下腹部圧迫

 

 


 

次の文を読み42~44の問いに答えよ。

29歳の初産婦。妊娠32週2日。これまでの妊娠経過は順調である。身長160cm、体重61kg(非妊時体重53kg)。血圧136/72mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)。子宮底長27cm。下肢に軽度の浮腫を認める。頭位で児背は母体の左側。胎児心拍数120bpm。胎児推定体重1,600g、AFIは20cmであった。

 

▶午後42

現時点の胎児のアセスメントで正しいのはどれか。

 

  1. 発育は正常である。
  2. 第2胎向である。
  3. 羊水過多である。
  4. 胎児心拍数は少ない。

 

 


 

▶午後43

妊娠34週2日。妊婦健康診査を受診した。散歩中に子宮収縮が時々みられるが、少し休むと落ち着くという。体重62kg。血圧134/76mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)。Hb11.3g/dL、Ht34%。子宮底長29cm。下肢に軽度の浮腫を認める。内診所見で子宮口は閉鎖。経腟超音波検査で子宮頸管長は30mmであった。
この時点の母体のアセスメントで適切なのはどれか。

 

  1. 正常経過
  2. 切迫早産
  3. 軽症の貧血
  4. 妊娠高血圧症候群

 

 


 

▶午後44

この妊婦から「最近、おなかが大きくなってきて夜眠れません。どうしたらよいでしょう」と質問があった。
説明で適切なのはどれか。

 

  1. 運動を控えるように説明する。
  2. 日中は起きているように勧める。
  3. Sims〈シムス〉位で休むことを勧める。
  4. 睡眠薬の処方を医師に依頼するように勧める。

 

 


 

次の文を読み45~47の問いに答えよ。

Aさん(40歳、初産婦)。妊娠38週2日。午後7時にAさんは電話で「午後4時からときどき子宮収縮がありましたが、午後6時からは10分間隔で今も変わりません。2日前の妊婦健康診査で、子宮の出口は3cm開いていると言われました。出血、破水やいきみたい感じはありません。B群溶連菌陽性と言われています」と落ち着いて話した。夫の立会い分娩の予定だが、夫はまだ帰宅していない。

 

▶午後45

Aさんから追加して確認すべき情報で最も適切なのはどれか。

 

  1. 切迫早産入院の有無
  2. 最後の排便時刻
  3. 夕食摂取の有無
  4. 夫の帰宅時刻
  5. 胎動の有無

 

 


 

▶午後46

Aさんから「夫が仕事から帰宅するのを待ちたいのですが、どうしたらよいでしょう」と言われた。
電話での対応で適切なのはどれか。

 

  1. 「すぐに来院してください」
  2. 「破水したらもう一度電話をしてください」
  3. 「夫の帰宅を待って一緒に来院してください」
  4. 「1時間たっても陣痛が10分間隔なら来院してください」

 

 


 

▶午後47

その後Aさんは入院し、陣痛発来後8時間で、陣痛間欠5分、発作40秒となった。内診所見は、子宮口8cm開大、展退度80%、Station-1、子宮頸管の硬度は軟、子宮口の位置は前方であった。矢状縫合は第2斜径に一致、小泉門は10時方向、卵膜はなく、淡黄色の羊水の流出を確認した。胎児心拍数陣痛図の波形はレベル2。腰部痛を訴えている。
対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 散歩するよう促す。
  2. 仰臥位になるよう促す。
  3. 四つん這いの体位になるよう促す。
  4. 清潔なマットを敷き分娩介助の準備をする。
  5. 胎児心拍数陣痛モニタリングを3時間後に実施する。

 

 


 

次の文を読み48、49の問いに答えよ。

37歳の初産婦。妊娠経過は順調で、既往歴に特記すべきことはない。妊娠40週5日、自然に陣痛発来した。陣痛発来後20時間、内診所見で、子宮口全開大、展退度100%、Station+3。胎児心拍数陣痛図では、基線細変動の減少を伴う遷延一過性徐脈が出現した。その30分後、経腟分娩により3,320gの男児を出産した。児はApgar〈アプガー〉スコア1分後6点、5分後8点、臍帯動脈血pH7.18であった。

 

▶午後48

出血は、胎盤娩出前は特に多くなかったが、後血腫を伴う胎盤を娩出後も持続している。子宮収縮は良好である。
最も可能性が高いのはどれか。

 

  1. 頸管裂傷
  2. 子宮破裂
  3. 弛緩出血
  4. 常位胎盤早期剝離

 

 


 

▶午後49

胎盤娩出後5分、褥婦は顔面蒼白で冷汗がみられた。総出血量は1,800mL。呼吸数20/分、脈拍120/分、血圧80/60mmHg。ショックインデックスは1.5であった。
対応で正しいのはどれか。

 

  1. 血液検査の結果を待って輸血の要否を判断する。
  2. 総出血量が2,000mLを超えたら輸血を開始する。
  3. 収縮期血圧が60mmHg以下になったら輸血を開始する。
  4. 直ちに輸血を開始する。

 

 


 

次の文を読み50~52の問いに答えよ。

在胎37週3日、体重2,890gで出生した児。羊水混濁があり、出生直後に啼泣、四肢のチアノーゼ及び胎便がみられた。筋緊張は良好である。

 

▶午後50

最初に行う新生児への処置で適切なのはどれか。

 

  1. 皮膚の羊水を乾いたタオルで拭き取る。
  2. 母親の胸に直接新生児を抱かせる。
  3. 口鼻腔吸引を行う。
  4. 皮膚刺激を行う。

 

 


 

▶午後51

生後2日。新生児室のコットにいる児の体温測定を行った。皮膚温38.0℃、直腸温37.4℃であった。全身の皮膚色は良好。
対応で適切なのはどれか。

 

  1. CRP測定
  2. クベース収容
  3. 解熱薬の与薬
  4. 衣類や掛け物の調節
  5. 呼吸心拍モニター装着

 

 


 

▶午後52

生後30日、1か月児健康診査に来院した。本日の体重は4,150g、母乳栄養である。児は生後7日に退院し、体重は2,790gであった。
母親の児に関する訴えのうち、医師の診察を必要とするのはどれか。

 

  1. 「赤ちゃんのおっぱいから白い液が出ます」
  2. 「頭や眉のところにカサカサした固まったものがあります」
  3. 「授乳後、寝かせたら口の端からダラダラと母乳を出します」
  4. 「昨日から口の中に白いミルクかすのようなものがあって取れません」

 

 


 

次の文を読み53~55の問いに答えよ。

34歳の1回経産婦。妊娠18週まで喫煙していた。妊婦健康診査に来院しないことが2回あった。2012年10月、妊娠36週3日に「6時間ほど前から痛みを感じ、自宅で様子をみていたが、我慢できなくなった」と電話があり、助産師は来院を指示した。来院時、胎児心拍数陣痛図で心拍数60bpmの遷延一過性徐脈を認め、常位胎盤早期剝離の診断で緊急帝王切開術が行われた。児の体重は2,860g、Apgar〈アプガー〉スコアは1分後2点、5分後5点で、NICUに入院した。

 

▶午後53

8か月後、児は重度脳性麻痺の診断を受けた。母親は産科医療補償制度の申請をすることとした。
産科医療補償制度の申請可能時期として正しいのはどれか。

 

  1. 2014年の誕生日まで
  2. 2017年の誕生日まで
  3. 2019年の誕生日まで
  4. 2022年の誕生日まで

 

 


 

▶午後54

分娩した病院に産科医療補償制度の手続きのため来院した母親から「うちの子が脳性麻痺になった原因はこの制度で分かるのですか」と相談があった。
対応として最も適切なのはどれか。

 

  1. 「そのような質問にはお答えできないことになっています」
  2. 「補償するための制度で原因分析はしないのです」
  3. 「ご家族には原因分析の結果が伝えられます」
  4. 「原因分析の結果は公表されません」

 

 


 

▶午後55

この事例について産科医師と助産師がカンファレンスを開催した。今後の再発防止に向けて、妊婦への指導を徹底することになった。
強化する内容で最も適切なのはどれか。

 

  1. 禁煙指導を徹底する。
  2. 妊婦健康診査の定期的な受診を勧奨する。
  3. 分かりやすく切迫早産の症状を説明する。
  4. 気になる症状があるときはすぐに連絡するように説明する。

 

 


 

資料 厚生労働省「第100回保健師国家試験、第97回助産師国家試験、第103回看護師国家試験及び第103回看護師国家試験(追加試験)の問題および正答について

 

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

平成27年2月19日実施の第98回助産師国家試験の全問題と正答を掲載します。

 

また、内容に応じて衛生テキスト「国民衛生の動向2024/2025」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。

 

分野別解説付き問題まとめ

を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。

 

なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

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定価:2,970円(税込)

412頁・B5判

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▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

第98回助産師国家試験目次

 

 

第98回助産師国家試験・午前(55問)

 

▶午前1

Klinefelter〈クラインフェルター〉症候群で正しいのはどれか。

 

  1. 低身長がみられる。
  2. 先天性心疾患を伴う。
  3. X染色体のモノソミーが原因である。
  4. 2本以上のX染色体と1本以上のY染色体を有する。

 

 


 

▶午前2

Aさんは、外陰部に軽い掻痒感を伴う隆起性病変に気づいて受診し、尖圭コンジローマと診断された。
Aさんの治療で正しいのはどれか。

 

  1. 抗菌薬の服用
  2. ポビドンヨードによる消毒
  3. 副腎皮質ステロイドの塗布
  4. イミキモドクリームの塗布

 

 


 

▶午前3

新生児の帽状腱膜下血腫について正しいのはどれか。

 

  1. 骨膜下の出血である。
  2. 生後4、5日で発症する。
  3. 骨縫合を越えることはない。
  4. 出血性ショックの原因となる。

 

 


 

▶午前4

50歳の女性。夫と2人暮らし。更年期の健康教室終了後に「月経が不規則になりそろそろ生理が止まりそうで寂しい気がします。最近、これまでのように性欲がありません。妻としてこれでいいのかと思っています」と助産師に相談した。簡略更年期指数の得点は100点中23点であった。
最初の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. カウンセリングを勧める。
  2. 医療機関の受診を勧める。
  3. 健康的なライフスタイルについて指導する。
  4. 女性としての自己イメージについて確認する。

 

 


 

▶午前5

Dubowitz法による新生児成熟度の評価において成熟度が高いのはどれか。

 

  1. 耳介が平坦である。
  2. 乳腺線維を触れない。
  3. 皮膚の血管が見えない。
  4. 足底のしわがない。

 

 


 

▶午前6

自然流産について正しいのはどれか。

 

  1. 高齢妊婦では頻度が上昇する。
  2. 妊娠12週以降に生じやすい。
  3. 最も多い原因は感染である。
  4. 全妊婦の約5%に生じる。

 

 


 

▶午前7

妊娠36週0日の妊婦健康診査で胎児発育不全〈FGR〉が認められた。
経腹超音波検査による胎児の状態評価において、胎内環境が不良であることを示唆するのはどれか。

 

  1. 手掌の開閉動作がある。
  2. 羊水ポケットが5cmである。
  3. 臍帯動脈血流が逆流している。
  4. 呼吸様運動が30分間に2回ある。

 

 


 

▶午前8

思春期の子どもがいる親を対象に「思春期の子どもとの関わり方を考える」をテーマに、15人定員の参加型の小集団健康教室を計画した。
教室の運営で最も適切なのはどれか。

 

  1. 講師による講義形式で行う。
  2. 教室の運営は参加者に任せる。
  3. 親の年齢によってグループに分ける。
  4. 参加者の顔が見えるようにサークル型に椅子を置く。

 

 


 

▶午前9

妊産婦へのB群溶連菌〈GBS〉の検査と対応について正しいのはどれか。

 

  1. 検査部位は咽頭である。
  2. 検査時期は妊娠16週未満である。
  3. 検査は母体敗血症の予防のために実施する。
  4. 保菌者にはペニシリン系抗菌薬の投与が行われる。

 

 


 

▶午前10

30歳の初妊婦。妊娠23週5日。妊娠経過は良好。1年前から正規雇用の職員として働いている。「妊婦健康診査は有給休暇をとって受診していました。今後は妊婦健康診査の回数が増えたり、出産後も子どものことで仕事を休む機会が増えると思うのでどのような制度があるか聞きたい」と言う。
この妊婦への情報提供として正しいのはどれか。

 

  1. 「妊婦健康診査の受診に必要な時間を確保するための休暇の申請ができます」
  2. 「産後休暇の後に育児休業が1年とれます」
  3. 「看護休暇は1年に20日が限度です」
  4. 「子どもが小学生になるまで短時間勤務が可能です」

 

 


 

▶午前11

児娩出時の体幹の把持方法の写真を別に示す。
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適切なのはどれか。

 

 

 


 

▶午前12

36歳の初産婦。妊娠40週2日。午前11時25分に女児を娩出し、午前11時35分に胎盤を娩出した。胎盤娩出後の子宮底の高さは臍下2横指、硬式テニスボール様の硬さであった。出血が持続し、出血量は800mL。腟鏡診で、頸管9時方向に裂傷が認められた。
この時点で助産師がまず行う処置はどれか。

 

  1. 子宮双手圧迫法
  2. 子宮底輪状マッサージ法
  3. 麦角アルカロイドの準備
  4. ガーゼの腟内充填による圧迫

 

 


 

▶午前13

産褥4日の褥婦のバイタルサインで正常から逸脱しているのはどれか。

 

  1. 体温38.0℃
  2. 呼吸数20/分
  3. 脈拍60/分、整
  4. 血圧136/80mmHg

 

 


 

▶午前14

乳腺炎の褥婦に対する指導で正しいのはどれか。

 

  1. 搾乳しない。
  2. 乳房を温める。
  3. 授乳を継続する。
  4. 高エネルギー食を摂る。

 

 


 

▶午前15

Aさん(29歳、経産婦)。妊娠36週0日で胎児機能不全のため緊急帝王切開を受け2,320gの男児を出産した。児は一過性多呼吸〈TTN〉のためNICUに入院した。産褥1日、助産師は午前9時にAさんを訪室した。Aさんは「私の子は元気ですか、心配です。今すぐに子どもに会いたい。午後の面会時間に来る上の子や夫に状況を話したい」と訴えた。
Aさんへの説明で適切なのはどれか。

 

  1. 「午後の面会時間まで待ちましょう」
  2. 「一過性多呼吸は心配のない病気です」
  3. 「赤ちゃんに早めに会えるよう調整してみます」
  4. 「お母さんも赤ちゃんも元気になったら会いに行きましょう」

 

 


 

▶午前16

正常新生児の呼吸器系の特徴について正しいのはどれか。

 

  1. 口呼吸である。
  2. 胸式呼吸を主体とする。
  3. シーソー呼吸がみられる。
  4. 軽度の鼻閉音が聞かれる。

 

 


 

▶午前17

妊娠41週2日の1回経産婦。分娩時の胎児心拍数陣痛図でレベル5の異常波形が出現し、血管確保を行い、吸引分娩で出産した。児の体重は2,600g。Apgar〈アプガー〉スコアは1分後7点、5分後9点。分娩第3期までの出血量は400mL、分娩後2時間の出血量は50mL。産婦は初回歩行を行い、気分不快はなかった。児の状態は良好であった。
このときの対応で適切なのはどれか。

 

  1. 輸液を継続して行う。
  2. 母児同室で経過をみる。
  3. 児を保育器で観察する。
  4. 分娩後8時間まで安静にするよう説明する。

 

 


 

▶午前18

在胎28週0日、体重1,200gで緊急帝王切開により出生した男児。Apgar〈アプガー〉スコアは1分後3点で、気管内挿管後にNICUに入院し、呼吸窮迫症候群〈RDS〉と診断された。肺サーファクタント補充療法後、人工呼吸管理を開始し、いったん呼吸状態は安定した。2時間後に突然、児は徐脈になり、皮膚色が蒼白になった。
急変の原因として最も考えられるのはどれか。

 

  1. 無気肺
  2. 緊張性気胸
  3. 気管支肺異形成
  4. 脳室周囲白質軟化症

 

 


 

▶午前19

乳幼児期における事故を予防するための方法で最も適切なのはどれか。

 

  1. 車に乗るときは親が抱く。
  2. おもちゃはデザインで選ぶ。
  3. 子どもを1人で家に残さない。
  4. 風呂の残り湯は浴槽の底から10cm以下とする。

 

 


 

▶午前20

4か月児健康診査に来所した母児。児の計測時、大腿部につねったようなあざがみられた。児の表情は乏しく笑顔が見られない。母親は人目を気にするようにして落ち着きがなく、計測が終わると助産師から児を取り上げるようにした。児の体重は出生時2,300g、生後1か月3,100gと母子健康手帳に記載があり、本日は4,000gであった。体温37.2℃、呼吸数34/分、脈拍110/分。定頸している。オムツかぶれはない。
児のアセスメントで最も適切なのはどれか。

 

  1. 発育は正常である。
  2. 運動発達に異常がある。
  3. 被虐待児の可能性がある。
  4. バイタルサインは正常から逸脱している。

 

 


 

▶午前21

18歳の女性。未婚。無職。パートナーはいるが、経済的支援を受けられない。両親の所在は不明。腹痛の訴えがあり救急車で病院に搬送された。診察の結果、妊娠37週相当と診断され、胎児心拍数モニタリングを行い、胎児のwell-beingは良好であった。子宮口は8cm開大している。女性は「妊娠していると思わなかった。自分では育てられない」と言う。
この時点で連携をとる施設はどれか。

 

  1. 乳児院
  2. 助産施設
  3. 母子生活支援施設
  4. 市町村保健センター

 

 


 

▶午前22

養育医療について正しいのはどれか。

 

  1. 保護者が申請する。
  2. 申請先は都道府県である。
  3. 入院しない児も対象となる。
  4. 児童福祉法に基づく制度である。

 

 


 

▶午前23

Aさん(35歳、初産婦)。妊娠38週3日、3,600gの女児を正常分娩した。分娩時、会陰裂傷第3度と腟壁裂傷とがあり縫合術が施行された。Aさんから「私の分娩には健康保険が使えますか」と質問があった。
助産師の説明で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「裂傷の大きさによって異なります」
  2. 「帝王切開以外は使えません」
  3. 「縫合の処置料は使えます」
  4. 「分娩介助料は使えます」

 

 


 

▶午前24

病院の助産師外来に通院している妊婦が助産所での分娩を希望した場合、助産所に転院可能なのはどれか。

 

  1. 合併している糖尿病の血糖コントロールは良好である。
  2. 先天性心疾患を有する児の分娩歴がある。
  3. 不妊治療後、順調に経過している。
  4. 身長145cmである。

 

 


 

▶午前25改題

31歳の初妊婦。妊娠30週0日、双胎妊娠。小学校の教員。
この妊婦へ支給される出産育児一時金で正しいのはどれか。

 

  1. 50万円である。
  2. 所得制限がある。
  3. 2人分支給される。
  4. 出産前から受け取ることができる。

 

 


 

▶午前26

30歳の初産婦。妊娠38週3日、3,020gの女児を正常分娩した。産褥4日、経過は順調で退院指導のために児を新生児室に預けていた。児の状態は良好である。午後1時、地震が発生し避難することになった。
危険を防止するために新生児を避難させる方法として最も適切なのはどれか。

 

  1. 母親が抱く。
  2. 助産師が抱く。
  3. コットを使用する。
  4. 最も近くにいる人が抱く。

 

 


 

▶午前27

母体血を用いた非侵襲的出生前遺伝学的検査〈NIPT〉について正しいのはどれか。

 

  1. 妊娠9週未満で行う。
  2. 確定的な検査ではない。
  3. 母体血中のホルモン値に基づいて判定される。
  4. 陽性であれば直ちに人工妊娠中絶の対象となる。
  5. Turner〈ターナー〉症候群の診断を目的としている。

 

 


 

▶午前28

マイナートラブルとして胸やけを訴える妊婦への保健指導で適切なのはどれか。

 

  1. 水分の摂取を制限する。
  2. 頻回にうがいするように勧める。
  3. 乳製品を多く摂取するように勧める。
  4. コーヒーを過剰に摂取しないように注意する。
  5. ビタミンAを過剰に摂取しないように注意する。

 

 


 

▶午前29

在胎38週0日、1,850gで出生した女児。外表奇形として、小下顎、耳介低位、後頭部の突出、手指の重なり及び揺り椅子状の足底が認められた。
最も考えられるのはどれか。

 

  1. ネコ鳴き症候群
  2. 13トリソミー
  3. 18トリソミー
  4. 21トリソミー
  5. Turner〈ターナー〉症候群

 

 


 

▶午前30

30歳の初産婦。産褥4日。子宮底の高さは臍下3横指、硬度は良好で、授乳後に血性悪露がみられる。Hb11.6g/dL。下肢に軽度の浮腫を認める。乳房は軽度緊満で、乳管口の開口数は左右6本ずつである。食事は摂れているが、分娩後に排便がなく腹部膨満感がある。
ケアの優先度が高いのはどれか。

 

  1. 子宮復古状態
  2. 貧血の状態
  3. 浮腫の状態
  4. 乳房の状態
  5. 排便の状態

 

 


 

▶午前31

18歳の初産婦。妊娠40週0日で正常分娩した。産褥3日、訪室すると啼泣している児のそばでテレビを観ている。児の寝衣は汚れている。母乳分泌は良好で3時間ごとに授乳を行っているが「眠たいので子どもの世話は面倒だ」と言う。
適切な声かけはどれか。

 

  1. 「人工乳を足しましょう」
  2. 「母親の自覚を持ちなさい」
  3. 「赤ちゃんがかわいそうですよ」
  4. 「授乳間隔を延ばして休みましょう」
  5. 「一緒に赤ちゃんの着替えをしましょう」

 

 


 

▶午前32

糖尿病合併妊娠について正しいのはどれか。

 

  1. 経口血糖降下薬が治療の第一選択である。
  2. 妊娠中は糖尿病網膜症が悪化する危険性は低い。
  3. 胎児の先天奇形の発生率は妊娠初期の血糖値と関係しない。
  4. 妊娠中は食後2時間の血糖値120mg/dL以下を目標とする。
  5. 産褥期にはインスリンの必要量は増加する。

 

 


 

▶午前33

在胎37週3日、体重2,800gで出生した女児。生後30日に1か月児健康診査のため来院した。母乳栄養を行っており、この日の体重は3,600g。先天性代謝異常検査は全項目正常だが、母親は生後1か月になっても児の黄疸が遷延していることを気にしている。児の便の写真を別に示す。
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この母親に対する黄疸の説明で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「先天性甲状腺機能低下症の疑いがあります」
  2. 「体重増加不良により黄疸が長引いています」
  3. 「入院して光線療法を行う必要があります」
  4. 「母乳性黄疸であり、心配はいりません」
  5. 「直ちに黄疸の詳しい検査が必要です」

 

 


 

▶午前34

女性生殖器の外性器はどれか。2つ選べ。

 

  1. 陰核
  2. 処女膜
  3. 子宮
  4. 卵管

 

 


 

▶午前35

最終月経の開始から6週3日。尿検査で妊娠反応陽性を確認後2週が経過しているが、胎嚢が子宮内に確認できない。性器出血はない。
次に行う検査で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 子宮卵管造影
  2. 尿蛋白量の測定
  3. 腟分泌物の細菌培養
  4. 内診による付属器周辺の圧痛の確認
  5. 血中ヒト絨毛性ゴナドトロピン〈hCG〉の測定

 

 


 

▶午前36

臨床的絨毛膜羊膜炎の診断基準に当てはまるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 羊水の混濁
  2. 子宮の圧痛
  3. 母体脈拍80/分
  4. 腟分泌物の増加
  5. 母体体温38.3℃

 

 


 

▶午前37

切迫子宮破裂で特徴的にみられるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 嘔吐
  2. 浮腫
  3. 過強陣痛
  4. 不穏状態
  5. 母体の徐脈

 

 


 

▶午前38

産褥期の肺塞栓症のリスク因子となるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 分娩誘発
  2. 前期破水
  3. 精神的な興奮
  4. 飲水量の制限
  5. 妊娠高血圧症候群

 

 


 

▶午前39

新生児の呼吸窮迫症候群〈RDS〉について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 肺胞の表面張力は低下している。
  2. 糖尿病合併妊娠では発症頻度が上昇する。
  3. 破水後時間が経つと発症頻度は上昇する。
  4. マイクロバブルテストは診断に有用である。
  5. 酸素管理は動脈血酸素分圧〈PaO2〉を100Torr以上に保つ。

 

 


 

▶午前40

保健師助産師看護師法施行規則に規定されている助産録の記載事項はどれか。2つ選べ。

 

  1. 妊娠高血圧症候群の妊婦の治療方針
  2. 産婦の配偶者の職業
  3. 保健指導の要領
  4. 産婦の性格
  5. 分娩経過

 

 


 

次の文を読み41〜43の問いに答えよ。

在胎30週3日、正常分娩で出生した男児。出生体重1,250g、身長38cm。出生直後に啼泣あり、羊水混濁はなかった。小児科医の蘇生処置後、直ちにNICUに入院した。保育器に収容され、体温36.1℃、呼吸数40/分、心拍数160/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(保育器内酸素濃度25%)であった。

 

▶午前41

入院時の適切なケアはどれか。

 

  1. 人工換気を開始する。
  2. 頸部を前屈位に保持する。
  3. 直ちに糖水を経口投与する。
  4. 保育器内の設定温度を30℃にする。

 

 


 

▶午前42

生後12時間で周期性呼吸と左鎖骨下に心雑音が認められた。体温37.0℃、呼吸数52/分、心拍数180/分、血圧48/18mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%(保育器内酸素濃度25%)。
最も考えられる合併症はどれか。

 

  1. 未熟児無呼吸発作
  2. 未熟児動脈管開存症
  3. 一過性多呼吸〈TTN〉
  4. 呼吸窮迫症候群〈RDS〉

 

 


 

▶午前43

生後70日。修正週数40週、体重は2,150gとなり、近く退院予定である。助産師は母親から「退院後、感染に対してどのように気をつければよいでしょうか」と相談を受けた。
最も適切な対応はどれか。

 

  1. RSウイルス感染症の予防接種について話す。
  2. 退院後、半年間は受診時以外に外出をしないように話す。
  3. 早産児は一般の乳児よりも感染に対する抵抗力が高いと話す。
  4. 退院日から3か月以降に定期の予防接種を開始するように話す。

 

 


 

次の文を読み44〜46の問いに答えよ。

Aさん(38歳、初産婦)。分娩後7か月、母乳育児をしている。避妊法に関する相談で受診し経口避妊薬を開始したいという。身長160cm、体重68㎏。産褥3日に高血圧に対して降圧薬が処方され1か月内服した。現在は内服していない。1日20本喫煙している。

 

▶午前44

助産師は、このままでは経口避妊薬の内服は禁忌であると判断した。
判断した理由で正しいのはどれか。

 

  1. 肥満
  2. 喫煙
  3. 母乳育児中
  4. 分娩からの期間
  5. 降圧薬内服の既往

 

 


 

▶午前45

Aさんは「現在、コンドームで避妊している。夫は避妊にあまり協力的ではない。来月から仕事に復帰するので、今は妊娠したくない」と言う。
この場合、検討すべき避妊方法で適切なのはどれか。

 

  1. 基礎体温法
  2. 精管切除結紮術
  3. 子宮内避妊器具〈IUD〉
  4. コンドームの使用の継続

 

 


 

▶午前46

Aさんは「今の子どもが小学生になってから次の妊娠をしようと思っています」と話した。
説明すべき内容で最も適切なのはどれか。

 

  1. 妊孕力
  2. 各避妊法の失敗率
  3. 人工妊娠中絶の弊害
  4. 男性と女性の身体の仕組み

 

 


 

次の文を読み47〜49の問いに答えよ。

Aさん(33歳、初産婦)。妊娠36週3日。散歩中にサラサラと流れる出血があり、月経痛よりも強い持続的な下腹部痛を感じた。胎動は自覚しているが心配になり、Aさんは受診している病院に電話した。夫は自宅から1時間程度の場所にある職場で勤務中のため不在であった。

 

▶午前47

この時点での対応で適切なのはどれか。

 

  1. 「直ちに来院してください」
  2. 「夫が帰宅してから一緒に来院してください」
  3. 「入院に必要な物品を整えてから来院してください」
  4. 「しばらく様子を見て腹痛が持続しているなら来院してください」

 

 


 

▶午前48

来院時、Aさんは腹部の痛みを訴え苦悶様の表情をしている。子宮は持続的に固く触れる。体温36.8℃、呼吸数15/分、脈拍95/分、血圧130/80mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉100%。内診所見は、子宮口2cm開大、展退度40%、Station-2、第1頭位、未破水。子宮口から持続的な血性の液体流出を認める。このときの胎児心拍数陣痛図を別に示す。
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胎児心拍数陣痛図で認める所見はどれか。

 

  1. 基線細変動の亢進
  2. 胎児心拍数基線の低下
  3. 遅発一過性徐脈
  4. 変動一過性徐脈
  5. 早発一過性徐脈

 

 


 

▶午前49

胎児心拍数陣痛図を確認した後の対応として適切なのはどれか。

 

  1. 歩行を促す。
  2. 帝王切開の準備を進める。
  3. 降圧薬の点滴静脈内注射を準備する。
  4. オキシトシン点滴静脈内注射を準備する。
  5. 胎児心拍数陣痛モニタリングを中止する。

 

 


 

次の文を読み50〜52の問いに答えよ。

Aさん(38歳、1回経産婦)。Aさんは第1子を3年前に病院で正常分娩し、現在の健康状態は良好である。妊娠が判明し、今回は助産所での出産を希望して妊婦健康診査を受けている。妊娠経過は順調である。

 

▶午前50

妊娠30週0日。Aさんは「上の子どもを出産に立ち会わせたいと思っています。でも、夫は子どもがショックを受けるのではないかと心配しています」と話した。
このときのAさんへの説明で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「上の子の気持ちを大切にしましょう」
  2. 「子どもの立ち会いはやめた方がよいです」
  3. 「母親であるAさんの希望を第一に考えてください」
  4. 「赤ちゃんが出てくるところを見せないようにしましょう」

 

 


 

▶午前51

妊娠39週3日。Aさんは、自然に陣痛発来し助産所に到着した。入院時の内診所見は、子宮口4cm開大、Station+1、第2頭位。4時間後に子宮口全開大し、四つん這いの姿勢で分娩することになった。その後、順調に経過し児頭が娩出した。
第4回旋で児が顔を向ける方向はどれか。

 

  1. 産婦の腹側
  2. 産婦の背側
  3. 産婦の右方向
  4. 産婦の左方向

 

 


 

▶午前52

Aさんは、3,480gの女児を正常分娩で出産した。会陰裂傷第1度であったが縫合はしていない。産褥1日、Aさんは「お産のときに痔が出てしまいました。トイレで戻そうとしたのですが、痛くて触れません。妊娠中からありました。授乳で座っているのもつらいです」と話した。Aさんの脱肛は2cm×2cmの大きさで、腫脹がみられた。
Aさんへの対応で適切なのはどれか。

 

  1. 円座を利用するよう勧める。
  2. 授乳以外は横になるよう勧める。
  3. 肛門部に冷罨法を行うよう勧める。
  4. 臥床時は下肢を挙上するよう話す。
  5. 骨盤底筋訓練を実施するよう説明する。

 

 


 

次の文を読み53〜55の問いに答えよ。

Aさん(29歳、1回経産婦)。前回の出産は2年前であり、妊娠経過は順調で、微弱陣痛のため子宮収縮薬を使用し病院で正常分娩した。今回妊娠が判明し、妊娠18週0日に自宅での出産を希望して自宅分娩を扱う開業助産師を受診した。開業助産師は近隣の助産師と協力体制をとっている。

 

▶午前53

Aさんと初めて会った際の助産師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 自宅分娩の分娩費用を説明する。
  2. 自宅分娩の申し込みの手続きを行う。
  3. 自宅分娩を希望したことを称賛する。
  4. 自宅分娩には家族の理解が必要であることを説明する。

 

 


 

▶午前54

Aさんは、夫と子どもとの3人暮らし。自宅はマンションの4階で間取りは2LDKである。夫は会社員で育児には協力的である。
自宅分娩のために助産師が行う事前準備で適切なのはどれか。

 

  1. 助産師が待機する部屋を準備するようAさんに依頼する。
  2. 助産師が到着するまで何もしないように夫に説明する。
  3. 分娩時は子どもを預けるようにAさんに説明する。
  4. 分娩時の協力を近隣の助産師に依頼する。

 

 


 

▶午前55

妊娠39週5日。午前7時に陣痛が発来し、助産師がAさんの自宅に午前7時30分に到着した。到着時の内診所見は、子宮口6cm開大、展退度80%、Station+1。軽い努責感がある。胎児心拍数陣痛図で、胎児心拍数基線130bpm、30分前から陣痛発作に伴い最下点100bpmの緩やかに下降する徐脈が出現し、20〜30秒で回復している。基線細変動は正常である。
この時点での助産師の対応として最も適切なのはどれか。

 

  1. Aさんに努責を促す。
  2. 嘱託医師に報告する。
  3. そのまま経過観察する。
  4. 急いで新生児蘇生の準備をする。

 

 

 

第98回助産師国家試験・午後(55問)

 

▶午後1

授乳期における喫煙によるニコチンの影響について正しいのはどれか。

 

  1. 射乳反射を亢進させる。
  2. 母乳中には移行しない。
  3. 母乳の分泌を抑制する。
  4. 母乳中の脂肪含有量を増加させる。

 

 


 

▶午後2

風邪の症状があり、市販の総合感冒薬を内服した母乳育児中の母親から授乳について質問があった。総合感冒薬の主成分はアセトアミノフェンであることを確認した。
対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「人工乳に切り替えましょう」
  2. 「搾乳して母乳を与えましょう」
  3. 「直接授乳を中止する必要はありません」
  4. 「冷凍した母乳を解凍して与えましょう」

 

 


 

▶午後3

高プロラクチン血症に伴う無月経の原因となるのはどれか。

 

  1. 体重減少
  2. 下垂体の腫瘍
  3. 分娩時大量出血
  4. ドパミン受容体刺激薬の内服

 

 


 

▶午後4

更年期の期間で適切なのはどれか。

 

  1. 閉経の前後3か月
  2. 閉経の前後1年
  3. 閉経の前後2年
  4. 閉経の前後5年

 

 


 

▶午後5

臍帯について正しいのはどれか。

 

  1. 臍帯の表面は絨毛膜からなる。
  2. 臍帯動脈は臍帯静脈よりも太い。
  3. 2本の臍帯静脈と1本の臍帯動脈がある。
  4. 酸素分圧は臍帯動脈血よりも臍帯静脈血で高い。

 

 


 

▶午後6

正常に経過している褥婦の産褥3日における変化で正しいのはどれか。

 

  1. 尿量が減少する。
  2. 尿蛋白が検出される。
  3. 血清鉄は正常範囲となる。
  4. 血中にヒト胎盤性ラクトゲン〈hPL〉が検出されない。

 

 


 

▶午後7

正常な分娩の進行について正しいのはどれか。

 

  1. 第1回旋では児背の位置が変化する。
  2. 第2回旋では小泉門が母体の背側に近づく。
  3. 第3回旋では児頭が後屈する。
  4. 第4回旋では肩甲が長軸方向で180度回転する。

 

 


 

▶午後8

出生時の体重と身長が在胎週数相当の10パーセンタイル未満である児を表すのはどれか。

 

  1. 後期早産児
  2. 極低出生体重児
  3. 超低出生体重児
  4. 不当軽量児〈SGA〉

 

 


 

▶午後9

妊娠高血圧腎症で重症と判定される尿蛋白定量の基準値はどれか。

 

  1. 300mg/日以上
  2. 1g/日以上
  3. 2g/日以上
  4. 5g/日以上

 

 


 

▶午後10

32歳の初産婦。妊娠28週0日で原因不明の死産となった。死産の翌日、褥婦は「私が何かいけないことをしたのでしょうか。赤ちゃんの世話を楽しみにしていたのに」と自分を責める言葉がみられた。
この褥婦への入院中のグリーフケアで最も適切なのはどれか。

 

  1. 「次の妊娠に期待しましょう」
  2. 「一緒に赤ちゃんに洋服を着せてあげましょう」
  3. 「妊娠中のあなたの行動を振り返ってみましょう」
  4. 「死産のことは誰にも話さないようにしましょう」

 

 


 

▶午後11

分娩第2期の産痛について正しいのはどれか。

 

  1. 腰背部の痛みが増強する。
  2. 外陰部の伸展圧迫に伴い強くなる。
  3. 陣痛間欠時に呼吸に集中することで緩和される。
  4. 第10〜12胸神経および第1腰神経へ伝達される。

 

 


 

▶午後12

妊娠40週0日の初産婦。3,700gの児を正常分娩した。分娩所要時間5時間30分。会陰裂傷第3度。分娩時出血量600mLで、麦角アルカロイドを使用した。分娩後4時間経過し、排尿を促した。子宮底の高さは臍下2横指、子宮は硬く触れる。排尿時痛、下腹部痛および創部の拍動痛を訴えた。
最も疑われるのはどれか。

 

  1. 胎盤遺残
  2. 外陰部血腫
  3. 尿路感染症
  4. 子宮復古不全

 

 


 

▶午後13

産後うつ病で正しいのはどれか。

 

  1. 再発は5%以下である。
  2. 一過性の気分の変調である。
  3. 産後6か月ころに発症しやすい。
  4. 抑うつ気分が2週以上持続する。

 

 


 

▶午後14

34歳の初産婦。妊娠41週1日。妊婦健康診査のため妊娠16週から受診している助産所に来所した。身長152cm、体重56kg(非妊時体重46kg)。血圧122/88mmHg。尿蛋白(±)、尿糖(±)。妊娠経過で特記すべきことはない。
このときの対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 医療機関へ入院を勧める。
  2. 過期産となることを説明する。
  3. 次回の受診を1週後にする。
  4. 連携する産婦人科医に相談する。

 

 


 

▶午後15

新生児の身体を構成する水分の割合について正しいのはどれか。

 

  1. 体重当たりの割合は成人より小さい。
  2. 成長に伴い細胞内の割合は小さくなる。
  3. 細胞内の割合より細胞外の割合が大きい。
  4. 早産児は正期産児より体重当たりの割合が小さい。

 

 


 

▶午後16

出生後にみられる新生児の循環動態の変化について正しいのはどれか。

 

  1. 右房圧は左房圧よりも高くなる。
  2. 肺動脈圧は大動脈圧よりも高くなる。
  3. 出生後、速やかに肺血管抵抗は上昇する。
  4. 動脈血酸素分圧〈PaO2〉の上昇により動脈管は収縮する。

 

 


 

▶午後17

2か月児と2歳児の母親。母親は上の子どもへの対応について助産師に相談した。「最近は勝手に赤ちゃんのオムツを替えたりします。無理に赤ちゃんの足を持ち上げるなど危ないことがあります。やめるように言うと暴れるようにして泣き、手がつけられません。どうしたらよいでしょうか」と言う。
母親への助言で最も適切なのはどれか。

 

  1. 一緒にオムツ交換をする。
  2. 乳児のいる部屋に入れない。
  3. オムツ交換時に遊びを与える。
  4. 母親の言うことをきくように言い聞かせる。

 

 


 

▶午後18

1歳6か月児で継続的なフォローが必要な状態はどれか。

 

  1. なぐり書きをする。
  2. 一人歩きができない。
  3. 上着を脱ぐことができない。
  4. 2語文を話すことができない。

 

 


 

▶午後19

母子健康手帳の交付について正しいのはどれか。

 

  1. 妊娠12週以降に交付される。
  2. 双胎の場合には2冊交付される。
  3. 交付には妊娠の診断書が必要である。
  4. 交付の代理申請は認められていない。

 

 


 

▶午後20

助産所の管理者に義務付けられているのはどれか。

 

  1. 産科医療補償制度への加入
  2. 助産師免許の助産所内での掲示
  3. 医療安全支援センターへの開設の届出
  4. 職員に対する医療に係る安全管理のための研修の実施

 

 


 

▶午後21

思春期の女子を対象とした外来を週1回行うことになり、担当医師と助産師のチーム3人で事前に検討した。
外来の運営方法について最も適切なのはどれか。

 

  1. 診察時間は平日の午前に設定する。
  2. 診察後の指導は保護者同伴とする。
  3. 待合室は成人女性の外来と別にする。
  4. 外来は毎回異なる助産師が担当する。

 

 


 

▶午後22

産科医療補償制度について正しいのはどれか。

 

  1. 補償を申請できるのは児の主治医である。
  2. 補償を申請できるのは5歳の誕生日までである。
  3. 補償を申請できるのは生後3か月の時点からである。
  4. 障害の原因が染色体異常であると判断された児も補償対象となる。

 

 


 

▶午後23

32歳の初妊婦。妊娠37週5日の胎児心拍数陣痛図で、胎児心拍数基線125bpm、基線細変動は消失し、高度変動一過性徐脈が確認された。
この胎児心拍数陣痛図の波形レベルはどれか。

 

  1. レベル1
  2. レベル2
  3. レベル3
  4. レベル4
  5. レベル5

 

 


 

▶午後24

前回の分娩で子宮内反症を起こした経産婦。今回の妊娠経過は順調で、正常な経過で児を娩出した。
児娩出後の胎盤娩出のための対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 臍帯を牽引する。
  2. 子宮底を圧迫する。
  3. 胎盤を用手剥離する。
  4. 子宮底を輪状マッサージする。
  5. 胎盤剥離徴候がみられるまで待つ。

 

 


 

▶午後25

分娩後48時間。突然、褥婦に多量の性器出血を認めた。
原因として考えられるのはどれか。

 

  1. 子宮破裂
  2. 頸管裂傷
  3. 腟壁血腫
  4. 血栓性静脈炎
  5. 卵膜・胎盤遺残

 

 


 

▶午後26

更年期障害に対するホルモン補充療法で最も治療効果が得られやすいのはどれか。

 

  1. ほてり
  2. 尿漏れ
  3. 肩こり
  4. 皮膚の乾燥
  5. 骨量の減少

 

 


 

▶午後27

手技の実施によって子宮胎盤循環が悪化し、胎児の低酸素状態を急激に悪化させる危険性が指摘されているのはどれか。

 

  1. 吸引分娩
  2. 鉗子分娩
  3. 子宮底圧迫法
  4. Bracht〈ブラハト〉法
  5. Veit-Smellie〈ファイト・スメリー〉法

 

 


 

▶午後28

正期産で出生した児の生後12時間の所見で、直ちに小児科医に報告する必要があるのはどれか。

 

  1. 排尿がみられない。
  2. 排便がみられない。
  3. 羊水様の嘔吐が数回みられる。
  4. 股関節に開排の制限がみられる。
  5. 出生時から頭部全体が膨隆してきている。

 

 


 

▶午後29

医療法に基づき、有床助産所の構造設備について基準が定められているのはどれか。

 

  1. 保育器
  2. 分娩室の床面積
  3. 入所する妊産婦用の食堂
  4. 洗浄機能の付いたトイレ
  5. 子ども用のプレイルーム

 

 


 

▶午後30

Müller〈ミュラー〉管から形成される臓器はどれか。2つ選べ。

 

  1. 子宮
  2. 卵管
  3. 卵巣
  4. 精管
  5. 精巣

 

 


 

▶午後31

常位胎盤早期剥離を示唆する所見はどれか。2つ選べ。

 

  1. 単一臍帯動脈
  2. 胎盤母体面の凝血塊の付着
  3. 胎盤実質内の石灰沈着
  4. 胎盤実質内の梗塞
  5. 血性羊水

 

 


 

▶午後32

子宮筋腫合併妊娠で起こりやすいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 早産
  2. 耐糖能異常
  3. 細菌性腟炎
  4. HELLP症候群
  5. 胎盤の位置異常

 

 


 

▶午後33

新生児の体温について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 褐色脂肪組織で熱産生を行う。
  2. 成人に比べ輻射による熱喪失が小さい。
  3. 環境温度が低いと酸素消費量が小さくなる。
  4. 低体温は代謝性アルカローシスの原因となる。
  5. 出生直後に羊水を拭くことで熱喪失が予防できる。

 

 


 

▶午後34

在胎38週0日、体重2,800gで出生した児。蘇生の初期処置を終えたところ、あえぎ呼吸で心拍数は6秒間に9回であった。
新生児蘇生法ガイドライン2010に基づいて管理する場合、このときの処置で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. パルスオキシメータの装着
  2. フリーフローでの酸素投与
  3. バッグ・マスク換気
  4. アドレナリンの投与
  5. 胸骨圧迫

 

 


 

▶午後35改題

令和4年(2022年)の母子保健統計について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 出生数は過去20年で最低である。
  2. 自然死産率は人工死産率よりも高い。
  3. 妊産婦死亡数は100人を超えている。
  4. 人工妊娠中絶数は前年に比べ増加している。
  5. 第1子出生時の母の平均年齢は30歳を超えている。

 

 


 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。

Aさん(40歳、女性)。39歳のときに43歳の男性と結婚し、1年間基礎体温を記録して妊娠のタイミングをはかっていた。妊娠に至らなかったため、不妊症の検査を希望して来院した。

 

▶午後36

不妊症の検査を始めるときの指導で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「あなたの検査に夫の同意が必要です」
  2. 「42歳を超えたら治療をやめたほうがよいです」
  3. 「一度治療を始めたら途中で休んではいけません」
  4. 「高齢の妊娠では母体と胎児に異常が生じるリスクが高くなります」
  5. 「不妊期間が2年になるまで排卵日に合わせて性交渉を行いましょう」

 

 


 

▶午後37

Aさんの既往歴に特記すべきことはなく、理学的所見も正常である。基礎体温は二相性であった。2回目の受診時にAさんは「結婚してしばらくは排卵日に性交渉をもつようにしていましたが、夫が3か月くらい前から疲れているという理由で性交渉をもつことを拒否するようになりました。夫は容器に精液を採ることはできると言っています」と打ち明けた。
Aさんに勧める内容で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「あなたへの検査は中止しましょう」
  2. 「夫婦でカウンセリングを受けましょう」
  3. 「夫にもっと協力するよう話しましょう」
  4. 「夫が採取した精液を腟内に自己注入しましょう」

 

 


 

▶午後38

夫の精液検査を行ったところ、容器内に4.0mLの精液が採取されていたが、精液中に精子を全く認めなかった。射精感はあったという。1週後に再検査したが同様の結果であった。
Aさん夫婦に勧める内容で適切なのはどれか。

 

  1. 養子縁組をする。
  2. 精巣生検を受ける。
  3. 精子の提供者を探す。
  4. 受精卵の提供者を探す。

 

 


 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。

28歳の初産婦。妊娠39週5日。妊娠経過は順調であった。午後5時に陣痛発来し、午後8時に夫に付き添われて入院した。入院時、内診所見は子宮口3cm開大、展退度60%、Station-3、子宮頸管の硬度は中、子宮口の位置は中央、矢状縫合は横径に一致し、小泉門は9時の方向に触れ、未破水である。陣痛間欠5分、陣痛発作20〜30秒。胎児心拍数基線は145bpmであった。夫は産婦の様子をみて心配している。

 

▶午後39

入院時の助産診断で正しいのはどれか。

 

  1. 第1頭位である。
  2. 児頭最大径は骨盤𤄃部である。
  3. Bishop〈ビショップ〉スコアは9点である。
  4. Friedman〈フリードマン〉曲線の潜伏期である。

 

 


 

▶午後40

翌日午前8時40分の内診所見は、子宮口8cm開大、展退度90%、Station+1、子宮頸管の硬度は軟、子宮口の位置は前方、大泉門を1時方向に触れ、未破水である。陣痛間欠2分、陣痛発作60秒。体温37.2℃、呼吸数20/分、脈拍95/分、血圧160/100mmHg。上腹部痛を訴えている。頭痛や気分不快、手指の震えはない。濃縮尿がみられる。
このときの所見で直ちに対応が必要なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 血圧
  2. 脈拍数
  3. 呼吸数
  4. 濃縮尿
  5. 上腹部痛

 

 


 

▶午後41

午前10時の内診所見は、子宮口全開大、展退度100%、子宮頸管の硬度は軟、Station+3、大泉門が先進し0時方向にあり、産瘤が形成されている。陣痛間欠1分30秒〜2分、陣痛発作70〜80秒。5分前に自然破水し、羊水の混濁はなかった。陣痛間欠時の血圧は130/90mmHgであり、上腹部痛は消失した。陣痛発作時は上手に怒責を逃がす呼吸をしている。胎児心拍数陣痛図で早発一過性徐脈が認められる。陣痛発作時の産婦の表情を見た夫は助産師に「妻のあのようなつらい表情を見たのは初めてです」と戸惑った表情で言った。
このときの夫への対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「このくらいの痛みは普通です」
  2. 「一緒に呼吸をしてあげてください」
  3. 「帝王切開になる可能性が高いです」
  4. 「お疲れでしょうから、別室で待機してください」

 

 


 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。

32歳の初産婦。身長155cm、非妊時体重68kg、非妊時BMI28.3。妊娠12週0日、初診時の妊婦健康診査の血液検査データは、随時血糖85mg/dL、HbA1c5.5%であった。

 

▶午後42

妊娠33週0日。妊娠12週以降初めて病院を受診した。体重82kg。尿糖2+。子宮底長35cm。胎児推定体重は2,600g、羊水量は多めであった。
この時点での母児の状態について正しいのはどれか。

 

  1. 妊娠糖尿病である。
  2. 羊水検査が必要である。
  3. 耐糖能検査を行う必要がある。
  4. 胎児推定体重は正常範囲である。

 

 


 

▶午後43

妊娠39週4日。陣痛発来し午前4時に入院した。入院時、血圧135/82mmHg。尿蛋白(-)、尿糖2+。午前10時に自然破水し、午後5時に子宮口全開大となったが、微弱陣痛のためオキシトシン点滴静脈内注射による陣痛促進が行われた。午後10時46分、4,150gの女児を経腟分娩した。Apgar〈アプガー〉スコアは、1分後8点、5分後9点。午後10時52分に胎盤が娩出され、子宮内に遺残はなかったが、子宮底部は臍よりも高い位置に軟らかく触知された。腟口から持続的な出血が認められ、午後11時15分の時点で総出血量が1,400mLとなった。
出血量の増加に関係した可能性が高いのはどれか。

 

  1. 児の体重
  2. 破水の時期
  3. 母体の身長
  4. 母体の血圧

 

 


 

▶午後44

午後11時20分、性器出血が持続し総出血量1,800mLとなり、気分不快を訴えた後、名前の呼びかけに対する応答が困難となった。体温37.1℃、呼吸数25/分、脈拍130/分、血圧74/35mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%であった。
この時点での判断で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 輸血を準備する必要がある。
  2. 痛み止めの坐薬が必要である。
  3. 子宮収縮抑制薬の使用が必要である。
  4. 仰臥位低血圧症候群の可能性が高い。
  5. ショックインデックスは1.5を超えている。

 

 


 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。

Aさん(33歳、経産婦、銀行員)。妊娠28週0日。妊婦健康診査で、身長160cm、体重70kg(非妊時体重58kg)。血圧136/90mmHg。尿蛋白+、尿糖(-)。下肢に浮腫と静脈瘤は認めない。Hb11.5g/dL、Ht34%。胎児推定体重1,200g、AFI8.0、子宮頸管長35mmであった。前回の妊婦健康診査までは異常は指摘されていない。

 

▶午後45

この時点の母体のアセスメントで適切なのはどれか。

 

  1. 正常経過
  2. 切迫早産
  3. 妊娠貧血
  4. 妊娠高血圧症候群
  5. 胎児発育不全〈FGR〉

 

 


 

▶午後46

Aさんは「職場のストレスのために甘いものを食べ過ぎてしまい、急に体重が増えすぎたと反省しています」と話した。
Aさんに勧める摂取エネルギー量の計算式として適切なのはどれか。

 

  1. 20kcal×非妊時体重(kg)
  2. 30kcal×非妊時体重(kg)
  3. 30kcal×理想体重(kg)+100kcal
  4. 30kcal×理想体重(kg)+200kcal

 

 


 

▶午後47

Aさんは「できる限り仕事を続けたいと思っているのですが、1日中顧客の苦情を聞いている仕事なので、最近では夕方になると疲れて頭が痛くなります」と話した。助産師は母性健康管理指導事項連絡カードを発行した。
母性健康管理指導事項連絡カードを活用してAさんが申請できる措置はどれか。2つ選べ。

 

  1. 勤務時間の短縮
  2. 横になっての休息
  3. 週1回の妊婦健康診査
  4. 緊張を多く感じる作業の制限
  5. 同一姿勢を強制される作業の制限

 

 


 

次の文を読み48〜50の問いに答えよ。

Aさん(28歳、1回経産婦)。妊娠38週5日。午後1時に外陰部に液体の流出を感じ、おりものパッドが濡れていたため午後2時に来院した。今回の妊娠経過中に妊娠33週ころからくしゃみをすると尿漏れがしばしば生じていた。

 

▶午後48

尿漏れと破水の鑑別診断において最も適切な方法はどれか。

 

  1. 腟分泌物の細菌培養検査を行う。
  2. おりものパッドに流出した液体の量を計測する。
  3. 腟鏡診にて後腟円蓋に液体貯留があるかを確認する。
  4. BTB試験紙をおりものパッドに付けて色調の変化を確認する。

 

 


 

▶午後49

Aさんは破水と診断されて入院した。入院時の内診所見は、子宮口3cm開大、展退度50%、Station-2であった。午後5時に規則的な陣痛が出現して次第に増強した。午後9時に子宮口8cm開大、Station+1、小泉門が10時方向に触れた。Aさんは陣痛時につらそうな表情を浮かべている。体温37.2℃、脈拍80/分、血圧120/75mmHg。胎児心拍数陣痛図で、胎児心拍数基線は正常、子宮収縮のピークと一致する最下点90bpmで持続時間10秒の一過性徐脈が出現している。
午後9時の助産診断で正しいのはどれか。

 

  1. 正常経過
  2. 回旋異常
  3. 微弱陣痛
  4. 子宮内感染
  5. 児頭は骨盤内に未固定

 

 


 

▶午後50

午後10時、急速に児頭が下降し、午後10時10分に排臨となり、午後10時11分に児頭から肩甲まで娩出し、3,260gの男児を正常分娩した。Apgar〈アプガー〉スコアは、1分後7点、5分後9点であった。児娩出後1分に480gの胎盤を自然に娩出した。腟と会陰に裂傷が生じ、肛門括約筋に損傷があったが、直腸粘膜面には達していない。
このときの状態の判断として正しいのはどれか。

 

  1. 会陰裂傷第3度が生じている。
  2. 分娩後に便失禁が生じることはない。
  3. 胎盤の娩出時に裂傷が生じた可能性が高い。
  4. 肛門括約筋は縫合せず自然治癒を待つのが良い。

 

 


 

次の文を読み51〜53の問いに答えよ。

Aさん(35歳、初産婦)。妊娠41週0日。身長158cm、体重80kg(非妊時体重75kg)。午後7時に陣痛発来し、午後10時に入院した。現在は1時間前に比べて陣痛間欠が短縮したと自覚がある。胎児心拍数陣痛図はreassuring fetal statusであった。体温36.6℃、脈拍78/分、血圧134/80mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)。Seitz〈ザイツ〉法(±)。妊娠40週3日の妊婦健康診査で胎児推定体重3,800g、BPD9.7cm、AFI8.0であった。

 

▶午後51

入院時の助産診断で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 過期産である。
  2. 巨大児と推定される。
  3. 遷延分娩の可能性がある。
  4. 妊娠高血圧症候群である。
  5. 母児の健康状態は良好である。

 

 


 

▶午後52

分娩第2期になり2時間が経過し、微弱陣痛のためオキシトシン点滴静脈内注射が開始された。その後、順調に分娩が進行し、オキシトシン点滴静脈内注射の開始後30分に児頭まで娩出した。その後、前在肩甲娩出術を試みたが娩出しない。
このときの対応として正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 子宮底部を圧迫する。
  2. 強く児頭を牽引する。
  3. 恥骨上縁圧迫法を行う。
  4. オキシトシンを増量する。
  5. McRoberts〈マックロバーツ〉体位をとらせる。

 

 


 

▶午後53

4,032gで出生した男児。Apgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後9点。出生時に羊水混濁はなかった。
まず確認する児の異常はどれか。2つ選べ。

 

  1. 鎖骨骨折
  2. 腕神経叢麻痺
  3. 顔面神経麻痺
  4. 帽状腱膜下出血
  5. 胎便吸引症候群

 

 


 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。

Aさん(28歳、初産婦)。夫と2人暮らし。両親と姉とが近隣に住んでいる。夫は長距離トラックの運転手をしており、自宅に帰る時間は不規則である。妊娠24週2日、初めて妊婦健康診査を受診し、計画していない妊娠だと話した。その後、妊婦健康診査を3回受診し、妊娠38週0日に正常分娩した。入院中の母児の状態は良好であった。産後5日、産後の生活の手伝いが決まらないまま退院した。病院の助産師は、市町村保健センターに連絡し、依頼を受けた地域の助産師が産後8日に訪問した。

 

▶午後54

訪問すると「家事と育児は1人でしています。夜も授乳でゆっくり眠れていません」と言う。
最初の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 児童相談所に相談するよう説明する。
  2. 夫に育児を手伝ってもらうよう話す。
  3. 家事を手伝ってくれる者を確認する。
  4. 子育て中の親子が集うサークルを紹介する。

 

 


 

▶午後55

地域の助産師は、初回訪問で授乳方法を指導し、産後11日にAさんを再訪問した。児の体重は1日30g増加している。児の栄養は母乳栄養のみであった。児の抱き方はぎこちなく、オムツ交換に時間がかかっている。オムツ交換の回数を確認すると1日6回程度という。
このときの対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「育児を頑張っていますね」
  2. 「人工乳を足した方がいいですね」
  3. 「オムツ交換は手早く行いましょう」
  4. 「その抱き方では腱鞘炎になりますよ」

 

 


 

資料 厚生労働省「第101回保健師国家試験、第98回助産師国家試験、第104回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

平成28年2月17日実施の第99回助産師国家試験の全問題と正答を掲載します。

 

また、内容に応じて衛生テキスト「国民衛生の動向2024/2025」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。

 

分野別解説付き問題まとめ

を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。

 

なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

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定価:2,970円(税込)

412頁・B5判

雑誌コード:03854-08

 

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▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

第99回助産師国家試験目次

 

 

第99回助産師国家試験・午前(55問)

 

▶午前1

親性について正しいのはどれか。

 

  1. 養育行動に影響する。
  2. 社会的な性役割を含んでいる。
  3. 母性と父性とを統合した概念である。
  4. 子どもが生まれると自然に獲得される。

 

 


 

▶午前2

精巣に最も近い精子の輸送路はどれか。

 

  1. 精囊
  2. 精管
  3. 射精管
  4. 精巣上体

 

 


 

▶午前3

最も母体側に位置する卵膜の構造物はどれか。

 

  1. 羊膜
  2. 脱落膜
  3. 絨毛膜
  4. 子宮漿膜

 

 


 

▶午前4

生後1週の新生児の生理的な睡眠について正しいのはどれか。

 

  1. 睡眠周期は約4時間である。
  2. 1日の睡眠時間は12時間以下である。
  3. ノンレム睡眠が睡眠時間全体の70%以上を占める。
  4. 周期性呼吸はノンレム睡眠よりもレム睡眠のときに多い。

 

 


 

▶午前5

6か月齢以下の乳児に対しRSウイルス感染症の予防のために投与するパリビズマブの適応はどれか。

 

  1. 出生体重2,500g未満
  2. 在胎35週以下での出生
  3. Turner〈ターナー〉症候群
  4. 風疹抗体が陰性の母体からの出生

 

 


 

▶午前6

高校2年生100人を対象に、助産師3人で全3回の性教育を行うことにした。第1回目は性に関する知識を獲得することを目標に専門家による講義を行った。第2回目は性感染症が自分にも起こりうる問題として捉えられることを目標に設定した。
第2回目の健康教育の方法で最も適切なのはどれか。

 

  1. 助産師が講義を行う。
  2. 1人の生徒が体験談を話す。
  3. 少人数でのグループワークを行う。
  4. 男女を1人ずつ選びロールプレイを行う。

 

 


 

▶午前7

Aさん(17歳、女子、高校生)。月経不順のため受診した。「付き合っている彼が、最近メールの返信が遅れると怒るので怖い」と診察後に助産師に話した。
Aさんへの対応で適切なのはどれか。

 

  1. 「気にし過ぎではないですか」
  2. 「彼とは別れたほうがいいですね」
  3. 「もう少し詳しく聞かせてください」
  4. 「私が彼に怒らないように言いましょう」

 

 


 

▶午前8

成熟期女性の健康問題で正しいのはどれか。

 

  1. 早発閉経では骨量が増加する。
  2. るいそうでは月経不順が生じる。
  3. 未産婦では子宮体癌のリスクが低い。
  4. 子宮腺筋症では過少月経が生じやすい。

 

 


 

▶午前9

受胎調節実地指導員について正しいのはどれか。

 

  1. 母体保護法に定められている。
  2. 少子化の改善を目的としている。
  3. 子宮内避妊器具〈IUD〉を挿入できる。
  4. 厚生労働大臣の認定する講習を受ける必要がある。

 

 


 

▶午前10

Aさん(28歳、初産婦)。分娩開始から8時間が経過した。内診所見は、子宮口7cm開大、展退度80%、Station±0。陣痛間欠3〜4分、陣痛発作40秒。Aさんは「手がしびれて、なんだか頭がボーッとします」と言った。体温36.8℃、呼吸数48/分、脈拍80/分、血圧134/70mmHg。
Aさんの状態として最も考えられるのはどれか。

 

  1. 代謝性アシドーシス
  2. 代謝性アルカローシス
  3. 呼吸性アシドーシス
  4. 呼吸性アルカローシス

 

 


 

▶午前11

胎盤、臍帯および卵膜の写真を別に示す。
写真
胎盤、臍帯および卵膜の所見で正しいのはどれか。

 

  1. 周郭胎盤
  2. 膜状胎盤
  3. 臍帯の過捻転
  4. 臍帯の卵膜付着

 

 


 

▶午前12

Aさん(27歳、女性、未婚)。2年前から精神科に通院し、うつ病の診断にて選択的セロトニン再取り込み阻害薬〈SSRI〉を内服している。発症時には希死念慮があったが、現在の症状は内服によって落ち着いている。最終月経から5週経っても月経がなく、市販の妊娠検査薬で陽性であったため産婦人科を受診した。経腟超音波検査で子宮腔内に15mmの胎囊を認めた。Aさんは「うつ病があるので今後どうなるか不安です」と言う。
助産師の説明内容で適切なのはどれか。

 

  1. パートナーとの入籍を勧める。
  2. 人工妊娠中絶の適応となると伝える。
  3. 薬の内服をいったん中止するよう勧める。
  4. 薬について精神科の主治医に相談するよう勧める。

 

 


 

▶午前13改題

日本の平成22年(2010年)以降の母子保健統計について正しいのはどれか。

 

  1. 令和4年(2022年)の自然死産率は人工死産率よりも高い。
  2. 妊産婦死亡率は緩やかに低下を続けている。
  3. 乳児死亡の原因で最も多いのは不慮の事故である。
  4. 母の年齢階級別出生率が最も高いのは30〜34歳である。

 

 


 

▶午前14

助産録について正しいのはどれか。

 

  1. 記載事項は医療法に定められている。
  2. 帝王切開術の場合は記載義務はない。
  3. 電子カルテの場合の保存期間は3年である。
  4. 記載義務は保健師助産師看護師法に定められている。

 

 


 

▶午前15

助産所における嘱託医師および嘱託医療機関について正しいのはどれか。

 

  1. 嘱託医療機関には小児科がなくてもよい。
  2. 嘱託医師は産科または産婦人科の医師でなくてもよい。
  3. 分娩を取り扱わなくても嘱託医師および嘱託医療機関の確保が必要である。
  4. 包括的指示書の変更は、その旨を記載して嘱託医師および嘱託医療機関と共有する。

 

 


 

▶午前16

産科病棟における管理について適切なのはどれか。

 

  1. 管理者は助産師でなければならない。
  2. 助産師の配置数は年間分娩数によって決められている。
  3. ハイリスク妊娠管理加算は算定できる日数に制限がある。
  4. 総合周産期医療特定集中治療室管理料の施設基準では入院患者5人に助産師1人の勤務が必要である。

 

 


 

▶午前17

着床前診断の対象となるのはどれか。

 

  1. 年齢35歳以上の女性
  2. 遺伝性婦人科癌の家族歴がある女性
  3. Down〈ダウン〉症候群の児の分娩歴がある女性
  4. 体外受精を繰り返しても妊娠しない着床不全の女性
  5. 均衡型染色体構造異常に起因すると考えられる習慣流産の女性

 

 


 

▶午前18

常染色体劣性遺伝疾患はどれか。

 

  1. アンドロゲン不応症
  2. 先天性副腎過形成症
  3. Down〈ダウン〉症候群
  4. Turner〈ターナー〉症候群
  5. Duchenne〈デュシェンヌ〉型筋ジストロフィー

 

 


 

▶午前19

正常新生児の呼吸循環生理で正しいのはどれか。

 

  1. 肺水の大部分は児の口鼻腔から排出される。
  2. 出生直後から肺血管抵抗は上昇する。
  3. 出生直後の肺胞の拡張には10cmH2Oの圧力が必要である。
  4. 生後の動脈血酸素分圧〈PaO2〉の上昇によって動脈管が開く。
  5. 生後の肺血流量の増加によって卵円孔が閉鎖する。

 

 


 

▶午前20

28歳の初産婦。妊娠初期に検査した随時血糖の値は正常であった。妊娠20週0日、尿糖が陽性であったため血液検査を実施し、空腹時血糖140mg/dL、HbA1c7.0%であった。今まで糖尿病と診断されたことはなかった。
この妊婦の現在の状態のアセスメントとして正しいのはどれか。

 

  1. 血糖に異常はみられない。
  2. 糖尿病の前段階である。
  3. 妊娠による一時的な耐糖能異常である。
  4. 妊娠糖尿病である。
  5. 妊娠時に診断された明らかな糖尿病である。

 

 


 

▶午前21

出生後30分の正期産児で異常所見はどれか。

 

  1. 体温37.3℃
  2. 心拍数80/分
  3. 呼吸数45/分
  4. 末梢性チアノーゼ
  5. 経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉97%

 

 


 

▶午前22

新生児生理的黄疸について正しいのはどれか。

 

  1. 母乳性黄疸と同義である。
  2. ALT〈GPT〉の上昇を伴う。
  3. 生後24時間以内に出現する。
  4. 間接ビリルビン優位の黄疸である。
  5. 母がO型で児がA型の血液型で発症しやすい。

 

 


 

▶午前23

狭骨盤の定義における産科的真結合線の値で正しいのはどれか。

 

  1. 7.5cm未満
  2. 8.5cm未満
  3. 9.5cm未満
  4. 10.5cm未満
  5. 11.5cm未満

 

 


 

▶午前24

分娩第2期における産婦の体位と起こりやすい異常との組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 座位――微弱陣痛
  2. 仰臥位――血圧上昇
  3. 蹲踞位――分娩時異常出血
  4. 側臥位――第3度以上の会陰裂傷
  5. 四つんばい――腟壁血腫

 

 


 

▶午前25

32歳の初産婦。喘息を合併している。妊娠28週のときに喘息発作を起こした。現在はステロイド吸入薬を使用し、症状は落ち着いている。妊娠39週5日、陣痛発来で入院した。内診所見は、子宮口4cm開大、展退度60%、Station-2、未破水であった。その後、陣痛の増強はなく内診所見も変化がない。胎児心拍数に異常はなく、微弱陣痛のため分娩を促進することになった。
適切な方法はどれか。

 

  1. 人工破膜
  2. ラミナリア桿の挿入
  3. メトロイリンテルの挿入
  4. オキシトシンの点滴静脈内注射
  5. プロスタグランディンFの点滴静脈内注射

 

 


 

▶午前26

妊婦が順調に母親役割を獲得することを目標とした母親学級の開催方法で適切でないのはどれか。

 

  1. 個別相談の場を設ける。
  2. 新生児用品について説明する。
  3. 初産婦と経産婦とに分けて開催する。
  4. 参加者同士が交流できる時間を設ける。
  5. ベビー人形を使った演習を取り入れる。

 

 


 

▶午前27

34歳の褥婦。産褥1日。腟壁に血腫が認められ、切開し縫合手術を行うことになった。手術前に、セフェム系の抗菌薬の点滴静脈内注射を開始した直後から呼吸困難と悪心とを訴え、顔面にチアノーゼがみられた。
このときの第一選択薬として正しいのはどれか。

 

  1. ヘパリン
  2. アドレナリン
  3. 抗ヒスタミン薬
  4. グルココルチコイド
  5. プロスタグランディン

 

 


 

▶午前28

入院中の正常新生児の清潔ケアで正しいのはどれか。

 

  1. 胎脂を積極的に拭き取る。
  2. ドライテクニックは低体温を予防する。
  3. 沐浴での入湯の時間は10分以上かける。
  4. ポビドンヨードで臍帯切断面を消毒する。
  5. 排便後は毎回、殿部を石けんで洗浄する。

 

 


 

▶午前29

在胎38週3日、出生体重2,800gで出生した男児。生後4日、助産師は「赤ちゃんがずっと眠っていて、母乳を飲んでくれません」と母親から相談を受け、新生児を診察した。児は体温36.5℃で下肢に末梢冷感があり、呼吸数60/分で異常呼吸音はない。心拍数180/分で心雑音はないが、下半身にチアノーゼが認められたため、医師に診察を依頼した。
最も考えられる疾患はどれか。

 

  1. 敗血症
  2. 低体温症
  3. 先天性心疾患
  4. 新生児一過性多呼吸
  5. 脳室周囲白質軟化症

 

 


 

▶午前30

1か月児健康診査時の予防接種に関する保健指導で正しいのはどれか。

 

  1. 「BCGは生後12か月から接種が可能です」
  2. 「肺炎球菌ワクチンは定期接種ではありません」
  3. 「Hibワクチンは生後2か月から接種が可能です」
  4. 「生ワクチンと不活化ワクチンとの同時接種はできません」
  5. 「インフルエンザワクチンは生後1か月から接種が可能です」

 

 


 

▶午前31改題

日本の令和4年(2022年)の年齢階級別がん死亡部位内訳において、40歳以上50歳未満の女性で、死亡数が最も多いがん発生部位はどれか。

 

  1. 子宮
  2. 乳房
  3. 肝臓

 

 


 

▶午前32

保健師助産師看護師法に定められていないのはどれか。

 

  1. 助産所開設の届出
  2. 異常死産児の届出
  3. 業務従事者の届出
  4. 出生証明書の交付
  5. 臨床研修の努力義務

 

 


 

▶午前33

助産師外来の活動内容として適切でないのはどれか。

 

  1. 胎児の先天奇形の診断
  2. 夫の育児参加への助言
  3. 予防接種についての情報提供
  4. 妊娠中の適切な体重管理の指導
  5. 正常な妊娠経過からの逸脱のアセスメント

 

 


 

▶午前34

妊娠の成立に関して正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 受精は子宮腔内で起こる。
  2. 受精卵は桑実胚期に着床する。
  3. 受精後3日目に透明帯が消失する。
  4. 子宮内膜の分泌期に受精卵が着床する。
  5. 子宮内膜の増殖はエストロゲンの作用である。

 

 


 

▶午前35

妊婦の伝染性紅斑について適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 胎児水腫が発生する危険がある。
  2. 感染予防のためのワクチンがある。
  3. 皮疹の出現中は他者への感染力が強い。
  4. ヒトパルボウイルスB19による感染である。
  5. 胎児死亡率は妊娠20週以降に感染したとき高率である。

 

 


 

▶午前36

バイオフィジカルプロファイルスコアの評価で正常と判断するのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 5cmの羊水ポケットが確認できる。
  2. 四肢の運動が30分間に1回確認できる。
  3. 手掌の開閉運動が30分間に3回確認できる。
  4. NSTで一過性頻脈が20分間に1回確認できる。
  5. 20秒続く呼吸様運動が30分間に1回確認できる。

 

 


 

▶午前37

胎児体重の推定に用いられるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 頭殿長
  2. 大腿骨長
  3. 上腕骨長
  4. 児頭大横径
  5. 児頭大斜径

 

 


 

▶午前38

経腟分娩後に正常に経過している産褥6週の褥婦の状態で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 子宮の重さは約70gである。
  2. 外子宮口は2cm開いている。
  3. 血液凝固機能は亢進している。
  4. 循環血液量は非妊時より多い。
  5. 腎血流量は非妊時の状態に回復している。

 

 


 

▶午前39

マタニティブルーズについて正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 幻覚妄想状態となる。
  2. 産後4週以降に発現する。
  3. 身体的不調の原因となる。
  4. 一過性の情動の障害である。
  5. 抗うつ薬による治療が必要である。

 

 


 

▶午前40

性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律において、性別の取扱いの変更を家庭裁判所で審判することができる条件はどれか。2つ選べ。

 

  1. 現に未成年の子がいないこと
  2. ホルモン治療を受けていること
  3. 性染色体の核型が正常ではないこと
  4. 生物学的性と同一の性への恋愛感情を有すること
  5. 生殖腺がないこと又は生殖腺の機能を永続的に欠く状態にあること

 

 


 

次の文を読み41〜43の問いに答えよ。

Aさん(37歳、女性)。常勤の会社員。結婚して2年間、基礎体温を記録して排卵に合わせて性交渉を行っていたが、妊娠に至らなかった。義母の強い勧めがあり、Aさん1人で不妊専門クリニックを受診した。月経周期は28日型、持続日数は5日、基礎体温は二相性である。

 

▶午前41

初診時に確認すべき情報で最も優先されるのはどれか。

 

  1. 経済力
  2. 仕事の継続の意思
  3. 不妊治療に対する義母の考え
  4. 不妊治療に関する夫婦の合意

 

 


 

▶午前42

初診時の診察では、子宮や卵巣に形態異常はなかった。Aさんは月経4日目に再受診した。
Aさんに行う検査で適切なのはどれか。

 

  1. 子宮卵管造影
  2. フーナー試験
  3. 卵管通水検査
  4. ホルモン基礎値の測定

 

 


 

▶午前43

その後、Aさんは2年間外来で治療を受けたが妊娠には至らなかった。夫婦で相談し、体外受精を試みることにした。
Aさんへの説明で正しいのはどれか。

 

  1. 「採卵のタイミングに合わせて夫に採精してもらう必要があります」
  2. 「Aさんの場合、妊娠する確率は60%以上です」
  3. 「妊娠した場合、流産する確率は10%以下です」
  4. 「胎児の心奇形の発生率は自然妊娠より高くなります」

 

 


 

次の文を読み44〜46の問いに答えよ。

Aさん(40歳、初産婦)。半年間の不妊治療を受け、クエン酸クロミフェンの内服によって妊娠に至った。経腟超音波検査で子宮内に胎囊が3つ認められ、三胎妊娠と診断された。妊娠9週で総合周産期母子医療センターの産科に紹介され受診した。

 

▶午前44

妊娠25週5日、Aさんは少量の出血があり、救急外来を受診した。「今朝から時々下腹部が硬くなる感じがして、痛いときもありました」と言う。救急外来受診時の経腟超音波検査の写真を別に示す。子宮頸管長は23.4mmであった。
99am44j
Aさんに認められる所見はどれか。2つ選べ。

 

  1. 内子宮口の開大
  2. 頸管長の短縮
  3. 辺縁前置胎盤
  4. 胎胞の膨隆
  5. 臍帯下垂

 

 


 

▶午前45

Aさんは入院し、リトドリン塩酸塩の点滴静脈内注射が開始された。しかし、開始翌日から全身の発疹と肝機能異常とが出現したため、リトドリン塩酸塩は中止となり、マグネシウム硫酸塩の点滴静脈内注射に変更された。助産師が訪室するとAさんは「ずっと全身がほてって、だるい感じです」と訴えた。体温36.7℃、脈拍80/分、血圧128/80mmHg。
今後最も注意すべき所見はどれか。

 

  1. 手指の振戦
  2. 下腿の浮腫
  3. 腱反射の消失
  4. 耳下腺の腫脹
  5. 両側の視野狭窄

 

 


 

▶午前46

妊娠31週1日。Aさんに38.2℃の発熱がみられた。感冒様症状や尿混濁はない。診察したところ腟内に血液の混じった液体の貯留があり、破水検査の判定結果は陽性であった。子宮口は1cm開大しており、最も下降している胎児の先進部は両足である。児の推定体重はそれぞれ1,560g、1,400g、1,320gであった。抗菌薬の点滴静脈内注射が開始された。血液検査の結果、白血球15,500/μL、CRP5.8mg/dLであった。
Aさんに行われると予想される治療はどれか。

 

  1. 1日3回の腟内洗浄
  2. 抗菌薬腟錠の挿入
  3. リトドリン塩酸塩の再開
  4. 子宮頸管縫縮術
  5. 帝王切開術

 

 


 

次の文を読み47〜49の問いに答えよ。

Aさん(32歳、初産婦)。病院で妊婦健康診査を受けており、妊娠経過は順調であった。妊娠35週3日、妊婦健康診査で行われたスクリーニング検査で、肛門周囲からB群溶血性レンサ球菌〈GBS〉が検出された。Aさんは児への感染を心配している様子である。

 

▶午前47

Aさんへの説明で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「分娩のときに抗菌薬の点滴で予防します」
  2. 「抗菌薬を1週間、毎日内服してください」
  3. 「手洗いを徹底してください」
  4. 「性交渉は控えてください」
  5. 「週に1回腟洗浄をします」

 

 


 

▶午前48

妊娠37週3日に妊婦健康診査を受診した。子宮底長34cm、第1頭位。経腹超音波検査では胎児の推定体重は2,850gで、胎盤位置は子宮底部で羊水量は正常である。内診所見は、子宮口2cm開大、展退度50%、Station-2。胎児心拍数陣痛図を別に示す。
99am48j
胎児心拍数陣痛図で認められる所見はどれか。

 

  1. 胎児心拍数基線の上昇
  2. 基線細変動の減少
  3. 変動一過性徐脈
  4. 遅発一過性徐脈
  5. 一過性頻脈

 

 


 

▶午前49

妊娠39週1日、Aさんは自宅にて睡眠中に突然下着とシーツとが濡れて目が覚め、受診している病院に電話連絡した。子宮収縮の自覚はなく、いつもどおりの胎動を感じている。性器出血はない。
電話を受けた助産師の指示で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「規則的におなかが張ってくるようなら来院してください」
  2. 「尿漏れかもしれないので様子をみてください」
  3. 「出血があればまた電話で連絡してください」
  4. 「今すぐ来院してください」

 

 


 

次の文を読み50〜52の問いに答えよ。

Aさん(32歳、2回経産婦)。これまでの出産はいずれも正常分娩であった。診療所に通院し、今回妊娠経過中に特に異常の指摘はなかった。妊娠41週1日、前期破水にて入院。入院時の内診所見は、子宮口4cm開大、展退度60%、Station-2、子宮頸管の硬度は中、子宮口の位置は後方であった。

 

▶午前50

入院後12時間が経過し、内診所見は、子宮口8cm開大、展退度80%、Station+1、子宮頸管の硬度は軟、子宮口の位置は前方であった。陣痛間欠4分、陣痛発作60秒で、大泉門が先進し1時方向に触れる。
この時点でのアセスメントで正しいのはどれか。

 

  1. 正常経過
  2. 微弱陣痛
  3. 高在縦定位
  4. 前方前頭位
  5. 後方後頭位

 

 


 

▶午前51

子宮口全開大後2時間、大泉門が先進し0時方向に触れる。産瘤が形成されており、発作時には恥骨結合後面下縁のみを触れる。陣痛発作のたびに最下点90bpm前後の変動一過性徐脈がみられているが、間欠時には回復している。助産師は吸引分娩となる可能性を考え、準備を始めた。
現在、児頭最大径が位置すると考えられる骨盤の位置はどれか。

 

  1. 入口部
  2. 濶部
  3. 峡部
  4. 出口部

 

 


 

▶午前52

分娩第2期遷延、分娩停止のため吸引分娩が施行され、4回の吸引によって、3,880gの男児が娩出された。羊水混濁2+、出生直後から啼泣があり、Apgar〈アプガー〉スコアは1分後7点(皮膚色-2点、筋緊張-1点)、5分後8点(皮膚色-1点、筋緊張-1点)、臍帯動脈血pH7.20であった。クベースに収容され、経過観察となった。出生後2時間、頭部に暗赤色で骨縫合を超える腫瘤が認められ、指で押すと陥凹した。体温37.0℃、呼吸数70/分、脈拍170/分。鼻翼呼吸がみられる。
この新生児に必要となる対応はどれか。2つ選べ。

 

  1. 光線療法
  2. 腫瘤の穿刺
  3. 脳低温療法
  4. 静脈路の確保
  5. NICUへの搬送

 

 


 

次の文を読み53〜55の問いに答えよ。

Aさん(28歳、1回経産婦)。妊娠41週2日、陣痛発来にて入院した。陣痛発来から6時間後に破水し、羊水混濁を認めた。胎児心拍数陣痛図では高度の変動一過性徐脈を認め、吸引分娩で3,700gの児を娩出した。出生直後に啼泣はなく、出生から30秒後にはあえぎ呼吸で筋緊張が低下していたため人工換気を開始した。このときの心拍数は6秒間に4回であった。

 

▶午前53

新生児蘇生法ガイドライン2010に基づいて新生児蘇生を行う場合、この時点で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. CPAPを開始する。
  2. 気管挿管を検討する。
  3. あえぎ呼吸は無呼吸と判断する。
  4. アドレナリンの投与を検討する。
  5. 胸骨の上部3分の1の部位を圧迫する。

 

 


 

▶午前54

すべての蘇生処置が終了した直後の児の呼吸数は90/分、陥没呼吸が著明で、聴診では呼吸音に伴ってラ音と捻髪音とが広範囲に聴取された。この時点で撮影した児の胸部エックス線写真を別に示す。
99am54j
この児に最も疑われる疾患はどれか。

 

  1. 気胸
  2. 心不全
  3. 肺低形成
  4. 胎便吸引症候群
  5. 先天性横隔膜ヘルニア

 

 


 

▶午前55

出生後1時間が経過した。中心性チアノーゼが改善せず、NICUを有する周産期母子医療センターへの児の搬送が決定された。
この時点でのAさんへの説明で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「赤ちゃんはすぐによくなります」
  2. 「医師からの説明は搬送の後に行います」
  3. 「赤ちゃんの説明はまずお父さんに行います」
  4. 「赤ちゃんと一緒に転院できるか確認します」
  5. 「処置中の赤ちゃんには会わないようにしましょう」

 

 

 

第99回助産師国家試験・午後(55問)

 

▶午後1

妊娠週数と放射線被ばくによる児への影響との組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 妊娠3週――中枢神経障害
  2. 妊娠5週――小児がん
  3. 妊娠8週――奇形
  4. 妊娠30週――精神発達遅滞

 

 


 

▶午後2

経口避妊薬の作用について正しいのはどれか。

 

  1. エストロゲンの分泌が増加する。
  2. プロゲステロンの分泌が低下する。
  3. 卵胞刺激ホルモン〈FSH〉の分泌が増加する。
  4. 黄体形成ホルモン〈LH〉の大量放出が起こる。

 

 


 

▶午後3

羊水について正しいのはどれか。

 

  1. AFIが15以上で羊水過多を疑う。
  2. 羊水量は妊娠37週ころに最大となる。
  3. 妊娠初期の羊水は主に胎児の尿に由来する。
  4. 妊娠末期に胎児が嚥下する羊水量は500〜1,000mL/日である。

 

 


 

▶午後4

骨盤と胎児とを図に示す。
99pm4j
胎位胎向で正しいのはどれか。

 

  1. 第1単殿位
  2. 第2単殿位
  3. 第1複殿位
  4. 第2複殿位

 

 


 

▶午後5

Aさん(52歳、専業主婦)。子宮がん検診のため来院した。「最近のぼせることが増え、動悸もするようになった。すぐにイライラし、頭が重い。外に出るのも人と話すのも面倒です。子どもは独立したばかりです。夫は仕事が忙しく、毎日帰宅が遅いです」と助産師に相談があった。
このときのAさんへの対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 地域でのボランティア活動の情報を提供する。
  2. 家で安静にしているよう促す。
  3. 更年期外来の受診を勧める。
  4. 夫に相談するよう勧める。

 

 


 

▶午後6

子宮頸部細胞診においてスライドグラスに細胞を塗布した後の処理で正しいのはどれか。

 

  1. よく乾燥させる。
  2. 生理食塩水を滴下する。
  3. カバーグラスをかける。
  4. 95%エタノールで固定する。

 

 


 

▶午後7

Aさん(30歳、初産婦)。妊娠39週5日。前期破水にて入院し、2時間後、自然に陣痛が開始した。分娩開始後13時間が経過し、内診所見は、子宮口6cm開大、展退度80%、Station+1、小泉門が2時方向に触れる。陣痛間欠は7分に延長し、陣痛発作は20秒のままである。陣痛間欠時も緊張しており、昨晩から眠れていない。悪心が強く、飲水が困難なため点滴静脈内注射が開始された。胎児心拍数陣痛図は正常である。
この時点でのAさんへの対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 入浴を勧める。
  2. 階段昇降を一緒に行う。
  3. 陣痛間欠時に休息を促す。
  4. 陣痛発作時に怒責を誘導する。

 

 


 

▶午後8

Aさん(21歳、大学生)。在学中に妊娠し、パートナーも大学生である。Aさんはパートナーと別れ、生まれた子どもは実母と一緒に育てることを決めた。妊娠経過は順調で、妊娠37週0日の妊婦健康診査で産後の生活についてAさんから助産師に相談があった。
このときのAさんの言動で児への虐待のリスクが最も高いと思われるのはどれか。

 

  1. 「大学は卒業したい」
  2. 「これからどうなるのか不安です」
  3. 「本当は子どもなんか欲しくない」
  4. 「この子に障害があったらどうしよう」

 

 


 

▶午後9

Aさん(26歳、初産婦)。東南アジアの出身で2年前に結婚し、日本人の夫(40歳、会社員)と2人暮らしである。日本語は日常会話程度ならできるが読み書きはできず、英語は全く理解できない。妊娠中から市の保健センターの保健師がAさんに関わっていた。妊娠39週に正常分娩し、母子とも経過は良好で、産褥4日目に夫とともに助産師から退院指導を受けることになった。
このときの助産師の説明で適切なのはどれか。

 

  1. 「出生届は外務省に提出してください」
  2. 「育児は日本の習慣に合わせてください」
  3. 「1か月健康診査はご夫婦でお越しください」
  4. 「1か月健康診査後に保健師へ出産の連絡をしてください」

 

 


 

▶午後10

生理休暇について正しいのはどれか。

 

  1. 非正規雇用の場合は取得できない。
  2. 取得には医師の診断書が必要である。
  3. 請求できる日数は月に3日までである。
  4. 労働基準法に定められている権利である。

 

 


 

▶午後11

無床の助産所について正しいのはどれか。

 

  1. 自宅の住所を所在地として届け出る。
  2. 管理者は助産師でなくてもよい。
  3. 保健所長が開設を認可する。
  4. 分娩は取り扱えない。

 

 


 

▶午後12

妊娠・分娩における喫煙の影響でリスクが増加するのはどれか。

 

  1. 母体の耐糖能異常
  2. 妊娠高血圧症候群
  3. 前置胎盤
  4. 過期妊娠
  5. 弛緩出血

 

 


 

▶午後13

32歳の初産婦。妊娠29週0日に切迫早産と診断され、安静目的で入院した。深部静脈血栓症の既往がある。表在性静脈瘤はない。
入院中の深部静脈血栓症の予防で適切なのはどれか。

 

  1. 床上安静
  2. 減塩食の摂取
  3. 骨盤ベルトの装着
  4. ワルファリンの内服
  5. ヘパリンの皮下注射

 

 


 

▶午後14

正常妊娠に伴う生殖器の変化で正しいのはどれか。

 

  1. 外陰部の皮脂の分泌は増加する。
  2. 腟粘膜は淡紅色に変化する。
  3. 妊娠末期の子宮腔内の容積は非妊時の100倍になる。
  4. 卵管の長さは短縮する。
  5. 卵巣の直径は非妊時の3倍になる。

 

 


 

▶午後15

新生児期にみられる皮膚の所見について正しいのはどれか。

 

  1. 苺状血管腫は自然に消退しない。
  2. サーモンパッチは自然に消退する。
  3. 脂漏性湿疹は石けんの刺激で悪化する。
  4. カフェオレ斑は結節性硬化症に併発する。
  5. 中毒性紅斑は正期産児よりも早産児に多い。

 

 


 

▶午後16

子宮内反症の特徴について正しいのはどれか。

 

  1. 分娩第3期に起こる。
  2. 低置胎盤がリスク因子である。
  3. 妊娠高血圧症候群に合併する。
  4. 帝王切開術を受けた産婦に多い。
  5. 発生頻度は全産婦の0.1%程度である。

 

 


 

▶午後17

在胎37週3日。助産所にて正常分娩で出生した2,330gの児。Apgar〈アプガー〉スコアは1分後、5分後ともに9点(皮膚色-1点)で、呼吸数75/分、心拍数160/分であった。出生後2時間が経過し、直腸温37.4℃、呼吸数80/分、心拍数150/分。心雑音を認め、末梢性チアノーゼは持続している。
この時点で緊急搬送が必要と判断される情報で最も重要なのはどれか。

 

  1. 出生時体重2,330g
  2. 末梢性チアノーゼ
  3. 直腸温37.4℃
  4. 呼吸数80/分
  5. 心雑音

 

 


 

▶午後18

早期母子接触について適切なのはどれか。

 

  1. 15分間を上限とする。
  2. 児に着衣をして保温する。
  3. 母子接触中は児を観察する。
  4. 低出生体重児の場合は実施できない。
  5. 分娩後2時間が経過してから実施する。

 

 


 

▶午後19

39歳の2回経産婦。妊娠40週1日に適時破水し、3,980gの男児を経腟分娩した。分娩所要時間は2時間10分であった。胎盤娩出直後の子宮底は臍下2横指で収縮良好、分娩第3期までの出血量は250mLであり、腟鏡診では異常所見はなく外子宮口からの異常出血は認めなかった。会陰縫合術が行われた。分娩後1時間の観察で、500mLの腟外への出血を認めた。子宮底は臍上2横指に軟らかく触れ、子宮底の輪状マッサージにて凝血塊を含む100mLの出血がみられた。創部痛の訴えはない。体温37.0℃、脈拍80/分、血圧110/70mmHg。
現時点で必要となる処置はどれか。

 

  1. 頸管裂傷の縫合
  2. 外陰部血腫除去
  3. 新鮮凍結血漿の輸血
  4. 抗菌薬の点滴静脈内注射
  5. 子宮収縮薬の点滴静脈内注射

 

 


 

▶午後20

Aさん(28歳、初産婦)。産褥2日。児の出生時体重は3,000g。経過は順調で母児同室をしている。Aさんから「赤ちゃんにおっぱいを吸わせてもすぐに外れてしまう。乳頭が痛くなってきた」と相談があった。授乳時、赤ちゃんを膝の上にのせて、Aさんは前かがみの姿勢になっている。右の乳頭に亀裂がみられた。このときの授乳の様子を図に示す。
99pm20j
Aさんへの授乳指導で適切なのはどれか。

 

  1. 右乳房の授乳時間を長くする。
  2. 児の顎を十分に引いた姿勢を保つ。
  3. 亀裂部を清浄綿で拭いてから授乳を始める。
  4. 児が激しく泣いているときに乳頭を含ませる。
  5. 児の腹部と母親の腹部とが向かい合うように抱く。

 

 


 

▶午後21

化膿性乳腺炎の原因菌として最も多いのはどれか。

 

  1. 大腸菌
  2. 腸球菌
  3. 肺炎球菌
  4. 黄色ブドウ球菌
  5. B群溶血性レンサ球菌〈GBS〉

 

 


 

▶午後22

27歳の初産婦。妊娠41週2日、出生体重2,900gの女児を出産した。
児の感染予防についての説明で正しいのはどれか。

 

  1. 「おへそが取れた後は消毒の必要はありません」
  2. 「出生直後の沐浴は赤ちゃんの感染予防に有効です」
  3. 「人工栄養によって赤ちゃんの腸内は乳酸菌優位となります」
  4. 「胎盤を通じたお母さんからの免疫力は1歳まで持続します」
  5. 「お母さんとのスキンシップは赤ちゃんの感染予防に有効です」

 

 


 

▶午後23

抗SS-A抗体陽性の全身性エリテマトーデス〈SLE〉合併妊娠において留意すべき胎児の異常はどれか。

 

  1. 巨大児
  2. 食道閉鎖
  3. 二分脊椎
  4. 臍帯ヘルニア
  5. 先天性房室ブロック

 

 


 

▶午後24

正常な10か月児でみられる反射はどれか。

 

  1. 側弯反射
  2. 手掌把握反射
  3. 交叉性伸展反射
  4. パラシュート反射
  5. 非対称性緊張性頸反射

 

 


 

▶午後25

在胎30週0日、体重900gで出生した児の退院後の外来における発育発達の評価で正しいのはどれか。

 

  1. 入院中の頭部MRIに異常がなければ運動発達に問題は発生しない。
  2. 栄養状態の評価は頭囲の発育で確認する。
  3. 退院後は集団での健康診査を避ける。
  4. 低身長症のハイリスク児である。
  5. 暦月齢による評価を行う。

 

 


 

▶午後26

34歳の経産婦。院内助産所での分娩を予定している。妊娠34週3日、妊婦健康診査のため助産師外来を受診した。「おなかの張りや出血はない」と言う。胎児心拍数140bpm。レオポルド触診にて子宮底に胎児部分の中で一番大きく丸く硬いものを触れ、浮球感があり、胎児先進部は未固定である。
助産師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 2週後の受診を指導する。
  2. 医師に管理を依頼する。
  3. 胎児外回転術を行う。
  4. 膝胸位を指導する。
  5. 内診を行う。

 

 


 

▶午後27

周産期医療におけるセミオープンシステムの目的はどれか。

 

  1. 周産期母子医療センターでの妊婦健康診査の増加
  2. リスクに応じた医療の提供
  3. 診療所での分娩数の増加
  4. ハイリスク妊婦の減少
  5. 医療費の削減

 

 


 

▶午後28

助産師が行うことができるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 妊娠の診断
  2. 乳腺炎の診断
  3. 経口避妊薬の処方
  4. 死体検案書の作成
  5. 出生直後の新生児の蘇生

 

 


 

▶午後29

妊娠6週の初妊婦。血液検査でRhDが陰性、抗D抗体が陰性と確認された。
抗Dヒト免疫グロブリンを投与する時期について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 妊娠9週前後
  2. 妊娠12週前後
  3. 妊娠28週前後
  4. 分娩後72時間以内
  5. 産褥1か月健康診査の受診時

 

 


 

▶午後30

羊水塞栓症の症状はどれか。2つ選べ。

 

  1. 血圧低下
  2. 視覚障害
  3. 上下肢の麻痺
  4. 大量の子宮出血
  5. 38℃以上の発熱

 

 


 

▶午後31

助産業務ガイドライン2014における妊婦管理適応リストにおいて、連携する産婦人科医師と相談の上、協働管理すべき対象者はどれか。2つ選べ。

 

  1. 妊娠41週2日の妊婦
  2. 妊娠糖尿病の既往のある妊婦
  3. 妊娠33週で早産の既往のある妊婦
  4. 胎児発育不全〈FGR〉の既往のある妊婦
  5. 子宮筋腫核出術の2年後に妊娠した妊婦

 

 


 

▶午後32

深部静脈血栓症を疑うのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 下肢の筋力が低下する。
  2. 歩行時に恥骨結合部が痛む。
  3. 下肢の皮膚に赤紫色の色調変化を認める。
  4. 下腿部周囲径の左右差が2cm以上である。
  5. 大腿から下腿の背側に放散するしびれがある。

 

 


 

▶午後33

Silverman〈シルバーマン〉スコアの項目はどれか。2つ選べ。

 

  1. 呼吸数
  2. 筋緊張
  3. 呼気性呻吟
  4. チアノーゼ
  5. 肋間腔の陥没

 

 


 

▶午後34

核黄疸のⅡ期症状はどれか。2つ選べ。

 

  1. 嗜眠
  2. 振戦
  3. 後弓反張
  4. 落陽現象
  5. 哺乳力の低下

 

 


 

▶午後35

児童虐待のうち、ネグレクトに相当するのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 乳幼児を家に放置して外出する。
  2. 子どもの自尊心を傷つける発言をする。
  3. 子どもに不潔な下着を長期間着用させる。
  4. 子どもをポルノグラフィーの被写体にする。
  5. 子どもの前で配偶者やその他の家族に対し暴力を振るう。

 

 


 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。

Aさん(33歳、1回経産婦)。妊娠40週2日、6分ごとに1分間持続する規則的な子宮収縮を自覚して来院した。前日の妊婦健康診査時の経腹超音波検査の結果、胎児推定体重3,800g、AFI8.0。夫は出産の立会いを予定していたが仕事の都合で来院できなかった。

 

▶午後36

来院時の内診所見は、子宮口4cm開大、展退度50%、Station-2、子宮頸管の硬度は中、子宮口の位置は中央であった。腟鏡診では後腟円蓋に少量の血液が混じった帯下があり、BTB試験紙の色調の変化は認めない。子宮収縮時には会話が困難な程度の痛みを感じている。
来院時の助産診断で正しいのはどれか。

 

  1. 前期破水である。
  2. 羊水過少である。
  3. 児頭は陥入している。
  4. Bishop〈ビショップ〉スコアは6点である。

 

 


 

▶午後37

入院後1時間、陣痛間欠3〜4分、陣痛発作40秒となり、下腹部と腰部との痛みが急激に増強した。Aさんは陣痛間欠時も体中に力が入っており「もう痛みに耐えられない。帝王切開にしてください」と不安そうな表情で訴えた。
Aさんの支援のための対応として最も適切なのはどれか。

 

  1. 楽な姿勢を一緒に考える。
  2. 痛みに耐えるように伝える。
  3. もっと頑張るように励ます。
  4. 帝王切開術の適応ではないことを説明する。
  5. 赤ちゃんが大きいため時間がかかることを伝える。

 

 


 

▶午後38

その後、順調に分娩が進行し、体重3,820gの女児を正常分娩で出産した。分娩所要時間は4時間30分、分娩第3期までの出血量は400mLであり、会陰裂傷第1度を認めた。分娩後1時間、バイタルサインに異常はない。外陰部にあてているパッドには少量の血液を認める。外陰部は対称性に軽度むくんでおり、圧痛はない。子宮底は臍下2横指の高さに硬く触れており、Aさんは下腹部の痛みを訴えて苦しそうにしている。
Aさんの症状について最も考えられるのはどれか。

 

  1. 後陣痛
  2. 膀胱炎
  3. 頸管裂傷
  4. 外陰部血腫
  5. 子宮復古不全

 

 


 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。

Aさん(25歳、初産婦)。既往歴に特記すべきことはない。妊娠経過は順調で、出産直後からの母児同室と母乳哺育とを希望していた。妊娠38週6日に陣痛発来で入院した。分娩第2期遷延のためオキシトシンを用いて陣痛を促進し、吸引分娩で娩出となった。児は、出生体重2,800gの男児でApgar〈アプガー〉スコアは1分後、5分後ともに9点であった。分娩所要時間22時間、分娩時出血量450mLで、会陰切開縫合術を受けた。分娩後2時間の母児の経過は良好であった。

 

▶午後39

分娩後3時間に訪室すると「傷がズキズキと痛みます」と訴えた。会陰部の観察をしたところ、創部に軽度の腫脹がみられたが離開や血腫はなかった。
このときの対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 会陰部の冷罨法を行う。
  2. 医師の診察を要請する。
  3. 仰臥位を保つよう勧める。
  4. 今は鎮痛薬を使えないと説明する。
  5. 痛みが紛れるよう児を抱くことを勧める。

 

 


 

▶午後40

Aさんは、産褥1日目から母児同室を開始しており1時間半から2時間おきに授乳をしていた。産褥2日の夕方、Aさんは「こんなに授乳しているのに、赤ちゃんはすぐに泣きます。母乳だけでは足りないのでしょうか」と話し、疲れた様子であった。児の体重は2,590g。乳房は熱感を帯びて張っており、乳頭を圧迫するとタラタラと乳汁が流れ出てくる。児の吸啜状態は良好で、排尿は5回/日、排便は2回/日であった。
Aさんの気持ちを傾聴した後の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 人工乳を補足する。
  2. 夜間は授乳を休む。
  3. 時間を決めて授乳する。
  4. これまでのペースで授乳を続ける。
  5. 乳房緊満がなくなるまで搾乳する。

 

 


 

▶午後41

産褥5日、Aさんは児とともに退院した。産褥6日の夕方、産科病棟に電話がありAさんは「今トイレに行ったら、パッドに直径3cmほどの血の塊が出ていました。授乳後におなかが少し痛くなります。発熱はありません」と助産師に話した。
正常からの逸脱を判断するために確認する内容で優先度が高いのはどれか。

 

  1. 「授乳は母乳のみですか」
  2. 「陰部の傷は痛みますか」
  3. 「動悸やめまいはありますか」
  4. 「鮮やかな赤色の出血でしたか」
  5. 「排尿のとき痛みはありますか」

 

 


 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。

病院の助産師外来において、初回の妊婦健康診査時に、すべての妊婦を対象に自記式質問紙を用いてパートナーからのDV〈ドメスティック・バイオレンス〉のスクリーニングを導入することになった。

 

▶午後42

このときの対応で適切なのはどれか。

 

  1. スクリーニング結果は診療録には残さない。
  2. 自記式質問紙の記入は待合室で行うこととする。
  3. カップルカウンセリングをするための部屋を用意する。
  4. DV〈ドメスティック・バイオレンス〉に関する相談のためのホットラインの情報カードを女性用トイレに設置する。

 

 


 

▶午後43

Aさん(23歳、初産婦)。妊娠20週に初めて助産師外来を受診した。Aさんは、DV〈ドメスティック・バイオレンス〉のスクリーニングの結果が陽性であった。助産師が状況を聞くとAさんは「夫は仕事がうまくいかないと家で暴れる。先日、突き飛ばされて、肩をぶつけた。おなかを蹴られたこともある。これまで一人で悩んでいました。でも、誰にも言わないでください」と話した。Aさんの左肩にはあざがあった。
このときの助産師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. Aさんの両親に情報提供をする。
  2. Aさんが帰った後、警察に通報する。
  3. 分娩終了後にAさんへの対応を検討する。
  4. Aさんに配偶者暴力相談支援センターの情報を提供する。

 

 


 

▶午後44

Aさんは弁護士に相談し、離婚を決意した。Aさんは正常分娩し、1か月健康診査で、新生児とともに来院した。「今は夫と別居しています。しかし、最近、夫から何度も電話があり、私と子どもに会いたいと言ってきている。もう夫に会うつもりはない。どうしたらよいのか」と話した。
助産師の対応として最も適切なのはどれか。

 

  1. 家の外には出ないように勧める。
  2. 児との面会について夫と直接話し合うよう勧める。
  3. 保護命令のための申し立てができることを情報提供する。
  4. Aさんの両親の立ち会いの下で、夫に子どもと面会させる。

 

 


 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。

Aさん(34歳、初妊婦、専業主婦)。既往歴に特記すべきことはない。身長156cm、非妊時体重52kg。妊娠7週2日、経腟超音波検査で胎児の心拍動が確認できた。1週前から起床時の胃部不快感があり、食欲が減退している。嘔吐は1日1回程度。

 

▶午後45

Aさんへの食事指導で正しいのはどれか。

 

  1. 「何回かに分けて少しずつ食べましょう」
  2. 「水分を摂り過ぎると嘔吐を誘発します」
  3. 「栄養バランスに留意して食材を選びましょう」
  4. 「食事の代わりにサプリメントを摂りましょう」

 

 


 

▶午後46

2週後、夫から外来に電話があり「しばらく食事の工夫をして様子をみていたがどんどん吐き気がひどくなり、現在、1日4、5回吐いている。食欲はほとんどなく、スポーツドリンクしかのどを通らないようだ。ずっとベッドに寝ている」と言う。妊娠9週3日、Aさんは夫に付き添われて受診した。下腹部痛や性器出血はない。顔色が悪くタオルを口元にあて、夫に支えられるようにして椅子に座っている。
入院の判断をするために重要な情報はどれか。

 

  1. 内診所見
  2. 吐物の内容
  3. 尿ケトン体
  4. 現在のBMI

 

 


 

▶午後47

入院後10日が経過し、安静および点滴治療によって症状は軽減してきた。訪室した助産師に対しAさんは「たくさん点滴しているので子どもに影響しないのか、とても心配です。インターネットで胎児の異常について検索してしまいます」とスマートフォンを持ちながら訴えた。
このときのAさんへの対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「今はあなたの治療が最優先ですよ」
  2. 「両親学級を受講して正しい知識を得ましょう」
  3. 「インターネットの情報に惑わされてはいけません」
  4. 「入院中の出産経験者の方に相談されてはどうですか」
  5. 「主治医から現在の状態について説明してもらいましょう」

 

 


 

次の文を読み48〜50の問いに答えよ。

Aさん(36歳、初産婦)。2年前に人間ドックで高血圧を指摘されていたが、自覚症状はなく、特に医療機関には通院していなかった。妊娠7週0日の初診時、血圧150/90mmHg、尿蛋白(-)であり、食事指導を受けた。その後、血圧は130/80mmHg前後で推移した。妊娠35週3日の妊婦健康診査では、血圧164/100mmHg、尿蛋白3+、尿糖(-)、下腿の浮腫2+であった。同日、血圧管理を目的に入院し、安静によって血圧は142/88mmHgまで低下した。翌日、血圧140/82mmHg、尿蛋白定量2.5g/日であった。

 

▶午後48

Aさんのアセスメントで正しいのはどれか。

 

  1. 妊娠高血圧
  2. 妊娠高血圧腎症
  3. 加重型妊娠高血圧腎症
  4. HELLP症候群
  5. ネフローゼ症候群

 

 


 

▶午後49

その後も入院を継続し、血圧は安定していた。妊娠37週0日、Aさんは全身性のけいれん発作を起こし、血圧が190/122mmHgまで上昇した。
最初に行われる処置はどれか。

 

  1. 気道確保
  2. 起座位への体位変換
  3. 口腔内へのタオルの挿入
  4. 膀胱留置カテーテルの挿入

 

 


 

▶午後50

3分程度でけいれん発作は消失した。Aさんの意識はもうろうとしており、呼びかけにはうなずくが返答がない。脈拍80/分、血圧145/88mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉96%。NSTを開始したところ胎児心拍数は正常であった。
このときAさんに必要となる対応で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 血液検査
  2. 輸血の準備
  3. 頭部CTの準備
  4. 分娩誘発の準備
  5. 気管内挿管の準備

 

 


 

次の文を読み51、52の問いに答えよ。

Aさん(25歳、女性)。B型肝炎ウイルスキャリアで内科に定期的に通院している。HBs抗原陽性、HBe抗原陰性であることが判明しており、肝機能に異常はない。半年前に結婚し、妊娠を考えているが、子どもがB型肝炎ウイルスに感染する危険性を心配して助産師に相談した。

 

▶午後51

Aさんへの説明として正しいのはどれか。

 

  1. 「妊娠前にB型肝炎ワクチンの接種が必要です」
  2. 「主に子宮内で赤ちゃんに感染します」
  3. 「妊娠中にB型肝炎の治療を開始するのがよいです」
  4. 「感染を防ぐ目的で帝王切開術を行う必要はありません」
  5. 「出生直後に赤ちゃんに感染しているか確認します」

 

 


 

▶午後52

その後Aさんは妊娠し、妊娠経過は順調で2,850gの男児を病院で出産した。児は抗HBsヒト免疫グロブリンの投与とB型肝炎ワクチンの接種とを受け、退院した。産後10日目に助産師が家庭訪問した。Aさんは「母乳がすごく出ています。感染しないためには母乳をやめたほうがいいですか」と言う。
助産師の対応として適切なのはどれか。

 

  1. 「心配なら3か月の短期母乳栄養で人工乳に切り替えましょう」
  2. 「母乳を一度冷凍してから与えるようにしましょう」
  3. 「混合栄養に切り替えて母乳の量を減らしましょう」
  4. 「母乳をやめる必要はありません」

 

 


 

次の文を読み53〜55の問いに答えよ。

Aさん(35歳、初産婦)。妊娠39週4日。「赤ちゃんの動きがいつもに比べ少ないように思う」と電話連絡を助産師が受け、来院するように説明した。Aさんは夫に付き添われて来院した。来院時、体温36.5℃、脈拍91/分、血圧136/78mmHg。分娩監視装置を装着したところ胎児心拍数は130〜140bpmであった。内診所見は、子宮口1cm開大、少量の出血がみられた。入院30分後に胎児心拍数が60〜70bpmに低下し、体位変換をしたが回復しないため、助産師は酸素投与を行った。5分後に胎児心拍数が120〜130bpmに回復したため、経過観察した。30分後に遅発性一過性徐脈が出現したため、初めて医師に連絡をした。

 

▶午後53

この経過において助産師の注意義務違反にあたる可能性のある行為はどれか。

 

  1. 電話を受けたときに医師に連絡しなかった。
  2. 来院時の状況を医師に連絡しなかった。
  3. 入院30分後に胎児心拍数が低下したときに医師に連絡しなかった。
  4. 医師に連絡せずに酸素投与を行った。

 

 


 

▶午後54

その後、緊急帝王切開術が行われ、Aさんは2,650gの男児を出産した。Apgar〈アプガー〉スコアは1分後1点、5分後5点。夫は医師から「赤ちゃんが生まれる前に胎盤が先に剝がれ、赤ちゃんの具合が悪くなったので緊急手術をしました。赤ちゃんの回復のために集中治療室のある病院へ搬送します」と説明を受けた。搬送後に夫はうつむいて頭を抱え「何が悪かったのでしょう。自分には何ができるのでしょうか」と言っている。
このときの夫への助産師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「まずはゆっくり休んでください」
  2. 「今はAさんのそばについていてあげましょう」
  3. 「すぐに原因を調査する委員会が設置されます」
  4. 「胎盤が先に剝がれた原因について考えましょう」

 

 


 

▶午後55

その後、児は重度脳性麻痺となる可能性が高いと指摘された。Aさんが助産師へ「産科医療補償制度が受けられると聞いたのですが、詳しく教えてください」と話した。
説明で正しいのはどれか。

 

  1. 「原因分析の結果が家族に伝えられます」
  2. 「18歳まで経済的支援が受けられます」
  3. 「申請期限はありません」
  4. 「申請先は市町村です」

 

 


 

資料 厚生労働省「第102回保健師国家試験、第99回助産師国家試験、第105回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

平成29年2月16日実施の第100回助産師国家試験の全問題と正答を掲載します。

 

また、内容に応じて衛生テキスト「国民衛生の動向2024/2025」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。

 

分野別解説付き問題まとめ

を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。

 

なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

発売日:2024.8.27

定価:2,970円(税込)

412頁・B5判

雑誌コード:03854-08

 

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▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

第100回助産師国家試験目次

 

 

第100回助産師国家試験・午前(55問)

 

▶午前1

遺伝性疾患で正しいのはどれか。

 

  1. 常染色体劣性遺伝疾患では患児の同胞の遺伝的危険率は1/2である。
  2. 近親婚では児が常染色体劣性遺伝疾患を発症する可能性が低くなる。
  3. 両親が正常であっても常染色体優性遺伝疾患の児が生まれる。
  4. X連鎖劣性遺伝疾患は女児に発症する。

 

 


 

▶午前2

Aさん(33歳、初産婦)は、陣痛発来後20時間で体重3,250gの男児を頭位で経腟分娩した。出生直後の児頭には、頭頂部方向に伸びる形で変形があり、左側前方に産瘤が認められた。
産道通過の状態として推測されるのはどれか。

 

  1. 第1胎向であった。
  2. 大泉門側が先進していた。
  3. 小泉門は母体の前方であった。
  4. 小斜径周囲面が児頭最大通過面となって産道を下降した。

 

 


 

▶午前3

疾患と徴候の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 深部静脈血栓症――Homans〈ホーマンズ〉徴候
  2. 絨毛膜下血腫――Blumberg〈ブルンベルグ〉徴候
  3. 前置胎盤――Piskacek〈ピスカチェック〉徴候
  4. 胎児水腫――スカーフ徴候

 

 


 

▶午前4

30歳の初妊婦。身長161cm、体重88kg(非妊時体重78kg)。妊娠前に高血圧症を指摘されていたが、薬物治療は行われていなかった。妊娠初期は尿蛋白が陰性であった。妊娠33週0日、妊婦健康診査で、体温37.0℃、脈拍78/分、整、血圧156/108mmHg。動悸、息切れなどの訴えはない。浮腫はない。尿蛋白3+、尿糖(-)、1日尿蛋白量は2.7g/日であった。腹部超音波検査では、胎児推定体重1,970g、胎児形態異常はない。
この時点で考えられるのはどれか。

 

  1. 加重型妊娠高血圧腎症
  2. ネフローゼ症候群
  3. 高血圧合併妊娠
  4. 妊娠高血圧

 

 


 

▶午前5

24歳の初産婦。妊娠37週3日、自然に陣痛が発来した。陣痛開始から5時間後の胎児心拍数陣痛図を別に示す。
100am5j
判読で正しいのはどれか。

 

  1. 早発一過性徐脈
  2. 遅発一過性徐脈
  3. 変動一過性徐脈
  4. 遷延一過性徐脈

 

 


 

▶午前6

妊娠38週0日で、骨盤位のため腰椎麻酔による予定帝王切開術で体重3,300gの児を分娩した褥婦。手術室から褥室に帰室した。
手術当日のケアで最も適切なのはどれか。

 

  1. セミファウラー位とする。
  2. 3時間ごとに搾乳を行う。
  3. 両下肢の間欠的空気圧迫法を行う。
  4. 創部をポビドンヨードで消毒する。

 

 


 

▶午前7

妊婦健康診査の費用について正しいのはどれか。

 

  1. 妊婦1人当たりの公費負担額は全国一律である。
  2. 妊婦健康診査の助成費用は薬剤処方に利用できる。
  3. 日本助産師会が示す助産師業務料金に基づく必要がある。
  4. 転出した場合は転出前の自治体の受診券は利用できない。

 

 


 

▶午前8

震度6強の地震が発生した。病院内では火災の発生や建物の倒壊がないことが確認された。
このときの助産師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 母児は別々に避難させる。
  2. 避難経路は受け持ち助産師が決める。
  3. 新生児はコットに寝かせて避難させる。
  4. 分娩第2期進行中の産婦は分娩を終了させてから避難させる。

 

 


 

▶午前9

Aさん(16歳)は、無月経を主訴に母親とともに産婦人科を受診した。外性器は女性型で、婦人科的診察および超音波検査にて腟と子宮が確認された。染色体検査の結果を別に示す。
100am9j
考えられる疾患はどれか。

 

  1. 多囊胞性卵巣症候群
  2. Turner〈ターナー〉症候群
  3. Sheehan〈シーハン〉症候群
  4. Asherman〈アッシャーマン〉症候群
  5. Klinefelter〈クラインフェルター〉症候群

 

 


 

▶午前10

経腟分娩後に発生した腟壁血腫が増大し、膀胱側腔まで拡大した。
動脈塞栓術によって止血を行う場合、塞栓の対象となるのはどれか。

 

  1. 腎動脈
  2. 卵巣動脈
  3. 下腹壁動脈
  4. 総腸骨動脈
  5. 内腸骨動脈

 

 


 

▶午前11

胎盤に関して正しいのはどれか。

 

  1. 一絨毛膜性双胎では胎盤が2つ形成される。
  2. 母体血は臍帯動脈を通って絨毛間腔に入る。
  3. 水溶性物質は脂溶性物質より通過性が高い。
  4. 母児間の物質交換は絨毛細胞を介して行われる。
  5. 血中hCG〈ヒト絨毛性ゴナドトロピン〉は妊娠末期まで漸増する。

 

 


 

▶午前12

胎児の神経管閉鎖障害の予防を目的とした妊娠中の1日当たりの葉酸の推奨摂取量として適切なのはどれか。

 

  1. 10μg
  2. 20μg
  3. 120μg
  4. 240μg
  5. 480μg

 

 


 

▶午前13

正常新生児の特徴で正しいのはどれか。

 

  1. 追視ができる。
  2. 視力は0.2程度である。
  3. 音への反応はみられない。
  4. 呼吸は主に口呼吸である。
  5. 甘味の濃淡の識別ができる。

 

 


 

▶午前14

Aさん(32歳、初妊婦)。妊娠30週0日、妊婦健康診査のため来院した。妊娠9週0日に妊娠と診断されて以降、妊婦健康診査を受診していなかった。身長155cm、体重80kg(非妊時体重68kg)。血圧138/80mmHg。下腿に軽度の浮腫が認められた。尿蛋白+、尿糖2+。超音波検査で胎児推定体重2,100g、AFI24.0、子宮頸管長35mm。子宮収縮の自覚はない。血液検査データは、Hb11.5g/dL、Ht33%、空腹時血糖144mg/dLであった。
Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 外来で食事指導を行う。
  2. 50gGCTを行う。
  3. 75gOGTTを行う。
  4. 羊水検査を行う。
  5. 入院し血糖コントロールを行う。

 

 


 

▶午前15

Aさん(28歳、女性)は、小児期にてんかんと診断され、現在までカルバマゼピンを服用している。Aさんは今後、妊娠したいと考えており、妊娠に関する相談のため産婦人科を訪れた。
Aさんに情報提供する内容で正しいのはどれか。

 

  1. 妊娠前からビタミンB1の内服を行う。
  2. 妊娠後期に抗てんかん薬の服用量を減らす必要がある。
  3. 分娩前からビタミンKの内服を行う。
  4. 抗てんかん薬による胎児への影響はない。
  5. てんかん発作が生じても胎児への影響はない。

 

 


 

▶午前16

微弱陣痛の原因となるのはどれか。

 

  1. 前期破水
  2. 羊水過多
  3. 子宮内感染
  4. 頸管無力症
  5. 胎児発育不全〈FGR〉

 

 


 

▶午前17

乳幼児の感染症と原因ウイルスの組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 手足口病――アデノウイルス
  2. 突発性発疹――コクサッキーウイルス
  3. 咽頭結膜熱――ヒトパピローマウイルス〈HPV〉
  4. へルパンギーナ――単純ヘルペスウイルス
  5. 急性細気管支炎――RSウイルス

 

 


 

▶午前18

Aさん(39歳、初産婦)。非妊時BMI24。妊娠18週の妊婦健康診査時、体重が非妊時から7kg増加、前回の14週時から3kg増加していることを指摘された。その他の妊娠経過に問題はない。「仕事が忙しく夕食が遅い時間になる。外食ばかりで栄養バランスがよくないとは思っているが、なかなか改善できない。高齢出産だから異常になりやすいのも心配」と言った。
このときのAさんへの対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 母親学級への参加を勧める。
  2. 体重管理のための食生活を一緒に考える。
  3. 産前休業に入って意識が変化するのを待つ。
  4. 生活行動の問題点について解決策を提示する。
  5. 体重増加が続いた場合の危険性について強調して説明する。

 

 


 

▶午前19

40歳の初妊婦。妊娠16週0日に母体血を用いた非侵襲的出生前遺伝学的検査〈NIPT〉を受けたところ、異常が指摘された。
助産師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 妊婦の両親に意見を聞くよう勧める。
  2. 羊水検査の実施について夫婦の意思を確認する。
  3. 染色体異常の児を持つ親の会について情報提供を行う。
  4. 妊娠の継続について夫婦でよく相談して決めるよう話す。
  5. 人工妊娠中絶は妊娠21週6日まで可能であると説明する。

 

 


 

▶午前20

Seitz〈ザイツ〉法について正しいのはどれか。

 

  1. 胎児の頤部の位置が把握できる。
  2. 骨盤内への児頭の進入の程度を判断する。
  3. 陰性であれば児頭骨盤不均衡〈CPD〉ではない。
  4. 恥骨結合下縁から岬角中央部の距離が把握できる。
  5. 恥骨結合前面が児頭より高く触れる場合は陽性となる。

 

 


 

▶午前21

Aさん(32歳、1回経産婦)は、妊娠35週3日に常位胎盤早期剝離のため緊急帝王切開術で分娩した。術後の血液検査で播種性血管内血液凝固〈DIC〉と診断された。体温37.2℃、脈拍70/分、血圧135/80mmHg。
このときのAさんに投与されるのはどれか。

 

  1. 降圧薬
  2. ジアゼパム
  3. 新鮮凍結血漿
  4. 硫酸マグネシウム
  5. ヘパリンナトリウム

 

 


 

▶午前22

骨盤と胎児を図に示す。
100am22j
胎児の位置で正しいのはどれか。

 

  1. 斜位
  2. 反屈位
  3. 単殿位
  4. 第2分類
  5. 第1胎向

 

 


 

▶午前23

助産業務ガイドライン2014に基づき、正常分娩急変時に経産婦を助産所から搬送すべき状況はどれか。

 

  1. 羊水が淡黄色である。
  2. 第2度の会陰裂傷がある。
  3. 母体の体温が37.5℃である。
  4. 破水後24時間経過したが陣痛が発来しない。
  5. 子宮口全開大から1時間経過したが分娩が進行しない。

 

 


 

▶午前24

Aさん(37歳、1回経産婦)。妊娠25週3日で妊婦健康診査のため来院した。これまでの妊娠経過は順調である。前回の妊娠では妊娠31週で起床後に胎動を感じず、外来を受診したところ子宮内胎児死亡と診断された。原因は不明であった。Aさんは助産師に「寝ている間に赤ちゃんが死んでしまうのではないかと気になって熟睡できない」と話した。
助産師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 夜間に数回起きて胎動を確認するよう勧める。
  2. 主治医に睡眠薬を処方してもらうよう勧める。
  3. 妊娠中の胎児に関心が向くような話題を提供する。
  4. 妊娠経過が順調であるため再度起こることはないと伝える。
  5. 今後の妊娠管理について主治医と助産師を交えて相談することを提案する。

 

 


 

▶午前25

Aさん(23歳、初産婦)。妊娠40週4日。前日20時に陣痛発来で入院した。23時に排尿があったが、その後尿意はなく排尿はみられていない。最後の排便は2日前であった。現在7時で、内診所見は、子宮口7cm開大、展退度100%、Station±0、胎胞を触れた。胎児心拍数陣痛図で陣痛間欠3〜4分、陣痛発作40〜50秒。Aさんは、陣痛発作時には顔をしかめて辛そうであり、前日の夜からほとんど眠れていない。強い悪心に伴って嘔吐があり、食欲はない。
この時点でのAさんへの援助で最も適切なのはどれか。

 

  1. 室内歩行を促す。
  2. 炭酸飲料を勧める。
  3. トイレでの排尿を促す。
  4. グリセリン浣腸を実施する。
  5. 消化の良い食べ物を勧める。

 

 


 

▶午前26

Aさん(35歳、経産婦)。帝王切開術で体重2,600gの女児を出産し、1か月健康診査で来院した。産褥経過は良好であった。2年前、帝王切開術で体重2,780gの女児を出産した。Aさんは「夫はもう1人子どもが欲しいと言っているが、私は2人で十分だと思っている」と助産師に話した。Aさんは母乳栄養を行っている。喫煙5本/日。
Aさんに勧められる避妊方法として最も適切なのはどれか。

 

  1. 卵管結紮術
  2. コンドーム
  3. 基礎体温法
  4. 低用量経口避妊薬
  5. 子宮内避妊器具〈IUD〉

 

 


 

▶午前27

エジンバラ産後うつ病自己評価票について正しいのはどれか。

 

  1. 20項目の質問から構成される。
  2. 産後うつ病を診断するために用いる。
  3. 9点以上は産後うつ病疑いと判定する。
  4. 対象は産後うつ病のハイリスク者である。
  5. 産後うつ病とマタニティブルーズとの鑑別ができる。

 

 


 

▶午前28

在胎38週4日、体重1,700gで出生した男児。低体重のため保育器に収容された。呼吸障害はなかった。生後8時間から哺乳を開始。生後24時間で無呼吸とともに両側上肢の間代性けいれんが30秒間認められたため、血液検査が行われた。
この児の血液生化学所見でけいれんの原因はどれか。

 

  1. 血糖値 60mg/dL
  2. 血清カリウム 3.0mEq/L
  3. 血清ナトリウム 130mEq/L
  4. 血清カルシウム 6.5mg/dL
  5. 血清総ビリルビン 10.0mg/dL

 

 


 

▶午前29

生後1日の女児。在胎40週0日、体重3,300gで出生し、生後6時間から母乳を開始した。生後12時間で肉眼的黄疸が出現した。母の血液型はO型Rh(-)、父の血液型はA型Rh(+)、児の血液型はA型Rh(+)であった。児の赤血球の直接Coombs〈クームス〉試験は陰性で、成人A型血球による間接Coombs〈クームス〉試験は陽性であった。
この児の黄疸の原因として最も考えられるのはどれか。

 

  1. 母乳性黄疸
  2. Rh式血液型不適合
  3. 遺伝性球状赤血球症
  4. ABO式血液型不適合
  5. 不規則抗体による血液型不適合

 

 


 

▶午前30

早期新生児期に高カリウム血症をきたすおそれがあるのはどれか。

 

  1. 先天性甲状腺機能低下症
  2. 先天性副腎皮質過形成症
  3. メープルシロップ尿症
  4. フェニルケトン尿症
  5. ガラクトース血症

 

 


 

▶午前31改題

日本の令和2年(2020年)の助産師の就業状況について正しいのはどれか。

 

  1. 就業者数は保健師よりも多い。
  2. 助産所での就業割合は約6%である。
  3. 就業場所は病院よりも診療所の方が多い。
  4. 就業者数は過去10年間で減少傾向にある。
  5. 就業者数は30歳代より50歳代の方が多い。

 

 


 

▶午前32

産科病棟で退院時の母乳栄養の割合を上げるための病棟目標を設定することになった。
目標設定について最も適切なのはどれか。

 

  1. 評価は質的な指標で行う。
  2. 産科外来の目標とは連動させない。
  3. 目標達成の期日は具体的に設定する。
  4. 実現性よりも理想的な目標を設定する。
  5. 個人目標をもとに病棟目標を設定する。

 

 


 

▶午前33

母子保健法に定められているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 妊婦健康診査
  2. 養育医療の給付
  3. 食育等推進事業
  4. 新生児聴覚検査
  5. 乳児家庭全戸訪問事業

 

 


 

▶午前34

トリコモナス腟炎について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 原因は真菌である。
  2. 不妊症の原因になる。
  3. プールでは感染しない。
  4. 泡沫状の帯下が増加する。
  5. 子宮頸部の点状出血が特徴である。

 

 


 

▶午前35

妊娠期のプロゲステロンについて正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 子宮筋の収縮に抑制的に働く。
  2. 血中濃度は妊娠12週で最大となる。
  3. 前駆体は胎児のコレステロールである。
  4. 胎児の肝臓で代謝され母体尿中に排泄される。
  5. 産生部位は妊娠8週以降に妊娠黄体から胎盤に移行する。

 

 


 

▶午前36

妊婦の喫煙によって胎児や胎盤の低酸素状態をもたらす有害物質はどれか。2つ選べ。

 

  1. ニコチン
  2. フッ化水素
  3. 一酸化炭素
  4. ダイオキシン
  5. シアン化合物

 

 


 

▶午前37

Aさん(22歳)。神経性食欲不振症の治療中に妊娠が判明した。現在、妊娠7週3日、身長160cm、体重40kgである。Aさんは数日前から悪心を訴えている。
今後注意すべき合併症はどれか。2つ選べ。

 

  1. 周産期心筋症
  2. 高カリウム血症
  3. 甲状腺クリーゼ
  4. 胎児神経管閉鎖障害
  5. 胎児発育不全〈FGR〉

 

 


 

▶午前38

正常分娩にて児が出生した。臍帯切断後、陰裂近くの臍帯を止めたコッヘル鉗子が下降し、恥骨結合上の腹部を圧迫すると臍帯が下降し胎盤が娩出した。
この場合の胎盤剝離徴候はどれか。2つ選べ。

 

  1. Küstner〈キュストナー〉徴候
  2. Schröder〈シュレーダー〉徴候
  3. Ahlfeld〈アールフェルド〉徴候
  4. Strassmann〈ストラスマン〉徴候
  5. Mikulicz-Radecki〈ミクリッツ・ラデッキィ〉徴候

 

 


 

▶午前39

生後3日の新生児にみられる状態で正常なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 側弯反射
  2. 15%の体重減少
  3. 静脈管の機能的閉鎖
  4. 動脈管の器質的閉鎖
  5. Landau〈ランドー〉反射

 

 


 

▶午前40

第1前方後頭位における左側臥位での分娩介助で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 産婦の右下肢を補助者が抱えて開脚させる。
  2. 後頭結節が恥骨弓下を滑脱するまで児頭を会陰の方向に引き下げる。
  3. 母体右側の大陰唇の裂傷に注意して娩出させる。
  4. 第4回旋は児の右肩が母体の恥骨側に向かうように娩出させる。
  5. 児の体幹は母体の殿部に向かうように娩出させる。

 

 


 

次の文を読み41〜43の問いに答えよ。

助産師Aさんは、母校の女子高校の依頼を受けて1年生130人を対象に、女性としての自分の身体を理解し、セルフケア意識を持たせることを目的として健康教育を行うことになった。健康教育の実施にあたり事前に高校と打ち合わせを行った。1年生の入学時の身体計測値の平均は全国平均と同等であった。

 

▶午前41

この集団の身体的特徴で正しいのはどれか。

 

  1. 骨量のピークを迎えている。
  2. 月経の持続日数は成人より短い。
  3. 身長の年間増加量のピークを迎えている。
  4. 性成熟期と比べて無排卵性周期の頻度が高い。
  5. 血中の卵胞刺激ホルモン〈FSH〉値は一生を通じて最大となる。

 

 


 

▶午前42

1年生への健康教育の内容を決めるにあたり、学年主任の教員から生徒の生活習慣に関する情報収集を行った。高学年になるにつれて、休日にアルバイトをしている生徒やボーイフレンドのいる生徒が多くなるという。
健康教育で扱う内容として優先度が高いのはどれか。

 

  1. 性感染症〈STD〉予防
  2. 女性の健康とキャリア形成
  3. 妊娠に向けた健康な身体づくり
  4. 第二次性徴がもたらす身体の変化
  5. ベビー人形を用いた抱っこの演習

 

 


 

▶午前43

健康教育を実施した当日、Aさんが後片付けをしていると、1人残っていた生徒が「自分は幼稚園のころからスカートをはくのが嫌いで、男の子と遊んでいるほうが楽しかった。胸が膨らんできて、生理がある自分の体が嫌で違和感がある」と真剣な表情で話しかけてきた。
この生徒へかける言葉として適切なのはどれか。

 

  1. 「今は勉強に集中しましょう」
  2. 「誰にも言わないでおきましょう」
  3. 「自分の気持ちを否定する必要はありませんよ」
  4. 「ボーイフレンドができれば気持ちは変わりますよ」
  5. 「サポートチームを作るよう先生にお願いしてみましょう」

 

 


 

次の文を読み44〜46の問いに答えよ。

Aさん(38歳、1回経産婦)。妊娠28週3日。これまでの妊娠経過に異常はなかった。突然、自宅で性器出血があり、かかりつけの産婦人科診療所を受診した。診察時、腟内に約100mLの血液貯留を認め、子宮口から少量の出血が持続していた。子宮に痛みの自覚はなかった。直ちに総合周産期母子医療センターに救急搬送され入院した。
既往歴:24歳のときにクラミジア頸管炎のため抗菌薬治療を受けた。35歳のときに骨盤位のため妊娠38週で予定帝王切開術によって出産した。
生活歴:喫煙20本/日、妊娠後は5本/日まで減らしている。
家族歴:実父が糖尿病および高血圧症の治療中である。
身体所見:身長150cm、体重70kg(非妊時体重60kg)。脈拍70/分、血圧132/80mmHg。子宮口は閉鎖。腟内に凝血塊を認めるが、取り除くと出血は止まっていた。NSTでは胎児心拍数に異常はなく、15分に1回程度の弱い子宮収縮を認める。
検査所見:血液検査の結果、感染徴候はなく、凝固系に異常を認めない。

 

▶午前44

入院後に撮影されたAさんの骨盤MRIを別に示す。
100am44j
最も疑われるのはどれか。

 

  1. 副胎盤
  2. 前置胎盤
  3. 部分胞状奇胎
  4. 不全子宮破裂
  5. 慢性胎盤剝離羊水過少症候群

 

 


 

▶午前45

入院後、リトドリン塩酸塩の点滴静脈内注射によって子宮の収縮は消失し、性器出血も見られなくなった。Aさんは動悸と倦怠感を訴えている。Aさんにベタメタゾンの筋肉内注射を行うことになった。
ベタメタゾンの投与にあたり医師と助産師がAさんに行う説明で適切なのはどれか。

 

  1. 「子宮内の感染を予防します」
  2. 「動悸を軽くする効果があります」
  3. 「赤ちゃんの肺の成熟を促します」
  4. 「この薬が胎盤を通過することはありません」
  5. 「リトドリン塩酸塩に対するアレルギー反応を防ぎます」

 

 


 

▶午前46

妊娠32週0日、再度500mLを超える性器出血があり、Aさんは緊急帝王切開術によって体重2,030gの男児を分娩した。手術中の出血が多量となり、腟上部切断術によって子宮体部が摘出され、輸血が行われた。出血量は4,500mLであった。手術後のAさんの経過は良好であり、産褥8日に退院することとなった。Aさんは助産師に「子宮を取ることになったのは残念ですが、何とか無事に退院でき、ほっとしています。今後はどんなことに気を付ければいいでしょうか」と話した。
助産師が情報提供を行う内容として最も適切なのはどれか。

 

  1. 「尿漏れが起きやすくなります」
  2. 「エストロゲンを補充する必要があります」
  3. 「輸血後の感染症の抗体検査は必要ありません」
  4. 「今後も子宮頸がん検診を受ける必要があります」

 

 


 

次の文を読み47〜49の問いに答えよ。

30歳の初産婦。妊娠41週3日に陣痛が発来したため入院した。妊婦健康診査で、HBs抗原陽性、HBe抗原陰性。その他の異常は指摘されていなかった。入院時、子宮口8cm開大。直ちに分娩監視装置を装着したところ軽度の変動一過性徐脈が認められた。入院から1時間後に児を娩出した。娩出時に血性羊水が認められた。出生直後、児の啼泣は弱く、筋緊張が低下していたため、インファントラジアントウォーマー下で児の足底を刺激した。出生から30秒後には、あえぎ呼吸で心拍数は6秒間に8回であった。体重は3,000g前後、外表奇形は認められない。

 

▶午前47

このときの児に対する処置を別に示す。
100am47j
最も優先されるのはどれか。

 

 

 


 

▶午前48

出生後の適切な処置によって児の全身状態は改善した。
B型肝炎の母子感染を予防するために行う出生直後の対応として正しいのはどれか。

 

  1. 児への抗HBsヒト免疫グロブリンの皮下注射
  2. 児へのB型肝炎ワクチンの皮下注射
  3. 臍帯血のHBs抗原の測定
  4. 児のHBs抗原の測定

 

 


 

▶午前49

生後8時間に経口哺乳を開始した。生後1日にビタミンK2シロップを投与し、人工乳による補足を開始した。生後3日に血便がみられ、アプト試験で変色なし、血便の検査で好酸球の集積が認められた。呼吸状態や哺乳力に異常はなかった。
この児の血便の原因として最も考えられるのはどれか。

 

  1. 新生児メレナ
  2. 母体血の嚥下
  3. ミルクアレルギー
  4. 胎便関連性腸閉塞
  5. 新生児壊死性腸炎

 

 


 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。

Aさん(38歳、1回経産婦)。妊娠36週5日。これまでの妊娠経過に異常はなかった。家事をしていたとき、少量の出血があり総合病院の産婦人科に来院した。Aさんは「出血と同時に水が流れる感じもあったが、最近は尿漏れが少しあり、破水かどうかはっきりしない」と言う。前回は正期産の経腟分娩であった。腟鏡診で後腟円蓋に少量の淡血性の貯留液を認めたが、視診では破水の有無は明らかではなかった。子宮口1.5cm開大、展退度30%、Station-2、子宮頸管の硬度は中、子宮口の位置は後方であった。児は頭位であり、卵膜を触知する。

 

▶午前50

破水を確認するために行う検査として最も適切なのはどれか。

 

  1. 腟分泌物のインスリン様成長因子結合蛋白1型定性
  2. 頸管内顆粒球エラスターゼ定量
  3. 超音波によるAFI測定
  4. 腟分泌物のグラム染色
  5. 胎便中トリプシン定量

 

 


 

▶午前51

Aさんは前期破水と診断され、入院した。破水後12時間が経過し、羊水の流出感が増したため助産師が診察すると、卵膜を触れず、児頭を直接触知した。破水後21時間には、母体の発熱がみられ、内診で子宮口2cm開大、展退度40%、Station-2、子宮頸管の硬度は中、子宮口の位置は後方であった。黄色透明の羊水が流出しており、悪臭はない。子宮に圧痛はない。体温38.1℃、脈拍80/分、血圧120/80mmHg。血液検査の結果は、白血球15,500/μL、Hb9.5g/dL、血小板17万/μL、CRP1.0mg/dLであった。このときの胎児心拍数陣痛図を別に示す。
100am51j
現在のAさんの状態のアセスメントとして正しいのはどれか。

 

  1. 臨床的絨毛膜羊膜炎
  2. 胎児機能不全
  3. 母体敗血症
  4. 遷延分娩

 

 


 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。

Aさん(41歳、初産婦)。人工授精にて妊娠。予定帝王切開術にて男児を出産した。産褥8日、母子ともに出産後の経過は順調で、児の体重2,800gで退院した。夫は単身赴任で、現在子どもと2人暮らし。実父母は県外で暮らしている。退院後3週間は実母が手伝いに来ていた。1か月健康診査では母子ともに健康であり、児の体重は3,800gであった。

 

▶午前52改題

産後6週0日。Aさんは、地域の助産所の母乳相談を訪れ「子どもが先週から夜に寝てくれなくて体が休まらない。疲れて家事も思うようにならない。母が帰ってから相談できる人がいない。母乳が足りないのかな」と訴えた。助産師がAさんの全身状態を観察した結果、褐色の悪露が少量あり、子宮底は恥骨上に硬く触れた。バイタルサインは正常であった。乳房は柔らかく、両乳房の乳管開口数10本程度で射乳あり。1日の授乳回数は7、8回程度。児の体重は現在4,250gであり、皮膚のトラブルはなかった。
Aさんと児の状態のアセスメントで適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 児に健康問題がある。
  2. 育児技術が未熟である。
  3. 子宮復古不全が疑われる。
  4. 母乳分泌が不足している。
  5. 育児のサポートが不足している。

 

 


 

▶午前53

Aさんは、2週後に母乳相談の予約をしていたが来所しなかった。翌日助産師は連絡を取り自宅を訪問した。家の中は物が散乱しており、Aさんは疲弊した表情で「もう疲れました。泣いている子どもを見ると、私も涙が止まらない。何もする気が起こらず、自分のことはどうでもよくなってしまう」と話した。助産師はAさんの気持ちをしばらく傾聴した。児の健康状態は良好であった。
その後の助産師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 地域の育児サークルを紹介する。
  2. 母乳相談に来所するよう勧める。
  3. 児を乳児院に一時的に預ける。
  4. 地域の保健師と連携する。

 

 


 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。

在胎29週0日、体重1,400gで出生した男児。NICUに入院後に呼吸窮迫症候群〈RDS〉のため気管挿管、人工サーファクタントの投与を受けた。生後2日、人工呼吸管理によって呼吸状態は安定していたが、強い啼泣直後に心拍数80/分に低下し、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉が98%から70%に急激に低下した。

 

▶午前54

このときに撮影した胸部エックス線写真を別に示す。
100am54j
突然の呼吸状態の悪化の原因として最も考えられるのはどれか。

 

  1. 急性肺炎
  2. 緊張性気胸
  3. 動脈管開存症
  4. 胎便吸引症候群
  5. 未熟児無呼吸発作

 

 


 

▶午前55

生後2週に頭部超音波検査を施行したところ、両側の脳室周囲にエコー輝度の低い領域が認められた。頭部超音波像を別に示す。
100am55j
この所見について正しいのはどれか。

 

  1. 児の高炭酸ガス血症との関連がある。
  2. アテトーゼ型の脳性麻痺の原因となる。
  3. 子宮内感染の早産児では発症しやすい。
  4. 自閉症スペクトラム障害の原因となる。

 

 

 

第100回助産師国家試験・午後(55問)

 

▶午後1

2011年に改訂されたICM〈国際助産師連盟〉による助産師の定義で示されているのはどれか。

 

  1. 守秘義務
  2. 妊娠の合併症の診断
  3. 女性と助産師の関係性
  4. Traditional Birth Attendant〈TBA〉の指導

 

 


 

▶午後2

絨毛膜羊膜炎の産婦から出生した児で上昇している免疫グロブリンはどれか。

 

  1. IgA
  2. IgD
  3. IgE
  4. IgM

 

 


 

▶午後3

マーサー,R.T.の母親役割獲得理論において、独自の母親役割を修正したり発達させたりする段階はどれか。

 

  1. 予期的段階
  2. 形式的役割取り込み段階
  3. 非形式的役割形成段階
  4. 個人的アイデンティティの形成段階

 

 


 

▶午後4

Aさん(30歳、2回経産婦)。28歳のとき、子宮鏡下手術によって子宮粘膜下筋腫を切除した。妊娠40週6日で予定日超過のため入院し、翌日6時から子宮収縮薬の点滴静脈内注射による分娩誘発を開始し、9時に陣痛が発来した。14時の内診では子宮口全開大、Station+2、破水していた。その直後、Aさんは突然激しい腹痛を訴え、呼吸が速くなった。胎児心拍数陣痛図では変動一過性徐脈が出現し、その後高度徐脈となった。直ちに助産師が内診を行うと児頭を触知できなかった。異常な出血はみられなかった。
このときのAさんの状態で最も考えられるのはどれか。

 

  1. 子宮破裂
  2. 腟壁裂傷
  3. 羊水塞栓症
  4. 常位胎盤早期剝離

 

 


 

▶午後5

Aさん(28歳、初産婦)。妊娠39週0日で正常分娩した。産褥2日、母児同室中である。昨日から右乳頭上部に発赤がみられ、授乳時に痛みがある。乳房の形はⅢ型、乳管の開口数は左右とも2、3本である。
助産師が行うケアとして最も適切なのはどれか。

 

  1. 右乳房の授乳は縦抱きで行うよう指導する。
  2. 乳房を児の口の中に押し込むようにする。
  3. 授乳時の児の吸着状態を確認する。
  4. 痛みがある間は右乳房の授乳は中止するよう説明する。

 

 


 

▶午後6

自分の性別を認識できるようになる年齢はどれか。

 

  1. 1歳ころ
  2. 3歳ころ
  3. 5歳ころ
  4. 7歳ころ

 

 


 

▶午後7

Aさん(33歳、初産婦、会社員)。結婚後3年で妊娠。パートナーと2人暮らしで、勤務歴は10年。妊娠28週0日、妊婦健康診査のため受診し、経過は順調であった。診察後に、Aさんは助産師に「職場では妊娠を経験した人がいないので気持ちを分かってもらえない。妊娠は初めてのことなので、少しおなかが張ったりするとすぐ不安になってしまう。パートナーは妊娠を喜んでいるので、体調が悪いときも心配させないように明るく振る舞うようにしている。1人でいると落ち込んで涙が出ることがある」と訴えた。
Aさんの訴えを受け止めた後の助産師の対応として最も適切なのはどれか。

 

  1. 「この時期の不安はよくあることです」
  2. 「パートナーに不安な気持ちを話してみましょう」
  3. 「体調が悪いときは、遠慮せずに仕事を休みましょう」
  4. 「妊娠の経過は順調なので、気にせずに頑張りましょう」

 

 


 

▶午後8

30歳の初産婦。妊娠41週で体重3,800gの男児を経腟分娩で出産した。8年前に統合失調症と診断され、精神科に通院し向精神薬を内服している。羊水混濁+、Apgar〈アプガー〉スコアは1分後6点、5分後8点であった。生後1日、児は啼泣時に下顎と両側上肢の震えがみられる。安静時の体温37.0℃、呼吸数40/分、心拍数200/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%。呻吟や努力性呼吸はない。血糖値は60mg/dLであった。
このときの児の全身状態に直接関連しているのはどれか。

 

  1. 血糖値
  2. 羊水混濁
  3. 向精神薬からの離脱
  4. 1分後のApgar〈アプガー〉スコア

 

 


 

▶午後9

新生児および乳児のビタミンK欠乏性出血症の予防について適切なのはどれか。

 

  1. ビタミンK2シロップは5%ブドウ糖液で希釈して投与する。
  2. 母乳栄養児では母親にビタミンKが豊富な食事摂取を勧める。
  3. 1か月児健康診査時に2回目のビタミンK2シロップを投与する。
  4. 人工栄養児では3か月までビタミンK2シロップを投与する必要がある。

 

 


 

▶午後10

Aさん(33歳、初産婦)は、妊娠39週4日に体重3,380gの男児を正常分娩した。妊娠32週に妊娠糖尿病と診断され、インスリン治療を受けていた。出生2時間後に児は呼吸数80/分、心拍数160/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉88%、血糖値24mg/dLであった。児はNICUに入院し、保育器内で酸素投与とブドウ糖液の点滴静脈内注射が開始された。出生3時間後に児は呼吸数80/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉93%(保育器内酸素濃度40%)、血糖値は80mg/dLとなった。このとき、Aさんは初めてNICUを訪れた。
NICUの助産師がAさんへ最初に行う対応で適切なのはどれか。

 

  1. 児を抱っこするよう促す。
  2. 人工乳の与え方を指導する。
  3. 保育器内で児にタッチングするよう促す。
  4. 感染予防対策として児への面会は最小限とするよう説明する。

 

 


 

▶午後11

出生時と1か月児健康診査時の児の身体計測値を表に示す。
100pm11j
1か月児健康診査時の身体計測値のうち、精査を必要とするのはどれか。

 

  1. 体重
  2. 身長
  3. 頭囲
  4. 胸囲

 

 


 

▶午後12改題

日本の令和4年(2022年)の出生に関する統計で正しいのはどれか。

 

  1. 純再生産率は1.3である。
  2. 出生数は約100万人である。
  3. 沖縄県の合計特殊出生率は低率である。
  4. 母の年齢階級別出生率をみると30~34歳が最も高い。

 

 


 

▶午後13

次世代育成支援対策推進法について正しいのはどれか。

 

  1. 妊産婦に対してマタニティマークの携帯を推進する。
  2. 急速な少子化の進行を踏まえて策定された法律である。
  3. 次世代育成支援対策は3年ごとに取り組みを評価する。
  4. 常時雇用の従業員が50人以上の企業は行動計画の策定が義務付けられている。

 

 


 

▶午後14

助産外来の運営についてPDCAサイクルのAに該当するのはどれか。

 

  1. 運営方法を決める。
  2. 実施状況を調査する。
  3. 計画に従って運営する。
  4. 評価結果を参考に運営方法を変更する。

 

 


 

▶午後15

Aさん(28歳、女性)は妊娠初期の血液検査で早期の梅毒と診断された。
このときのAさんへの梅毒に関する説明で正しいのはどれか。

 

  1. 「パートナーは検査の必要がありません」
  2. 「テトラサイクリン系抗菌薬で治療を開始します」
  3. 「胎児への感染を防止することはできません」
  4. 「分娩後に血液検査で赤ちゃんの先天感染の有無を確認します」
  5. 「治療が終了しても母乳は与えられません」

 

 


 

▶午後16

胎児の器官形成と機能的発育に関して正しいのはどれか。

 

  1. 心血管系の基本的な形態は妊娠8週までに完成する。
  2. 中枢神経系の奇形感受性は妊娠10週が最大である。
  3. 胎児の尿産生は妊娠20週ころから始まる。
  4. 呼吸様運動は妊娠25週ころから始まる。
  5. 羊水の嚥下運動は妊娠30週ころから始まる。

 

 


 

▶午後17

在胎39週5日、体重3,200gで吸引分娩によって出生した女児。生後30日に1か月児健康診査のため来院した。完全母乳栄養で、体重は4,000g。母親は児の頭血腫と黄疸が消失しないことを心配している。頭血腫は出生直後より小さくなったが、現在も触知できる。便色は黄土色で、時々便に血液が混入するという。排便は10回/日で、肛門周囲の皮膚に発赤と一部びらんとがみられる。
この児にみられた所見のうち、直ちに精査を必要とするのはどれか。

 

  1. 便色
  2. 黄疸の遷延
  3. 体重増加率
  4. 頭血腫の残存
  5. 便への血液混入

 

 


 

▶午後18

正期産の分娩進行中に、間欠的胎児心拍数聴取で異常がない場合でも、児の娩出まで胎児心拍数陣痛図による連続的モニタリングを行うことが必要なのはどれか。

 

  1. 若年の産婦
  2. 前期破水後
  3. 低身長の産婦
  4. 妊娠高血圧症候群
  5. 胎児推定体重3,800g

 

 


 

▶午後19

緊急避妊を目的としたレボノルゲストレルの内服に関する指導内容として適切なのはどれか。

 

  1. 3.0mgを2回内服する。
  2. 妊娠阻止率は99%以上である。
  3. 内服後7日間は他の避妊手段は必要ない。
  4. 性交後72時間以内であればいつ内服しても効果は変わらない。
  5. 次回の月経の経血量が通常より少なかった場合は妊娠検査を受ける。

 

 


 

▶午後20

37歳の初妊婦。妊娠28週4日、妊婦健康診査で来院した。1日に数回の子宮収縮の自覚がある。既往歴および家族歴に特記すべきことはない。血圧128/78mmHg。尿蛋白(-)、尿糖+。血液検査データは、Hb11.5g/dL、Ht36%。75gOGTTで空腹時血糖90mg/dL、1時間値172mg/dL、2時間値160mg/dLであった。子宮底長25cm。子宮口は閉鎖、子宮頸管長32mm。児は骨盤位で胎児推定体重1,020g。
このときのアセスメントで適切なのはどれか。

 

  1. 正常経過
  2. 切迫早産
  3. 妊娠糖尿病
  4. 妊娠性貧血
  5. 胎児発育不全〈FGR〉

 

 


 

▶午後21

Aさん(29歳、2回経産婦)。妊娠38週4日、午前5時に自宅で少量の褐色帯下がみられたため、かかりつけの産科病院に電話連絡をした。Aさんは、15分に1回の不規則で弱い子宮収縮を感じており、胎児はよく動いていること、2日前の妊婦健康診査では子宮口が2cm開大していると言われたこと、前回の分娩では陣痛発来から分娩まで4時間であったことを助産師に伝えた。これまでの出産はいずれも正常分娩であった。
来院の必要性を判断するために最も重要な情報はどれか。

 

  1. 胎児の推定体重
  2. 第2子の出生体重
  3. 病院までの所要時間
  4. 妊娠中の体重増加量
  5. 次の妊婦健康診査の予約日

 

 


 

▶午後22

正期産において、陣痛発来前に経産婦よりも初産婦で生じやすいのはどれか。

 

  1. 外子宮口の開大
  2. 外陰部の静脈瘤
  3. 子宮頸部の軟化
  4. 子宮頸管の展退
  5. 腹直筋の離開

 

 


 

▶午後23

回旋異常(前方前頭位)が生じている児頭および骨盤の状態を図に示す。先進部はStation+4である。
100pm23j
骨盤内における児頭の最大周囲径の高さはどれか。

 

  1. 高在
  2. 高中在
  3. 低中在
  4. 低在
  5. 出口部

 

 


 

▶午後24

Aさん(38歳、1回経産婦)は、陣痛発来後2時間で体重3,650gの女児を経腟分娩した。分娩時の出血量は650mLであった。分娩直後に産道裂傷は認めなかった。Aさんは分娩30分後から下腹部痛の増強を訴えた。出血は少量。子宮底は腹壁から硬く触れ、内診を行うと腟壁の左側に圧痛を伴う8cm程度の緊満した腫瘤を触れた。内診後からAさんは気分不快を訴えた。体温36.3℃、脈拍150/分、血圧75/45mmHg。四肢に冷感が認められる。
Aさんの状態のアセスメントとして最も考えられるのはどれか。

 

  1. 弛緩出血
  2. 胎盤遺残
  3. 腟壁血腫
  4. 子宮内反症
  5. 羊水塞栓症

 

 


 

▶午後25

Aさんは正常分娩後順調に経過し、退院3週後に母乳外来を訪れた。「急に寒気がして、熱を測ったら38.9℃でした。左の乳房が触るだけで痛くて、赤ちゃんも嫌がって飲みません」と話した。左乳房の外側上部に硬結があり、発赤がみられた。どろっとした乳汁が少量分泌された。
Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「授乳は中止しましょう」
  2. 「抗菌薬が必要となります」
  3. 「市販の解熱薬を内服してください」
  4. 「乳房のしこりの部分を温めましょう」
  5. 「しこりがなくなるまで搾乳してください」

 

 


 

▶午後26

40歳の1回経産婦。切迫早産の治療のため妊娠34週0日から入院して安静加療し、妊娠37週0日に骨盤位のため帝王切開術で分娩した。分娩時出血量は羊水を含めて1,000mLであった。術後1日の昼食後に軽い呼吸困難と多呼吸とを訴え、ペーパーバッグを口と鼻に当てたところ、すぐに消失した。術後2日の朝にベッドから降りて立ったとき、突然、胸痛と息苦しさとを訴え意識を失った。既往歴および家族歴に特記すべきことはない。
最も疑われるのはどれか。

 

  1. 貧血
  2. 肺塞栓症
  3. 心筋梗塞
  4. 過換気症候群
  5. 起立性低血圧

 

 


 

▶午後27

生後2日の女児。在胎37週2日、体重2,800gで出生。この日の体重は2,600g。体温37.0℃、呼吸数48/分。排尿は8回/日、排便は2回/日。皮膚に黄染がみられ、血清総ビリルビンは16.0mg/dLであった。授乳間隔は3、4時間ごとで、母乳の後に人工乳を1回20mL補足している。
この児のアセスメントで正しいのはどれか。

 

  1. 多呼吸である。
  2. 哺乳量不足である。
  3. 排泄回数が少ない。
  4. 高ビリルビン血症である。
  5. 体重減少率は生理的範囲を逸脱している。

 

 


 

▶午後28

Aさん(30歳、初妊婦)。夫と義母の3人暮らし。妊娠38週で子宮内胎児死亡となり、帝王切開術を受けた。手術後8日で退院する予定である。Aさんの実母から「赤ちゃんの父親は海外出張中で帰って来ることができません。死産届は誰が出したらよいでしょうか」と助産師に相談があった。
届出者として最も適切なのはどれか。

 

  1. 義母
  2. Aさん
  3. Aさんの実母
  4. 死産に立ち会った医師
  5. 死産に立ち会った助産師

 

 


 

▶午後29

助産業務に関連する法律と内容の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 刑法――医行為の禁止
  2. 医療法――助産録の記載
  3. 児童福祉法――守秘義務
  4. 母体保護法――母性健康管理指導事項連絡カードの発行
  5. 保健師助産師看護師法――異常妊婦に対する臨時応急の手当

 

 


 

▶午後30

Aさん(36歳、初産婦)。妊娠41週0日、胎児下降不良のため鉗子分娩となった。児の健康状態に問題はなかったが、側頭から前額にかけてうっすらと鉗子の圧痕がついていた。Aさんは主治医から、児の圧痕は徐々に薄くなると説明され「安心しました」と答えた。Aさんの夫は仕事で分娩に立ち会えず、分娩2時間後の16時に来院した。状況を知った夫はナースステーションに来て「詳しく話が聞きたい。顔に痕が残らないと聞いたが、もし残ったらどうするのか」と声を荒げて話した。
助産師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「主治医から説明いたします」
  2. 「とにかく落ち着いてください」
  3. 「分娩の管理は問題ありませんでした」
  4. 「Aさんは状況について納得されています」
  5. 「生後1か月ころまでに消えるので心配ありません」

 

 


 

▶午後31

卵胞期と比較して、排卵期の頸管粘液の変化で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. pHは酸性を呈す。
  2. 牽糸性は低下する。
  3. 粘稠度は低下する。
  4. 分泌量は減少する。
  5. 透明度が増加する。

 

 


 

▶午後32

正常に経過している妊婦の妊娠中期において、非妊娠時よりも血中の値が増加しているのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 遊離サイロキシン〈FT4〉
  2. 黄体形成ホルモン〈LH〉
  3. インスリン
  4. 空腹時血糖
  5. 食後血糖

 

 


 

▶午後33

前方後頭位分娩における児頭の応形機能で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 児頭の大斜径が延長する。
  2. 分娩所要時間は影響しない。
  3. 後頭骨は両頭頂骨の下に入る。
  4. 頭頂骨は前在側が後在側の下になる。
  5. 児頭の変形が回復するには生後10日を要する。

 

 


 

▶午後34

院内助産で体重3,500gの児を正常分娩した初産婦。分娩第3期までの出血量は550mL。胎盤娩出直後から出血が続き、5分間で出血量は100mLであった。脈拍90/分、血圧100/70mmHg。子宮底の高さは臍上2横指で軟らかく、弛緩出血と判断し子宮底の輪状マッサージを行い、医師に診察を依頼した。
この状況で助産師が行う対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 血管確保
  2. 輸血の準備
  3. 子宮双手圧迫法
  4. 子宮収縮薬の局所投与
  5. 子宮・腟強圧タンポン挿入法

 

 


 

▶午後35

健やか親子21(第2次)の学童期・思春期から成人期に向けた保健対策の指標で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 飲酒率
  2. 自殺死亡率
  3. うつ病の発症率
  4. 不慮の事故による死亡率
  5. 性感染症〈STD〉の罹患率

 

 


 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。

Aさん(19歳)。半年で7kgの体重増加があり、4か月間月経がなかったため、婦人科外来を受診した。「友人関係のストレスで甘いものばかり食べ過ぎてしまったと思う。最近、にきびが増えて気になる。体調はそんなに悪くはない」と言う。既往歴に特記すべきことはない。初経は12歳で月経周期は30日型であった。性交経験はない。身長157cm、体重70kg。脈拍74/分、血圧120/70mmHg。

 

▶午後36

診察の結果、乳房、陰毛の発育は正常。経腹超音波検査で、両側卵巣は軽度腫大しており、片側10個以上の小さい卵胞を認める。
Aさんの血中ホルモン値として予想されるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. プロラクチン高値
  2. テストステロン高値
  3. 黄体形成ホルモン〈LH〉高値
  4. 卵胞刺激ホルモン〈FSH〉高値
  5. エストラジオールが測定感度以下の低値

 

 


 

▶午後37

体重の減量指導が開始された。Aさんは、現在は妊娠の希望はなく、避妊の必要もないという。無月経であることを心配しており、定期的に月経が来るような薬物治療を希望している。家族歴を聴取したところ、実父と叔父に血栓症の既往があり、叔父は外科手術後の肺塞栓症で死亡しているとのことであった。
最も適切な治療法はどれか。

 

  1. 黄体ホルモン薬の内服
  2. GnRHアゴニストの注射
  3. 抗テストステロン薬の内服
  4. 選択的エストロゲン受容体修飾薬の内服
  5. 低用量エストロゲン・プロゲスチン配合薬の内服

 

 


 

▶午後38

その後Aさんは22歳で結婚し、現在は妊娠を希望している。体重はこの3年間に少しずつ減少し55kgとなっているが、現在でも自然には月経が来ないという。高血圧症や糖尿病はみられない。
Aさんへの第一選択の治療法はどれか。

 

  1. 5kgの減量指導
  2. メトホルミンの内服
  3. ゴナドトロピンの注射
  4. Kaufmann〈カウフマン〉療法
  5. クロミフェンクエン酸塩の内服

 

 


 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。

A病院の産科病棟は院内助産を行っており、分娩が終了するまで家族も産婦と個室で過ごせるようにしている。院内助産で分娩し、退院7日後に母乳外来を訪れたBさんから、夫が麻疹と診断されたとの情報を得た。夫は退院日の2日前から咳および鼻汁の症状がみられ、退院日の夜から38.0℃の発熱があった。退院後2日目から発疹が出現した。Bさんの夫の来院状況は以下のとおりであった。
3月3日 39週0日、陣痛発来による入院に夫が付き添う
4日 分娩に夫が立ち会う
5日以降 退院まで毎日来院
9日 退院の迎えで来院

 

▶午後39

Bさんの夫が原因で他の人に感染する可能性があった期間で最も適切なのはどれか。

 

  1. 3月3日〜3月9日
  2. 3月4日〜3月9日
  3. 3月7日〜3月9日
  4. 3月9日

 

 


 

▶午後40

3月16日、Bさんから情報を聞き、産科病棟での感染管理を行うため、麻疹症状のある者を確認したところ発症者はいなかった。患者およびスタッフの接触者のうち、予防接種歴が確認できなかった者は、現在も入院治療中の切迫早産の妊婦2人とスタッフ2人であった。
病棟内で感染を拡大させないための対応として適切なのはどれか。

 

  1. 切迫早産の妊婦2人に麻疹の予防接種を行う。
  2. 切迫早産の妊婦2人にγ-グロブリンを投与する。
  3. 予防接種歴が確認できなかった接触者の麻疹の抗体価を調べる。
  4. 予防接種歴が確認できなかったスタッフは直ちに出勤停止とする。

 

 


 

▶午後41

3月26日、産科病棟では新たな感染者は認められていない。
今後の感染予防対策として最も適切なのはどれか。

 

  1. 病棟内での家族の面会を中止する。
  2. 周産期の感染予防策の研修を定期的に行う。
  3. 産科病棟に入院する者の予防接種歴を確認する。
  4. 今後3週間、患者およびスタッフの症状の観察を行う。

 

 


 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。

Aさん(38歳、初産婦)。妊娠39週4日に規則的な陣痛を自覚して、かかりつけの産婦人科病院に来院し、14時に入院した。これまでの妊娠経過は順調であった。
既往歴:緑内障に対して点眼治療を継続中。
生活歴:妊娠前から喫煙、妊娠中3本/日。
家族歴:実母が高血圧症。
身体所見:身長155cm、入院時体重62kg(非妊時体重53kg)。体温36.7℃、血圧120/77mmHg。陣痛間欠4分、陣痛発作50秒、陣痛発作時は会話が困難な程度の痛みを感じている。胎児心拍数陣痛図は正常である。子宮口4cm開大、展退度50%、Station-1、未破水。

 

▶午後42

硬膜外麻酔による陣痛の疼痛緩和を予定していたため、硬膜外麻酔カテーテルが挿入され、局所麻酔薬の注入が開始された。麻酔開始1時間後、子宮収縮時にわずかな痛みを感じる程度の疼痛コントロールの状態となった。両下肢の運動に問題はないが軽度のしびれを感じていた。定期的に尿道カテーテル挿入による導尿が行われた。
Aさんの麻酔施行中の副作用(有害事象)に関係した観察項目で最も重要なのはどれか。

 

  1. 食事量
  2. 血圧
  3. 体温
  4. 浮腫
  5. 胎向

 

 


 

▶午後43

16時に自然破水した。18時の内診所見は子宮口6cm開大、展退度70%、Station+1で、破水後から所見の変化を認めていない。助産師は続発性微弱陣痛と判断して医師に報告し、子宮収縮薬の点滴静脈内注射を開始することとなった。
Aさんに投与する子宮収縮薬の種類を選択するために重要な情報はどれか。

 

  1. 喫煙状況
  2. 緑内障の合併
  3. 胎児推定体重
  4. 妊娠中の体重増加
  5. 実母の高血圧症の有無

 

 


 

▶午後44

子宮収縮薬の投与開始後に陣痛が増強して、20時に子宮口8cm開大、Station+2となった。23時に子宮口全開大、Station+4まで下降したが娩出には至っていない。胎児心拍数陣痛図では胎児心拍の異常はない。Aさんは陣痛発作時に子宮収縮の自覚はあるが硬膜外麻酔によって痛みは緩和されている。分娩までの時間がかかっていることについてAさんは心配している。
児の娩出までの時間を短縮する目的でAさんに提案する内容として正しいのはどれか。

 

  1. 子宮収縮に合わせた努責
  2. 麻酔量の増加
  3. 室内の歩行
  4. 飲水
  5. 浣腸

 

 


 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。

Aさん(37歳、初産婦)は、妊娠41週3日、予定日超過のため子宮収縮薬を使用しての分娩誘発が開始された。無痛分娩を希望し、硬膜外麻酔による疼痛緩和が開始された。分娩第1期15時間、分娩第2期5時間、分娩遷延のため会陰切開し、吸引分娩となった。児は体重3,280g、Apgar〈アプガー〉スコアは1分後7点、5分後9点であった。出血量は550mL、分娩第4期の経過は正常。バイタルサインは問題なく、硬膜外カテーテルを抜去し帰室した。

 

▶午後45

産褥1日。分娩後から尿意がなく、自然排尿できない状態が続いており、導尿で300〜400mL/回を採取している。会陰の創部痛は鎮痛薬でコントロールしている。
この時点でのアセスメントで最も適切なのはどれか。

 

  1. 脱水状態による尿量減少
  2. 分娩第2期遷延による尿閉
  3. 硬膜外麻酔による膀胱筋の麻痺
  4. 創部痛による膀胱括約筋のけいれん

 

 


 

▶午後46

産褥3日に尿意が出現し自然排尿できるようになった。母児同室中であるが夜間は休息のため、新生児室に児を預けることがある。1日の直接授乳回数は、6、7回程度である。「おっぱいが張って痛い。赤ちゃんも泣いてばかりでどうしてよいか分からない」と疲労した様子で訴えた。体温37.4℃、子宮底の高さは臍下3横指、血性悪露中等量。乳房全体が緊満し乳輪部はむくんでいる。両乳頭に発赤があり、乳管の開口数は左右とも2、3本、分泌は乳汁がにじむ程度である。
Aさんの状態のアセスメントで考えられるのはどれか。

 

  1. 産褥熱
  2. 産褥精神病
  3. 乳房うっ積
  4. 化膿性乳腺炎

 

 


 

▶午後47

産褥5日の退院時、Aさんは「無痛分娩は産後の体が楽だと聞いていたが、疲れがとれません。まだ授乳に慣れてないので心配です」と不安そうな表情で話した。夫の育児休業は1週間の予定であるという。助産師は訴えをしばらく傾聴した。両乳房緊満+、乳管の開口数は左右とも5、6本で射乳あり。日中の授乳は母乳のみで夜間は人工乳を補足している。
退院に向けての説明で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「睡眠薬を処方してもらいましょう」
  2. 「母乳外来で授乳について相談しましょう」
  3. 「Aさんだけ先に退院して体を休めましょう」
  4. 「産後ケアを受けられる施設に入所しましょう」

 

 


 

次の文を読み48〜50の問いに答えよ。

Aさん(25歳、初妊婦)。夫と義父母の4人暮らし。市販の妊娠検査薬で陽性反応が出たため2週前に産科外来を受診したが、胎児心拍は確認できなかった。本日、再度受診し胎児心拍が確認され、妊娠7週であると判明した。最終月経は3月10日から5日間あった。

 

▶午後48

Naegele〈ネーゲレ〉概算法によるAさんの分娩予定日を求めよ。

 

解答:①②月③④日

 

 


 

▶午後49

Aさんは「22時くらいには布団に入って寝ます。疲れが取れていないようで、いつも眠いです。朝は7時に起きます」と状況を訴えた。
Aさんの睡眠のアセスメントとして正しいのはどれか。

 

  1. レム睡眠が増加している。
  2. 睡眠時間が不足している。
  3. オキシトシンの影響である。
  4. プロラクチンの影響である。

 

 


 

▶午後50

妊娠28週の妊婦健康診査時、Aさんは「実家の近くの病院で分娩をする予定です。自宅から実家まで高速道路を使って3時間くらいかかります。夫の運転する車で里帰りするときに注意することがありますか」と助産師へ質問した。
助産師の説明で適切なのはどれか。

 

  1. 「車内では水分摂取を控えましょう」
  2. 「移動は妊娠37週以降にしましょう」
  3. 「ドライブインでは出歩かないようにしましょう」
  4. 「後部座席の場合はシートベルトをしなくてよいです」
  5. 「腰のシートベルトは恥骨上を通るように装着しましょう」

 

 


 

次の文を読み51、52の問いに答えよ。

29歳の1回経産婦。妊娠41週0日、予定日超過で入院した。これまでの妊娠経過は母児ともに順調であった。
既往歴:前回は妊娠38週で体重3,280gの児を正常分娩した。
身体所見:身長160cm、体重65kg。体温36.5℃、脈拍72/分、整、血圧110/78mmHg。子宮口4cm開大、展退度80%以上、Station-1、子宮頸管の硬度は軟、子宮口の位置は前方、未破水。胎児推定体重は3,030gで形態異常はない。胎位は頭位、胎児心拍数は130bpm。陣痛発来はしていない。
検査所見:尿蛋白(-)、尿糖(-)。

 

▶午後51

オキシトシン点滴静脈内注射による分娩誘発を開始することとなった。
分娩誘発時の管理で適切なのはどれか。

 

  1. 投与開始前に頸管拡張を行う。
  2. 2日間連続での投与は行わない。
  3. 手動による滴下量の調整を行う。
  4. 投与開始後は分娩終了まで絶飲食とする。
  5. 開始時の投与速度は1〜2ミリ単位/分とする。

 

 


 

▶午後52

妊娠41週1日、分娩誘発を行ったが、有効な陣痛は発来しなかった。41週2日の6時ころから自然に陣痛が発来した。10時、子宮口全開大、Station+3で自然破水した。14時、陣痛間欠3分、陣痛発作45秒。内診所見は、矢状縫合が横径に一致し、Station+4。体温36.6℃、脈拍88/分、整、血圧114/76mmHg。胎児心拍数陣痛図で、基線細変動は正常で、胎児心拍数150bpm、時折、軽度の変動一過性徐脈がみられる。
現在の状態で異常な所見はどれか。

 

  1. 陣痛間欠3分
  2. 陣痛発作45秒
  3. 変動一過性徐脈
  4. 胎児心拍数150bpm
  5. 矢状縫合が横径に一致

 

 


 

次の文を読み53、54の問いに答えよ。

Aさん(38歳、1回経産婦)。現在、パートナーと8歳の子どもとの3人暮らし。33歳からIgA腎症のため大学病院の腎臓内科に通院中で、病状の進行による腎機能の悪化のため人工透析の導入が予定された。高血圧症に対して内服薬による治療が開始されたが、血圧のコントロールは不良である。

 

▶午後53

Aさんは、月経が遅れていたため、市販の妊娠検査薬で検査して陽性であり産婦人科を受診した。経腟超音波検査で子宮内に胎囊が確認され、胎児の頭殿長〈CRL〉は20mmであった。医師の診察の後、Aさんは助産師に「まさか妊娠するとは思っていませんでした。主治医から今の状態での妊娠継続は難しいと言われています。パートナーには秘密で中絶したいと思っています」と話した。
Aさんの話を傾聴した後の説明で適切なのはどれか。

 

  1. 「パートナーとよく話し合いましょう」
  2. 「人工妊娠中絶には、分娩誘発が必要です」
  3. 「高血圧症の治療を中止すれば妊娠継続が可能です」
  4. 「1週間以内に、中絶を行うかどうかの決断が必要です」
  5. 「人工妊娠中絶の同意書は、医療者の前で署名してください」

 

 


 

▶午後54

1週後、Aさんが再度来院し「主治医にもう一度相談しましたが、やはり妊娠継続は勧められないと言われました。私も覚悟はしたつもりですが、簡単には決められません」と話して、うつむいた。
Aさんの意思決定を支援する方法として適切なのはどれか。

 

  1. バズ・セッション
  2. ネゴシエーション
  3. ピアカウンセリング
  4. ブレインストーミング
  5. 治療的コミュニケーション

 

 


 

次の文を読み55の問いに答えよ。

Aさん(65歳、女性)。3回経妊3回経産婦。3回の分娩は経腟分娩であった。52歳で閉経。腟炎のため婦人科に通院している。外来の助産師に「以前から尿は近いほうだった。1年くらい前からは夜間に2、3回トイレに起きるようになり、熟睡できない。最近では、日中も頻繁に尿意を感じるようになり、1〜2時間ごとにトイレに行っているが少量しか尿が出ない。1か月後に友人と旅行することを楽しみにしていたが、旅行をあきらめようか迷っている」と相談した。咳をしたときや立ち上がったときの尿漏れはなく、長時間立っていても内臓が下がってくるような感じはない。Aさんは3か月前に子宮がん検診を受けており、特に問題はなかったという。
既往歴:60歳から高血圧症に対して降圧薬を内服している。
生活歴:3人の娘が独立してからは、夫と2人暮らし。喫煙歴はない。飲酒は週に1回缶ビール1本程度。
家族歴:実母が糖尿病。
身体所見:身長155cm、体重60kg。血圧130/80mmHg。

 

▶午後55

相談された助産師の対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 家族以外の人とは一緒に旅行しないよう勧める。
  2. 医師に手術治療について相談するよう勧める。
  3. 医師に薬物治療について相談するよう勧める。
  4. 夜間の水分摂取は控えるよう勧める。
  5. 膀胱訓練を指導する。

 

 


 

資料 厚生労働省「第103回保健師国家試験、第100回助産師国家試験、第106回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

平成30年2月15日実施の第101回助産師国家試験の全問題と正答を掲載します。

 

また、内容に応じて衛生テキスト「国民衛生の動向2024/2025」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。

 

分野別解説付き問題まとめ

を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。

 

なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

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定価:2,970円(税込)

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▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

第101回助産師国家試験目次

 

 

第101回助産師国家試験・午前(55問)

 

▶午前1

老年期の女性における健康課題のうち、エストロゲンの補充によって予防効果があるのはどれか。

 

  1. 骨盤臓器脱
  2. 骨粗鬆症
  3. 卵巣癌
  4. 認知症

 

 


 

▶午前2

正常の卵巣機能をもつのはどれか。

 

  1. アンドロゲン不応症
  2. Turner〈ターナー〉症候群
  3. Asherman〈アッシャーマン〉症候群
  4. Klinefelter〈クラインフェルター〉症候群

 

 


 

▶午前3

感染症発生動向調査における性感染症〈STI〉の報告数の年次推移を図に示す。
101am3j
101am3 2j
Aに該当するのはどれか。

 

  1. 淋菌感染症
  2. 尖圭コンジローマ
  3. 性器クラミジア感染症
  4. 性器ヘルペスウイルス感染症

 

 


 

▶午前4

出生直後の正期産新生児の血液中免疫グロブリンについて正しいのはどれか。

 

  1. IgA高値は胎内感染を示唆する。
  2. IgEは母体から経胎盤移行したものである。
  3. IgG高値は児の原発性免疫不全症候群を示唆する。
  4. IgMは主に児の体内で産生されたものである。

 

 


 

▶午前5

胎児の器官形成期に影響を及ぼす催奇形性因子と児に与える主な影響の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 葉酸欠乏――爪の低形成
  2. ワルファリン――骨端形成異常
  3. サリドマイド――白内障
  4. フェニトイン――歯牙の着色

 

 


 

▶午前6

妊娠後期において、胎児のwell-beingが良好と評価できる数値はどれか。

 

  1. AFI 2.0
  2. 胎児心拍数基線 80bpm
  3. 胎児心拍数基線細変動 5bpm以下
  4. Biophysical Profile Score〈BPS〉 10点

 

 


 

▶午前7

胎児および乳児の体重に占める体液成分の割合の変化を図に示す。
101am7j
Aに該当するのはどれか。

 

  1. 血漿
  2. 間質液
  3. 総水分
  4. 細胞内液

 

 


 

▶午前8

分娩第1期の活動期における助産師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 胎児心拍数陣痛図の陣痛波形を子宮口の開大を推測する情報の1つにする。
  2. 子宮収縮を触診する際は恥骨直上付近から触れる。
  3. 産婦が痛みを訴えてから産痛緩和を行う。
  4. 産婦に陣痛持続時間を記録するよう促す。

 

 


 

▶午前9

全身の血管の走行を図に示す。
101am9j
経腟分娩後の弛緩出血に対する子宮動脈塞栓術を行う場合に、カテーテルを血管内に挿入するために穿刺する血管で適切なのはどれか。

 

  1. A
  2. B
  3. C
  4. D

 

 


 

▶午前10

仰臥位で内診した場合の、分娩経過に伴う児頭の最大周囲径の骨盤内での位置と回旋を図に示す。
101am10j
正しいのはどれか。

 

  1. 第1後方後頭位
  2. 第2後方前頭位
  3. 第1前方前頭位
  4. 第2前方前頭位

 

 


 

▶午前11

Aさん(38歳)は、産後3か月で母乳育児を行っており、経口避妊薬による避妊を希望している。
Aさんに提供する情報で正しいのはどれか。

 

  1. 「コンドームの方が避妊効果は高いです」
  2. 「母乳育児中は避妊の必要はありません」
  3. 「内服開始は産後6か月以降が推奨されています」
  4. 「経口避妊薬の内服は母乳分泌量に影響しません」

 

 


 

▶午前12

Aさん(35歳、1回経産婦)。8年前に女児を正常分娩した。今回の妊娠経過は順調であったが、妊娠40週2日、分娩第2期に胎児心拍数が低下し、会陰切開後に体重3,980gの男児を吸引分娩で出産した。分娩時の総出血量は400mLであった。産褥1日、母児同室が開始され、児の吸啜は良好であった。Aさんは「2人目なのでもっと楽に産めると思っていたが、吸引分娩なんて思ってもみなかった。久しぶりの育児で、戸惑うことが多い」と疲れた表情で助産師に話した。
Aさんへの対応で優先されるのはどれか。

 

  1. 育児指導を行う。
  2. 授乳を介助する。
  3. バースレビューを行う。
  4. 貧血の症状を確認する。

 

 


 

▶午前13

正期産で出生した新生児。妊娠期および分娩期に異常な経過はなかった。出生時のApgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後9点であった。バイタルサインに問題はない。肥大した陰核の下部から出生直後に排尿があった。鎖肛はない。医師から児の両親に対し、外見のみでは性別判定が難しいため、出生証明書には性別不明と記すことが伝えられた。
日齢1での両親への対応で適切なのはどれか。

 

  1. 両親が妊娠期に希望していた性別の児として扱う。
  2. 性別判定をするために精査が必要であると伝える。
  3. 両親が新生児期の性器手術を選択できることをケアの目標とする。
  4. 性同一性障害者の性別の取扱いの特例に関する法律の対象になると説明する。

 

 


 

▶午前14

母子健康包括支援センター〈子育て世代包括支援センター〉について正しいのはどれか。

 

  1. 妊娠・出産包括支援事業とは別に事業を実施する。
  2. 平成28年度(2016年度)に全市町村に設置された。
  3. 妊娠前から子育て期にわたる支援を行う。
  4. 不妊治療を行う。

 

 


 

▶午前15

350床の病院で助産師外来が行われている。助産師外来のケアの方針は病院のホームページ上に提示し、妊婦のリスク評価は医師が単独で判断している。担当する助産師は実践能力について評価した上で決定され、勤務シフトの中に助産師外来担当者の配置が設定されている。助産師外来におけるケアの質を評価することとなった。
改善を行う必要性が高いのはどれか。

 

  1. ケアの方針を提示する媒体
  2. 妊婦のリスク評価の方法
  3. 助産師外来担当者の選定方法
  4. 助産師外来担当者の勤務シフトの設定

 

 


 

▶午前16

助産師が行う業務とそれを規定する法律の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 産婦の内診――母子保健法
  2. 助産所の管理――医療法
  3. 妊娠継続の相談――母体保護法
  4. 乳児家庭全戸訪問――児童虐待の防止等に関する法律

 

 


 

▶午前17

A助産師は助産所を開業予定である。助産所の建物は地下1階、地上2階建てで、分娩を取り扱い、産褥入院も計画している。
助産所の構造設備で正しいのはどれか。

 

  1. 母子の入所室は地下にした。
  2. 個室の床面積は4.3m2にした。
  3. 分娩室の床面積は12m2にした。
  4. 入所室の収容人数を10人とした。

 

 


 

▶午前18

産科医療補償制度について正しいのはどれか。

 

  1. 分娩機関ごとに制度加入の手続きを行う。
  2. 分娩に関連した母親の後遺症は補償対象になる。
  3. 在胎週数35週未満の早産児は補償対象にならない。
  4. 子どもが生後3か月で死亡した場合は補償対象になる。

 

 


 

▶午前19

分泌期の子宮内膜の変化で正しいのはどれか。

 

  1. Naboth〈ナボット〉囊胞の形成
  2. グリコーゲンの増加
  3. 核分裂像の増加
  4. 扁平上皮化生
  5. 偽重層化

 

 


 

▶午前20

Aさん(35歳、女性)。ダグラス窩に10cmの卵巣囊腫がある。妊娠を希望している。Aさんは疾患について「妊娠や出産に何か影響がありますか」と質問した。
Aさんへの説明内容で適切なのはどれか。

 

  1. 治療より妊娠を優先した方がよい。
  2. 妊娠期には卵巣の腫瘍マーカーは低値を示す。
  3. 妊娠中は手術ができない。
  4. 助産所で出産できる。
  5. 経腟分娩で胎児の下降障害のリスクがある。

 

 


 

▶午前21

50歳の未産婦。2か月前から不正性器出血があり、細胞診による子宮体癌の検査を受けた。その日の夜に38.3℃の発熱があり、下腹部の中央に痛みが出現したため産婦人科を受診した。排尿時に痛みはなかった。
この状況で最も考えられる疾患はどれか。

 

  1. 異所性妊娠
  2. 子宮内膜炎
  3. 腎盂腎炎
  4. 虫垂炎
  5. 膀胱炎

 

 


 

▶午前22

男性不妊について正しいのはどれか。

 

  1. 造精機能障害は男性不妊の50%を占める。
  2. 造精機能障害ではテストステロンが上昇する。
  3. Huhner〈フーナー〉試験は精子の受精能をみる。
  4. 無精子症は前進運動精子が32%未満のものをいう。
  5. 乏精子症は精子数が1,500万/mL未満のものをいう。

 

 


 

▶午前23

羊水量が少ない場合に形成が阻害される胎児の臓器はどれか。

 

  1. 食道
  2. 大腸
  3. 腎臓
  4. 膀胱

 

 


 

▶午前24

血中hCG〈ヒト絨毛性ゴナドトロピン〉が妊娠週数における基準値よりも高値である場合に考えられるのはどれか。

 

  1. 流産
  2. 子宮筋腫
  3. 胞状奇胎
  4. 前置胎盤
  5. 妊娠糖尿病

 

 


 

▶午前25

授乳中の母親に使用した場合に児への影響が少ない薬剤の特徴で正しいのはどれか。

 

  1. 脂溶性が高い。
  2. M/P比が高い。
  3. 分子量が小さい。
  4. 生物学的利用率が高い。
  5. 血漿蛋白結合率が高い。

 

 


 

▶午前26

更年期障害に対するホルモン補充療法を行う際に、慎重投与あるいは条件付きでの投与が可能なのはどれか。

 

  1. 原因不明の不正性器出血のある者
  2. 子宮内膜癌の既往のある者
  3. 心筋梗塞の既往のある者
  4. 脳卒中の既往のある者
  5. 乳癌の既往のある者

 

 


 

▶午前27

Aさん(28歳、初妊婦)。胎児推定体重は妊娠24週時点では正常範囲であったが、その後の妊婦健康診査で次第に発育が不良となり、妊娠34週の時点では胎児推定体重の標準偏差が-2.5SDとなった。Aさんの妊娠24週から妊娠34週までの2週ごとの胎児推定体重の推移を図に示す。妊娠時期に応じた胎児推定体重の平均および±2.0SDの範囲が図中に示されている。
Aさんの胎児の推定体重の変化を示すのはどれか。

 

101am27 1j

101am27 2j

101am27 3j

 

 


 

▶午前28

トキソプラズマ感染症で正しいのはどれか。

 

  1. 妊婦の尿検査で診断する。
  2. 胎児への感染は産道感染が多い。
  3. 妊婦の初感染は胎内感染のリスクが低い。
  4. 出生時に症状がなければ先天感染は否定できる。
  5. 感染した動物の生肉の摂取によって母体が感染する。

 

 


 

▶午前29

子宮双手圧迫法で正しいのはどれか。

 

  1. 両手で子宮底部の輪状マッサージを行う。
  2. 子宮体部を両手で把持し、左側上方に圧迫する。
  3. 腟内にガーゼを充塡し、腹壁上から子宮体部を圧迫する。
  4. 片手で恥骨直上を圧迫し、他方の手で子宮体部を圧迫する。
  5. 片方の手拳を前腟円蓋部にあて、他方の手を腹壁上から子宮体部にあてて圧迫する。

 

 


 

▶午前30

正期産で出生した男児の出生後24時間以内に認められる臨床症状のうち、早急に対応すべき所見はどれか。

 

  1. 頭蓋癆
  2. 結膜下出血
  3. 肉眼的黄疸
  4. 周期性呼吸
  5. 停留精巣

 

 


 

▶午前31

在胎28週、体重1,200gで出生した女児。日齢2から経管栄養を開始し、便の性状や回数に問題は認められなかった。日齢4に動脈管の再開通を認め、治療を行ったが動脈管は閉鎖しなかった。日齢7から腹部が膨満し、腹壁の皮膚色が淡いピンク色から青色に変化した。
考えられる疾患はどれか。

 

  1. Hirschsprung〈ヒルシュスプルング〉病
  2. 肥厚性幽門狭窄症
  3. 新生児壊死性腸炎
  4. 胃軸捻転症
  5. 胆道閉鎖症

 

 


 

▶午前32

Aさん(28歳)は、昨年夫を事故で亡くし、実父母と同居していたが、仕事を始めて3歳の子どもと2人で暮らすことになった。子どもは健康で、順調に成長している。
母子及び父子並びに寡婦福祉法に基づき、Aさんが受けられる支援で正しいのはどれか。

 

  1. 保育施設の利用に関する特別の配慮
  2. 特別児童扶養手当
  3. 乳幼児医療費助成
  4. 次世代育成支援
  5. 生活扶助

 

 


 

▶午前33

新生児の聴覚障害について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 聴覚スクリーニングは出生後24時間以内に行う。
  2. 聴覚スクリーニングは全国で公費の助成を受けられる。
  3. 先天性聴覚障害の発生頻度は出生1,000人に5人である。
  4. 耳音響放射〈OAE〉は自動聴性脳幹反応〈AABR〉より偽陽性率が高い。
  5. 先天性聴覚障害の児の療育は生後6か月までに開始することが望ましい。

 

 


 

▶午前34

妊娠35週の頭位における正常所見はどれか。2つ選べ。

 

  1. 子宮頸管長が32mmである。
  2. 不規則な腹部緊満感の訴えがある。
  3. 胎児心拍数基線が165bpmである。
  4. 右臍棘線延長上で胎児心音が聴取できる。
  5. 子宮底の高さが臍上2〜3横指の位置である。

 

 


 

▶午前35

正常分娩の介助技術について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 児頭娩出時の会陰保護は産婦の肛門方向に押し下げる。
  2. 第3回旋では児頭娩出の速度を調整する。
  3. 第4回旋誘導時は産瘤のある側を産婦の尾骨方向へ回旋させる。
  4. 肩甲娩出前に臍帯巻絡の有無を確認する。
  5. 肩甲娩出後は骨盤誘導線と反対方向に躯幹を娩出させる。

 

 


 

▶午前36

特定妊婦について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 高所得の妊婦は該当しない。
  2. 児童福祉法に定義されている。
  3. 児童養護施設が相談窓口となる。
  4. 妊婦健康診査の未受診者を含む。
  5. 周産期医療ネットワークに登録される。

 

 


 

▶午前37

Aちゃん(1か月、男児)。1か月児健康診査のときに、母親がAちゃんの嘔吐と母乳の分泌量不足を心配して相談した。Aちゃんは混合栄養で、哺乳回数は1日10回、直接授乳後に人工乳を1回40mL追加で哺乳している。哺乳後に1日2、3回、嘔吐を認める。体重増加は約45g/日。
初期対応として適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 小児科外来の受診を勧める。
  2. 人工乳を増やすよう指導する。
  3. 嘔吐物の性状を母親に尋ねる。
  4. 母乳の1回哺乳量を測定する。
  5. 授乳後の排気を中止するよう指導する。

 

 


 

▶午前38

在胎31週、体重1,700gで出生した児。呼吸障害がみられるため、閉鎖式保育器内で腹臥位にポジショニングした。
肢位の調整方法で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 頸部の伸展
  2. 上肢の屈曲
  3. 骨盤の後傾
  4. 肩甲骨の挙上
  5. 股関節の外旋

 

 


 

▶午前39

在胎30週、体重1,500gで9月1日に出生した児。後遺症はなく、11月15日に体重2,300gで退院することとなった。自宅では保育所に通っている2歳の兄が両親とともに生活している。
退院前に行う感染予防対策で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 抗菌薬の内服
  2. 肺炎球菌ワクチンの接種
  3. インフルエンザワクチンの接種
  4. 抗HBsヒト免疫グロブリンの投与
  5. 抗RSウイルスヒト化モノクローナル抗体の投与

 

 


 

▶午前40

出生届について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 出生後15日以降に届け出る。
  2. 出生証明書とは別に届け出る。
  3. 母子保健法に規定されている。
  4. 24時間いつでも届け出ることができる。
  5. 嫡出子と非嫡出子との別を記入する欄がある。

 

 


 

次の文を読み41〜43の問いに答えよ。

Aさん(28歳、初妊婦、会社員)。自然妊娠し、妊娠7週で診療所を受診し、多胎妊娠と診断された。妊娠11週1日、大学病院の産婦人科を紹介され受診した。

 

▶午前41

このときの経腟超音波検査の写真を別に示す。胎囊の数は1、胎児の数は2であり、隔壁を認めた。
101am41j
Aさんへの説明で正しいのはどれか。

 

  1. 「予防的な子宮頸管縫縮術が必要です」
  2. 「双胎間輸血症候群のリスクがあります」
  3. 「産前休業は妊娠34週から取得できます」
  4. 「卵巣過剰刺激症候群のリスクがあります」

 

 


 

▶午前42

Aさんは初診後、大学病院で妊婦健康診査を受けており、妊娠経過は順調であった。胎盤の位置異常はなかった。妊娠33週2日、トイレで子宮収縮の自覚とともに少量の出血と液体の流出感があり、来院した。卵膜は保たれているが、破水検査は陽性であった。診察時には両児の羊水量に差はなく、どちらの児の卵膜が破綻したか不明であった。子宮口1cm開大、子宮頸管長は26mmであった。先進児は頭位で推定体重2,000g、後続児は骨盤位で推定体重1,500gであった。抗菌薬の点滴静脈内注射が開始された。このときの胎児心拍数陣痛図を別に示す。
101am42j
Aさんに行われると予想される治療はどれか。

 

  1. 人工羊水の子宮腔内注入
  2. 後続児に対する胎児外回転術
  3. 子宮収縮抑制薬の点滴静脈内注射
  4. 胎児鏡下胎盤吻合血管レーザー凝固術

 

 


 

▶午前43

入院時の腟分泌物の細菌培養検査の結果、B群溶血性レンサ球菌〈GBS〉が検出された。入院後も羊水流出は続いていた。妊娠34週4日、Aさんに38.2℃の発熱と子宮に軽度の圧痛を認め、子宮口は1cm開大、子宮口から少量の混濁した羊水の流出がみられた。出血傾向はない。脈拍102/分、血圧132/86mmHg。血液検査データは、白血球16,500/μL、Hb10.5g/dL、血小板40万/μL、CRP4.2mg/dLであった。緊急帝王切開術による分娩の方針となった。
Aさんへの説明内容で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 絨毛膜羊膜炎となっている。
  2. 古典的帝王切開術となる。
  3. 子宮体部は摘出となる。
  4. 産科DICの状態である。
  5. 児はNICUでの管理が必要となる。

 

 


 

次の文を読み44〜46の問いに答えよ。

Aさん(22歳、1回経産婦)。妊娠初期のスクリーニング検査で甲状腺機能の異常を指摘されたため、妊娠12週で大学病院の産科に紹介された。前回の妊娠中はほとんどつわりを感じなかったが、今回は妊娠9週ころからつわり症状が強く、毎日夕方になると数回嘔吐している。水分は何とか摂れているという。既往歴、生活歴および家族歴に特記すべきことはない。身長160cm、体重50kg(非妊時体重52kg)。脈拍90/分、血圧120/70mmHg。初診時、経腹超音波検査にて児の発育は週数相当で、羊水は中等量、胎児異常を認めない。甲状腺刺激ホルモン〈TSH〉0.01μIU/mL(成人女性基準値0.39〜3.98μIU/mL)、遊離サイロキシン〈FT4〉3.84ng/dL(成人女性基準値1.00〜1.70ng/dL)。抗TSH受容体抗体〈TRAb〉陽性。尿ケトン体+。

 

▶午前44

Aさんに関する判断で正しいのはどれか。

 

  1. 甲状腺クリーゼの状態である。
  2. 一過性甲状腺機能亢進症である。
  3. 体重減少が重度になるおそれがある。
  4. 甲状腺シンチグラフィを勧める必要がある。
  5. ヨウ素を多く含む食品の摂取を勧める必要がある。

 

 


 

▶午前45

Aさんは甲状腺疾患の専門医を受診し、プロピルチオウラシルとヨウ化カリウムの内服を開始した。つわりは妊娠17週ころから軽快した。その後は特に異常なく経過していたが、妊娠28週3日、周期的な腹部の張りを自覚し来院した。来院時、体温36.2℃、呼吸数16/分、脈拍80/分、血圧122/78mmHgであった。経腟超音波検査の写真および胎児心拍数陣痛図を別に示す。
101am45j
101am45 2j
Aさんに行われると予想される治療はどれか。

 

  1. マグネシウム硫酸塩の点滴静脈内注射
  2. リトドリン塩酸塩の点滴静脈内注射
  3. 抗甲状腺薬の中止
  4. 子宮頸管縫縮術

 

 


 

▶午前46

妊娠37週1日。Aさんは体重2,550gの女児を経腟分娩した。児は出生直後から啼泣あり、Apgar〈アプガー〉スコアは1分後7点、5分後9点。臍帯血を用いた検査所見は甲状腺刺激ホルモン〈TSH〉1.33μIU/mL、遊離サイロキシン〈FT4〉1.48ng/dLであった。児の出生12時間後のバイタルサインは、呼吸数55/分、心拍数140/分である。
この児についての判断で適切なのはどれか。

 

  1. 頻脈がみられる。
  2. 呼吸数の異常がある。
  3. 人工乳による哺育とする必要がある。
  4. 数日空けて甲状腺機能を再検査する必要がある。

 

 


 

次の文を読み47〜49の問いに答えよ。

Aさん(32歳、初産婦)。妊娠35週0日、破水と陣痛発来で来院した。羊水混濁や胎児心拍の異常は認めず、来院後5時間で、経腟分娩となった。児は出生時、筋緊張の低下を認め自発呼吸がなかった。体位を整えて口鼻腔内吸引を行い、身体の羊水を拭き取った後、皮膚刺激を行った。約1分間皮膚刺激を行っても自発呼吸が認められず、心拍数は6秒間に4回であったため、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉モニターを装着し、生後2分からroom airで人工呼吸を開始した。約30秒間人工呼吸を行ったところ、啼泣を始め、心拍数130/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉80%であった。人工呼吸を中止したところ努力呼吸は認めなかったため、生後10分まで観察を継続した後に蘇生を終了し、病棟で呼吸状態を観察することとした。

 

▶午前47

新生児蘇生法ガイドライン2015に基づいてスタッフ間でデブリーフィング〈振り返り〉を行った。
アセスメントとして適切なのはどれか。

 

  1. 蘇生方法は適切であった。
  2. 皮膚刺激をより確実に行うべきであった。
  3. 人工呼吸をより早く開始すべきであった。
  4. 人工呼吸中止時に酸素投与を開始すべきであった。
  5. 人工呼吸と同時に胸骨圧迫を開始すべきであった。

 

 


 

▶午前48

児の出生体重は2,350g。病棟で保育器に収容し、room airで呼吸状態を観察していた。出生30分後のバイタルサインは、呼吸数100/分、心拍数150/分、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%で、陥没呼吸および呻吟が認められた。胸部エックス線写真を別に示す。
101am48j
次に行う治療で適切なのはどれか。

 

  1. 胸腔穿刺
  2. 胸骨圧迫
  3. 経鼻的CPAP療法
  4. キサンチン系薬の静脈内注射
  5. 肺サーファクタント補充療法

 

 


 

▶午前49

日齢3。呼吸数50/分、全身状態は良好である。聴診で、胸骨左縁第2肋間を最強点とする連続性の心雑音を聴取した。心エコー検査で主肺動脈内に逆行性の血流を認め、動脈管開存症と診断された。
今後、児の急性心不全を早期に発見するために注意すべき徴候はどれか。2つ選べ。

 

  1. 尿量の減少
  2. 呼吸数の低下
  3. 心拍数の低下
  4. 哺乳量の減少
  5. 心尖拍動の消失

 

 


 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。

Aさん(41歳、初産婦、会社員)。夫(45歳、会社員)と2人暮らし。妊娠39週で体重3,180gの男児を吸引分娩で出産した。会陰切開部の痛みが強いため、産褥3日まで鎮痛薬を内服し日中のみ母児同室をしていた。「母乳で育てたいが、傷が痛くて授乳をするのがつらい」と話す。夫の両親は既に死亡し、Aさんの実母は実父の介護のため多忙で、退院後の育児のサポートは得られない状況である。

 

▶午前50

Aさんが住む市は産後ケア事業を実施しており、出産した病院の助産師は宿泊型の産後ケア事業の利用をAさんに勧めた。
利用に関する説明で正しいのはどれか。

 

  1. 「利用日数は最大5日間です」
  2. 「申請窓口は都道府県保健所です」
  3. 「初産婦の方のみが利用できます」
  4. 「出産した病院の退院後から利用できます」
  5. 「利用には医師の診断書の提出が必要です」

 

 


 

▶午前51

Aさんは市内の助産所で産後ケアを受けた。夫はAさんの退所に合わせて1週間の休みを取ることとなった。退所前日、Aさんは「夫が仕事に戻れば日中は1人で育児をしなければならず、授乳について相談できる人もいないので不安です」と訴えた。助産所の助産師はAさんに、困ったことがあれば連絡するように伝えた。
退所後の早期の支援についての提案で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「保健センターの新生児訪問を受けましょう」
  2. 「インターネットから情報を得ましょう」
  3. 「地域の育児サークルに参加しましょう」
  4. 「育児講演会に参加しましょう」

 

 


 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。

Aさん(33歳、1回経産婦)は、妊娠39週3日に陣痛が発来したため午前5時に総合病院の産婦人科病棟に入院した。その後、順調な経過で分娩室に入室した。午前8時10分に震度6弱の地震が発生した。一時的に分娩室の照明が消えたが、非常用電源が作動して再度照明が点灯した。この時点で、病棟内には助産師5名と医師1名が勤務していた。分娩室で付き添っていたB助産師が分娩進行を確認したところ、子宮口全開大、Station+2まで進行していた。Aさんは不安な様子であったが、3分ごとに強い陣痛を感じていきみを抑えきれない状態であった。B助産師は、病棟内のリーダーから、分娩室でAさんに継続的に付き添うように指示を受けた。

 

▶午前52

B助産師の対応で正しいのはどれか。

 

  1. インファントラジアントウォーマーを分娩台の近くに寄せる。
  2. Aさんをストレッチャーに移動する。
  3. 分娩室の入口の扉を開放する。
  4. 分娩台の固定を解除する。
  5. 分娩室の照明を消す。

 

 


 

▶午前53

午前8時50分、Aさんは正常分娩で出産した。児はよく啼泣し皮膚色は良好で、Aさんと児はB助産師とともに分娩室で待機していた。初回の強い揺れのあと2回の弱い揺れが発生した。午前11時にB助産師は上階で火災が発生したとの連絡を受け、Aさんと児を分娩室から避難させることになった。Aさんは軽度の後陣痛を感じているが、意識清明で自立歩行が可能である。分娩室は6階建ての病院の3階に位置している。
B助産師の避難時の対応で正しいのはどれか。

 

  1. 屋上を目指して避難する。
  2. 児を保温できる物品を携行する。
  3. 児をAさんより先に避難させる。
  4. 避難のためにエレベーターを確保する。

 

 


 

次の文を読み54の問いに答えよ。

Aさん(28歳、初産婦)。産婦人科病院にて妊婦健康診査を受けていた。合併症はなく、妊娠経過および胎児の発育は順調であった。妊娠32週以降、胎位は骨盤位であった。経腟分娩と帝王切開術のそれぞれに関する胎児および母体のリスクについて主治医からの説明を受けて、Aさんと夫は帝王切開術を選択し、文書による同意をした。妊娠38週5日、脊髄くも膜下麻酔にて帝王切開術が実施された。体重3,210gの男児を出産し、術中出血量は羊水を含め800mLで、手術経過は順調であった。手術後8時間までAさんの全身状態に異常を認めていなかった。手術翌日の朝7時、助産師がAさんの病室を訪れたところ、心肺停止の状態であった。助産師からの連絡で主治医が駆けつけ蘇生が開始されたが反応せず、Aさんの死亡が確認された。Aさんの死亡原因は特定できていない。死亡の連絡を受けたAさんの夫が病院に到着した。当初、夫は混乱した様子であったが主治医と助産師からの状況の説明後に少し落ち着きを取り戻した。

 

▶午前54

この時点で、夫に対して伝える内容として適切なのはどれか。

 

  1. 「Aさんの司法解剖が必要です」
  2. 「産科医療補償制度の対象になります」
  3. 「帝王切開術の合併症による死亡ではありません」
  4. 「医療事故調査の実施について病院内で検討を行います」

 

 


 

次の文を読み55の問いに答えよ。

Aさん(17歳、高校生)。無月経を主訴に、母親とともに病院を受診した。妊娠反応は陰性で、思春期やせ症による無月経と診断された。その後、定期的に病院を受診し、月経は再開した。2回目の受診時からは、交際中の男性がついてくるようになった。ある日、Aさんは1人で受診し、相談室で助産師に話し始めた。Aさんは「友達の紹介で、3か月前から彼と付き合い始めた。彼はとてもいい人。でも、最近私が待ち合わせに少し遅れると、イライラして腕を引っ張ったり、大声で怒鳴ったりするようになった。昨日は殴られそうになった。その後はいつもの優しい彼に戻って、二度としないと謝ったから許した。彼を怒らせる私も悪いと思う。でも、ちょっと怖かった」と話した。

 

▶午前55

Aさんと交際中の男性との関係を説明する理論で適切なのはどれか。

 

  1. 適応理論
  2. ストレス対処理論
  3. 暴力のサイクル理論
  4. 愛着〈アタッチメント〉理論

 

 

 

第101回助産師国家試験・午後(55問)

 

▶午後1

国際連合〈UN〉で採択された持続可能な開発目標〈Sustainable Development Goals:SDGs〉で正しいのはどれか。

 

  1. 2000年に採択された。
  2. 主要な8つの目標が設定されている。
  3. ジェンダーの平等の達成は目標の1つである。
  4. 安全な母性イニシアティブ〈Safe Motherhood Initiative〉の評価を基盤に策定された。

 

 


 

▶午後2

染色体が正常でありNT〈nuchal translucency〉異常値が観察された胎児が最も有しやすい異常はどれか。

 

  1. 横隔膜ヘルニア
  2. 腎低形成
  3. 心奇形
  4. 水頭症

 

 


 

▶午後3

遺伝性疾患を有する児が出生した。両親の検査によって、母親のみが原因の遺伝子をもっていることが確認された。今後この母親が出産する子どもには、性別によらず半分の確率で同じ疾患が生じる可能性がある。
この疾患の遺伝形式はどれか。

 

  1. 細胞質遺伝
  2. X連鎖劣性遺伝
  3. 常染色体優性遺伝
  4. 常染色体劣性遺伝

 

 


 

▶午後4

新生児について正しいのはどれか。

 

  1. 飢餓に耐える能力が高い。
  2. 生理的な反芻を起こしやすい。
  3. 中鎖脂肪の吸収にはミセル形成が必要である。
  4. 母乳の凝乳塊(ミルクカード)は消化吸収されにくい。

 

 


 

▶午後5

Aさん(25歳、1回経産婦)。妊娠13週。妊娠初期の検査でサイトメガロウイルスIgG抗体が陰性であった。
Aさんに対するサイトメガロウイルスの母子感染を予防するための指導で適切なのはどれか。

 

  1. ワクチンの接種
  2. ネコの飼育の禁止
  3. ガーデニング後の手洗い
  4. 上の子のおむつ交換後の手洗い

 

 


 

▶午後6

Aさん(39歳、1回経産婦)は、体重3,850gの児を経腟分娩した。分娩第3期までの出血量は羊水を含めて650mL。胎盤娩出時のバイタルサインは、脈拍80/分、血圧125/75mmHg。Aさんは分娩2時間後に気分不快を感じ、助産師を呼んだ。外陰部に当てたパッドを超えて血液があふれベッドのシーツに広く染みており、床にもこぼれていた。パッド内の血液量は120g。脈拍130/分、血圧72/38mmHgで、不穏な状態である。
分娩から分娩2時間後までの出血の総量として予想される値はどれか。

 

  1. 770mL
  2. 1,000mL
  3. 1,500mL
  4. 2,000mL以上

 

 


 

▶午後7

25歳の初産婦。妊娠40週1日、分娩所要時間20時間30分で体重3,650gの女児を正常分娩した。分娩2時間後の観察時に「本当に痛くて大きな声で叫んでしまいました。二度とお産はしたくないです」と硬い表情で言った。
助産師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 「次のお産は今回と同じにはなりませんよ」
  2. 「赤ちゃんの顔を見たら気持ちが変わりますよ」
  3. 「痛かったですよね。でも上手なお産でしたよ」
  4. 「みんな大きな声を出すので気にしないでください」

 

 


 

▶午後8

低置胎盤の妊婦が経腟分娩した。胎盤娩出直後に子宮収縮が不良となり、約800mLの出血がみられた。子宮双手圧迫法を行いつつ子宮収縮薬の点滴静脈内注射を開始し、子宮体部の収縮は良くなってきたが、その後も子宮腔内からの流血が続いている。経腹超音波検査の所見では子宮腔内に胎盤の遺残はなく、胎盤剝離面からの出血であると推定された。
止血処置に用いる器材はどれか。

 

101pm8j

 

 


 

▶午後9改題

日本における令和4年(2022年)の乳児死亡について正しいのはどれか。

 

  1. 死因の第1位は乳幼児突然死症候群〈SIDS〉である。
  2. 乳児死亡数は2,000人を下回っている。
  3. 死亡率は3.0を上回っている。
  4. 早期新生児死亡は含まれない。

 

 


 

▶午後10

出産育児一時金について正しいのはどれか。

 

  1. 支給額は標準報酬日額の3分の2である。
  2. 被保険者本人が出産したときのみ支給対象となる。
  3. 妊娠85日以後の出産であれば死産でも支給される。
  4. 雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律〈男女雇用機会均等法〉に定められている。

 

 


 

▶午後11

少子化社会対策基本法に定められているのはどれか。

 

  1. 要保護児童の里親への委託
  2. 不妊治療に係る情報の提供
  3. 生後1年未満の育児時間の確保
  4. 乳幼児に対する栄養摂取の援助

 

 


 

▶午後12

34歳の初妊婦。妊娠20週2日、単胎である。学童期に気管支喘息と診断され、最終発作は1年前である。現在は自宅近くの病院で妊婦健康診査を受けており、妊娠経過は正常である。日常生活に問題はない。自宅から車で4時間のところにある実家に里帰りして出産することを希望している。
妊婦健康診査の際に、里帰り分娩について相談を受けた助産師が勧める内容で適切なのはどれか。

 

  1. 妊娠37週ころに里帰りする。
  2. 実家近くの助産所で分娩する。
  3. 車で移動するときは途中で休憩をとる。
  4. 出産希望の医療機関における分娩受け入れの可否を妊娠後期に確認する。

 

 


 

▶午後13

妊婦における食事摂取基準を定める法律はどれか。

 

  1. 健康増進法
  2. 健康保険法
  3. 地域保健法
  4. 母子保健法
  5. 母体保護法

 

 


 

▶午後14改題

子宮頸癌について正しいのはどれか。

 

  1. 組織型は腺癌が多い。
  2. ワクチンの接種によって治療できる。
  3. 若年層での発生数の増加が問題となっている。
  4. ヒトパピローマウイルス〈HPV〉11型の感染によって発生する。
  5. 令和3年(2021年)の日本における年間の死亡者数は乳癌より多い。

 

 


 

▶午後15

母体血清マーカー検査について正しいのはどれか。

 

  1. 妊娠9週から行われる。
  2. 胎児の性別の判定ができる。
  3. 13トリソミーの確定診断ができる。
  4. 胎児神経管閉鎖障害の確率が推定できる。
  5. 単胎より双胎の方が正確性の高い結果が得られる。

 

 


 

▶午後16

妊娠による身体の変化で正しいのはどれか。

 

  1. 腟壁が藍紫色となる。
  2. 子宮頸部の軟化は子宮体部より早く始まる。
  3. Piskacek〈ピスカチェック〉徴候は妊娠5か月に顕著となる。
  4. 乳輪に形成されるMontgomery〈モントゴメリー〉腺は第2次乳輪である。
  5. 子宮の着床部位が膨隆して触れることをHegar〈へガール〉第1徴候という。

 

 


 

▶午後17

胎児期に低栄養であった場合に、成人期以降にみられやすいのはどれか。

 

  1. アトピー性皮膚炎
  2. 気管支喘息
  3. 2型糖尿病
  4. 肝硬変
  5. 膵臓癌

 

 


 

▶午後18

胎児の血液循環を図に示す。
101pm18j
血液中の酸素分圧が2番目に高いのはどれか。

 

  1. A
  2. B
  3. C
  4. D
  5. E

 

 


 

▶午後19

臍帯について正しいのはどれか。

 

  1. 臍帯偽結節は血行障害を伴う。
  2. 臍動脈の直径は臍静脈の直径より大きい。
  3. 臍帯の胎盤付着部位は中央付着が最も多い。
  4. 過短臍帯は分娩時に胎児機能不全を起こしやすい。
  5. 臍帯のWharton〈ワルトン〉膠様質は卵膜で覆われている。

 

 


 

▶午後20

新生児の成熟度をNew Ballard法で評価する際の所見でスコアが高いのはどれか。

 

  1. 脚が伸展している。
  2. 皮膚に亀裂を認める。
  3. 陰核が突出している。
  4. 膝窩角が180度である。
  5. 手の前屈角が60度である。

 

 


 

▶午後21

Aさん(18歳、高校生)。思春期外来を受診した。Aさんは「月経周期が一定でないので心配。25日から30日と、早く来たり普通に来たりで、7日間ぐらい続きます。体重が62kgあることが気になって、3年くらい前からダイエットしました。今は身長155cmで、体重は57kgです。基礎体温をつけたら、高温と低温はありました」と言う。
この相談内容についての助産師の判断で適切なのはどれか。

 

  1. 希発月経である。
  2. 過長月経である。
  3. 無排卵性月経である。
  4. 月経周期は正常である。
  5. 体重減少性無月経である。

 

 


 

▶午後22

妊婦健康診査における正常経過の妊婦に対する間欠的胎児心拍数聴取について、正しいのはどれか。

 

  1. 5秒ごとの心拍数を計測する。
  2. 膀胱に尿を貯留させた状態で聴取する。
  3. 腹部緊満を訴える場合は1分間聴取する。
  4. 妊娠初期は臍部よりやや上方で聴取する。
  5. 臍帯雑音と胎児心音は同数で聴取できる。

 

 


 

▶午後23

28歳の初妊婦。妊娠31週6日に妊婦健康診査を受診した。子宮底長25cm。経腹超音波検査で、児の推定体重は週数相当、AFIは2.8であった。
このような所見がみられる胎児の疾患はどれか。

 

  1. 筋緊張性ジストロフィー
  2. 横隔膜ヘルニア
  3. 十二指腸閉鎖症
  4. 両側腎低形成
  5. 鎖肛

 

 


 

▶午後24

Aさん(34歳、1回経産婦)。妊娠22週0日。妊婦健康診査を受けている病院に「3歳の長女が通園している幼稚園で、3日前に伝染性紅斑を発症した児がいた」と相談に来たため、血清抗体価検査を行った。検査結果は、PB19-IgM抗体(-)、PB19-IgG抗体(+)であった。
Aさんに対する説明で正しいのはどれか。

 

  1. 「このまま様子をみて問題ありません」
  2. 「抗ウイルス薬の内服で感染が予防できます」
  3. 「2週ごとに胎児の超音波検査が必要です」
  4. 「1か月後に血清抗体価の再検査が必要です」
  5. 「帝王切開術による分娩になります」

 

 


 

▶午後25

30歳の初産婦。妊娠39週0日。午前2時に破水で目が覚め、1時間後に入院した。入院後のパルトグラムを図に示す。
101pm25j
この産婦の分娩開始時間はどれか。

 

  1. 2時
  2. 3時
  3. 4時
  4. 8時
  5. 9時

 

 


 

▶午後26

前方後頭位分娩で出生した直後の児頭を図に示す。
101pm26j
第3回旋が起こる直前に母体の恥骨弓下を滑脱した点はどれか。

 

  1. A
  2. B
  3. C
  4. D
  5. E

 

 


 

▶午後27

Aさん(30歳、初産婦)。妊娠39週0日。微弱陣痛のためオキシトシンを使用し、体重3,500gの児を経腟分娩した。分娩所要時間18時間30分。分娩時出血量700mL。分娩2時間後、オキシトシン点滴静脈内注射は継続中で、子宮底の高さは臍高、硬度はやや軟。最終排尿は、分娩1時間前であった。体温37.5℃、脈拍80/分、血圧130/70mmHg。分娩1時間後の出血量は30mL、2時間後の出血量は60mLであった。「陣痛が始まってから食事も摂れず、眠れなかった。赤ちゃんの泣き声が気になって休めない。体が熱く、汗をかいた」と言う。
このときの対応で最も優先されるのはどれか。

 

  1. 排尿を促す。
  2. 食事摂取を促す。
  3. 授乳介助を行う。
  4. 全身清拭を行う。
  5. 腋窩の冷罨法を行う。

 

 


 

▶午後28

新生児の体温について正しいのはどれか。

 

  1. 褐色脂肪組織で熱産生を行う。
  2. 成人に比べ蒸散による熱喪失が少ない。
  3. 環境温度が高いと酸素消費量が少なくなる。
  4. 低体温は代謝性アルカローシスの原因となる。
  5. 開放式保育器は対流による熱喪失が予防できる。

 

 


 

▶午後29

在胎37週5日、体重2,700gで出生した児。出生後のバイタルサインに異常はなかったが、授乳時に口唇周囲に軽度のチアノーゼが認められた。本日、日齢3で体重2,565g。体温37.5℃、呼吸数53/分、心拍数145/分。排尿8回/日、排便2回/日で移行便である。児の栄養は自律授乳で7回/日、授乳時間20分/回。母親の乳房は軽度緊満、乳汁分泌は良好である。
授乳に関する対応で適切なのはどれか。

 

  1. 授乳回数を増やす。
  2. 哺乳瓶で哺乳する。
  3. 授乳間隔を3時間おきにする。
  4. 授乳中の児の呼吸状態を確認する。
  5. 乳輪部が均等に見えるように吸着の介助をする。

 

 


 

▶午後30

新生児の黄疸について正しいのはどれか。

 

  1. 黄疸は四肢、体幹、頭頸部の順に進行していく。
  2. 頭蓋内出血は核黄疸の発症のリスク因子である。
  3. 胆道閉鎖症では間接ビリルビン優位の黄疸を呈する。
  4. 遷延性黄疸とは、生後4週以上持続する黄疸のことである。
  5. 母親の血液型がAB型の場合は溶血性黄疸の発症のリスクが高い。

 

 


 

▶午後31

胎児発育不全〈FGR〉の妊婦が正期産で正常分娩になった。
妊娠および分娩の管理について、保険診療の対象となるのはどれか。

 

  1. 分娩料
  2. 室料差額
  3. 新生児管理保育料
  4. 妊婦健康診査の費用
  5. ノンストレステスト〈NST〉

 

 


 

▶午後32

胎位、胎勢および胎向について正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 骨盤位は縦位である。
  2. 後方後頭位は経腟分娩が不可能である。
  3. 胎位や胎勢の異常は微弱陣痛の原因となる。
  4. 胎位や胎勢の異常によって臍帯巻絡が生じる。
  5. 縦位では児頭と母体との位置関係を胎向という。

 

 


 

▶午後33

骨盤臓器脱の危険因子はどれか。2つ選べ。

 

  1. 便秘
  2. 喫煙
  3. るいそう
  4. 子宮筋腫
  5. 帝王切開術の既往

 

 


 

▶午後34

先天性心疾患のうち非チアノーゼ性心疾患はどれか。2つ選べ。

 

  1. 動脈管開存症
  2. 三尖弁閉鎖症
  3. 心室中隔欠損症
  4. 完全大血管転位症
  5. 総肺静脈還流異常症

 

 


 

▶午後35

乳幼児突然死症候群〈SIDS〉の危険因子はどれか。2つ選べ。

 

  1. 母乳栄養
  2. 部屋の加湿
  3. うつ伏せ寝
  4. 養育者の喫煙
  5. 硬めの寝具の使用

 

 


 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。

Aさん(34歳、未妊婦)。3か月前から、月経の数日前から月経中にかけて下腹部痛が強くなっていることを自覚し、近くの産婦人科を受診した。月経は規則的で量は正常。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:大学卒業後は銀行に就職し、職場で知り合った夫と半年前に結婚した。結婚後も仕事を継続し、生活に充実感を感じている。
家族歴:母方の祖母が乳癌で死亡。母親は乳癌の手術歴がある。
身体所見:身長160cm、体重55kg。
検査所見:内診にて骨盤内に強い癒着や圧痛はみられない。経腟超音波検査で左卵巣内に2cm大の子宮内膜症性囊胞が確認された。

 

▶午後36

Aさんは医師から月経痛の緩和のため痛み止めの処方を受けた。医師の診察後に、将来の妊娠の計画について助産師が相談を受けた。Aさんも夫も、子どもが2人欲しいと考えているという。
助産師が行うAさんへの説明で正しいのはどれか。

 

  1. 「子宮内膜症が治らないと妊娠はできません」
  2. 「早めの妊娠を目指すことが望ましいです」
  3. 「体重を減らすと妊娠しやすいです」
  4. 「不妊治療を受ける必要があります」
  5. 「妊娠のために仕事はやめましょう」

 

 


 

▶午後37

初診から3か月後。Aさんは卵巣子宮内膜症の変化を確認するため、再度受診し、受診前の問診で乳癌に関して助産師に相談した。Aさんは「家族に乳癌の発症が多いため自分も発症するのではないかと心配だ」と助産師に話した。
Aさんの乳癌発症のリスクを評価する上で、助産師がAさんから確認すべき情報で正しいのはどれか。

 

  1. 母親の体重
  2. 祖母の食生活
  3. Aさんの経血量
  4. 祖母と母親の乳癌の発症年齢
  5. 祖母と母親の子宮内膜症の既往の有無

 

 


 

▶午後38

Aさんは「今後の妊娠を見据えた上で、乳癌の検査について知りたい」と言う。
乳癌の検査に関するAさんへの説明で適切なのはどれか。

 

  1. 「授乳中は癌の発見が難しくなります」
  2. 「妊娠中は妊娠後期に検査を受けましょう」
  3. 「超音波検査では悪性の確定診断ができます」
  4. 「Aさんの年齢では超音波検査の有効性は低くなります」

 

 


 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。

Aさん(30歳、1回経産婦)。妊娠40週5日。これまでの妊娠経過に異常はなかったが、妊娠37週の妊婦健康診査でB群溶血性レンサ球菌〈GBS〉陽性であった。午後10時にAさんは電話で「午後4時くらいから不規則に子宮収縮がありましたが、午後7時からは15分間隔になり、今も変わりません。生理痛のような痛みがあります。昨日の妊婦健康診査で、子宮の出口は2cm開いていると言われました。昨日から褐色のおりものがありますが、破水はしていません。いきみたい感じはありません」と落ち着いて話した。

 

▶午後39

Aさんは「病院までは30分くらいで行けます。上の子は同居の実母にみてもらうことができます。どうしたらよいでしょうか」と話した。
電話でのAさんへの説明で適切なのはどれか。

 

  1. すぐに来院してもらう。
  2. 破水後にもう一度電話してもらう。
  3. 明日の午前中に外来を受診してもらう。
  4. 陣痛が10分間隔になったら来院してもらう。

 

 


 

▶午後40

その後Aさんは入院し、陣痛発来5時間後に陣痛間欠5分、陣痛発作40秒となった。内診所見は、子宮口7cm開大、展退度80%、Station±0、子宮頸管の硬度は軟、子宮口の位置は前方であった。矢状縫合は斜径、小泉門は5時方向、卵膜はなく、薄いピンク色の羊水の流出を確認した。胎児心拍数陣痛図の波形はレベル2。腰部痛があるため左側臥位で過ごしており、肛門が押される感じがすると訴えている。
このときの対応で適切なのはどれか。

 

  1. 努責を促す。
  2. 入浴するよう促す。
  3. トイレに行くことを勧める。
  4. 四つ這いの姿勢になるよう促す。
  5. 連続的胎児心拍数モニタリングを3時間後から実施する。

 

 


 

▶午後41

Aさんは、分娩開始後9時間で正常分娩した。分娩後、左正中側切開への縫合術が行われた。分娩時出血量は440mLで、子宮収縮は良好であった。分娩5時間後、Aさんは尿意を感じ、トイレまで歩行したが尿は出なかった。体温36.8℃、脈拍78/分、血圧138/74mmHg。子宮底の高さは臍高で硬く触れ、流血はない。会陰切開縫合部の腫脹と発赤はない。触診で膀胱充満がみられた。
Aさんのアセスメントで適切なのはどれか。

 

  1. 脱水を起こしている。
  2. 尿路系の炎症を起こしている。
  3. 子宮復古不全を起こしている。
  4. 膀胱平滑筋の緊張が亢進している。
  5. 尿道括約筋が一過性の攣縮をきたしている。

 

 


 

次の文を読み42〜44の問いに答えよ。

Aちゃん(生後4か月0日、男児)。在胎37週、身長48cm、体重2,500gで出生した。Aちゃんは4か月児健康診査で身長60cm、体重6,000gであった。腹這いにすると腕で身体を支え、頭を持ち上げた。「がらがら」を両手で持ち、あやすと声を出して笑い、母親をまねてアーアーと声を出した。首を右に向けると左右の手足を屈曲させた。

 

▶午後42

Aちゃんの成長・発達評価で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. Kaup〈カウプ〉指数による評価は太り気味である。
  2. 微細運動の発達遅滞が認められる。
  3. 喃語の表出に遅滞が認められる。
  4. 緊張性頸反射は消失している。
  5. 定頸している。

 

 


 

▶午後43

2か月後、母親がAちゃんの体温を測ると38.0℃であった。すぐにかかりつけ医を受診したところ、処方はされず、自宅で様子をみることになった。発熱以外に感冒様症状や嘔吐はなく、機嫌よく過ごしていた。受診後3日で解熱し、体幹に淡紅色の細かい発疹を認めた。
考えられる疾患はどれか。

 

  1. 麻疹
  2. 突発性発疹
  3. インフルエンザ
  4. RSウイルス感染症
  5. A群β溶血性レンサ球菌感染症

 

 


 

▶午後44

解熱後1週、Aちゃんの症状は軽快し、6か月児健康診査のためかかりつけ医を受診した。身長66cm、体重7,200g。母親は「母乳はよく飲んでいます。夜間は2、3時間おきに授乳が必要です」と話し、母親はやや疲労した様子である。
このときの栄養指導で正しいのはどれか。

 

  1. 人工乳の追加を勧める。
  2. 断乳の準備をするよう勧める。
  3. 離乳食を開始するよう勧める。
  4. 夜間は泣いても授乳しないよう勧める。

 

 


 

次の文を読み45〜47の問いに答えよ。

望まない妊娠の防止と対応を目的として、助産師6人で「妊娠に関する電話相談」事業を立ち上げた。週に2日、9時から17時の間、電話相談を受けることになった。Aさんは「妊娠に関する電話相談」に匿名で電話をかけた。「今、大学2年生。交際し始めた男性と2週前に避妊せずに性交渉をした。昨日から出血があり、下腹部痛がある。今朝、妊娠検査薬で調べたところ妊娠反応は陰性であったが、本当に妊娠していないか不安になった」と話した。

 

▶午後45

Aさんの電話相談を受けたB助産師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. Aさんの連絡先を聞く。
  2. B助産師の名前を伝える。
  3. 受診の必要性を判断する。
  4. あらかじめ相談に要する時間を決めておく。

 

 


 

▶午後46

2週後、Aさんから再度電話があり、B助産師が対応した。Aさんは「月経が来て妊娠の不安はなくなった。彼との交際も続いている。今後はちゃんと避妊しようと彼とも話し合った。方法を教えて欲しい」と真剣に話した。Aさんは経血量が多く、月経周期は不規則であった。
Aさんに勧める方法で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 腟外射精
  2. 周期的禁欲法
  3. 低用量ピルの内服
  4. コンドームの使用
  5. 緊急避妊薬の内服

 

 


 

▶午後47

助産師が行う「妊娠に関する電話相談事業」を開始して1か月が経過した。電話相談を担当する助産師で、これまでの電話相談の各事例を評価するため話し合った。
Aさんの事例を評価する際に、最も重要な情報はどれか。

 

  1. Aさんと彼の交際が継続したこと
  2. Aさんの妊娠不安がなくなったこと
  3. Aさんが2回目の電話をかけてきたこと
  4. Aさんが自分から避妊方法を知ろうとしたこと

 

 


 

次の文を読み48、49の問いに答えよ。

Aさん(25歳、初妊婦)。図書館の受付で働いている。妊娠18週2日。身長155cm、非妊時体重54kg。妊娠10週ころからつわりが始まり体重が3kg減少し、現在の体重は51kgである。妊婦健康診査で、血圧100/60mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)。胎児の発育は良好で、羊水量は正常であった。

 

▶午後48

この時期のAさんが非妊時よりも追加すべきエネルギー必要量はどれか。

 

  1. 0kcal/日
  2. 50kcal/日
  3. 250kcal/日
  4. 450kcal/日

 

 


 

▶午後49

妊娠24週4日、妊婦健康診査のため来院した。体重63.5kg。血圧138/78mmHg。尿蛋白(-)、尿糖3+。下腿の浮腫(±)。経腹超音波検査で特に異常はなかった。1週後の再検査でも尿糖3+で、血液検査の結果、妊娠糖尿病と診断された。糖尿病の既往はない。「ショックです。つわりがおさまってから何でもおいしいので、つい食べ過ぎていたかもしれません。今後はなるべく食べないようにします」と話した。
このときの説明で正しいのはどれか。

 

  1. 「帝王切開術の適応となります」
  2. 「尿糖が陰性になれば心配ありません」
  3. 「血糖コントロールは内服薬で行います」
  4. 「赤ちゃんに問題が起こることはありません」
  5. 「妊娠期に必要な栄養所要量を摂ることが重要です」

 

 


 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。

Aさん(25歳、会社員)。両親と妹の4人家族。Aさんは、月経が遅れたため産婦人科外来を受診し、妊娠8週0日と診断された。パートナー(27歳、会社員)とは1年後に結婚する予定であった。4週後、妊婦健康診査のため受診した。
既往歴:特記すべきことはない。
生活歴:出勤は朝7時、帰宅は21時になる。昼食および夕食は外食が多い。
家族歴:母親は高血圧症で内服治療中。
身体所見:身長154cm、非妊時体重55kg。今回の体重は54kg。悪心が時々ある。
検査所見:血圧120/76mmHg。尿蛋白(-)、尿糖(-)。下腿の浮腫(-)。超音波検査にて胎児心拍を確認し、頭殿長〈CRL〉45mm。

 

▶午後50

Aさんは「パートナーと一緒に育てていこうと決めたけれど、まだ親になる実感がわかない。今は2人とも仕事が忙しく同居できないので、この先一緒に赤ちゃんのことを考えていけるか不安がある」と言う。
Aさんへの対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 妊娠に伴う母体の変化を説明する。
  2. 妊娠初期の食生活について説明する。
  3. Aさんに出産のビデオを観てもらう。
  4. 他の妊婦と交流できるマタニティクラスの参加を勧める。
  5. パートナーとともに妊婦健康診査に来院するよう勧める。

 

 


 

▶午後51

その後、Aさんとパートナーは結婚し、妊娠24週から2人で暮らし始めた。妊娠34週0日の妊婦健康診査で、体重70kg。血圧160/100mmHg、安静後の再測定では145/95mmHg。尿蛋白2+、尿糖(-)。下腿の浮腫+。子宮底長29cm。腹部緊満感が時々あると訴えたが、触診で子宮収縮は認めなかった。子宮口1cm開大。胎児推定体重1,600g、羊水量は正常。胎児心拍数基線120bpm、基線細変動10bpm、一過性頻脈あり、一過性徐脈は認めなかった。頭重感と不眠の訴えがある。Hb11.5g/dL、Ht38%。
このときのAさんの状態で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 妊娠中の体重増加は正常である。
  2. 胎児発育不全〈FGR〉である。
  3. 胎児機能不全である。
  4. 白衣高血圧である。
  5. 入院が必要である。

 

 


 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。

Aさん(32歳、1回経産婦)。妊娠39週4日。陣痛発来し、かかりつけの産婦人科病院に入院した。順調に分娩が進行し、体重3,150gの女児を経腟分娩した。児娩出直後は異常出血は認めなかった。児娩出の5分後に子宮収縮に伴い臍帯を挟鉗したペアンが下がる様子があり、助産師は臍帯を牽引して胎盤を娩出した。胎盤娩出直後から、Aさんは苦悶し始め、下腹部痛を訴えた。胎盤娩出直後のバイタルサインは、体温37.2℃、脈拍90/分、血圧120/65mmHgであった。助産師が内診を行うと、腟内に弾力のある組織が膨隆しており子宮口を同定できなかった。腟口から多量の血液が流出している。

 

▶午後52

Aさんに生じた異常を判断するのに重要なのはどれか。

 

  1. 経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2
  2. 胎盤剝離面の凝血塊付着の有無
  3. 臍帯動脈血pH値
  4. 子宮底の位置
  5. アレルギー歴

 

 


 

▶午後53

胎盤娩出から30分後、医師による処置が終了してAさんの下腹部痛は消失した。総出血量は3,800mL。腟口からの出血は減少したが持続しており、膿盆内に貯留した血液には凝血が認められない。
この時点で確認する血液検査データで最も重要なのはどれか。

 

  1. 血清間接ビリルビン値
  2. 血清ナトリウム値
  3. フィブリノゲン値
  4. 白血球数
  5. 血糖値

 

 


 

資料 厚生労働省「第104回保健師国家試験、第101回助産師国家試験、第107回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向

平成31年2月14日実施の第102回助産師国家試験の全問題と正答を掲載します。

 

また、内容に応じて衛生テキスト「国民衛生の動向2024/2025」の参照章・ページを示します。問題を解きながら本誌を確認することで、より問題の理解を深めることできます。

 

分野別解説付き問題まとめ

を合わせて活用しながら、合格に近づく過去問対策を進めて頂ければ幸いです。

 

なお、最新の統計の記載、法律の改正、不適切問題などにより、一部問題を改変、削除しています。

 

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国民衛生の動向 2024/2025

 

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定価:2,970円(税込)

412頁・B5判

雑誌コード:03854-08

 

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▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

第102回助産師国家試験目次

 

 

第102回助産師国家試験・午前(55問)

 

▶午前1

妊婦の飲酒によって認められる特徴的な胎児異常はどれか。

 

  1. 小頭症
  2. 白内障
  3. 四肢欠損
  4. 末梢神経障害

 

 


 

▶午前2

40歳以上を対象とした乳がん検診で推奨される検査はどれか。

 

  1. 胸部MRI
  2. 穿刺吸引細胞診
  3. マンモグラフィ
  4. 遺伝性乳癌卵巣癌症候群に関連する遺伝子変異の検査

 

 


 

▶午前3

妊娠による母体の糖代謝の変化で正しいのはどれか。

 

  1. 食後血糖値は低下する。
  2. 空腹時血糖値は低下する。
  3. 血中インスリン値は低下する。
  4. インスリン感受性が亢進する。

 

 


 

▶午前4

過剰摂取によって胎児の形態異常のリスクが高まるのはどれか。

 

  1. ビタミンA
  2. ビタミンB2
  3. n-3系脂肪酸

 

 


 

▶午前5

陣痛で正しいのはどれか。

 

  1. 胎盤循環は陣痛周期によらず一定である。
  2. 陣痛発作時間とは産婦が痛みを感じる時間をいう。
  3. 後産期陣痛は胎盤剝離面からの出血の止血に作用する。
  4. 分娩第2期で陣痛間欠4分は平均的な陣痛間欠時間である。

 

 


 

▶午前6

子宮収縮薬を用いた分娩誘発で正しいのはどれか。

 

  1. 分娩監視装置は陣痛が発来したら装着する。
  2. プロスタグランジンF2αの最大投与量は50μg/分である。
  3. 静脈内投与の輸液量の増量は前回増量時から30分以上経過後に行う。
  4. オキシトシンは10単位を5%ブドウ糖液500mLに溶解して使用する。

 

 


 

▶午前7

体外受精・新鮮胚移植によって、妊娠した月経周期30日型の女性の分娩予定日の決定法で最も精度が高いのはどれか。

 

  1. 最終月経の第1日目に280日を加えた日
  2. 採卵日に266日を加えた日
  3. 初診時の胎囊の測定値からの推定日
  4. 50mm以上の頭殿長〈CRL〉を測定した日からの推定日

 

 


 

▶午前8

妊娠33週の初妊婦。合併症はなく妊娠経過は順調。妊婦健康診査時の腹部超音波検査中に「気分が悪い」と訴え、顔色不良となった。
最初に行う対応はどれか。

 

  1. 体位を左側臥位にする。
  2. 頭部を挙上する。
  3. 血圧を測定する。
  4. 腹部を保温する。

 

 


 

▶午前9

36歳の初妊婦。妊娠経過は順調であった。妊娠39週0日、3,280gの児を正常分娩で出産した。分娩所要時間は15時間で、総出血量は420mLであった。Apgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後9点であった。バースプランに「産まれたら、赤ちゃんを胸の中で抱きしめたい」とあった。
この母子の早期母子接触の実施方法で最も適切なのはどれか。

 

  1. 帰室まで継続して実施する。
  2. 母親の体位は水平臥床とする。
  3. 児の血糖値を確認後に開始する。
  4. 児に経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉モニターを装着して観察する。

 

 


 

▶午前10

Rubin〈ルービン〉の母親役割における達成の概念を示しているのはどれか。

 

  1. 母性の獲得は模倣、空想、脱分化というプロセスによって進められる。
  2. 母親役割獲得プロセスは予期的段階から始まるとしている。
  3. 産後12か月までの役割達成が含まれている。
  4. 対象は思春期の女性である。

 

 


 

▶午前11

乳幼児期に起こりやすい事故を予防するための方法で適切なのはどれか。

 

  1. ベランダの踏み台は柵に寄せる。
  2. 浴槽内では足入れ付き浮輪を使用する。
  3. 児が飲み込めない大きさのおもちゃを選ぶ。
  4. 公園で遊ぶときはフード付きの上着を着せる。

 

 


 

▶午前12

早産児の感染予防に効果があるのはどれか。

 

  1. 中鎖脂肪
  2. ビタミンD
  3. ビタミンK
  4. プロバイオティクス

 

 


 

▶午前13

健やか親子21(第2次)の基盤課題A「切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策」の評価指標はどれか。

 

  1. 10代の人工妊娠中絶率
  2. 不妊専門相談センターを設置する自治体数
  3. 妊娠・出産に満足している者の割合
  4. 男性の育児休業取得率

 

 


 

▶午前14

出産手当金で正しいのはどれか。

 

  1. 健康保険法で定められている。
  2. 異常分娩の場合には支給されない。
  3. 1日につき標準報酬日額に相当する額が支給される。
  4. 被保険者が扶養している配偶者の出産にも支給される。

 

 


 

▶午前16

助産所管理者が行う助産管理で適切なのはどれか。

 

  1. 内科専門医を嘱託医として確保する。
  2. 緊急時搬送は嘱託医師を経由しなければならない。
  3. 応急医薬品の購入には医師の処方せんが必要である。
  4. 嘱託医師を定める際は医師の承諾書か合意書のいずれかを要する。

 

 


 

▶午前17

母子健康手帳に綴じ込まれている松井式便色カードを別に示す。
102am17j
適切なのはどれか。

 

  1. 1番に近い色は母乳栄養児の便に特徴的である。
  2. 3番に近い色は胆道閉鎖症が疑われる。
  3. 4番に近い色は哺乳不良の児の便に特徴的である。
  4. 6番に近い色は消化管出血が疑われる。
  5. 7番に近い色は感染性腸炎が疑われる。

 

 


 

▶午前18

非侵襲的出生前遺伝学的検査〈NIPT〉で正しいのはどれか。

 

  1. 母体の年齢が高いと陽性的中率は下がる。
  2. 遺伝カウンセリングと併せて行う。
  3. 公的医療保険の適用である。
  4. 妊娠8週未満で行う。
  5. 確定的な検査である。

 

 


 

▶午前19

妊娠初期の黄体に作用して黄体を維持するのはどれか。

 

  1. hCG〈ヒト絨毛性ゴナドトロピン〉
  2. 卵胞刺激ホルモン〈FSH〉
  3. プロスタグランジン
  4. キスぺプチン
  5. アクチビン

 

 


 

▶午前20

正常な胎児において妊娠11週の胎児超音波検査で認められるのはどれか。

 

  1. 口蓋裂
  2. 腹壁破裂
  3. 全前脳胞症
  4. 脊髄髄膜瘤
  5. 臍帯ヘルニア

 

 


 

▶午前21

妊娠期に禁忌なのはどれか。

 

  1. アスピリン
  2. フェニトイン
  3. ワルファリン
  4. プレドニゾロン
  5. プロピルチオウラシル

 

 


 

▶午前22

日本において妊婦の抗体保有率が最も低いのはどれか。

 

  1. サイトメガロウイルス
  2. 水痘ウイルス
  3. トキソプラズマ
  4. 風しんウイルス
  5. 麻しんウイルス

 

 


 

▶午前23

30歳の経産婦。妊娠37週5日。身長163cm、体重66kg。陣痛発来で来院した。妊娠経過は順調、胎児推定体重は2,560g。来院時、努責感はない。陣痛間欠2分、陣痛発作20秒、胎児心拍数140bpm、一過性頻脈を認める。内診所見は、子宮口8cm開大、Station±0、子宮頸管の硬度は軟、未破水、先進する小泉門を4時方向に触れる。
この時点の助産師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 側臥位を促す。
  2. 努責を誘導する。
  3. 人工破膜を行う。
  4. 病棟内歩行を促す。
  5. 医師に陣痛促進薬の使用を提案する。

 

 


 

▶午前24

骨盤内の児頭の状態を図に示す。
第1頭位における不正軸進入はどれか。

 

102am24j

 

 


 

▶午前25

産褥7日の褥婦。発熱がみられた。体温38.5℃。脈拍88/分。排尿8回/日、排便1回/日。倦怠感を訴えている。乳房は軽度うっ滞しているが、発赤はない。子宮底の高さは恥骨上3横指で柔らかく触れる。赤褐色の悪露が少量みられ、下腹部痛が軽度あるという。会陰切開部の軽度の痛みが続いている。排尿時痛はない。
この時点の褥婦の状況で適切なのはどれか。

 

  1. 産褥子宮内膜炎が疑われる。
  2. うっ滞性乳腺炎が疑われる。
  3. 頻尿は尿路感染によるものである。
  4. 会陰切開部の癒合不全が疑われる。
  5. 下腹部痛は後陣痛によるものである。

 

 


 

▶午前26

妊娠中から産褥期に、母体敗血症からトキシックショック症候群、全身性炎症反応症候群〈SIRS〉、播種性血管内凝固〈DIC〉などを起こし、周産期の母児の死亡原因となるのはどれか。

 

  1. 梅毒
  2. 淋菌感染症
  3. 性器ヘルペス感染症
  4. 性器クラミジア感染症
  5. A群溶血性レンサ球菌感染症

 

 


 

▶午前27

人工栄養よりも母乳栄養の新生児に起こりやすいのはどれか。

 

  1. 便秘
  2. 遷延性黄疸
  3. 一過性多呼吸
  4. 帽状腱膜下血腫
  5. 甲状腺機能低下症

 

 


 

▶午前28

Aちゃん(日齢10、女児)。在胎31週5日、体重1,570gで出生し、NICUに入院し経鼻的CPAP療法を行っている。ベッドサイドの呼吸心拍監視モニターのアラームが鳴ったため確認したところ、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉65%、心拍数70/分、呼吸運動は停止していて体動はなく、顔面にチアノーゼが認められた。
初期対応で正しいのはどれか。

 

  1. 胸骨圧迫
  2. 酸素投与
  3. 足底刺激
  4. 気管内挿管
  5. ブドウ糖液の静脈内注射

 

 


 

▶午前29

地域母子保健活動を行う事業と機関の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 療養の援護――市町村保健センター
  2. 養育医療の給付――児童相談所
  3. 育成医療の給付――助産所
  4. 助産施設への入所措置――福祉事務所
  5. 母子家庭等就業自立支援――配偶者暴力相談支援センター

 

 


 

▶午前30

周産期医療体制において総合周産期母子医療センターに求められる施設条件はどれか。

 

  1. 一般産科病床と母体胎児集中治療室〈MFICU〉は同数の病床数を有する。
  2. 関係する診療科と連携して母児の異常に対応できる。
  3. NICUとGCUは同数の病床数を有する。
  4. 無痛分娩に対応できる。
  5. 移植手術に対応できる。

 

 


 

▶午前31

性周期で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. エストロゲンが一定の濃度を超えるとポジティブフィードバックが起こる。
  2. インヒビンの作用によって排卵に至る卵胞が一つになる。
  3. LHサージ開始から48時間後に排卵がおこる。
  4. 子宮内膜は増殖期に脱落膜様変化となる。
  5. 乳房の容積は排卵時に最大となる。

 

 


 

▶午前32

子宮内黄体ホルモン放出システム〈IUS〉で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 月経量が減少する。
  2. 授乳中では乳汁分泌量が減少する。
  3. 人工妊娠中絶後直ちに挿入できる。
  4. 5年間の避妊失敗率は約10%である。
  5. 出血や腹痛がなければ10年間挿入できる。

 

 


 

▶午前33

造精機能障害の原因となるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 射精障害
  2. 精索静脈瘤
  3. 精管欠損症
  4. 両側精巣上体炎
  5. Klinefelter〈クラインフェルター〉症候群

 

 


 

▶午前34

Aさん(47歳、女性)。市町村の子宮がん検診の結果から精密検査を勧められ、産婦人科外来を受診した。持参した子宮頸部細胞診の結果は、ASC-US(意義不明な異型扁平上皮細胞)であった。Aさんは、助産師に「どんな検査が必要になるのですか、教えてください」と質問した。
Aさんに勧められる検査はどれか。2つ選べ。

 

  1. 直腸診
  2. 骨盤MRI検査
  3. コルポスコピー
  4. ハイリスクHPV検査
  5. 円錐切除術による組織診

 

 


 

▶午前35

妊娠41週3日の経産婦。前期破水のため入院し、子宮収縮薬で分娩誘発を行い、2時間経過後に陣痛が開始した。陣痛開始から30分後、子宮口開大4cm、Station-1、陣痛間欠1分30秒、陣痛発作30秒であった。胎児心拍数基線は120bpmで経過し、基線細変動は中等度から減少している。胎児心拍数陣痛図上に最下点が70bpm未満で持続時間が30秒以上の変動一過性徐脈がみられた。陣痛発作時に強く産痛を訴え、仰臥位で苦悶様表情を示している。
この時の対応で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 浣腸を行う。
  2. 産婦を側臥位にする。
  3. 子宮収縮薬を中止する。
  4. 間欠的胎児心拍数聴取に切り替える。
  5. 100%酸素3L/分で酸素投与を開始する。

 

 


 

▶午前36

28歳の初産婦。入院時、陣痛間欠7分、陣痛発作30秒で、内診所見は、子宮口2cm開大、展退度40%、Station-2、子宮頸管の硬度は中、子宮口の位置は中央であった。入院後6時間経過し、陣痛間欠3分、陣痛発作50秒となった。産婦は陣痛発作時に自ら深くゆっくりと呼吸し、間欠時には少し眠ることもあった。
この時の産婦のアセスメントで正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 微弱陣痛である。
  2. 母体疲労が著しい。
  3. 活動期に至っている。
  4. 血中β-エンドルフィンが高まっている。
  5. 逃避型のコーピングを用いて分娩に適応している。

 

 


 

▶午前37

第2前方後頭位の仰臥位分娩介助(側面介助法)で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 排臨の時点で肛門保護を会陰保護に切り替える。
  2. 小泉門が恥骨弓下を滑脱するまで児頭を屈位に保つ。
  3. 会陰保護は児頭が娩出した時点で終了する。
  4. 前在肩甲娩出時は児の側頭部を会陰側に押し下げる。
  5. 後在肩甲娩出後に児の体幹を両手で把持し骨盤軸に沿って娩出させる。

 

 


 

▶午前38

産科危機的出血への対応ガイドラインに示されている産科危機的出血の定義に当てはまるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 経腟分娩後24時間以内の出血量500mL
  2. ショックインデックス1.5
  3. 産科DICスコア6点
  4. Hb値7.0g/dL
  5. 出血の持続

 

 


 

▶午前39

妊婦の検査所見で、出産後、母乳栄養の中止によって母子感染を減らすことができるのはどれか。2つ選べ。

 

  1. HBs抗原陽性
  2. HCV抗体陽性
  3. HIV抗体陽性
  4. HTLV-1抗体陽性
  5. トキソプラズマIgG抗体陽性

 

 


 

▶午前40

産科病棟で提供している乳房ケアの成果を評価するための指標で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 助産師1人あたりの褥婦の数
  2. 乳房ケアの判断過程の適切性
  3. 乳房トラブルの件数
  4. 褥婦のケア満足度
  5. ケア計画の内容

 

 


 

次の文を読み41〜43の問いに答えよ。

Aさん(21歳、専門学校生)。月経不順であった。性器出血と腹部膨満感を主訴に産婦人科を初めて受診した。「突然に出血して、止まったと思ったらまた出血した。これまでこんな出血はなかった」と言う。出血は鮮血で、強い腹痛の自覚はない。身長155cm、体重57.5kg(非妊時体重50kg)。体温36.5℃、脈拍78/分、血圧128/82mmHg。尿蛋白(±)、尿糖(-)。血液検査ではHb10.8g/dL、白血球8,500/μL、血小板24万/μL。超音波検査にて子宮内に胎児が確認された。子宮底長27cm、腹囲88cm、胎児推定体重1,550g。超音波検査所見から妊娠30週2日と判断した。子宮口は閉鎖、展退度30%以下である。

 

▶午前41

経腟超音波検査の写真を別に示す。
102am41j
この時点で、考えられるのはどれか。

 

  1. 切迫早産
  2. 前置胎盤
  3. 羊水過多症
  4. 妊娠高血圧症侯群
  5. 臨床的絨毛膜羊膜炎

 

 


 

▶午前42

Aさんは入院となった。入院後2日、再度性器出血が生じ、30分間で200mLに達して持続している。胎児心拍数陣痛図は、基線細変動が減少していた。その後の20分間の観察で、一過性頻脈は認めない。超音波検査で、羊水ポケットは35mm、胎動は乏しい。
この時点のアセスメントで正しいのはどれか。

 

  1. 内診による子宮口開大の確認が必要である。
  2. 臍帯動脈からの出血がある。
  3. 前期破水の可能性が高い。
  4. 胎児機能不全が疑われる。

 

 


 

▶午前43

Aさんは緊急帝王切開術となった。術中出血量2,300mL(羊水込み)、出生体重1,750gの女児、Apgar〈アプガー〉スコア1分後1点、5分後5点。児は呼吸窮迫症候群のためNICU入院となった。Aさんの術後経過は良好であった。Aさんの両親にはAさんから連絡を入れるということであった。
産褥2日。「彼とは連絡が取れない。怒られるのが怖くて、まだ親に話せていない。今は親からの仕送りで生活している。NICUに入院するような子どもを育てる自信がない」と児の面会に行こうとしない。
Aさんに対する助産師の対応で最も優先されるのはどれか。

 

  1. 地域の育児サポート情報を提供する。
  2. 養子縁組の手続きを勧める。
  3. 両親へ連絡をとるよう促す。
  4. 避妊指導を行う。

 

 


 

次の文を読み44〜46の問いに答えよ。

Aさん(32歳、初産婦)。これまでの妊娠経過に異常はなかった。妊娠35週5日。「2、3日前から歩くと時々水が流れるような感じがあったが、尿漏れかと思って様子をみていた。今日になり、量が増えた」との訴えで、夫とともに外来受診した。パットには透明な水様性の帯下があり、悪臭なし。体温38.1℃、脈拍88/分、血圧128/76mmHg。子宮の圧痛はない。胎児心拍数は180bpmであった。胎児は頭位で胎児推定体重2,400g、AFI1.5。腟鏡診では少量の出血が混じった帯下を認めたが、腟円蓋の液体貯留は明らかでなかった。子宮口は閉鎖であった。

 

▶午前44

破水の診断のため追加して行う検査はどれか。

 

  1. 血中CRPの測定
  2. マイクロバブルテスト
  3. 腟内分泌物顕微鏡検査
  4. 癌胎児性フィブロネクチンの測定

 

 


 

▶午前45

Aさんは前期破水と診断され、抗菌薬の点滴静脈内注射が開始された。直ちに分娩監視装置が装着された。分娩監視装置装着後20分間の胎児心拍数陣痛図を別に示す。
102am45j
胎児心拍数陣痛図のアセスメントで正しいのはどれか。

 

  1. 基線細変動は増加している。
  2. 遷延一過性徐脈がみられる。
  3. 胎児心拍数の基線は頻脈である。
  4. 胎児のwell-beingに問題はない。
  5. サイナソイダルパターンがみられる。

 

 


 

▶午前46

Aさんは入院となり、この時の血液検査データはHb11.5g/dL、白血球23,000/μL、血小板35万/μL、CRP24.5mg/dLであった。絨毛膜羊膜炎の診断で、緊急帝王切開術による分娩となり2,400gの女児を出産した。児はApgar〈アプガー〉スコア1分後2点、5分後3点、気管内挿管され、NICUに入院となった。児は敗血症の診断で治療が開始されたが、急速に多臓器不全が進行し、出生後4日に死亡した。Aさんは「赤ちゃんが死んだなんて信じられない。私が破水に早く気づいて病院に来ていたら、こんなことにはならなかった」と涙を流しながら夫に話している。
助産師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 早期の退院を勧める。
  2. 夫と一緒にAさんの話を聞く。
  3. 次の妊娠について考えるよう勧める。
  4. 赤ちゃんのことは考えないように話す。
  5. 睡眠導入薬の処方について医師に相談するよう勧める。

 

 


 

次の文を読み47、48の問いに答えよ。

Aさん(30歳、初妊婦)。妊娠33週0日に帯下に少量の出血が混じり軽度の下腹部痛があることを主訴に受診した。体温36.8℃、脈拍60/分、血圧110/65mmHg。内診所見は子宮口2cm開大、展退度50%。超音波断層法で子宮頸管長23mm、胎位は骨盤位であった。後腟円蓋の腟分泌物でBTB試験紙は青変せず、悪臭はしない。血液検査で白血球の増加やCRPの上昇を認めない。Aさんは入院となり、NSTでは胎児心拍数は正常であるが、12分ごとに弱い子宮収縮が認められる。

 

▶午前47

この時点のアセスメントで正しいのはどれか。

 

  1. 切迫早産
  2. 高位破水
  3. 子宮内感染
  4. 子宮頸管無力症

 

 


 

▶午前48

Aさんは安静臥床を指示され、点滴治療が継続された。妊娠36週5日、痛みを伴う規則的な子宮収縮が生じ、子宮口が6cmまで開大した。骨盤位であったため緊急帝王切開術による分娩となった。手術翌日、脈拍72/分、血圧118/56mmHg、経皮的動脈血酸素飽和度〈SpO2〉98%。子宮底は臍下1横指で収縮は良好であり、外陰部にあてたパッドに少量の血液が付着している。採血の結果は、Hb10.2g/dL、血小板25万/μL、生化学検査は異常を認めなかった。手術後初めてトイレまで歩行した際、Aさんは胸痛を訴えてうずくまった。Aさんの左下肢には、軽度の発赤と腫脹が認められた。
Aさんに生じた疾患で最も考えられるのはどれか。

 

  1. 肺水腫
  2. 周産期心筋症
  3. 肺血栓塞栓症
  4. HELLP症侯群

 

 


 

次の文を読み49、50の問いに答えよ。

Aさん(34歳、初産婦)。妊娠40週2日。陣痛開始から3時間が経過し、入院した。胎児推定体重は2,650g、入院時の内診所見は、子宮口4cm開大、展退度70%、Station-2、子宮頸管の硬度は軟であった。入院から4時間後、羊水流出を認めた。陣痛間欠4〜5分、陣痛発作40〜50秒、内診所見は子宮口5cm開大、展退度80%、Station-1、子宮頸管の硬度は軟である。先進部は小泉門で11時方向に触れる。

 

▶午前49

分娩経過の判断で正しいのはどれか。

 

  1. 児頭は嵌入している。
  2. 分娩第1期遷延である。
  3. 第1前方後頭位である。
  4. Friedman〈フリードマン〉曲線の活動期である。

 

 


 

▶午前50

入院から8時間後、陣痛間欠2〜3分、陣痛発作50秒、内診所見は子宮口7cm開大、展退度100%、Station+3、矢状縫合は骨盤横径に一致し、大泉門が触れ小泉門と同じ高さだった。Aさんは呼吸が乱れ「痛くて我慢できない」と訴えた。
分娩進行の判断で正しいのはどれか。

 

  1. 過強陣痛である。
  2. 第2回旋の異常である。
  3. 子宮頸管は熟化していない。
  4. 分娩は正常に経過している。

 

 


 

次の文を読み51、52の問いに答えよ。

Aさん(23歳、女性、未婚)。妊娠歴なし。コンビニエンスストアでパート勤務をしている。勤務中に突然の腹痛と腟からの中等量の出血があり、早退して職場近くの婦人科クリニックを受診した。半年以上前から月経がないことを自覚していたが、医療機関は受診していなかった。意識は清明で、腹部は膨隆し、心窩部と下腹部に痛みを訴えている。下肢の浮腫著明。身長155cm、体重80kg(非妊時体重60kg)、体温36.5℃、脈拍90/分、血圧178/100mmHg。婦人科の医師が診察すると子宮内から少量の流血があり、経腹超音波検査で妊娠後期と思われる胎児を認めた。胎盤の辺縁に血腫を疑う像があり、子宮収縮に一致して胎児徐脈がみられた。婦人科クリニックの医師は、直ちに産婦人科とNICUのある高次医療施設に救急搬送受け入れを依頼した。

 

▶午前51

搬送依頼を受けた高次医療施設の助産師が、母体救命の観点において搬送元からさらに聞き出す情報で、最も重要なのはどれか。

 

  1. 子宮底長
  2. 最終飲食時間
  3. パートナーの連絡先
  4. 出血中の凝血塊の有無

 

 


 

▶午前52

高次医療施設に搬入された直後に、産科医師がAさんを診察すると、腟分泌物は血性少量、子宮口は1cm開大、経腹超音波検査で約80bpmの胎児徐脈を認め、回復の徴候が認められなかった。救急処置室から直ちに手術室に移送され、全身麻酔下の緊急帝王切開術で2,830gの女児を出産した。Apgar〈アプガー〉スコアは1分後3点、5分後7点、臍帯動脈血pH値7.02であった。NICU医師によって蘇生処置が行われた。出血量は羊水を含めて800mLであった。Aさんは術後、ICUに収容された。娩出されたAさんの胎盤の写真を別に示す。
写真
Aさんの術後に最も注意すべきなのはどれか。

 

  1. 肺血栓塞栓症
  2. 術後出血
  3. 肺水腫
  4. 敗血症
  5. 心不全

 

 


 

次の文を読み53の問いに答えよ。

Aさん(31歳、女性、会社員)。28歳で結婚した。2年前に月経困難症のため婦人科を受診し、子宮内膜症と診断された。1年前から基礎体温表をつけて排卵期に性交渉を持つようにしていたが、妊娠しないため婦人科診療所を受診した。Aさんは何度か通院するうちに、助産師に「実は、性交のときに痛くて、性交渉を持つ日を指定されたりすると、とてもストレスになります。自分の仕事が忙しく、休んで病院に来るのも大変だし、不妊治療は受けたくないのです。夫は子どもを欲しがっているので、悪くて言えません。でも、一度きちんと話そうと思っています」と訴えた。

 

▶午前53

助産師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 不妊治療を受けないという本人の意思決定を支持する。
  2. 不妊治療によって痛みは軽減することが多いと伝える。
  3. 夫には性交痛のことは話さない方がよいと説明する。
  4. 妊娠すれば痛みの問題は解決すると説明する。
  5. 心療内科の治療が必要であると伝える。

 

 


 

次の文を読み54の問いに答えよ。

開業助産師が、市の乳児家庭全戸訪問事業の委託を受けて、産後3か月のAさん(30歳、初産婦)宅を訪問した。Aさんには訪問に戸惑う様子がみられた。部屋は整理整頓されている。児は体温37.1℃、呼吸数32/分、心拍数110/分。定頸している。オムツかぶれはない。助産師は児の計測時、上腕内側に皮下出血があるのを認めた。児の表情は乏しく、あやしても笑わない。Aさんは落ち着きがなく、計測が終わるとすぐに助産師から児を取り上げた。児の出生体重は2,600g、1か月児健康診査時の体重は3,500gと母子健康手帳に記載があり、本日の児の体重は5,000gであった。助産師が皮下出血の原因をAさんに確認すると、「虫に刺された」と答えた。Aさん夫婦は1年前に転入してきて周囲に知り合いはいない。助産師は継続的な支援が必要だと感じた。児の4か月児健康診査は3週後である。

 

▶午前54

今後の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 育児グループを紹介する。
  2. 1週後に助産師が再訪問する。
  3. 早急に地区担当保健師に連絡する。
  4. 4か月児健康診査でフォローアップする。

 

 


 

次の文を読み55の問いに答えよ。

自然災害発生後3日。助産師Aは被災地に派遣され、避難所に到着した。産褥2週の褥婦Bさんから「母乳の出が悪くなった気がする。母乳だけで赤ちゃんは大丈夫でしょうか」と相談を受けた。Bさんは妊娠40週0日で3,200gの児を出産し、完全母乳育児をしている。乳房トラブルはない。授乳回数は10〜12回/日。児は体重3,600g、尿8〜10回/日、便3、4回/日で、皮膚の色つやはよい。

 

▶午前55

現時点での助産師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 混合栄養を勧める。
  2. 児をあまり泣かさないよう伝える。
  3. 現在は母乳で足りていると伝える。
  4. 授乳回数を1日10回未満にすることを提案する。

 

 

 

第102回助産師国家試験・午後(55問)

 

▶午後1

女性ホルモン類似の作用がある植物由来の物質はどれか。

 

  1. イソフラボン
  2. ダイオキシン
  3. 麦角アルカロイド
  4. ジエチルスチルベストロール

 

 


 

▶午後2

腟鏡診におけるクスコ式腟鏡の使用方法で正しいのはどれか。

 

  1. 乾燥した状態で使用する。
  2. 腟鏡先端を使って腟口を開く。
  3. 挿入後は先端を開いて腟の最奥部まで進める。
  4. 腟壁全周の観察は、先端を開いた腟鏡を左右に回しながら行う。

 

 


 

▶午後3

精子に関する説明で正しいのはどれか。

 

  1. 精子の染色体数は46本である。
  2. 老年期には精子の形成はみられない。
  3. 1個の精母細胞から形成される精子は4個である。
  4. 精子の遺伝的多様性が形成されるのは第二減数分裂の過程である。

 

 


 

▶午後4

新生児の呼吸障害とその原因の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 無呼吸発作――肺水の吸収遅延
  2. 一過性多呼吸――化学性の肺炎
  3. 胎便吸引症候群――呼吸中枢の未熟性
  4. 呼吸窮迫症候群――肺表面活性物質の欠乏

 

 


 

▶午後5

子宮収縮抑制薬はどれか。

 

  1. ヘパリン
  2. ベタメタゾン
  3. デキサメタゾン
  4. 塩酸リトドリン

 

 


 

▶午後6

Aさん(28歳、初妊婦)。現在、妊娠18週で双胎。事務職で正規採用されて3か月経った。
Aさんへの保健指導で正しいのはどれか。

 

  1. 「育児休業は1年間の申し出ができます」
  2. 「産前休業は予定日前に16週間取得できます」
  3. 「妊婦健康診査受診に必要な時間には、医療機関への往復時間を含みます」
  4. 「出産手当金は、出産日以前42日から出産日後より56日まで支給されます」

 

 


 

▶午後7

32歳、初産婦。妊娠38週5日。妊婦健康診査時、「昨夜10分ごとの陣痛が3時間続いた。朝6時にお腹の張りで目が覚めた。2時間前から10〜12分ごとに収縮している」と言う。内診所見は、子宮口2cm開大、展退度80%、Station-3、子宮頸管の硬度は軟、子宮口の位置は中央であった。腟分泌物は白色である。
この時の助産診断で正しいのはどれか。

 

  1. 産徴がある。
  2. 前駆陣痛である。
  3. 原発性微弱陣痛である。
  4. 子宮頸管は成熟している。

 

 


 

▶午後8

会陰切開術の正中側切開法と正中切開法との比較で、正中側切開法の特徴として正しいのはどれか。

 

  1. 会陰拡張効果が大きい。
  2. 創部からの出血が少ない。
  3. 肛門括約筋の損傷が少ない。
  4. 創部縫合不全が発生する頻度は少ない。

 

 


 

▶午後9

早産児の退院後のフォローアップ外来で、修正月齢よりも暦月齢に基づいて判断するのはどれか。

 

  1. 運動発達の評価
  2. 言語発達の評価
  3. 身体発育の評価
  4. B型肝炎ワクチンの接種時期

 

 


 

▶午後10

家族発達理論における家族周期段階別にみた基本的発達課題で、第1子出生後の育児開始期にある家族の課題はどれか。

 

  1. 職業生活に適応する。
  2. 生活領域拡大に適応する。
  3. 増大する家庭内役割を引き受ける。
  4. 子どもの心理的分離に伴う不安に親として対応する。

 

 


 

▶午後11

セルフヘルプグループ活動に該当するのはどれか。

 

  1. 祖父母を対象とした出産準備教室
  2. 出産経験者が運営に協力する母親教室
  3. 助産師による乳房マッサージの講習会
  4. ペリネイタルロス〈Perinatal Loss〉を経験した母親の会

 

 


 

▶午後12

助産所および院内助産の分娩において、助産師と産婦人科医師との協働管理をするのが望ましい対象者の要件に該当するのはどれか。

 

  1. 年齢30歳
  2. 身長155cm
  3. 妊娠前BMI22
  4. 前回妊娠35週の早産

 

 


 

▶午後13

Aさん(26歳、初妊婦)。留学生。妊娠9週。来日2年目。Aさんのパートナーも留学生で、2人ともアルバイトをしながら学業を継続している。日本での出産を希望している。出産費用が心配になり、助産師に相談してきた。
Aさんが出産育児一時金を支給されるための条件はどれか。

 

  1. 自国の大使館に妊娠届を提出していること
  2. 日本の公的医療保険に加入していること
  3. 母子健康手帳を交付されていること
  4. 日本で婚姻届けを提出していること

 

 


 

▶午後14

肥満が疾患発症のリスク因子となるのはどれか。

 

  1. 胞状奇胎
  2. 卵管妊娠
  3. 子宮腺筋症
  4. 子宮内膜癌
  5. 成熟囊胞性奇形腫

 

 


 

▶午後15

女性において肝周囲炎をきたすのはどれか。

 

  1. 放線菌
  2. カンジダ属
  3. 性器クラミジア
  4. B群溶血性レンサ球菌
  5. ヒト免疫不全ウイルス〈HIV〉

 

 


 

▶午後16

Rh式血液型不適合妊娠で胎児水腫が認められた。
この時、D抗原に対して産生される免疫グロブリンはどれか。

 

  1. IgA
  2. IgD
  3. IgE
  4. IgG
  5. IgM

 

 


 

▶午後17

受精卵(胚)で正しいのはどれか。

 

  1. 受精後さらに2回の減数分裂が行われる。
  2. 受精後2日に前核が形成される。
  3. 前核が融合したものを桑実胚という。
  4. 受精後3日に胚盤胞へと変化する。
  5. 胚盤胞の状態で子宮内膜に着床する。

 

 


 

▶午後18

母体由来の細胞を主体として構成されているのはどれか。

 

  1. 羊膜
  2. 臍帯
  3. 絨毛
  4. 脱落膜
  5. 羊水浮遊細胞

 

 


 

▶午後19

30歳代の女性で行われた場合に、その後に骨粗鬆症のリスクが高まるのはどれか。

 

  1. 子宮筋腫の核出
  2. 両側付属器の切除
  3. 薬剤を用いた排卵誘発
  4. 低用量ピルによる避妊
  5. 尖圭コンジローマの焼灼治療

 

 


 

▶午後20

妊婦の状態とそれに関連して生じやすい新生児への影響の組合せで正しいのはどれか。

 

  1. 喫煙習慣――巨大児
  2. 血小板減少――黄疸
  3. 不規則抗体陽性――多血症
  4. 妊娠高血圧腎症――低出生体重児
  5. ビタミンB1欠乏――18トリソミー

 

 


 

▶午後21

Aさん(29歳、初妊婦)。現在、妊娠38週2日。「赤ちゃんの動きが少ないような気がする」と言って外来を受診した。検査の結果を表に示す。
102pm21j
AさんのBiophysical Profile Score〈BPS〉の点数はどれか。

 

  1. 0点
  2. 2点
  3. 4点
  4. 8点
  5. 10点

 

 


 

▶午後22

母体の骨盤と胎児の位置関係を模式図に示す。
102pm22j
整形外科的合併症のない正常産婦で、胎児の軸と母体の脊椎のなす角度(θ)が大きく、母体の仙骨の可動域の制限が少なく、骨盤出口部が広がりやすい分娩体位は(  )である。
(  )に当てはまるのはどれか。

 

  1. 仰臥位
  2. 膝肘位
  3. 側臥位
  4. 蹲踞位
  5. 半坐位

 

 


 

▶午後23

新生児マススクリーニング検査で、後日、2回目の採血が必要なのはどれか。

 

  1. 過期産児
  2. 人工栄養児
  3. 哺乳不良の児
  4. 光線療法中の児
  5. 新生児仮死で出生した児

 

 


 

▶午後24

新生児の神経系の診察で、反射を誘発している場面を図に示す。
102pm24j
この反射はどれか。

 

  1. 歩行反射
  2. 交差伸展反射
  3. 足底把握反射
  4. 引き起こし反射
  5. Landau〈ランドー〉反射

 

 


 

▶午後25

新生児が百日咳に罹患した場合、重症度を評価するために観察すべき臨床症状はどれか。

 

  1. 嘔吐
  2. 咳嗽
  3. 下痢
  4. 心雑音
  5. 無呼吸

 

 


 

▶午後26

日本の人口動態統計調査における周産期死亡率を求める式を示す。
102pm26j
(  )に入るのはどれか。

 

  1. 妊娠満12週以後22週未満の死産数
  2. 人工妊娠中絶数
  3. 新生児死亡数
  4. 年間出生数
  5. 年間出産数

 

 


 

▶午後27

有床助産所で分娩の安全管理のために使用するもので、最も優先度が高いのはどれか。

 

  1. 分娩監視装置
  2. 携帯用保育器
  3. 超音波断層装置
  4. 血液ガス分析測定器
  5. 識別用ネームバンド

 

 


 

▶午後28

閉経以降の女性に生じる身体変化の特徴で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 骨吸収は減少する。
  2. 中性脂肪は上昇する。
  3. 1型糖尿病が増加する。
  4. LDLコレステロールは低下する。
  5. HDLコレステロールは低下する。

 

 


 

▶午後29

卵巣過剰刺激症候群が重症化した場合に注意する合併症はどれか。2つ選べ。

 

  1. 胸水
  2. 血栓症
  3. 高血圧症
  4. 腎盂腎炎
  5. 甲状腺機能低下症

 

 


 

▶午後30

妊娠後期における母体の変化で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 子宮峡部は長くなる。
  2. 子宮頸部の強度は増す。
  3. 子宮胎盤血流量は増加する。
  4. 腟前庭は仙骨側に圧排される。
  5. Braxton-Hicks〈ブラックストン・ヒックス〉収縮は前駆陣痛が出現すると消失する。

 

 


 

▶午後31

Aさん(17歳、女子)。11歳で初経が発来して以降、28日型の順調な月経周期であったが、4か月前から無月経となったため、思春期外来を受診した。Aさんには性交渉の経験はない。頭痛や視野異常の訴えはない。
助産師が行う対応で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 有酸素運動を勧める。
  2. 体重の変動について聞く。
  3. 精神的ストレスの程度を確認する。
  4. 直ちに低用量ピルの内服を勧める。
  5. 基礎体温は朝トイレに行ってから測定するよう説明する。

 

 


 

▶午後32

Aさん(32歳、初妊婦)。身長154cm。体重56kg(非妊時体重53kg、BMI22)。既往歴は特記すべきことはない。職業は会社員で、デスクワークが主である。現在妊娠22週で異常所見は認められない。助産師は、Aさんに食事バランスガイドを用いて、非妊時と比較した1日分の付加量について説明することになった。
説明する内容で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 「主食はおにぎり1個分増やしましょう」
  2. 「主菜は卵1個分増やしましょう」
  3. 「副菜は増やす必要はありません」
  4. 「牛乳・乳製品は牛乳コップ1杯分増やしましょう」
  5. 「果物はりんご半個分増やしましょう」

 

 


 

▶午後33

子宮口全開大で、努責感を感じている初産婦。仰臥位で陣痛発作時に時々児頭が陰裂から少し見える状況になってきた。
陣痛発作時の産婦に対し、分娩を進行させる効果的な声かけで適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 「上半身を起こしますよ」
  2. 「天井を見ていきみましょう」
  3. 「ハッ、ハッ、ハッ、ですよ」
  4. 「フーウン、フーウン、ですよ」
  5. 「息の続くかぎり長くいきんでください」

 

 


 

▶午後34

子宮内反症で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 膀胱に尿がたまった状態で用手的整復を試みる。
  2. 子宮底輪状マッサージが誘因となる。
  3. 経産婦に比べて初産婦の発症が多い。
  4. 子宮底は著しく上昇する。
  5. 大量出血が起きる。

 

 


 

▶午後35

死産に関わる届出で正しいのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 死産届は24時間以内に提出する。
  2. 死産届は死産のあった場所の都道府県知事に提出する。
  3. 死産の分娩に立ち会った場合は死胎検案書を作成する。
  4. 死産児を検案して異常を認めた場合は、所轄警察署に届け出る。
  5. 提供した医療に起因する予期しなかった死産は医療事故調査・支援センターに届け出る。

 

 


 

次の文を読み36〜38の問いに答えよ。

Aさん(33歳、初妊婦)。既往歴や生活歴に特記すべきことはなかったが、妊娠28週頃から高血圧を指摘され、内服薬による治療を受けている。妊娠39週5日、経腟分娩で男児を出産した。
児のApgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後9点。
児の身体所見:身長49.2cm(50パーセンタイル)
体重2,515g(3パーセンタイル)
頭囲33.3cm(50パーセンタイル)

 

▶午後36

児の管理をするにあたり、注意すべき合併症はどれか。

 

  1. 高血糖
  2. 多血症
  3. 顔面神経麻痺
  4. 呼吸窮迫症候群
  5. 高カルシウム血症

 

 


 

▶午後37

日齢2。児の体重は2,410gで、前日から30g減少している。児は完全母乳栄養で約1〜2時間ごとに哺乳している。児の哺乳力は良好だが、左右の乳房を10分程度哺乳すると眠ってしまい、Aさんは眠った児をそのままコットに寝かせている。児には軽度の腹部膨満が認められる。排便は出生後5回、粘稠性の強い濃緑色の便が認められる。朝、ヨーグルト状の凝乳塊を含む白色物の嘔吐が認められた。
助産師のAさんへの指導で正しいのはどれか。

 

  1. 人工乳の追加
  2. 哺乳後の排気
  3. 3時間ごとの定時授乳
  4. Aさんの乳製品の摂取制限

 

 


 

▶午後38

日齢4。児の体重は2,490gで、前日から35g増加している。排尿10回/日、排便5回/日、哺乳回数12回/日、哺乳力は良好だが、1日数回の嘔吐が認められる。経皮的黄疸計値9.5。自動聴性脳幹反応〈AABR〉は両耳とも「パス(反応あり)」であった。
Aさんからの児に関する訴えで、最も注意すべきなのはどれか。

 

  1. 「視線が合わない」
  2. 「黄色いうんちが出た」
  3. 「黄緑色のものを吐いた」
  4. 「白眼が黄色くなってきた」
  5. 「声をかけても反応してくれない」

 

 


 

次の文を読み39〜41の問いに答えよ。

妊婦とパートナーが出産を迎える意欲を高めることを目的として、病院に勤務する助産師が両親学級を開催することとなった。計画の概要を表に示す。
102pm39j

 

▶午後39

この両親学級の開催で適切なのはどれか。

 

  1. 開催日時は平日の日中とする。
  2. 母子健康手帳は持参しなくて良いと伝える。
  3. バースプランは事前に用紙に書いてくるよう伝える。
  4. 分娩経過の講義は妊婦とパートナーを分けて実施する。

 

 


 

▶午後40

助産師は計画に従って両親学級を開催した。産痛緩和法の講義と演習で、分娩第1期の産痛緩和法として腰部マッサージの方法を紹介した。助産師は、パートナーに対して、妊婦の背側に座り、手を温めて妊婦の腰部に触れ、妊婦の呼吸に合わせて円を描くように手を動かすよう指導した。実施後、助産師は妊婦とパートナーが記載したアンケートを見て両親学級の効果を評価することにした。
妊婦とパートナーが出産を迎えるための意欲が高まったと評価できる記載はどれか。

 

  1. 立ち会い出産は大変だと感じた。
  2. 実母の立ち会いについて2人で話し合います。
  3. 産痛緩和のマッサージは助産師にしてほしい。
  4. お腹が張りそうだからマッサージは心配です。
  5. 自宅でも2人でマッサージの練習をしてみたい。

 

 


 

▶午後41

両親学級の終了後、Aさん(29歳、初妊婦)とAさんのパートナーが助産師に話しかけてきた。Aさんは現在妊娠31週で、前回の妊婦健康診査では骨盤位であったという。
Aさん:「今日は分娩室を見てここで産みたいと思いました。来て良かったです」
パートナー:「今日は経腟分娩の話ばかりだったけど、逆子のまま帝王切開になったらどうしよう」
Aさんとパートナーの言葉を聞いた後の助産師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 胎児外回転術を勧める。
  2. 骨盤位の経腟分娩方法を説明する。
  3. 帝王切開術の説明を希望するかを確認する。
  4. まだ週数が早いので、帝王切開術を心配する必要はないと説明する。

 

 


 

次の文を読み42、43の問いに答えよ。

Aさん(48歳、女性)。夫と28歳の長女との3人暮らしで、出版社に勤務している。不正出血を主訴として婦人科の診療所を受診した。既往歴に特記すべきことはない。月経周期は順調であったが、6か月前から月経がなく、少量の出血が時々みられる。身長150cm、体重48kg(半年前より変化なし)。婦人科診察では子宮および付属器に異常は認められなかった。
Aさんは最近体調に不安を感じており、助産師に「会議中などに突然暑くなって汗をかき、動悸がして困ることがあります。物忘れも増え、何をするにもおっくうです。夫は仕事中心で、私の話を聞いてくれません。娘がまもなく結婚して独立するので、その準備であわただしい毎日でした。この先、夫と2人きりになるかと思うと憂うつです」と相談があった。

 

▶午後42

Aさんに対するアセスメントで適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 若年性認知症が疑われる。
  2. 急性ストレス障害が疑われる。
  3. 視床下部性無月経が疑われる。
  4. 血管運動神経性障害を認める。
  5. 家族の発達課題がストレスの原因になっている。

 

 


 

▶午後43

その後Aさんは、医師からホルモン補充療法を勧められたが「薬には頼りたくない」と言い、希望しなかった。「職場の仲間は、私ほどつらそうではない。娘の結婚と引っ越しが終わり、心にぽっかり穴があいたままで家事や仕事をする気力がありません。私1人が周りに迷惑ばかりかけている」と沈んでいる。
助産師のAさんへの対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 田中・ビネー式知能検査を行う。
  2. 自己イメージのゆがみを修正する。
  3. 夫と過ごす時間を増やすよう指導する。
  4. ストレスマネジメントについて指導する。

 

 


 

次の文を読み44、45の問いに答えよ。

Aちゃん(生後8か月、男児)。小児神経専門医から重度の脳性麻痺(痙性四肢麻痺)と診断された。
〔周産期歴〕
Aちゃんの母親は34歳の経産婦。妊娠18週まで喫煙していた。妊婦健康診査では直前まで特に異常は指摘されていなかったが、妊娠37週3日に「6時間ほど前から痛みを感じ自宅で様子をみていたが、我慢できなくなった」と電話があり、助産師は来院を指示した。来院時、胎児心拍数陣痛図で胎児心拍数60bpmの遷延一過性徐脈を認め、常位胎盤早期剝離の診断で緊急帝王切開術が行われた。Aちゃんは出生体重2,860g、Apgar〈アプガー〉スコアは1分後2点、5分後5点で、蘇生後NICUに入院し、日齢35に退院した。

 

▶午後44

Aちゃんの脳性麻痺の原因で可能性が高いのはどれか。

 

  1. 核黄疸
  2. 母の喫煙
  3. 上衣下出血
  4. 脳室周囲白質軟化症
  5. 低酸素性虚血性脳症

 

 


 

▶午後45

産科医療補償制度の手続きのため、分娩した病院に来院したAちゃんの母親から助産師に「この制度について教えて下さい」と質問があった。
助産師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 「この制度では原因分析はしません」
  2. 「分析結果は一般に公開されません」
  3. 「分析報告書は保護者に直接送付されます」
  4. 「原因分析の結果は小児神経専門医から伝えられます」

 

 


 

次の文を読み46、47の問いに答えよ。

Aさん(42歳、初産婦)。約8年の不妊治療後に体外受精で妊娠。妊娠経過は順調で骨盤位のため帝王切開術による出産となった。児は正常新生児で、Aさんの産褥経過は問題なく、予定通り産褥7日に退院した。本日、産褥14日、母乳外来に来院した。児の健康状態は良好、体重増加は45g/日。Aさんは「母乳が足りているかわからなくて、1回60mLのミルクを1日4、5回足しているのですが、この子は泣いてばかりで、私は全然眠れないです」と暗い表情で話した。

 

▶午後46

この時の助産師の対応で最も適切なのはどれか。

 

  1. 産後うつ病であると伝える。
  2. ミルクの量が適切ではないと指導する。
  3. 母乳分泌を促すマッサージを指導する。
  4. 自宅での児との生活について話してもらう。

 

 


 

▶午後47

母乳外来受診から1週後、Aさんは、産後の1か月健診に児を連れて夫とともに来院した。産後の経過は順調である。児については「以前より寝てくれるようになったけど、泣くといらいらしてしまう。夫は、仕事が忙しくて帰りが遅い」と言う。エジンバラ産後うつ病質問票〈EPDS〉は4点であった。1日7、8回直接授乳しておりミルクを毎回足している。
助産師の対応で適切なのはどれか。

 

  1. 精神科への受診を勧める。
  2. 地域の育児支援情報を提供する。
  3. 育児はうまくいっていると励ます。
  4. 虐待の疑いがあることを児童相談所に連絡する。

 

 


 

次の文を読み48、49の問いに答えよ。

Aさん(35歳、経妊婦)。妊娠8週。身長158cm、体重49kg(非妊時体重52kg)。妊婦健康診査を受診した。妊婦健康診査で、体温37.5℃、血圧92/64mmHg、尿蛋白(-)、尿糖(-)、尿ケトン体2+。2週前から嘔気が出現し、1週前から一日中嘔吐が続いており、水分は一口程度であれば摂取できるが、食事はほとんど摂取できていない状況である。Aさんは、「前回の妊娠の時と違って、こんなに吐いてばかりで赤ちゃんは大丈夫でしょうか。不安です」と話している。

 

▶午後48

この時点のアセスメントで正しいのはどれか。

 

  1. うつ状態である。
  2. 経過は順調である。
  3. 輸液療法が必要である。
  4. 自然に治まる症状である。

 

 


 

▶午後49

Aさんは妊娠12週で、妊婦健康診査を受診した。体重50.0kg、血圧94/60mmHg、尿蛋白(-)、尿糖(-)、尿ケトン体(±)。嘔吐は軽減してきたが嘔気は持続している。「1日3食頑張って食べようと努力していますが、ご飯を一口食べると吐いてしまいます。どうすれば食べられるようになるでしょうか」と話している。
助産師が行う食事指導で適切なのはどれか。2つ選べ。

 

  1. 「食べられるときに好きなものを食べましょう」
  2. 「1日2,000kcalを目標に食べましょう」
  3. 「水分を摂るように心がけましょう」
  4. 「お腹が空いてから食べましょう」
  5. 「外食は避けましょう」

 

 


 

次の文を読み50、51の問いに答えよ。

Aさん(32歳、初産婦)。病院の産婦人科で、妊婦健康診査を受けていた。合併症はなく、妊娠経過および胎児の発育は順調であった。既往歴に特記すべきことはない。妊娠40週3日、自宅で陣痛発来および破水を認めたため、産婦人科病棟に入院した。胎児推定体重は3,400g。羊水混濁は認めない。子宮口が全開大後、胎児心拍数陣痛図にて高度遅発一過性徐脈を認めたため、吸引分娩による急速遂娩を行うこととなった。

 

▶午後50

新生児蘇生法ガイドライン2015に基づく児の蘇生の準備で適切なのはどれか。

 

  1. 吸引器の陰圧を20kPaに設定する。
  2. 6Frの吸引カテーテルを準備する。
  3. 内径4.5mmの気管チューブを準備する。
  4. 人工呼吸用ブレンダーの酸素濃度を21%に設定する。
  5. Tピース蘇生装置の呼気終末陽圧〈PEEP〉を8cmH2Oに設定する。

 

 


 

▶午後51

出生した児は男児で出生体重3,650g。Apgar〈アプガー〉スコアは1分後8点、5分後9点。出生後2時間、児の診察を行ったところ、全身状態は良好だが、左側頭部から耳朶にかけて膨隆を認めた。膨隆は波動を触れて軟らかく、冠状縫合を超えて隆起していた。
今後の児の継続観察で注意する所見はどれか。

 

  1. 頭囲拡大
  2. 早発黄疸
  3. 胆汁性嘔吐
  4. チアノーゼ
  5. 顔面神経麻痺

 

 


 

次の文を読み52、53の問いに答えよ。

Aさん(23歳、初妊婦)。妊娠16週。1人暮らしでパートナーとは未入籍である。昨年度はアルバイトで年収は約180万円であったが、4か月前から運送会社の正社員として宅配便の配送ドライバーとして働いている。Aさんは「妊娠したことはうれしい」と言い、妊婦健康診査は適切な間隔で受診している。今回の妊婦健康診査で、経過は順調であると確認された。Aさんは「体調は良いですが、重い荷物を運ぶのが不安になってきました」という。

 

▶午後52

助産師がAさんに優先して確認する必要があるのはどれか。

 

  1. 産前産後休業取得の予定
  2. パートナーとの入籍予定
  3. 地区担当保健師との関わり
  4. 雇用者への配置換えの申請状況

 

 


 

▶午後53

妊娠30週。血圧150/95mmHg、尿蛋白+、胎児推定体重は1,650g。入院して治療をすることになった。パートナーとの入籍や同居の予定は未定である。Aさんから、入院費の支払いに不安があると助産師に申し出があった。このため、地区担当保健師に相談したところ、療養援護の助成を受けられることになった。
Aさんが療養援護の助成を受けられることになった理由はどれか。2つ選べ。

 

  1. 昨年度の年収額
  2. 胎児発育不全〈FGR〉
  3. 妊娠高血圧症候群
  4. 1人暮らし
  5. 未入籍

 

 


 

次の文を読み54、55の問いに答えよ。

開院して1年の産婦人科クリニック。分娩数は月20件である。今まで夜間に分娩が重なることはなかった。ある日の夜勤は、分娩担当の助産師Aと褥婦担当の看護師の2名で勤務をしていた。陣痛室には分娩進行中の初産婦1名と経産婦1名がいた。初産婦が3日間便秘であったため助産師Aは浣腸を施行した。2名の産婦は順調に分娩が進行し、児の娩出時間はほぼ同時になった。初産婦の分娩は産科医が看護師と対応したので、助産師Aは1人で経産婦の分娩を介助し、児の臍帯切断を行った。看護師は両方の新生児への対応を行った。産科医は両方の産婦と新生児の健康状態に問題がないことを確認した。助産師Aは分娩介助の翌日から外来勤務だったため、分娩3日後に助産録の記載をした。

 

▶午後54

保健師助産師看護師法に規定される助産師の業務を踏まえ、助産師Aの勤務内容で改善が求められる行為はどれか。

 

  1. 初産婦に浣腸をしたこと
  2. 医師の立ち合いなしに分娩介助をしたこと
  3. 医師の立ち合いなしに臍帯切断をしたこと
  4. 助産録の記載を分娩3日後に行ったこと

 

 


 

▶午後55

初産婦は退院時に「お産の時、スタッフが忙しそうでナースコールを鳴らしてもすぐに来てもらえなかった」とスタッフに伝えた。
今回の経過を踏まえた院内の取組みで、最も優先されるのはどれか。

 

  1. 分娩が安全に遂行できる業務手順を作成する。
  2. 助産師間で助産実践能力を相互評価する。
  3. 接遇に関する研修を実施する。
  4. 退院時アンケートを実施する。

 

 


 

資料 厚生労働省「第105回保健師国家試験、第102回助産師国家試験、第108回看護師国家試験の問題および正答について

 

 

▶ 助産師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 看護師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 保健師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 医師国家試験に出る国民衛生の動向

 

▶ 薬剤師国家試験に出る国民衛生の動向